ジャリ。 ジャリ。 ジャリ。
靴の分厚い革底が、乾いた地面をゆっくりと踏みにじる。靴の踵に付けられた拍車が、時折カラ
カラと乾いた音を立てて回った。
ジャリ。 ジャリ。 ジャリ。
その男……齢は既に初老の坂を越えたと思しき、白くなりきった長い髪と、しかしその年齢に似
合わぬ精力的な瞳を持つ男は、ひとり、ゆったりと荒野を進む。
北東に向かえば近場にオンセンやアミューズメントパークがあり、ずっと東に抜ければ街がある。
近い微妙な施設か、遠い優良施設か、現状ではどちらもほとんど等価値とも思える二択。男は東の
町へ荒野を抜けて進んでいくことを選んだ。なぜなら、そう、ガンマンには荒野が似合うからだ。
この男は、そういう美学の持ち主だった。
ジャリ。 ジャリ。 ……ザッ。
男は不意に歩みを止める。目の前には誰もいない。しかしその男の脳内には、十数歩先、銃を腰
に下げてこちらを睨みつける好敵手の姿がはっきりと映っていた。
一陣の風が吹き抜ける。ここはマカロニ・ウェスタンの銀幕の中ではないから、観客の目に緊迫
感を知らせるタンブルウィードは転がってはこないし、そもそもその観客さえも誰もいないのでは
あるが、それでも男は銃を華麗に抜き放つ。銀の光が男の周辺を目まぐるしく駆け回り、美しい軌
跡を描いて再び腰へと戻る。
「来い」
両の手の三本の指で、目の前の相手に銃を突きつけるかのようなポーズ。男の脳内で、迷彩服と
フェイスペイントに身を包んだ好敵手が、バンダナの下の目を鋭く細める。
空気が張り詰める。また、一陣の風が吹いた。
「ハアッ!」
気迫。光が走る。目にも留まらぬ速さで、男の腰から光が抜き放たれて目の前の好敵手へと向け
られる。
無音。そして、数秒の沈黙が続いた。映画なら、もしくは本当の決闘なら、実際に銃声が鳴り響
いていたところだろうが、さすがに空想決闘で発砲するほど男は愚かではない。ただ構えただけだ。
しかし、男の口は悔しそうに歪んだ。
「追いつけん、か」
呟いた。脳内の好敵手から銃口を外し、銃を華麗に回してからホルスターに戻した。
今の早撃ち勝負は惨敗だった。自分がこの重い銃をようやく引き抜き構えようとしたときには、
脳内の好敵手……彼にとっての、永遠の憧れであり、絶対の存在……は麻酔弾で自分の額の真ん中
をヘッドショットし終わっていた。
「私では、追いつけんのか」
男は、右手を憎悪と悲哀の篭った目で睨み付けながら、搾り出すような声で呟く。
条件の悪さを理由にすることはできる。自分の愛銃であるコルトS.A.A.ではなく、不慣れなD.E.
では、いつものキレが出るわけがない。ましてD.E.はS.A.A.の2倍近い重量の大型拳銃であり、早
撃ちに向いた武器ではない。
また既に一度戦闘を行い、腕に疲労が溜まっていた。それどころか、肘に若干の違和感さえも感
じる。
手持ちの武器も、自分の体も、万全ではない。しかし、戦場で常に万全が期待できるわけがない
ことは、兵士ならば誰だってわかりきっていることだった。戦場においては、敗因などという言い
訳に意味はない。理由があろうがなかろうが、敗北の前にあるのは死だけであるのだから。
そう。あの男は。単身異国の地に乗り込み、その身と乏しい装備だけでジャングルを這い回って
戦ったあの男は、万全とは程遠い状況で、過酷な任務をやり遂げたではないか。それを考えれば、
この程度のハンデがなにほどのものか。現在の状況は、むしろ恵まれているとさえ言っていいほど
のものだ。
敗因はただひとつ、兵士としての能力が及ばないから。それだけのことだった。
「あの男本人にも、あの男の『模造品』にも、私は及ばない、か」
また、呟いた。
偉大なるあの男には、模造品が3人いる。男は、その中の2人に味方のフリをして接近して間近
で観察し、また残り1人とは(もろもろの都合で、負けてやらねばならない八百長試合だったうえ、
これからというところで邪魔が入ったが)直接銃弾を撃ち合って戦った。いずれの模造品も、あの
男から単なる兵士としての能力以外なにも受け継いでいないかのような出来損ないばかりではあっ
たが、その戦闘能力の高さは評価に値するものであることはしっかりと確認している。
さらには、男は自らの右腕を失っており、代わりに模造品1人の右腕を移植して使っていた経験
がある(その腕は、なぜか現在は自分自身の腕に戻されているようだが)。その模造品の腕は、長
年戦場を駆けてきた男本人の腕よりも、はるかに華麗に正確に銃を操ることができた。古の戦士は
「人殺しは体で覚えろ」と言ったものだが、伝説の兵士の遺伝子から作られた腕には殺しの経験が
刻み込まれているのだなと感心したものだった。
あの男は、本人はもちろん、模造品であろうが、模造品の腕だけになろうが、自分をはるかに超
える戦士の素質の塊であり続けているのだ。
「フフフ。やはり、そうでなくてはな。偉大なるボスは、そうでなくては」
また小さく呟き、笑う。それは憧れに追いつけぬ自分への悲哀(ソロー)でもあり、また憧れが
決して犯されない神聖なるものであることを再確認できた歓喜(ジョイ)でもあった。
突然、ズキリ、と、右の肘が痛んだ。先ほどの戦闘で、銃を乱射した影響だ。物理学の法則から
すれば当然のことだが、銃の威力が大きければ反動も同じだけ大きくなり、撃った側にも相当の負
担が強いられる。特に世界最強とも評されるD.E.は、撃った側が肩や肘の脱臼などの大怪我を負う
例さえも珍しくない。ついつい慣れ親しんだ片手撃ちのスタイルで使ってしまったが、本来なら両
腕でしっかり支えて使うべき銃なのである。
(そもそもお前はオートマチックに向いていない、リコイルの衝撃を肘を曲げて吸収する癖があ
る)
懐かしい声が思い出される。知らず知らずの癖は直らないものだ、と男は苦笑する。下手に肘で
吸収しようとするぶん、肘に大きく負担がかかったのだろう。
しかし、拳銃の名手として名を馳せ、銃の名を冠した異名で知られた男が、いかにハンドキャノ
ンと恐れられる規格外の銃とはいえ、両手で使うわけにもいくまい。それは、自分を偽ることに慣
れている男が、ただひとつだけ決して曲げたくはない矜持だった。
「だが、気をつけねばな。事故(アクシデント)が原因で負けたなどと言おうものなら、あのお方
にまた笑われてしまう」
呟きながら、銃を引き抜く。腰から走った光の筋が、円を描いて宙に上り、ぴたりと目の前で止
まった。
自動拳銃(オートマチックピストル)。銃弾を発射した反動(リコイル)を利用して、銃上部の
スライド機構を動かして薬莢の排出と次弾の装填を同時に行う仕組みの銃だ。引き金を引くだけで
連射ができる利点があるが、しっかりと支えずに銃の衝撃を下手に逃がしてしまうと排莢ミスが起
こって弾詰まり(ジャム)の原因になりやすいという若干の欠点も持っている。
そう。自分の欠点を指摘して、リボルバー使いに転向するようアドバイスをくれたのも、あの男
だった。手の中のD.E.をもてあそびながら、男はそう考える。
思えば、かつての自分には自己というものがなにもなかった。親の記憶もなく、ただ兵士として
の殺傷能力だけを叩き込まれ、スパイとして己を偽り他人を騙す術ばかりを仕込まれて育ってきた
男にとって、自分のアイデンティティと呼べるものは、ただ優秀な兵士、優秀なスパイであるとい
う矜持しかなかった。そんな空っぽな自分を、マカロニ・ウェスタンの主人公に……いずこからか
現れ、荒くれどもをなぎ倒し、またいずこかに去っていく無敵のガンマンに……なぞらえてみても、
所詮はただの空虚な妄想に過ぎなかった。
靴の分厚い革底が、乾いた地面をゆっくりと踏みにじる。靴の踵に付けられた拍車が、時折カラ
カラと乾いた音を立てて回った。
ジャリ。 ジャリ。 ジャリ。
その男……齢は既に初老の坂を越えたと思しき、白くなりきった長い髪と、しかしその年齢に似
合わぬ精力的な瞳を持つ男は、ひとり、ゆったりと荒野を進む。
北東に向かえば近場にオンセンやアミューズメントパークがあり、ずっと東に抜ければ街がある。
近い微妙な施設か、遠い優良施設か、現状ではどちらもほとんど等価値とも思える二択。男は東の
町へ荒野を抜けて進んでいくことを選んだ。なぜなら、そう、ガンマンには荒野が似合うからだ。
この男は、そういう美学の持ち主だった。
ジャリ。 ジャリ。 ……ザッ。
男は不意に歩みを止める。目の前には誰もいない。しかしその男の脳内には、十数歩先、銃を腰
に下げてこちらを睨みつける好敵手の姿がはっきりと映っていた。
一陣の風が吹き抜ける。ここはマカロニ・ウェスタンの銀幕の中ではないから、観客の目に緊迫
感を知らせるタンブルウィードは転がってはこないし、そもそもその観客さえも誰もいないのでは
あるが、それでも男は銃を華麗に抜き放つ。銀の光が男の周辺を目まぐるしく駆け回り、美しい軌
跡を描いて再び腰へと戻る。
「来い」
両の手の三本の指で、目の前の相手に銃を突きつけるかのようなポーズ。男の脳内で、迷彩服と
フェイスペイントに身を包んだ好敵手が、バンダナの下の目を鋭く細める。
空気が張り詰める。また、一陣の風が吹いた。
「ハアッ!」
気迫。光が走る。目にも留まらぬ速さで、男の腰から光が抜き放たれて目の前の好敵手へと向け
られる。
無音。そして、数秒の沈黙が続いた。映画なら、もしくは本当の決闘なら、実際に銃声が鳴り響
いていたところだろうが、さすがに空想決闘で発砲するほど男は愚かではない。ただ構えただけだ。
しかし、男の口は悔しそうに歪んだ。
「追いつけん、か」
呟いた。脳内の好敵手から銃口を外し、銃を華麗に回してからホルスターに戻した。
今の早撃ち勝負は惨敗だった。自分がこの重い銃をようやく引き抜き構えようとしたときには、
脳内の好敵手……彼にとっての、永遠の憧れであり、絶対の存在……は麻酔弾で自分の額の真ん中
をヘッドショットし終わっていた。
「私では、追いつけんのか」
男は、右手を憎悪と悲哀の篭った目で睨み付けながら、搾り出すような声で呟く。
条件の悪さを理由にすることはできる。自分の愛銃であるコルトS.A.A.ではなく、不慣れなD.E.
では、いつものキレが出るわけがない。ましてD.E.はS.A.A.の2倍近い重量の大型拳銃であり、早
撃ちに向いた武器ではない。
また既に一度戦闘を行い、腕に疲労が溜まっていた。それどころか、肘に若干の違和感さえも感
じる。
手持ちの武器も、自分の体も、万全ではない。しかし、戦場で常に万全が期待できるわけがない
ことは、兵士ならば誰だってわかりきっていることだった。戦場においては、敗因などという言い
訳に意味はない。理由があろうがなかろうが、敗北の前にあるのは死だけであるのだから。
そう。あの男は。単身異国の地に乗り込み、その身と乏しい装備だけでジャングルを這い回って
戦ったあの男は、万全とは程遠い状況で、過酷な任務をやり遂げたではないか。それを考えれば、
この程度のハンデがなにほどのものか。現在の状況は、むしろ恵まれているとさえ言っていいほど
のものだ。
敗因はただひとつ、兵士としての能力が及ばないから。それだけのことだった。
「あの男本人にも、あの男の『模造品』にも、私は及ばない、か」
また、呟いた。
偉大なるあの男には、模造品が3人いる。男は、その中の2人に味方のフリをして接近して間近
で観察し、また残り1人とは(もろもろの都合で、負けてやらねばならない八百長試合だったうえ、
これからというところで邪魔が入ったが)直接銃弾を撃ち合って戦った。いずれの模造品も、あの
男から単なる兵士としての能力以外なにも受け継いでいないかのような出来損ないばかりではあっ
たが、その戦闘能力の高さは評価に値するものであることはしっかりと確認している。
さらには、男は自らの右腕を失っており、代わりに模造品1人の右腕を移植して使っていた経験
がある(その腕は、なぜか現在は自分自身の腕に戻されているようだが)。その模造品の腕は、長
年戦場を駆けてきた男本人の腕よりも、はるかに華麗に正確に銃を操ることができた。古の戦士は
「人殺しは体で覚えろ」と言ったものだが、伝説の兵士の遺伝子から作られた腕には殺しの経験が
刻み込まれているのだなと感心したものだった。
あの男は、本人はもちろん、模造品であろうが、模造品の腕だけになろうが、自分をはるかに超
える戦士の素質の塊であり続けているのだ。
「フフフ。やはり、そうでなくてはな。偉大なるボスは、そうでなくては」
また小さく呟き、笑う。それは憧れに追いつけぬ自分への悲哀(ソロー)でもあり、また憧れが
決して犯されない神聖なるものであることを再確認できた歓喜(ジョイ)でもあった。
突然、ズキリ、と、右の肘が痛んだ。先ほどの戦闘で、銃を乱射した影響だ。物理学の法則から
すれば当然のことだが、銃の威力が大きければ反動も同じだけ大きくなり、撃った側にも相当の負
担が強いられる。特に世界最強とも評されるD.E.は、撃った側が肩や肘の脱臼などの大怪我を負う
例さえも珍しくない。ついつい慣れ親しんだ片手撃ちのスタイルで使ってしまったが、本来なら両
腕でしっかり支えて使うべき銃なのである。
(そもそもお前はオートマチックに向いていない、リコイルの衝撃を肘を曲げて吸収する癖があ
る)
懐かしい声が思い出される。知らず知らずの癖は直らないものだ、と男は苦笑する。下手に肘で
吸収しようとするぶん、肘に大きく負担がかかったのだろう。
しかし、拳銃の名手として名を馳せ、銃の名を冠した異名で知られた男が、いかにハンドキャノ
ンと恐れられる規格外の銃とはいえ、両手で使うわけにもいくまい。それは、自分を偽ることに慣
れている男が、ただひとつだけ決して曲げたくはない矜持だった。
「だが、気をつけねばな。事故(アクシデント)が原因で負けたなどと言おうものなら、あのお方
にまた笑われてしまう」
呟きながら、銃を引き抜く。腰から走った光の筋が、円を描いて宙に上り、ぴたりと目の前で止
まった。
自動拳銃(オートマチックピストル)。銃弾を発射した反動(リコイル)を利用して、銃上部の
スライド機構を動かして薬莢の排出と次弾の装填を同時に行う仕組みの銃だ。引き金を引くだけで
連射ができる利点があるが、しっかりと支えずに銃の衝撃を下手に逃がしてしまうと排莢ミスが起
こって弾詰まり(ジャム)の原因になりやすいという若干の欠点も持っている。
そう。自分の欠点を指摘して、リボルバー使いに転向するようアドバイスをくれたのも、あの男
だった。手の中のD.E.をもてあそびながら、男はそう考える。
思えば、かつての自分には自己というものがなにもなかった。親の記憶もなく、ただ兵士として
の殺傷能力だけを叩き込まれ、スパイとして己を偽り他人を騙す術ばかりを仕込まれて育ってきた
男にとって、自分のアイデンティティと呼べるものは、ただ優秀な兵士、優秀なスパイであるとい
う矜持しかなかった。そんな空っぽな自分を、マカロニ・ウェスタンの主人公に……いずこからか
現れ、荒くれどもをなぎ倒し、またいずこかに去っていく無敵のガンマンに……なぞらえてみても、
所詮はただの空虚な妄想に過ぎなかった。
そんな鬱屈した自分の前に、あの救いの英雄が現れてくれた。自分を正面から圧倒し、欠点を厳
しく指摘し、長所を正確に評価してくれて、さらにはリボルバーという己の利点をもっとも生かせ
る道まで指摘してくれた。あの瞬間、ただの人形、権力者に都合よく使われる駒(ポーン)のひと
つに過ぎなかった自分は、ひとりの戦士になれたのだ。その恩義は片時も忘れたことはない。
「そうとも、恩は必ず返す。山猫は、高貴な生き物なのだ」
また、呟く。手のひらの中のD.E.は、光の輪となって男の体の周りをぐるぐると旋回し、腰のホ
ルスターへと吸い込まれていった。
しく指摘し、長所を正確に評価してくれて、さらにはリボルバーという己の利点をもっとも生かせ
る道まで指摘してくれた。あの瞬間、ただの人形、権力者に都合よく使われる駒(ポーン)のひと
つに過ぎなかった自分は、ひとりの戦士になれたのだ。その恩義は片時も忘れたことはない。
「そうとも、恩は必ず返す。山猫は、高貴な生き物なのだ」
また、呟く。手のひらの中のD.E.は、光の輪となって男の体の周りをぐるぐると旋回し、腰のホ
ルスターへと吸い込まれていった。
そう。山猫は義理堅い。
男の命は、ただの1匹の山猫をリボルバー・オセロットという戦士にしてくれた大恩人である
「伝説の英雄」「最高の兵士」……BIGBOSSのためだけにある。その心は変わらない。目的も変わら
ない。迷いもしないし、揺らぎもしない。
男の命は、ただの1匹の山猫をリボルバー・オセロットという戦士にしてくれた大恩人である
「伝説の英雄」「最高の兵士」……BIGBOSSのためだけにある。その心は変わらない。目的も変わら
ない。迷いもしないし、揺らぎもしない。
そう。山猫は残虐だ。
BIGBOSSを救う。男の頭の中にあることはそれだけ。このイカれた戦場には……まあ、兵士として
生きる身には刺激的な場所であることは確かだが……用はないのだ。とっとと脱出し、愛国者たち
への対抗作戦を進めなければならない。そのためには手段は選ばない。邪魔する者に容赦はしない
し、邪魔しないものであっても利用価値がなければ生かしておく必要もない。
BIGBOSSを救う。男の頭の中にあることはそれだけ。このイカれた戦場には……まあ、兵士として
生きる身には刺激的な場所であることは確かだが……用はないのだ。とっとと脱出し、愛国者たち
への対抗作戦を進めなければならない。そのためには手段は選ばない。邪魔する者に容赦はしない
し、邪魔しないものであっても利用価値がなければ生かしておく必要もない。
そう。山猫は狡猾だ。
しかしそれでもなお、ほかに取りえる道はあるかも知れない。だから、何段にも構えておかねば
ならない。全員を殺して最後の一人になることが最も生存確率が高いだろうと計算はしたものの、
これはあくまで現時点での話であって、今後状況が変わったり情報が増えたりすればこの結果はい
くらでも変わりうる。その変化に対応できるよう、手変わりの余地を残しつつ進めるべきだ。もし
万が一の事態が起こったとしても、殺人者の悪名は自分に降りかかることはないようにするなどの
工夫は怠るべきではない。
しかしそれでもなお、ほかに取りえる道はあるかも知れない。だから、何段にも構えておかねば
ならない。全員を殺して最後の一人になることが最も生存確率が高いだろうと計算はしたものの、
これはあくまで現時点での話であって、今後状況が変わったり情報が増えたりすればこの結果はい
くらでも変わりうる。その変化に対応できるよう、手変わりの余地を残しつつ進めるべきだ。もし
万が一の事態が起こったとしても、殺人者の悪名は自分に降りかかることはないようにするなどの
工夫は怠るべきではない。
そう。山猫は冷静だ。
自分は先ほど、ソリッド・スネークの名を騙った。今後もこの手で行くことにしよう。
「私の……いや、俺の名は……ソリッド・スネーク……いや、違うな」
名乗りに違和感を覚えて、男は小さく首を振る。
「俺は……ソリッド・スネークと呼ばれている。いや……」
ぶつぶつと、小声で何度も名乗りを繰り返した。頭をフル回転させて、ある男について叩き込ん
だデータを総動員して考える。あの男はどういう性格なのか? 外面的に知っている情報だけでな
く、その生い立ちや経歴からの推測まで交えて考えに考える。
「名前が必要だと思ったことはない。……任務では、スネークと呼ばれていた」
低く、小さく呟く。その声は、さきほどまでのややしわがれた老人の声から、低く張りのある声
に変わっている。
強烈な自己暗示。それは男が知らず知らずのうちに持っていた才能であり、彼を優秀なスパイた
らしめていた最高の能力であった。
集中するあまり頭の毛細血管が切れたのだろうか、その目から真っ赤な血涙が垂れた。その姿は、
かつてとある特殊部隊の一員であったソ連出身の霊媒師の男によく似ていたが、それは男には知る
由もない話ではあった。
自分は先ほど、ソリッド・スネークの名を騙った。今後もこの手で行くことにしよう。
「私の……いや、俺の名は……ソリッド・スネーク……いや、違うな」
名乗りに違和感を覚えて、男は小さく首を振る。
「俺は……ソリッド・スネークと呼ばれている。いや……」
ぶつぶつと、小声で何度も名乗りを繰り返した。頭をフル回転させて、ある男について叩き込ん
だデータを総動員して考える。あの男はどういう性格なのか? 外面的に知っている情報だけでな
く、その生い立ちや経歴からの推測まで交えて考えに考える。
「名前が必要だと思ったことはない。……任務では、スネークと呼ばれていた」
低く、小さく呟く。その声は、さきほどまでのややしわがれた老人の声から、低く張りのある声
に変わっている。
強烈な自己暗示。それは男が知らず知らずのうちに持っていた才能であり、彼を優秀なスパイた
らしめていた最高の能力であった。
集中するあまり頭の毛細血管が切れたのだろうか、その目から真っ赤な血涙が垂れた。その姿は、
かつてとある特殊部隊の一員であったソ連出身の霊媒師の男によく似ていたが、それは男には知る
由もない話ではあった。
垂れる血涙を、手のひらで拭う。その手は、足元の土くれをひとつ拾い上げ、握りつぶしてごし
ごしと擦って落とした。土埃が付着したのは許せないが、荒野を抜けて草原地帯になったら草で擦
ればいいだろう。
「……待たせたな」
男はそう一言呟き、周囲を警戒するように眺めると、少し背をかがめながらゆっくりと歩き出し
た。
リボルバー・オセロットはもういない。ここにいるのは、ソリッド・スネークだ。
ごしと擦って落とした。土埃が付着したのは許せないが、荒野を抜けて草原地帯になったら草で擦
ればいいだろう。
「……待たせたな」
男はそう一言呟き、周囲を警戒するように眺めると、少し背をかがめながらゆっくりと歩き出し
た。
リボルバー・オセロットはもういない。ここにいるのは、ソリッド・スネークだ。
そう。山猫は……蛇への擬態を好む。
【リボルバー・オセロット@メタルギアシリーズ】
[状態]健康・スネークに『擬態』中
[装備]デザートイーグル7/7+1発@メタルギアソリッド ステルス迷彩@メタルギアソリッド
[道具]支給品一式 マガジン×2(残り13発)
[思考・状況]基本方針:緊張を楽しみながら優勝、ただし生存が最優先であり方針転換も視野に入
れる
[状態]健康・スネークに『擬態』中
[装備]デザートイーグル7/7+1発@メタルギアソリッド ステルス迷彩@メタルギアソリッド
[道具]支給品一式 マガジン×2(残り13発)
[思考・状況]基本方針:緊張を楽しみながら優勝、ただし生存が最優先であり方針転換も視野に入
れる
※咲夜は死んだと思っています。
※咲夜の能力を瞬間移動またはそれに類する何かだと思っています。
※参戦時期は少なくともリキッドの腕を移植した後ですが、右腕は本人の腕です。
※咲夜の能力を瞬間移動またはそれに類する何かだと思っています。
※参戦時期は少なくともリキッドの腕を移植した後ですが、右腕は本人の腕です。
ステルス迷彩(光学迷彩)について補足;
持ち運べる程度の大きさの装置で、腰や肩のあたりに装着して使用。
使っている間、姿が見えなくなる(ただし熱源感知ゴーグルなどの、肉眼に頼らない方法では見える)。
体だけでなく、メガネやバンダナ、手に持った武器など、身に付けているものすべてに効果がある。
ただしダメージを食らったり、なにかにぶつかったりすると、強制的に解除になる。
今回オリジナルの制限として「使用時間は10分のみ」「一度使うと3時間使えない」条件がついている。
持ち運べる程度の大きさの装置で、腰や肩のあたりに装着して使用。
使っている間、姿が見えなくなる(ただし熱源感知ゴーグルなどの、肉眼に頼らない方法では見える)。
体だけでなく、メガネやバンダナ、手に持った武器など、身に付けているものすべてに効果がある。
ただしダメージを食らったり、なにかにぶつかったりすると、強制的に解除になる。
今回オリジナルの制限として「使用時間は10分のみ」「一度使うと3時間使えない」条件がついている。
『擬態』について:
自己暗示によって他人になりきる特技。思い込みが強ければ本人に完全になりきることも可能。
ただし現状では、声の変化も「よく似ている物真似」程度、格闘技術なども劣化コピーが限度。
かかりが甘いぶん、いつでも自在に解除できる。
自己暗示によって他人になりきる特技。思い込みが強ければ本人に完全になりきることも可能。
ただし現状では、声の変化も「よく似ている物真似」程度、格闘技術なども劣化コピーが限度。
かかりが甘いぶん、いつでも自在に解除できる。