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風真「今日みたいな一日、これから何度もあるといいな。」
風真「もっとゆっくり歩こうぜ。」
風真「時間経つの早いな。まだ、足りない。」
風真「おまえの手も俺の手も大きくなったな。」
風真「」
風真「ずいぶん楽しそうだな?」
風真「他でこんなことすんなよ?」
風真「このまま帰るなんて、だめだ。」
風真「ずーっと、こっちだけ見てろよ。」
風真「もっとこっち、来いよ。」
風真「おまえがそういうつもりなら、いいよ。」
風真「ちょ……っと、いいわけないだろっ。」
風真「俺……もう、止められそうもない。」
風真「あぁ、着いたんだ。」
風真「」
風真「……おまえ、結構そういうの慣れてんだ?」
〇〇「慣れてないけど……いやだった?」
風真「ぜんっぜん、へーき。あのな、だてに10年も向こうで暮らしてないから。」
〇〇「そっか。イギリスの人のスキンシップってすごいんだろうな?」
風真「すごいって……おまえが何想像してんだか知らないけどさ、普通の挨拶だから。」
〇〇「普通かぁ……」
風真「けど、相手がおまえじゃ普通に対応できないから、困ってんだ。」
〇〇「えっ、どうして?」
風真「いいか?普通に対応するって、俺からもスキンシップで返すことになるだろ?いいのかよ。」
〇〇「それは……困るかも。」
風真「自分が困ることは人にすんな。……じゃあな。」
〇〇(イギリス流のスキンシップ……やっぱりすごいのかな?)
風真「……ふぅ。あのさ、前にも言ったよな?」
〇〇「もしかして……スキンシップのこと?」
風真「わかってんじゃん。てことはさ、俺からもお返ししていいんだよな?」
〇〇「えぇと、それは……」
風真「……ったく、おまえのは触ってるだけ。スキンシップって言わないんだよ。」
風真「相手がいること忘れんな。」
〇〇「うん、わかった。でも、自然にこうなっちゃうみたい……」
風真「お、おい。自然てなんだよ?間違っても他のやつにすんなよ。」
風真「……俺ならいいけど。」
〇〇「えっ、いいの?」
風真「あー、いいよ。」
風真「他のヤツにされるくらいなら、好きにしてくれ。ほら。」
〇〇(えぇと、ほらって言われても……)
風真「ふぅ……」
風真「で、おまえ。あの約束守ってんだろうな……?」
〇〇「約束?」
風真「他のヤツにはすんなって。」
〇〇「う、うん。」
風真「おい、頼りない返事するなよ。約束があるから、俺は我慢してんだからな。」
風真「もし破ったら……イギリス式で3倍返しだからな。」
〇〇「3倍返し!?……わかった。」
風真「わかったなら、いいよ。じゃあな。」
〇〇(イギリス式の3倍返し……なんだかすごそう……)
風真「もう、そこまでだ。」
〇〇「あっ……ごめんなさい。」
風真「我に返ったような顔すんな。……ったく、大丈夫かよ。」
風真「あのな、10年ぶりに会ったけど、俺もおまえも、あの頃のままじゃないんだぞ。」
〇〇「う、うん。それはわかってる。」
風真「いーや、わかってない。」
風真「はぁ……いいか、だいたい自分の家の前だぞ。ご家族に見られたらどうすんだよ。」
〇〇「あ……ちょっと恥ずかしいかも。」
風真「だろ?だからここまでだ。わかったら、もう帰れよ。」
〇〇「ごめんね、風真くん。もうしないようにする。」
風真「うっ、それはそれで……なんか、もの足りないっていうか……」
風真「はぁ……俺、おかしくなってる。じゃあな。頭冷やしながら帰りまーす。」
〇〇(わたし、風真くんのこと困らせちゃったかな……)
風真「もういい。気が済むまでやれよ。」
〇〇「え?あっ、ごめんね。」
風真「なるほど。思った通りだな。俺がやれというと、おまえはやめる。」
〇〇「そんなつもりじゃ……」
風真「だから、いいよ。家の前でも学校でもどこでもさ。好きなだけどうぞ?」
〇〇「そんなこと言われても……調子に乗って、ごめんなさい。」
風真「え……い、いや、そんな顔すんなよ。怒ってるわけじゃない。」
〇〇「でも、嫌な思いさせたよね?」
風真「まあ、わかってくれればいいんだって。だから、好きなようにしろよ。」
風真「なんかもう、俺さ衝動の向こう側に到達した気がする。」
〇〇「衝動の向こう側?」
風真「そ、悟りの境地?だから、おまえも遠慮なく来いよ。じゃあな。」
〇〇(なんか風真くん、おかしかったよね?悪いことしちゃったかな……)
風真「待てって!はぁ……前言撤回。」
〇〇「えっ?」
風真「「えっ?」じゃない。俺が好きにしろって言ったから、めちゃくちゃしてんだろ、おまえ。」
〇〇「めちゃくちゃ?ごめん、そんなつもりじゃ……」
風真「……ったく、この前、悟りの境地に至ったはずなのに、すっかり帰ってきた。」
風真「いいか?スキンシップってのは双方向なんだ。おまえのは、ただ触ってるだけ。」
〇〇「う、うん。」
風真「おまえがその気なら、俺が本場のスキンシップを教えてやる。」
〇〇「あ、あれ?」
風真「ん。どうした?」
〇〇「ううん!なんでもない。」
風真「まあいい、俺は10年ハグとキスがあいさつ代わりの文化で育ったんだ。覚悟しとけよ。」
〇〇(イギリス流のスキンシップのお話……あれ、前にも聞いたよね?風真くん、大丈夫かな?)
風真「おいっ。もうそこまでだって!」
〇〇「もうやめてるよ?」
風真「……えっ?」
風真「俺、おかしくなったのかもな。まだおまえの手の感覚が……」
風真「どうしてくれんだよ。……ったく。」
〇〇(風真くん、大丈夫かな……?)
風真「あのさ、俺だって男だぞ。わかってんのか?」
〇〇「風真くんは男子だよ。」
風真「わかってんなら、自己責任な。おれが何しても。」
〇〇「女子だったら、かわいかったのにね♪」
風真「おまえなあ……もっと危機感を持てよ。」
風真「やっぱり、おまえなんか試してるよな?」
〇〇「ううん、風真くんを信じてるから」
風真「……ったく。ほどほどにしとけよ?」
〇〇「ただ、自然と……」
風真「」
風真「夜道は色々と危険だってわかったよ。」
〇〇「どうかしたの?」
風真「それだよ、無自覚が一番怖いってこと。」
〇〇「この辺は安全だよ?」
風真「そりゃ、おまえは安全だよ。ま、俺次第か?」
風真「なんだよ、俺はここにいるよ。」
〇〇「うん、知ってるよ」
風真「なら、何の確認だよ。」
〇〇「よかった」
風真「いつだっているだろ?心配すんな。」
風真「何だよ?なんか付いてるのか?」
〇〇「目と鼻と口?」
風真「はいはい。いつものおまえで良かったよ。」
〇〇「ごめん、見つめちゃった」
風真「ふーん、そう。じゃあ、俺も。」
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