第三話 邂逅
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「ガンダムマルス…アレス・ルナーク、出る!」
少年・アレスが乗る機体、ガンダムマルス。
その名の通り、火星コロニーを救う為に製作された機体だ。
紅く塗装された全身には、憤怒を纏わせ宇宙を駆ける少年自身の姿が映されているようである。
プロフェッサー・ティモール…それがこの機体、ガンダムマルスの設計者の名であった。
稀代の天才であり、宇宙一の変人…と称される彼がロストテクノロジーを駆使して作り上げた、彼の最高傑作である。
その目的は、表向きにはマスター・ベイト火星軍大佐及び宗谷陽光火星軍大尉率いる反地球連邦組織・ダイモスによる連邦打倒幇助である。
しかし、その本当の建造目的は、設計者であるティモールと、少年・アレスのみぞ知るところであった。
(シンシア…)
アレスは目を細めて険しい表情になる…先程陽光と邂逅した時の無表情さからは信じられないほどに。
(君を何者にでも渡してなるものか…!)
MA形態に変形し、その加速はとどまることを知らない。
マルスは間違いなく進宇宙歴102年現在における最速の機体であった。
(そうさ、シンシア…君は、俺が助ける!この俺が…!)
ガンダムマルスは、動き出す刻と共にクラン・デイヴのいる建造物地点へと向かう。
アレス…その機体、ガンダムマルスと同じ名を持つ少年は確固たる信念を抱く瞳で、ただ一点のみを見続ける。
約束の地へ、赤き一筋の閃光が降り注ぐ…!
少年・アレスが乗る機体、ガンダムマルス。
その名の通り、火星コロニーを救う為に製作された機体だ。
紅く塗装された全身には、憤怒を纏わせ宇宙を駆ける少年自身の姿が映されているようである。
プロフェッサー・ティモール…それがこの機体、ガンダムマルスの設計者の名であった。
稀代の天才であり、宇宙一の変人…と称される彼がロストテクノロジーを駆使して作り上げた、彼の最高傑作である。
その目的は、表向きにはマスター・ベイト火星軍大佐及び宗谷陽光火星軍大尉率いる反地球連邦組織・ダイモスによる連邦打倒幇助である。
しかし、その本当の建造目的は、設計者であるティモールと、少年・アレスのみぞ知るところであった。
(シンシア…)
アレスは目を細めて険しい表情になる…先程陽光と邂逅した時の無表情さからは信じられないほどに。
(君を何者にでも渡してなるものか…!)
MA形態に変形し、その加速はとどまることを知らない。
マルスは間違いなく進宇宙歴102年現在における最速の機体であった。
(そうさ、シンシア…君は、俺が助ける!この俺が…!)
ガンダムマルスは、動き出す刻と共にクラン・デイヴのいる建造物地点へと向かう。
アレス…その機体、ガンダムマルスと同じ名を持つ少年は確固たる信念を抱く瞳で、ただ一点のみを見続ける。
約束の地へ、赤き一筋の閃光が降り注ぐ…!
「オラオラ、どうした!連邦の狗共が!」
「ク、ソッ!調子に乗りやがって…!」
クラン・R・ナギサカが謎の機体と邂逅を果たして、また、アレス・ルナークがガンダムマルスを駆るのと同時刻…
デイヴィッド・リマーを始めとする六名のMSパイロット達は、同数のローズと交戦中であった。
「こいつを食らいな!」
ビュン!放たれたビームライフルがカマッセを襲う。
「うああああ!」
「カマッセ!応答しろ!」
カマッセ・ドッグの搭乗する機体、ドグッシュは無残にも宇宙の塵と消えた。
「各機、編隊を崩すな!おい、ディック!デイヴィッド!応答しろ!」
叫ぶシヴォーフ。
「…もういい!各機垂直軌道をとりつつ敵機に取り付け!ビームといえども直線だ!」
シヴォーフは右腕に装備したビームライフルでけん制しつつ、スラスターの推力を全開にした。
「うおおおお!」
ザシュ!抜き放ったビームサーベルが、ローズの左腕を切り裂く。
「うっ!」
苦痛に顔を歪ませるローズのパイロット。
(こんな所で死ねるか…帰ったら、言うんだ。彼女に…結婚しようって…!)
自らを鼓舞し、乗機であるムウシコスの体勢を立て直す。
「よし!このまま突っ切るぞ!ネルネ、ゲイリー!援護を頼む!」
シヴォーフの雄叫びが、戦場に勇ましく轟き渡る。
「ク、ソッ!調子に乗りやがって…!」
クラン・R・ナギサカが謎の機体と邂逅を果たして、また、アレス・ルナークがガンダムマルスを駆るのと同時刻…
デイヴィッド・リマーを始めとする六名のMSパイロット達は、同数のローズと交戦中であった。
「こいつを食らいな!」
ビュン!放たれたビームライフルがカマッセを襲う。
「うああああ!」
「カマッセ!応答しろ!」
カマッセ・ドッグの搭乗する機体、ドグッシュは無残にも宇宙の塵と消えた。
「各機、編隊を崩すな!おい、ディック!デイヴィッド!応答しろ!」
叫ぶシヴォーフ。
「…もういい!各機垂直軌道をとりつつ敵機に取り付け!ビームといえども直線だ!」
シヴォーフは右腕に装備したビームライフルでけん制しつつ、スラスターの推力を全開にした。
「うおおおお!」
ザシュ!抜き放ったビームサーベルが、ローズの左腕を切り裂く。
「うっ!」
苦痛に顔を歪ませるローズのパイロット。
(こんな所で死ねるか…帰ったら、言うんだ。彼女に…結婚しようって…!)
自らを鼓舞し、乗機であるムウシコスの体勢を立て直す。
「よし!このまま突っ切るぞ!ネルネ、ゲイリー!援護を頼む!」
シヴォーフの雄叫びが、戦場に勇ましく轟き渡る。
(何で着いてくんだよ、あのガキ…!)
シヴォーフ達との編隊から一人離脱したデイヴは、二機のローズと戦闘を繰り広げていた。
射撃C 近接格闘B- 機動性C 精密動作能力C 回避動作B-…
地球連邦軍退役時の階級は曹長…これが、デイヴィッド・リマーの成績であった。
ちなみに、Bを基準値としたものであるので、デイヴの成績はどちらかと言えば芳しくない方に当たる。
「てめえ一人で突っ込んでどうなるってんだ、落ちこぼれ!連邦のエース、オメコスキー様が付いてってやる!感謝しな!」
ローズに突進していくデイヴのグワッシュを援護しつつ、ディックのムウシコスがビームライフルを放つ。
「オラ、ちゃんと避けろよ!落ちこぼれ!当たっても知らねえぞ!」
そう言いつつも、ディックのビームライフルは正確にローズの胸部を捉えていた。
さてはこの男、ツンデレだな?
「ぐおっ!」
仰け反るローズを前に、デイヴは冷静な判断を下す。
(よし、この距離なら…!)
グワッシュのリニアライフルで更なる牽制を加える。ただ、その射撃能力からまばらに当たり続けていたのだが。
「調子に乗るなよ!ヘタクソが!」
叫ぶローズのパイロット。すかさずグワッシュに蹴りを入れ、その反動で距離を取り体勢を立て直す。
「うっ!」
デイヴの顔が苦痛に歪む。
「落ちこぼれ!」
ディックのムウシコスがグワッシュを受け止め、すかさずビームライフルを撃つ。
「当たれよ!」
「食らうかよ!」
放たれたビームを避けたローズが、二機でフォーメーションを組み突進してくる。
「二対二なら、ローズが勝つに決まってんだろが!」
「やってみなきゃ、わかんねえだろ…!」
目を細めるデイヴ。
完璧な陣営…見事なほどに隙がない。
デイヴとディックは、お互いの隙をカバーしあうようにしながら二機のローズに向かっていく。
(この落ちこぼれ、意外と動けるじゃねえか…)
まさかこの俺の共同戦術に着いて来れる奴がいるとはな…ディックは聞こえないほどの小さな声でそう呟き、唇を舐める。
ディック・オメコスキー…
射撃B+ 近接格闘A 機動性A 精密動作能力B- 回避動作A…
優れたエースパイロットではあるが、いかんせん短気な性格とトリッキーな戦術の為、彼とフォーメーションを組める人間などそうはいない。
故に単機での作戦行動を得意とするが、その為他者との触れ合いもなく、また彼に嫉妬する多くの者のやっかみが、元々ひねくれ者である彼の性格に磨きをかけ、現に至る。
そして彼は知らない。何故デイヴが自らの動きに一分のズレもなく着いて来れるのかを…
シヴォーフ達との編隊から一人離脱したデイヴは、二機のローズと戦闘を繰り広げていた。
射撃C 近接格闘B- 機動性C 精密動作能力C 回避動作B-…
地球連邦軍退役時の階級は曹長…これが、デイヴィッド・リマーの成績であった。
ちなみに、Bを基準値としたものであるので、デイヴの成績はどちらかと言えば芳しくない方に当たる。
「てめえ一人で突っ込んでどうなるってんだ、落ちこぼれ!連邦のエース、オメコスキー様が付いてってやる!感謝しな!」
ローズに突進していくデイヴのグワッシュを援護しつつ、ディックのムウシコスがビームライフルを放つ。
「オラ、ちゃんと避けろよ!落ちこぼれ!当たっても知らねえぞ!」
そう言いつつも、ディックのビームライフルは正確にローズの胸部を捉えていた。
さてはこの男、ツンデレだな?
「ぐおっ!」
仰け反るローズを前に、デイヴは冷静な判断を下す。
(よし、この距離なら…!)
グワッシュのリニアライフルで更なる牽制を加える。ただ、その射撃能力からまばらに当たり続けていたのだが。
「調子に乗るなよ!ヘタクソが!」
叫ぶローズのパイロット。すかさずグワッシュに蹴りを入れ、その反動で距離を取り体勢を立て直す。
「うっ!」
デイヴの顔が苦痛に歪む。
「落ちこぼれ!」
ディックのムウシコスがグワッシュを受け止め、すかさずビームライフルを撃つ。
「当たれよ!」
「食らうかよ!」
放たれたビームを避けたローズが、二機でフォーメーションを組み突進してくる。
「二対二なら、ローズが勝つに決まってんだろが!」
「やってみなきゃ、わかんねえだろ…!」
目を細めるデイヴ。
完璧な陣営…見事なほどに隙がない。
デイヴとディックは、お互いの隙をカバーしあうようにしながら二機のローズに向かっていく。
(この落ちこぼれ、意外と動けるじゃねえか…)
まさかこの俺の共同戦術に着いて来れる奴がいるとはな…ディックは聞こえないほどの小さな声でそう呟き、唇を舐める。
ディック・オメコスキー…
射撃B+ 近接格闘A 機動性A 精密動作能力B- 回避動作A…
優れたエースパイロットではあるが、いかんせん短気な性格とトリッキーな戦術の為、彼とフォーメーションを組める人間などそうはいない。
故に単機での作戦行動を得意とするが、その為他者との触れ合いもなく、また彼に嫉妬する多くの者のやっかみが、元々ひねくれ者である彼の性格に磨きをかけ、現に至る。
そして彼は知らない。何故デイヴが自らの動きに一分のズレもなく着いて来れるのかを…
デイヴィッド・リマー
備考:状況判断能力S
備考:状況判断能力S
そう、デイヴがフィリアにスカウトされた最大の理由が、そこにあった。
人生で最高の親友、最も信頼できる友人など、理由は他にもいくらでもある。
しかし、デイヴの状況判断能力は、その全ての理由をオマケの一言で片づけられるほど優れたものだった。
「落ちこぼれ!前方カバーを…」
ディックが言い終わる前に、デイヴはグワッシュをムウシコスの前方へ。
敵の放つビームを自らの左腕を犠牲にし、ムウシコスの為に時間を作る。
ちょうどムウシコスの全身を庇うようにして、ローズにムウシコスを攻撃させまいとしていた。
「そんなに死にてえなら、まずはお前からだ!グワッシュゥゥ!」
ビームサーベルを抜き放つ一機のローズ。
「よし!上出来だ!下がれ、落ちこぼれ!」
ローズのビームサーベルを、紙一重で避け、今度はムウシコスの左方へと進む。
「チャージ完了!食らいやがれ、アンノウンが!」
ムウシコスが自らの右肩に掲げたビームキャノンが、一筋の軌跡を描きローズの元へと飛んでいく。
「何!?」
断末魔を挙げる暇もなく、ローズの機体は爆散する。
「よしっ!やったな、落ちこぼれ!」
ガッツポーズのディック。久方ぶりの充実感に包まれた表情だ。
それに対して、少しほほ笑んだデイヴが皮肉っぽく言う。
「ええ、クソガキ中尉殿」
「なっ!おまえ!せっかくこの俺が感謝してるってのに!」
言った後、ディックは慌てて弁明を始める。曰く、すべては俺様のお陰だそうな。
…くやしかったからツンデレにしてみた(おいw)
「バカな…!?ローズだぞ!?たかがムウシコスとグワッシュ風情に…!」
もう一人のローズパイロットは、信じられないと言った表情で、体勢を立て直すべく、シヴォーフ達と交戦中の同胞の元へ向かう。
「逃がすかよ!」
ディックとデイヴがローズを追おうとした刹那…!
一閃のビームライフルが、ムウシコスのビームキャノンを破砕した。
「「!!」」
驚愕のデイヴとディックに、喜びの笑みを漏らすローズパイロット。
「マルスだ…皆、ガンダムマルスが来たぞー!」
一斉に視線を向けたその先には、火星の神の名を持つ真紅の機体が、静かにたたずんでいた…
人生で最高の親友、最も信頼できる友人など、理由は他にもいくらでもある。
しかし、デイヴの状況判断能力は、その全ての理由をオマケの一言で片づけられるほど優れたものだった。
「落ちこぼれ!前方カバーを…」
ディックが言い終わる前に、デイヴはグワッシュをムウシコスの前方へ。
敵の放つビームを自らの左腕を犠牲にし、ムウシコスの為に時間を作る。
ちょうどムウシコスの全身を庇うようにして、ローズにムウシコスを攻撃させまいとしていた。
「そんなに死にてえなら、まずはお前からだ!グワッシュゥゥ!」
ビームサーベルを抜き放つ一機のローズ。
「よし!上出来だ!下がれ、落ちこぼれ!」
ローズのビームサーベルを、紙一重で避け、今度はムウシコスの左方へと進む。
「チャージ完了!食らいやがれ、アンノウンが!」
ムウシコスが自らの右肩に掲げたビームキャノンが、一筋の軌跡を描きローズの元へと飛んでいく。
「何!?」
断末魔を挙げる暇もなく、ローズの機体は爆散する。
「よしっ!やったな、落ちこぼれ!」
ガッツポーズのディック。久方ぶりの充実感に包まれた表情だ。
それに対して、少しほほ笑んだデイヴが皮肉っぽく言う。
「ええ、クソガキ中尉殿」
「なっ!おまえ!せっかくこの俺が感謝してるってのに!」
言った後、ディックは慌てて弁明を始める。曰く、すべては俺様のお陰だそうな。
…くやしかったからツンデレにしてみた(おいw)
「バカな…!?ローズだぞ!?たかがムウシコスとグワッシュ風情に…!」
もう一人のローズパイロットは、信じられないと言った表情で、体勢を立て直すべく、シヴォーフ達と交戦中の同胞の元へ向かう。
「逃がすかよ!」
ディックとデイヴがローズを追おうとした刹那…!
一閃のビームライフルが、ムウシコスのビームキャノンを破砕した。
「「!!」」
驚愕のデイヴとディックに、喜びの笑みを漏らすローズパイロット。
「マルスだ…皆、ガンダムマルスが来たぞー!」
一斉に視線を向けたその先には、火星の神の名を持つ真紅の機体が、静かにたたずんでいた…
「ドール、ディーエー……ドルダ?」
目の前の機体を、恐怖と郷愁と慈愛とが混ざった複雑な想いで見つめ、クランは呟く。
機械に触れようと手を伸ばす。
しかし次の瞬間、天井に亀裂が入り崩れる。
そう思ったクランの中に、記憶がフラッシュバックする。
『お姉ちゃん!!』
『シンシアぁッ!!』
叫ぶその声は、崩れ落ちる壁に掻き消される。
記憶と重なるように、建造物の天井も、落下してくる。
クランは、意識を手放した。
目の前の機体を、恐怖と郷愁と慈愛とが混ざった複雑な想いで見つめ、クランは呟く。
機械に触れようと手を伸ばす。
しかし次の瞬間、天井に亀裂が入り崩れる。
そう思ったクランの中に、記憶がフラッシュバックする。
『お姉ちゃん!!』
『シンシアぁッ!!』
叫ぶその声は、崩れ落ちる壁に掻き消される。
記憶と重なるように、建造物の天井も、落下してくる。
クランは、意識を手放した。
(何だ?なんなんだよ、この感じ…!)
目の前の紅い機体を見て、デイヴは動揺を隠せないでいた。
いや、機体そのものに恐怖を感じたとか、そういう安っぽい理由から来る動揺ではない。
(機体…じゃ、ない…むしろ、中のパイロット…アイツは…!)
知っている…!俺は、こいつを、知っている…!
まるで、遠い昔に別れたもう一人の自分のような、かけがえのない存在のような…
デイヴは、フィリアに抱くのとはまた別な親愛の念を、マルスのパイロットに抱き始めている自らに動揺していたのだった。
(俺は…!)
そう思ったデイヴの中に、記憶がフラッシュバックする。
『助けてよ、軍人さん!お願いだから、僕はどうなっても構わないから…!』
震えるデイヴ。無力感という非常な刃が、彼の体をゆっくりと蝕んでいく。
(何故、今思い出すんだ!あの時のことを…!)
マルスとの邂逅を果たし、唐突なデジャヴに襲われた後、今度は突然のジャメヴがデイヴを襲った。
「システムエラーか!?おい、落ちこぼれ!応答しろ!!」
機体の操縦方法を一瞬忘れるデイヴ。なす術もなく、宙に漂うグワッシュ。
(俺は…!)
大量の冷や汗をかき、ガクガクと震えるデイヴ。
(そうだ、あの時…!助け、られなかったんだ…!)
おい、おい!デイヴに呼びかけるディックの叫び声が、虚しく戦場にこだまし続けていた…
目の前の紅い機体を見て、デイヴは動揺を隠せないでいた。
いや、機体そのものに恐怖を感じたとか、そういう安っぽい理由から来る動揺ではない。
(機体…じゃ、ない…むしろ、中のパイロット…アイツは…!)
知っている…!俺は、こいつを、知っている…!
まるで、遠い昔に別れたもう一人の自分のような、かけがえのない存在のような…
デイヴは、フィリアに抱くのとはまた別な親愛の念を、マルスのパイロットに抱き始めている自らに動揺していたのだった。
(俺は…!)
そう思ったデイヴの中に、記憶がフラッシュバックする。
『助けてよ、軍人さん!お願いだから、僕はどうなっても構わないから…!』
震えるデイヴ。無力感という非常な刃が、彼の体をゆっくりと蝕んでいく。
(何故、今思い出すんだ!あの時のことを…!)
マルスとの邂逅を果たし、唐突なデジャヴに襲われた後、今度は突然のジャメヴがデイヴを襲った。
「システムエラーか!?おい、落ちこぼれ!応答しろ!!」
機体の操縦方法を一瞬忘れるデイヴ。なす術もなく、宙に漂うグワッシュ。
(俺は…!)
大量の冷や汗をかき、ガクガクと震えるデイヴ。
(そうだ、あの時…!助け、られなかったんだ…!)
おい、おい!デイヴに呼びかけるディックの叫び声が、虚しく戦場にこだまし続けていた…
ハッと覚醒した時には、自分は運良く人型の機械の間に倒れていて。
助かったことを感謝しながらも、落ちた天井と衝突したはずなのに、
横に倒れただけでほぼ無傷に近いそれを心底不思議に思い眺めている。
クランは先程とそれが、一つだけ違っていることに気付く。
胸部が、開いているのだ。
「コックピット……?この機体…?」
人が乗っているのだろうか。
クランはゆっくりと、コックピットらしきそこへ近付いていく。
もしも敵意がある者が乗っているなら、気絶している時に殺されていたはずだ。 そう考え、クランは中を覗いた。
「えっ……!?」
中には、少女がいた。
年齢は、15か16。亡くした妹に近い気がした。
自分と同じように気絶しているのか、或いはもう死んでいるのか。
「うっ……」
「生きてる。貴女、大丈夫!?」
生きていることがわかり、思わずクランは近寄っていた。
外傷がないことを確認し、体を揺する。 すると、少女は静かに、瞼を開いた。
「…………あなた、だれ?」
虚ろな表情で、そう問われる。
クランは少女が無事なことに安堵し、口を開いた。
「私はクラン。クラン・リザレクター・ナギサカ」
出来るだけ柔らかい口調で、そう名乗る。
『ナギサカ君、聞こえるか!?』
今度はこちらから訊き返そうとしたが、ギデオンの声が飛び込んできた。
「は、はい! 聞こえます」
『無事なようだな。良かった。上で大変なことが起こった』
「地上で何かあったんですか?」
『いや、もっと上だ。火星コロニーの独立強硬派が武装蜂起した』
「!」
ギデオンの言葉を聞き、クランに緊張が走る。
以前から火星コロニーでは民衆が独立を訴えていた。
火星コロニーは決して豊かとはいえず、移民を開始して100年以上経過した今も、 管理、統括を行っている地球連邦政府の食料自給の制限によって貧困にあえいでいる。
過激な運動家がいるのは知っていたが、まさか武装蜂起にまで発展するとはと、クランの表情が暗くなった。
「わかりました。……ロープは大丈夫みたいですね。至急戻ります」
外を見て、まだロープが垂れ下がっているのを確認して、クランはそう返した。
『頼む。強硬派の機動兵器、人型らしい。それが軌道エレベータのステーションにも向かっているらしいのだ』
「人型……? 了解しました」
人型と聞いて、すぐにこの機体が浮かんだ。
この施設は、火星コロニーの独立派が建造したものであるのだろうか。だとしたら、この少女は一体…?
助かったことを感謝しながらも、落ちた天井と衝突したはずなのに、
横に倒れただけでほぼ無傷に近いそれを心底不思議に思い眺めている。
クランは先程とそれが、一つだけ違っていることに気付く。
胸部が、開いているのだ。
「コックピット……?この機体…?」
人が乗っているのだろうか。
クランはゆっくりと、コックピットらしきそこへ近付いていく。
もしも敵意がある者が乗っているなら、気絶している時に殺されていたはずだ。 そう考え、クランは中を覗いた。
「えっ……!?」
中には、少女がいた。
年齢は、15か16。亡くした妹に近い気がした。
自分と同じように気絶しているのか、或いはもう死んでいるのか。
「うっ……」
「生きてる。貴女、大丈夫!?」
生きていることがわかり、思わずクランは近寄っていた。
外傷がないことを確認し、体を揺する。 すると、少女は静かに、瞼を開いた。
「…………あなた、だれ?」
虚ろな表情で、そう問われる。
クランは少女が無事なことに安堵し、口を開いた。
「私はクラン。クラン・リザレクター・ナギサカ」
出来るだけ柔らかい口調で、そう名乗る。
『ナギサカ君、聞こえるか!?』
今度はこちらから訊き返そうとしたが、ギデオンの声が飛び込んできた。
「は、はい! 聞こえます」
『無事なようだな。良かった。上で大変なことが起こった』
「地上で何かあったんですか?」
『いや、もっと上だ。火星コロニーの独立強硬派が武装蜂起した』
「!」
ギデオンの言葉を聞き、クランに緊張が走る。
以前から火星コロニーでは民衆が独立を訴えていた。
火星コロニーは決して豊かとはいえず、移民を開始して100年以上経過した今も、 管理、統括を行っている地球連邦政府の食料自給の制限によって貧困にあえいでいる。
過激な運動家がいるのは知っていたが、まさか武装蜂起にまで発展するとはと、クランの表情が暗くなった。
「わかりました。……ロープは大丈夫みたいですね。至急戻ります」
外を見て、まだロープが垂れ下がっているのを確認して、クランはそう返した。
『頼む。強硬派の機動兵器、人型らしい。それが軌道エレベータのステーションにも向かっているらしいのだ』
「人型……? 了解しました」
人型と聞いて、すぐにこの機体が浮かんだ。
この施設は、火星コロニーの独立派が建造したものであるのだろうか。だとしたら、この少女は一体…?
デイヴが動けないでいる中、マルスに搭乗したアレスも同様に戸惑っていた。
(このグワッシュから、特別なものを感じる…!)
この俺が、引き金をひけないでいる?そんな筈はない…!そんなことが、あってたまるか…
頭を振り、必死の思いで自らを鼓舞しようとするアレス。
(俺は、彼女を…シンシアを、助けなければならない…!)
そう思ったアレスに、記憶がフラッシュバックする。
『シンシア、シンシア!』
『お姉ちゃん!!』
『シンシアぁッ!!』
崩れ落ちる、世界。叫ぶ己と、終わる世界。
『助けてよ、軍人さん!お願いだから、僕はどうなっても構わないから…!』
「何やってんだよ、アレス!」
ローズパイロットの一言で、引き戻される。
「今がチャンスだ!こいつらさっさと片付けて、アレを持ち帰るぞ!」
ビームライフルの照準をデイヴのグワッシュに合わせ、引き金を引こうとするローズ。
(ダメだ…!)
大量の冷や汗をかき、乱れる瞳。
「ダメだ!」
マルスの持つビームガンブレードが一閃、ローズの機体を切り裂く。
「アレス!何しやが…うわああああ!」
爆散するローズ。ハッ!我に帰り、必死の思いで頭を振るアレス。
「俺は…一体…」
うぅ、わあああああああ!!
少年の絶叫が、戦場に響き渡る。
(このグワッシュから、特別なものを感じる…!)
この俺が、引き金をひけないでいる?そんな筈はない…!そんなことが、あってたまるか…
頭を振り、必死の思いで自らを鼓舞しようとするアレス。
(俺は、彼女を…シンシアを、助けなければならない…!)
そう思ったアレスに、記憶がフラッシュバックする。
『シンシア、シンシア!』
『お姉ちゃん!!』
『シンシアぁッ!!』
崩れ落ちる、世界。叫ぶ己と、終わる世界。
『助けてよ、軍人さん!お願いだから、僕はどうなっても構わないから…!』
「何やってんだよ、アレス!」
ローズパイロットの一言で、引き戻される。
「今がチャンスだ!こいつらさっさと片付けて、アレを持ち帰るぞ!」
ビームライフルの照準をデイヴのグワッシュに合わせ、引き金を引こうとするローズ。
(ダメだ…!)
大量の冷や汗をかき、乱れる瞳。
「ダメだ!」
マルスの持つビームガンブレードが一閃、ローズの機体を切り裂く。
「アレス!何しやが…うわああああ!」
爆散するローズ。ハッ!我に帰り、必死の思いで頭を振るアレス。
「俺は…一体…」
うぅ、わあああああああ!!
少年の絶叫が、戦場に響き渡る。
「……来る」
「え?」
「近付いてる」
少女が、言った。ギデオンの話を聞いていたのだ。
強硬派がステーションに向かっているということ言っているのだろう。クランはそう思った。しかし、それは少し、違っていた。
開いていたコックピットハッチが閉まっていく。
「な、何を!?」
次々と点灯していくモニター。
「起動システム正常……うぅっ」
「どうしたの? 大丈夫!?」
呻く少女に、クランが声をかける。 しかし少女は、クランの声が聞こえないのか、無視するだけだった。
機体が大きく揺れ、クランは少女が座るシート脇にやむを得ず滑り込む。 しがみつき、揺れに耐えるしかない。
「駄目……思い出しては駄目……駄目……」
クランは呪文のように、そう繰り返す。
暗く狭い空間に閉じ込められた悪夢のような記憶…それが彼女を恐怖させていた。
機体が立ち上がり、両翼のように展開していたシールドが、体を包むように前部に展開する。
そして、一気に飛び立った。
「ぐっ……ああああっ!!」
肉体にかかる負荷に、クランが叫ぶ。
機体はそのまま上空まで飛翔を続け、火星を離脱することを示していたのだった。
「え?」
「近付いてる」
少女が、言った。ギデオンの話を聞いていたのだ。
強硬派がステーションに向かっているということ言っているのだろう。クランはそう思った。しかし、それは少し、違っていた。
開いていたコックピットハッチが閉まっていく。
「な、何を!?」
次々と点灯していくモニター。
「起動システム正常……うぅっ」
「どうしたの? 大丈夫!?」
呻く少女に、クランが声をかける。 しかし少女は、クランの声が聞こえないのか、無視するだけだった。
機体が大きく揺れ、クランは少女が座るシート脇にやむを得ず滑り込む。 しがみつき、揺れに耐えるしかない。
「駄目……思い出しては駄目……駄目……」
クランは呪文のように、そう繰り返す。
暗く狭い空間に閉じ込められた悪夢のような記憶…それが彼女を恐怖させていた。
機体が立ち上がり、両翼のように展開していたシールドが、体を包むように前部に展開する。
そして、一気に飛び立った。
「ぐっ……ああああっ!!」
肉体にかかる負荷に、クランが叫ぶ。
機体はそのまま上空まで飛翔を続け、火星を離脱することを示していたのだった。
三話 終 四話に続く