ファイナルファイト2

【ふぁいなるふぁいとつー】
ジャンル ベルトスクロールアクション

©CAPCOM CO., LTD. 1993
発売機種 スーパーファミコン
発売元 CAPCOM
発売日 1993年5月22日
分類 起伏の緩い作品
惜しまれる作品

概要

カプコンから発売されたベルトアクションゲーム。
アーケード原作作品として大ヒットしたファイナルファイトの続編として、
スーパーファミコン専用のオリジナルタイトルとして発売された。

特徴

前作のヒットに続いて関連作のストリートファイター2
大ブームを巻き起こした熱狂が冷めやらない中での新作発表であったため、
ゲーム専門誌等では大スクープの目玉作品として大きく報じられた*1

グラフィックはスーパーファミコンの性能を活かした華やかな色使いや立体感のある表現に進化し、
さらには前作で省略された二人同時プレイ、新キャラを含めた三人からのキャラ選択、
ステージ間デモも再現されたため、まさに前作の移植に物足りなかったファンに向けた
完全版ファイナルファイトを予感させる内容であった。
……ただし、発売前までは。

仕様や発売前の画面写真などに嘘があった訳ではないのだが
期待に胸を膨らませて遊んでみると、どういう訳か、あまり面白くないのである。
人気作の続編として出荷数も多かったと思われるため、
暫くすると投げ売りをされていた、という証言が
ちらほら聞かれる状況になってしまっていた*2

しかし、分かりやすい欠点があるかと言えばそうではなく、
報じられていたゲーム内容には、本当に嘘はないのである。
そのためインターネットが普及してからも
なんとなく失敗作として扱われつつもその理由などについては
「上手く言えないけどなぜか面白くない」などといった
煮え切らない言葉で表現されがちな作品であった。
ゲームシステムは前作とほとんど違いがなく、理屈としては
前作の不満を解決してパワーアップしていた筈だったのに、である。
では、ファイナルファイト2の一体、何が悪かったのだろうか。
ここでは仮説や考察を含めて述べる。
  • 効果音が軽い
本作では打撃の効果音がアタック感、重厚感のいずれもなく、
まるでボール紙でも殴ったかのように非常に軽い
これは前作と聞き比べるとすぐに分かる、一目瞭然の違いである。
誰が聞いても分かる大きな違いであるため、
本作の面白くなさの要員としては筆頭に挙げられやすい要素でもある。
ただし音だけ変えれば面白くなるか、というのも疑問があるため、
本質的な問題だったかどうかは判断の分かれる所でもある。
また本作ほど極端ではないものの、効果音の軽さの問題は
移植版のスーパーストリートファイター2でも指摘が見られる、
SFC後期カプコン作品に見られる傾向でもある。
  • ダメージ設定が単調
今作では敵味方ともに火力が下げられ、難易度が低下した一方で
爽快感のなさに寄与しているのではないかと言われている。
また掴み技の威力が打撃と同程度に下がってしまい、
投げ技も体力の高い敵への補正が無くなってしまったため、
体力の高い敵から一気に大ダメージを取る方法に乏しく、
その威力の低さたるや、スクリューパイルドライバーですら
体力ゲージの1/7程度しか減らせないという有様である。
そのため終始パンチハメをしているほうが有利という、
戦法の単調さを生み出してしまっている。
  • キャラクターの作りの雑さ
前作からプレイヤーキャラの内二人が入れ替わったが、いずれも日系の忍者風キャラ。
色物を揃えた形になってしまい、正当派がいない。
またどちらもフィニッシュ技が蹴りであったり、
メガクラッシュが地面で回転する物であるなど、
動きが全体に大雑把で落ち着きのない物になっている。
モーションの作りも粗っぽく、移動は妙に早い動作でスタスタ歩き、
技もけり上げのモーションがほとんど一枚絵であるなどの
予備動作がほとんど感じられない物になっている。
また前作から続投のハガー市長およびコーディの代替キャラである
カルロス宮本は投げ技が後ろに大きくのけぞる間延びした動作になってしまい、
次々に投げて行く戦法が取りづらくなっている。
  • ステージ構成が盛り上がりに欠ける
設定上は世界を駆け巡る事になっているが、
登場する敵キャラが共通なため実感がない。
ヴェネチアと日本を除くと一目でその国と分かる要素も少ない。
この設定によって前作のようなステージの地続き感もなく、
一面と最終ステージで文字によるシナリオモノローグを挟むなど
演出として細切れ感とちぐはぐさを生んでしまっている。
最終ステージが日本である事も、既に忍者キャラがメインで登場しているため、
意外性というよりは悪い意味で予想の範囲内になってしまっている。
  • 敵のルーチンの単調さ
前作では緩急をつけて間合いを外すJや弧を描くように
接近するポイズンなど細かな動作が設定されていたが、
今作の敵は基本的に八方向移動と停止の組み合わせでしか移動せず、
暫く立ち止まって接近などといった単調な動きしかしてこない。
これは女性型キャラのマリーとポイズンを比較すると分かりやすい。
突撃系の特殊技などを除くとだいたい同じ軌道で歩いてくる敵を
迎撃待ちするという単調な展開になってしまいやすい。

─これらの事から、画面写真では一見面白そうなのに
実際やってみるとその原因が一発では掴めないものの
全体的になんとも煮え切らない内容になってしまっている。
ただどんなゲームが面白いかは人それぞれなので
前作を攻略の繊細さを味わうほどやり込んでいないような人などは
大雑把に遊べる2のほうが楽しいという事もあるようである。
また裏技で二人同時ハガー市長でプレイという事も可能なので
一発ネタプレイ的な楽しみ方もできなくはない。

BGM

今作はBGMの評価もなかなか難しい。楽曲自体は単品で効く分には悪くなく、
ノリの良い物やブルージーな物など、生演奏にも向きそうなお洒落な曲もあるのだが、
やはり後期カプコンの悪い音遣いの影響を受けており、音の細さを誤魔化すため
コーラス強めの音色に残響音エフェクトがたっぷり乗っているため、
効果音も含めて全体的にガビガビしたような音色になってしまっている。
前作がリズム隊やベースを中心に緊迫感を盛り上げていたのに対して
この微妙に聞き疲れしやすい音使いも本作のなんとなくやり込んで
遊ばれにくい雰囲気に貢献してしまっているのかもしれない。

余談

ゲームカタログでは以前は全会一致でクソゲーのような極端な事が書いてあったのだが、
移転時あたりに問題もあるけどいいゲームだよ、みたいなあやふやな内容に書き直されている。
今作は単にクソゲーかどうかよりも、期待感やSSで見た時の面白そうさとプレイした時の
あれ、仕様上は面白い筈なのになんだろうこの味のないガムのような感覚は……
という言葉にならないもどかしさこそが肝なのだが、そういった哀愁や機微もなく
袋叩きか無罪かの二極しかないゲームカタログのくだらなさをよく現している記事になっている。
また擁護のふりをしていながら、2017年あたりまで叩き時代に書かれていた
前作よりキャラクターが小さくなったという、さほど確認困難でないデマが書かれたままであった。
ようするに内容は確かめずに、なんとなく中立ぶるために形だけ褒めていたのである。

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  • 1993年
最終更新:2022年08月30日 23:01

*1 発売直後には16ページもの特集が組まれていた。https://twitter.com/ryo_redcyclone/status/1140631317484150787

*2 年内に960円で売られていた例。https://twitter.com/gt198x/status/524767302269403136