Todarodes pacificus
若 学園演劇
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学園演劇
●● (お客さんがたくさん……。)
●● (このツバメの衣装も動きづらいし。
転んだらどうしよう……
緊張してきちゃった。)
若王子「●●さん。
●● 「若王子先生、
わぁ!
王子様の衣装、似合いますね!
若王子「ありがとう。
君だってなかなか、その……
いいツバメっぷりです。
●● 「…………。
若王子「あれ?
顔色が良くないけど、
具合が悪いんですか?
●● 「緊張してるんです。
若王子「緊張……なるほど。
●● 「若王子先生は
緊張とかしないんですか?
若王子「先生もお芝居は初めてだから
ドキドキしてます。
でも、それがとても楽しい。
●● 「楽しい、ですか……。
若王子「上手くいかなかったら、
そのときゆっくり反省すればいい。
今はこのドキドキを楽しもう。
放送 「これより、
羽ヶ崎学園、学園演劇を
開演いたします。
若王子「●●さん。
さあ、出番です!
●● 「はい!
●● (このツバメの衣装も動きづらいし。
転んだらどうしよう……
緊張してきちゃった。)
若王子「●●さん。
●● 「若王子先生、
わぁ!
王子様の衣装、似合いますね!
若王子「ありがとう。
君だってなかなか、その……
いいツバメっぷりです。
●● 「…………。
若王子「あれ?
顔色が良くないけど、
具合が悪いんですか?
●● 「緊張してるんです。
若王子「緊張……なるほど。
●● 「若王子先生は
緊張とかしないんですか?
若王子「先生もお芝居は初めてだから
ドキドキしてます。
でも、それがとても楽しい。
●● 「楽しい、ですか……。
若王子「上手くいかなかったら、
そのときゆっくり反省すればいい。
今はこのドキドキを楽しもう。
放送 「これより、
羽ヶ崎学園、学園演劇を
開演いたします。
若王子「●●さん。
さあ、出番です!
●● 「はい!
若王子「ああ、なんとか私のこのルビーの瞳を
あのかわいそうな母子に
持っていってやれないだろうか?
●● 「優しい王子様。
そんなことをしたら王子様は
目が見えなくなってしまいます。
若王子「私には、目が見えなくなる
ことよりも、あの母子が寒さに
震えていることのほうが——
●● (うぅ、
このツバメの衣装
動きづらい……)
●● 「わ、わかりました!
じゃあボクが王子様の瞳を
あの母子に届けてきましょう。
若王子「それはいけない。
もうおまえは南へ渡らなければ
凍えてしまうよ。
●● (……と、
ここで王子様の周りを
クルッと一周——ワッ!!)
●● 「スイマセン!
若王子「なんのなんの。
……ほら、次の台詞を。
●● 「はい!
えっと、ボ、ボクの……
●● (どうしよう、台詞が出てこない!)
若王子「”ボクだって”
●● 「”ボ、ボクだって……”
若王子「”凍えて死ぬことより”
●● 「”凍えて死ぬことより”……あ!
王子様のお役に立てないことの方が
辛いです!
若王子「はい、良く出来ました。
若王子「ありがとう。
私たちは二人とも幸福だ。
●● (なんとか切り抜けた……
若王子先生、やっぱり
こういうときは先生らしい。)
あのかわいそうな母子に
持っていってやれないだろうか?
●● 「優しい王子様。
そんなことをしたら王子様は
目が見えなくなってしまいます。
若王子「私には、目が見えなくなる
ことよりも、あの母子が寒さに
震えていることのほうが——
●● (うぅ、
このツバメの衣装
動きづらい……)
●● 「わ、わかりました!
じゃあボクが王子様の瞳を
あの母子に届けてきましょう。
若王子「それはいけない。
もうおまえは南へ渡らなければ
凍えてしまうよ。
●● (……と、
ここで王子様の周りを
クルッと一周——ワッ!!)
●● 「スイマセン!
若王子「なんのなんの。
……ほら、次の台詞を。
●● 「はい!
えっと、ボ、ボクの……
●● (どうしよう、台詞が出てこない!)
若王子「”ボクだって”
●● 「”ボ、ボクだって……”
若王子「”凍えて死ぬことより”
●● 「”凍えて死ぬことより”……あ!
王子様のお役に立てないことの方が
辛いです!
若王子「はい、良く出来ました。
若王子「ありがとう。
私たちは二人とも幸福だ。
●● (なんとか切り抜けた……
若王子先生、やっぱり
こういうときは先生らしい。)
●● 「演劇で主役になれたし、
いい思い出になったな……。
いい思い出になったな……。