ネガティブハッピーチェーン◆PatdvIjTFg
「おい、おい、おい、おい」
召喚されたセイバーが現世に降り立って初めて見たものは、右手にカッターナイフを持ち、今まさに己の手首を掻き切らんとする少女だった。
捲られた長袖から覗かせる薄っすらとした白い肌には、スティグマのように幾つもの火傷の傷跡がある。
直径五ミリ程の円形の傷跡――現代知識を得たセイバーといえど、それが押し付けられた煙草の痕であることは彼の想像の範疇を超えている。
それでも、その傷跡が身体だけでなく心にも刻み込まれていることは、セイバーにもよく理解できた。
「……来ないで下さい……死にますよ」
ぼそぼそと必死で絞りだすかのように声を発する少女は、セイバーと目を合わせない。
ただ、俯いていた。その様は、どうしようもない天災がただ過ぎ去ることをひたすらに待ち続ける弱者を思わせた。
「いや、なんで死にたいのさ。まぁ、人を殺すぐらいなら自分で死を選ぶっていうのならわからないでもな――」
「……違います」
「え?」
「聖杯戦争とか関係なく、死のうと思ってました」
「じゃあ、理由ぐらい教えてくれてもいいじゃん、せっかくのパートナーってことになってるんだし」
「……多分」
少女が顔を上げる。
笑っていた。
卑屈で嘘臭くて、見るものを不安にさせるような、どうしようもない笑顔だった。
仮面を――被っている。
「理由をあなたに言える人間だったら、あたしは死のうとしてないんです」
ああ、とセイバーは心の中で首肯する。
自殺する人間の感情はわからない、
それでも――溜め込んだ感情を自分の中にだけ押さえ込めば、それが如何なる形であれ爆発することは理解できる。
セイバーは故郷を喪い、それでも新たな仲間を得ることが出来た。
己の敵である魔王は恋人を喪い、そしてそれ以外に彼には何もなかった。
だから、セイバーは最後まで勇者として戦い、魔王は――最早、魔族の王以外の何物でもない存在に成り果てた。
それ以外には何もなかった。
そして、目の前の少女は――死という形で己の感情を昇華しようとしている。
ああ――口惜しい。
心の底からセイバーは思う。
世界最高峰の剣技、勇者のみが扱える伝説の武具と魔法、そんなものは目の前の少女を救うための何の足しにはならない。
仲間である商人であれば、その長年の経験に裏打ちされた口の上手さとひょうきんさで何とか出来ただろうか。
仲間である占い師であれば、占い師として彼女の輝ける未来を指し示してやれただろうか。
だが、己には戦う術以外何もない。
焼け落ちた故郷とともに、灰になってしまった。
「だから、しょうがないことなんです」
「でも……俺は君に死なれると困る、だって……」
だから、正直に伝えるしかなかった。
「寂しいんだ」
ほんの少しだけ空気が緩んだような気がした。
虚を突かれたかのように、カッターナイフを弄ぶ少女の手が止まった。
「仲間の皆には魔王を倒してもするべきことがある、でも魔王を倒した勇者に……その後は無いんだ。
皆が皆、本来の日常に帰っていく……でも、俺は……俺には勇者以外……何もない。
皆良い奴なんだ、でも、俺は、見つけられなかった、仲間たちに胸を張れる勇者以外の自分を。
だから、俺は……一緒に歩いていたはずの仲間たちを、追いかけることすらやめたんだ」
「…………それで」
それは同じ弱さを持つ者同士の共鳴だったのだろうか、だからセイバーは少女に呼ばれたのだろうか。
わからない、それでもあの仲間たちとの出会いのように、これも運命のもたらした慈悲だと願いたい。
「もう一度、仲間が欲しい。
それは魔王を殺しに行くよりも血塗られた道程なのかもしれない、故郷を滅ぼされるよりも辛い呪いなのかもしれない、
それでも……俺は……天空の勇者、レイは……君と歩みたい」
沈黙が生じる。
長いのか、短いのか、時間的感覚が消失して、わからない。
口を開いたのは少女だった。
「あたしも……寂しいよ」
「ああ」
「でもね……怖い。
英霊はきっとあたしよりもずっと立派な人で、あたしは誰からも嫌われるようなダメ人間だから、だから、怖いよ。
きっと、レイさんはあたしを嫌いになるよ」
「ならない」
「なるよ」
「だから、令呪を以て命じます」
彼女の右手甲、電波を模したかのような三本の稲妻の令呪が光り輝く。
「嫌いにならないで下さい」
「裏切らないで下さい」
「側にいて下さい」
「約束……守ってね」
【クラス】セイバー
【真名】レイ(男勇者)@DRAGON QUEST IV 導かれし者たち
【属性】中立・善
【パラメーター】
筋力:B 耐久:B 敏捷:C 魔力:B 幸運:E 宝具:A++
【クラススキル】
対魔力:A+
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。
天空の装備の効果により、ランクが上昇している。
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
【保有スキル】
勇者:A-
悪に組みせず屈せず、属性が悪である相手からの精神干渉を無効化する。
天空の勇者とは天空の血を継ぐ者ならば彼である必要はなかったために、そのランクは低下している。
彼は選ばれし勇者であり、選ばれてしまった勇者である。
神性:E-
神に近しい者、天空人の血を継ぐ者であるため低ランクの神性スキルを有する。
地上人との混血であるため、更にランクは低下している。
仕切り直し:C
戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。
戦闘続行:A
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
【宝具】
『天空の剣』
ランク:A 種別:対魔宝具 レンジ:1 最大捕捉:8人
かつて魔族の王を討伐した際に使用した天空よりもたらされし剣
真名を開放した際、相手のパラメーター上昇、有利補正等を全て無効化する。
『来たれ、勇気の雷(ギガデイン)』
ランク:A 種別:対魔宝具 レンジ:10~40 最大補足:8人
勇者のみが扱える呪文。
闇を切り裂く光の雷、相手の対魔力によってダメージを軽減されない
【Weapon】
天空の鎧:雷以外の攻撃呪文やブレス系のダメージを軽減し、呪い、混乱に対して耐性がつく
天空の盾:炎・氷ブレスによるダメージを軽減する
天空の兜:眠り・マヒ・混乱に耐性がつく
【人物背景】
DQ4の5章クリア後から参戦、6章の存在は嫌いではないが存在しないものとする。
天空の勇者、ただそれだけ。
【マスター】
中原岬@NHKにようこそ!(小説版)
【マスターとしての願い】
???
【weapon】
カッターナイフ
【能力・技能】
それなりに宗教的な知識を持つ
【人物背景】
原作で自殺未遂をした後より参戦。
天使。
漫画版とは同姓同名の似たような別キャラ。
どっちもカワイイけどね。
【方針】
レイ任せ
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中原岬&セイバー(レイ) |
000:前夜祭 |
最終更新:2015年07月31日 14:17