ファイナルファイト

ジャンル ベルトスクロールアクション

©CAPCOM CO., LTD. 2021
発売機種 アーケード
発売元 CAPCOM
発売日 1989年12月14日
分類 時代を築いた作品
独自の世界観

概要

1989年にカプコンから販売されたベルトスクロールアクションゲーム。
コーディ、ガイ、ハガーのそれぞれ能力に個性のあるキャラクターを選択して
メトロシティを暴力で支配する犯罪組織「マッドギア」を壊滅する戦いに赴く。

それまでダブルドラゴンタイプと呼ばれているジャンルの一作として発売された。
ありふれたタイプのゲームではあったため当初から大きな注目を浴びていた訳ではなかったが、
同ジャンルの中でも抜群に軽快な操作性と巨大かつ大勢で動き回る迫力のキャラクター、
シューティングゲームのボンバーやメガクラッシュと呼ばれる物に近い、
少量のライフと引き換えに危機を脱する「必殺技」の導入などで独特な戦略を生み出し、
たちまちジャンルの代表作のポジションで呼ばれる大ヒット作品*1になっていった。
当初ストリートファイターシリーズの一つとして作成されたため、
制作スタッフは後のストリートファイター2などと重なりが多く、
キャラクターも以降のシリーズで相互に出演している事がある。

大きな特徴の一つとして、それまでのベルトスクロール作品にはあまり登場しなかった回復アイテムが頻繁に登場する。
その分敵の攻撃も激しいのでまったく簡単な作品ではないのだが、
この回復アイテムによってライフ消費の必殺技も遠慮なく使う事が可能になり、
もう少しで死にそうな状況でも、次の回復まで生き延びようという緊張感とモチベーションを生み出している。

敵のライフゲージが可視化された所も大きな特徴であり、これによって
大勢で敵が襲ってきても一気に体力を奪っていく所が視覚的に見えるため、
作品の爽快感や状況判断の助けになっている。
それまでのベルトアクションはライフの詳細をやや不明瞭にする習慣もあったため、
ドット単位で把握できる視認性の良いライフゲージは画期的だった。
またこれに伴い、従来ライフ0でもダウンするまでは延命されるシステムが多かった同ジャンルにおいて、
今作以降はライフが0になった瞬間に自動的にダウンしてミスする方式が主流となった。
この黄色と赤を主体にしたライフゲージのデザインはストリートファイター2でも採用され
他社の類似ジャンル作品もこれに倣う物が多かった。
またベルトアクションに付き物であった落下すると即死の罠も本作にはなく、
この点も後の同ジャンルでは主流となった。

プレイスタイル

今作は魔界村シリーズなどでも知られるカプコンの作品だけあって、非常に難しい。
特にアーケード版はデフォルトで残機が1、エクステンドは1回のみ、
敵は最大10匹も画面に出るため、そのままでは常人に手が届くような難易度ではなかった。
ではなぜ気軽に遊ばれる人気作になったのか?
それは難易度をぶっちぎる力技がいくつかあったのである。
  • その1 連コイン
今作の正当派のプレイスタイル。
他のアーケード作品にも見られるように、今作はコイン投入でコンティニューが可能。
なおかつその場復活なので、湯水のごとく金を投入すればいつかはクリアできる。
二人プレイも可能なので、グループでわいわい回しプレイをするような遊び方も流行した。
当時のアーケード作品はしばしばラストステージだけコンティニュー不可能という
クリアを阻む鬼のような罠が仕掛けられる物もあったが、今作はそんな事もなく
お金の力でクリアを保証してくれるのも課金勢に人気の要素だったと言える。
またミスをしてもパワーダウンなどもなく、体力が戻れば必殺技にも使えるので
連コインと相性が良かったのである。
  • その2 パンチはめ
今作の操作性の軽快さを悪用したテクニック。
敵にパンチを当てた時ののけぞりモーション中に
こちらがパンチを一発余分に放つだけの猶予があるため、
振り向きを入れて一発空振りを入れる事で連続技が初期化され、
相手をダウンさせるフィニッシュ技を出さずにいつまでも殴れてしまう。
技が一発入れば勝ち確定になるので明らかにずるい技なのだが
対戦ゲームではない本作ではテクニックの一つとして許容され、
ピンチの時だけ使うなどの自分でつまらなくならない程度に
加減できる要素として上手く機能していたようである。
ダウンしない分時間も速くなるのでRTAでも必須のテクニック。
人気作として極められたゲームなので今日では
ハメなんかなくてもクリアできる猛者は珍しくないが、
いきなり狙うには結構なスーパープレイの領域であるため、
気軽に1コインを狙える入口のテクニックとして役に立っていた。

移植版

メジャーなバージョンとしては原作の他にスーパーファミコンメガCD
ゲームボーイアドバンスへの移植版があり、それぞれ内容が異なる。
また初期の移植では作中の事件が起きた年度が作品の発売年に合わせて変更されている。
PS2でようやく原作の仕様を再現した移植版がカプコンクラシックスコレクションに収録された。
これとは別にファミリーコンピュータでキャラクターをデフォルメ化した
アレンジ派生作のマイティファイナルファイトが登場している。

スーパーファミコン

最初に出た移植。同機種の最初期の作品のため知名度も高い。
性能の問題から使用キャラからガイが削除、ステージ4が削除、同時登場敵数が3体まで、
エリア間の移動デモがカットという見た目に分かりやすい削減要素が多かったため、
物足りない移植という見方も少なくはなかったが、
入手のしやすさと、後の移植にもまた別の問題があった事から
長らく同作の家庭版としては主要な位置を占める事となった。
ゲーム性としては敵の数の削減に伴って大きな再調整があり、
アーケード版より攻撃力や判定の強力な敵が登場している。
特にベイエリアのボスであるアビゲイルは火力と判定の強化が凄まじく、
明らかにアーケード版より凶悪になっている。
また敵の数を減らしているにも関わらず、オブジェクトの多い場面ではやはり大きく処理落ちしてしまい、
ボタン入力のフレームに重なるとその入力がスキップされてしまう事がある。
後にコーディを削除キャラのガイに差し替えた「ファイナルファイト・ガイ」も発売された。
こちらはプログラム技術の改善から処理落ちが緩和され、
アーケード版にないアイテムが加わったり、難易度変更で敵の構成やEDが変化する要素が加わった。
また選択キャラの関係から、ガイの火力もコーディに見劣りしない性能になっている。

メガCD

93年に登場。SFC版でカットされた要素をほぼ再現した事を売りにしていた。
敵の同時出現数もSFC版より多い4体になった。
フルボイスによるOPデモや新規ステージによるオリジナルモードも用意されている。
しかしパンチの連射速度が遅かったり、武器や投げのグラフィック同期がずれるなど
アクション部分の挙動に大幅な違いがあり、
結果としてSFC版のレスポンスの良さを再確認させる引き立て役にもなってしまった。
動作再現の低さの考察として、メガCDのVRAM転送の遅さに原因を求める意見もある*2

ゲームボーイアドバンス

メガCD版と同じく、SFCで削除された要素の再現を売りの一つにしている。
実際の挙動としてはSFC版の内容にAC版の要素を再追加したような形になっており、
SFCのアップグレード版という形に近く、うっかり完全移植と表現すると
アーケード版をやり込んだ兵からツッコミが飛んでくる作品となっている。
敵の同時出現数は難易度で異なり、最大6体。
敵を倒した累計数で追加要素が解禁されるシステムがあり、
能力や判定が強化されたストZERO版のコーディとガイが使用できる。
BGMやキャライラストは大幅アレンジされ、ボス前に会話デモが追加されている。
ステージごとに自動セーブがあり、電源を切ってもそのステージから再開できる。
解像度の都合で画面は狭い。

続編

スーパーファミコンでオリジナル続編ファイナルファイト2ファイナルファイト タフの二作、
アーケードとセガサターンに対戦格闘ゲームファイナルファイト リベンジとして一作の続編が登場。
しかしいずれも人気を博したとは言い難く、ベルトスクロールの続編は成功しないというジンクスに貢献してしまっている。
ただしカプコンからファイナルファイトの名を冠していない名作ベルトスクロールはアーケード市場を中心に
多数発売されており、それらが人気やシステムの面で今作の影響下にある事は間違いがない。

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最終更新:2022年08月30日 23:00

*1 対象年のゲーメスト対象で1位を獲得している。

*2 http://mytdeco.livedoor.blog/archives/2001859.html