801-900
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gundam_dollda
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801 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:21:50 ID:???
「それを早く言わんか、バカタレ!全員速やかに帰還せよ!」
通信が切れる。安心の溜息をもらす面々。特にゲイリーなどはそれが顕著であった。
「やるじゃねえか、オッサン。教授を黙らせちまうなんて」
ディックからの通信が入る。
「クソオヤジからオッサンへ昇格できて光栄であります、中尉殿。しかしあのジジイの口は悪意製造機だな。おしゃぶりでもはめとけっての」
相変わらず皮肉を続けるデイヴ。しかし、その顔は作った真剣さではなく、本当に真剣な表情そのものだった。
「さて、こっからどう帰るかねえ…ラーグ中尉とネルネ…だっけか?俺とアイツのMS、引っ張って行ってくれよ」
「誰が貴様なぞを!出撃前、私のドグッシュを…その…」
顔を真っ赤にするネルネ・ルネールネ。
その顔の赤さは怒り半分、恥ずかしさ半分といったところだろうか。
「構わない。デイヴィッドは俺が。君はディックを頼んだ」
「…えっ!?いや、その私は…」
何故か慌て出すネルネ。女性というのは、よくわからないものだ。
「そ、その、デイヴィッドを運んでも…」
言い終わる前に、シヴォーフのムウシコスがデイヴのグワッシュを支える。
「離脱する!」
シヴォーフとデイヴ、ネルネとディック、そしてゲイリーは帰還するべく、その場を離れようとした。
「逃すものか!」
アレスはドルダと戦いながらも、彼ら第七次調査団を全滅させるという、ティモールの命令を実行することを忘れはしなかった。
ドルダの放つビームキャノン、手に持った方のバスターライフルの閃光を巧みに避けつつ、ビームガンブレードの照準を彼らに向ける。
「落ちろ!」
放たれるビームライフルの雨が、殿を務めていたデイヴとシヴォーフを襲う。
(当たるものか…俺は言うんだ、彼女に…帰ったら、結婚しようって…!)
必死にビームライフルを回避しようとするが、その一撃がムウシコスに直撃する。
「うわあああああ!」
動きを止めたムウシコスを襲う無情な攻撃。
憐れ、シヴォーフ・ラーグはその名の通り、宇宙の塵と消えてしまった。
かたやデイヴのグワッシュは、奇跡的に、本当に奇跡的にだが、ムウシコスの爆散の影響を受け誘爆することなく吹っ飛ばされるだけで済んでいた。
「オッサン!」
「デイヴィッド!」
同時に叫ぶディックとネルネ。しかし、彼らとデイヴとの距離はあまりにも離れ過ぎていた。
助けに行こうとするが、ゲイリーの制止を受け、なす術もなく二人は帰投するしかなかったのだった…
「つくづく運のいい…しかし貴様も終わりだ!」
もはやデイヴを撃つことに何の躊躇いも戸惑いもなく、アレスは引き金を引こうとする。
が…
またしてもガンダムドルダがそれを阻む。
今度はバスターライフルをマウントし、大型のビームソードを抜く。
両肩のジェネレーターからもビームサーベルを発生させ、マルスに対抗する為接近戦を主流に切り替えることにしたようだ。
802 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:22:45 ID:???
「!」
ドルダは腹部のビームキャノンを放ち、マルスに向けてビームソードを振りかざす。
マルスはビームキャノンを避け、ビームガンブレードをドルダに向ける。
バチッ!ビームソードとビームガンブレードが火花を散らす。
マルスはドルダの攻撃を巧く防げた…かに見えた。
刹那、ドルダは体勢を変え、ビームソードを持っていない方の肩を突き出す。
ドルダの肩にあるビームサーベルがマルスを襲う。
「シールドが!?」
間一髪でその斬撃をセンサーシールドで阻むことに成功したマルス。
しかし、ドルダの圧倒的なビーム出力の前に、マルスのセンサーシールドは溶解してしまう。
(クッ!まずいな…)
両手を振り上げた状態のマルス。中段に大きな隙が出来る。
「ビームキャノン、収束…発射!」
叫ぶ少女。
「ダメええぇぇぇ!」
しかし、その声よりも深い悲しみを知っている叫び声の主が、少女の操縦を阻む。
「お姉、ちゃん…?」
信じられないといった顔をする少女。
ああ、そんな顔をしないで…クランは少女を見つめ、自らのしたことを悔いたがすぐに気を取り直し少女に問う。
「通信のスイッチは、どれ!?」
「何を…」
「いいから!答えて!」
その昔、自らの妹を叱った時のことを思い出しながら、クランは語気鋭く言い放つ。
その迫力に気圧された少女は観念したのか、一つのスイッチを指差し、黙り込む。
クランは身を乗り出して、通信のスイッチを押す。
「アレス!あなた、アレスね!?こんなことはもうやめて!もうこちらに敵意は無いわ!お願い!」
「「!」」
今までの比にならないほどの驚愕を見せるアレス…そしてデイヴ。
「聞こえるでしょう!?応答して、アレス!」
アレスは少しの逡巡の後、応答する。
「クラン…なのか!?何故あなたがここに…!」
「事情は後で話すわ!とにかくこれ以上争うのはもうやめましょう!」
「だが、その機体は…」
優しさと決意が入り混じった声で答えるアレス。
「アレス。お願いだからお姉ちゃんの言うこと、聞いて?」
不意に、クランが、鬼気迫る迫力の全てを抑え、肉親に向ける情愛をありったけに込めて、自らの弟に語りかける。
「姉、さん…」
ドルダとマルス…二機のガンダムは、火星の暁の空に沈黙するのだった。
偶然に偶然が重なって、二機の死闘を見守ることになっていたデイヴに衝撃が走る。
いや、デイヴィッド・リマーがこの場所に居合わせたことはそもそも偶然なのだろうか。
偶然という必然が、運命という言葉に言い換えられ、デイヴの前に立ちはだかる。
「クラン…アレス…どっかで聞いたことがあると思ってたら、あの時の…」
過去の傷痕が痛み、デイヴは親友のフィリアにすら見せたことのない涙をその目に浮かべた。
803 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:23:51 ID:???
(二年前の、あの事件の…俺が、俺が助けられなかった…!)
二年前…そう、クラン・R・ナギサカの妹、シンシアが死去した(と思われる)のも二年前。
デイヴィッド・リマーが軍を退役し、簡易居住惑星地区で飲んだくれのニートになったのも二年前…
悲しみに顔を伏せるデイヴ。しかしハッと面を上げる。
(まさか、あのガンダムもここに…)
二年前の悲劇の役者達…彼らが一挙にこの地へ集結しているという運命。
しかし、それには一人、役者が足りなかった。
そう、ガンダムドルチェである。
二年前の事件を引き起こした機体、純白の美しさを持つその機体が、デイヴの思惑通り約束の地へ近づきつつあった。
「そんな、ウソ、だろ…?」
白き舞姫のように流麗に、舞うようにしてガンダムドルチェはデイヴのグワッシュの元へ向かってくる。
「来るな…!」
冷や汗がとめどなく流れる。
「来るな…!」
首を振り、両手を突き出し拒絶の意を示す…が、なお近づく機体。
「来ないでくれえぇっ!」
デイヴの望みとは裏腹に、ガンダムドルチェはグワッシュのコクピットをこじ開け、デイヴをその掌に乗せる。
「来るな、とは随分な挨拶ね」
少女の声。但し、シンシアと思しき少女の澄んだ声を天使と形容するならば、こちらは美しさというものを熟知した、悪魔の声と形容出来る。
「ずっと、あなたに会いたかったの。デイヴ」
ドルチェのハッチが開き、デイヴを招き入れる。
操縦席には、金の髪に漆黒の瞳を持つ美しい少女。
「私はエリス。宜しくね、デイヴ」
運命の序曲は終わり、歯車が回転する。
五話 終 六話に続く
804 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:25:55 ID:???
今回は若干短くなりました。あと00のセリフがちらほら。遊んでみたw
読者さんざまあwって感じの展開なつもり。
ってなわけでサヨウナラ
805 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/30(日) 15:20:02 ID:???
GJです!
まさか、アレスが弟だったとは…
戦闘に緊迫感があって良いですね!
806 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/30(日) 21:20:58 ID:???
エルト投下乙!
807 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:07:05 ID:???
Doll-Device Archive No.05 ジャイアントマン
翌日。
クラン達はカナンとヴァニラと共に、とあるホテルを訪れていた。
カナンが口にした、会わせたいという人物。
ホテルということは、火星開発公社の人間ではないのか。
何者なのか知らされぬまま、クラン達はカナンとヴァニラについていくしかなかった。
「ミランダさん、大丈夫かしら……」
心配そうにクランが呟く。
「病気じゃないですし、疲れが残っちゃっただけですよ」
「まぁ、シオンとヘルガの相手してるって言ってたしよ」
ミランダのことを気にかけるクランに、モモとヴァイスが言葉をかけた。
クランは「そうね」と、少し暗い面持ちで笑みを浮かべる。
クラン達を地球圏連合軍の拘束から解いた人物に招待されたのは、調査隊の面々とシンシア。
ミランダは体調不良を理由に同行を辞退し、紫藤兄弟と共に保養施設に残っている。
何故、シンシアまで呼ばれたのか。
ドルダに乗っていたということは、報告書にも記入しなかったし事情聴取の時も話してはいない。
火星コロニー義勇軍と戦闘したことすら、言ってはいないのだ。
そのことに関して疑問を持つクランやギデオンは、カナンとヴァニラを完全には信用していなかった。
808 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:11:17 ID:???
ギデオンは前を歩くカナンとヴァニラに、疑惑の眼差しを向けている。
カナンとヴァニラは受付を通り過ぎ、そのままホテルスタッフの利用するフロアに続くドアを開いた。
面会の相手は、ホテルの関係者か。
カナンとヴァニラは、エレベーターの前で立ち止まる。
ドアが開くと、そこは複数の座席がある個室のようになっていた。
「みんな、席についてくれ。ここからはエレベーターで移動となる」
カナンに言われるがまま、ギデオン達は座席についた。
座席には、シートベルトが付いている。
カナンとヴァニラがシートベルトを固定するのを見て、ギデオン達も同じようにする。
エレベーターのドアが閉まると、カナンは座席のコントロールパネルを操作して、エレベーターを発進させた。
動きだす、座席付きのエレベーター。
密室の箱。それは、どこへ向かうのだろうか。
それに乗った者達は、どこへ向かっていくのだろうか。
「低重力ポイント、抜けましたわ。ここから重力が軽くなりますからご注意を」
しばらくして、後ろの席にいるギデオン達に顔を向け、ヴァニラが言う。
浮遊感。髪や衣服が少しずつ重力に反していく。
「長いな。まだかかるのか」
「スマンね。あの人は変人でな」
809 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:14:48 ID:???
カナンはククッと笑って、ギデオンに返した。
(変人……。公社や政府の者ではない? しかし、何故この男、ここまでフレンドリーなのだ)
自分達を地球圏連合軍の拘束から解放した人物。
そして、公社の役員を私的に動かせるとなると、かなりの大物と見ていいだろう。
ギデオンは、小さく呻いた。
解せないことが、多すぎる。
「到着しましたわ。シートベルトは外してもらって結構です」
ヴァニラに言われた通りにする一同。
ドアが、開いた。
カナンとヴァニラが先に部屋に入る。
「なっ……!?」
「えぇっ……!?」
それに続いたギデオンとクランは、思わず声を上げてしまった。
「なんだなんだ? って、うぉっ!?」
「どうかしたんですかぁ? って、ひゃあ!?」
立ち止まる二人の間から覗いてみたヴァイスとモモが同じように声を上げる。
(大物だとは思ったが……)
(なんて、巨大……)
呆然となるギデオンとクランをよそに、カナンとヴァニラは振り返り、
「紹介しよう」
「わたくし達のマスター。ジャイアントマンですわ」
カナンとヴァニラが横へ退く。
退く前から、ギデオン達はその存在に圧倒されていたが。
810 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:20:21 ID:???
見上げなくてはならないのは、決してその人物が低重力下で浮いているからだけではない。
(ジャイアントマン? ファットマンの間違いだろ……)
(メタボリック将軍……いやいや、症候群です)
ヴァイスもモモも、開いた口が塞がらなかった。
「ん~、一人足りないみたいだけど~」
「ミランダ・ウォンは、体調不良で欠席ですわ」
「そ~か~。なら、5人だけでいいね~」
間延びした口調の男。
それはゆっくりと回転し、ギデオン達にその全貌を見せた。
その際に浮かんでいるクッションや菓子の袋にぶつかって、それが四方八方に飛んでいく。
常軌を逸した巨漢。人の想像を絶する、超肥満体。
部屋にいたのは、横はもちろん太く、縦も2メートルを越す長身の男だった。
「5人ていうのは~、後ろにいる小さなパイロットさんもだからね~」
ジャイアントマン。そう紹介された巨漢の言葉に、クラン達は騒然となる。
「こ、この子はパイロットでは!」
「庇わなくても平気だよ~、クラン・リザレクター・ナギサカ君。
別に僕は、その子を食べたりとかはしないからね~」
ジャイアントマンは、何とも言い得ぬ笑みでそう言った。
招待された5人が、横に並ぶ。
それでも、ジャイアントマンの幅には及ばなかった。
811 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:24:05 ID:???
「ジャイアントマン……聞いたことがある」
何かに気付いたギデオンが、ゆっくりと口を開いた。
「地球圏連合政府発足の当時からその風格を現し、今も尚各界に影響を与えることのできる大富豪。
通称ジャイアントマン。彼の本名や容姿、その他の素性は誰も知らないと言われている人物だ……」
有り得ないモノを見たような顔をして、ギデオンはそう話す。
じんわりと汗をかき、驚きや、恐れを抱く感情すらあった。
(発足当時って、このデブいったいいくつだよ……)
顔を引きつらせながら、ヴァイスは思った。
ギデオンもクランもヴァイスもモモも、圧倒されっ放しでジャイアントマンを眺めている。
たがシンシアだけは、じいっとジャイアントマンを見詰めるだけ。
表情は変わらず、クラン達のような驚きは見受けられない。
そんな落ち着いた様子のシンシアを目にして、ギデオンも平静を保とうとする。
「その世界の黒幕が、我々にご用とは?」
なんとか口に出来たのは、一番に訊きたかったことだった。
この様子だと、シンシアに、火星で見つかったモノに興味があるようだが。
「ん~、ただ挨拶をしておきたかっただけ、かな~」
812 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 01:01:40 ID:???
ジャイアントマンの言葉は相変わらず間延びしていて、だが意味深長な言い方だった。
「挨拶だけって、それだけでこんなとこに連れてきたのかよ!?」
「僕は出不精でね~。こんな体だからろくに外出もできないんだよ~」
ヴァイスの怒声にも動じず、ふわふわと浮きながらジャイアントマンは言う。
「ジャイアントマン、ふざけないで頂きたい」
「ジ~ム~。親しい人には、Giant Manの頭文字を取ってGM(ジム)って呼んでほしいな~」
「我々は貴方と、それほど親しくはない!」
普段冷静なギデオンが、声を荒げた。
既に苛立っているヴァイス、そして堪忍袋の緒が切れてしまったギデオン。
モモは柄にもなく萎縮し、クランはジャイアントマンに不信感を募らせている。
「ジム。さっさと言っちまったらどうなんだ? あんたのワガママに付き合ってほしいって」
歯切れの悪いジャイアントマンに呆れてか、カナンが助け舟を出した。
「ああ~、ダメだよカナン~。僕はみんなにこれからどうしたいかを訊いてからそれを言いたかったんだ~」
ジャイアントマンは言い付けを聞かない子供のように駄々をこねた。
「これから、どうしたいか……?」
疑惑の眼差しを向け、言ったことをクランが復唱する。
813 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 01:06:11 ID:???
「そ~。進宇宙暦になって102年。世界は火星にまで生活の場を広げた~。でも見てごらん。
地球圏でも火星圏でも、やっていることは戦争、紛争、武力衝突……僕は飽きちゃったんだ~。
いくら僕がいろんなところに顔が利くといっても、民衆をどうにかすることなんてできない。
だから君達に託したいと思ったんだ~。僕が望む、新しい世界っていうものをね~」
巨体をくるくると回転させ、ジャイアントマンはそう語る。
しかし、そんなことを言われても、どうしようもない。
「そんな世界を変えれるような力。私達には……」
「あるさ~。君達が持ち帰った、ドルダだよ~」
クラン達、それにシンシアも、ジャイアントマンの言葉に再び騒然となった。
当てずっぽうで言ったようにも取れる発言であったが、ジャイアントマンは口調に反して至って真面目そうに見えた。
「クラン・R・ナギサカ君。君はこの火星圏を、どう思うかい~」
真っ直ぐ瞳が、クランを見る。
火星コロニーの民衆を力で押さえつける地球圏連合。
そして、圧政から解放されようと決起した火星コロニー義勇軍。
「君はどっちの支持をする~?」
「……支持はしません。私はどちらも、間違っていると思います」
814 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 01:11:37 ID:???
暗い表情で、クランは言った。
「私は地球圏の生まれです。火星圏に来て、火星のコロニーが酷い状態なのは、一目でわかりました。
裕福なのは、地球圏出身の政府や軍の関係者だけ。火星コロニーの人達は、火星圏では力を生かせないで、
少しでも豊かな生活のために火星圏から離れたアステロイドベルトにまで出稼ぎに行かなくてはならない」
それが、クランが見てきた火星圏の住民の現実だった。
語るクランの表情は、まるで自分のことであるかのように、辛そうである。
「でも、だからといって、それで地球圏連合を武力で排斥していい理由にはなりません」
クランも、その真っ直ぐな瞳を、ジャイアントマンに向ける。
その瞳の映るのは、火星圏の未来への憂いだけではなかった。
クランの中にある過去。自分だけの力では、どうすることもできなかったあの日々。
それがクランの見てきた、必死に生きる者達の姿に重なる。
「もし、あなたが言うように、どうにかできるというのなら……私は、その全てを解決していきたい!」
言うだけしか出来ないが、クランは力強くそう言うのだった。
815 :本家ドルダの人:2008/12/02(火) 01:13:23 ID:???
ここでCM。アイキャッチは全面に巨体を張り出したジャイアントマンさんと、両脇にカナンとヴァニラ。
今日は前半のみ。戦闘もありません。
クラン達が戦場に出る理由をそろそろ決めなくてはならないと思い、こんな展開です。
中立って大変だよなぁと考えつつ、某大天使ご一行様にはならないようにと。
どうでもいいですが、宮野真守さんご結婚おめでとうございます。
後半はまた後日。
816 :571:2008/12/02(火) 17:34:17 ID:???
本編ドルダの人乙です&GJ!!
わぁ~、ジャイアントマンさんが他人に思えない~。
冗談です。本気にしないでください。
某大天使様ご一行wwww
まぁ、確かに中立貫いてますね。逆に敵の敵も敵ですけど。
宮野真守さんご結婚なされたんですか!!?
それはおめでたい。
ではでは
↓はスルーしてもかまいません。
現在エルトさんの新説ドルダの世界観で外伝を執筆中……なんですが、いつ投下できるか分かりません。
なので忘れた頃に来るかもしれませんが、そのときは生暖かい目か冷たい目で見ていてください。
817 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:46:25 ID:???
真昼間にこんにちは
>>本編の人
投下乙&GJです!俺の書くクランと違って芯がしっかりしてますね…
>>571
久し振りっす。投下、楽しみにしてます
で、新説ドルダいつまでダラダラとこの展開が続くんだよって話ですが、七話までで一区切りつけます
八話から新章に突入する予定なんで、マジですいません
818 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/04(木) 00:47:13 ID:???
夜にも今晩は
六話書いてたら相変わらずフリーダムなことになっちゃってて…
ドルチェの設定投下します。571氏、何度もすいません、それと不快に思われたら申し訳ないです
DOLL-002CE ガンダムドルチェ
所属:第七次調査団
パイロット:エリス、デイヴィッド・リマー
武装:
ビームレイピア×1
ロングギガビームライフル×1
背部追尾ビームファトランクス×2
ビームスコップ×1
シールドファンネル×12(30)
詳細:
デイヴの過去に関係する、純白のガンダム。まるで眠り姫のような美しさを持つ。
ロングギガビームライフルは最大出力時においては長大な射程距離と絶大な威力を誇る。
出力の調整が可能で低出力時にはマシンガンとしても使用可能。
また、恐ろしいほどの射撃精度を誇る。
これは主に両手で使用するものなのでシールドを装備することが出来ず、その代わりシールド型のファンネルを搭載している。
シールドファンネルは攻撃能力を持たない反面平面状で、ビームを増幅、反射させる性質を持つ。
その性質を利用し、ビームを反射させることで攻撃への転用が可能。
さらに筒状にしたシールドファンネルの中でビームを反射・増幅させて放つという離れ業もある。ただし使用後はシールドがぼろぼろになってしまう。
本来ならこれを使いこなすのは至難の業だが、デイヴの状況判断能力がそれを可能にする。
通常時は折り畳んだ傘のような形状でドルチェの腰から下を覆っており、控え目なドレススカートのような形状を持つ。
また、背部に取り付けられた追尾ビームファトランクスは敵を追尾する性質を持つビームを発射する。
この時、発射されたビームが左右に分かれ発射されるので、背中から羽が生えたように見える。
接近戦時には主にビームレイピアと、奇妙なスプーン型の武器を使用する。
ビームスコップと呼ばれるこの武器は、長い柄に実体の匙状の刃を取り付けたものにビームを纏わせて使用されるという変わった武器。
また、本機に搭載されている「Doll‐CE」システムはパイロットを補助する。
一部の火器管制をドルチェ自身(またはエリス)が行い、シールドファンネルを全機使用することが出来るようになる。
このシステムによってパイロットは戦闘に集中することが可能となる。
イメージ:ケルディム+ナドレ
819 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/04(木) 00:53:42 ID:???
連投すいません。
まず、571氏の協力無しにはドルチェのアイディアは思い浮かばなかったので感謝です。
改善点として、
まずレーザーファトランクスは、レーザーを武器転用出来るんならビームいらなくね?って以前ウィ○ドスレで誰かが言ってたんで…
それと、アナザーの人の考えたビームスコップをこいつに持たせたいという個人的なワガママです。
これにより、アレ?武装多くね?→じゃバルカンとキャノン削って素敵なアイディアなライフルとファトランクスの威力上昇を図りました。
指摘やら要望やら苦情やらはいつでも受け付けますので。
それではサヨウナラ
820 :本家ドルダの人:2008/12/05(金) 02:17:55 ID:???
最近は設定の投下がなくて寂しいですねぇ。
キャラクターとか機体とか、楽しみなんですが。
そんな本家ドルダ第5話の後半は、ローズに新型の武装が配備されるお話です。
>>571さん
新説の外伝、楽しみにしてます。
>>エルトさん
新説はバトル、バトルの連続で一度読んだはずの二つ作品だというのに、
新たにリメイクされた展開にハラハラしっぱなしです。
新章も楽しみです。
CM終わり。アイキャッチはクランとジャイアントマンの対峙。
821 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:22:42 ID:???
ジャイアントマンは、「う~~~~~~ん」と長い間唸っていた。
そして、その重そうな瞼を開いて、クランを見た。
「わかったよ~。なら君に、機会をあげよう~」
自分が一番優位であるかのような、横柄な態度。
否、彼は優位なのだ。
ジャイアントマン。この男がどれほどの力を持っているか。
漠然としかわからないクラン達でも、彼からプレッシャーのようなものを感じ取っていた。
「機会……とは?」
「君が言う、全てを解決できるかもしれない機会さ~」
ジャイアントマンの言葉に、クランは眉間にしわを寄せる。
「このコロニーには、駐留軍の司令部、宇宙要塞ハーフムーンから逃げてきた部隊がいる。
君達が会ったルシェッタ大佐のことだね~。今は司令代理なんて名乗ってるけども~」
ギデオンがハッとする。
「まさか陥とされたのか!? ハーフムーンが……」
宇宙要塞ハーフムーン。
月を割った、半月のようなボウル型の小惑星。
火星圏における地球圏連合軍火星方面駐留軍の最重要拠点である。
いくらローズの戦闘力が強大といっても、イーグルクロウや戦闘艦の配備数では決して劣っていないはずだ。
822 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:27:25 ID:???
それが破られたと知って、ギデオンは愕然となる。
「主だった高官達は戦死。ハーフムーンの司令だったアーロン・キム少将が重傷を負った。
ルシェッタ大佐は艦隊司令で、ハーフムーンを放棄してこのコロニーに逃げてくる際に、
キム司令から駐留軍の司令代理を務めるようにと略式だが任命されたという経緯らしい」
事情を知るカナンが説明を加える。
駐留軍の司令官と少数だが艦隊が生存しているのは、不幸中の幸いといえる。
だが、火星コロニー義勇軍のその戦力と手際の良さには、感服せざるを得ない。ギデオンはそう思った。
「火星コロニー義勇軍は、司令やハーフムーンの艦がここにいるのは知っているはずだ。
だが未だに再攻撃の類がないというのは、そこまで重要視してはいないということだろう」
「目的は宇宙要塞そのものだと?」
「さあ? 民間人の俺にはわからんよ」
はぐらかすようにカナンは笑った。
ギデオンも、これ以上の質問は意味はないと、口を閉じた。
「それで、私に何が出来るというんです。そんなことを教えてまで」
睨むような疑いの眼差しで、クランはジャイアントマンを見る。
「仲介役になるのさ~、君が。休戦協定のね~」
823 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:30:35 ID:???
「休戦協定……!?」
鋭かったクランの瞳が一転、驚きに見開く。
とんでもないことを言う。
クラン達はジャイアントに驚かされっ放しであった。
「けど、これはすげえことだぜ。そんなことが出来るならさ!」
まだ了承もしていないのに、躍起になってヴァイスが言う。
「そ、そうですよ! もし成功したら、誰も怪我したり、死んだりしません!」
今まで黙っていたモモも、必死そうに声を張り上げた。
「二人共! これはそんな簡単な問題じゃないのよ! もし交渉が決裂して、戦闘にでもなったらどうするの!?」
「……そうしたら、守るよ」
クランの言葉に、端でじっとしていたシンシアが、声を発した。
シンシアのその表情は、堅い意志を見せ、そして最初に出会った時のようなどこか冷たい影があった。
しかし、その冷たい影も、ゆっくりと消えていく。
顔を向け、しっかりとクランを見るシンシアには、姉を想う妹の瞳があった。
「もう逃げられんよ。ナギサカ君」
諦めたような苦笑をして、ギデオンもクランを見る。
クランは、迷った。
だが皆の後押しに、不安が残る中、静かに首を縦に振る。
824 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:34:04 ID:???
「ありがとう~。じゃあ僕達は準備に進めるよ~。しばらく待機してもらうことになるけど、よろしくね~」
満足したのか、ジャイアントマンはにこやかにそう言った。
「じゃあ、俺がみんなを送ってく」
カナンが先導し、調査隊とシンシアはエレベーターに再び乗った。
笑顔で、それを見送るジャイアントマンとヴァニラ。
完全にドアが閉まり、エレベーターは発進していく。
「……欠席した子。出身はどこだっけ~」
「ミランダ・ウォン。生まれも育ちも、純粋な火星圏民ですわ」
笑顔を消したジャイアントマンが訊き、またこちらも無表情になったシンシアが返答する。
「世界は、このちっぽけな火星圏は、どうなるかな~」
「ジムったら。最低な道楽ですわね。ふふっ」
第29コロニーから近く、火星コロニー義勇軍の中継地点となったコロニーがあった。
第33コロニー。
このコロニーもまた、独立派の武装蜂起後すぐに制圧されている。
調査隊の乗った輸送船を第29コロニーに逃がしてから数日。
このコロニーには、マイケル・ミッチェル隊が追撃部隊の補充要員と追加装備が運ばれてくるのを待っていた。
825 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:38:06 ID:???
「ニコラス・スフィフトだ」
「ダン・デボンであります!」
そんな第33コロニーに、遂に補充要員がやってきた。
ニコラス、ダン。ドルダの圧倒的な力に敗れた、二人。
「他3名、着任した」
格納庫。
輸送船から降りてきたニコラスとダンは、出迎えにきたマイケル・ミッチェル隊の面々と挨拶を交わす。
「ようこそ。凱旋かな、ニコラス君」
「茶化すな、狸」
睨むニコラス。
マイケルはやれやれと笑う。
「ローズ5機、並びに追加と新型の装備を持ってきた」
「うん。確かに、受領したよ」
乱暴に、ニコラスは書類代わりの情報端末をマイケルに渡す。
受け取ったマイケルは、顎に手をやってその情報を確認していく。
(他の3人は素人か。実戦経験は、駐留軍の配備が少なかったコロニーを制圧した1回のみ……使えないな)
小さく息を吐く。
「他の3人は、どうしたの?」
「長旅に疲れたらしい。船ん中でおネンネしてるよ」
「なんだそれ。はあ~……ヨウコウ様は何を考えてるんだが」
本格的に戦力にならないと、マイケルは頭を抱える。
それに関してはニコラスも同意しているようで、ばつが悪そうに視線を泳がせた。
826 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:10:14 ID:???
「ですがミッチェル隊長。お言葉ですが、そちらの隊こそ……」
言い辛そうにダンがターニャ達を見る。
目が合ったターニャは、軽く笑い、ダンに近付いた。
「なんだい? 言ってごらんよ」
「いえ……女性や子供が戦場に出るのは、相応しくないと思いまして」
その瞬間、平手が飛んだ。
気持ちいいほどの破裂音が辺りに響く。
ダンはしばらく、理解が出来なかった。
その光景を目撃したニコラスも、唖然とする。
ダンの頬は真っ赤に腫れ、ターニャは自身の右手に息を吹きかけていた。
「アタシはさ、火星圏の外れで賊とドンパチやってたこともあんのさ」
「は、はひ……」
「あんたがお優しいのはわかるよ。けどねぇ、戦場に出る相応しい資格ってのはなんだい?」
「ひへ、貴女は相応ひいと思いまふ……」
ジンジンと痛む頬に、ダンは涙した。
ニコラスが咳払いをする。
「連れが要らんこと言ったようだな。詫びるぜ」
「わかってくれりゃいいのさ。アタシ達は生きるために戦ってる。それはあんた達だって変わらないだろ?」
ターニャに言われて、ニコラスは素直に頷いてしまった。
ニコラスは戦うことが好きだった。
827 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:14:55 ID:???
スラム街でストリートファイトに明け暮れたあの日。
生きるために闘う。賭け金をコイン一枚でも多く稼ぐために。
固いパンと薄味のスープですら、口に出来るかもわからない日々だった。
(そんな時、俺はあの男に、ヨウコウ・ソ・
828 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:17:19 ID:???
>>827訂正
スラム街でストリートファイトに明け暮れたあの日。
生きるために闘う。賭け金をコイン一枚でも多く稼ぐために。
固いパンと薄味のスープですら、口に出来るかもわからない日々だった。
(そんな時、俺はあの男に、ヨウコウ・ソウヤに出会ったんだ)
スラム街に現れた、腰に日本刀を差した時代錯誤で小綺麗な男。
荒んだ目をしたスラム街の住民達に臆されもせず、ニコラスだけを目指して歩いてきた。
“君の力を借りたい”
そう言って、その真っ直ぐで熱い瞳を向けてきた。
(変わらねえのか。どいつもこいつも)
ニコラスはマイケルを見る。
飄々として、掴みどころのない。
実力はあったが、組織内でも評判は悪かった。
(ガキ共も同じだ。あの頃の俺と)
ストリートファイトが、モビルスーツでの戦闘になっただけのこと。
賭け金が、火星コロニー民の自由に変わっただけのこと。
少年兵を戦場に置くのは、決してこのマイケル・ミッチェルという人物が非情だからではない。
そう考えを改めた。
「ダン! てめえも他人の心配なんざしてねえで自分の心配をしろ!」
そう強くダンの背中を叩く。
「ス、スウィフトさんもひぼいですよぉ!」
829 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:28:04 ID:???
ダンは頬と背中の痛みにまた泣いた。
そんなニコラスとダンのやりとりを眺め、マイケルは笑みを浮かべる。
「それにしても、追加装備はともかく、新型装備か。僕達に試験運用させるってねぇ……」
呆れたようにマイケルが言う。
「アウノウンMS……ガンダムなんてのが現れたからな。出たとこなんだろ」
輸送船から運び出されたコンテナが、ゆっくりと開いていく。
「ガンダム。アレのコードネームか。ふざけた名前だ……けど、気に入ったよ」
コンテナには、ニコラス達が言うローズの新たな武装が搭載されていた。
「銃と剣、両方の特性を併せ持つビームガンブレードが5。白兵戦用の特殊装備、ナインテールが2。
そして大型の盾であるアームシールドが1。それと追加装備で通常の盾と連装ミサイルを持ってきました」
頬の痛みもだいぶ収まり、ダンが報告する。
「ビームガンブレード。小型ではあるがこっちでもビームを固定できるようになったとはね」
「だがガンダムにはビームは効かねえ。雑魚用の武器さ」
「出力は上がってるんだろ? これは僕とターニャ、タオマオが使おう。それとダン君、君も使いたまえ」
ダンは「ハッ」っと敬礼する。
ターニャも了解し、タオとマオも小さく頷いた。
830 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:31:30 ID:???
「ナインテール。9枚の刃を連ね、熱したその刃で機体を溶断する変則的な軌道が特徴の武器、か」
どうしたものかと、腕を組む。
「扱いが難しいね。君が使うかい? ニコラス君」
「いや、俺にはあのデカいシールドをくれ」
「わかった。じゃあ僕とディランとで使おう。ディラン、やれるかな?」
マイケルはディランに顔を向ける。
ディランはその鋭い表情を崩さずに、ディランを視線を返した。
「了解した。どんな武器でも使いこなしてみせる」
「頼もしいよ」
迷いなく答えるディランを、マイケルは信用しているようだった。
無口でほとんど表情がないタオとマオという兄弟もそうだが、少年にしては些からしさというものがない。
(ソウヤの野郎にあぁ言った反面、こいつ等を死なせるわけにはいかねぇか)
じっと、ニコラスはディランを見る。
「なんだ」
ニコラスの視線に即座に反応するディラン。
それには少々、ニコラスも驚いたようだ。
「いや、俺も、俺だけじゃねぇ。補充された兵全員、お前に背中を任せても大丈夫か?」
「俺が少年兵だから危惧しているのか。安心していい。同じ仲間なら銃を向けたりはしない」
淡々とディランが答える。
「その代わり、あんた達にも俺の背中を預ける」
831 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:35:43 ID:???
表情は変わらなかったが、そう言うディランに、マイケルは少しだけ彼の見方が変わった。
ニッと笑うと、ディランに近付いていく。
「あったり前だろォがよッ!」
思い切り力の入った張り手が、ディランの背中を叩いた。
これにはディランも、目を見開いた。
「スウィフトさんの感情表現はアグレッシブすぎです。あのディランという少年に同情します……」
震えながら、ダンが呟いた。
和やかなムードの中、ターニャが持っていた携帯端末に連絡が入る。
直ぐ様応答するターニャ。
「みんな、向こうが先に動いたようだね。オープンチャンネルで呼びかけを行ってるらしいわ」
ターニャが言うと、マイケルやニコラス達は一斉に気を張り詰めさせた。
そして、張り詰めているのは、マイケル達だけではなかった。
「休戦協定……そんなもの、飲めるわけがない」
自室で、メリリヴェイルは恨めしそうに唸った。
政府からの達しという、火星コロニー義勇軍との休戦協定の提案。
「そんなものを受け入れてしまえば、劣勢である我が軍は事実上敗北を認めたようなもの」
ギリリ、と食い縛った歯が音を立てる。
「抵抗を続ける他の部隊も、次々に降伏していると聞く」
832 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:37:12 ID:???
まさか、本編の人と被るとは…!
妙なシンクロになんか感激、エルトです。
今から投下、は出来ないよなあ…
833 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:41:37 ID:???
司令代理としての重責。
政府から案に従うか、反撃に転じるか。
今、公社が代行して付近のコロニーにいる火星コロニー義勇軍に呼びかけているようだが。
公社といえば。メリリヴェイルの脳裏に、数日前の出来事が蘇る。
「奴等に、いいようにはさせん!」
カナンという男が口にした味方というのはこうことかと、怒りに机を叩く。
「ここ最近、地球圏との通信状態が著しく悪い。増援も期待できんとは……!」
メリリヴェイルは、悔しさに、呻くようにそう言った。
例え増援を呼べたとしても、到着するのに数ヶ月はかかる。
その間に敗北は目に見えている。
「あのシステムさえ……あのシステムさえ実戦に導入できれば」
だが、彼女はまだ、諦めてはいない。
メリリヴェイル・ルシェッタ。
その瞳は、野望に燃えていた。
To Be Continued...
834 :本家ドルダの人:2008/12/05(金) 03:43:25 ID:???
第5話投下終わりです。
エルトさん、投下どうぞ!
ではまた後日。
835 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:47:14 ID:???
>>本編の人
投下GJ&乙です!
途中で割り込んでしまってすいませんでした。メリリヴェイルの動向が気になりますね。
ではお言葉に甘えていきます
836 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:48:10 ID:???
新説ガンダムドルダ
第六話 招かれざる客
デイヴィッド・リマーは昨晩静かに床に就いた。
ここ二年間のニート生活時に比べると、遥かによく眠れた。
ただ、いつもの夢だけは相変わらずデイヴの意識の中に入り込むことを忘れはしなかった。
一人の少女が、悠久の時を眠る。
初雪のように白い肌に咲き誇るは、薔薇のように美しい唇。
少女には恐らく感情というものはない。眠ってはいるのだが、目を覚ましたとて、美の権化がただ在るだけだという印象を与える。
あまりの美しさに、そっと触れようと手を伸ばす。
決して遠くはない距離にいる少女に触れるには、少しの時があれば十分だろう。
しかし、あまりにも遠い。あまりにも永い。
その時間さえ愛おしく思えるほどの美しさ…
そして、指先が少女の面を捉えた刹那…
そして今彼は気づく。目の前の少女、エリスと名乗る少女こそが、夢の中に出てくる少女であったことに。
「お前…」
突然の出来事に混乱するデイヴの冷や汗は止まらない。
先ほどマルスのカメラファンネルで受けた傷の痛みに苦しんだことなど、遥か遠い昔のことのようだ。
デイヴの頭の中を様々な疑問が駆け抜けた。
襲いかかって来たアンノウン(ローズのことだ)は一体何者なのか。
目の前で戦っていたガンダムは一体何なのか。
そしてそれに乗るパイロット…クランとアレスという少女と少年の名。(二年前のデイヴの記憶の中ではクランは少女と呼べる年齢だ)
何故彼ら姉弟がそんな機体に乗って、こんなところで(ああ、あまつさえ俺の目の前で!)争っていたのか…
見たこともない装備と技術の数々。圧倒的な性能。
そして今自らの前に導かれるようにして現れたガンダムドルチェ。
二年前の悲劇を起こした機体が何故…?
エリス。自分にずっと会いたかったといった少女。
今までの26年間、みずからの両親と親友のフィリア以外からの誰からも、ただの一度もそんなことを言われたことはない。
新鮮な気持ちのまま、デイヴはエリスによって、ドルチェの甘美なる純白の世界に引きずり込まれようとしていた。
そんな彼女が、何故俺の夢の中に…?
今世界で何が起ころうとしているのか、デイヴは世界の、宇宙の声を聞いたような気がした。
837 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:49:07 ID:???
「ああ、デイヴ、デイヴ。私は今、あなたに会えてとても嬉しいの。ね。だからそんな顔をしないで?」
シンシアと…また、ドルダを駆る謎の少女がしてみせたように、わずかに首をかしげて微笑みかける。
それはまさに、悪魔の微笑み。
いや、決して醜いというわけではないのだ。あまりに美しすぎて。あまりに眩しすぎて。
けれど彼女の笑みは、本当に純粋な、または正義の心を持つ者が一目見たなら、なんていやな笑顔なんだろう、と言うかもしれない。
今のデイヴはそのどちらでもなかった。
ただただ静かに、その美しさに呑まれ、けれど必死の思いで自我を保ったまま、少女に問う。
「お前は何だ…そしてこの機体は…?」
「運命よ」
言い終わる前にエリスは言う。まるでこの世に存在するすべての「動き」と呼べるものを止めてしまうような、氷の声で。
「あなたがフィリア・シュードと再会した時から運命の序曲は始まっていたの。そしてクラン・R・ナギサカ、アレス・C・ナギサカと再会した時、そして」
ここで一旦言葉を切り、再びその唇は言の葉を紡ぐ。
「私との出会いが、運命を加速させる」
毒りんごのような笑み。
再び口を開くデイヴ。
「お前は…この機体で何をしようとしている…!?」
すると少女は、ああ、と気楽そうに頷き、答える。
「私は歯車。偉大なる意志の僕。その役目を果たすだけの存在。そしてあなたは」
またも、言葉を切る。
「選ばれし者。私のパートナー」
「…ふっざけるな!」
激昂するデイヴ。
「何が歯車だ!何が運命だ!じゃ二年前お前が地球で起こしたあの悲劇も運命だったとでも言うのかよ!」
「ええ」
「…っ!」
こともなげに答える少女。やがて心から悲しそうな顔をして言う。
「ああ、デイヴ、デイヴ。悲しいわ、お願いだからそんな事を言うのはやめて」
しかしその表情は、真の賢者なら、人の機微というものに敏い者なら、あるいは太宰風に言うと、美醜についての訓練を経てきた人なら…
その表情は、簡単に見抜くことが出来る。
しかし、それさえ計算して。それさえわざとである少女。続けて言う。
「あなたが悲しいと、私も悲しいの」
「だったら今すぐここから降ろせ。俺はもう金輪際厄介事はゴメンだ。ニートやってた方がまだマシってもんだ」
もう、誰とも関わらない…デイヴは再び固く決意したのだった。
フィリア、ディック、シヴォーフ、ネルネ、ゲイリー…
そしてクラン・R・ナギサカとその妹弟、父母。
最後に自らの両親の顔を思い浮かべ、デイヴはうつむき涙する。
そんなデイヴを優しく抱き締めるエリス。
「大丈夫、あなたは私が守るから…」
悪魔の優しさに捉われた中で、デイヴィッド・リマーは再びまどろみの夢を見る。
838 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:50:02 ID:???
一方クラン・R・ナギサカとアレス・ルナークはそれぞれの乗る機体を沈黙させ、向かい合っていた。
その沈黙を破るのはクラン。
「アレス、とにかく今はお互い色々と気になることがあると思うの。降りて話をしましょう」
「…わかった」
アレスは思っていた。姉・クランの先ほどの呼びかけは、ドルダを恐れるあまり自らが作り出した幻聴なのではないかと。
しかし、改めてその声を聞いて。二年前、力を渇望したがゆえに袂を分かつこととなった姉と再び向き合う。
先にドルダのハッチが開き、ノーマルスーツを着たクランが出てくる。
呼吸は出来る、先程のミランダ・ウォンとのやり取りを思い出しながらヘルメットを外す。
美しい艶のある長い赤髪が露になる。
(…!)
それを見て決心したアレスもまた、マルスのハッチを開け、火星の大地に降り立つ。
同様にヘルメットを外すと、そこには幼さを残しながらも凛々しい瞳を持った弟の姿があった。
「…ああ!」
クランは思わず弟を抱き締める。
本当の、家族の温もり。クランはドルダを駆る謎の少女に抱いたのとはまた別な親愛の念を、弟に対して抱く。
アレスもまた、忘れかけていたモノを思い出し、一瞬目を丸くしたものの、その温もりに全てを委ねた。
「アレス、ずっとあなたを探していたの…」
「クラン…姉さん…」
クランは今まで感じた恐怖の全てを置き去りにしたまま、アレスに言う。
「ね、アレス。これからは二人で暮らしましょう。私達は、たった二人の家族なのよ」
言った後、謎の少女のことを思い出し頭が疼く。けれど、その痛みさえ…
しかしアレスは、本当に、本当に精一杯、こみあげてきそうな何かを抑えて、深呼吸してから言う。
「クラン、姉さん!俺は見つけたんだ。シンシアと…姉さんともう一度会えるかもしれない方法を!あなたと別れてから二年間、ずっとずっと探していたんだ。
姉さん達と俺と、三人で暮らせる日々を…」
胸の中に洪水のように溢れる想いの全てを、抱きとめてくれるであろう姉にぶつける。
けれど、クランは…
「もういいの、アレス。あなたがいてくれたなら、私はこれ以上何も要らない!あなたがこれ以上危ない目に遭うのは、私には耐えられない。だから…」
言いかけたクランに、アレスは意外そうな、焦点の合わない瞳でクランを見つめる。
「クランは…姉さんは、シンシアに会いたくないの…?」
「それは…」
口籠るクラン。会いたくないと言えば、嘘になる。
けれど、こうして。火星開発公社の情報網を頼みの綱に、弟を探してきたのだ。
やっと会えたアレスを、もう失いたくないという気持ちの方が大きい。
839 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:51:40 ID:???
「だったらクラン。俺と一緒に行こう?」
手を差し伸べるアレス。
「二人でシンシアを…姉さんを、助けるんだ」
「アレス!」
クランが叫ぶ。ああ、もう戻らない過去に、これ以上囚われるのはやめて…!
次の瞬間、ドルダのコクピットハッチが開き、シンシアと思しき謎の少女が二人の前に姿を見せるのだった。
「雲行きが怪しくなってきたな…」
呟くギデオン。テラ・フォーミング後の火星に、初めての雨が降ろうとしているのだろうか。
ところで、半ば空気と化していた第一次調査隊を登場させられるのは嬉しい限りで。
「クランさんから連絡、来ないですか?」
モモが心配そうに言う。
ミランダは先ほどから通信機器をいじり、音信不通となっていたクランへのコンタクトを試みている。
ヴァイスはというと、黙ったまま腕を組んで、壁にもたれかかっていた。
ふとヴァイスが顔を上げると、見知らぬ飛空挺がその影を見せていた。
「隊長、アレは…?」
驚く調査隊の面々。
ただ一人、ギデオンのみがその飛空挺のことを知っていた。
「あれは…カナリヤ…?」
「カナリヤって何ですかー?わかりませーん!モモにもわかるように説明してくださいよー!」
「公社の飛空挺だ。我々を救援に来てくれたのかもしれない。信号を送ってみよう、ウォン君!」
ミランダに言うギデオン。
「でも、クランさんは…?」
戸惑うミランダに、ヴァイスが言う。
「本当にアレが俺達を助けに来たってんなら、アイツの捜索にも協力してくれるはずだ。とにかく今は人手が欲しい。俺は隊長に賛成だな」
比較的冷静なヴァイスだったが、内心はヒヤヒヤものだった。
「…わかりました」
ミランダはそう言うと、通信機器をいじるのをやめ、カナリヤに向けて救援信号弾を放った。
840 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:52:59 ID:???
「!」
最初にその信号弾に気づいたのはフィリアだった。その操縦を止めさせる。
「待って!今誰かが救援信号弾を…!」
フィリア・シュード達第七次調査団も、ディック、ネルネ、ゲイリーの三名を保護した後、デイヴの捜索を行っていたのだった。
「構わん、落ちこぼれのグワッシュだけを探せばよいのだ」
冷たく言い放つはスメッグヘッド教授。
「しかし教授!もしかしたらあれがデイヴからの合図なのかもしれませんし…」
「シュード君、君の目はふし穴かね?アレはグワッシュに搭載された信号弾とは別のものだ」
「遭難者ならなおのこと…」
「我々以外にこの火星に誰かがいるとでも言うのかね!とにかく我々は今そんな些末なことにかかずらっている暇はないのだ!」
「いいじゃないですか、教授。行きましょう」
論争中のフィリアに助け舟を出したのはディック。
「中尉…!君までそんなことを言うのかね!?」
「今はとにかく情報が欲しい。もしかしたらこれがアイツに繋がる情報になるのかもしれない。
それに仮に遭難者がアンノウンのパイロットだとしても、捕虜にして色々と問い詰めることが出来る」
「…くっ!」
口を噤むスメッグヘッド。やがてぶっきらぼうに言う。
「…好きにせい!その代り私はこの件に関しては一切関与しない!」
「ありがとうございます!」
頭を下げるフィリア。その後でディックに小さくウインクをしてから礼を言う。
「ありがとう、中尉」
「…っス」
顔を赤らめるディック。…お年頃なのであった。
やがてカナリヤは低空飛行へと移行し、ギデオン達第一次調査隊の元へ降り立った。
デイヴはエリスに言われるまま、二つある操縦席のうちの一つに座る。
「…あの二機に何かするつもりなのか?」
「んー、場合によっては。今の私はただの監視者(ウォッチャー)」
「…俺をどうするつもりだ?」
「心配しないで?あなたをさらったりはしないわ。ただ、あなたの調査団に私も加えてもらうだけだから」
「そんなこと、あのジジイが黙っちゃいねえぞ」
「この機体…ドルチェをチラつかせればスメッグヘッド教授なんてお手の物」
「知られたらマズイんじゃないのか?」
「まさか。これは人の手の届かない領域の物だから。アレと違ってね」
全天周モニターに映るマルスを顎で差し、エリスは薄く笑う。
「だったら尚更マズイじゃねえか」
「どうして?人間ごときに理解できるシロモノじゃないのよ、ドルチェは」
デイヴの顔が険しくなる。
「…お前、一体何者だ…?」
「初めて聞いてくれたわね。嬉しい!」
「はぐらかすな。答えろ、お前は何者なんだ」
「待って。今はまだその時じゃないわ。いつかあなたにも全てを話す。決してあなたを信用してないわけじゃない。もう少し待って」
「ハッ!信用も信頼もしてくれなくていいから、サッサと帰してくれよ」
「まだそんなことを言うの、あなたは…?」
少女は再び悲しそうに言うと、そっとデイヴに口づけた。
「…っ!」
悔しそうな男の顔を、再び悪魔が押さえつける。
841 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:54:06 ID:???
「シン、シア…!?」
ドルダから降りてきた少女を見て、アレスは驚き、そして大いに喜ぶ。
「シンシア!」
クランの制止も聞かず、シンシアの元へ駆けるアレス。
「会いたかった…シンシア、ずっとずっと、貴女だけを探していたんだ…!」
困惑の少女を余所に、アレスは涙する。
(やはりティモール…いや、ルナーク博士の言う通り…!)
もはやアレスにとっては、目の前の少女が本物の姉であろうとなかろうと関係なかった。
偽物でも幻でも構わない…夢よ、醒めないで…
泣きむせぶアレスに少女の残酷な一言が突き刺さる。
「あなた、誰?」
目を丸くするアレス。ああ、やはり彼女は…僕の、姉さんでは…
わかってはいたことだが、実際に言われるとやはりツライものがある。
「放して。私はお姉ちゃんと一緒にドルダに乗るの」
「「!」」
驚愕のアレスとクラン。
「行こ、お姉ちゃん」
ゆっくりとアレスを振りほどき、クランの手をとってからドルダの元へ行こうとする少女。
悲しみと混乱が、再び世界を支配する。
第七次調査団のカナリヤに、捕虜として連行された第一次調査隊の面々。
唯一フィリアだけがその待遇に異議を唱えるが、傲慢なスメッグヘッド教授によって阻まれたのだった。
その尋問に、フィリアとディックが当たり、数分の時が過ぎていた。
ちなみにスメッグヘッドは相変わらずデイヴの、いや、グワッシュのミッションレコーダーを鋭意捜索中である。
「だからぁ!モモ達は怪しい者じゃないんですよぉ!早くクランさんを探さなきゃって言ってるじゃないですかー!」
モモ・マレーンがふくれっ面で二人に抗議する。
続いてギデオンが、出来るだけ落ち着いた態度で二人に事情を説明する。
「確かに我々は、あなた方同様地球本社の者ではなく、公社のコロニー支社の者です。しかし、人命がかかっているのです!
勝手なお願いであることは承知の上です。どうか捜索に協力していただきたい!」
そう語るギデオンの瞳には、強い意志が宿っていた。
(私には16回の隊長職の自負と、プライドがある…調査隊の全員を無事生還させるのが私の仕事だ!)
「事情はわかりました」
真っ直ぐなギデオンの目を見て、フィリアは本能的にギデオンを信頼に足る人物だと判断する。
「現在我々もまた同様に、一名の隊員を捜索中です。あなた方の探される方の捜索にも、善処いたしますよ」
「本当ですかぁ?ありがとうございます、お姉さん!」
はしゃぐモモ。溜息をつくヴァイス。しかしその口元は微笑んでいる。
842 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:55:05 ID:???
「あの…僕は一応、男なんだけど…」
困ったように言うフィリアに驚きを見せる調査隊の面々。
「えぇ!?ご、ごめんなさい…」
「いやいいんだよ。慣れてるから」
慌てるモモに優しく答えるフィリア。
なんだか顔が赤くなるモモ。乙女の初恋というやつだろうか。スイーツ(笑)
そんなやり取りの中、ミランダが口を挟む。
「ここが、現在我々の捜索しているクラン・R・ナギサカ氏が最後にいたと推測されるポイントです」
端末のデータを示すミランダ。机に火星の地図と共に、座標が映し出される。
「オイ、これって…」
ディックが言う。
「シュード主任、俺達がアンノウンと交戦してた場所じゃないか…!?」
その場にいる全員の鼓動が速くなる。これは紛れもなく、そしてどうしようもない、運命なのだろうか。
「とにかくもう一度行ってみよう!今ならその未確認機体同士の戦いも終わっているかもしれない!」
進路を変更するカナリヤは、約束の地へと向かう。
冷たくつき放されたアレスを見て、エリスは冷やかに笑う。
(だから言ったのよ、アレス。あの娘じゃなくて、私のところに来ればいいと)
さて、と…予想通りの展開を見守って、エリスは思う。
(でもいいの。私にはデイヴがいるから。さあ、アレス、次はどう出るの?)
ドルダに乗る少女。クランは立ち尽くしている。アレスは…
再び、ガンダムマルスへと搭乗する。
(そう、あなたはやっぱり戦うことを選んだのね…)
エリスは薄く笑い、ドルチェを起動させ、高らかに叫ぶ。
「ガンダムドルチェ、デイヴィッド・リマー!これより介入行動に入る!」
「!」
困惑のデイヴを余所に、白き舞姫が戦場へと踊り出る。
六話 終 七話に続く
843 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:56:08 ID:???
ってなわけで六話でした。それではおやすみなさい
844 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 17:09:26 ID:???
エルト&本家ドルダの人投下乙!
支援age
845 :571:2008/12/05(金) 17:26:55 ID:???
おお、家に帰ってきたら2つも更新されてる!!
本家の人にエルト氏、GJです!!
本家ドルダは本当に先が読めなくなってきましたね。
てっわーい!!ナインテールとアームシールドが採用されてる!!
僕にはまだ帰れる場所があるんだ、こんなに嬉しいことはない。
新説ドルダ
エルト氏乙です!
エリス悪女の才能ありすぎ。ある意味非常に怖い。
アレス、クラン、シンシア。
この三人救われるのかな?というかアレスってもしかしてシスコン?
ではでは
846 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 23:35:51 ID:???
500KB近いし、そろそろ次スレの季節だね
847 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 00:20:53 ID:???
テンプレ考えなきゃだな
ドルダだけじゃなく、>>1の意志を継いで「一番奇抜なガンダム」も語っていきたい
848 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/06(土) 13:58:31 ID:???
: : 丶 ` : .,e :
: .,,lll゙′ みなさん、乙です。
: .,,zl',,l゙,,,,,,,,,,,,_:
,,,rl゙°‘^: : `"゚゙|lllll,a, お久しぶりです、バルドです。
: .,,ォ'″ : : .~''h,,、 最近、ネトゲ気味でしたがやっぱりここが
: ,rl″ ,,,,lli,,: 恋しいみたいです。盛り上がったり過疎ったりと
: : .,r″ ,,,, : '゙゙lllll* 大変でしたが、このスレも1000を行こうとしているの
、 : 、l゙ .'ll′ ェ ,,゙f,、 ですね。嬉しいです。キャラデザの設定投下は
$ ` ll゚l〟 ,,'l,,.、 .'l, ` ゙゙lllll,, もう少しお待ちください。
,l .:l: yll,,,,,q ゙゙llllllョ,,, ,,, 廴 ` .ll.゙゙ト
ll、 'l,.径,,,ll゙゙!l,,'ll,llllillllllllllllL .廴
: : ` ,,l゙`、 .゙l,illllllllli、.゚'llll,.゙lll,l,l'!゙,l゙`丶 、 'l,, リ
,,l゙_,,lll′ .'《ll!゙lllll! `゙'゙llllll゙,l″ `: ,l°ll゙ぃ|
,ilレ゙~ .l 'llll,, i,、 .ll,iト ,,l".,l,,l .私
.il゙’ 、 .'l、 ,` ゙f,,. ゙"__,,,、 ,il゙l′ ,l″,Fll゜ .゙″
'lil .,ll゙l,! ,l'll,,,゙゙゙°.'゙ 廴.,,fl゜ .,l゙lq°
: .,l゜.,,il″,l゙,,rllllilll"゙'N,,,,,ll'l',il゙,illl ,,i´ .゙゙l,,,
.,lレ″ : .l゙” .,,il° .,llll゙.,ll,lll'゙^ .あ ,,i゙゙゙N,,_
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'″ .'广 .″ .'″ ゙”'''・ ″ '゙
849 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 16:02:09 ID:???
AAw
850 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 18:07:18 ID:???
>>1に貼るテンプレこんな感じ?
ここは前スレ>>1がスレタイを誤字のままで立ててしまったことによって
「どるだって何のガンダム?」という話題なり、「00に出る新ガンダム」や「2010年放送の新作ガンダム」など
スレ住人達の遊び心によって「新しいガンダムであるドルダを作るスレ」となりました
現在キャラクターやMSなどの設定の投下や複数のSSが連載中!
もちろん歴代シリーズの中で奇抜なガンダムを語ったり、新たな「ドルダ」を創造しても構いません
まとめwiki
http://www8.atwiki.jp/gundam_dollda/
前スレ
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1213176857/
851 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 05:52:40 ID:???
>>850
GJ
いいと思うよ
あとは>>2あたりにプロローグと現在ある作品、作者あたりを列挙すればなお良いと思う
852 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 12:28:10 ID:???
タイトルと作者列挙はいるか?
他のSSスレ回ってみたがそういうのしてるとこないし、まとめ見れば早いだろう
プロローグだって本家ドルダのプロローグと化してるじゃん
853 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 13:36:59 ID:???
他所は他所、うちはうち。
854 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 19:19:10 ID:???
うちはうちならテンプレは>>1のみでいいな
855 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/08(月) 00:07:56 ID:???
まあ何でもいいか
次スレ立てられる人の判断に任せた
856 :571:2008/12/09(火) 16:46:38 ID:PfuZJrVY
立てようと思ったが「このホスト~」で立てられませんでしたOTZ
誰か立てられる人お願いします。
ところでスレタイはこのままでいいのか?
それともドルダをメインにした方がいいのか?
とにかく立てれる人お願いします。
では
857 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/09(火) 17:43:34 ID:???
お久しぶりです。
>>571氏
このスレは他の創作スレとは違って雑談スレみたいな感じだから
今のスレタイ+【】でいいのでは?
858 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/09(火) 17:46:46 ID:???
訂正をお詫びします。
×雑談スレみたいな感じ
○創作スレ+雑談スレみたいな感じ
859 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/09(火) 22:57:44 ID:???
どうも。
自分の方でもスレ立て試みたのですが無理でした…
あしからず
860 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/09(火) 23:24:58 ID:???
どうやら私の方でも駄目だったみたいです。
861 :616:2008/12/09(火) 23:34:14 ID:???
みなさんお久しぶり
ちょっと忙しくなってきたのであまり顔出せませんが、
時間を見てちゃんと本編も新説も読んどきます
http://uproda11.2ch-library.com/src/11140410.jpg
モールド増やしてドルダ描き直してみました
ローズ案とマルス案も近いうちにアップします
862 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/09(火) 23:59:11 ID:???
どうみても1st。
角張りすぎ
863 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/10(水) 03:54:36 ID:???
>>862
>>861が?それとも奇抜なガンダムが?
864 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/10(水) 07:06:54 ID:YjsWo1ay
肩がSガンダムとF91を足して割ったような感じだが、リアーが斬新かもしれない
865 :571:2008/12/10(水) 16:26:54 ID:mTaGIEVY
>>616氏
GJです!かっこいいですねドルダ。
肩のビーム集光機のデザインもいいです。
866 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/10(水) 19:42:13 ID:???
>>616氏
乙です!
良い具合に兵器っぽさとロボットっぽさが出てますね!
867 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/12(金) 01:35:15 ID:???
明日の夕方頃スレ立て挑戦してみるわ
868 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/12(金) 12:57:36 ID:???
>>867
頼んだ…俺もダメだったorz
869 :867:2008/12/12(金) 17:31:26 ID:???
立ちました
一番奇抜なガンダムってどるだ?2
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1229070368/
「それを早く言わんか、バカタレ!全員速やかに帰還せよ!」
通信が切れる。安心の溜息をもらす面々。特にゲイリーなどはそれが顕著であった。
「やるじゃねえか、オッサン。教授を黙らせちまうなんて」
ディックからの通信が入る。
「クソオヤジからオッサンへ昇格できて光栄であります、中尉殿。しかしあのジジイの口は悪意製造機だな。おしゃぶりでもはめとけっての」
相変わらず皮肉を続けるデイヴ。しかし、その顔は作った真剣さではなく、本当に真剣な表情そのものだった。
「さて、こっからどう帰るかねえ…ラーグ中尉とネルネ…だっけか?俺とアイツのMS、引っ張って行ってくれよ」
「誰が貴様なぞを!出撃前、私のドグッシュを…その…」
顔を真っ赤にするネルネ・ルネールネ。
その顔の赤さは怒り半分、恥ずかしさ半分といったところだろうか。
「構わない。デイヴィッドは俺が。君はディックを頼んだ」
「…えっ!?いや、その私は…」
何故か慌て出すネルネ。女性というのは、よくわからないものだ。
「そ、その、デイヴィッドを運んでも…」
言い終わる前に、シヴォーフのムウシコスがデイヴのグワッシュを支える。
「離脱する!」
シヴォーフとデイヴ、ネルネとディック、そしてゲイリーは帰還するべく、その場を離れようとした。
「逃すものか!」
アレスはドルダと戦いながらも、彼ら第七次調査団を全滅させるという、ティモールの命令を実行することを忘れはしなかった。
ドルダの放つビームキャノン、手に持った方のバスターライフルの閃光を巧みに避けつつ、ビームガンブレードの照準を彼らに向ける。
「落ちろ!」
放たれるビームライフルの雨が、殿を務めていたデイヴとシヴォーフを襲う。
(当たるものか…俺は言うんだ、彼女に…帰ったら、結婚しようって…!)
必死にビームライフルを回避しようとするが、その一撃がムウシコスに直撃する。
「うわあああああ!」
動きを止めたムウシコスを襲う無情な攻撃。
憐れ、シヴォーフ・ラーグはその名の通り、宇宙の塵と消えてしまった。
かたやデイヴのグワッシュは、奇跡的に、本当に奇跡的にだが、ムウシコスの爆散の影響を受け誘爆することなく吹っ飛ばされるだけで済んでいた。
「オッサン!」
「デイヴィッド!」
同時に叫ぶディックとネルネ。しかし、彼らとデイヴとの距離はあまりにも離れ過ぎていた。
助けに行こうとするが、ゲイリーの制止を受け、なす術もなく二人は帰投するしかなかったのだった…
「つくづく運のいい…しかし貴様も終わりだ!」
もはやデイヴを撃つことに何の躊躇いも戸惑いもなく、アレスは引き金を引こうとする。
が…
またしてもガンダムドルダがそれを阻む。
今度はバスターライフルをマウントし、大型のビームソードを抜く。
両肩のジェネレーターからもビームサーベルを発生させ、マルスに対抗する為接近戦を主流に切り替えることにしたようだ。
802 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:22:45 ID:???
「!」
ドルダは腹部のビームキャノンを放ち、マルスに向けてビームソードを振りかざす。
マルスはビームキャノンを避け、ビームガンブレードをドルダに向ける。
バチッ!ビームソードとビームガンブレードが火花を散らす。
マルスはドルダの攻撃を巧く防げた…かに見えた。
刹那、ドルダは体勢を変え、ビームソードを持っていない方の肩を突き出す。
ドルダの肩にあるビームサーベルがマルスを襲う。
「シールドが!?」
間一髪でその斬撃をセンサーシールドで阻むことに成功したマルス。
しかし、ドルダの圧倒的なビーム出力の前に、マルスのセンサーシールドは溶解してしまう。
(クッ!まずいな…)
両手を振り上げた状態のマルス。中段に大きな隙が出来る。
「ビームキャノン、収束…発射!」
叫ぶ少女。
「ダメええぇぇぇ!」
しかし、その声よりも深い悲しみを知っている叫び声の主が、少女の操縦を阻む。
「お姉、ちゃん…?」
信じられないといった顔をする少女。
ああ、そんな顔をしないで…クランは少女を見つめ、自らのしたことを悔いたがすぐに気を取り直し少女に問う。
「通信のスイッチは、どれ!?」
「何を…」
「いいから!答えて!」
その昔、自らの妹を叱った時のことを思い出しながら、クランは語気鋭く言い放つ。
その迫力に気圧された少女は観念したのか、一つのスイッチを指差し、黙り込む。
クランは身を乗り出して、通信のスイッチを押す。
「アレス!あなた、アレスね!?こんなことはもうやめて!もうこちらに敵意は無いわ!お願い!」
「「!」」
今までの比にならないほどの驚愕を見せるアレス…そしてデイヴ。
「聞こえるでしょう!?応答して、アレス!」
アレスは少しの逡巡の後、応答する。
「クラン…なのか!?何故あなたがここに…!」
「事情は後で話すわ!とにかくこれ以上争うのはもうやめましょう!」
「だが、その機体は…」
優しさと決意が入り混じった声で答えるアレス。
「アレス。お願いだからお姉ちゃんの言うこと、聞いて?」
不意に、クランが、鬼気迫る迫力の全てを抑え、肉親に向ける情愛をありったけに込めて、自らの弟に語りかける。
「姉、さん…」
ドルダとマルス…二機のガンダムは、火星の暁の空に沈黙するのだった。
偶然に偶然が重なって、二機の死闘を見守ることになっていたデイヴに衝撃が走る。
いや、デイヴィッド・リマーがこの場所に居合わせたことはそもそも偶然なのだろうか。
偶然という必然が、運命という言葉に言い換えられ、デイヴの前に立ちはだかる。
「クラン…アレス…どっかで聞いたことがあると思ってたら、あの時の…」
過去の傷痕が痛み、デイヴは親友のフィリアにすら見せたことのない涙をその目に浮かべた。
803 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:23:51 ID:???
(二年前の、あの事件の…俺が、俺が助けられなかった…!)
二年前…そう、クラン・R・ナギサカの妹、シンシアが死去した(と思われる)のも二年前。
デイヴィッド・リマーが軍を退役し、簡易居住惑星地区で飲んだくれのニートになったのも二年前…
悲しみに顔を伏せるデイヴ。しかしハッと面を上げる。
(まさか、あのガンダムもここに…)
二年前の悲劇の役者達…彼らが一挙にこの地へ集結しているという運命。
しかし、それには一人、役者が足りなかった。
そう、ガンダムドルチェである。
二年前の事件を引き起こした機体、純白の美しさを持つその機体が、デイヴの思惑通り約束の地へ近づきつつあった。
「そんな、ウソ、だろ…?」
白き舞姫のように流麗に、舞うようにしてガンダムドルチェはデイヴのグワッシュの元へ向かってくる。
「来るな…!」
冷や汗がとめどなく流れる。
「来るな…!」
首を振り、両手を突き出し拒絶の意を示す…が、なお近づく機体。
「来ないでくれえぇっ!」
デイヴの望みとは裏腹に、ガンダムドルチェはグワッシュのコクピットをこじ開け、デイヴをその掌に乗せる。
「来るな、とは随分な挨拶ね」
少女の声。但し、シンシアと思しき少女の澄んだ声を天使と形容するならば、こちらは美しさというものを熟知した、悪魔の声と形容出来る。
「ずっと、あなたに会いたかったの。デイヴ」
ドルチェのハッチが開き、デイヴを招き入れる。
操縦席には、金の髪に漆黒の瞳を持つ美しい少女。
「私はエリス。宜しくね、デイヴ」
運命の序曲は終わり、歯車が回転する。
五話 終 六話に続く
804 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:25:55 ID:???
今回は若干短くなりました。あと00のセリフがちらほら。遊んでみたw
読者さんざまあwって感じの展開なつもり。
ってなわけでサヨウナラ
805 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/11/30(日) 15:20:02 ID:???
GJです!
まさか、アレスが弟だったとは…
戦闘に緊迫感があって良いですね!
806 :通常の名無しさんの3倍:2008/11/30(日) 21:20:58 ID:???
エルト投下乙!
807 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:07:05 ID:???
Doll-Device Archive No.05 ジャイアントマン
翌日。
クラン達はカナンとヴァニラと共に、とあるホテルを訪れていた。
カナンが口にした、会わせたいという人物。
ホテルということは、火星開発公社の人間ではないのか。
何者なのか知らされぬまま、クラン達はカナンとヴァニラについていくしかなかった。
「ミランダさん、大丈夫かしら……」
心配そうにクランが呟く。
「病気じゃないですし、疲れが残っちゃっただけですよ」
「まぁ、シオンとヘルガの相手してるって言ってたしよ」
ミランダのことを気にかけるクランに、モモとヴァイスが言葉をかけた。
クランは「そうね」と、少し暗い面持ちで笑みを浮かべる。
クラン達を地球圏連合軍の拘束から解いた人物に招待されたのは、調査隊の面々とシンシア。
ミランダは体調不良を理由に同行を辞退し、紫藤兄弟と共に保養施設に残っている。
何故、シンシアまで呼ばれたのか。
ドルダに乗っていたということは、報告書にも記入しなかったし事情聴取の時も話してはいない。
火星コロニー義勇軍と戦闘したことすら、言ってはいないのだ。
そのことに関して疑問を持つクランやギデオンは、カナンとヴァニラを完全には信用していなかった。
808 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:11:17 ID:???
ギデオンは前を歩くカナンとヴァニラに、疑惑の眼差しを向けている。
カナンとヴァニラは受付を通り過ぎ、そのままホテルスタッフの利用するフロアに続くドアを開いた。
面会の相手は、ホテルの関係者か。
カナンとヴァニラは、エレベーターの前で立ち止まる。
ドアが開くと、そこは複数の座席がある個室のようになっていた。
「みんな、席についてくれ。ここからはエレベーターで移動となる」
カナンに言われるがまま、ギデオン達は座席についた。
座席には、シートベルトが付いている。
カナンとヴァニラがシートベルトを固定するのを見て、ギデオン達も同じようにする。
エレベーターのドアが閉まると、カナンは座席のコントロールパネルを操作して、エレベーターを発進させた。
動きだす、座席付きのエレベーター。
密室の箱。それは、どこへ向かうのだろうか。
それに乗った者達は、どこへ向かっていくのだろうか。
「低重力ポイント、抜けましたわ。ここから重力が軽くなりますからご注意を」
しばらくして、後ろの席にいるギデオン達に顔を向け、ヴァニラが言う。
浮遊感。髪や衣服が少しずつ重力に反していく。
「長いな。まだかかるのか」
「スマンね。あの人は変人でな」
809 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:14:48 ID:???
カナンはククッと笑って、ギデオンに返した。
(変人……。公社や政府の者ではない? しかし、何故この男、ここまでフレンドリーなのだ)
自分達を地球圏連合軍の拘束から解放した人物。
そして、公社の役員を私的に動かせるとなると、かなりの大物と見ていいだろう。
ギデオンは、小さく呻いた。
解せないことが、多すぎる。
「到着しましたわ。シートベルトは外してもらって結構です」
ヴァニラに言われた通りにする一同。
ドアが、開いた。
カナンとヴァニラが先に部屋に入る。
「なっ……!?」
「えぇっ……!?」
それに続いたギデオンとクランは、思わず声を上げてしまった。
「なんだなんだ? って、うぉっ!?」
「どうかしたんですかぁ? って、ひゃあ!?」
立ち止まる二人の間から覗いてみたヴァイスとモモが同じように声を上げる。
(大物だとは思ったが……)
(なんて、巨大……)
呆然となるギデオンとクランをよそに、カナンとヴァニラは振り返り、
「紹介しよう」
「わたくし達のマスター。ジャイアントマンですわ」
カナンとヴァニラが横へ退く。
退く前から、ギデオン達はその存在に圧倒されていたが。
810 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:20:21 ID:???
見上げなくてはならないのは、決してその人物が低重力下で浮いているからだけではない。
(ジャイアントマン? ファットマンの間違いだろ……)
(メタボリック将軍……いやいや、症候群です)
ヴァイスもモモも、開いた口が塞がらなかった。
「ん~、一人足りないみたいだけど~」
「ミランダ・ウォンは、体調不良で欠席ですわ」
「そ~か~。なら、5人だけでいいね~」
間延びした口調の男。
それはゆっくりと回転し、ギデオン達にその全貌を見せた。
その際に浮かんでいるクッションや菓子の袋にぶつかって、それが四方八方に飛んでいく。
常軌を逸した巨漢。人の想像を絶する、超肥満体。
部屋にいたのは、横はもちろん太く、縦も2メートルを越す長身の男だった。
「5人ていうのは~、後ろにいる小さなパイロットさんもだからね~」
ジャイアントマン。そう紹介された巨漢の言葉に、クラン達は騒然となる。
「こ、この子はパイロットでは!」
「庇わなくても平気だよ~、クラン・リザレクター・ナギサカ君。
別に僕は、その子を食べたりとかはしないからね~」
ジャイアントマンは、何とも言い得ぬ笑みでそう言った。
招待された5人が、横に並ぶ。
それでも、ジャイアントマンの幅には及ばなかった。
811 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 00:24:05 ID:???
「ジャイアントマン……聞いたことがある」
何かに気付いたギデオンが、ゆっくりと口を開いた。
「地球圏連合政府発足の当時からその風格を現し、今も尚各界に影響を与えることのできる大富豪。
通称ジャイアントマン。彼の本名や容姿、その他の素性は誰も知らないと言われている人物だ……」
有り得ないモノを見たような顔をして、ギデオンはそう話す。
じんわりと汗をかき、驚きや、恐れを抱く感情すらあった。
(発足当時って、このデブいったいいくつだよ……)
顔を引きつらせながら、ヴァイスは思った。
ギデオンもクランもヴァイスもモモも、圧倒されっ放しでジャイアントマンを眺めている。
たがシンシアだけは、じいっとジャイアントマンを見詰めるだけ。
表情は変わらず、クラン達のような驚きは見受けられない。
そんな落ち着いた様子のシンシアを目にして、ギデオンも平静を保とうとする。
「その世界の黒幕が、我々にご用とは?」
なんとか口に出来たのは、一番に訊きたかったことだった。
この様子だと、シンシアに、火星で見つかったモノに興味があるようだが。
「ん~、ただ挨拶をしておきたかっただけ、かな~」
812 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 01:01:40 ID:???
ジャイアントマンの言葉は相変わらず間延びしていて、だが意味深長な言い方だった。
「挨拶だけって、それだけでこんなとこに連れてきたのかよ!?」
「僕は出不精でね~。こんな体だからろくに外出もできないんだよ~」
ヴァイスの怒声にも動じず、ふわふわと浮きながらジャイアントマンは言う。
「ジャイアントマン、ふざけないで頂きたい」
「ジ~ム~。親しい人には、Giant Manの頭文字を取ってGM(ジム)って呼んでほしいな~」
「我々は貴方と、それほど親しくはない!」
普段冷静なギデオンが、声を荒げた。
既に苛立っているヴァイス、そして堪忍袋の緒が切れてしまったギデオン。
モモは柄にもなく萎縮し、クランはジャイアントマンに不信感を募らせている。
「ジム。さっさと言っちまったらどうなんだ? あんたのワガママに付き合ってほしいって」
歯切れの悪いジャイアントマンに呆れてか、カナンが助け舟を出した。
「ああ~、ダメだよカナン~。僕はみんなにこれからどうしたいかを訊いてからそれを言いたかったんだ~」
ジャイアントマンは言い付けを聞かない子供のように駄々をこねた。
「これから、どうしたいか……?」
疑惑の眼差しを向け、言ったことをクランが復唱する。
813 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 01:06:11 ID:???
「そ~。進宇宙暦になって102年。世界は火星にまで生活の場を広げた~。でも見てごらん。
地球圏でも火星圏でも、やっていることは戦争、紛争、武力衝突……僕は飽きちゃったんだ~。
いくら僕がいろんなところに顔が利くといっても、民衆をどうにかすることなんてできない。
だから君達に託したいと思ったんだ~。僕が望む、新しい世界っていうものをね~」
巨体をくるくると回転させ、ジャイアントマンはそう語る。
しかし、そんなことを言われても、どうしようもない。
「そんな世界を変えれるような力。私達には……」
「あるさ~。君達が持ち帰った、ドルダだよ~」
クラン達、それにシンシアも、ジャイアントマンの言葉に再び騒然となった。
当てずっぽうで言ったようにも取れる発言であったが、ジャイアントマンは口調に反して至って真面目そうに見えた。
「クラン・R・ナギサカ君。君はこの火星圏を、どう思うかい~」
真っ直ぐ瞳が、クランを見る。
火星コロニーの民衆を力で押さえつける地球圏連合。
そして、圧政から解放されようと決起した火星コロニー義勇軍。
「君はどっちの支持をする~?」
「……支持はしません。私はどちらも、間違っていると思います」
814 :本家ドルダ:2008/12/02(火) 01:11:37 ID:???
暗い表情で、クランは言った。
「私は地球圏の生まれです。火星圏に来て、火星のコロニーが酷い状態なのは、一目でわかりました。
裕福なのは、地球圏出身の政府や軍の関係者だけ。火星コロニーの人達は、火星圏では力を生かせないで、
少しでも豊かな生活のために火星圏から離れたアステロイドベルトにまで出稼ぎに行かなくてはならない」
それが、クランが見てきた火星圏の住民の現実だった。
語るクランの表情は、まるで自分のことであるかのように、辛そうである。
「でも、だからといって、それで地球圏連合を武力で排斥していい理由にはなりません」
クランも、その真っ直ぐな瞳を、ジャイアントマンに向ける。
その瞳の映るのは、火星圏の未来への憂いだけではなかった。
クランの中にある過去。自分だけの力では、どうすることもできなかったあの日々。
それがクランの見てきた、必死に生きる者達の姿に重なる。
「もし、あなたが言うように、どうにかできるというのなら……私は、その全てを解決していきたい!」
言うだけしか出来ないが、クランは力強くそう言うのだった。
815 :本家ドルダの人:2008/12/02(火) 01:13:23 ID:???
ここでCM。アイキャッチは全面に巨体を張り出したジャイアントマンさんと、両脇にカナンとヴァニラ。
今日は前半のみ。戦闘もありません。
クラン達が戦場に出る理由をそろそろ決めなくてはならないと思い、こんな展開です。
中立って大変だよなぁと考えつつ、某大天使ご一行様にはならないようにと。
どうでもいいですが、宮野真守さんご結婚おめでとうございます。
後半はまた後日。
816 :571:2008/12/02(火) 17:34:17 ID:???
本編ドルダの人乙です&GJ!!
わぁ~、ジャイアントマンさんが他人に思えない~。
冗談です。本気にしないでください。
某大天使様ご一行wwww
まぁ、確かに中立貫いてますね。逆に敵の敵も敵ですけど。
宮野真守さんご結婚なされたんですか!!?
それはおめでたい。
ではでは
↓はスルーしてもかまいません。
現在エルトさんの新説ドルダの世界観で外伝を執筆中……なんですが、いつ投下できるか分かりません。
なので忘れた頃に来るかもしれませんが、そのときは生暖かい目か冷たい目で見ていてください。
817 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:46:25 ID:???
真昼間にこんにちは
>>本編の人
投下乙&GJです!俺の書くクランと違って芯がしっかりしてますね…
>>571
久し振りっす。投下、楽しみにしてます
で、新説ドルダいつまでダラダラとこの展開が続くんだよって話ですが、七話までで一区切りつけます
八話から新章に突入する予定なんで、マジですいません
818 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/04(木) 00:47:13 ID:???
夜にも今晩は
六話書いてたら相変わらずフリーダムなことになっちゃってて…
ドルチェの設定投下します。571氏、何度もすいません、それと不快に思われたら申し訳ないです
DOLL-002CE ガンダムドルチェ
所属:第七次調査団
パイロット:エリス、デイヴィッド・リマー
武装:
ビームレイピア×1
ロングギガビームライフル×1
背部追尾ビームファトランクス×2
ビームスコップ×1
シールドファンネル×12(30)
詳細:
デイヴの過去に関係する、純白のガンダム。まるで眠り姫のような美しさを持つ。
ロングギガビームライフルは最大出力時においては長大な射程距離と絶大な威力を誇る。
出力の調整が可能で低出力時にはマシンガンとしても使用可能。
また、恐ろしいほどの射撃精度を誇る。
これは主に両手で使用するものなのでシールドを装備することが出来ず、その代わりシールド型のファンネルを搭載している。
シールドファンネルは攻撃能力を持たない反面平面状で、ビームを増幅、反射させる性質を持つ。
その性質を利用し、ビームを反射させることで攻撃への転用が可能。
さらに筒状にしたシールドファンネルの中でビームを反射・増幅させて放つという離れ業もある。ただし使用後はシールドがぼろぼろになってしまう。
本来ならこれを使いこなすのは至難の業だが、デイヴの状況判断能力がそれを可能にする。
通常時は折り畳んだ傘のような形状でドルチェの腰から下を覆っており、控え目なドレススカートのような形状を持つ。
また、背部に取り付けられた追尾ビームファトランクスは敵を追尾する性質を持つビームを発射する。
この時、発射されたビームが左右に分かれ発射されるので、背中から羽が生えたように見える。
接近戦時には主にビームレイピアと、奇妙なスプーン型の武器を使用する。
ビームスコップと呼ばれるこの武器は、長い柄に実体の匙状の刃を取り付けたものにビームを纏わせて使用されるという変わった武器。
また、本機に搭載されている「Doll‐CE」システムはパイロットを補助する。
一部の火器管制をドルチェ自身(またはエリス)が行い、シールドファンネルを全機使用することが出来るようになる。
このシステムによってパイロットは戦闘に集中することが可能となる。
イメージ:ケルディム+ナドレ
819 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/04(木) 00:53:42 ID:???
連投すいません。
まず、571氏の協力無しにはドルチェのアイディアは思い浮かばなかったので感謝です。
改善点として、
まずレーザーファトランクスは、レーザーを武器転用出来るんならビームいらなくね?って以前ウィ○ドスレで誰かが言ってたんで…
それと、アナザーの人の考えたビームスコップをこいつに持たせたいという個人的なワガママです。
これにより、アレ?武装多くね?→じゃバルカンとキャノン削って素敵なアイディアなライフルとファトランクスの威力上昇を図りました。
指摘やら要望やら苦情やらはいつでも受け付けますので。
それではサヨウナラ
820 :本家ドルダの人:2008/12/05(金) 02:17:55 ID:???
最近は設定の投下がなくて寂しいですねぇ。
キャラクターとか機体とか、楽しみなんですが。
そんな本家ドルダ第5話の後半は、ローズに新型の武装が配備されるお話です。
>>571さん
新説の外伝、楽しみにしてます。
>>エルトさん
新説はバトル、バトルの連続で一度読んだはずの二つ作品だというのに、
新たにリメイクされた展開にハラハラしっぱなしです。
新章も楽しみです。
CM終わり。アイキャッチはクランとジャイアントマンの対峙。
821 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:22:42 ID:???
ジャイアントマンは、「う~~~~~~ん」と長い間唸っていた。
そして、その重そうな瞼を開いて、クランを見た。
「わかったよ~。なら君に、機会をあげよう~」
自分が一番優位であるかのような、横柄な態度。
否、彼は優位なのだ。
ジャイアントマン。この男がどれほどの力を持っているか。
漠然としかわからないクラン達でも、彼からプレッシャーのようなものを感じ取っていた。
「機会……とは?」
「君が言う、全てを解決できるかもしれない機会さ~」
ジャイアントマンの言葉に、クランは眉間にしわを寄せる。
「このコロニーには、駐留軍の司令部、宇宙要塞ハーフムーンから逃げてきた部隊がいる。
君達が会ったルシェッタ大佐のことだね~。今は司令代理なんて名乗ってるけども~」
ギデオンがハッとする。
「まさか陥とされたのか!? ハーフムーンが……」
宇宙要塞ハーフムーン。
月を割った、半月のようなボウル型の小惑星。
火星圏における地球圏連合軍火星方面駐留軍の最重要拠点である。
いくらローズの戦闘力が強大といっても、イーグルクロウや戦闘艦の配備数では決して劣っていないはずだ。
822 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:27:25 ID:???
それが破られたと知って、ギデオンは愕然となる。
「主だった高官達は戦死。ハーフムーンの司令だったアーロン・キム少将が重傷を負った。
ルシェッタ大佐は艦隊司令で、ハーフムーンを放棄してこのコロニーに逃げてくる際に、
キム司令から駐留軍の司令代理を務めるようにと略式だが任命されたという経緯らしい」
事情を知るカナンが説明を加える。
駐留軍の司令官と少数だが艦隊が生存しているのは、不幸中の幸いといえる。
だが、火星コロニー義勇軍のその戦力と手際の良さには、感服せざるを得ない。ギデオンはそう思った。
「火星コロニー義勇軍は、司令やハーフムーンの艦がここにいるのは知っているはずだ。
だが未だに再攻撃の類がないというのは、そこまで重要視してはいないということだろう」
「目的は宇宙要塞そのものだと?」
「さあ? 民間人の俺にはわからんよ」
はぐらかすようにカナンは笑った。
ギデオンも、これ以上の質問は意味はないと、口を閉じた。
「それで、私に何が出来るというんです。そんなことを教えてまで」
睨むような疑いの眼差しで、クランはジャイアントマンを見る。
「仲介役になるのさ~、君が。休戦協定のね~」
823 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:30:35 ID:???
「休戦協定……!?」
鋭かったクランの瞳が一転、驚きに見開く。
とんでもないことを言う。
クラン達はジャイアントに驚かされっ放しであった。
「けど、これはすげえことだぜ。そんなことが出来るならさ!」
まだ了承もしていないのに、躍起になってヴァイスが言う。
「そ、そうですよ! もし成功したら、誰も怪我したり、死んだりしません!」
今まで黙っていたモモも、必死そうに声を張り上げた。
「二人共! これはそんな簡単な問題じゃないのよ! もし交渉が決裂して、戦闘にでもなったらどうするの!?」
「……そうしたら、守るよ」
クランの言葉に、端でじっとしていたシンシアが、声を発した。
シンシアのその表情は、堅い意志を見せ、そして最初に出会った時のようなどこか冷たい影があった。
しかし、その冷たい影も、ゆっくりと消えていく。
顔を向け、しっかりとクランを見るシンシアには、姉を想う妹の瞳があった。
「もう逃げられんよ。ナギサカ君」
諦めたような苦笑をして、ギデオンもクランを見る。
クランは、迷った。
だが皆の後押しに、不安が残る中、静かに首を縦に振る。
824 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:34:04 ID:???
「ありがとう~。じゃあ僕達は準備に進めるよ~。しばらく待機してもらうことになるけど、よろしくね~」
満足したのか、ジャイアントマンはにこやかにそう言った。
「じゃあ、俺がみんなを送ってく」
カナンが先導し、調査隊とシンシアはエレベーターに再び乗った。
笑顔で、それを見送るジャイアントマンとヴァニラ。
完全にドアが閉まり、エレベーターは発進していく。
「……欠席した子。出身はどこだっけ~」
「ミランダ・ウォン。生まれも育ちも、純粋な火星圏民ですわ」
笑顔を消したジャイアントマンが訊き、またこちらも無表情になったシンシアが返答する。
「世界は、このちっぽけな火星圏は、どうなるかな~」
「ジムったら。最低な道楽ですわね。ふふっ」
第29コロニーから近く、火星コロニー義勇軍の中継地点となったコロニーがあった。
第33コロニー。
このコロニーもまた、独立派の武装蜂起後すぐに制圧されている。
調査隊の乗った輸送船を第29コロニーに逃がしてから数日。
このコロニーには、マイケル・ミッチェル隊が追撃部隊の補充要員と追加装備が運ばれてくるのを待っていた。
825 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 02:38:06 ID:???
「ニコラス・スフィフトだ」
「ダン・デボンであります!」
そんな第33コロニーに、遂に補充要員がやってきた。
ニコラス、ダン。ドルダの圧倒的な力に敗れた、二人。
「他3名、着任した」
格納庫。
輸送船から降りてきたニコラスとダンは、出迎えにきたマイケル・ミッチェル隊の面々と挨拶を交わす。
「ようこそ。凱旋かな、ニコラス君」
「茶化すな、狸」
睨むニコラス。
マイケルはやれやれと笑う。
「ローズ5機、並びに追加と新型の装備を持ってきた」
「うん。確かに、受領したよ」
乱暴に、ニコラスは書類代わりの情報端末をマイケルに渡す。
受け取ったマイケルは、顎に手をやってその情報を確認していく。
(他の3人は素人か。実戦経験は、駐留軍の配備が少なかったコロニーを制圧した1回のみ……使えないな)
小さく息を吐く。
「他の3人は、どうしたの?」
「長旅に疲れたらしい。船ん中でおネンネしてるよ」
「なんだそれ。はあ~……ヨウコウ様は何を考えてるんだが」
本格的に戦力にならないと、マイケルは頭を抱える。
それに関してはニコラスも同意しているようで、ばつが悪そうに視線を泳がせた。
826 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:10:14 ID:???
「ですがミッチェル隊長。お言葉ですが、そちらの隊こそ……」
言い辛そうにダンがターニャ達を見る。
目が合ったターニャは、軽く笑い、ダンに近付いた。
「なんだい? 言ってごらんよ」
「いえ……女性や子供が戦場に出るのは、相応しくないと思いまして」
その瞬間、平手が飛んだ。
気持ちいいほどの破裂音が辺りに響く。
ダンはしばらく、理解が出来なかった。
その光景を目撃したニコラスも、唖然とする。
ダンの頬は真っ赤に腫れ、ターニャは自身の右手に息を吹きかけていた。
「アタシはさ、火星圏の外れで賊とドンパチやってたこともあんのさ」
「は、はひ……」
「あんたがお優しいのはわかるよ。けどねぇ、戦場に出る相応しい資格ってのはなんだい?」
「ひへ、貴女は相応ひいと思いまふ……」
ジンジンと痛む頬に、ダンは涙した。
ニコラスが咳払いをする。
「連れが要らんこと言ったようだな。詫びるぜ」
「わかってくれりゃいいのさ。アタシ達は生きるために戦ってる。それはあんた達だって変わらないだろ?」
ターニャに言われて、ニコラスは素直に頷いてしまった。
ニコラスは戦うことが好きだった。
827 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:14:55 ID:???
スラム街でストリートファイトに明け暮れたあの日。
生きるために闘う。賭け金をコイン一枚でも多く稼ぐために。
固いパンと薄味のスープですら、口に出来るかもわからない日々だった。
(そんな時、俺はあの男に、ヨウコウ・ソ・
828 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:17:19 ID:???
>>827訂正
スラム街でストリートファイトに明け暮れたあの日。
生きるために闘う。賭け金をコイン一枚でも多く稼ぐために。
固いパンと薄味のスープですら、口に出来るかもわからない日々だった。
(そんな時、俺はあの男に、ヨウコウ・ソウヤに出会ったんだ)
スラム街に現れた、腰に日本刀を差した時代錯誤で小綺麗な男。
荒んだ目をしたスラム街の住民達に臆されもせず、ニコラスだけを目指して歩いてきた。
“君の力を借りたい”
そう言って、その真っ直ぐで熱い瞳を向けてきた。
(変わらねえのか。どいつもこいつも)
ニコラスはマイケルを見る。
飄々として、掴みどころのない。
実力はあったが、組織内でも評判は悪かった。
(ガキ共も同じだ。あの頃の俺と)
ストリートファイトが、モビルスーツでの戦闘になっただけのこと。
賭け金が、火星コロニー民の自由に変わっただけのこと。
少年兵を戦場に置くのは、決してこのマイケル・ミッチェルという人物が非情だからではない。
そう考えを改めた。
「ダン! てめえも他人の心配なんざしてねえで自分の心配をしろ!」
そう強くダンの背中を叩く。
「ス、スウィフトさんもひぼいですよぉ!」
829 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:28:04 ID:???
ダンは頬と背中の痛みにまた泣いた。
そんなニコラスとダンのやりとりを眺め、マイケルは笑みを浮かべる。
「それにしても、追加装備はともかく、新型装備か。僕達に試験運用させるってねぇ……」
呆れたようにマイケルが言う。
「アウノウンMS……ガンダムなんてのが現れたからな。出たとこなんだろ」
輸送船から運び出されたコンテナが、ゆっくりと開いていく。
「ガンダム。アレのコードネームか。ふざけた名前だ……けど、気に入ったよ」
コンテナには、ニコラス達が言うローズの新たな武装が搭載されていた。
「銃と剣、両方の特性を併せ持つビームガンブレードが5。白兵戦用の特殊装備、ナインテールが2。
そして大型の盾であるアームシールドが1。それと追加装備で通常の盾と連装ミサイルを持ってきました」
頬の痛みもだいぶ収まり、ダンが報告する。
「ビームガンブレード。小型ではあるがこっちでもビームを固定できるようになったとはね」
「だがガンダムにはビームは効かねえ。雑魚用の武器さ」
「出力は上がってるんだろ? これは僕とターニャ、タオマオが使おう。それとダン君、君も使いたまえ」
ダンは「ハッ」っと敬礼する。
ターニャも了解し、タオとマオも小さく頷いた。
830 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:31:30 ID:???
「ナインテール。9枚の刃を連ね、熱したその刃で機体を溶断する変則的な軌道が特徴の武器、か」
どうしたものかと、腕を組む。
「扱いが難しいね。君が使うかい? ニコラス君」
「いや、俺にはあのデカいシールドをくれ」
「わかった。じゃあ僕とディランとで使おう。ディラン、やれるかな?」
マイケルはディランに顔を向ける。
ディランはその鋭い表情を崩さずに、ディランを視線を返した。
「了解した。どんな武器でも使いこなしてみせる」
「頼もしいよ」
迷いなく答えるディランを、マイケルは信用しているようだった。
無口でほとんど表情がないタオとマオという兄弟もそうだが、少年にしては些からしさというものがない。
(ソウヤの野郎にあぁ言った反面、こいつ等を死なせるわけにはいかねぇか)
じっと、ニコラスはディランを見る。
「なんだ」
ニコラスの視線に即座に反応するディラン。
それには少々、ニコラスも驚いたようだ。
「いや、俺も、俺だけじゃねぇ。補充された兵全員、お前に背中を任せても大丈夫か?」
「俺が少年兵だから危惧しているのか。安心していい。同じ仲間なら銃を向けたりはしない」
淡々とディランが答える。
「その代わり、あんた達にも俺の背中を預ける」
831 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:35:43 ID:???
表情は変わらなかったが、そう言うディランに、マイケルは少しだけ彼の見方が変わった。
ニッと笑うと、ディランに近付いていく。
「あったり前だろォがよッ!」
思い切り力の入った張り手が、ディランの背中を叩いた。
これにはディランも、目を見開いた。
「スウィフトさんの感情表現はアグレッシブすぎです。あのディランという少年に同情します……」
震えながら、ダンが呟いた。
和やかなムードの中、ターニャが持っていた携帯端末に連絡が入る。
直ぐ様応答するターニャ。
「みんな、向こうが先に動いたようだね。オープンチャンネルで呼びかけを行ってるらしいわ」
ターニャが言うと、マイケルやニコラス達は一斉に気を張り詰めさせた。
そして、張り詰めているのは、マイケル達だけではなかった。
「休戦協定……そんなもの、飲めるわけがない」
自室で、メリリヴェイルは恨めしそうに唸った。
政府からの達しという、火星コロニー義勇軍との休戦協定の提案。
「そんなものを受け入れてしまえば、劣勢である我が軍は事実上敗北を認めたようなもの」
ギリリ、と食い縛った歯が音を立てる。
「抵抗を続ける他の部隊も、次々に降伏していると聞く」
832 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:37:12 ID:???
まさか、本編の人と被るとは…!
妙なシンクロになんか感激、エルトです。
今から投下、は出来ないよなあ…
833 :本家ドルダ:2008/12/05(金) 03:41:37 ID:???
司令代理としての重責。
政府から案に従うか、反撃に転じるか。
今、公社が代行して付近のコロニーにいる火星コロニー義勇軍に呼びかけているようだが。
公社といえば。メリリヴェイルの脳裏に、数日前の出来事が蘇る。
「奴等に、いいようにはさせん!」
カナンという男が口にした味方というのはこうことかと、怒りに机を叩く。
「ここ最近、地球圏との通信状態が著しく悪い。増援も期待できんとは……!」
メリリヴェイルは、悔しさに、呻くようにそう言った。
例え増援を呼べたとしても、到着するのに数ヶ月はかかる。
その間に敗北は目に見えている。
「あのシステムさえ……あのシステムさえ実戦に導入できれば」
だが、彼女はまだ、諦めてはいない。
メリリヴェイル・ルシェッタ。
その瞳は、野望に燃えていた。
To Be Continued...
834 :本家ドルダの人:2008/12/05(金) 03:43:25 ID:???
第5話投下終わりです。
エルトさん、投下どうぞ!
ではまた後日。
835 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:47:14 ID:???
>>本編の人
投下GJ&乙です!
途中で割り込んでしまってすいませんでした。メリリヴェイルの動向が気になりますね。
ではお言葉に甘えていきます
836 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:48:10 ID:???
新説ガンダムドルダ
第六話 招かれざる客
デイヴィッド・リマーは昨晩静かに床に就いた。
ここ二年間のニート生活時に比べると、遥かによく眠れた。
ただ、いつもの夢だけは相変わらずデイヴの意識の中に入り込むことを忘れはしなかった。
一人の少女が、悠久の時を眠る。
初雪のように白い肌に咲き誇るは、薔薇のように美しい唇。
少女には恐らく感情というものはない。眠ってはいるのだが、目を覚ましたとて、美の権化がただ在るだけだという印象を与える。
あまりの美しさに、そっと触れようと手を伸ばす。
決して遠くはない距離にいる少女に触れるには、少しの時があれば十分だろう。
しかし、あまりにも遠い。あまりにも永い。
その時間さえ愛おしく思えるほどの美しさ…
そして、指先が少女の面を捉えた刹那…
そして今彼は気づく。目の前の少女、エリスと名乗る少女こそが、夢の中に出てくる少女であったことに。
「お前…」
突然の出来事に混乱するデイヴの冷や汗は止まらない。
先ほどマルスのカメラファンネルで受けた傷の痛みに苦しんだことなど、遥か遠い昔のことのようだ。
デイヴの頭の中を様々な疑問が駆け抜けた。
襲いかかって来たアンノウン(ローズのことだ)は一体何者なのか。
目の前で戦っていたガンダムは一体何なのか。
そしてそれに乗るパイロット…クランとアレスという少女と少年の名。(二年前のデイヴの記憶の中ではクランは少女と呼べる年齢だ)
何故彼ら姉弟がそんな機体に乗って、こんなところで(ああ、あまつさえ俺の目の前で!)争っていたのか…
見たこともない装備と技術の数々。圧倒的な性能。
そして今自らの前に導かれるようにして現れたガンダムドルチェ。
二年前の悲劇を起こした機体が何故…?
エリス。自分にずっと会いたかったといった少女。
今までの26年間、みずからの両親と親友のフィリア以外からの誰からも、ただの一度もそんなことを言われたことはない。
新鮮な気持ちのまま、デイヴはエリスによって、ドルチェの甘美なる純白の世界に引きずり込まれようとしていた。
そんな彼女が、何故俺の夢の中に…?
今世界で何が起ころうとしているのか、デイヴは世界の、宇宙の声を聞いたような気がした。
837 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:49:07 ID:???
「ああ、デイヴ、デイヴ。私は今、あなたに会えてとても嬉しいの。ね。だからそんな顔をしないで?」
シンシアと…また、ドルダを駆る謎の少女がしてみせたように、わずかに首をかしげて微笑みかける。
それはまさに、悪魔の微笑み。
いや、決して醜いというわけではないのだ。あまりに美しすぎて。あまりに眩しすぎて。
けれど彼女の笑みは、本当に純粋な、または正義の心を持つ者が一目見たなら、なんていやな笑顔なんだろう、と言うかもしれない。
今のデイヴはそのどちらでもなかった。
ただただ静かに、その美しさに呑まれ、けれど必死の思いで自我を保ったまま、少女に問う。
「お前は何だ…そしてこの機体は…?」
「運命よ」
言い終わる前にエリスは言う。まるでこの世に存在するすべての「動き」と呼べるものを止めてしまうような、氷の声で。
「あなたがフィリア・シュードと再会した時から運命の序曲は始まっていたの。そしてクラン・R・ナギサカ、アレス・C・ナギサカと再会した時、そして」
ここで一旦言葉を切り、再びその唇は言の葉を紡ぐ。
「私との出会いが、運命を加速させる」
毒りんごのような笑み。
再び口を開くデイヴ。
「お前は…この機体で何をしようとしている…!?」
すると少女は、ああ、と気楽そうに頷き、答える。
「私は歯車。偉大なる意志の僕。その役目を果たすだけの存在。そしてあなたは」
またも、言葉を切る。
「選ばれし者。私のパートナー」
「…ふっざけるな!」
激昂するデイヴ。
「何が歯車だ!何が運命だ!じゃ二年前お前が地球で起こしたあの悲劇も運命だったとでも言うのかよ!」
「ええ」
「…っ!」
こともなげに答える少女。やがて心から悲しそうな顔をして言う。
「ああ、デイヴ、デイヴ。悲しいわ、お願いだからそんな事を言うのはやめて」
しかしその表情は、真の賢者なら、人の機微というものに敏い者なら、あるいは太宰風に言うと、美醜についての訓練を経てきた人なら…
その表情は、簡単に見抜くことが出来る。
しかし、それさえ計算して。それさえわざとである少女。続けて言う。
「あなたが悲しいと、私も悲しいの」
「だったら今すぐここから降ろせ。俺はもう金輪際厄介事はゴメンだ。ニートやってた方がまだマシってもんだ」
もう、誰とも関わらない…デイヴは再び固く決意したのだった。
フィリア、ディック、シヴォーフ、ネルネ、ゲイリー…
そしてクラン・R・ナギサカとその妹弟、父母。
最後に自らの両親の顔を思い浮かべ、デイヴはうつむき涙する。
そんなデイヴを優しく抱き締めるエリス。
「大丈夫、あなたは私が守るから…」
悪魔の優しさに捉われた中で、デイヴィッド・リマーは再びまどろみの夢を見る。
838 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:50:02 ID:???
一方クラン・R・ナギサカとアレス・ルナークはそれぞれの乗る機体を沈黙させ、向かい合っていた。
その沈黙を破るのはクラン。
「アレス、とにかく今はお互い色々と気になることがあると思うの。降りて話をしましょう」
「…わかった」
アレスは思っていた。姉・クランの先ほどの呼びかけは、ドルダを恐れるあまり自らが作り出した幻聴なのではないかと。
しかし、改めてその声を聞いて。二年前、力を渇望したがゆえに袂を分かつこととなった姉と再び向き合う。
先にドルダのハッチが開き、ノーマルスーツを着たクランが出てくる。
呼吸は出来る、先程のミランダ・ウォンとのやり取りを思い出しながらヘルメットを外す。
美しい艶のある長い赤髪が露になる。
(…!)
それを見て決心したアレスもまた、マルスのハッチを開け、火星の大地に降り立つ。
同様にヘルメットを外すと、そこには幼さを残しながらも凛々しい瞳を持った弟の姿があった。
「…ああ!」
クランは思わず弟を抱き締める。
本当の、家族の温もり。クランはドルダを駆る謎の少女に抱いたのとはまた別な親愛の念を、弟に対して抱く。
アレスもまた、忘れかけていたモノを思い出し、一瞬目を丸くしたものの、その温もりに全てを委ねた。
「アレス、ずっとあなたを探していたの…」
「クラン…姉さん…」
クランは今まで感じた恐怖の全てを置き去りにしたまま、アレスに言う。
「ね、アレス。これからは二人で暮らしましょう。私達は、たった二人の家族なのよ」
言った後、謎の少女のことを思い出し頭が疼く。けれど、その痛みさえ…
しかしアレスは、本当に、本当に精一杯、こみあげてきそうな何かを抑えて、深呼吸してから言う。
「クラン、姉さん!俺は見つけたんだ。シンシアと…姉さんともう一度会えるかもしれない方法を!あなたと別れてから二年間、ずっとずっと探していたんだ。
姉さん達と俺と、三人で暮らせる日々を…」
胸の中に洪水のように溢れる想いの全てを、抱きとめてくれるであろう姉にぶつける。
けれど、クランは…
「もういいの、アレス。あなたがいてくれたなら、私はこれ以上何も要らない!あなたがこれ以上危ない目に遭うのは、私には耐えられない。だから…」
言いかけたクランに、アレスは意外そうな、焦点の合わない瞳でクランを見つめる。
「クランは…姉さんは、シンシアに会いたくないの…?」
「それは…」
口籠るクラン。会いたくないと言えば、嘘になる。
けれど、こうして。火星開発公社の情報網を頼みの綱に、弟を探してきたのだ。
やっと会えたアレスを、もう失いたくないという気持ちの方が大きい。
839 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:51:40 ID:???
「だったらクラン。俺と一緒に行こう?」
手を差し伸べるアレス。
「二人でシンシアを…姉さんを、助けるんだ」
「アレス!」
クランが叫ぶ。ああ、もう戻らない過去に、これ以上囚われるのはやめて…!
次の瞬間、ドルダのコクピットハッチが開き、シンシアと思しき謎の少女が二人の前に姿を見せるのだった。
「雲行きが怪しくなってきたな…」
呟くギデオン。テラ・フォーミング後の火星に、初めての雨が降ろうとしているのだろうか。
ところで、半ば空気と化していた第一次調査隊を登場させられるのは嬉しい限りで。
「クランさんから連絡、来ないですか?」
モモが心配そうに言う。
ミランダは先ほどから通信機器をいじり、音信不通となっていたクランへのコンタクトを試みている。
ヴァイスはというと、黙ったまま腕を組んで、壁にもたれかかっていた。
ふとヴァイスが顔を上げると、見知らぬ飛空挺がその影を見せていた。
「隊長、アレは…?」
驚く調査隊の面々。
ただ一人、ギデオンのみがその飛空挺のことを知っていた。
「あれは…カナリヤ…?」
「カナリヤって何ですかー?わかりませーん!モモにもわかるように説明してくださいよー!」
「公社の飛空挺だ。我々を救援に来てくれたのかもしれない。信号を送ってみよう、ウォン君!」
ミランダに言うギデオン。
「でも、クランさんは…?」
戸惑うミランダに、ヴァイスが言う。
「本当にアレが俺達を助けに来たってんなら、アイツの捜索にも協力してくれるはずだ。とにかく今は人手が欲しい。俺は隊長に賛成だな」
比較的冷静なヴァイスだったが、内心はヒヤヒヤものだった。
「…わかりました」
ミランダはそう言うと、通信機器をいじるのをやめ、カナリヤに向けて救援信号弾を放った。
840 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:52:59 ID:???
「!」
最初にその信号弾に気づいたのはフィリアだった。その操縦を止めさせる。
「待って!今誰かが救援信号弾を…!」
フィリア・シュード達第七次調査団も、ディック、ネルネ、ゲイリーの三名を保護した後、デイヴの捜索を行っていたのだった。
「構わん、落ちこぼれのグワッシュだけを探せばよいのだ」
冷たく言い放つはスメッグヘッド教授。
「しかし教授!もしかしたらあれがデイヴからの合図なのかもしれませんし…」
「シュード君、君の目はふし穴かね?アレはグワッシュに搭載された信号弾とは別のものだ」
「遭難者ならなおのこと…」
「我々以外にこの火星に誰かがいるとでも言うのかね!とにかく我々は今そんな些末なことにかかずらっている暇はないのだ!」
「いいじゃないですか、教授。行きましょう」
論争中のフィリアに助け舟を出したのはディック。
「中尉…!君までそんなことを言うのかね!?」
「今はとにかく情報が欲しい。もしかしたらこれがアイツに繋がる情報になるのかもしれない。
それに仮に遭難者がアンノウンのパイロットだとしても、捕虜にして色々と問い詰めることが出来る」
「…くっ!」
口を噤むスメッグヘッド。やがてぶっきらぼうに言う。
「…好きにせい!その代り私はこの件に関しては一切関与しない!」
「ありがとうございます!」
頭を下げるフィリア。その後でディックに小さくウインクをしてから礼を言う。
「ありがとう、中尉」
「…っス」
顔を赤らめるディック。…お年頃なのであった。
やがてカナリヤは低空飛行へと移行し、ギデオン達第一次調査隊の元へ降り立った。
デイヴはエリスに言われるまま、二つある操縦席のうちの一つに座る。
「…あの二機に何かするつもりなのか?」
「んー、場合によっては。今の私はただの監視者(ウォッチャー)」
「…俺をどうするつもりだ?」
「心配しないで?あなたをさらったりはしないわ。ただ、あなたの調査団に私も加えてもらうだけだから」
「そんなこと、あのジジイが黙っちゃいねえぞ」
「この機体…ドルチェをチラつかせればスメッグヘッド教授なんてお手の物」
「知られたらマズイんじゃないのか?」
「まさか。これは人の手の届かない領域の物だから。アレと違ってね」
全天周モニターに映るマルスを顎で差し、エリスは薄く笑う。
「だったら尚更マズイじゃねえか」
「どうして?人間ごときに理解できるシロモノじゃないのよ、ドルチェは」
デイヴの顔が険しくなる。
「…お前、一体何者だ…?」
「初めて聞いてくれたわね。嬉しい!」
「はぐらかすな。答えろ、お前は何者なんだ」
「待って。今はまだその時じゃないわ。いつかあなたにも全てを話す。決してあなたを信用してないわけじゃない。もう少し待って」
「ハッ!信用も信頼もしてくれなくていいから、サッサと帰してくれよ」
「まだそんなことを言うの、あなたは…?」
少女は再び悲しそうに言うと、そっとデイヴに口づけた。
「…っ!」
悔しそうな男の顔を、再び悪魔が押さえつける。
841 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:54:06 ID:???
「シン、シア…!?」
ドルダから降りてきた少女を見て、アレスは驚き、そして大いに喜ぶ。
「シンシア!」
クランの制止も聞かず、シンシアの元へ駆けるアレス。
「会いたかった…シンシア、ずっとずっと、貴女だけを探していたんだ…!」
困惑の少女を余所に、アレスは涙する。
(やはりティモール…いや、ルナーク博士の言う通り…!)
もはやアレスにとっては、目の前の少女が本物の姉であろうとなかろうと関係なかった。
偽物でも幻でも構わない…夢よ、醒めないで…
泣きむせぶアレスに少女の残酷な一言が突き刺さる。
「あなた、誰?」
目を丸くするアレス。ああ、やはり彼女は…僕の、姉さんでは…
わかってはいたことだが、実際に言われるとやはりツライものがある。
「放して。私はお姉ちゃんと一緒にドルダに乗るの」
「「!」」
驚愕のアレスとクラン。
「行こ、お姉ちゃん」
ゆっくりとアレスを振りほどき、クランの手をとってからドルダの元へ行こうとする少女。
悲しみと混乱が、再び世界を支配する。
第七次調査団のカナリヤに、捕虜として連行された第一次調査隊の面々。
唯一フィリアだけがその待遇に異議を唱えるが、傲慢なスメッグヘッド教授によって阻まれたのだった。
その尋問に、フィリアとディックが当たり、数分の時が過ぎていた。
ちなみにスメッグヘッドは相変わらずデイヴの、いや、グワッシュのミッションレコーダーを鋭意捜索中である。
「だからぁ!モモ達は怪しい者じゃないんですよぉ!早くクランさんを探さなきゃって言ってるじゃないですかー!」
モモ・マレーンがふくれっ面で二人に抗議する。
続いてギデオンが、出来るだけ落ち着いた態度で二人に事情を説明する。
「確かに我々は、あなた方同様地球本社の者ではなく、公社のコロニー支社の者です。しかし、人命がかかっているのです!
勝手なお願いであることは承知の上です。どうか捜索に協力していただきたい!」
そう語るギデオンの瞳には、強い意志が宿っていた。
(私には16回の隊長職の自負と、プライドがある…調査隊の全員を無事生還させるのが私の仕事だ!)
「事情はわかりました」
真っ直ぐなギデオンの目を見て、フィリアは本能的にギデオンを信頼に足る人物だと判断する。
「現在我々もまた同様に、一名の隊員を捜索中です。あなた方の探される方の捜索にも、善処いたしますよ」
「本当ですかぁ?ありがとうございます、お姉さん!」
はしゃぐモモ。溜息をつくヴァイス。しかしその口元は微笑んでいる。
842 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:55:05 ID:???
「あの…僕は一応、男なんだけど…」
困ったように言うフィリアに驚きを見せる調査隊の面々。
「えぇ!?ご、ごめんなさい…」
「いやいいんだよ。慣れてるから」
慌てるモモに優しく答えるフィリア。
なんだか顔が赤くなるモモ。乙女の初恋というやつだろうか。スイーツ(笑)
そんなやり取りの中、ミランダが口を挟む。
「ここが、現在我々の捜索しているクラン・R・ナギサカ氏が最後にいたと推測されるポイントです」
端末のデータを示すミランダ。机に火星の地図と共に、座標が映し出される。
「オイ、これって…」
ディックが言う。
「シュード主任、俺達がアンノウンと交戦してた場所じゃないか…!?」
その場にいる全員の鼓動が速くなる。これは紛れもなく、そしてどうしようもない、運命なのだろうか。
「とにかくもう一度行ってみよう!今ならその未確認機体同士の戦いも終わっているかもしれない!」
進路を変更するカナリヤは、約束の地へと向かう。
冷たくつき放されたアレスを見て、エリスは冷やかに笑う。
(だから言ったのよ、アレス。あの娘じゃなくて、私のところに来ればいいと)
さて、と…予想通りの展開を見守って、エリスは思う。
(でもいいの。私にはデイヴがいるから。さあ、アレス、次はどう出るの?)
ドルダに乗る少女。クランは立ち尽くしている。アレスは…
再び、ガンダムマルスへと搭乗する。
(そう、あなたはやっぱり戦うことを選んだのね…)
エリスは薄く笑い、ドルチェを起動させ、高らかに叫ぶ。
「ガンダムドルチェ、デイヴィッド・リマー!これより介入行動に入る!」
「!」
困惑のデイヴを余所に、白き舞姫が戦場へと踊り出る。
六話 終 七話に続く
843 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/05(金) 03:56:08 ID:???
ってなわけで六話でした。それではおやすみなさい
844 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 17:09:26 ID:???
エルト&本家ドルダの人投下乙!
支援age
845 :571:2008/12/05(金) 17:26:55 ID:???
おお、家に帰ってきたら2つも更新されてる!!
本家の人にエルト氏、GJです!!
本家ドルダは本当に先が読めなくなってきましたね。
てっわーい!!ナインテールとアームシールドが採用されてる!!
僕にはまだ帰れる場所があるんだ、こんなに嬉しいことはない。
新説ドルダ
エルト氏乙です!
エリス悪女の才能ありすぎ。ある意味非常に怖い。
アレス、クラン、シンシア。
この三人救われるのかな?というかアレスってもしかしてシスコン?
ではでは
846 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 23:35:51 ID:???
500KB近いし、そろそろ次スレの季節だね
847 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 00:20:53 ID:???
テンプレ考えなきゃだな
ドルダだけじゃなく、>>1の意志を継いで「一番奇抜なガンダム」も語っていきたい
848 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/06(土) 13:58:31 ID:???
: : 丶 ` : .,e :
: .,,lll゙′ みなさん、乙です。
: .,,zl',,l゙,,,,,,,,,,,,_:
,,,rl゙°‘^: : `"゚゙|lllll,a, お久しぶりです、バルドです。
: .,,ォ'″ : : .~''h,,、 最近、ネトゲ気味でしたがやっぱりここが
: ,rl″ ,,,,lli,,: 恋しいみたいです。盛り上がったり過疎ったりと
: : .,r″ ,,,, : '゙゙lllll* 大変でしたが、このスレも1000を行こうとしているの
、 : 、l゙ .'ll′ ェ ,,゙f,、 ですね。嬉しいです。キャラデザの設定投下は
$ ` ll゚l〟 ,,'l,,.、 .'l, ` ゙゙lllll,, もう少しお待ちください。
,l .:l: yll,,,,,q ゙゙llllllョ,,, ,,, 廴 ` .ll.゙゙ト
ll、 'l,.径,,,ll゙゙!l,,'ll,llllillllllllllllL .廴
: : ` ,,l゙`、 .゙l,illllllllli、.゚'llll,.゙lll,l,l'!゙,l゙`丶 、 'l,, リ
,,l゙_,,lll′ .'《ll!゙lllll! `゙'゙llllll゙,l″ `: ,l°ll゙ぃ|
,ilレ゙~ .l 'llll,, i,、 .ll,iト ,,l".,l,,l .私
.il゙’ 、 .'l、 ,` ゙f,,. ゙"__,,,、 ,il゙l′ ,l″,Fll゜ .゙″
'lil .,ll゙l,! ,l'll,,,゙゙゙°.'゙ 廴.,,fl゜ .,l゙lq°
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'″ .'广 .″ .'″ ゙”'''・ ″ '゙
849 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 16:02:09 ID:???
AAw
850 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 18:07:18 ID:???
>>1に貼るテンプレこんな感じ?
ここは前スレ>>1がスレタイを誤字のままで立ててしまったことによって
「どるだって何のガンダム?」という話題なり、「00に出る新ガンダム」や「2010年放送の新作ガンダム」など
スレ住人達の遊び心によって「新しいガンダムであるドルダを作るスレ」となりました
現在キャラクターやMSなどの設定の投下や複数のSSが連載中!
もちろん歴代シリーズの中で奇抜なガンダムを語ったり、新たな「ドルダ」を創造しても構いません
まとめwiki
http://www8.atwiki.jp/gundam_dollda/
前スレ
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1213176857/
851 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 05:52:40 ID:???
>>850
GJ
いいと思うよ
あとは>>2あたりにプロローグと現在ある作品、作者あたりを列挙すればなお良いと思う
852 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 12:28:10 ID:???
タイトルと作者列挙はいるか?
他のSSスレ回ってみたがそういうのしてるとこないし、まとめ見れば早いだろう
プロローグだって本家ドルダのプロローグと化してるじゃん
853 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 13:36:59 ID:???
他所は他所、うちはうち。
854 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 19:19:10 ID:???
うちはうちならテンプレは>>1のみでいいな
855 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/08(月) 00:07:56 ID:???
まあ何でもいいか
次スレ立てられる人の判断に任せた
856 :571:2008/12/09(火) 16:46:38 ID:PfuZJrVY
立てようと思ったが「このホスト~」で立てられませんでしたOTZ
誰か立てられる人お願いします。
ところでスレタイはこのままでいいのか?
それともドルダをメインにした方がいいのか?
とにかく立てれる人お願いします。
では
857 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/09(火) 17:43:34 ID:???
お久しぶりです。
>>571氏
このスレは他の創作スレとは違って雑談スレみたいな感じだから
今のスレタイ+【】でいいのでは?
858 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/09(火) 17:46:46 ID:???
訂正をお詫びします。
×雑談スレみたいな感じ
○創作スレ+雑談スレみたいな感じ
859 :エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/09(火) 22:57:44 ID:???
どうも。
自分の方でもスレ立て試みたのですが無理でした…
あしからず
860 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/09(火) 23:24:58 ID:???
どうやら私の方でも駄目だったみたいです。
861 :616:2008/12/09(火) 23:34:14 ID:???
みなさんお久しぶり
ちょっと忙しくなってきたのであまり顔出せませんが、
時間を見てちゃんと本編も新説も読んどきます
http://uproda11.2ch-library.com/src/11140410.jpg
モールド増やしてドルダ描き直してみました
ローズ案とマルス案も近いうちにアップします
862 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/09(火) 23:59:11 ID:???
どうみても1st。
角張りすぎ
863 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/10(水) 03:54:36 ID:???
>>862
>>861が?それとも奇抜なガンダムが?
864 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/10(水) 07:06:54 ID:YjsWo1ay
肩がSガンダムとF91を足して割ったような感じだが、リアーが斬新かもしれない
865 :571:2008/12/10(水) 16:26:54 ID:mTaGIEVY
>>616氏
GJです!かっこいいですねドルダ。
肩のビーム集光機のデザインもいいです。
866 :バルド ◆lqbqZrNVoQ :2008/12/10(水) 19:42:13 ID:???
>>616氏
乙です!
良い具合に兵器っぽさとロボットっぽさが出てますね!
867 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/12(金) 01:35:15 ID:???
明日の夕方頃スレ立て挑戦してみるわ
868 :通常の名無しさんの3倍:2008/12/12(金) 12:57:36 ID:???
>>867
頼んだ…俺もダメだったorz
869 :867:2008/12/12(金) 17:31:26 ID:???
立ちました
一番奇抜なガンダムってどるだ?2
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1229070368/