701-800
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gundam_dollda
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701 :571:2008/11/22(土) 23:24:24 ID:???
こんばんは、もはや571がコテの571です。
エルト氏、新マルス設定GJ&乙です
自分的にムスペルヘイムの武装をもうちょっと多くするかしたほうがいいかと。
ドルダの破壊を目的にしているならビーム兵器よりも実弾兵器に比重を置いたほうがいいと思います。
ビームだとドルダのビーム集光機で防がれてしまいますから。
>>699
えーと、自分的には
1、基本的にバルド氏と同じ。
2、自分で言っといてなんだけど粒子を荷電して発射する武器ってビームライフルなのよね。やっぱ陽電子砲か?
3、自分的にデイヴィッドはSEEDアストレイの叢雲劾のような、戦闘用に作られた人間だと思ってる。
4、個人的には欲しい。どちらかというと傭兵みたいな、敵にも味方にもなるような立ち位置。
突然現れて襲ってきたり、ピンチのときに助けてくれたりと。A,C,E2のバスターアークみたいな感じ。
もうひとつ疑問。この世界火星コロニー生まれの人が地球に行くことは可能なのか?
デイヴとフィリアの会話を聞く限り地球は立ち入り禁止らしいけど、ディランの存在もあるし。
もしかして密入国ならぬ密入星?
702 :571:2008/11/23(日) 00:18:13 ID:???
長くなりそうなんで分けました。
また武装のアイデアが浮かんだので書きます。
今回は剣と盾。剣のほうは完全にオーパーツとなっています。
スルーしていただいてもかまいません。改変、つっこみはむしろ歓迎します。では
名称 クラウ・ソラス
完全実刃の両刃の長剣。MS用。ドルダやドルチェと同じ人の手の届かない存在。
ストライクのエクスカリバーのようなビーム刃はついていない。
この剣はファンネルのように遠隔操作が可能で、持ち主の手を離れても戦闘が可能。
ここまでならさして珍しくはないが、もうひとつ特徴がある。
それはビーム兵器を無効化させる力を持つこと。
これは剣自体から特殊な波が発生しており、その波によりビームが安定しなくなりばらけてしまうため。
そのため剣の周囲ではビームライフルはおろかビームサーベルやビームシールドといった全てのビーム兵器が無効化されてしまう。
無論敵味方関係なく、所有者のビーム兵器も無効化される。
先に述べた遠隔操作機能も射撃戦では邪魔になるからどこかに投げ捨ててもすぐ手元に帰ってくるようにつけられたもの。
材質は不明、現在の技術では解析できない。硬く、それでいて柔性もあるため、折れない。
これに対抗するにはこちらも同じく実刃の武器を使って抑える以外の方法はない。
なお、遠隔装置を持っている機体が破壊された場合、エネルギーが切れるまで近くの機体を敵味方関係なく襲う。
名前の由来はケルト神話に出てくる光の剣。
持ち主の手を離れてもひとりでにしかも必ず敵を倒す剣。しかも隠れた敵を探し出して倒す力も持つ。
名称 アームシールド
シールドの内側に2本のアームが収納されている盾。かなり重厚。
そのアームの力は非常に強く、戦艦の装甲を引きちぎったり、MSを押しつぶしたり出来る。
アームのイメージはファーストガンダムに出てきたMAピグロのクロー。
盾のイメージは0083のGP02のアトミックシールド。
盾の大きさはMSより少し大きいぐらい。アームもほぼ同様。
かなりの大きさだが盾自体にもバーニアが仕込まれているため機動力は高い。
格闘戦を想定して作られたため盾はビームサーベルを受け止められるようビームコーティングが施されている。
機体より大きいため機体を覆うように使えば全身を防御できる。
どうでしょうかこのオーパーツwwとくにクラウ・ソラス。
まぁ、あくまでもアイデアですから。無理に使ってもらわなくてもいいです。
でもクラウ・ソラスってビームサーベルには無敵だけどヒートホークとかには単なる剣に成り下がるんだよな。
これでバランスが取れるかどうか……
また長々とすいません。ではでは。
703 :571:2008/11/23(日) 00:20:21 ID:???
追記
クラウ・ソラスから発している波はマイクロ波とかα波とかそういうのです。
704 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 00:34:11 ID:???
マイクロ波って電子レンジやレーダーや通信に使われてる電磁波の一種で、α波は人間の脳内に出る脳波の一種。
全然違うモノだぞ。
705 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 00:42:40 ID:???
>>702
クラウ・ソラスじゃなくてフラガラック(アンサラー)じゃないのか?
706 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 06:45:40 ID:???
クラウ・ソラスってどっかのSSにも出てきたよーな
707 :571:2008/11/23(日) 12:41:34 ID:???
>>704
ご指摘ありがとうございます。
そこは自分が知っている「波」がつくものを適当に言っただけですから、まぁそんな感じの目に見えないものだと思ってください。
>>705
クラウ・ソラスはダーナ神族を率いたヌアダ(ヌアザ)の剣。フラガラックを持つルーはこの人の部下にあたります。
ただヌアダ自体が早々と退場してしまったためクラウ・ソラスはあまり有名ではないと思います。
>>706
残念ながらそのSS知らないんです。
ではでは。
708 :705:2008/11/23(日) 13:28:04 ID:???
>>707
クラウ・ソラス
クラウが剣でソラスは光の意味。
鞘から抜くと、余りの光ゆえに周りの目がくらむ。あるいは、相手は抵抗すらできずに二分される不敗の剣
フラガラッハ
「回答者」「報復者」の意味を持つ。
その一撃は鎧ですら受け止めることは不可能。
抜こうと思うだけで、ひとりでに抜け、手に収まる。敵に投げつければ、剣自体が敵を追いかけて倒し、自動で戻ってきて鞘に収まる。
また、フラガラッハでつけられた傷は治ることがない。
709 :571:2008/11/23(日) 15:28:04 ID:???
>>708
一応クラウ・ソラスにも、フラガラックと同じような力があったはずです。
あと、フラガラックよりもクラウ・ソラスの方がなんか自分的にかっこいいので。
まぁ、それだけです。
>>680
バルド氏、すいません、今頃パイスーを発見しました。
自分もそれでいいと思います。
710 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 15:30:24 ID:???
どうでもいいんだけど、エクスカリバーはインパルスだろ?
711 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/23(日) 15:39:49 ID:???
空気を読まずに俺登場。
全部拾えるかどうかは分かりませんが、武装案は投下して下さい
それに対する指摘やツッコミもどんどんどうぞ。
では、本題。
ガンダムマルス ムスペルヘイム
武装:
ビームバズーカ×1
捕縛用グラップルスティンガー×1
内蔵型ガトリングガン×4内蔵型マイクロミサイル
内蔵型ホーミングミサイル
ミサイルポッド×2
バスターソード×1
712 :571:2008/11/23(日) 19:04:51 ID:???
>>710
あ~俺の馬鹿!!orz
ストライクはシュベルトゲーベルだろうが!!俺の馬鹿!!
すいません、エクスカリバーじゃなくてシュベルトゲーベルでお願いします。
>>711
エルト氏GJです!!
実弾装備が増えてますね。内蔵型だからごてごてする心配もないですし、いざというときは増加装甲ごとパージできますし。
713 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 19:21:18 ID:???
ネーデル マーメイド マンダラ… Gガンは奇抜すぎて絞れねぇぇえ!ww
714 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 21:55:55 ID:???
マンモスガンダムもすごかった
715 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/23(日) 22:06:41 ID:???
皆さんGJすぎる!すっかりドルダも復活して来ましたね!
実は今日、HDDを増設したバルドです。
>>571氏
クラウ・ソラスはさぞかし危険な武器なのでしょう。
そして暴走後は宇宙を漂流し別の手に渡るという妄想w
>>701に関しては単なる自分の力不足です。そして現在、学園ドルダを
書いている上でそれを実感w
>>エルト氏
実弾で特にミサイルが良いですね!
脳内でガンダムマルスムスペルヘイムによる板野サーカスが展開してますw
前回募集したアンケートですが、総合すると
1、核分裂→核融合(ただしDOLLタイプは別)
2、陽電子砲
3、シンシアとエリスはNT的存在、デイヴはNTに近いOT
4、敵になったり味方にになったりする
でOKですか?
716 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:44:10 ID:???
学園ドルダ
グワッシュが構える40mm機銃。その銃弾が次々と銃口から旅立っていく。無数の銃弾の
目の前にはもう一機のグワッシュが双剣を手に待ち構えていた。一撃目は胸部。二~六撃目、
命中せず。七撃目~十三撃目、左腕部。十四撃目以降は全て双剣で弾かれた。やがて弾が
切れ、機銃からは音だけがした。パイロットが取った判断は機銃を捨てる事。定石。それに
変化を加えた。ただ捨てるだけでなく、相手に向かって投げる。当たれば軽いダメージを
与えられる。当たり所によっては優勢に導ける。当たらずとも相手の気を機銃にひきつける事
が出来る。さらに前方からの攻撃を軽減する事も出来る。これらのメリットをパイロットは
弾切れと同時に見出した。先ほどまで攻撃を受けていたグワッシュのパイロットはその手を
読んでいた。機銃が命中する1秒前に後退。理由は射程距離。どんな銃弾であろうと
放物線を描き、いずれは落下する。銃弾ですらない機銃本体の射程距離は短いにもほどが
あった。そして、後退する事で視野を広げた。攻撃を受けていたグワッシュのパイロットは
相手のパイロットに隙を与えなかった。機銃を投げると同時に回りこんだグワッシュは逆に
回りこまれた。結果、足を斬られて敗北する。
第三話 平和じゃなくなるのが怖いなら潔くそんな事は忘れて今を一生懸命生きよう
717 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:45:17 ID:???
「あっれー…なんでいつもディランに勝てないんだ?ってかなんであんなに強いの?」
煉滋がディランに対して言う。
「まぁ俺の父上が軍人だからね。小さい頃にコンピューターゲーム代わりにシュミレーション
で遊んでたんだよ…(その後、実際にパイロットになって訓練を積んだのだけど)…」
ディランが軽く返す。既にディランが転校して2週間が過ぎていた。
「なーるほど!そいつはそこらのコンピューターゲームなんぞより面白そうだなぁぁぁぁ…」
煉滋が幼さを感じさせる声から野太い声で歌うように言った。
「そうでもないさ、実際の戦闘と殆ど変わらないし、敵が迫ってくる恐怖感があるからね。」
ディランが鼻で笑う。
「むぅ…そう言われればそうかも。…っと。今日はは頃奈の新プログラムの発表だったな」
メールボックスに新着メッセージが届いていた。発表を午後に控えた頃奈は休憩時間を利用
して画面だけを見つめていた。新着メールの件名の項目を選択し、回覧が始まった。
「お返事が遅れてすみません。仕事が忙しく、ころにゃんさんに会えなくて寂しかったです。
お詫びと言っては何ですが、進宇宙記念学園の郵便局にマイクロハードディスクが届いている
ハズです。私の依頼主であるソフトウェア会社「水月」の新商品なのですが、まだ発売の
3ヶ月前です。でも、ころにゃんさんは親友なので特別にさしあげます。詳しい事は付属の
説明書をご覧ください。良いですね。今度、是非お会いしましょう。」
頃奈は上下左右に視線を泳がせ、静かに微笑む。返信を書こうとしたが、新規作成画面で
取り消した。なぜなら、この時頃奈は何よりも大切にしていた"誰よりも早く返信を書く"
というポリシーよりもI☆BU☆KIの作品を見たいという好奇心が優先していたからだ。
718 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:46:17 ID:???
放課後。頃奈は郵便局にいた。
「では、こちらの金庫になります。ご本人かどうかの確認のためパスワードのご入力をお願い
します。」
「…(認証ヲ開始シマス。暗証番号ヲ入力シテクダサイ)…」
緑を基調としたコンピューターの認証画面から合成音声が開始を告げた。メールに添付して
あったI☆BU☆KIからのパスワードを瞬時に記憶し、メモの一つもなしに慣れた手つきで
タイピングを見せる頃奈。普段、機械に触らない者は手遊びに見えた。
「0105079933774020401050340203213402383421042422421343232978923294929109392412…」
最後に決定キーを押す。その高らかな指使いは音楽の指揮者のそれに近かった。
「…(認証シマシタ。0801番金庫ノロックヲ解除シマス)…」
液晶画面に映る淡い緑色が一瞬白くなり、その直後に深い黒に染まった。
同時刻。ディランはすでに煉滋との訓練を終えていた。学生寮の自室で疲れを癒す間もなく
任務遂行と人間関係の間で葛藤していた。それは今に始まったことではなく、ディランは来る
日も来る日も無意識に頭皮をかきむしっていた。彼の爪は油とフケと血と腐臭にまみれていた。
火星軍のスパイでありながら、2週間も連絡を取ってないのは彼にとって故郷を失ったと同義
だった。
「そう言えば頃奈とディランってコロニー出身だったよな?なんで地球に入れたんだろう?」
ロビーでグレン・ベルが何気なく呟いた。コーヒーを飲んでいた煉滋が思い出す。
「確かー…頃奈の母親は地球出身だから…。で、あれ?えーっと…離婚して…親権が母親に
移った…だったかな?」
「なるほどー…、それなら納得だわな」
コロニー出身者が地球に入れる唯一の条件として、親族が地球出身者である事。ただ、頃奈に
とっては思い出したくもない過去なのだが。
「でもさ…ディランはどうやって入れたんだ?」
グレンが疑問に思う。その発言に二人は沈黙した。
719 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:46:50 ID:???
受け取ったマイクロハードディスクを携帯電話に挿しこむ頃奈。すると、青いウインドウが
開いた。いくつかデータがある。機械に詳しい頃奈は"Setup.exe"を選択。今度は全画面表示
になり、メッセージが表示された。
「"水月兄妹"をお買い上げいただき誠にありがとうございます。どちらをインストールします
か? →兄 →妹」
兄と妹。それぞれにカーソルを合わせると3Dグラフィックが表示された。兄はツンツンした
髪型に猫耳の二頭身キャラクター、妹はショートヘアーに猫耳の二頭身キャラクターだった。
頃奈は妹の方を選択。すると、携帯電話が再起動。画面構成は大幅に変わっていた。
「そっか、この子はOSなんだぁ…」
関心している内にまたウインドウが表示された。
「何だろ…?」
「お名前を入力してください」
「お名前…何がいいかなぁ…。やっぱり可愛いのがいいよね」
入力と取り消しの繰り返し。頃奈が思いついた名前はシンプルな名前だった
「初めましてなのです~。私の名前はヒカルなのです~。よろしくなのです~!」
「…よろしく、ヒカル!」
「そうだ!えーっと……………」
何を思いついたのかど忘れ。思い出そうと黙り込む頃奈。
「………………あ!」
思い出す。
「ヒカルにお家をあげるよ!」
「お家…?」
720 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:47:33 ID:???
それは日が暮れる6時間前。頃奈が毎日のように開発していたプログラムが先日完成し、
電子工学科による発表が行われた。司会者が進行する。
「えー…では続いての発表は本日最高プログラムです!電子工学科1年生、宗谷頃奈さん
お願いします!」
会場の入り口にスポットライトが当たる。期待する観客。しかし頃奈は現れなかった。
「いけない!バグを取って疲れて寝てたら遅刻しちゃった!もう始まっちゃってるよ!」
その時、頃奈は廊下を走っていた。廊下を走るなと注意する担任のクラーク・クラーク先生。
「頃奈…遅いなすとらいくりすます。」
煉滋が爽やかな声で真面目に茶化した。
「…お前、MSパイロットよりも声優か芸人にでもなれば良いんじゃないか?」
グレン・ベルが話題を作る。
「いや、俺はMSパイロットがいい。それでリアル・ヒーローになるんだぜ!…(ヒーロー
なんている訳ないだろ常識的に考えて)…」
「はっはっはっは…お前らしいな。また頃奈は寝てるんじゃないか?」
グレンの発言を横で聞いていたディランは笑顔の裏に汚れた顔が潜んでいた。ブーイングの
飛び交う会場。それを見て不機嫌な煉滋ご一行。それを見て一番困っている司会者。
「………えー、では宗谷頃奈さんは欠…」
ドアが開く。サイドで結んだ黒髪に大きな丸眼鏡。毎度毎度お約束の宗谷頃奈であった。
「…す…すいません…遅…れまし………た…」
先ほどから走ってきていたので息が上がってる。観客のだらけきった視線が頃奈を襲う。
「…あ…その…」
怯える頃奈。それに追い討ちをかける観客。
「お前が遅れてきてどれだけ待たされたと思ってるんだ!?」
「そうだそうだ!」
もう俯き、涙目な頃奈。自分のせいでもあるが、今までの積み重ねが無駄になったと考えると
とても寂しく悲しかった。救いの手を差し伸べたのはグレンだった。
721 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:48:42 ID:???
「黙ってろ!」
その一言で静まり返る。不謹慎だが悲しいことにコレもまたお約束。
「やれやれ、流石はうちの特攻隊長ざんすねぇ…」
煉滋が立ち上がり、深呼吸を2~3回ほど終えて、司会者のマイクを借りて言う。
「君たちは名前聞いてもすぐ忘れられるような顔をしてるくせに偉そうな事言わない!
頃奈は遅刻するのはお約束なんだからさ、軽く可愛いって笑い飛ばそうよ!全く…君たちの
ブーイングは笑えない!楽しくない!エンターテイメントじゃない!ただでさえ少ない尺を
君ら脇役のくだらない会話で時間取ると内容のない駄作になる事を君たちは知らないのか!
だから君たちは顔も名前も売れないんだよ!」
口を開け、ドン引きする観客。テンションも高く論点もずれてる煉滋の電波は常人には受け
入れ難い。ただ、それでも説得させる煉滋は凄いと思うグレンであった。
「はい!良い役お疲れ、俺。ディランくーん!開始の合図お願いね!」
「あの…司会者僕なんですけど…」
「君の声は冴えない。メインイベントなら女性ファンも男性ファンも確保できるディランが
言うべきでしょう」
「はぁ?…(コイツはどっかの映画監督か何かか?)…」
煉滋はマイクをディランに投げる。上手くキャッチ。
「了解した。それでは皆様、大変お待たせしました。電子工学科1年生・宗谷頃奈さん!」
「はい!よろしくお願いします!」
先ほどとは打って変わって歓声と拍手の嵐。
「私の発表はfixed言語によって開発したセキュリティソフトです!」
「…(おおおお!)…」
「このソフトは従来のセキュリティソフトとは真逆です。従来のウイルスが進入した瞬間に
ウイルスを絶対的に安全な場所に隔離するのに対して、このソフトは既存のデータの全てを
絶対的に安全な場所に隔離します」
「…(おおおお!!)…」
「…(それならそのセキュリティソフトにウイルスが感染した場合はどうするんだ?)…」
「ご心配ありません。このセキュリティソフトはコンピューターへログインするプログラム
そのものに寄生しています。ログイン中に破壊は理論上不可能です。」
「…(セキュリティソフトそのものがウイルスだと言うのか?)…」
「以前、私のプライベートPCに感染したウイルスを元に参考にしました。害意はありません
が、セキュリティソフト内部にウイルスが存在します。」
「…(何だと!我々をを馬鹿にしているのか!?)…」
「どうか落ち着いてください。このソフトの映像的イメージは"7階建てマンション"です。」
「…(七階建てマンション?)…」
「OSなどの重要度の高いデータが7階にあり、ユーザーデータが6階、ツール・ユーティリ
ティが5階、ドキュメントデータが拡張子順に5~3階にあります。2~1階はセキュリティ
ソフトそのものに感染した場合、"外部から許可なしに侵入したプログラムを無差別に破壊"
する防衛ウイルスが待機しています。マンションは1階から入りますからね」
「…(ぬ……悔しいが……斬新かつfixed言語による安全性…私の負けだ!)…」
頃奈の発表にずっと揚げ足をとっていた男は落胆する。
722 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:49:37 ID:???
「さらに、このセキュリティプログラムはPC、携帯電話、MS等、幅広い媒体にインストール
できます。」
「…(おおおおおおおお!)…」
「やっぱ頃奈は普段トロイけど凄いわな。」
煉滋が言う。
「うんうん」
グレンとディランが続いて言う。
そして6時間の時が流れた。
「これが…私のお家…」
「そうだよ、ヒカルのお家。私が作ったから安全なハズだよ!私は宗谷頃奈!
「よろしく」
723 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 11:09:06 ID:???
以上、ツッコミ所満載の学園ドルダです。うーん…今回はご都合主義な後付け
になって苦しかったw頃奈が空気にならないように頑張ったのですが総じて見ると
煉滋が主人公のようにも見える…。
724 :571:2008/11/24(月) 15:19:56 ID:???
バルト氏GJ!!!
わーい自分には分からない単語がずらりと並んでるさ~。
特に頃奈の発表辺りで完璧にちんぷんかんぷんに……
それはともかく乙です!
なんていうか、グレンが特攻隊長で、煉滋が親衛隊長、頃奈が姫様みたいな構図に見えてきたwww
725 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 15:20:33 ID:???
ヒゲ
726 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 18:57:15 ID:???
バルド氏GJっす。
で、新説の投下なんですけどかなりフリーダムなことになっちゃってて遅れそうです
727 :本家ドルダの人:2008/11/24(月) 22:23:02 ID:???
お久しぶりです。本編の人もとい本家ドルダの人です。
自分のドルダが本家なんて呼ばれるのはとても恐縮であります。
第3話前半の投下の後、検索をかけたのですがスレが見つからず、
てっきりスレが落ちてしまったものだと今まで勘違いしていました。
自分のドルダを待ってくださっていた方、本当にご迷惑をおかけしました。
ドルダスレが現存しているとあれば、スレが続く限り投下していくつもりですので、またよろしくお願いします。
本家ドルダの『進宇宙暦』という表記について
>>589で571さんが疑問に思われているようなのでご説明します。
第1話の冒頭を読んでいただければわかると思いますが、
進宇宙暦の英語の表記はAdvanced Space Developmentとなっています。
本来なら英語の方が正式なので、Advanced Space Developmentの直訳(進歩した宇宙開発)で『進宇宙』暦となります。
おわかりいただけたでしょうか?
ただし、これは本家ドルダでの設定ですので、他の作品がこれにあわせる必要は一切ありません。
新宇宙暦でも構いません。作品ごとの自由だと私は考えています。
728 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:27:55 ID:???
>>335-346
ヘルメット越しに見える幼い顔。
ギデオンとヴァイスが回収したのは、デブリではなく二人の子供だった。
寄り添い、固く握り合った手は、深い絆を感じさせる。
兄妹。そう見るのが正しい。
憔悴し、輸送船の格納庫に着いた途端、床に倒れ込んでしまった。
「大丈夫ですかっ!?」
格納庫にはクランとモモとシンシアが、ギデオンとヴァイスの帰りを待っていた。
職業柄か、モモがいち早く兄妹の元に駆け寄る。
「隊長、この子達は?」
クランは横目で兄妹を見ながら、ギデオンに尋ねた。
「作業艇にいたので保護した」
「その作業艇が突然動き出したのには肝が冷えたぜ……ったく」
小さく息をつき、ギデオンが答える。
ヴァイスは怪訝そうな表情をして、兄妹に目をやった。
疲れた様子の兄妹を起き上げようとするモモ。
だが、その手は兄らしき少年に振り払われてしまう。
「俺達は、アンタ等独立派なんかの世話にはならねぇ!!」
怒りに任せた声が、格納庫に響く。
「俺達の親父は、アンタ等に無理矢理連れ去られたんだ!」
悔しさに滲む瞳。
そんな兄を見る妹の瞳もまた、悲哀に満ちていた。
729 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:30:31 ID:???
クラン達は、言葉を失ってしまう。
この兄妹の父親がどのような人物なのかは知らない。
しかし、独立派のこのような行いは許せるはずもなかった。
「違うのよ。私達は、火星コロニー独立派ではないわ」
安心させるように、優しい声でクランが言う。
「信じられるかよ! 現にこの船には奴等の機体があるじゃねぇか!!」
「それは、私達が独立派の船を奪って軌道エレベータのステーションから逃げて来たからなの」
落ち着かせるために、クランは決して口調を荒げることはなかった。
穏やかな微笑み。
それは、シンシアに、かつて共に過ごした本当の妹に向けるような、微笑みだった。
「お前等、もしかしてシドーのオッサンのガキ達か?」
そんな中、思い出したかのようにヴァイスが疑問を投げかけた。
少年が、眉を顰めながらヴァイスを見た。
「俺だって。はぐれ者のヴァイスだ」
「ヴァイス……」
少年が名を復唱する。
記憶の中を潜り、探り、そして。
「あ! 親父が半人前のガキだって言ってたヴァイスか!」
ヴァイスは、勢いよく音を立て、床に倒れ込んだ。
「兄が本当に、失礼なことをしました!」
クラン達に向けて、少女が必死に頭を下げる。
730 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:34:52 ID:???
クランの説得と、ヴァイスの言葉により、誤解はなくなった。
場所を談話室に移し事情を聞くことになったが、兄であるシオン・紫藤は恥ずかしそうに膝を抱え顔を埋めてしまった。
そんな兄を叱るように、妹のヘルガ・紫藤が腕を掴んで立ち上がらせる。
「ほら、お兄ちゃんも謝らないと!」
「…………ゴメンナサイ……」
聞こえるか聞こえないかといった程度の声量で、シオンが言う。
クラン達は苦笑するしかなかったが、一件落着に胸を撫で下ろした。
「わかってくれたならいいんだ。だがよ、オッサンが連れ去られたってのはどういうことだ?」
本題は、そこである。
誤解は消え和やかだった空気が、ピンと張り詰める。
ヘルガは悲しそうに俯き、悔しげな表情に戻ったシオンがゆっくりと口を開く。
「独立派の奴等、技術者を集めてるみたいで、俺達がいたコロニーも制圧されて、
機械工学の偉い人だとか親父みたいなしがないジャンク屋まで連れて行かれたんだ」
火星コロニーの住民は、多くは独立の賛成派である。
しかし独立派のしていることは度を越し、板挟みの一般市民達は右往左往するしかなかった。
731 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:38:10 ID:???
独立のためとはいえ、一般市民を無理矢理連行するというようなやり方は決して許せるものではない。
「俺達は間一髪、独立派の監視が厳しくなる前にあの作業艇でコロニーから逃げ出してきたんだ」
「全く、無茶をする……」
呆れたように、ギデオンが呟いた。
「だって! 俺は、俺達は嫌だったんだ! 俺達は地球圏で生まれ育った。
でもヘルガはテロリズム・イヤーのせいで本当の家族を失って……
俺と親父とヘルガは、そんなものがない世界を目指して火星圏に来たんだ!」
そう訴えるシオンの瞳は、涙で濡れていた。
テロリズム・イヤー。地球圏でその年、数えきれないほど各地でテロによる災害が発生した。
ビルは崩れ、街は焼かれ、完全に機能を失ったコロニーもあった。
人の泣く声、嘆く声が、止むことのなかった年。
クランは左腕を押さえる。それは強く、右手が痛くなるほどに。
「お姉ちゃん?」
「えっ……?」
気付くと、心配そうにしているシンシアの顔が飛び込んでくる。
「クランさん、大丈夫ですかぁ?」
モモもクランの異常を感じ取り、声をかける。
「えぇ、大丈夫よ。モモちゃん、私よりも二人を診てあげて」
「そうですか? わかりましたぁ」
732 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:41:32 ID:???
納得はしていないようだったが、モモはクランから離れシオンとヘルガの元へ向かった。
「それじゃあ、栄養剤を打っときましょう」
救急用のバッグを片手に、モモはニコリと微笑んだ。
「打っとくって……まさか」
嫌な予感に顔を青くして、汗を流すシオン。
「もちろん、お注射ですよっ♪」
「い、いやだああああああ!!」
「お兄ちゃん……恥ずかしい」
和やかな空気が談話室に戻る。
だが、シンシアは未だクランの顔を悩ましげに見上げるばかり。
クランはシンシアの頭を撫で、安心させた。
「ごめんね。お姉ちゃんがこんなじゃ、駄目ね」
「うぅん。お姉ちゃんは、そのままでいて。私、そのままのお姉ちゃんが好き」
偽りの姉妹関係。
お姉ちゃん。そう慕ってくる少女に、クランの心はズキリと痛んだ。
こんな、自分が何者なのかもわからない少女を利用するようなやり方を、クランはしたくなかった。
このままコロニーに向かえれば、何事もなく全てが終わるのではないかと、淡い期待を抱いてしまう。
しかし、そんな期待を打ち消すように、スピーカーがキィンと耳鳴りのように響いた。
『独立派と思われる機体の熱源をキャッチしました』
733 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:49:46 ID:???
ちょww本編の人、お久しぶりです。
なんか色々勝手なことしてすいませんでした。
続き、楽しみにしてますので気が向いた時にでも投下して下さい。
いや、なんかマジですいません
734 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:22:55 ID:???
スピーカーから流れてきたのは、操縦室に詰めていたミランダからの報告。
シンシア、モモ、紫藤兄妹を残して、クラン達は操縦室に向かった。
「状況は?」
「偵察でしょうか。すぐにいなくなりました」
ギデオンに訊かれて、素早くミランダが返答する。
「こちらも不要と思えた電力消費は全て落としておきましたが」
「それでいい。道中にデブリ帯を選んだのは目眩ましのためでもある」
ミランダの報告を聞いたギデオンが静かに言う。
「遮蔽物はもちろんだか、下手に攻撃を加えて危険物に誘爆……といったことも有り得るからな」
しかし、このまま見過ごしてくれるほど追撃部隊は甘くはないだろう。
そう考えて、ギデオンを踵を返し、操縦室から出て行った。
「トロニクス君、手伝ってくれ。また外で作業だ。
ナギサカ君は待機、シンシア君を機体に。火は入れるなよ」
デブリ帯から少々外れた宙域。
待機する4機のローズの元に、1機のローズが合流する。
『何個かそれらしき熱源はあったわよ』
スピーカーから女の声が響いた。
それを聞き、コックピットの中で腕組みをしていた男が、ニヤリと口角を上げた。
735 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:26:30 ID:???
マイケル・ミッチェル。ドルダ、及び調査隊の追撃任務を請け負った部隊の隊長。
『どうするの? すぐにでも仕掛ける?』
そして、偵察に出ていた女パイロット。
ターニャ・ソブロフ。マイケルの右腕的存在である。
「場所がわかっているなら好都合さ。彼等もデブリの中で篭城……なんてことはしてられないだろうからね」
調査隊の奪った輸送船は、三機のローズ以外はまともな物資は積まれていない。
機体を積み込んだだけで、必要な物資の搬入はまだだったと報告を受けている。
そうそう長く、あの場所に居座れるはずもない。
「こちらが仕掛けてやれば、逃げるために否が応でも動き出す」
己の作戦に対する自信。
火星開発公社の火星調査隊。
軍人や、自分達のように武力で決起した者達とは違う。
いくら強大な戦力を持っていようと、所詮は一般人。
戦うことより、逃げ、生き延びることを優先させるはずである。
「ディラン、タオとマオ、君達も大丈夫かな?」
マイケルがそう言うと、ディスプレイに『OK, Master.』と文字による通信が送られてきた。
タオとマオ。この二人のパイロットは、マイケルが隊に配属させた少年兵の兄弟である。
736 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:30:59 ID:???
幼い頃に両親を失い、火星圏に近い小惑星でレアメタル採掘の労働をしていた。
労働は過酷なものであり、まだ年端もいかないタオとマオには辛く厳しいものであった。
その頃に労働を強いていた里親の虐待を受け、兄弟揃って声をなくしている。
ディランはそんな二人を多額の資金と引き替えに引き取ったのだ。
「ディラン、君はどうかな?」
返答がないもう一人のパイロットに、マイケルはもう一度問う。
『すまない。大丈夫だ』
スピーカーから、まだ成熟しきっていない少年の声が響いた。
だがその声には似つかわしくない、とても落ち着き払った口調であった。
『また地球圏のバンドの曲聴いてたの?』
『あぁ。だがもう止めた』
ターニャに訊かれ、鋭い瞳の少年が、変わらず淡々とした口調で返す。
この少年、ディラン・クロスもまた、マイケルによって集められた少年兵の一人だった。
『隊長達が俺を拾ってくれたことには感謝している。その分の恩は返すつもりだ』
その年不相応の口調や性格は、この少年にもまた過去に何かがあったことを窺わせる。
しかし、ディランもターニャも彼の過去を知らなければ、聞くこともしなかった。
737 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:35:20 ID:???
ディランはモビルスーツのパイロットとして志願し、マイケルがそれを採用した。
ただそれだけ。マイケルにとっては、過去などは関係ない。
(……大人も子供も、生きるのに必死なんだ。特にこの火星圏ではね)
空しい時代だと、ディランは心の中で嘆いた。
「だから行くのさ。大人も子供も、生きるためにさ」
マイケル・ミッチェル隊が、静かに動き出す。
輸送船と思われる熱源は数個。
可能性が低いものを、マイケルとターニャが排除する。
残ったのは、二つの熱源。
しかもその熱源は、互いに近い距離にあった。
(カモフラージュ。けど、余りにも浅はかだよ。調査隊の諸君)
別の熱源と近いからといって、重なって輸送船の熱源が隠れるわけではない。
ステルス艦でもない輸送船が、そうそう簡単に姿を消せるはずもない。
これが、一般人と戦場に生きる者の、差。
確信をもって、マイケルは隊を熱源に向けて進めた。
しかし、その時……
『マイケル、熱源が動き出したわよ!』
「なにッ……?」
突然、熱源が移動を開始する。
それも、二つの熱源が、同時に。
738 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:36:58 ID:???
「チィッ! 考えを改めねばならないかな。相手はなかなかのギャンブラーだ」
二つの熱源ということは、隊を二つに割かなければならないということ。
戦力を減少させれば、迎い討てると思っているのか。
「なんにしても気に入ったね。ターニャ、君はタオとマオを連れ、デブリが少ない方に逃げた熱源を追え!」
『了解したわ!』
3機のローズが一方の熱源を追う。
「ターニャには悪いことをしたかな……」
ディランが、怪しく笑みを浮かべた。
「密集地帯に逃げた熱源。もしそれが本ボシならば、僕は彼等と戦いたい!」
マイケルはディランと共に、デブリが密集する宙域に向け移動を開始した。
「敢えて危険に飛び込む。その意気込みは良し!!」
To Be Continued...
739 :本家ドルダの人:2008/11/24(月) 23:39:44 ID:???
さるさん対策で30分間ほど時間を置きました。
エルトさん、新説ドルダ、楽しく読ませて頂きました。
まさかアナザーとクロスオーバーしていただけると思っていたかったのでドキドキしています。
アレスとシンシアという存在の関係が気になります。
バルトさん、学園ドルダの切り口が素敵です。
エコールを思い出す面白い設定ですねぇ。
その他、設定案やネタを投下してくださった方々、楽しく読ませていただいています。
573さんが言っていましたが、別に私は設定の投下は負担ではありません。
スレに来られなかったのは、私の勘違いが原因です。
それに、投下された設定を全て本編に反映させることはできませんし、
できる限り初期設定をねじ曲げないように設定を改変させてもらってます。
設定の投下は、むしろありがたいです。
自分のボキャブラリーでは思いつかないようなアイデアがたくさんありますから。
それではまた後日。
740 :本家ドルダの人:2008/11/25(火) 01:41:11 ID:???
>>736の
> しかし、ディランもターニャも彼の過去を知らなければ、聞くこともしなかった。
は誤りです。
正確には
> しかし、マイケルもターニャも彼の過去を知らなければ、聞くこともしなかった。
です。訂正します。
無駄なレス消費失礼しました。
Wikiにも誤字脱字変換ミスありますがご愛嬌で。
741 :571:2008/11/25(火) 18:24:01 ID:???
おおおおおおおおおうううぅぅぅぅあああ?!!!!!
ああああああああqwせdrtgyふじこlp;(うるさい
ほ、本編ドルダ!!!!まさか再び会い見えようとは!!
本編の人、お久しぶりです!!
本編ドルダ、続き楽しみにしてます!!GJ!!
では!!
742 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/25(火) 19:55:55 ID:???
>>571氏
今回の学園ドルダはちょっと自己満足が入っちゃいましたw
以前、私のPCが「VUNDO」というウイルスに感染したんです。
セキュリティソフトや自動更新が無効にされたりと大変でしたが無事に駆除しました。
その経験を生かしたかったんです。そこでSF作品なら生かせると思ったんです。
>>エルト氏
レスありがとうございます。新説ドルダは凄いことになってそうですね。
楽しみにしてます。
>>本編ドルダの人
お久しぶりです!まさかここでうちの子(シオンとヘルガ)が登場するとは…!
学園ドルダは本編の外伝という感じで作ったのですがすっかり別物にw
本編のディランは果たしてどんな活躍をするのでしょうか?楽しみです。
さっそくwikiに掲載しておきました!
743 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:38:38 ID:???
今晩は、例によって例のごとく深夜の投下になります。
まあ、だいぶ前に出来上がってたんだけど、若干の改編を、ね?
>>バルド氏
いつも乙です。
今回の四話、ディックがそれなりに動くのですが最初彼はアナザーを踏襲した路線でいこうとしてたんです。
けれどバルド氏のキャラデザを見て、ああ、こいつはこんな性格だ、ってインスピレーションが湧きましたw
で、現在のキャラに。古参は違和感を覚えるかもですが、キャラデザでキャラが動くことってあるんだ、と実感しました
>>本編の人
乙です!やっぱり本家は上手い!続き楽しみにしてますです。
では、いきます
744 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:41:00 ID:???
新説ガンダムドルダ
第四話 魔神、起動
「ぐっ……ああああっ!!」
肉体にかかる負荷に叫ぶクラン。そして突如急停止する機体。
「くっ…!」
顔を歪めるクランに、少女が感情の籠らない声で言う。
「乗って」
「…え?」
「後ろ、乗って」
その機体…ガンダムドルダのコクピットには、二つの操縦席が存在していた。
「乗っているだけでいいから。このまま行ったら、多分危ない…」
クランは言われた通りにしようとするが、色々なことが起こりすぎて、少女の言うことに従うべきであるのか逡巡していた。
このMSは一体何なのか…そして自分はそれに乗ってしまった…
何処の機体なのかどういう目的で造られてどういう経緯で自分と出会うことになってしまったのだろうか…
少女は、黙っている。亡くした妹に似た少女。
彼女は、いや、彼女が何故ここに…
飲食はどうしていたのか、彼女をここに安置した存在の思惑とは…はたまた彼女は自らの意思でここに存在していたのか…
「お願いだから、ね?」
少し首を傾げて、今度はクランに笑いかける。その笑顔、傾げた首の角度…
何もかもが、似すぎている。いや、同じなのだ。
亡くなった(いや、そもそも本当に亡くなったのか?)年齢のままの妹と同じ少女。
自分だけに時の流れが干渉して。もう二度と、あの頃のように笑えないような気がして。
(違う、この娘は違う…)
必死に自らにそう言い聞かせることで、クランは目の前の現実を否定しようとしていた。
が、少女の次の一言によって、その努力は水泡と化す。
「お姉ちゃん」
「!!」
世界が、変わる。崩壊した世界の色が、戻る。
両親はいない。しかし、崩れかけていた、そして折り合いをつけ、無理矢理作り出していたクランの世界は、その色を取り戻しかけていたのだった。
745 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:41:42 ID:???
錯乱するデイヴとアレスを中心に、戦場にはまるで時が止まったかのような静寂が訪れる。
この静けさの後、目覚めてはならない魔神が起動することになるとは、誰も想像していなかった。
茫然自失のアレスの元に、通信が入る。
「俺だ、どうした」
荒い息を少し落ち着けようと努力した後、アレスが応答する。
『ゲッゲッゲッ。わしじゃよ、アレス』
「ティモール…?」
声の主は、ガンダムマルスの開発者であるプロフェッサー・ティモールであった。
『そちらの様子はマルスのカメラから把握しておる…えらいことになるようじゃな、アレス』
「どういうことだ」
『目覚めるのさ、魔神が』
「ドルダ、が…?」
『ああ。お前さん、何故ムスペルヘイムで出撃せんかった?シンシアに会いたいという逸る気持ちはわからんでもないがな』
「!」
戸惑うアレスに、その独特の笑い声をこれでもかと響かせ続けるティモール。
『今ドルダと戦うてはならん』
急に真剣な表情と口調になる。
『お前さんが第一にやるべきは、その場に存在する敵MS群の殲滅じゃ。その後、速やかに離脱するのじゃ』
「出来ない。こうしている間にも、彼女は…」
断固として首を縦に振らないアレスの瞳には、再び強い意思が宿っていた。
『たわけが!ムスペルヘイムでないマルスがドルダに敵う筈がなかろうが!』
聞かん坊を咎めるような口調でティモールは怒鳴る。
その口からはたくさんの唾が飛ぶ。余程興奮しているのだろう。
「ティモール」
『なんじゃい!?』
「悪いが後にしてくれ。どんな罰でも受けるつもりだ」
そう言い、通信を切る。おい、おい!ティモールの叫び声が途切れ、再び静寂が訪れる。
「ガンダム、ドルダ…!」
歯ぎしりをしながら呟くアレス。その表情は強い憎しみの念に捉われていた。
「シンシアを、渡すものか…!」
マルスのツインアイが光を灯した…沈黙の火星の神が、再び起動する。
746 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:42:23 ID:???
深い深いまどろみの底で、見た夢。
それは、決して開けてはならない、パンドラの箱…
一人の少女が、悠久の時を眠る。
初雪のように白い肌に咲き誇るは、薔薇のように美しい唇。
少女には恐らく感情というものはない。眠ってはいるのだが、目を覚ましたとて、美の権化がただ在るだけだという印象を与える。
あまりの美しさに、そっと触れようと手を伸ばす。
決して遠くはない距離にいる少女に触れるには、少しの時があれば十分だろう。
しかし、あまりにも遠い。あまりにも永い。
その時間さえ愛おしく思えるほどの美しさ…
そして、指先が少女の面を捉えた刹那…
「おい、聞こえてんのか!?応答しろ!デイヴィッド・リマァー!!」
はっ!デイヴは目を覚ます。あの夢を、何故、今…?
眠っていたのだろうか?ディックの通信により、意識を取り戻す。
ピッ、応答するデイヴ。何度も起こる不可解なデジャヴとジャメヴの渦から、逃れようとする為に。
「…あー、こちらデイヴィッド。落ちこぼれのオッサンは無事だぜ、中尉殿」
いつもの皮肉屋としての口調に戻るデイヴ。が、その瞳は依然として憔悴に揺れている。
「!…ぶ、無事ならサッサと応答しやがれ、このクソオヤジ!」
心配したじゃねえか…聞こえないようにうそぶくディックに、デイヴが答える。
「ひでえ言い草だな、まったく。クソオヤジはねえよ、こちとらまだ26だぜ」
「う、うるせえ!26にもなりゃ、十分立派なおっさんだ!もうじきビール腹の仲間入りだ!健康のためにスカッシュをやる老いぼれの一人になるんだよ!
そのうち、ミネラルウォーターを飲んでカロリーに詳しくなるんだ!あと4年で30なんてほとんどジジイじゃねえか! もし俺だったら、あんまりにも気が滅入って首を吊るね!」
若干涙目になりながらもまくし立てるディック。
「首吊りの足を引っ張るような御意見、ありがとさん」
気にもとめずにディックをあしらうデイヴ。
「とりあえず今はこのアンノウン共と、あのガンダムタイプにどんなお土産を渡して帰ってもらうかだな。ケンカの続きは後でやろうぜ」
「…ったく!黙って聞いてりゃ、どの口がそんなこと言えるってんだよ!」
気を取り直したのか、いつものように不遜な態度のディック。
「仕切るのはこの俺、ディック・オメコスキー様だ!…ああ、何度でも言うぜ!足引っ張るんじゃねえぞ、クソオヤジ!!」
「クソオヤジはやめろっての!」
先ほどまでの完璧な陣営を見事なまでに再現しつつ、流麗に舞うようにして、二機のMSはガンダムマルスへと向かっていく。
747 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:43:12 ID:???
どれくらいの時間が経ったのだろう。 自分が死んでいないことを理解して、瞼を開く。
体を包むような若干の浮遊感。
「宇宙……!?」
クランが驚きの声を上げた。モニターに映る景色は、地上のものではない。
気がつくと、機体は宇宙にいた。
「接近する機体を確認。殲滅する」
モニターがこちらに向かってくる数機のMS、ローズを映し出す。
「何をするの……?」
嫌な予感がして、クランが少女に問う。
少女は、冷たく、まるで人形のような瞳で、それらを見ていた。
機体が持つ二丁のバスターライフルが、エネルギーを収束する。
そして次の瞬間、巨大な光の渦が、ローズに向けて放たれた。
「ああっ…………」
眼前の光景に、クランは自分の目を疑う。
光の渦は数機のローズを包み込み、そして跡形も残すことなく消し去ってしまった。
「私は……わたしは……くっ、うああああああ!!」
ローズを消し去った直後、突然、頭を押さえ少女は苦しみ始めた。そして面を上げ、再び呟く。
「来る…!」
今度は一体何が来るのか、そして一体何が起こるのか。
苦しみもがく少女を見ながら、クランはただ得体の知れない不安に、震え続けた。
「!」
自らの機体に迫りくる二機のMS。アレスはガンダムマルスのビームガンブレードのトリガーを引く。
「邪魔だ!」
放たれるビームライフルの雨を、かいくぐり避け続けるディック。
一方のデイヴは、自らの回避能力がお世辞にも良いとは言えないとわかっているので、ディックの駆るムウシコスに張り付くように身を隠し、共に回避する。
「この俺が!そんな単純な軌道のビーム、食らうかっての!」
全てのビームライフルを紙一重で避け、ムウシコスはビームサーベルを抜く。
ムウシコスとマルスの距離は、接近戦にちょうど良い間合いとなっていた。
(こいつ、出来るな…!そしてあのグワッシュ…!)
目を細めるアレス。そしてフッ、と薄く笑い言う。
「これで終わりと、思ったのか…?」
「何!?」
思い切りサーベルを振りかぶったムウシコスに、マルスのカメラファンネルが襲いかかる。
「なんだ、この武器は!?」
「!?」
見たこともないような武装に明らかな戸惑いを隠せないデイヴとディック。
襲い来る光の矢が、縦横無尽に宇宙を駆け巡る。
(ビームライフル…?いや、違う!これは一体…?)
得心のいかぬまま、しかし目の前の現実、死を誘うファンネルからの猛攻を避けなければならない。
748 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:44:02 ID:???
「ぐあっ!」
サーベルを振りかぶった体勢のムウシコスは隙が大きい。ファンネルの一つが左足に被弾する。
(あいつの回避能力をして避けられねえのかよ!?)
冷や汗をかくデイヴ。しかしMSの操作を中断するわけにはいかない。
この状況で、少しでも休憩することは油断に他ならない。油断は隙を生む。隙は命を奪う。
デイヴは冷静な判断で、ムウシコスのカバーに回る。
残り七基のファンネルが一斉に、隙の出来たムウシコスに突き刺さるべく襲い来る。
(今の俺に出来ることは…!)
デイヴはグワッシュの持つリニアライフルを投擲、一基のファンネルを阻む。
続けてプラズマソードを投擲、これもなんとか一基のファンネルを防ぐことが出来たようだ。
残りの五基をどう阻むか。加えてガンダムマルスがビームサーベルとビームガンブレードの二刀流で、デイヴのグワッシュへと向かっていた。
デイヴのグワッシュに、もう投擲してファンネルを阻めるような武装はない。加えて、左腕が損傷している。
向かってくるマルスに対抗し、これを打ち払うことなど絶対に不可であった。
(クソ、どうにもできやしねえ!俺はまた、助けられないのか…!?)
デイヴは死を覚悟した。しかしそれ以上に、一人の人間を助けられないという己の無力さを再び噛締めていた。
三基のファンネルが、それぞれムウシコスの頭部、背部スラスター、右腕を破壊する。
(野郎、確実に息の根を止めるつもりか!)
だったら!
デイヴはスラスターをフル稼働させ、ムウシコスの前面に出る。
「ぐっ!ああああ!」
マルスの斬撃を紙一重で避け、ムウシコスを襲う二基のファンネルから身を挺して庇ったのだった。
「!」
驚きを隠せない表情のアレス。
この状況で自らの斬撃を避けたデイヴに驚いたというのもあるが、彼にとって信じられなかったのは、デイヴがディックを庇うという行動に出たことだった。
ファンネルの一つが、コクピット部分に被弾し、グワッシュの装甲が剥げる。
グワッシュからはデイヴの顔が見える状況となっていた。
ヘルメットにひびが入る。出血もしているな…!デイヴは苦しみの中そう思った。
「バカ野郎!俺を庇ったのかよ!何でそんなことをした!」
叫ぶディック。
「…知るかよ!体が、勝手に動いちまった、んだよ…!クソガキは黙っておうちでママのおっぱい吸ってろってな…これでわかったか?」
身を走る痛みに気を失いそうになりながらも、デイヴは言う。
「お前…!このままじゃどっちにしろ、二人ともアイツにやられるぞ!何で自分だけでも逃げようとしなかった!?」
いつしか人を信じる、ということを忘れかけていたディック。
今までの彼がデイヴと同じ立場だったなら、彼は迷わず仲間を切り捨てていただろう。
そしてその仲間のことを笑うのだ。アイツは馬鹿だと。
腕が立たないから、運が悪いから、などという理由で、胸に湧き上がる何かを無理矢理押さえつけて。
749 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:44:58 ID:???
「ヘッ!旅は道連れ、世は情けってよく言ったモンだよ。クソガキ、てめえもこのクソオヤジの三途の川への旅立ち、付き合ってくれや」
要するに、お前ひとりを死なせはしないってことなのだが、この一言はアレスにも多大な影響を与える。
一見して性格は違えど、アレスもまた、デイヴの立場だったならディックと同じ行動を取ったであろう。
「さあ、ガンダムパイロットさんよ、さっさと殺せよ。出来る限り楽に頼むぜ」
これ以上生きていても楽しいことなど何もない…そう言わんばかりのデイヴ。
対して、顔を俯かせたアレスは思う。
(この男、死に急いでいるのか…?)
同時に、デイヴの行動に確かな敬意を払い、彼の宗教「コンパニヤ」式の挨拶、胸の前で静かに十字を切る。
「これもケジメだ。お前達の善戦を讃え、今その御魂を神の元へと返してやろう」
面を上げ、ビームサーベルとビームガンブレードを構える。
しかし、アレスの動きは再びそこで止まることとなったのであった。
(あの男…!)
グワッシュから覗くデイヴの顔を見て、その表情に驚きが走る。
ドン!
静寂という静寂が心ゆくまで静寂した後、マルスに向けて放たれた一閃のビームキャノン。
「!」
間一髪でそれを避け、振り返るとそこには、目覚めてはならない魔神・ガンダムドルダがいた。
「何だ、あの機体は!?」
ローズ四機と交戦中の第七次調査団所属、シヴォーフ・ラーグが言う。
同じくネルネ・ルネールネ、ゲイリー・ターレルもドルダの方を向く。
ローズパイロット達も戸惑いを隠せないのか、ドルダとマルスが静かに対峙するのを固唾を飲んで見守っていた。
戦場が戸惑いに飲まれ、誰もが動きを止めた。
ただ一人、ドルダに搭乗しているクランだけが、その身をかすかに震えさせていたのだった…
しかし、一人の男の愚行により、その静寂は引き裂かれ、その場にいた人物は皆、抗うことのできない圧倒的な暴力の存在を知ることとなる。
「アレが、俺らの目的か!おい!サッサと滷獲すんぞ!」
四機のローズがこぞってドルダに向けてビームライフルを撃つ。
が、ドルダは微動だにしない。ドルダを操る謎の少女も無表情のままである。
「貰ったァ!」
ビームサーベルを抜く四機のローズ。
750 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:46:17 ID:???
「止せ!」
アレスの制止。しかし彼らの耳には届かない。
不意に、少女が言う。時間さえも支配するような声で、しかし静かに…
「Doll-daシステム、起動。ビームジェネレーター、展開」
キイィィィンン…静かにその身に輝きを灯すガンダムドルダ。
身にまとうみの虫のような大型フルシールドが一斉にパージする。
「!」
その場の誰もが、目を疑った。装甲をパージ…!?
ただ一人、クランだけはその事実を知らなかったのだが。
展開したシールドの中には、これまでの滑稽で無骨で無機質なガンダムドルダの姿はそこには無かった。
両肩のビームジェネレーターから天まで届くと思うほどのビームシールドが発生・収束し、その身を包む。
ビームシールドはローズの放ったビームライフルを弾き、そしてビームサーベルの斬撃をも受け止めてみせたのだった。
「な、何!?」
戸惑うローズパイロット。しかし次の瞬間、彼らは気体と化していた。
ドルダの放った二丁のバスターライフルの閃光が、音もなく彼らの命を奪っていたのだった。
再び訪れるは、静寂…否、空白。
その命、その存在を始めから無かったもののように扱う魔神。
クランが、デイヴが、アレスが、ディックが、シヴォーフが言葉を失う。
目の前に存在する絶対的な恐怖。圧倒的な存在。
クランは、どうしていいかわからなかった。
デイヴは、死を覚悟した。
ディックは、言葉が出なかった。
シヴォーフは、今すぐにでも逃げだしてしまいたかった。
ただ一人、アレスのみが恐怖に打ち克ち、鋭い瞳で魔神を睨みつけていた。
(ドルダ…!目覚めたということは、シンシアは…?)
二刀流の構えをとり、脚部のビームブレイドを発生させるマルス。
絶対的王者としてのドルダが、マルスごときの不敬な動きを見逃す筈もなく。
アレスは言う。己を鼓舞するため、恐怖に打ち克つため。
「ドルダ」
皆が一斉にマルスに注目する。
「そこを退け。俺は今からお前のいた遺跡に向かい、ある人物に会わなければならない」
ますます混乱する一同。
今度は、クランだけがその答えを見出すことが出来た。
(ある人物って、まさか…?)
クランは、ドルダを操縦している少女を見る。
(彼女、シンシア…?)
だとしたら、目の前の真紅の機体を駆る人物は。
幼き日に、自らの無力を悔いた少年なのだろうか…
(そんな、まさか…アレス、あなたなの…?)
その澄んだ瞳が、悲しみに塞がれる。
「ガンダムマルス、アレス・ルナーク!これよりガンダムドルダを駆逐する!」
紅き戦神と、蒼き恐怖が、その運命を交叉させる。
四話 終 五話に続く
751 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:48:21 ID:???
そんなわけで、ドルダvsマルスは次回に持ち越しになってしまった…
じゃあサヨウナラ
752 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 03:09:36 ID:???
GJ
だんだんと本家からもアナザーからも違う道に向かっていく新設(・∀・)イイ!!
記憶喪失の少女は本当にシンシアなんだなw
あとメ欄のコメントは叩かれるもとになるかもしれないからやめたほうがいいと思う
753 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 03:10:54 ID:???
×新設
○新説
親切とも変換ミスして打ち直したのにこの有り様だよ
754 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 04:11:23 ID:???
>>752
俺も思ったw
シンシアの今後の扱いが気になるな。
それと普通に上手いと思うんだが…
755 :571:2008/11/26(水) 17:27:15 ID:???
エルト氏GJ!!
ついにドルダとマルスの!!対!!決!!
次回が楽しみです
756 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 18:09:00 ID:???
>>589
>>595
>>727
757 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/26(水) 20:49:26 ID:???
エルト氏、乙です!文章表現が素晴らしい!
まさか自分のキャラデザでキャラが動くとは…光栄です!
ドルダVS.マルス!熱くなりそうですね!
あと、デイヴとクランの接触が気になります。
758 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/27(木) 00:02:34 ID:???
どうも。遅くなりましたが、新説のMS設定、投下します。
まずはその1。
MAS-006 ローズ
所属:ダイモス・火星義勇軍
武装:
ビームライフル×1
ビームサーベル×2
シールド×1
バルカン×2
詳細:
地球圏との戦争に向けて開発された火星コロニー群の主力機 。
MASとはMars Action Suitの略である。主兵器のM-69tmビームライフルは火星コロニー群の優れた技術を存分に使用した最新兵器である。
地球及び地球圏コロニー群の最新鋭機であるムウシコスやガーランドよりも機体性能は高い。
全身を赤く塗装してあるものが多い。
GEY-004 ムウシコス
所属:第七次調査団、地球連邦軍
主なパイロット:ディック・オメコスキー、シヴォーフ・ラーグ
武装:
ビームライフル×1
ビームサーベル×2
ビームバルカン×2
ビームキャノン×1(ディック機のみ)
ビームガトリングガン×1(シヴォーフ機のみ
詳細:
アルフ・スメッグヘッド教授が設計した、地球連邦軍の最新鋭機。
地球連邦によるビーム兵器搭載型の量産MSとしては初の機体となる。
白を中心としたカラーリングである。
選ばれたエリートパイロットのみが搭乗することができる。
759 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/27(木) 00:04:13 ID:???
その2。
EA-002 グワッシュ
所属:第一次調査隊、第七次調査団
主なパイロット:
クラン・R・ナギサカ、デイヴィッド・リマー、ゲイリー・ターレル、ギデオン・マクドガル
武装:
リニアライフル×1
プラズマソード×1
100mmマシンガン×1
作業用アーム
詳細:
火星開発公社の開発した、初期量産型MS。
地球連邦軍、地球圏コロニー、火星コロニー軍などで幅広く使用される最もポピュラーな機体。
EA-003Wドグッシュ
所属:第七次調査団、地球連邦軍
主なパイロット:ネルネ・ルネールネ、カマッセ・ドッグ
武装:
カントーン・リニアライフル×1
高周波ブレード×1
詳細:
地球連邦軍の主力MS。グワッシュをベースに戦闘用に改造した機体。
武装はシンプルに上記の二つのみ。カントーン・リニアライフルには高出力モードが存在する。
何かあったら言って下さい。ではサヨウナラ
760 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/27(木) 12:37:57 ID:???
バルド氏いつも早いまとめ乙です!
761 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/27(木) 22:10:22 ID:???
あれ…?
762 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:37:14 ID:???
Doll-Device Archive No.04 コロニー ナンバー・トゥエンティナイン
デブリの密集宙域を突き進む輸送船。
ぶつかるデブリに、船体は大きな揺れを伴っていた。
「くっ……これで、船はもつのでしょうか」
サブコントロール席に座るクランの顔が曇る。
「祈るしかあるまい。いざとなれば、人型に乗り込んで逃げればいい」
操縦桿を握りながら、ギデオンが言い放つ。
ギデオンの計画。
紫藤兄妹の乗っていた作業艇をオートパイロットで、輸送船とは別の方向へ発進させる。
作業艇はデブリが少ない宙域へ。そして輸送船はデブリの密集宙域へ。
通常なら、密集した宙域などに突っ込ませる馬鹿はいない。そう考える。
部隊を分けるにしても、密集宙域に向かう機体は少ないと狙った。
「クレイジー……だわ」
サブコントロール席につくミランダが、冷や汗を流しながら呟いた。
最大速度でデブリの中を進行する。
デブリは輸送船に衝突し、揺れは酷くなるばかり。
しかし致命傷になるような被害が出ないのは、ギデオンの操縦の賜物だろう。
(デブリ宙域の航行経験3回……伊達ではないということね)
経験のなせる技。
763 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:40:51 ID:???
未経験の自分ではこうはいかないだろうと、クランは素直に感心した。
「間もなく、デブリ帯抜けます」
宙域図を映したモニターを見ながら、ミランダが報告する。
しばらくすると、揺れが収まっていった。
輸送船はデブリ・8
764 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:41:47 ID:???
>>763訂正
未経験の自分ではこうはいかないだろうと、クランは素直に感心した。
「間もなく、デブリ帯抜けます」
宙域図を映したモニターを見ながら、ミランダが報告する。
しばらくすると、揺れが収まっていった。
輸送船はデブリ宙域を脱出したのだ。
「独立派の機体、来ます!」
焦りが混じった口調でクランが言う。
「ドルダ、発進だ!」
待っていたとばかりに、ギデオンが声を上げた。
格納庫では、ヴァイス達が発進準備を進めていた。
「すまねぇ。お前に頼っちまって」
「うぅん。わたし、みんなを守るよ。お姉ちゃんの、大事な仲間だもん」
ヴァイスにそう言うと、シンシアは小さく笑って、ドルダのコックピットハッチを閉じた。
「怪我したら、モモが手当てしてあげますからね~!」
「戻るぞ。エアロックが開く。シオンもすまねぇな。手伝ってくれてよ」
ヴァイスとモモとシオンは、格納庫を出る。
「俺は別に。でも、俺と年が変わらない、あんな子を……」
言い辛そうに、シオンは口篭もらせた。
ヴァイスもモモも、その事に関しては表情を暗くさせる。
「あの子は……違うんだ」
そして、ヴァイスはろくに言葉も紡げず、そう返した。
765 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:44:19 ID:???
3人と壁一枚を挟んだ向こう。格納庫のエアロックが開く。
シンシアはまたズキズキと頭を刺激する鈍痛に耐えながら、ドルダを輸送船から発進させた。
ドルダに乗ると、頭痛が走る。
この機体に自分の無くした記憶に関する鍵があるのか。
「私は、なんなの」
凍てつくほど冷たく、シンシアは呟く。
だが、そんな自分にハッとする。
こんな冷たいような言い方、皆やクランがいる前ではしなかったのに。
シンシアは首を振り、モニターを見据える。
「…………来た」
思考の中に直接、機体が接近してくることが伝えられる。
これがドルダの能力なのは、或いは自分にそのような力があるのか。また別の何かか。
わからないまま、シンシアは戦いを始める。
「やはり戦う気か。良いねぇ。喧嘩っ早くて」
そんなシンシアとドルダに対して、マイケルとディランの駆る2機のローズが迫る。
「一度手を合わせただけだけど、模擬戦で僕を敗かせたニコラス・スウィフト君を唸らせたモビルスーツ。
実に興味があるね。いや、羨望に近いかもしれない。その力があれば、生きることがもっと楽になるよ」
戦うことが生きること。
生きる目的。
766 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:46:49 ID:???
そう考えるマイケルにとっては、ドルダという機体は魅力的なのかもしれない。
「ディラン、相手はビームが効かないから、気を付けるようにね」
『了解』
速度を上げ、ドルダに一気に近付く。
「さぁ始めようか。生きるための戦いを!」
2機はレイピアを抜き、ドルダに攻撃を仕掛ける。
「速い!」
レイピアによる攻撃も、機体の動きも。
シンシアは間一髪でそれを避け、間合いを取ろうと後退した。
「駄目だねぇ! 敵に後ろを見せちゃ!」
嬉しそうに、マイケルが言った。
そのまま接近し、ドルダの背部に蹴りの一撃を加える。
一瞬の激しい揺れに襲われるドルダ。
「あくっ……なに!? ろくな攻撃を与えず、こちらを挑発してるの!?」
直ぐ様向き合い、マニピュレーターからビームを発生させ固定する。
そして、マイケルのローズに斬りかかった。
「おっと危ない! ビームを固定するとはね。聞いていた通りこちらを凌駕する技術力だ!」
相手の行動を見ながら、余裕をもって機体を動かす。
飄々とした口調は、実力を伴ってのもの。
戦うことを生きる糧とし、それを楽しみとした男の、
何度も死線を掻い潜った経験からくるものであった。
767 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:50:56 ID:???
「ディラン、そろそろアレを使うよ」
『わかった』
ドルダから距離を取る2機。
ローズの肩部のハードポイントに付けられた空のウェポンラックが開く。
否、正確には空、であった。
ビームライフルとレイピア。これが標準装備であるローズ。
後々追加される武装のため、各所にハードポイントが設置されているのである。
そんなハードポイントに付けられたウェポンラックの中には……
「あぁぁぁ!!」
ドルダに何かがぶつかっていく。
一度ではなく、何度も連続して機体に衝突した。
「うっ、これは……デブリ?」
ドルダの周りに散らばる、機械や何かの装甲と思われる物の残骸。小型のデブリだった。
それが、ドルダに命中していく。
「君達がデブリを利用したように、僕達もデブリを利用させてもらったよ」
ビームが効かない相手。
接近すれば固定した剣状のビームに攻撃される。
そして一時でも攻撃する間を与えれば、
「この……いたぶってえええ!!」
腹部のビーム発射口が開く。
「広域ビームが来るぞ! 奴の後ろに回るんだ!」
いち早くそれを察し、マイケルは声を上げた。
「くっ……!」
768 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:54:52 ID:???
その指示に反応し、ディランは機体を旋回される。
直後、ドルダの腹部からビームが放たれた。
辺りのデブリが薙ぎ払われていく。
その圧倒的な破壊力に、ドルダに背後に回り込んだマイケルもディランも圧巻される。
「これは……喰らってたらオダブツかな」
『隊長、相手は疲弊している。一気に畳みかける』
ディランのローズが、再びレイピアを抜いた。
「待つんだ!」
マイケルの焦った声。
それに反応したディランは機体を制止させる。
ディランのローズの目の前を、ビームの一閃が掠めた。
「これは、輸送船からか!」
ディランはカメラを遠方に位置する輸送船に向ける。
「なんとか……撃てたぜ……」
全身に汗をかきながら、ヴァイスが呟いた。
開いた格納庫のハッチから乗り出したローズが、ビームライフルを構えている。
「奴等め……!」
『ディラン。やめるんだ』
「何故だ隊長!?」
『僕が止めなきゃ。君は死んでた』
「!!」
マイケルの言葉に、ディランは絶句する。
「火星調査隊の諸君。今日は素直に敗けを認めよう」
苦笑して、マイケルは言った。
そして、2機のローズは宙域を離脱していった。
769 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:58:26 ID:???
「撤退、したのか?」
離れていく2機のローズを見ながら、ギデオンが言う。
「シンシア、聞こえる? 独立派はいなくなったわ。帰ってきて」
クランはドルダに通信を送った。
だが、返事がない。
回線は繋がっている。声は届いているはずだが。
「シンシア? どうかしたの?」
『ハァ……ハァ……』
「シン……シア?」
『ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……』
荒く呼吸を繰り返す少女の吐息。
クランの顔から、血の気が退いた。
(私はシンシアに……重荷を……)
胸の辺りの服をぎゅっと掴んで、クランは唇を噛んだ。
「ヴァイス。操縦が慣れない内に申し訳ないけれど、シンシアを回収してあげて」
『どうした?』
「お願い……!」
強く、切羽詰まった言い方で、クランは懇願した。
そんなクランにヴァイスはそれ以上何も言えず、黙って機体を発進させた。
ギデオンもミランダもかける言葉を探し、結局何も言えずクランの様子を見守るだけであった。
それから数時間後。
ドルダを回収した輸送船は、当初の目的通り第29コロニーに向かっていた。
「第29コロニー、見えました」
ミランダが言う。
770 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:32:58 ID:???
「燃料ギリギリでしたね……」
ほっと一息ついて、微笑んでクランはギデオンを見た。
「救難信号を出せ。コロニーのほとんどが制圧されたという。一難去ってまた一難とならなければいいが」
気丈な口調だったが、不安を含むその言葉に、クランもミランダも少しばかり気が張った。
いくらドルダという強大な力を持っていても、自分達はその使い方をわかってはいない。
追撃から逃げられたが、マイケルの『所詮は一般人』という考えは、ある意味正しかったといえる。
救難信号に気付いてか、コロニーから数機のローズが出てきた。
「誘導信号を受信しました。コロニーへの収容を了解したと」
「良かった。独立の強硬派といっても、好戦的な人ばかりじゃないのね」
「まだわからんよ」
ギデオンの瞳は未だに、気丈の中に不安が混じっていた。
ローズの誘導により、輸送船がコロニー港へと着船する。
「こちらが火星から脱出してきた公社の火星調査隊であると報告したところ、離船するようにと通達が着ました」
ミランダがギデオンに顔を向ける。
ギデオンは瞼を伏せ、静かに息を吐いた。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
771 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:37:12 ID:???
重苦しく、そう呟く。
ギデオンは船内スピーカーのスイッチを入れた。
「皆、聞いてくれ。コロニーに到着した。船を降りるので集まってくれ」
子供達には冷静に。
微塵の不安も感じさせてはいけないと、ギデオンは思った。
そしてこれからは、その不安さえ捨てなければならない。
(私には16回の隊長職の自負と、プライドがある)
ギデオンはクランとミランダと共に、操縦室を出た。
通路には、ギデオンの放送を聞いたヴァイス達が待っていた。
あれから落ち着いたシンシアは、一目散にクランに抱き付く。
命からがらコロニーを脱出してきた紫藤兄妹は、また同じような状況に二人寄り添って離れない。
(この船に乗る全員、生還させるのが私の仕事だ!)
襲ってくる者、追ってくる者。それから何としてでも逃げ、生き延びねばならない。
これは降りかかる災害。調査の延長。
任務はまだ、終わっていない。
隊を任された己だけは、完全な安全が訪れるまで、気は抜けないのだ。
ギデオンはパネルを操作し、輸送船の乗降口を開く。
その途端、開いたそこから一斉に、ライフルを構えた者達が押し寄せてくる。
772 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:39:09 ID:???
ヘルガが恐怖に「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。
突き付けられる銃口に、クラン達調査隊の者は手を上げて無抵抗なのを示すしかない。
クラン達は互いを見て、何が起こっているのか確認しようとしていた。
ライフルを構え、その銃口を向けるのは、火星独立派の者とは到底思えない。
何故なら、彼等は地球圏連合軍の制服を身に纏っていたのだから。
773 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:41:31 ID:???
ここでCM。アイキャッチはホールドアップする調査隊の面々。
第4話前半終了です。
バルドさん、学園ドルダと差違が生じてしまい申し訳ありませんでした。
第3話の後編は7月の時点ですでに出来上がっていたもので、それをそのまま投下したものであります。
ディラン、紫藤兄妹の登場は第3話前半の時点で決まっていました。
第3話前半での、
> 数で劣る勢力にとって、少年兵を起用することは珍しくないことだ。
という一文は、ディランの設定投下時の説明を引用したものです。
ただし、本家ドルダでの義勇軍はそれほど非道ではないので少年兵を起用することは余りありません。
紫藤兄妹に関しては、デブリ帯=ジャンクの中にいた作業艇に乗る少年と少女。
そして少女の「お兄ちゃん」という発言から投下されたキャラクター設定の中の紫藤兄妹ではないか、
と連想させ、後半にディラン共々登場させてそれを明かすつもりでおりました。
スレが落ちたという私の思い込みから、説明不足でこのようなミスを犯してしまったことをお詫びします。
CM終わり。アイキャッチは眼光鋭い謎の眼鏡美女。
774 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:44:45 ID:???
地球圏連合軍の制式ライフルを突き付けられたまま、クラン達は輸送船を降ろされた。
降り立ったコロニー港のエントランスでは、複数の兵士に取り囲まれ守られている女性士官の姿があった。
「貴様等が、救難信号を出した公社の調査隊とやらか」
眼鏡をかけたきつい目元。
口調も厳つく、他者を寄せ付けようとはしない。
「そうですが、貴殿は」
ギデオンが冷静に返す。
「私は地球圏連合軍火星方面駐留軍司令代理、メリリヴェイル・ルシェッタ大佐だ」
高圧的な態度。蔑むような眼差し。
自分の信じるもの以外、全てを拒絶しているような、そんな深い色の瞳。
彼女、メリリヴェイルに、ギデオンやクラン達調査隊は気圧され、子供達は怯えていた。
「貴様等の身元が証明されるまで、拘束させてもらう」
「待って下さい。せめて子供達だけは……」
「聞く耳を持たん!!」
ギデオンの訴えが一蹴される。
「子供達だけでは、だと? その子供達が敵のスパイではない確証がどこにある」
キッとギデオンを睨んで、低い声で言った。
その言葉は凶器と変わらない。
「そんなことあるかよ! 俺とヘルガは奴等から必死で逃げてきたんだぞ!!」
775 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:48:52 ID:???
激昂したシオンの声が、エントランスに響き渡った。
反発を生むのは、当然であった。
無抵抗な弱者を一方的に責めるようなやり方に、調査隊や子供達は皆、メリリヴェイルに快い印象は持たなかった。
怒りに満ちたシオンの視線にも、メリリヴェイルは動じることはない。
静かに懐から拳銃を取り出し、シオンに向けた。
「貴様等の意見は聞かんと言った」
メリリヴェイルの行動に、ヴァイスがシオンの前に出る。
ヘルガは、シオンの腕を掴んだ。先程よりも強く寄り添う。
クランもシンシアを庇うように抱き締めた。
「私は、今ここで貴様等全員を射殺できる権限を有している」
そう一言告げ、銃をしまう。
「身の潔白を証明したいというなら、我々に従ってもらおう」
それ以上の反論は、意味がないとギデオンは理解した。
言うことを聞かなければ、自分の、部下達の身に危険が迫る。
調査隊とシンシア、難民の紫藤兄妹は、地球圏連合軍に拘束された。
数時間に渡る事情聴取。
時間が経つにつれ、ギデオンとクラン以外の者は別室に移動させられた。
恐らくは訊き出せる情報がないと判断されたのだろうと、ギデオンもクランも考えた。
776 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 01:51:27 ID:???
そして、遂にこの二人にも、解放の時が近付いていた。
部屋に、メリリヴェイルと数名の士官が入ってくる。
「今までの無礼を詫びよう。火星調査隊の方々」
メリリヴェイルはギデオン達と対峙するように、向かい側の席に腰をかける。
相変わらず高圧的な物言いだが、その口振りからして二人は安心する。
「火星開発公社と連絡を取ったところ、君達の身元がここに証明された」
メリリヴェイルの部下が二人に書類を差し出す。
「シオン・シドー並びヘルガ・シドーも市民登録から確認が取れた」
「良かった……」
クランの口から、思わず安堵の言葉が漏れる。
「いや、まだ良くはない。クラン・リザレクター・ナギサカ副隊長」
メリリヴェイルの突き刺すような視線が、クランを襲う。
「シンシア・ナギサカ。彼女については別だ」
「あ、あの子はっ……」
「全火星コロニーの市民登録名簿に、そのような名前はなかった」
凍てつく視線に耐えられなくなったクランの目が泳ぐ。
じんわりと滲んでくる汗。
心なしか、鼓動も速まっていく気がする。
「公社から資料を取り寄せ、貴殿の過去を調べさせてもらった。
……貴殿の家族は、テロリスト・イヤーで死亡しているな」
777 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:26:35 ID:???
「デタラメですッ!!」
焦るクランが、勢い良く席を立つ。
イスが床に転がり、大きな音を立てた。
「シンシアは、あの子は、唯一無二の私の妹です!」
それはまるで、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
そんなクランに、メリリヴェイルは不敵に、小さな笑みを浮かべた。
「まぁ、いい。土産の4機の代わりに、このことは不問としよう」
「4機?」
「そうだ。火星独立強硬派、今では火星コロニー義勇軍と名乗っている者達の人型兵器。
モビルスーツ、ローズ。そして見慣れぬもう1機のモビルスーツは我々が管理する」
聞き慣れない単語に頭を整理しながら、クランとギデオンはメリリヴェイルの言葉に耳を疑った。
確かに、輸送船に積まれていた独立派、火星コロニー義勇軍の機体は、地球圏連合軍に渡すべきであろう。
火星コロニーのほとんどを制圧したという義勇軍からコロニーを奪い返し、
ローズを自軍の機体として運用しているのだから、宝の持ち腐れにしておくのは勿体ない。
だが、ドルダは別だ。
「報告書も見せましたし、取り調べの時もお話したはずです。
あれはその火星コロニー義勇軍のモビルスーツではありません!」
778 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:32:15 ID:???
ドルダを渡してはいけないと、そう直感的に思った。
あれはシンシアの、記憶を失った少女の鍵となる存在だ。
それに、あの強大な力は、地球圏連合軍にも火星コロニー義勇軍にも、渡してはいけないと思った。
「火星の地下建造物から発見されたあの機体は、火星での調査結果の生きた証拠に変わりありません」
「過去に我々の地球人類とは別の歴史が存在した、と?」
メリリヴェイルの目は、何も信じてはいなかった。
「私達はそれを地球の公社本部に持ち帰り、そしてこの計画に資金投資をした全ての国に知らせる義務があります」
ドルダがいなくなれば、シンシアは苦しまずにすむのかもしれない。
だが、記憶をなくした少女のために、ドルダは必要な存在だ。
(私は、シンシアを、あの子を……どちらも守りたい)
一度目も二度目の戦いも乗り越えたドルダなら、苦しむことはあっても、きっと死ぬことはないだろう。
それが、シンシアを守ることに繋がるのなら。
「詭弁だ! それを決めるのは貴様等ではない!」
机を叩き、メリリヴェイルは立ち上がって声を荒げた。
クランの曲げられない瞳。メリリヴェイルの折れない瞳。それがぶつかりあう。
779 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:36:17 ID:???
「ドルダ。この機体は我々が頂戴しますよ」
クランとメリリヴェイルの対立に割って入る一声。
室内にいた者全員が、一斉にその声がした方向を見る。
「失礼。白熱していたようだから勝手に入らせてもらった。
俺はカナン・ラヴホールド。公社が寄越した彼等の身元引取人です」
軽く頭を下げ、落ち着いた低い声でそう告げる。
「頂戴するは、どういうことだ……!?」
「公社(うち)のお得意さんが興味を示したみたいなんですよ。
そのお得意さん、火星駐留軍にも結構な援助をしているそうで……」
「軍を脅すのか……!」
「公社は地球側。つまりあなた方の味方ですよ。司令代理殿」
自信に満ち満ちたカナンの発言。
動揺を見せたメリリヴェイルは、机についた手をゆっくりと後ろに持っていく。
「良いだろう。勝手にするがいい」
「助かります。では、マクドガル隊長、ナギサカ副隊長、参りましょう」
「あ、あぁ……」
「えぇ……」
突然の助け舟。
流されるまま、ギデオンとクランはカナンの元に行く。
そして、部屋を出た。
「お姉ちゃん!」
すると、直ぐ様シンシアがクランに抱き付いてきた。
シンシアが来た方向をクランとギデオンが見ると、ヴァイス達も通路にたむろしていた。
780 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:42:24 ID:???
ヴァイス達もギデオン達に近寄ってくる。
「君達も無事で何よりだ」
「子供達はみんな寝てましたよ。モモも」
「モモは起きてましたよぉ!」
「どうだか」
膨れっ面で言い返すモモに、ヴァイスはニヤリと笑って見せた。
クランは腕の中にいるシンシアに顔を向ける。
「シンシアも寝ちゃった?」
「うん。色んなことあったから。でもクランに会えるって言われたからさっきまで待ってたの!」
「そう。でもこれから、しばらくはゆっくりできるはずよ。二人でいられる時間も多くなるわ」
クランが笑うと、シンシアも明るい笑みを返した。
あの数々な困難を乗り越えて、また揃うことができた。
クランもシンシアも、ヴァイスもモモも、少し距離を置いたミランダも、
シオンとヘルガも、皆嬉しそうに笑顔を浮かべている。
「ナギサカ君、すまなかったな。あの場面に加勢できないで」
「いえ、私も少し熱くなりすぎたかもしれません」
「私は、女性同士の言い争いが、どうも苦手でな」
「あら、奥様と不倫相手が鉢合わせなされたとか?」
図星だったのか、ギデオンは沈黙してしまった。
一斉に、ヴァイス達の笑い声が辺りを包む。
苦笑していたが、ギデオンは心に満ちる充実感に、彼等と同じように笑顔を見せた。
781 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:47:56 ID:???
そんな中、ヴァイス達に追い付くように、後ろから一人の女性がやってくる。
その女性は、カナンの隣に立った。
「改めて挨拶を。俺はカナン・ラヴホールド。火星開発公社火星コロニー支部人事課所属です」
「同じく、部下のヴァニラ・ヴァニニですわ」
軽い口調で言うカナンと、丁寧に頭を下げるヴァニラ。
調査隊と同じ、火星開発公社の役員。
「ヴァニニというと、火星開発事業におけるオブザーバーのヴァニナ・ヴァニニ女史の関係者か?」
ギデオンが疑問を口にする。
「姉ですわ。姉は女性器名称と似た自身の名にとてもコンプレックスを持っておりますの。
もし会った際はファーストネームでは呼ばないでやってくださいましね……ふふっ」
ヴァニラは首を傾げつつ、茶目っ気のある笑顔でそう言った。
挨拶もそこそこに、カナンは歩き始める。
それに続くヴァニラ、ギデオン達も追った。
「公社の施設だが、あんた達に部屋を用意した。今日はゆっくり疲れを取ってくれ」
カナンは小気味良く言い、顔をギデオン達に向けた。
「明日、会ってもらわなくちゃならないからな。あんた達とあの機体を、軍から解放した人に」
ギデオン達は、公社の用意した保養施設に案内される。
カナンとヴァニラは玄関で別れ、コロニー内の支部に帰っていった。
782 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:52:59 ID:???
「きゃーん! 久々のシャワータイムぅ!」
モモが嬉々として叫んだ。
女性陣は、真っ先にシャワー室を訪れていた。
「火星適応訓練のせいで、ここ最近はこうやってゆっくりとシャワーを浴びることもしてなかったわね……」
胸に温かいシャワーの水滴を当てながら、クランは体を火照らせていく。
「命の洗濯……ふう」
ミランダも満悦と言った感じで呟いた。
「ヘルガちゃんもそんな離れたところ使わないで、私の隣、使いなさい?」
端の個室で静かにシャワーを浴びていたヘルガに、クランが優しく声をかける。
「でも……」
「じゃあ私がそっちに行くわね」
クランはシャワーを止め、ヘルガのいる個室に向かった。
個室にクランが入ると、ヘルガは恥ずかしそうに顔を紅潮させて慌て始める。
そして、鎖骨辺りを手で覆い、隠した。
「そこ、どうかした?」
「いえ……別に……」
クランに訊かれ、慌てていたヘルガは急に落ち着いて、肌から手を離した。
クランは、「あっ……」と小さく驚きの声を上げる。
そこには塞がってはいるが、一目で銃で撃たれたとわかる、生々しい傷痕があった。
「もう完治はしています。テロリズム・イヤーの時に……」
「そう……」
783 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:57:14 ID:???
「私の元々の家族は、ドイツに住んでたんです。右隣の家は、ESEANUの軍の偉い人で、その家の子とは仲良しだったんです」
ヘルガは、遠い目をしながら言った。
「ある日の夜、その隣の家で銃声がしました。気付いた私達一家は、窓から隣の家を見た」
「……」
「その家の人達と、仲良しだった子が、撃ち殺されてるところでした」
淡々と、ヘルガは話していく。
過去を語るヘルガの瞳は、深い深い闇を映していた。
「お父さんは警察に連絡しようと電話機へ走り、お母さんは私を抱き締めながら震えてた。
でもテロリスト達は気付いて、私達の家にもやってきた。お父さんは撃たれて、お母さんも……」
涙が浮かぶ。
「崩れゆくお母さんの隣で、私もテロリストの一人に撃たれた。
でも、撃たれどころが良かったおかげで、こうして……」
撃たれた箇所を押さえて、ヘルガは震える。
ヘルガは必死に、全てを話そうとしていた。
クランは真剣な表情で、黙ってクランの話を聞き続けた。
「助かった後、テロリストはその軍の偉い人の反対勢力で、私達は巻き込まれたと教えてもらいました」
「そして、シオン君やシオン君のお父さんの元に引き取られたのね」
「はい。父子家庭で、男しかいない二人だけの家族の中に私が飛び込んだ」
784 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 03:02:43 ID:???
ヘルガは涙を拭い、なんとか笑顔を作ろうとした。
「初めはお互い四苦八苦してたけど……でも今は、お兄ちゃんもお父さんも、本当の家族だから」
「なら、心配ね。連れ去られたお義父さん」
「はい……」
作った笑顔も、消えていく。
クランはそんなヘルガの手をそっと掴み、自分の左手に、重ねた。
ヘルガにゆっくりと、自分の手を握らせる。
「! クランさん、これ……」
「私も同じだから。だから、絶対に独りで、抱え込まないでね」
クランはとても穏やかな表情をして、ヘルガに言う。
ヘルガは唖然としていたが、クランの言葉を受け止めて、ゆっくりと頷いた。
シャワールーム内はシャワーの水音に包まれている。
響くその音は、どんな会話も、打ち消すだろう。
一通り体を洗い終えたモモは、各自の個室を抜き足で覗きながら歩いていた。
そして、
「えいっ!」
「きゃあ!」
シンシアの声がシャワールームに響いた。
「どうしたのシンシア!? ……って、モモちゃん?」
「むむむ……これは」
「お姉ちゃん、助けてぇ!」
クランが個室に飛び込むと、モモがシンシアの胸を揉んでいたのだ。
「年はあんまり変わらなそうなのに、これは卑怯です!」
「大きい……」
モモは悔しさに声を上げ、クランと共に個室を覗き込んだヘルガは羨ましそうに呟いた。
785 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 03:05:45 ID:???
「クッ……負けたッ」
ミランダも唇を噛んだ。
「ミランダさんまで……もう、シンシアの胸は見せ物じゃないのよ!」
「クランさんは貧乳の悩みがわからないからそういうことが言えるんですよぉ!」
「どうでもいいから手をどけてぇ!!」
シンシアが絶叫する。
束の間の平和。なのかもしれない。
火星圏では、今も尚火星コロニー義勇軍の侵攻と、駐留軍の抵抗が続いている。
戦渦の中に、彼女達はまだ身を置いているのだ。
火星で発見された謎の機体と記憶を失った少女、そしてそれに関わる者達の困難は、続く。
To Be Continued...
786 :本家ドルダの人:2008/11/28(金) 03:19:04 ID:???
今回はまるまる一話分の投下だったので骨が折れました。
あと間違いがありましたので訂正します。
>>776の最後の行、『テロリスト・イヤー』となっていますが『テロリズム・イヤー』が正解です。
テロリズム・イヤーとは、クランの家族の死、ヘルガの家族の死、
本家ドルダ第1話でギデオンが調査任務に就いたL4第8コロニーテロ崩壊事件等
進宇宙暦の中でテロが最も多発した忌々しい年のことであります。
矛盾が出るといけないので正確な年は敢えて書いてありません。
これも本家ドルダを進めるにあたって出した設定なので、他の作品の方が合わせる必要はないのです。
ではまた後日。
787 :571:2008/11/28(金) 19:16:29 ID:???
本編ドルダの人GJ!!
地球とも火星とも違う立ち居地がいいですね。
地球連邦のメリリヴェイルも連邦の高級仕官ぽいですし。
788 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/28(金) 20:08:23 ID:???
本編ドルダGJ!&乙です!
やっぱりどのガンダムでも連邦は連邦ですねw
百合物でありながらガンダムらしい展開が好きです。
789 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 20:09:52 ID:???
いつも思うんだけど、sageじゃなくてsageってわざとやってるの?
790 :571:2008/11/28(金) 21:04:17 ID:???
>>789
申し訳ない。どうやらずっとsageとなっていたみたいです。
一応半角に戻しました。
ところでこの世界のお金って何でしょうか?
同じなのかそれとも地球と火星では違うのか?
AC(アースクレジット)とMC(マースクレジット)とかみたいに。
どうでしょう?
791 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 22:33:10 ID:???
571の人は名無しに戻っていいんじゃない?
792 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/29(土) 02:57:51 ID:???
S.A.E.S.社=桜花爛漫?
793 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/29(土) 11:52:35 ID:???
>>792
・桜花爛漫はMS製造の下請け有限会社。
・S.A.E.S社は民間用MSの管理や、テロや紛争を鎮圧する株式会社。
という感じです。とはいえ、まだ設定だけの登場なのですがw
794 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/29(土) 14:39:04 ID:???
桜花爛漫の製品をS.A.E.S.社が使用してるってことですね
わかりました
些細なことですが会社の形式まで有限、株式と決める必要はないのでは?と思ってしまいました
795 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/29(土) 19:57:57 ID:???
>>794
会社の形式は裏設定なので、あってもなくても良い設定です。
ただ、私としては意味のない設定にこそ遊び要素があると思うのです。
ご無礼を失礼します。
796 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/29(土) 23:12:34 ID:???
どうも、本編の人・バルド氏いつも乙です。
今から書き始めるんで、自分の方も早くて二時間後、遅くとも明日の夜には投下できると思います。
797 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/29(土) 23:40:50 ID:???
>>795
いえいえ、お気になさらず
こちらこそ気を悪くなされたらすみませんでした
ただそれが作品の枷にならないかと心配になったもので
>>796
wktk!
798 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:18:42 ID:???
さあ、出来た。途中でガンダムマイスターズやってたらえらい時間かかったなあw
じゃ、いきます
799 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:20:03 ID:???
新説ガンダムドルダ
第五話 死闘の果て
ずっとずっと、探していたんだ…
深い氷と闇の世界から、貴女だけを探していたんだ…
「ガンダムマルス、アレス・ルナーク!これよりガンダムドルダを駆逐する!」
先ほどデイヴ達と戦闘を行っていた時とは比べ物にならないほどの速度で、二刀流のガンダムマルスがドルダへと向かう。
(シンシア…)
その身に走る驚異のGに、顔を歪ませるアレス。
(何度でも、探し出すよ…)
激突するドルダとマルス。二刀流の太刀をドルダのビームフィールドが阻む。
(君の目、その手の温もりを…!)
揺るぎない瞳のまま、マルスはサーベル柄部を軸とし、そのままドルダに向かって宙返り、かかと落としを放つ。
ガァン!仰け反るドルダに対して、マルスが攻撃の手を緩めることはない。
片方のバスターライフルの銃口をマルスに向けるドルダの手首を、マルスの手刀打ちが弾く。
「…ッ!」
顔を歪める謎の少女。クランも戸惑いを隠せないでいる。
そのままマルスはドルダの懐に入り込むようにして、ビームブレイドを発生させたままの足で三日月蹴りを放つ。
(やはりビームは無効化されるか…!)
思い通りにならない目の前の敵に対して舌打ちをするアレス。
(それでも!)
仰け反るドルダに対し、三日月蹴りを放った足を軸足とし、さらに軸足を回転させ跳躍し、自らの背中を見せるマルス。
大きな隙が出来た、と思いきや…目にもとまらぬ速さでそのまま反対の足で勢いをつけると、大きく弧を描くようにして、軸足が舞いドルダの頭部を強く打つ。
「くっ!あああああああ!」
大きくよろめくドルダに、叫ぶ少女とクラン。
しかし少女は、すぐに冷たい瞳に戻ると、冷静な判断でマルスに腹部のビームキャノンの照準を合わせる。
「いっけー!」
収束するビームキャノンを間一髪で回避するマルス。一瞬のうちにMA形態に変形することで、マルスの下半身を狙ったビームを避けたのだった。
先ほどまでマルスの下半身を捉えていたビームは、出会うべき対象を捉え損ね、虚しく消えて行った。
800 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:21:01 ID:???
(だとしても!)
MA形態のままビームライフルを連射し、ドルダに特攻するマルス。
放たれるビームはすべて無効化されるも、連撃としての意味は成したようだ。
わずかな隙を見出し、一定以上の間合いに入りMS形態に変形、そのままドルダにラリアット、廻し蹴り、追い打ちの足刀蹴りを入れる。
「ぅぅ…あああ!」
衝撃から来るGに苦しむ少女。
ドルダのビームジェネレーターはビーム兵器を無効化するフィールドを発生させるが、実弾や実剣、MS等による格闘は防げないのであった。
一方でクランの方は、Gによる衝撃に苦しみながらも、頭の中では別のことを思い苦しんでいた。
先ほど偶然聴こえた通信…アレスという名…
もし目の前の真紅の機体のパイロットが本当に彼女の思い浮かべるアレスだったなら、この戦いは起こってはならないものだ。
(アレス…本当にあなたなの?)
それまで戸惑いと苦しみと幾らかの傷痕のみしか映し出していなかったクランの瞳が、今度は固い決意によって輝きを取り戻す。
(だとしたら、私はこの戦いを止めなければならない…!)
アレスとシンシア。シンシアとアレス。シンシアとアレスとクラン。
目の前の少女が本当にシンシアなのかはわからない。また、目の前の機体が本当にアレスであるのかはわからない。
しかしクランは、なんとしてもこの戦いを止めなければならない、とその心で決めたのであった。
「なんなんだよ、アイツらは…?」
装甲の剥げたグワッシュから、直接二機のガンダム同士の戦いを見つめるデイヴ。
見たこともない機体が、見たこともない装備を持ち、見たことのない状況で戦っている。
「クソッ!俺は一体どうすりゃいいんだ…?」
焦るデイヴに、通信が入る。フィリアからだった。
「デイヴ、皆、聞こえる!?」
緊迫したフィリアの声。どうやら現状を把握しているようだ。
「ああ。しかし聞いてないぜ、フィリア。お前の言う再スタートってのは、アンノウン同士のドンパチに巻き込まれることだったのか?」
皮肉を言うデイヴ。まあこのような理不尽な状況で、その気持ちはわからないでもないが。
「もう!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
「…へいへい。で?俺達はどうすりゃいいんだ?」
「全員とにかく現場より緊急離脱!急いで!」
フィリアが言い終わると同時に、今度はスメッグヘッド教授から通信が入る。
「何を言っておるのだ、シュード君!現場のパイロットは皆、あの二機のデータ収集を最優先とせよ!」
傲慢に言い放つスメッグヘッド。驚きを隠せない第七次調査団の面々。
ゲイリーなどは悲嘆の声を洩らし、泣き出しかけていた。
そんな中、一人デイヴのみが答える。
「おいおい、そりゃねえっすよ、教授殿。命あってのものダネって言葉、教授ともあろうお方が知らねえとは言わせませんよ」
「口答えをするな、この落ちこぼれ!」
「ハッ!これでもヨボヨボのアンタよかMSは操縦できるぜ」
「なんだと、貴様!」
「落ちつけよ、血圧が上がっちまう」
激昂するスメッグヘッドとニヤリと笑うデイヴ。
「実はこの落ちこぼれ、僭越ながらガンダムタイプと交戦したであります!」
おどけたように言う、しかしその表情は出来るだけ真面目になるよう努めていた。
「なに!?」
驚くスメッグヘッド。
「一応グワッシュのミッションレコーダーに記録、残ってんぜ。それでもまだウダウダ言うのかい?アンタの口は」
デイヴはスメッグヘッドに聞こえないように、一機分だけだけどな、と呟く。
こんばんは、もはや571がコテの571です。
エルト氏、新マルス設定GJ&乙です
自分的にムスペルヘイムの武装をもうちょっと多くするかしたほうがいいかと。
ドルダの破壊を目的にしているならビーム兵器よりも実弾兵器に比重を置いたほうがいいと思います。
ビームだとドルダのビーム集光機で防がれてしまいますから。
>>699
えーと、自分的には
1、基本的にバルド氏と同じ。
2、自分で言っといてなんだけど粒子を荷電して発射する武器ってビームライフルなのよね。やっぱ陽電子砲か?
3、自分的にデイヴィッドはSEEDアストレイの叢雲劾のような、戦闘用に作られた人間だと思ってる。
4、個人的には欲しい。どちらかというと傭兵みたいな、敵にも味方にもなるような立ち位置。
突然現れて襲ってきたり、ピンチのときに助けてくれたりと。A,C,E2のバスターアークみたいな感じ。
もうひとつ疑問。この世界火星コロニー生まれの人が地球に行くことは可能なのか?
デイヴとフィリアの会話を聞く限り地球は立ち入り禁止らしいけど、ディランの存在もあるし。
もしかして密入国ならぬ密入星?
702 :571:2008/11/23(日) 00:18:13 ID:???
長くなりそうなんで分けました。
また武装のアイデアが浮かんだので書きます。
今回は剣と盾。剣のほうは完全にオーパーツとなっています。
スルーしていただいてもかまいません。改変、つっこみはむしろ歓迎します。では
名称 クラウ・ソラス
完全実刃の両刃の長剣。MS用。ドルダやドルチェと同じ人の手の届かない存在。
ストライクのエクスカリバーのようなビーム刃はついていない。
この剣はファンネルのように遠隔操作が可能で、持ち主の手を離れても戦闘が可能。
ここまでならさして珍しくはないが、もうひとつ特徴がある。
それはビーム兵器を無効化させる力を持つこと。
これは剣自体から特殊な波が発生しており、その波によりビームが安定しなくなりばらけてしまうため。
そのため剣の周囲ではビームライフルはおろかビームサーベルやビームシールドといった全てのビーム兵器が無効化されてしまう。
無論敵味方関係なく、所有者のビーム兵器も無効化される。
先に述べた遠隔操作機能も射撃戦では邪魔になるからどこかに投げ捨ててもすぐ手元に帰ってくるようにつけられたもの。
材質は不明、現在の技術では解析できない。硬く、それでいて柔性もあるため、折れない。
これに対抗するにはこちらも同じく実刃の武器を使って抑える以外の方法はない。
なお、遠隔装置を持っている機体が破壊された場合、エネルギーが切れるまで近くの機体を敵味方関係なく襲う。
名前の由来はケルト神話に出てくる光の剣。
持ち主の手を離れてもひとりでにしかも必ず敵を倒す剣。しかも隠れた敵を探し出して倒す力も持つ。
名称 アームシールド
シールドの内側に2本のアームが収納されている盾。かなり重厚。
そのアームの力は非常に強く、戦艦の装甲を引きちぎったり、MSを押しつぶしたり出来る。
アームのイメージはファーストガンダムに出てきたMAピグロのクロー。
盾のイメージは0083のGP02のアトミックシールド。
盾の大きさはMSより少し大きいぐらい。アームもほぼ同様。
かなりの大きさだが盾自体にもバーニアが仕込まれているため機動力は高い。
格闘戦を想定して作られたため盾はビームサーベルを受け止められるようビームコーティングが施されている。
機体より大きいため機体を覆うように使えば全身を防御できる。
どうでしょうかこのオーパーツwwとくにクラウ・ソラス。
まぁ、あくまでもアイデアですから。無理に使ってもらわなくてもいいです。
でもクラウ・ソラスってビームサーベルには無敵だけどヒートホークとかには単なる剣に成り下がるんだよな。
これでバランスが取れるかどうか……
また長々とすいません。ではでは。
703 :571:2008/11/23(日) 00:20:21 ID:???
追記
クラウ・ソラスから発している波はマイクロ波とかα波とかそういうのです。
704 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 00:34:11 ID:???
マイクロ波って電子レンジやレーダーや通信に使われてる電磁波の一種で、α波は人間の脳内に出る脳波の一種。
全然違うモノだぞ。
705 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 00:42:40 ID:???
>>702
クラウ・ソラスじゃなくてフラガラック(アンサラー)じゃないのか?
706 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 06:45:40 ID:???
クラウ・ソラスってどっかのSSにも出てきたよーな
707 :571:2008/11/23(日) 12:41:34 ID:???
>>704
ご指摘ありがとうございます。
そこは自分が知っている「波」がつくものを適当に言っただけですから、まぁそんな感じの目に見えないものだと思ってください。
>>705
クラウ・ソラスはダーナ神族を率いたヌアダ(ヌアザ)の剣。フラガラックを持つルーはこの人の部下にあたります。
ただヌアダ自体が早々と退場してしまったためクラウ・ソラスはあまり有名ではないと思います。
>>706
残念ながらそのSS知らないんです。
ではでは。
708 :705:2008/11/23(日) 13:28:04 ID:???
>>707
クラウ・ソラス
クラウが剣でソラスは光の意味。
鞘から抜くと、余りの光ゆえに周りの目がくらむ。あるいは、相手は抵抗すらできずに二分される不敗の剣
フラガラッハ
「回答者」「報復者」の意味を持つ。
その一撃は鎧ですら受け止めることは不可能。
抜こうと思うだけで、ひとりでに抜け、手に収まる。敵に投げつければ、剣自体が敵を追いかけて倒し、自動で戻ってきて鞘に収まる。
また、フラガラッハでつけられた傷は治ることがない。
709 :571:2008/11/23(日) 15:28:04 ID:???
>>708
一応クラウ・ソラスにも、フラガラックと同じような力があったはずです。
あと、フラガラックよりもクラウ・ソラスの方がなんか自分的にかっこいいので。
まぁ、それだけです。
>>680
バルド氏、すいません、今頃パイスーを発見しました。
自分もそれでいいと思います。
710 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 15:30:24 ID:???
どうでもいいんだけど、エクスカリバーはインパルスだろ?
711 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/23(日) 15:39:49 ID:???
空気を読まずに俺登場。
全部拾えるかどうかは分かりませんが、武装案は投下して下さい
それに対する指摘やツッコミもどんどんどうぞ。
では、本題。
ガンダムマルス ムスペルヘイム
武装:
ビームバズーカ×1
捕縛用グラップルスティンガー×1
内蔵型ガトリングガン×4内蔵型マイクロミサイル
内蔵型ホーミングミサイル
ミサイルポッド×2
バスターソード×1
712 :571:2008/11/23(日) 19:04:51 ID:???
>>710
あ~俺の馬鹿!!orz
ストライクはシュベルトゲーベルだろうが!!俺の馬鹿!!
すいません、エクスカリバーじゃなくてシュベルトゲーベルでお願いします。
>>711
エルト氏GJです!!
実弾装備が増えてますね。内蔵型だからごてごてする心配もないですし、いざというときは増加装甲ごとパージできますし。
713 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 19:21:18 ID:???
ネーデル マーメイド マンダラ… Gガンは奇抜すぎて絞れねぇぇえ!ww
714 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 21:55:55 ID:???
マンモスガンダムもすごかった
715 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/23(日) 22:06:41 ID:???
皆さんGJすぎる!すっかりドルダも復活して来ましたね!
実は今日、HDDを増設したバルドです。
>>571氏
クラウ・ソラスはさぞかし危険な武器なのでしょう。
そして暴走後は宇宙を漂流し別の手に渡るという妄想w
>>701に関しては単なる自分の力不足です。そして現在、学園ドルダを
書いている上でそれを実感w
>>エルト氏
実弾で特にミサイルが良いですね!
脳内でガンダムマルスムスペルヘイムによる板野サーカスが展開してますw
前回募集したアンケートですが、総合すると
1、核分裂→核融合(ただしDOLLタイプは別)
2、陽電子砲
3、シンシアとエリスはNT的存在、デイヴはNTに近いOT
4、敵になったり味方にになったりする
でOKですか?
716 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:44:10 ID:???
学園ドルダ
グワッシュが構える40mm機銃。その銃弾が次々と銃口から旅立っていく。無数の銃弾の
目の前にはもう一機のグワッシュが双剣を手に待ち構えていた。一撃目は胸部。二~六撃目、
命中せず。七撃目~十三撃目、左腕部。十四撃目以降は全て双剣で弾かれた。やがて弾が
切れ、機銃からは音だけがした。パイロットが取った判断は機銃を捨てる事。定石。それに
変化を加えた。ただ捨てるだけでなく、相手に向かって投げる。当たれば軽いダメージを
与えられる。当たり所によっては優勢に導ける。当たらずとも相手の気を機銃にひきつける事
が出来る。さらに前方からの攻撃を軽減する事も出来る。これらのメリットをパイロットは
弾切れと同時に見出した。先ほどまで攻撃を受けていたグワッシュのパイロットはその手を
読んでいた。機銃が命中する1秒前に後退。理由は射程距離。どんな銃弾であろうと
放物線を描き、いずれは落下する。銃弾ですらない機銃本体の射程距離は短いにもほどが
あった。そして、後退する事で視野を広げた。攻撃を受けていたグワッシュのパイロットは
相手のパイロットに隙を与えなかった。機銃を投げると同時に回りこんだグワッシュは逆に
回りこまれた。結果、足を斬られて敗北する。
第三話 平和じゃなくなるのが怖いなら潔くそんな事は忘れて今を一生懸命生きよう
717 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:45:17 ID:???
「あっれー…なんでいつもディランに勝てないんだ?ってかなんであんなに強いの?」
煉滋がディランに対して言う。
「まぁ俺の父上が軍人だからね。小さい頃にコンピューターゲーム代わりにシュミレーション
で遊んでたんだよ…(その後、実際にパイロットになって訓練を積んだのだけど)…」
ディランが軽く返す。既にディランが転校して2週間が過ぎていた。
「なーるほど!そいつはそこらのコンピューターゲームなんぞより面白そうだなぁぁぁぁ…」
煉滋が幼さを感じさせる声から野太い声で歌うように言った。
「そうでもないさ、実際の戦闘と殆ど変わらないし、敵が迫ってくる恐怖感があるからね。」
ディランが鼻で笑う。
「むぅ…そう言われればそうかも。…っと。今日はは頃奈の新プログラムの発表だったな」
メールボックスに新着メッセージが届いていた。発表を午後に控えた頃奈は休憩時間を利用
して画面だけを見つめていた。新着メールの件名の項目を選択し、回覧が始まった。
「お返事が遅れてすみません。仕事が忙しく、ころにゃんさんに会えなくて寂しかったです。
お詫びと言っては何ですが、進宇宙記念学園の郵便局にマイクロハードディスクが届いている
ハズです。私の依頼主であるソフトウェア会社「水月」の新商品なのですが、まだ発売の
3ヶ月前です。でも、ころにゃんさんは親友なので特別にさしあげます。詳しい事は付属の
説明書をご覧ください。良いですね。今度、是非お会いしましょう。」
頃奈は上下左右に視線を泳がせ、静かに微笑む。返信を書こうとしたが、新規作成画面で
取り消した。なぜなら、この時頃奈は何よりも大切にしていた"誰よりも早く返信を書く"
というポリシーよりもI☆BU☆KIの作品を見たいという好奇心が優先していたからだ。
718 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:46:17 ID:???
放課後。頃奈は郵便局にいた。
「では、こちらの金庫になります。ご本人かどうかの確認のためパスワードのご入力をお願い
します。」
「…(認証ヲ開始シマス。暗証番号ヲ入力シテクダサイ)…」
緑を基調としたコンピューターの認証画面から合成音声が開始を告げた。メールに添付して
あったI☆BU☆KIからのパスワードを瞬時に記憶し、メモの一つもなしに慣れた手つきで
タイピングを見せる頃奈。普段、機械に触らない者は手遊びに見えた。
「0105079933774020401050340203213402383421042422421343232978923294929109392412…」
最後に決定キーを押す。その高らかな指使いは音楽の指揮者のそれに近かった。
「…(認証シマシタ。0801番金庫ノロックヲ解除シマス)…」
液晶画面に映る淡い緑色が一瞬白くなり、その直後に深い黒に染まった。
同時刻。ディランはすでに煉滋との訓練を終えていた。学生寮の自室で疲れを癒す間もなく
任務遂行と人間関係の間で葛藤していた。それは今に始まったことではなく、ディランは来る
日も来る日も無意識に頭皮をかきむしっていた。彼の爪は油とフケと血と腐臭にまみれていた。
火星軍のスパイでありながら、2週間も連絡を取ってないのは彼にとって故郷を失ったと同義
だった。
「そう言えば頃奈とディランってコロニー出身だったよな?なんで地球に入れたんだろう?」
ロビーでグレン・ベルが何気なく呟いた。コーヒーを飲んでいた煉滋が思い出す。
「確かー…頃奈の母親は地球出身だから…。で、あれ?えーっと…離婚して…親権が母親に
移った…だったかな?」
「なるほどー…、それなら納得だわな」
コロニー出身者が地球に入れる唯一の条件として、親族が地球出身者である事。ただ、頃奈に
とっては思い出したくもない過去なのだが。
「でもさ…ディランはどうやって入れたんだ?」
グレンが疑問に思う。その発言に二人は沈黙した。
719 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:46:50 ID:???
受け取ったマイクロハードディスクを携帯電話に挿しこむ頃奈。すると、青いウインドウが
開いた。いくつかデータがある。機械に詳しい頃奈は"Setup.exe"を選択。今度は全画面表示
になり、メッセージが表示された。
「"水月兄妹"をお買い上げいただき誠にありがとうございます。どちらをインストールします
か? →兄 →妹」
兄と妹。それぞれにカーソルを合わせると3Dグラフィックが表示された。兄はツンツンした
髪型に猫耳の二頭身キャラクター、妹はショートヘアーに猫耳の二頭身キャラクターだった。
頃奈は妹の方を選択。すると、携帯電話が再起動。画面構成は大幅に変わっていた。
「そっか、この子はOSなんだぁ…」
関心している内にまたウインドウが表示された。
「何だろ…?」
「お名前を入力してください」
「お名前…何がいいかなぁ…。やっぱり可愛いのがいいよね」
入力と取り消しの繰り返し。頃奈が思いついた名前はシンプルな名前だった
「初めましてなのです~。私の名前はヒカルなのです~。よろしくなのです~!」
「…よろしく、ヒカル!」
「そうだ!えーっと……………」
何を思いついたのかど忘れ。思い出そうと黙り込む頃奈。
「………………あ!」
思い出す。
「ヒカルにお家をあげるよ!」
「お家…?」
720 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:47:33 ID:???
それは日が暮れる6時間前。頃奈が毎日のように開発していたプログラムが先日完成し、
電子工学科による発表が行われた。司会者が進行する。
「えー…では続いての発表は本日最高プログラムです!電子工学科1年生、宗谷頃奈さん
お願いします!」
会場の入り口にスポットライトが当たる。期待する観客。しかし頃奈は現れなかった。
「いけない!バグを取って疲れて寝てたら遅刻しちゃった!もう始まっちゃってるよ!」
その時、頃奈は廊下を走っていた。廊下を走るなと注意する担任のクラーク・クラーク先生。
「頃奈…遅いなすとらいくりすます。」
煉滋が爽やかな声で真面目に茶化した。
「…お前、MSパイロットよりも声優か芸人にでもなれば良いんじゃないか?」
グレン・ベルが話題を作る。
「いや、俺はMSパイロットがいい。それでリアル・ヒーローになるんだぜ!…(ヒーロー
なんている訳ないだろ常識的に考えて)…」
「はっはっはっは…お前らしいな。また頃奈は寝てるんじゃないか?」
グレンの発言を横で聞いていたディランは笑顔の裏に汚れた顔が潜んでいた。ブーイングの
飛び交う会場。それを見て不機嫌な煉滋ご一行。それを見て一番困っている司会者。
「………えー、では宗谷頃奈さんは欠…」
ドアが開く。サイドで結んだ黒髪に大きな丸眼鏡。毎度毎度お約束の宗谷頃奈であった。
「…す…すいません…遅…れまし………た…」
先ほどから走ってきていたので息が上がってる。観客のだらけきった視線が頃奈を襲う。
「…あ…その…」
怯える頃奈。それに追い討ちをかける観客。
「お前が遅れてきてどれだけ待たされたと思ってるんだ!?」
「そうだそうだ!」
もう俯き、涙目な頃奈。自分のせいでもあるが、今までの積み重ねが無駄になったと考えると
とても寂しく悲しかった。救いの手を差し伸べたのはグレンだった。
721 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:48:42 ID:???
「黙ってろ!」
その一言で静まり返る。不謹慎だが悲しいことにコレもまたお約束。
「やれやれ、流石はうちの特攻隊長ざんすねぇ…」
煉滋が立ち上がり、深呼吸を2~3回ほど終えて、司会者のマイクを借りて言う。
「君たちは名前聞いてもすぐ忘れられるような顔をしてるくせに偉そうな事言わない!
頃奈は遅刻するのはお約束なんだからさ、軽く可愛いって笑い飛ばそうよ!全く…君たちの
ブーイングは笑えない!楽しくない!エンターテイメントじゃない!ただでさえ少ない尺を
君ら脇役のくだらない会話で時間取ると内容のない駄作になる事を君たちは知らないのか!
だから君たちは顔も名前も売れないんだよ!」
口を開け、ドン引きする観客。テンションも高く論点もずれてる煉滋の電波は常人には受け
入れ難い。ただ、それでも説得させる煉滋は凄いと思うグレンであった。
「はい!良い役お疲れ、俺。ディランくーん!開始の合図お願いね!」
「あの…司会者僕なんですけど…」
「君の声は冴えない。メインイベントなら女性ファンも男性ファンも確保できるディランが
言うべきでしょう」
「はぁ?…(コイツはどっかの映画監督か何かか?)…」
煉滋はマイクをディランに投げる。上手くキャッチ。
「了解した。それでは皆様、大変お待たせしました。電子工学科1年生・宗谷頃奈さん!」
「はい!よろしくお願いします!」
先ほどとは打って変わって歓声と拍手の嵐。
「私の発表はfixed言語によって開発したセキュリティソフトです!」
「…(おおおお!)…」
「このソフトは従来のセキュリティソフトとは真逆です。従来のウイルスが進入した瞬間に
ウイルスを絶対的に安全な場所に隔離するのに対して、このソフトは既存のデータの全てを
絶対的に安全な場所に隔離します」
「…(おおおお!!)…」
「…(それならそのセキュリティソフトにウイルスが感染した場合はどうするんだ?)…」
「ご心配ありません。このセキュリティソフトはコンピューターへログインするプログラム
そのものに寄生しています。ログイン中に破壊は理論上不可能です。」
「…(セキュリティソフトそのものがウイルスだと言うのか?)…」
「以前、私のプライベートPCに感染したウイルスを元に参考にしました。害意はありません
が、セキュリティソフト内部にウイルスが存在します。」
「…(何だと!我々をを馬鹿にしているのか!?)…」
「どうか落ち着いてください。このソフトの映像的イメージは"7階建てマンション"です。」
「…(七階建てマンション?)…」
「OSなどの重要度の高いデータが7階にあり、ユーザーデータが6階、ツール・ユーティリ
ティが5階、ドキュメントデータが拡張子順に5~3階にあります。2~1階はセキュリティ
ソフトそのものに感染した場合、"外部から許可なしに侵入したプログラムを無差別に破壊"
する防衛ウイルスが待機しています。マンションは1階から入りますからね」
「…(ぬ……悔しいが……斬新かつfixed言語による安全性…私の負けだ!)…」
頃奈の発表にずっと揚げ足をとっていた男は落胆する。
722 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 10:49:37 ID:???
「さらに、このセキュリティプログラムはPC、携帯電話、MS等、幅広い媒体にインストール
できます。」
「…(おおおおおおおお!)…」
「やっぱ頃奈は普段トロイけど凄いわな。」
煉滋が言う。
「うんうん」
グレンとディランが続いて言う。
そして6時間の時が流れた。
「これが…私のお家…」
「そうだよ、ヒカルのお家。私が作ったから安全なハズだよ!私は宗谷頃奈!
「よろしく」
723 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/24(月) 11:09:06 ID:???
以上、ツッコミ所満載の学園ドルダです。うーん…今回はご都合主義な後付け
になって苦しかったw頃奈が空気にならないように頑張ったのですが総じて見ると
煉滋が主人公のようにも見える…。
724 :571:2008/11/24(月) 15:19:56 ID:???
バルト氏GJ!!!
わーい自分には分からない単語がずらりと並んでるさ~。
特に頃奈の発表辺りで完璧にちんぷんかんぷんに……
それはともかく乙です!
なんていうか、グレンが特攻隊長で、煉滋が親衛隊長、頃奈が姫様みたいな構図に見えてきたwww
725 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 15:20:33 ID:???
ヒゲ
726 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 18:57:15 ID:???
バルド氏GJっす。
で、新説の投下なんですけどかなりフリーダムなことになっちゃってて遅れそうです
727 :本家ドルダの人:2008/11/24(月) 22:23:02 ID:???
お久しぶりです。本編の人もとい本家ドルダの人です。
自分のドルダが本家なんて呼ばれるのはとても恐縮であります。
第3話前半の投下の後、検索をかけたのですがスレが見つからず、
てっきりスレが落ちてしまったものだと今まで勘違いしていました。
自分のドルダを待ってくださっていた方、本当にご迷惑をおかけしました。
ドルダスレが現存しているとあれば、スレが続く限り投下していくつもりですので、またよろしくお願いします。
本家ドルダの『進宇宙暦』という表記について
>>589で571さんが疑問に思われているようなのでご説明します。
第1話の冒頭を読んでいただければわかると思いますが、
進宇宙暦の英語の表記はAdvanced Space Developmentとなっています。
本来なら英語の方が正式なので、Advanced Space Developmentの直訳(進歩した宇宙開発)で『進宇宙』暦となります。
おわかりいただけたでしょうか?
ただし、これは本家ドルダでの設定ですので、他の作品がこれにあわせる必要は一切ありません。
新宇宙暦でも構いません。作品ごとの自由だと私は考えています。
728 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:27:55 ID:???
>>335-346
ヘルメット越しに見える幼い顔。
ギデオンとヴァイスが回収したのは、デブリではなく二人の子供だった。
寄り添い、固く握り合った手は、深い絆を感じさせる。
兄妹。そう見るのが正しい。
憔悴し、輸送船の格納庫に着いた途端、床に倒れ込んでしまった。
「大丈夫ですかっ!?」
格納庫にはクランとモモとシンシアが、ギデオンとヴァイスの帰りを待っていた。
職業柄か、モモがいち早く兄妹の元に駆け寄る。
「隊長、この子達は?」
クランは横目で兄妹を見ながら、ギデオンに尋ねた。
「作業艇にいたので保護した」
「その作業艇が突然動き出したのには肝が冷えたぜ……ったく」
小さく息をつき、ギデオンが答える。
ヴァイスは怪訝そうな表情をして、兄妹に目をやった。
疲れた様子の兄妹を起き上げようとするモモ。
だが、その手は兄らしき少年に振り払われてしまう。
「俺達は、アンタ等独立派なんかの世話にはならねぇ!!」
怒りに任せた声が、格納庫に響く。
「俺達の親父は、アンタ等に無理矢理連れ去られたんだ!」
悔しさに滲む瞳。
そんな兄を見る妹の瞳もまた、悲哀に満ちていた。
729 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:30:31 ID:???
クラン達は、言葉を失ってしまう。
この兄妹の父親がどのような人物なのかは知らない。
しかし、独立派のこのような行いは許せるはずもなかった。
「違うのよ。私達は、火星コロニー独立派ではないわ」
安心させるように、優しい声でクランが言う。
「信じられるかよ! 現にこの船には奴等の機体があるじゃねぇか!!」
「それは、私達が独立派の船を奪って軌道エレベータのステーションから逃げて来たからなの」
落ち着かせるために、クランは決して口調を荒げることはなかった。
穏やかな微笑み。
それは、シンシアに、かつて共に過ごした本当の妹に向けるような、微笑みだった。
「お前等、もしかしてシドーのオッサンのガキ達か?」
そんな中、思い出したかのようにヴァイスが疑問を投げかけた。
少年が、眉を顰めながらヴァイスを見た。
「俺だって。はぐれ者のヴァイスだ」
「ヴァイス……」
少年が名を復唱する。
記憶の中を潜り、探り、そして。
「あ! 親父が半人前のガキだって言ってたヴァイスか!」
ヴァイスは、勢いよく音を立て、床に倒れ込んだ。
「兄が本当に、失礼なことをしました!」
クラン達に向けて、少女が必死に頭を下げる。
730 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:34:52 ID:???
クランの説得と、ヴァイスの言葉により、誤解はなくなった。
場所を談話室に移し事情を聞くことになったが、兄であるシオン・紫藤は恥ずかしそうに膝を抱え顔を埋めてしまった。
そんな兄を叱るように、妹のヘルガ・紫藤が腕を掴んで立ち上がらせる。
「ほら、お兄ちゃんも謝らないと!」
「…………ゴメンナサイ……」
聞こえるか聞こえないかといった程度の声量で、シオンが言う。
クラン達は苦笑するしかなかったが、一件落着に胸を撫で下ろした。
「わかってくれたならいいんだ。だがよ、オッサンが連れ去られたってのはどういうことだ?」
本題は、そこである。
誤解は消え和やかだった空気が、ピンと張り詰める。
ヘルガは悲しそうに俯き、悔しげな表情に戻ったシオンがゆっくりと口を開く。
「独立派の奴等、技術者を集めてるみたいで、俺達がいたコロニーも制圧されて、
機械工学の偉い人だとか親父みたいなしがないジャンク屋まで連れて行かれたんだ」
火星コロニーの住民は、多くは独立の賛成派である。
しかし独立派のしていることは度を越し、板挟みの一般市民達は右往左往するしかなかった。
731 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:38:10 ID:???
独立のためとはいえ、一般市民を無理矢理連行するというようなやり方は決して許せるものではない。
「俺達は間一髪、独立派の監視が厳しくなる前にあの作業艇でコロニーから逃げ出してきたんだ」
「全く、無茶をする……」
呆れたように、ギデオンが呟いた。
「だって! 俺は、俺達は嫌だったんだ! 俺達は地球圏で生まれ育った。
でもヘルガはテロリズム・イヤーのせいで本当の家族を失って……
俺と親父とヘルガは、そんなものがない世界を目指して火星圏に来たんだ!」
そう訴えるシオンの瞳は、涙で濡れていた。
テロリズム・イヤー。地球圏でその年、数えきれないほど各地でテロによる災害が発生した。
ビルは崩れ、街は焼かれ、完全に機能を失ったコロニーもあった。
人の泣く声、嘆く声が、止むことのなかった年。
クランは左腕を押さえる。それは強く、右手が痛くなるほどに。
「お姉ちゃん?」
「えっ……?」
気付くと、心配そうにしているシンシアの顔が飛び込んでくる。
「クランさん、大丈夫ですかぁ?」
モモもクランの異常を感じ取り、声をかける。
「えぇ、大丈夫よ。モモちゃん、私よりも二人を診てあげて」
「そうですか? わかりましたぁ」
732 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 22:41:32 ID:???
納得はしていないようだったが、モモはクランから離れシオンとヘルガの元へ向かった。
「それじゃあ、栄養剤を打っときましょう」
救急用のバッグを片手に、モモはニコリと微笑んだ。
「打っとくって……まさか」
嫌な予感に顔を青くして、汗を流すシオン。
「もちろん、お注射ですよっ♪」
「い、いやだああああああ!!」
「お兄ちゃん……恥ずかしい」
和やかな空気が談話室に戻る。
だが、シンシアは未だクランの顔を悩ましげに見上げるばかり。
クランはシンシアの頭を撫で、安心させた。
「ごめんね。お姉ちゃんがこんなじゃ、駄目ね」
「うぅん。お姉ちゃんは、そのままでいて。私、そのままのお姉ちゃんが好き」
偽りの姉妹関係。
お姉ちゃん。そう慕ってくる少女に、クランの心はズキリと痛んだ。
こんな、自分が何者なのかもわからない少女を利用するようなやり方を、クランはしたくなかった。
このままコロニーに向かえれば、何事もなく全てが終わるのではないかと、淡い期待を抱いてしまう。
しかし、そんな期待を打ち消すように、スピーカーがキィンと耳鳴りのように響いた。
『独立派と思われる機体の熱源をキャッチしました』
733 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:49:46 ID:???
ちょww本編の人、お久しぶりです。
なんか色々勝手なことしてすいませんでした。
続き、楽しみにしてますので気が向いた時にでも投下して下さい。
いや、なんかマジですいません
734 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:22:55 ID:???
スピーカーから流れてきたのは、操縦室に詰めていたミランダからの報告。
シンシア、モモ、紫藤兄妹を残して、クラン達は操縦室に向かった。
「状況は?」
「偵察でしょうか。すぐにいなくなりました」
ギデオンに訊かれて、素早くミランダが返答する。
「こちらも不要と思えた電力消費は全て落としておきましたが」
「それでいい。道中にデブリ帯を選んだのは目眩ましのためでもある」
ミランダの報告を聞いたギデオンが静かに言う。
「遮蔽物はもちろんだか、下手に攻撃を加えて危険物に誘爆……といったことも有り得るからな」
しかし、このまま見過ごしてくれるほど追撃部隊は甘くはないだろう。
そう考えて、ギデオンを踵を返し、操縦室から出て行った。
「トロニクス君、手伝ってくれ。また外で作業だ。
ナギサカ君は待機、シンシア君を機体に。火は入れるなよ」
デブリ帯から少々外れた宙域。
待機する4機のローズの元に、1機のローズが合流する。
『何個かそれらしき熱源はあったわよ』
スピーカーから女の声が響いた。
それを聞き、コックピットの中で腕組みをしていた男が、ニヤリと口角を上げた。
735 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:26:30 ID:???
マイケル・ミッチェル。ドルダ、及び調査隊の追撃任務を請け負った部隊の隊長。
『どうするの? すぐにでも仕掛ける?』
そして、偵察に出ていた女パイロット。
ターニャ・ソブロフ。マイケルの右腕的存在である。
「場所がわかっているなら好都合さ。彼等もデブリの中で篭城……なんてことはしてられないだろうからね」
調査隊の奪った輸送船は、三機のローズ以外はまともな物資は積まれていない。
機体を積み込んだだけで、必要な物資の搬入はまだだったと報告を受けている。
そうそう長く、あの場所に居座れるはずもない。
「こちらが仕掛けてやれば、逃げるために否が応でも動き出す」
己の作戦に対する自信。
火星開発公社の火星調査隊。
軍人や、自分達のように武力で決起した者達とは違う。
いくら強大な戦力を持っていようと、所詮は一般人。
戦うことより、逃げ、生き延びることを優先させるはずである。
「ディラン、タオとマオ、君達も大丈夫かな?」
マイケルがそう言うと、ディスプレイに『OK, Master.』と文字による通信が送られてきた。
タオとマオ。この二人のパイロットは、マイケルが隊に配属させた少年兵の兄弟である。
736 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:30:59 ID:???
幼い頃に両親を失い、火星圏に近い小惑星でレアメタル採掘の労働をしていた。
労働は過酷なものであり、まだ年端もいかないタオとマオには辛く厳しいものであった。
その頃に労働を強いていた里親の虐待を受け、兄弟揃って声をなくしている。
ディランはそんな二人を多額の資金と引き替えに引き取ったのだ。
「ディラン、君はどうかな?」
返答がないもう一人のパイロットに、マイケルはもう一度問う。
『すまない。大丈夫だ』
スピーカーから、まだ成熟しきっていない少年の声が響いた。
だがその声には似つかわしくない、とても落ち着き払った口調であった。
『また地球圏のバンドの曲聴いてたの?』
『あぁ。だがもう止めた』
ターニャに訊かれ、鋭い瞳の少年が、変わらず淡々とした口調で返す。
この少年、ディラン・クロスもまた、マイケルによって集められた少年兵の一人だった。
『隊長達が俺を拾ってくれたことには感謝している。その分の恩は返すつもりだ』
その年不相応の口調や性格は、この少年にもまた過去に何かがあったことを窺わせる。
しかし、ディランもターニャも彼の過去を知らなければ、聞くこともしなかった。
737 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:35:20 ID:???
ディランはモビルスーツのパイロットとして志願し、マイケルがそれを採用した。
ただそれだけ。マイケルにとっては、過去などは関係ない。
(……大人も子供も、生きるのに必死なんだ。特にこの火星圏ではね)
空しい時代だと、ディランは心の中で嘆いた。
「だから行くのさ。大人も子供も、生きるためにさ」
マイケル・ミッチェル隊が、静かに動き出す。
輸送船と思われる熱源は数個。
可能性が低いものを、マイケルとターニャが排除する。
残ったのは、二つの熱源。
しかもその熱源は、互いに近い距離にあった。
(カモフラージュ。けど、余りにも浅はかだよ。調査隊の諸君)
別の熱源と近いからといって、重なって輸送船の熱源が隠れるわけではない。
ステルス艦でもない輸送船が、そうそう簡単に姿を消せるはずもない。
これが、一般人と戦場に生きる者の、差。
確信をもって、マイケルは隊を熱源に向けて進めた。
しかし、その時……
『マイケル、熱源が動き出したわよ!』
「なにッ……?」
突然、熱源が移動を開始する。
それも、二つの熱源が、同時に。
738 :本家ドルダ:2008/11/24(月) 23:36:58 ID:???
「チィッ! 考えを改めねばならないかな。相手はなかなかのギャンブラーだ」
二つの熱源ということは、隊を二つに割かなければならないということ。
戦力を減少させれば、迎い討てると思っているのか。
「なんにしても気に入ったね。ターニャ、君はタオとマオを連れ、デブリが少ない方に逃げた熱源を追え!」
『了解したわ!』
3機のローズが一方の熱源を追う。
「ターニャには悪いことをしたかな……」
ディランが、怪しく笑みを浮かべた。
「密集地帯に逃げた熱源。もしそれが本ボシならば、僕は彼等と戦いたい!」
マイケルはディランと共に、デブリが密集する宙域に向け移動を開始した。
「敢えて危険に飛び込む。その意気込みは良し!!」
To Be Continued...
739 :本家ドルダの人:2008/11/24(月) 23:39:44 ID:???
さるさん対策で30分間ほど時間を置きました。
エルトさん、新説ドルダ、楽しく読ませて頂きました。
まさかアナザーとクロスオーバーしていただけると思っていたかったのでドキドキしています。
アレスとシンシアという存在の関係が気になります。
バルトさん、学園ドルダの切り口が素敵です。
エコールを思い出す面白い設定ですねぇ。
その他、設定案やネタを投下してくださった方々、楽しく読ませていただいています。
573さんが言っていましたが、別に私は設定の投下は負担ではありません。
スレに来られなかったのは、私の勘違いが原因です。
それに、投下された設定を全て本編に反映させることはできませんし、
できる限り初期設定をねじ曲げないように設定を改変させてもらってます。
設定の投下は、むしろありがたいです。
自分のボキャブラリーでは思いつかないようなアイデアがたくさんありますから。
それではまた後日。
740 :本家ドルダの人:2008/11/25(火) 01:41:11 ID:???
>>736の
> しかし、ディランもターニャも彼の過去を知らなければ、聞くこともしなかった。
は誤りです。
正確には
> しかし、マイケルもターニャも彼の過去を知らなければ、聞くこともしなかった。
です。訂正します。
無駄なレス消費失礼しました。
Wikiにも誤字脱字変換ミスありますがご愛嬌で。
741 :571:2008/11/25(火) 18:24:01 ID:???
おおおおおおおおおうううぅぅぅぅあああ?!!!!!
ああああああああqwせdrtgyふじこlp;(うるさい
ほ、本編ドルダ!!!!まさか再び会い見えようとは!!
本編の人、お久しぶりです!!
本編ドルダ、続き楽しみにしてます!!GJ!!
では!!
742 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/25(火) 19:55:55 ID:???
>>571氏
今回の学園ドルダはちょっと自己満足が入っちゃいましたw
以前、私のPCが「VUNDO」というウイルスに感染したんです。
セキュリティソフトや自動更新が無効にされたりと大変でしたが無事に駆除しました。
その経験を生かしたかったんです。そこでSF作品なら生かせると思ったんです。
>>エルト氏
レスありがとうございます。新説ドルダは凄いことになってそうですね。
楽しみにしてます。
>>本編ドルダの人
お久しぶりです!まさかここでうちの子(シオンとヘルガ)が登場するとは…!
学園ドルダは本編の外伝という感じで作ったのですがすっかり別物にw
本編のディランは果たしてどんな活躍をするのでしょうか?楽しみです。
さっそくwikiに掲載しておきました!
743 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:38:38 ID:???
今晩は、例によって例のごとく深夜の投下になります。
まあ、だいぶ前に出来上がってたんだけど、若干の改編を、ね?
>>バルド氏
いつも乙です。
今回の四話、ディックがそれなりに動くのですが最初彼はアナザーを踏襲した路線でいこうとしてたんです。
けれどバルド氏のキャラデザを見て、ああ、こいつはこんな性格だ、ってインスピレーションが湧きましたw
で、現在のキャラに。古参は違和感を覚えるかもですが、キャラデザでキャラが動くことってあるんだ、と実感しました
>>本編の人
乙です!やっぱり本家は上手い!続き楽しみにしてますです。
では、いきます
744 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:41:00 ID:???
新説ガンダムドルダ
第四話 魔神、起動
「ぐっ……ああああっ!!」
肉体にかかる負荷に叫ぶクラン。そして突如急停止する機体。
「くっ…!」
顔を歪めるクランに、少女が感情の籠らない声で言う。
「乗って」
「…え?」
「後ろ、乗って」
その機体…ガンダムドルダのコクピットには、二つの操縦席が存在していた。
「乗っているだけでいいから。このまま行ったら、多分危ない…」
クランは言われた通りにしようとするが、色々なことが起こりすぎて、少女の言うことに従うべきであるのか逡巡していた。
このMSは一体何なのか…そして自分はそれに乗ってしまった…
何処の機体なのかどういう目的で造られてどういう経緯で自分と出会うことになってしまったのだろうか…
少女は、黙っている。亡くした妹に似た少女。
彼女は、いや、彼女が何故ここに…
飲食はどうしていたのか、彼女をここに安置した存在の思惑とは…はたまた彼女は自らの意思でここに存在していたのか…
「お願いだから、ね?」
少し首を傾げて、今度はクランに笑いかける。その笑顔、傾げた首の角度…
何もかもが、似すぎている。いや、同じなのだ。
亡くなった(いや、そもそも本当に亡くなったのか?)年齢のままの妹と同じ少女。
自分だけに時の流れが干渉して。もう二度と、あの頃のように笑えないような気がして。
(違う、この娘は違う…)
必死に自らにそう言い聞かせることで、クランは目の前の現実を否定しようとしていた。
が、少女の次の一言によって、その努力は水泡と化す。
「お姉ちゃん」
「!!」
世界が、変わる。崩壊した世界の色が、戻る。
両親はいない。しかし、崩れかけていた、そして折り合いをつけ、無理矢理作り出していたクランの世界は、その色を取り戻しかけていたのだった。
745 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:41:42 ID:???
錯乱するデイヴとアレスを中心に、戦場にはまるで時が止まったかのような静寂が訪れる。
この静けさの後、目覚めてはならない魔神が起動することになるとは、誰も想像していなかった。
茫然自失のアレスの元に、通信が入る。
「俺だ、どうした」
荒い息を少し落ち着けようと努力した後、アレスが応答する。
『ゲッゲッゲッ。わしじゃよ、アレス』
「ティモール…?」
声の主は、ガンダムマルスの開発者であるプロフェッサー・ティモールであった。
『そちらの様子はマルスのカメラから把握しておる…えらいことになるようじゃな、アレス』
「どういうことだ」
『目覚めるのさ、魔神が』
「ドルダ、が…?」
『ああ。お前さん、何故ムスペルヘイムで出撃せんかった?シンシアに会いたいという逸る気持ちはわからんでもないがな』
「!」
戸惑うアレスに、その独特の笑い声をこれでもかと響かせ続けるティモール。
『今ドルダと戦うてはならん』
急に真剣な表情と口調になる。
『お前さんが第一にやるべきは、その場に存在する敵MS群の殲滅じゃ。その後、速やかに離脱するのじゃ』
「出来ない。こうしている間にも、彼女は…」
断固として首を縦に振らないアレスの瞳には、再び強い意思が宿っていた。
『たわけが!ムスペルヘイムでないマルスがドルダに敵う筈がなかろうが!』
聞かん坊を咎めるような口調でティモールは怒鳴る。
その口からはたくさんの唾が飛ぶ。余程興奮しているのだろう。
「ティモール」
『なんじゃい!?』
「悪いが後にしてくれ。どんな罰でも受けるつもりだ」
そう言い、通信を切る。おい、おい!ティモールの叫び声が途切れ、再び静寂が訪れる。
「ガンダム、ドルダ…!」
歯ぎしりをしながら呟くアレス。その表情は強い憎しみの念に捉われていた。
「シンシアを、渡すものか…!」
マルスのツインアイが光を灯した…沈黙の火星の神が、再び起動する。
746 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:42:23 ID:???
深い深いまどろみの底で、見た夢。
それは、決して開けてはならない、パンドラの箱…
一人の少女が、悠久の時を眠る。
初雪のように白い肌に咲き誇るは、薔薇のように美しい唇。
少女には恐らく感情というものはない。眠ってはいるのだが、目を覚ましたとて、美の権化がただ在るだけだという印象を与える。
あまりの美しさに、そっと触れようと手を伸ばす。
決して遠くはない距離にいる少女に触れるには、少しの時があれば十分だろう。
しかし、あまりにも遠い。あまりにも永い。
その時間さえ愛おしく思えるほどの美しさ…
そして、指先が少女の面を捉えた刹那…
「おい、聞こえてんのか!?応答しろ!デイヴィッド・リマァー!!」
はっ!デイヴは目を覚ます。あの夢を、何故、今…?
眠っていたのだろうか?ディックの通信により、意識を取り戻す。
ピッ、応答するデイヴ。何度も起こる不可解なデジャヴとジャメヴの渦から、逃れようとする為に。
「…あー、こちらデイヴィッド。落ちこぼれのオッサンは無事だぜ、中尉殿」
いつもの皮肉屋としての口調に戻るデイヴ。が、その瞳は依然として憔悴に揺れている。
「!…ぶ、無事ならサッサと応答しやがれ、このクソオヤジ!」
心配したじゃねえか…聞こえないようにうそぶくディックに、デイヴが答える。
「ひでえ言い草だな、まったく。クソオヤジはねえよ、こちとらまだ26だぜ」
「う、うるせえ!26にもなりゃ、十分立派なおっさんだ!もうじきビール腹の仲間入りだ!健康のためにスカッシュをやる老いぼれの一人になるんだよ!
そのうち、ミネラルウォーターを飲んでカロリーに詳しくなるんだ!あと4年で30なんてほとんどジジイじゃねえか! もし俺だったら、あんまりにも気が滅入って首を吊るね!」
若干涙目になりながらもまくし立てるディック。
「首吊りの足を引っ張るような御意見、ありがとさん」
気にもとめずにディックをあしらうデイヴ。
「とりあえず今はこのアンノウン共と、あのガンダムタイプにどんなお土産を渡して帰ってもらうかだな。ケンカの続きは後でやろうぜ」
「…ったく!黙って聞いてりゃ、どの口がそんなこと言えるってんだよ!」
気を取り直したのか、いつものように不遜な態度のディック。
「仕切るのはこの俺、ディック・オメコスキー様だ!…ああ、何度でも言うぜ!足引っ張るんじゃねえぞ、クソオヤジ!!」
「クソオヤジはやめろっての!」
先ほどまでの完璧な陣営を見事なまでに再現しつつ、流麗に舞うようにして、二機のMSはガンダムマルスへと向かっていく。
747 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:43:12 ID:???
どれくらいの時間が経ったのだろう。 自分が死んでいないことを理解して、瞼を開く。
体を包むような若干の浮遊感。
「宇宙……!?」
クランが驚きの声を上げた。モニターに映る景色は、地上のものではない。
気がつくと、機体は宇宙にいた。
「接近する機体を確認。殲滅する」
モニターがこちらに向かってくる数機のMS、ローズを映し出す。
「何をするの……?」
嫌な予感がして、クランが少女に問う。
少女は、冷たく、まるで人形のような瞳で、それらを見ていた。
機体が持つ二丁のバスターライフルが、エネルギーを収束する。
そして次の瞬間、巨大な光の渦が、ローズに向けて放たれた。
「ああっ…………」
眼前の光景に、クランは自分の目を疑う。
光の渦は数機のローズを包み込み、そして跡形も残すことなく消し去ってしまった。
「私は……わたしは……くっ、うああああああ!!」
ローズを消し去った直後、突然、頭を押さえ少女は苦しみ始めた。そして面を上げ、再び呟く。
「来る…!」
今度は一体何が来るのか、そして一体何が起こるのか。
苦しみもがく少女を見ながら、クランはただ得体の知れない不安に、震え続けた。
「!」
自らの機体に迫りくる二機のMS。アレスはガンダムマルスのビームガンブレードのトリガーを引く。
「邪魔だ!」
放たれるビームライフルの雨を、かいくぐり避け続けるディック。
一方のデイヴは、自らの回避能力がお世辞にも良いとは言えないとわかっているので、ディックの駆るムウシコスに張り付くように身を隠し、共に回避する。
「この俺が!そんな単純な軌道のビーム、食らうかっての!」
全てのビームライフルを紙一重で避け、ムウシコスはビームサーベルを抜く。
ムウシコスとマルスの距離は、接近戦にちょうど良い間合いとなっていた。
(こいつ、出来るな…!そしてあのグワッシュ…!)
目を細めるアレス。そしてフッ、と薄く笑い言う。
「これで終わりと、思ったのか…?」
「何!?」
思い切りサーベルを振りかぶったムウシコスに、マルスのカメラファンネルが襲いかかる。
「なんだ、この武器は!?」
「!?」
見たこともないような武装に明らかな戸惑いを隠せないデイヴとディック。
襲い来る光の矢が、縦横無尽に宇宙を駆け巡る。
(ビームライフル…?いや、違う!これは一体…?)
得心のいかぬまま、しかし目の前の現実、死を誘うファンネルからの猛攻を避けなければならない。
748 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:44:02 ID:???
「ぐあっ!」
サーベルを振りかぶった体勢のムウシコスは隙が大きい。ファンネルの一つが左足に被弾する。
(あいつの回避能力をして避けられねえのかよ!?)
冷や汗をかくデイヴ。しかしMSの操作を中断するわけにはいかない。
この状況で、少しでも休憩することは油断に他ならない。油断は隙を生む。隙は命を奪う。
デイヴは冷静な判断で、ムウシコスのカバーに回る。
残り七基のファンネルが一斉に、隙の出来たムウシコスに突き刺さるべく襲い来る。
(今の俺に出来ることは…!)
デイヴはグワッシュの持つリニアライフルを投擲、一基のファンネルを阻む。
続けてプラズマソードを投擲、これもなんとか一基のファンネルを防ぐことが出来たようだ。
残りの五基をどう阻むか。加えてガンダムマルスがビームサーベルとビームガンブレードの二刀流で、デイヴのグワッシュへと向かっていた。
デイヴのグワッシュに、もう投擲してファンネルを阻めるような武装はない。加えて、左腕が損傷している。
向かってくるマルスに対抗し、これを打ち払うことなど絶対に不可であった。
(クソ、どうにもできやしねえ!俺はまた、助けられないのか…!?)
デイヴは死を覚悟した。しかしそれ以上に、一人の人間を助けられないという己の無力さを再び噛締めていた。
三基のファンネルが、それぞれムウシコスの頭部、背部スラスター、右腕を破壊する。
(野郎、確実に息の根を止めるつもりか!)
だったら!
デイヴはスラスターをフル稼働させ、ムウシコスの前面に出る。
「ぐっ!ああああ!」
マルスの斬撃を紙一重で避け、ムウシコスを襲う二基のファンネルから身を挺して庇ったのだった。
「!」
驚きを隠せない表情のアレス。
この状況で自らの斬撃を避けたデイヴに驚いたというのもあるが、彼にとって信じられなかったのは、デイヴがディックを庇うという行動に出たことだった。
ファンネルの一つが、コクピット部分に被弾し、グワッシュの装甲が剥げる。
グワッシュからはデイヴの顔が見える状況となっていた。
ヘルメットにひびが入る。出血もしているな…!デイヴは苦しみの中そう思った。
「バカ野郎!俺を庇ったのかよ!何でそんなことをした!」
叫ぶディック。
「…知るかよ!体が、勝手に動いちまった、んだよ…!クソガキは黙っておうちでママのおっぱい吸ってろってな…これでわかったか?」
身を走る痛みに気を失いそうになりながらも、デイヴは言う。
「お前…!このままじゃどっちにしろ、二人ともアイツにやられるぞ!何で自分だけでも逃げようとしなかった!?」
いつしか人を信じる、ということを忘れかけていたディック。
今までの彼がデイヴと同じ立場だったなら、彼は迷わず仲間を切り捨てていただろう。
そしてその仲間のことを笑うのだ。アイツは馬鹿だと。
腕が立たないから、運が悪いから、などという理由で、胸に湧き上がる何かを無理矢理押さえつけて。
749 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:44:58 ID:???
「ヘッ!旅は道連れ、世は情けってよく言ったモンだよ。クソガキ、てめえもこのクソオヤジの三途の川への旅立ち、付き合ってくれや」
要するに、お前ひとりを死なせはしないってことなのだが、この一言はアレスにも多大な影響を与える。
一見して性格は違えど、アレスもまた、デイヴの立場だったならディックと同じ行動を取ったであろう。
「さあ、ガンダムパイロットさんよ、さっさと殺せよ。出来る限り楽に頼むぜ」
これ以上生きていても楽しいことなど何もない…そう言わんばかりのデイヴ。
対して、顔を俯かせたアレスは思う。
(この男、死に急いでいるのか…?)
同時に、デイヴの行動に確かな敬意を払い、彼の宗教「コンパニヤ」式の挨拶、胸の前で静かに十字を切る。
「これもケジメだ。お前達の善戦を讃え、今その御魂を神の元へと返してやろう」
面を上げ、ビームサーベルとビームガンブレードを構える。
しかし、アレスの動きは再びそこで止まることとなったのであった。
(あの男…!)
グワッシュから覗くデイヴの顔を見て、その表情に驚きが走る。
ドン!
静寂という静寂が心ゆくまで静寂した後、マルスに向けて放たれた一閃のビームキャノン。
「!」
間一髪でそれを避け、振り返るとそこには、目覚めてはならない魔神・ガンダムドルダがいた。
「何だ、あの機体は!?」
ローズ四機と交戦中の第七次調査団所属、シヴォーフ・ラーグが言う。
同じくネルネ・ルネールネ、ゲイリー・ターレルもドルダの方を向く。
ローズパイロット達も戸惑いを隠せないのか、ドルダとマルスが静かに対峙するのを固唾を飲んで見守っていた。
戦場が戸惑いに飲まれ、誰もが動きを止めた。
ただ一人、ドルダに搭乗しているクランだけが、その身をかすかに震えさせていたのだった…
しかし、一人の男の愚行により、その静寂は引き裂かれ、その場にいた人物は皆、抗うことのできない圧倒的な暴力の存在を知ることとなる。
「アレが、俺らの目的か!おい!サッサと滷獲すんぞ!」
四機のローズがこぞってドルダに向けてビームライフルを撃つ。
が、ドルダは微動だにしない。ドルダを操る謎の少女も無表情のままである。
「貰ったァ!」
ビームサーベルを抜く四機のローズ。
750 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:46:17 ID:???
「止せ!」
アレスの制止。しかし彼らの耳には届かない。
不意に、少女が言う。時間さえも支配するような声で、しかし静かに…
「Doll-daシステム、起動。ビームジェネレーター、展開」
キイィィィンン…静かにその身に輝きを灯すガンダムドルダ。
身にまとうみの虫のような大型フルシールドが一斉にパージする。
「!」
その場の誰もが、目を疑った。装甲をパージ…!?
ただ一人、クランだけはその事実を知らなかったのだが。
展開したシールドの中には、これまでの滑稽で無骨で無機質なガンダムドルダの姿はそこには無かった。
両肩のビームジェネレーターから天まで届くと思うほどのビームシールドが発生・収束し、その身を包む。
ビームシールドはローズの放ったビームライフルを弾き、そしてビームサーベルの斬撃をも受け止めてみせたのだった。
「な、何!?」
戸惑うローズパイロット。しかし次の瞬間、彼らは気体と化していた。
ドルダの放った二丁のバスターライフルの閃光が、音もなく彼らの命を奪っていたのだった。
再び訪れるは、静寂…否、空白。
その命、その存在を始めから無かったもののように扱う魔神。
クランが、デイヴが、アレスが、ディックが、シヴォーフが言葉を失う。
目の前に存在する絶対的な恐怖。圧倒的な存在。
クランは、どうしていいかわからなかった。
デイヴは、死を覚悟した。
ディックは、言葉が出なかった。
シヴォーフは、今すぐにでも逃げだしてしまいたかった。
ただ一人、アレスのみが恐怖に打ち克ち、鋭い瞳で魔神を睨みつけていた。
(ドルダ…!目覚めたということは、シンシアは…?)
二刀流の構えをとり、脚部のビームブレイドを発生させるマルス。
絶対的王者としてのドルダが、マルスごときの不敬な動きを見逃す筈もなく。
アレスは言う。己を鼓舞するため、恐怖に打ち克つため。
「ドルダ」
皆が一斉にマルスに注目する。
「そこを退け。俺は今からお前のいた遺跡に向かい、ある人物に会わなければならない」
ますます混乱する一同。
今度は、クランだけがその答えを見出すことが出来た。
(ある人物って、まさか…?)
クランは、ドルダを操縦している少女を見る。
(彼女、シンシア…?)
だとしたら、目の前の真紅の機体を駆る人物は。
幼き日に、自らの無力を悔いた少年なのだろうか…
(そんな、まさか…アレス、あなたなの…?)
その澄んだ瞳が、悲しみに塞がれる。
「ガンダムマルス、アレス・ルナーク!これよりガンダムドルダを駆逐する!」
紅き戦神と、蒼き恐怖が、その運命を交叉させる。
四話 終 五話に続く
751 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 01:48:21 ID:???
そんなわけで、ドルダvsマルスは次回に持ち越しになってしまった…
じゃあサヨウナラ
752 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 03:09:36 ID:???
GJ
だんだんと本家からもアナザーからも違う道に向かっていく新設(・∀・)イイ!!
記憶喪失の少女は本当にシンシアなんだなw
あとメ欄のコメントは叩かれるもとになるかもしれないからやめたほうがいいと思う
753 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 03:10:54 ID:???
×新設
○新説
親切とも変換ミスして打ち直したのにこの有り様だよ
754 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 04:11:23 ID:???
>>752
俺も思ったw
シンシアの今後の扱いが気になるな。
それと普通に上手いと思うんだが…
755 :571:2008/11/26(水) 17:27:15 ID:???
エルト氏GJ!!
ついにドルダとマルスの!!対!!決!!
次回が楽しみです
756 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 18:09:00 ID:???
>>589
>>595
>>727
757 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/26(水) 20:49:26 ID:???
エルト氏、乙です!文章表現が素晴らしい!
まさか自分のキャラデザでキャラが動くとは…光栄です!
ドルダVS.マルス!熱くなりそうですね!
あと、デイヴとクランの接触が気になります。
758 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/27(木) 00:02:34 ID:???
どうも。遅くなりましたが、新説のMS設定、投下します。
まずはその1。
MAS-006 ローズ
所属:ダイモス・火星義勇軍
武装:
ビームライフル×1
ビームサーベル×2
シールド×1
バルカン×2
詳細:
地球圏との戦争に向けて開発された火星コロニー群の主力機 。
MASとはMars Action Suitの略である。主兵器のM-69tmビームライフルは火星コロニー群の優れた技術を存分に使用した最新兵器である。
地球及び地球圏コロニー群の最新鋭機であるムウシコスやガーランドよりも機体性能は高い。
全身を赤く塗装してあるものが多い。
GEY-004 ムウシコス
所属:第七次調査団、地球連邦軍
主なパイロット:ディック・オメコスキー、シヴォーフ・ラーグ
武装:
ビームライフル×1
ビームサーベル×2
ビームバルカン×2
ビームキャノン×1(ディック機のみ)
ビームガトリングガン×1(シヴォーフ機のみ
詳細:
アルフ・スメッグヘッド教授が設計した、地球連邦軍の最新鋭機。
地球連邦によるビーム兵器搭載型の量産MSとしては初の機体となる。
白を中心としたカラーリングである。
選ばれたエリートパイロットのみが搭乗することができる。
759 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/27(木) 00:04:13 ID:???
その2。
EA-002 グワッシュ
所属:第一次調査隊、第七次調査団
主なパイロット:
クラン・R・ナギサカ、デイヴィッド・リマー、ゲイリー・ターレル、ギデオン・マクドガル
武装:
リニアライフル×1
プラズマソード×1
100mmマシンガン×1
作業用アーム
詳細:
火星開発公社の開発した、初期量産型MS。
地球連邦軍、地球圏コロニー、火星コロニー軍などで幅広く使用される最もポピュラーな機体。
EA-003Wドグッシュ
所属:第七次調査団、地球連邦軍
主なパイロット:ネルネ・ルネールネ、カマッセ・ドッグ
武装:
カントーン・リニアライフル×1
高周波ブレード×1
詳細:
地球連邦軍の主力MS。グワッシュをベースに戦闘用に改造した機体。
武装はシンプルに上記の二つのみ。カントーン・リニアライフルには高出力モードが存在する。
何かあったら言って下さい。ではサヨウナラ
760 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/27(木) 12:37:57 ID:???
バルド氏いつも早いまとめ乙です!
761 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/27(木) 22:10:22 ID:???
あれ…?
762 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:37:14 ID:???
Doll-Device Archive No.04 コロニー ナンバー・トゥエンティナイン
デブリの密集宙域を突き進む輸送船。
ぶつかるデブリに、船体は大きな揺れを伴っていた。
「くっ……これで、船はもつのでしょうか」
サブコントロール席に座るクランの顔が曇る。
「祈るしかあるまい。いざとなれば、人型に乗り込んで逃げればいい」
操縦桿を握りながら、ギデオンが言い放つ。
ギデオンの計画。
紫藤兄妹の乗っていた作業艇をオートパイロットで、輸送船とは別の方向へ発進させる。
作業艇はデブリが少ない宙域へ。そして輸送船はデブリの密集宙域へ。
通常なら、密集した宙域などに突っ込ませる馬鹿はいない。そう考える。
部隊を分けるにしても、密集宙域に向かう機体は少ないと狙った。
「クレイジー……だわ」
サブコントロール席につくミランダが、冷や汗を流しながら呟いた。
最大速度でデブリの中を進行する。
デブリは輸送船に衝突し、揺れは酷くなるばかり。
しかし致命傷になるような被害が出ないのは、ギデオンの操縦の賜物だろう。
(デブリ宙域の航行経験3回……伊達ではないということね)
経験のなせる技。
763 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:40:51 ID:???
未経験の自分ではこうはいかないだろうと、クランは素直に感心した。
「間もなく、デブリ帯抜けます」
宙域図を映したモニターを見ながら、ミランダが報告する。
しばらくすると、揺れが収まっていった。
輸送船はデブリ・8
764 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:41:47 ID:???
>>763訂正
未経験の自分ではこうはいかないだろうと、クランは素直に感心した。
「間もなく、デブリ帯抜けます」
宙域図を映したモニターを見ながら、ミランダが報告する。
しばらくすると、揺れが収まっていった。
輸送船はデブリ宙域を脱出したのだ。
「独立派の機体、来ます!」
焦りが混じった口調でクランが言う。
「ドルダ、発進だ!」
待っていたとばかりに、ギデオンが声を上げた。
格納庫では、ヴァイス達が発進準備を進めていた。
「すまねぇ。お前に頼っちまって」
「うぅん。わたし、みんなを守るよ。お姉ちゃんの、大事な仲間だもん」
ヴァイスにそう言うと、シンシアは小さく笑って、ドルダのコックピットハッチを閉じた。
「怪我したら、モモが手当てしてあげますからね~!」
「戻るぞ。エアロックが開く。シオンもすまねぇな。手伝ってくれてよ」
ヴァイスとモモとシオンは、格納庫を出る。
「俺は別に。でも、俺と年が変わらない、あんな子を……」
言い辛そうに、シオンは口篭もらせた。
ヴァイスもモモも、その事に関しては表情を暗くさせる。
「あの子は……違うんだ」
そして、ヴァイスはろくに言葉も紡げず、そう返した。
765 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:44:19 ID:???
3人と壁一枚を挟んだ向こう。格納庫のエアロックが開く。
シンシアはまたズキズキと頭を刺激する鈍痛に耐えながら、ドルダを輸送船から発進させた。
ドルダに乗ると、頭痛が走る。
この機体に自分の無くした記憶に関する鍵があるのか。
「私は、なんなの」
凍てつくほど冷たく、シンシアは呟く。
だが、そんな自分にハッとする。
こんな冷たいような言い方、皆やクランがいる前ではしなかったのに。
シンシアは首を振り、モニターを見据える。
「…………来た」
思考の中に直接、機体が接近してくることが伝えられる。
これがドルダの能力なのは、或いは自分にそのような力があるのか。また別の何かか。
わからないまま、シンシアは戦いを始める。
「やはり戦う気か。良いねぇ。喧嘩っ早くて」
そんなシンシアとドルダに対して、マイケルとディランの駆る2機のローズが迫る。
「一度手を合わせただけだけど、模擬戦で僕を敗かせたニコラス・スウィフト君を唸らせたモビルスーツ。
実に興味があるね。いや、羨望に近いかもしれない。その力があれば、生きることがもっと楽になるよ」
戦うことが生きること。
生きる目的。
766 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:46:49 ID:???
そう考えるマイケルにとっては、ドルダという機体は魅力的なのかもしれない。
「ディラン、相手はビームが効かないから、気を付けるようにね」
『了解』
速度を上げ、ドルダに一気に近付く。
「さぁ始めようか。生きるための戦いを!」
2機はレイピアを抜き、ドルダに攻撃を仕掛ける。
「速い!」
レイピアによる攻撃も、機体の動きも。
シンシアは間一髪でそれを避け、間合いを取ろうと後退した。
「駄目だねぇ! 敵に後ろを見せちゃ!」
嬉しそうに、マイケルが言った。
そのまま接近し、ドルダの背部に蹴りの一撃を加える。
一瞬の激しい揺れに襲われるドルダ。
「あくっ……なに!? ろくな攻撃を与えず、こちらを挑発してるの!?」
直ぐ様向き合い、マニピュレーターからビームを発生させ固定する。
そして、マイケルのローズに斬りかかった。
「おっと危ない! ビームを固定するとはね。聞いていた通りこちらを凌駕する技術力だ!」
相手の行動を見ながら、余裕をもって機体を動かす。
飄々とした口調は、実力を伴ってのもの。
戦うことを生きる糧とし、それを楽しみとした男の、
何度も死線を掻い潜った経験からくるものであった。
767 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:50:56 ID:???
「ディラン、そろそろアレを使うよ」
『わかった』
ドルダから距離を取る2機。
ローズの肩部のハードポイントに付けられた空のウェポンラックが開く。
否、正確には空、であった。
ビームライフルとレイピア。これが標準装備であるローズ。
後々追加される武装のため、各所にハードポイントが設置されているのである。
そんなハードポイントに付けられたウェポンラックの中には……
「あぁぁぁ!!」
ドルダに何かがぶつかっていく。
一度ではなく、何度も連続して機体に衝突した。
「うっ、これは……デブリ?」
ドルダの周りに散らばる、機械や何かの装甲と思われる物の残骸。小型のデブリだった。
それが、ドルダに命中していく。
「君達がデブリを利用したように、僕達もデブリを利用させてもらったよ」
ビームが効かない相手。
接近すれば固定した剣状のビームに攻撃される。
そして一時でも攻撃する間を与えれば、
「この……いたぶってえええ!!」
腹部のビーム発射口が開く。
「広域ビームが来るぞ! 奴の後ろに回るんだ!」
いち早くそれを察し、マイケルは声を上げた。
「くっ……!」
768 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:54:52 ID:???
その指示に反応し、ディランは機体を旋回される。
直後、ドルダの腹部からビームが放たれた。
辺りのデブリが薙ぎ払われていく。
その圧倒的な破壊力に、ドルダに背後に回り込んだマイケルもディランも圧巻される。
「これは……喰らってたらオダブツかな」
『隊長、相手は疲弊している。一気に畳みかける』
ディランのローズが、再びレイピアを抜いた。
「待つんだ!」
マイケルの焦った声。
それに反応したディランは機体を制止させる。
ディランのローズの目の前を、ビームの一閃が掠めた。
「これは、輸送船からか!」
ディランはカメラを遠方に位置する輸送船に向ける。
「なんとか……撃てたぜ……」
全身に汗をかきながら、ヴァイスが呟いた。
開いた格納庫のハッチから乗り出したローズが、ビームライフルを構えている。
「奴等め……!」
『ディラン。やめるんだ』
「何故だ隊長!?」
『僕が止めなきゃ。君は死んでた』
「!!」
マイケルの言葉に、ディランは絶句する。
「火星調査隊の諸君。今日は素直に敗けを認めよう」
苦笑して、マイケルは言った。
そして、2機のローズは宙域を離脱していった。
769 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 00:58:26 ID:???
「撤退、したのか?」
離れていく2機のローズを見ながら、ギデオンが言う。
「シンシア、聞こえる? 独立派はいなくなったわ。帰ってきて」
クランはドルダに通信を送った。
だが、返事がない。
回線は繋がっている。声は届いているはずだが。
「シンシア? どうかしたの?」
『ハァ……ハァ……』
「シン……シア?」
『ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……』
荒く呼吸を繰り返す少女の吐息。
クランの顔から、血の気が退いた。
(私はシンシアに……重荷を……)
胸の辺りの服をぎゅっと掴んで、クランは唇を噛んだ。
「ヴァイス。操縦が慣れない内に申し訳ないけれど、シンシアを回収してあげて」
『どうした?』
「お願い……!」
強く、切羽詰まった言い方で、クランは懇願した。
そんなクランにヴァイスはそれ以上何も言えず、黙って機体を発進させた。
ギデオンもミランダもかける言葉を探し、結局何も言えずクランの様子を見守るだけであった。
それから数時間後。
ドルダを回収した輸送船は、当初の目的通り第29コロニーに向かっていた。
「第29コロニー、見えました」
ミランダが言う。
770 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:32:58 ID:???
「燃料ギリギリでしたね……」
ほっと一息ついて、微笑んでクランはギデオンを見た。
「救難信号を出せ。コロニーのほとんどが制圧されたという。一難去ってまた一難とならなければいいが」
気丈な口調だったが、不安を含むその言葉に、クランもミランダも少しばかり気が張った。
いくらドルダという強大な力を持っていても、自分達はその使い方をわかってはいない。
追撃から逃げられたが、マイケルの『所詮は一般人』という考えは、ある意味正しかったといえる。
救難信号に気付いてか、コロニーから数機のローズが出てきた。
「誘導信号を受信しました。コロニーへの収容を了解したと」
「良かった。独立の強硬派といっても、好戦的な人ばかりじゃないのね」
「まだわからんよ」
ギデオンの瞳は未だに、気丈の中に不安が混じっていた。
ローズの誘導により、輸送船がコロニー港へと着船する。
「こちらが火星から脱出してきた公社の火星調査隊であると報告したところ、離船するようにと通達が着ました」
ミランダがギデオンに顔を向ける。
ギデオンは瞼を伏せ、静かに息を吐いた。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
771 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:37:12 ID:???
重苦しく、そう呟く。
ギデオンは船内スピーカーのスイッチを入れた。
「皆、聞いてくれ。コロニーに到着した。船を降りるので集まってくれ」
子供達には冷静に。
微塵の不安も感じさせてはいけないと、ギデオンは思った。
そしてこれからは、その不安さえ捨てなければならない。
(私には16回の隊長職の自負と、プライドがある)
ギデオンはクランとミランダと共に、操縦室を出た。
通路には、ギデオンの放送を聞いたヴァイス達が待っていた。
あれから落ち着いたシンシアは、一目散にクランに抱き付く。
命からがらコロニーを脱出してきた紫藤兄妹は、また同じような状況に二人寄り添って離れない。
(この船に乗る全員、生還させるのが私の仕事だ!)
襲ってくる者、追ってくる者。それから何としてでも逃げ、生き延びねばならない。
これは降りかかる災害。調査の延長。
任務はまだ、終わっていない。
隊を任された己だけは、完全な安全が訪れるまで、気は抜けないのだ。
ギデオンはパネルを操作し、輸送船の乗降口を開く。
その途端、開いたそこから一斉に、ライフルを構えた者達が押し寄せてくる。
772 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:39:09 ID:???
ヘルガが恐怖に「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。
突き付けられる銃口に、クラン達調査隊の者は手を上げて無抵抗なのを示すしかない。
クラン達は互いを見て、何が起こっているのか確認しようとしていた。
ライフルを構え、その銃口を向けるのは、火星独立派の者とは到底思えない。
何故なら、彼等は地球圏連合軍の制服を身に纏っていたのだから。
773 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:41:31 ID:???
ここでCM。アイキャッチはホールドアップする調査隊の面々。
第4話前半終了です。
バルドさん、学園ドルダと差違が生じてしまい申し訳ありませんでした。
第3話の後編は7月の時点ですでに出来上がっていたもので、それをそのまま投下したものであります。
ディラン、紫藤兄妹の登場は第3話前半の時点で決まっていました。
第3話前半での、
> 数で劣る勢力にとって、少年兵を起用することは珍しくないことだ。
という一文は、ディランの設定投下時の説明を引用したものです。
ただし、本家ドルダでの義勇軍はそれほど非道ではないので少年兵を起用することは余りありません。
紫藤兄妹に関しては、デブリ帯=ジャンクの中にいた作業艇に乗る少年と少女。
そして少女の「お兄ちゃん」という発言から投下されたキャラクター設定の中の紫藤兄妹ではないか、
と連想させ、後半にディラン共々登場させてそれを明かすつもりでおりました。
スレが落ちたという私の思い込みから、説明不足でこのようなミスを犯してしまったことをお詫びします。
CM終わり。アイキャッチは眼光鋭い謎の眼鏡美女。
774 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:44:45 ID:???
地球圏連合軍の制式ライフルを突き付けられたまま、クラン達は輸送船を降ろされた。
降り立ったコロニー港のエントランスでは、複数の兵士に取り囲まれ守られている女性士官の姿があった。
「貴様等が、救難信号を出した公社の調査隊とやらか」
眼鏡をかけたきつい目元。
口調も厳つく、他者を寄せ付けようとはしない。
「そうですが、貴殿は」
ギデオンが冷静に返す。
「私は地球圏連合軍火星方面駐留軍司令代理、メリリヴェイル・ルシェッタ大佐だ」
高圧的な態度。蔑むような眼差し。
自分の信じるもの以外、全てを拒絶しているような、そんな深い色の瞳。
彼女、メリリヴェイルに、ギデオンやクラン達調査隊は気圧され、子供達は怯えていた。
「貴様等の身元が証明されるまで、拘束させてもらう」
「待って下さい。せめて子供達だけは……」
「聞く耳を持たん!!」
ギデオンの訴えが一蹴される。
「子供達だけでは、だと? その子供達が敵のスパイではない確証がどこにある」
キッとギデオンを睨んで、低い声で言った。
その言葉は凶器と変わらない。
「そんなことあるかよ! 俺とヘルガは奴等から必死で逃げてきたんだぞ!!」
775 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 01:48:52 ID:???
激昂したシオンの声が、エントランスに響き渡った。
反発を生むのは、当然であった。
無抵抗な弱者を一方的に責めるようなやり方に、調査隊や子供達は皆、メリリヴェイルに快い印象は持たなかった。
怒りに満ちたシオンの視線にも、メリリヴェイルは動じることはない。
静かに懐から拳銃を取り出し、シオンに向けた。
「貴様等の意見は聞かんと言った」
メリリヴェイルの行動に、ヴァイスがシオンの前に出る。
ヘルガは、シオンの腕を掴んだ。先程よりも強く寄り添う。
クランもシンシアを庇うように抱き締めた。
「私は、今ここで貴様等全員を射殺できる権限を有している」
そう一言告げ、銃をしまう。
「身の潔白を証明したいというなら、我々に従ってもらおう」
それ以上の反論は、意味がないとギデオンは理解した。
言うことを聞かなければ、自分の、部下達の身に危険が迫る。
調査隊とシンシア、難民の紫藤兄妹は、地球圏連合軍に拘束された。
数時間に渡る事情聴取。
時間が経つにつれ、ギデオンとクラン以外の者は別室に移動させられた。
恐らくは訊き出せる情報がないと判断されたのだろうと、ギデオンもクランも考えた。
776 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 01:51:27 ID:???
そして、遂にこの二人にも、解放の時が近付いていた。
部屋に、メリリヴェイルと数名の士官が入ってくる。
「今までの無礼を詫びよう。火星調査隊の方々」
メリリヴェイルはギデオン達と対峙するように、向かい側の席に腰をかける。
相変わらず高圧的な物言いだが、その口振りからして二人は安心する。
「火星開発公社と連絡を取ったところ、君達の身元がここに証明された」
メリリヴェイルの部下が二人に書類を差し出す。
「シオン・シドー並びヘルガ・シドーも市民登録から確認が取れた」
「良かった……」
クランの口から、思わず安堵の言葉が漏れる。
「いや、まだ良くはない。クラン・リザレクター・ナギサカ副隊長」
メリリヴェイルの突き刺すような視線が、クランを襲う。
「シンシア・ナギサカ。彼女については別だ」
「あ、あの子はっ……」
「全火星コロニーの市民登録名簿に、そのような名前はなかった」
凍てつく視線に耐えられなくなったクランの目が泳ぐ。
じんわりと滲んでくる汗。
心なしか、鼓動も速まっていく気がする。
「公社から資料を取り寄せ、貴殿の過去を調べさせてもらった。
……貴殿の家族は、テロリスト・イヤーで死亡しているな」
777 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:26:35 ID:???
「デタラメですッ!!」
焦るクランが、勢い良く席を立つ。
イスが床に転がり、大きな音を立てた。
「シンシアは、あの子は、唯一無二の私の妹です!」
それはまるで、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
そんなクランに、メリリヴェイルは不敵に、小さな笑みを浮かべた。
「まぁ、いい。土産の4機の代わりに、このことは不問としよう」
「4機?」
「そうだ。火星独立強硬派、今では火星コロニー義勇軍と名乗っている者達の人型兵器。
モビルスーツ、ローズ。そして見慣れぬもう1機のモビルスーツは我々が管理する」
聞き慣れない単語に頭を整理しながら、クランとギデオンはメリリヴェイルの言葉に耳を疑った。
確かに、輸送船に積まれていた独立派、火星コロニー義勇軍の機体は、地球圏連合軍に渡すべきであろう。
火星コロニーのほとんどを制圧したという義勇軍からコロニーを奪い返し、
ローズを自軍の機体として運用しているのだから、宝の持ち腐れにしておくのは勿体ない。
だが、ドルダは別だ。
「報告書も見せましたし、取り調べの時もお話したはずです。
あれはその火星コロニー義勇軍のモビルスーツではありません!」
778 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:32:15 ID:???
ドルダを渡してはいけないと、そう直感的に思った。
あれはシンシアの、記憶を失った少女の鍵となる存在だ。
それに、あの強大な力は、地球圏連合軍にも火星コロニー義勇軍にも、渡してはいけないと思った。
「火星の地下建造物から発見されたあの機体は、火星での調査結果の生きた証拠に変わりありません」
「過去に我々の地球人類とは別の歴史が存在した、と?」
メリリヴェイルの目は、何も信じてはいなかった。
「私達はそれを地球の公社本部に持ち帰り、そしてこの計画に資金投資をした全ての国に知らせる義務があります」
ドルダがいなくなれば、シンシアは苦しまずにすむのかもしれない。
だが、記憶をなくした少女のために、ドルダは必要な存在だ。
(私は、シンシアを、あの子を……どちらも守りたい)
一度目も二度目の戦いも乗り越えたドルダなら、苦しむことはあっても、きっと死ぬことはないだろう。
それが、シンシアを守ることに繋がるのなら。
「詭弁だ! それを決めるのは貴様等ではない!」
机を叩き、メリリヴェイルは立ち上がって声を荒げた。
クランの曲げられない瞳。メリリヴェイルの折れない瞳。それがぶつかりあう。
779 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:36:17 ID:???
「ドルダ。この機体は我々が頂戴しますよ」
クランとメリリヴェイルの対立に割って入る一声。
室内にいた者全員が、一斉にその声がした方向を見る。
「失礼。白熱していたようだから勝手に入らせてもらった。
俺はカナン・ラヴホールド。公社が寄越した彼等の身元引取人です」
軽く頭を下げ、落ち着いた低い声でそう告げる。
「頂戴するは、どういうことだ……!?」
「公社(うち)のお得意さんが興味を示したみたいなんですよ。
そのお得意さん、火星駐留軍にも結構な援助をしているそうで……」
「軍を脅すのか……!」
「公社は地球側。つまりあなた方の味方ですよ。司令代理殿」
自信に満ち満ちたカナンの発言。
動揺を見せたメリリヴェイルは、机についた手をゆっくりと後ろに持っていく。
「良いだろう。勝手にするがいい」
「助かります。では、マクドガル隊長、ナギサカ副隊長、参りましょう」
「あ、あぁ……」
「えぇ……」
突然の助け舟。
流されるまま、ギデオンとクランはカナンの元に行く。
そして、部屋を出た。
「お姉ちゃん!」
すると、直ぐ様シンシアがクランに抱き付いてきた。
シンシアが来た方向をクランとギデオンが見ると、ヴァイス達も通路にたむろしていた。
780 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:42:24 ID:???
ヴァイス達もギデオン達に近寄ってくる。
「君達も無事で何よりだ」
「子供達はみんな寝てましたよ。モモも」
「モモは起きてましたよぉ!」
「どうだか」
膨れっ面で言い返すモモに、ヴァイスはニヤリと笑って見せた。
クランは腕の中にいるシンシアに顔を向ける。
「シンシアも寝ちゃった?」
「うん。色んなことあったから。でもクランに会えるって言われたからさっきまで待ってたの!」
「そう。でもこれから、しばらくはゆっくりできるはずよ。二人でいられる時間も多くなるわ」
クランが笑うと、シンシアも明るい笑みを返した。
あの数々な困難を乗り越えて、また揃うことができた。
クランもシンシアも、ヴァイスもモモも、少し距離を置いたミランダも、
シオンとヘルガも、皆嬉しそうに笑顔を浮かべている。
「ナギサカ君、すまなかったな。あの場面に加勢できないで」
「いえ、私も少し熱くなりすぎたかもしれません」
「私は、女性同士の言い争いが、どうも苦手でな」
「あら、奥様と不倫相手が鉢合わせなされたとか?」
図星だったのか、ギデオンは沈黙してしまった。
一斉に、ヴァイス達の笑い声が辺りを包む。
苦笑していたが、ギデオンは心に満ちる充実感に、彼等と同じように笑顔を見せた。
781 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:47:56 ID:???
そんな中、ヴァイス達に追い付くように、後ろから一人の女性がやってくる。
その女性は、カナンの隣に立った。
「改めて挨拶を。俺はカナン・ラヴホールド。火星開発公社火星コロニー支部人事課所属です」
「同じく、部下のヴァニラ・ヴァニニですわ」
軽い口調で言うカナンと、丁寧に頭を下げるヴァニラ。
調査隊と同じ、火星開発公社の役員。
「ヴァニニというと、火星開発事業におけるオブザーバーのヴァニナ・ヴァニニ女史の関係者か?」
ギデオンが疑問を口にする。
「姉ですわ。姉は女性器名称と似た自身の名にとてもコンプレックスを持っておりますの。
もし会った際はファーストネームでは呼ばないでやってくださいましね……ふふっ」
ヴァニラは首を傾げつつ、茶目っ気のある笑顔でそう言った。
挨拶もそこそこに、カナンは歩き始める。
それに続くヴァニラ、ギデオン達も追った。
「公社の施設だが、あんた達に部屋を用意した。今日はゆっくり疲れを取ってくれ」
カナンは小気味良く言い、顔をギデオン達に向けた。
「明日、会ってもらわなくちゃならないからな。あんた達とあの機体を、軍から解放した人に」
ギデオン達は、公社の用意した保養施設に案内される。
カナンとヴァニラは玄関で別れ、コロニー内の支部に帰っていった。
782 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:52:59 ID:???
「きゃーん! 久々のシャワータイムぅ!」
モモが嬉々として叫んだ。
女性陣は、真っ先にシャワー室を訪れていた。
「火星適応訓練のせいで、ここ最近はこうやってゆっくりとシャワーを浴びることもしてなかったわね……」
胸に温かいシャワーの水滴を当てながら、クランは体を火照らせていく。
「命の洗濯……ふう」
ミランダも満悦と言った感じで呟いた。
「ヘルガちゃんもそんな離れたところ使わないで、私の隣、使いなさい?」
端の個室で静かにシャワーを浴びていたヘルガに、クランが優しく声をかける。
「でも……」
「じゃあ私がそっちに行くわね」
クランはシャワーを止め、ヘルガのいる個室に向かった。
個室にクランが入ると、ヘルガは恥ずかしそうに顔を紅潮させて慌て始める。
そして、鎖骨辺りを手で覆い、隠した。
「そこ、どうかした?」
「いえ……別に……」
クランに訊かれ、慌てていたヘルガは急に落ち着いて、肌から手を離した。
クランは、「あっ……」と小さく驚きの声を上げる。
そこには塞がってはいるが、一目で銃で撃たれたとわかる、生々しい傷痕があった。
「もう完治はしています。テロリズム・イヤーの時に……」
「そう……」
783 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 02:57:14 ID:???
「私の元々の家族は、ドイツに住んでたんです。右隣の家は、ESEANUの軍の偉い人で、その家の子とは仲良しだったんです」
ヘルガは、遠い目をしながら言った。
「ある日の夜、その隣の家で銃声がしました。気付いた私達一家は、窓から隣の家を見た」
「……」
「その家の人達と、仲良しだった子が、撃ち殺されてるところでした」
淡々と、ヘルガは話していく。
過去を語るヘルガの瞳は、深い深い闇を映していた。
「お父さんは警察に連絡しようと電話機へ走り、お母さんは私を抱き締めながら震えてた。
でもテロリスト達は気付いて、私達の家にもやってきた。お父さんは撃たれて、お母さんも……」
涙が浮かぶ。
「崩れゆくお母さんの隣で、私もテロリストの一人に撃たれた。
でも、撃たれどころが良かったおかげで、こうして……」
撃たれた箇所を押さえて、ヘルガは震える。
ヘルガは必死に、全てを話そうとしていた。
クランは真剣な表情で、黙ってクランの話を聞き続けた。
「助かった後、テロリストはその軍の偉い人の反対勢力で、私達は巻き込まれたと教えてもらいました」
「そして、シオン君やシオン君のお父さんの元に引き取られたのね」
「はい。父子家庭で、男しかいない二人だけの家族の中に私が飛び込んだ」
784 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 03:02:43 ID:???
ヘルガは涙を拭い、なんとか笑顔を作ろうとした。
「初めはお互い四苦八苦してたけど……でも今は、お兄ちゃんもお父さんも、本当の家族だから」
「なら、心配ね。連れ去られたお義父さん」
「はい……」
作った笑顔も、消えていく。
クランはそんなヘルガの手をそっと掴み、自分の左手に、重ねた。
ヘルガにゆっくりと、自分の手を握らせる。
「! クランさん、これ……」
「私も同じだから。だから、絶対に独りで、抱え込まないでね」
クランはとても穏やかな表情をして、ヘルガに言う。
ヘルガは唖然としていたが、クランの言葉を受け止めて、ゆっくりと頷いた。
シャワールーム内はシャワーの水音に包まれている。
響くその音は、どんな会話も、打ち消すだろう。
一通り体を洗い終えたモモは、各自の個室を抜き足で覗きながら歩いていた。
そして、
「えいっ!」
「きゃあ!」
シンシアの声がシャワールームに響いた。
「どうしたのシンシア!? ……って、モモちゃん?」
「むむむ……これは」
「お姉ちゃん、助けてぇ!」
クランが個室に飛び込むと、モモがシンシアの胸を揉んでいたのだ。
「年はあんまり変わらなそうなのに、これは卑怯です!」
「大きい……」
モモは悔しさに声を上げ、クランと共に個室を覗き込んだヘルガは羨ましそうに呟いた。
785 :本家ドルダ:2008/11/28(金) 03:05:45 ID:???
「クッ……負けたッ」
ミランダも唇を噛んだ。
「ミランダさんまで……もう、シンシアの胸は見せ物じゃないのよ!」
「クランさんは貧乳の悩みがわからないからそういうことが言えるんですよぉ!」
「どうでもいいから手をどけてぇ!!」
シンシアが絶叫する。
束の間の平和。なのかもしれない。
火星圏では、今も尚火星コロニー義勇軍の侵攻と、駐留軍の抵抗が続いている。
戦渦の中に、彼女達はまだ身を置いているのだ。
火星で発見された謎の機体と記憶を失った少女、そしてそれに関わる者達の困難は、続く。
To Be Continued...
786 :本家ドルダの人:2008/11/28(金) 03:19:04 ID:???
今回はまるまる一話分の投下だったので骨が折れました。
あと間違いがありましたので訂正します。
>>776の最後の行、『テロリスト・イヤー』となっていますが『テロリズム・イヤー』が正解です。
テロリズム・イヤーとは、クランの家族の死、ヘルガの家族の死、
本家ドルダ第1話でギデオンが調査任務に就いたL4第8コロニーテロ崩壊事件等
進宇宙暦の中でテロが最も多発した忌々しい年のことであります。
矛盾が出るといけないので正確な年は敢えて書いてありません。
これも本家ドルダを進めるにあたって出した設定なので、他の作品の方が合わせる必要はないのです。
ではまた後日。
787 :571:2008/11/28(金) 19:16:29 ID:???
本編ドルダの人GJ!!
地球とも火星とも違う立ち居地がいいですね。
地球連邦のメリリヴェイルも連邦の高級仕官ぽいですし。
788 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/28(金) 20:08:23 ID:???
本編ドルダGJ!&乙です!
やっぱりどのガンダムでも連邦は連邦ですねw
百合物でありながらガンダムらしい展開が好きです。
789 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 20:09:52 ID:???
いつも思うんだけど、sageじゃなくてsageってわざとやってるの?
790 :571:2008/11/28(金) 21:04:17 ID:???
>>789
申し訳ない。どうやらずっとsageとなっていたみたいです。
一応半角に戻しました。
ところでこの世界のお金って何でしょうか?
同じなのかそれとも地球と火星では違うのか?
AC(アースクレジット)とMC(マースクレジット)とかみたいに。
どうでしょう?
791 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 22:33:10 ID:???
571の人は名無しに戻っていいんじゃない?
792 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/29(土) 02:57:51 ID:???
S.A.E.S.社=桜花爛漫?
793 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/29(土) 11:52:35 ID:???
>>792
・桜花爛漫はMS製造の下請け有限会社。
・S.A.E.S社は民間用MSの管理や、テロや紛争を鎮圧する株式会社。
という感じです。とはいえ、まだ設定だけの登場なのですがw
794 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/29(土) 14:39:04 ID:???
桜花爛漫の製品をS.A.E.S.社が使用してるってことですね
わかりました
些細なことですが会社の形式まで有限、株式と決める必要はないのでは?と思ってしまいました
795 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/29(土) 19:57:57 ID:???
>>794
会社の形式は裏設定なので、あってもなくても良い設定です。
ただ、私としては意味のない設定にこそ遊び要素があると思うのです。
ご無礼を失礼します。
796 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/29(土) 23:12:34 ID:???
どうも、本編の人・バルド氏いつも乙です。
今から書き始めるんで、自分の方も早くて二時間後、遅くとも明日の夜には投下できると思います。
797 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/29(土) 23:40:50 ID:???
>>795
いえいえ、お気になさらず
こちらこそ気を悪くなされたらすみませんでした
ただそれが作品の枷にならないかと心配になったもので
>>796
wktk!
798 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:18:42 ID:???
さあ、出来た。途中でガンダムマイスターズやってたらえらい時間かかったなあw
じゃ、いきます
799 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:20:03 ID:???
新説ガンダムドルダ
第五話 死闘の果て
ずっとずっと、探していたんだ…
深い氷と闇の世界から、貴女だけを探していたんだ…
「ガンダムマルス、アレス・ルナーク!これよりガンダムドルダを駆逐する!」
先ほどデイヴ達と戦闘を行っていた時とは比べ物にならないほどの速度で、二刀流のガンダムマルスがドルダへと向かう。
(シンシア…)
その身に走る驚異のGに、顔を歪ませるアレス。
(何度でも、探し出すよ…)
激突するドルダとマルス。二刀流の太刀をドルダのビームフィールドが阻む。
(君の目、その手の温もりを…!)
揺るぎない瞳のまま、マルスはサーベル柄部を軸とし、そのままドルダに向かって宙返り、かかと落としを放つ。
ガァン!仰け反るドルダに対して、マルスが攻撃の手を緩めることはない。
片方のバスターライフルの銃口をマルスに向けるドルダの手首を、マルスの手刀打ちが弾く。
「…ッ!」
顔を歪める謎の少女。クランも戸惑いを隠せないでいる。
そのままマルスはドルダの懐に入り込むようにして、ビームブレイドを発生させたままの足で三日月蹴りを放つ。
(やはりビームは無効化されるか…!)
思い通りにならない目の前の敵に対して舌打ちをするアレス。
(それでも!)
仰け反るドルダに対し、三日月蹴りを放った足を軸足とし、さらに軸足を回転させ跳躍し、自らの背中を見せるマルス。
大きな隙が出来た、と思いきや…目にもとまらぬ速さでそのまま反対の足で勢いをつけると、大きく弧を描くようにして、軸足が舞いドルダの頭部を強く打つ。
「くっ!あああああああ!」
大きくよろめくドルダに、叫ぶ少女とクラン。
しかし少女は、すぐに冷たい瞳に戻ると、冷静な判断でマルスに腹部のビームキャノンの照準を合わせる。
「いっけー!」
収束するビームキャノンを間一髪で回避するマルス。一瞬のうちにMA形態に変形することで、マルスの下半身を狙ったビームを避けたのだった。
先ほどまでマルスの下半身を捉えていたビームは、出会うべき対象を捉え損ね、虚しく消えて行った。
800 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:21:01 ID:???
(だとしても!)
MA形態のままビームライフルを連射し、ドルダに特攻するマルス。
放たれるビームはすべて無効化されるも、連撃としての意味は成したようだ。
わずかな隙を見出し、一定以上の間合いに入りMS形態に変形、そのままドルダにラリアット、廻し蹴り、追い打ちの足刀蹴りを入れる。
「ぅぅ…あああ!」
衝撃から来るGに苦しむ少女。
ドルダのビームジェネレーターはビーム兵器を無効化するフィールドを発生させるが、実弾や実剣、MS等による格闘は防げないのであった。
一方でクランの方は、Gによる衝撃に苦しみながらも、頭の中では別のことを思い苦しんでいた。
先ほど偶然聴こえた通信…アレスという名…
もし目の前の真紅の機体のパイロットが本当に彼女の思い浮かべるアレスだったなら、この戦いは起こってはならないものだ。
(アレス…本当にあなたなの?)
それまで戸惑いと苦しみと幾らかの傷痕のみしか映し出していなかったクランの瞳が、今度は固い決意によって輝きを取り戻す。
(だとしたら、私はこの戦いを止めなければならない…!)
アレスとシンシア。シンシアとアレス。シンシアとアレスとクラン。
目の前の少女が本当にシンシアなのかはわからない。また、目の前の機体が本当にアレスであるのかはわからない。
しかしクランは、なんとしてもこの戦いを止めなければならない、とその心で決めたのであった。
「なんなんだよ、アイツらは…?」
装甲の剥げたグワッシュから、直接二機のガンダム同士の戦いを見つめるデイヴ。
見たこともない機体が、見たこともない装備を持ち、見たことのない状況で戦っている。
「クソッ!俺は一体どうすりゃいいんだ…?」
焦るデイヴに、通信が入る。フィリアからだった。
「デイヴ、皆、聞こえる!?」
緊迫したフィリアの声。どうやら現状を把握しているようだ。
「ああ。しかし聞いてないぜ、フィリア。お前の言う再スタートってのは、アンノウン同士のドンパチに巻き込まれることだったのか?」
皮肉を言うデイヴ。まあこのような理不尽な状況で、その気持ちはわからないでもないが。
「もう!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
「…へいへい。で?俺達はどうすりゃいいんだ?」
「全員とにかく現場より緊急離脱!急いで!」
フィリアが言い終わると同時に、今度はスメッグヘッド教授から通信が入る。
「何を言っておるのだ、シュード君!現場のパイロットは皆、あの二機のデータ収集を最優先とせよ!」
傲慢に言い放つスメッグヘッド。驚きを隠せない第七次調査団の面々。
ゲイリーなどは悲嘆の声を洩らし、泣き出しかけていた。
そんな中、一人デイヴのみが答える。
「おいおい、そりゃねえっすよ、教授殿。命あってのものダネって言葉、教授ともあろうお方が知らねえとは言わせませんよ」
「口答えをするな、この落ちこぼれ!」
「ハッ!これでもヨボヨボのアンタよかMSは操縦できるぜ」
「なんだと、貴様!」
「落ちつけよ、血圧が上がっちまう」
激昂するスメッグヘッドとニヤリと笑うデイヴ。
「実はこの落ちこぼれ、僭越ながらガンダムタイプと交戦したであります!」
おどけたように言う、しかしその表情は出来るだけ真面目になるよう努めていた。
「なに!?」
驚くスメッグヘッド。
「一応グワッシュのミッションレコーダーに記録、残ってんぜ。それでもまだウダウダ言うのかい?アンタの口は」
デイヴはスメッグヘッドに聞こえないように、一機分だけだけどな、と呟く。