27 雷鳴、轟く - 画像レスラー@ ウィキ(跡地)

第二十七話　雷鳴、轟く

たから「返して、と言っても素直に返してくれないのでしょうね」
鞠也「分ってんじゃねーか、犬耳のねーちゃん。もちろん俺達を倒せたらな！」
杏子「だったら勝てば良いんだろ！」
エレキステイツ「そうはさせるかー！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘー
杏子「ぐはっ！」
しゃも「杏子！」
外郎「おらおらー！」
羊羹「おらおらー！」
杏子「くっ！」
ころね「ザ・ミスト」

　ころねの放った霧が、外郎と羊羹の視界を奪う。
　その隙を狙い、ころねは杏子を救出した。

杏子「ありがとう、ころねさん」
ころね「礼には及びません」
杏子「力が…出しきれない。何故だ…？」
たから「…」
杏子「太陽神、アポロ！」
ガイア「アースクエイク！」
杏子（化身）「うわー！」
孔明「…あの娘」
杏子「くっそ、何故だ！　何故思うように体が動かないんだ！」
孔明「力強さの中に危うさがある。面白い娘」
鞠也「この程度の連中にエルドラドのとしあき共は手を焼いてたのか。あるいはプロトコル何とかの連中が弱かったのか…」
杏子「くそっ一体どうなってやがんだ…」
たから「不味いわね」
エヴァ「どうした、冴木殿」
たから「昔の私と同じよ。好きな人が奪われた事のショックが、彼女の中で渦巻いている。気丈に振る舞ってはいても、その迷いが、彼女の動きを鈍らせている」
杏子「…ごめん、皆。折角皆を助けるために来たのに…こんなんじゃ足手まといだ」
ネロ「杏子…」
たから「杏子さん。私も昔はそうだった。でも立ち止ったままでは何も変わらない。何も救えない。例え躓いても、ここにはそれを支える皆が居るでしょう？」
杏子「たからさん…」
超太郎「杏子なら乗り越えられるさ！」
カズキ「杏子ちゃんが本調子になるまで、俺達全員で支えるぞ！」
しゃも「頑張るのよ！　杏子！」
まとい「ファイトです、杏子さん！」
杏子「皆…」
真紅「勝負はまだこれからだ。巻き返して行こうぜ！」
皆「おー！」
鞠也「ふっ。やってみろ！」
たから「パトリオットミサイルキック！」ﾄﾞｶｰﾝ
杏子「うぉぉぉ！」
ゼロ「させるか！　ブーメランフェイｎ」
真紅「ミキシトランス、ティラノ！」

　頭のパーツを投げ飛ばそうとしたゼロへ、ティラノの力を発動した真紅が邪魔に入った。

真紅（ティラノ）「行け、杏子！」
杏子「太陽神アポロ！　サンシャインフォース！」
ブラックコンドル「サンドカッター！」

　小さな太陽を、ブラックコンドルが放った黒い砂鉄の戦輪が切り裂いた。

杏子「まだまだ！」

　しかし化身の連続使用によって彼女は疲弊し、その場で脚をついてしまう。

鞠也「あっけない奴だ。とどめといこうか」
杏子「まだだ…まだあたしは負けるわけにはいかねーんだよ…うぉぉぉ！」

　杏子の叫びが天に轟く。
　刹那。
　龍の咆哮が孔明の園すべてに響き渡った。

鞠也「何だぁ！？」

　紫色の光。
　その場にいた全員が光が放たれた方へと顔を向けた。
　白い巨大な龍が、そこにはいた。金色の翼と、青き宝玉を持った神々しい龍である。

劉備「やはり孔明は龍だったか！」
大阪「ちゃうんねん。あれは…」
劉備「うん？」
孔明（化身）「…」
大阪「あれは化身。人の強い想いや心が形となって現れたものやねん」
劉備「なるほど」
関羽「さっぱり」
張飛「分からん」

　龍は再び咆哮する。
　体をくねらせ、まっすぐ杏子へと向かう。

杏子「！？」

　杏子の体は龍の大きな口に呑み込まれた。
　龍は紫色の光となって彼女の体を包み込む。

たから「杏子さん！」

　光が晴れると、そこには姿を変えた杏子が立っていた。
　紫色の髪に、丸みを帯びた髪型、気品と知性溢れる姿だった。

カロメ「ミキシマックガンなしで合体っ！？」
メロン「まさか…強制ミキシマックス！？　そんな事が出来るとは…信じられん」
孔明「…フフッ」
杏子（孔明）「これがミキシマックスか…化身とは違う、内側から力がみなぎってくるようだ」
孔明「その力をどう使うか。それはあなた次第！」ﾋﾞｼｯ
杏子（孔明）「はい！　この力、皆のため、あたし達の勝利のために使わせてもらいます！」
鞠也「面白い！　その力試させてもらうぜ…ミキシトランス、曹操！　剛力の玄武！」
杏子（孔明）「はぁぁぁ…蒼天の覇者、玉龍！」

　杏子の背中に、己を呑み込んだ龍が出現した。

杏子（孔明-化身）「テンペスト！」

　相手が災害と言うのなら、こちらは自然の猛威だ。
　龍の咆哮と共に、風が吹き荒れ稲光が起こり、周囲の地面を削り取る。
　鞠也をその化身ごと払いのけ、杏子は敵陣深く乗り込んで化身を解除する。

杏子（孔明）「このまま一気に攻めるぜ！」

　杏子の足元の地面が大きく隆起し、彼女を空へと持ち上げる。
　振り上げた左手に呼応するかのように雲が渦を巻いて集まり、青空を黒く染めていく。
　彼女はせり上がった地面を蹴って、更なる高みへと舞い上がった。

杏子（孔明）「轟けぇ！」

　杏子が雲に突入すると同時に、雷光が鳴り響く。
　雷が暴れ狂う中、杏子が雲を切り裂いて現れ、そのまま地面へとまっさかさまに落ちていく。
　その右手に握られた槍に、青い雷を纏わせながら。

杏子（孔明）「天地雷鳴！」

　勢いのまま、杏子は槍を投げつけた。
　青い雷の槍は杏子を押し上げた土を砕き、弧を描いて地上へと降り注ぐ。

ブラックコンドル「サンドカッター！」

　砂鉄の戦輪を放つが、雷の前では全くの無意味である。
　青い雷の槍は砂の戦輪を粉砕し、そのままブラックコンドルやマリーヤ・ドメイン達に向けて自らの体を解放した。

マリーヤ・ドメンの皆「うわぁー！」
ネロ「やったね、杏子！」
たから「見違えるような動きだったわね」
真紅（諸葛孔明は杏子に足りないものが分かっていた。だから、力を貸したんだな）
劉備「素晴らしい動きだったぞ、杏子！　孔明、力を貸してくれて礼を言う」
杏子「ありがとうございました！」
孔明「別にあなたのためではありません。降りかかる火の粉を払うために、あなたを利用したまで…私の力をもっとも効果的に使えると思ったので」
張飛「なんだと！」
関羽「まだ品定めが終わっていないということか」
劉備「まぁ結果的に助かったから良いじゃないか」
杏子「そうですね」
劉備「よし、このまま流れに乗って勝つぞ！」
皆「はい！」
鞠也（…これが歴史上最高の軍師と言われた孔明の、赤壁の戦いで見せたという嵐を呼ぶ力か…）
杏子「ミキシトランス、孔明！」
ゴーカイシルバー「うぉぉぉ！　負けないっすよー！」
杏子（孔明）「まとい、奴をいかせるな！」
まとい「はい！　ハンターズネット！」

　両手を交差するように振るうと、まるで獲物を捕らえるかのような光のネットが出来上がった。
　真正面からぶつかったゴーカイシルバーの進軍を防ぐ。

杏子（孔明）「今だ、ころねさん！」
ころね「バリスタショット！」

　ころねの背中に巨大な弩が出現する。
　その弩に乗り上がり、ころねは強烈な光のエネルギー矢を敵に狙いをつけて発射した。

ブラックコンドル「サンドｋ…うわぁー！」

　長距離から狙い撃ちされたその光に防御が間に合わず、ブラックコンドルは吹き飛ばされた。

真紅「さすが孔明の力を受けた杏子。的確な指示だな」
鞠也「ふん…なら、俺の本当の力を見せてやる」
しゃも「！？　何をする気なのよ！？」
鞠也「来い、剣王モモタロス！」

　鞠也の背中に、赤い鬼のような化身が出現する。
　剣王の名にふさわしく、禍々しい赤い剣を持っていた。

たから「な！？」
真紅「にぃ！？」
鞠也「これが俺本来の化身だ！　アームド！」

　化身アームドした鞠也は黒いアンダーウェアに、赤と銀の鎧を身に纏った姿だった。
　ほかのアームドとは違い、頭をすっぽりと覆うヘルメットをかぶっており、割れた桃のようなフォルムであった。

鞠也（アームド）「俺の必殺技パート２！」ｴｸｽﾄﾘｰﾑｽﾗｯｼｭ

　鞠也は機械のデバイスのような剣を出現させ、大きくそれを振りかぶった。
　切っ先から離れた赤い光や刃となって、レスラーズへと襲い掛かる。
超太郎「うぉぉぉ！　バキシム・ザ・ハンド！」

　超太郎の放った炎をいとも簡単に切り裂き、赤い刃の光は彼をも吹き飛ばす。
　勢いは止まらない。赤い刃の光はレスラーズ全員へにダメージを与えた。

鞠也「見たか、見たな？　俺の必殺技を！」

　あまりにいも強大なパワーに、レスラーズは全く歯が立たなかった。
　それでも、痛みに顔を歪ませながらも、ゆっくりと彼女たちは立ち上がる。
　奪われたものを取り戻すために、彼女達は諦めない。

（続く）

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