ザ・ニンジャウォーリアーズアゲイン

【ざ・にんじゃうぉーりあーずあげいん】
ジャンル ニンジャ体術アクション※

© TAITO CORPORATION 1994
ALL RIGHTS RESERVED.
発売機種 スーパーファミコン
12メガビットROMカセット
発売元 TAITO
発売日 1994年1月28日
分類 堅実な作りの作品
独自の世界観
※「ワンスアゲイン」による公式表記。

概要

タイトーから発売されたスーパーファミコン用ソフト。
アーケードで稼働していた三画面筐体作品「ニンジャウォーリアーズ」のアレンジ移植作品。
独裁者バングラーを暗殺するため、革命軍の開発した三体の忍者型アンドロイドが戦場を駆ける。

1988年に稼働した原作から6年ぶりに発売された新作。
開発を担当していたのは奇々怪々など他の同社作品リメイクも担当していたナツメ。
今作は原作から大きく時間が経っていた事もあり、ゲーム内容をほとんど刷新した新作に近い内容となった。

プレイ人数は1人用専用となり、これに伴いほぼ同性能の2P用キャラクターであった「ニンジャ」が
重量級キャラとして大幅に性能を変更されたほか、新キャラクターの「カマイタチ」が追加され、
原作から引き続き登場する「クノイチ」と合わせ3人から選択する方式となった。

最も大きな変更点は、横視点のままシステムがベルトスクロール寄りに変更され、
連続技や投げ、ダウンなどの格闘系作品のようなシステム体系が導入された。
ステージ構成やボスなども一新され、原作よりも長い全8ステージ構成となった。

これらの変更の中で特に思い切った要素として、原作の大きな特徴であった
「三味線によるサンプリングサウンド」「被弾した時に機械の骨格が露出する」
という最も知られていた演出をばっさり省略してしまった事が挙げられる。
三画面が再現できない事は仕方がないとしても、同作の大きなアイデンティティを
切り捨てた事は、今作におけるリメイクの方向性を指し示す象徴的な要素であった。

これらの変更点から原作ファンに不評であったとする説もまことしやかに聞かれる作品であるが、
原作から時間が離れすぎていた事や、発売時には既に人気のジャンルではなかった事、
ベルトスクロール作品の主戦場はアーケードであった事などから専門誌での取り扱いも小さく、
実際に叩かれている場面を見つけにくい、そもそも知名度の低い作品というのが実態に近そうである。
その反面でネット上では、ナツメが品質のよいリメイクを行なう事が知られていた事や
老舗のゲームレビューサイトに比較的早期から賞賛する内容で取り上げられていた事*1などから
通の好む隠れた名作というような扱いで語られる二面性を持つ作品でもあった。
それでは、ニンジャウォーリアーズアゲインの魅力とは一体、どのような物だったのか?

基本システム

Yボタンで攻撃、押しっぱなしでガード、ガード中にジャンプで回転ジャンプという点は原作と変わらない。
これに加えて、連続打撃でフィニッシュ技に繋がるコンボ、掴みまたは打撃からの派生による投げ技が追加された。
加えて時間経過によって溜まるブラスターゲージを使ったメガクラッシュと特殊技が実装されている。
原作にあった苦無(クノイチの通常攻撃)を振りながらの移動、消費技の手裏剣は削除されている。

特徴

原作のみならず当時のベルトスクロール作品の中でも
今作のキャラクターの癖はだいぶ強いほうであると思われる。
パワー、スピード、バランスの3タイプから選択できる点はファイナルファイトと同じであるが、
今作ではパワータイプ「ニンジャ」はジャンプもまともにできない、
スピードタイプ「カマイタチ」は掴みモーションがなく、打撃によって投げるなど
操作システム自体が変わってしまう事によって攻略スタイルが丸々一辺してしまう。
キャラによってボス相性も大きく異なり、各々に戦略を考える必要が出てくる。
ボスキャラクターも全てのステージで新規のボスが用意され、
巨大ロボットから機敏な忍者の棟梁、人造生命体などの個性的なキャラクターを付けられている。

練られたシステム

ベルトスクロールはややもすると敵を単調に殴るだけの内容にもなってしまいがちだが
今作では画面に登場する最大4匹の敵との間合いによって状況の有利不利が決まるため、
奥行きがない分、瞬時の状況判断によって切り抜け方を選択する緊張感を生んでいる。
初心者向けと思われる「カマイタチ」は火力が低めなかわりに判定がかなり強力なため、
適当にぶんぶん攻撃をしていてもかなり先まで進める反面、
機動力はあるけれど射程の短い「クノイチ」や、敵をまとめてなぎ倒す投げを持つかわりに
敵を飛び越えるなどのアクションを取れない「ニンジャ」では
どの敵に優先して対応するかといった瞬間的な判断が重要となる。
コンティニューが無制限のため難易度としてはそれほど高い物ではないが、
慣れてくるとノーコンティニュークリアを目指すなどの目標も設定しやすく、
1人用作品ながら繰り返しプレイでのテクニックの上達が見えやすい作品でもある。
なおエンディングはキャラクターやコンティニュー数、難易度設定に関わらず同じ物である。

演出

ボス撃破時に撃破ジングルと共にストップモーションが掛かる演出が非常に凝っている。
このシーンでフィニッシュ技などのポーズを決める事は本作プレイの楽しみの一つであり、
逆にしょぼい技で決めてしまうと結構がっかりしてしまうため、次こそはかっこよく決めるぞ、と
攻略と関係ない所でその気にさせてしまう仕掛けになっている。

音楽

BGMは全て完全新規の内容に書き直されている。
ボスBGMはステージ曲のアレンジが用意され、道中を含めて全てのステージに専用曲が用意されている。
原作がとにかくBGMの有名な作品であったため、インパクトの強さでは勝負にならないが、
全体としてゲームの雰囲気を壊さず、それでいて曲単体としても十分に聴きごたえのある、
ゲームミュージックとして優等生とも言えるお洒落な曲や哀愁のある曲が多い。

気になる点

ネット上ではベタ褒めされる事の多い作品でもあるが、
マイナー作品として下駄を履いている部分もあり、有名作と比べると見劣りする部分も少なくはない。
  • 今作は性能に限りがある家庭用での発売である事に加えて、容量が12メガという当時としてもあまり多いとは言えない容量で発売されていた*2
    • このためキャラの大きさやアニメーションの枚数は決して多いとは言えず、移動アニメーションは多関節で表現されていた原作より重厚さを欠き、勢いのある移動技でないと動作の粗さはどうしても目だってしまっていた。
      当時ベルトスクロールの主戦場が容量をふんだんに使った美麗アニメーションを競うアーケードが中心であった事から、今作は類似ジャンルと比較すると見た目に見劣りする物でもあった。
    • ゲーム性もコンティニュー連打でごり押しクリアが可能な内容であるため、特に繰り返してやり込まず、EDを見てすぐに売ってしまうようなプレイスタイルでは、グラフィックの見劣りする平凡以下のベルトアクションという印象に終わってしまいやすい作品でもある。
  • 当時のベルトアクションで標準的になっていた敵のライフゲージがボスを除いて実装されていない。このため古いベルトアクションのように敵の体力を感覚で覚える必要がある。
  • 敵味方問わずしゃがみ時に攻撃を食らうと、おそらくしゃがみ食らいモーションがない関係で即座にダウンしてしまう。
    わざとダウンして追撃を避ける戦法にも使えるものの、細かい頻度でダウンする事はゲームテンポに影響する。
  • 今作ではブラスター*3ゲージが満タンでない状態でダウンすると没収されてしまうため、ダウン時に逆転技も没収されるというストレスを感じやすい仕様になっている。
  • 血の色が緑で表現されていたり、ヒット音の派手さや打撃の連射性がそれほど高くないといった要素により、「一目で分かりやすい爽快感」という点でも比較的地味なほうの作品になっている。
  • 難易度はノーマルとハードの二通りがあるが、ハードは硬い敵が増える程度の違いしかなく、緊張感を増す事よりも爽快感を減らしてしまう場面が多い。

再リメイク

本作は決して有名とは言えない作品ではあったが、ネットを中心に堅実な作りが評価されていくうちに
いつのまにかプレミア価格で取引される作品の一つともなり、
2019年にはまさかの再リメイクである「ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン」が
本作に携わった同スタッフの手によって制作、発売された。
内容は本作のテイストやドット絵感を残しながら新規にビジュアルを書き直し、
更に極端な個性と戦略を持った新キャラ「ライデン」「ヤシャ」の追加、
ゲージ消費技を追加した事による新たなリソース戦略や攻撃手段の追加など、
本作の特徴的だった部分を更に押し進めたような内容になっている。
性能強化によりキャラクターバランスにも変化が見られ、扱いに慣れを要するテクニカルキャラであったニンジャが
強力な判定と威力を誇るゲージ技の追加によって、一転して初心者向けの暴れキャラに変貌している。

余談

ゲームカタログでは以前は「クソゲー扱いされやすい名作」などという
逆張りのふりをしてネット世論に忖度するような判定が付けられており、
今作が「俺だけが知っている名作」として自慢したくなる中二病をくすぐりやすい空気感が読み取れる。

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  • TAITO スーパーファミコン 横スクロールアクション ニンジャウォーリアーズ 忍者
最終更新:2022年08月21日 13:29

*1 まだ本作の情報が少ない時期から取り上げていたサイトとしてhttp://www.ne.jp/asahi/hzk/kommander/rvnwa.htmlが挙げられる。公式サイトがない頃はWikipediaにも参考サイトとして掲載されるなど、本作の「隠れた名作」扱いの形成に大きく関わっていると思われる。

*2 同時期作品であるファイアーエムブレム 紋章の謎の半分しかない

*3 時間で溜まるボンバーのような物