609 名前:咆哮哀歌 13-1/4 :2010/05/22(土) 11:16:45 ID:???
デカボー・チョッパーがローター音を轟かせ、空を横切る。
ステラ「うわあああああああああーーーーー!」
リクオー――クロノスの亡骸を抱きしめ、少女は喉も裂けよと言わんばかりに慟哭を上げていた。
ステラ「クロノス! クロノスーー!!」
スウェン「………」
シン「………」
リョウガ「…すまない」
シン「謝るなよ! あんただって…あんただって…」
ハロ長官「…」
ガンペリー・キャリアーで駆けつけたハロ長官以下、警察のMS乗りたちも皆、
帽を脱ぎ、ただ、見守るしか無い。
ずしん、ずしん…
バーニィ『ありゃ…もう全部終わっちゃったのか』
アル『もう…バーニィがぐずぐずしてるからだよ?』
バーニィ『そう言うなよ…この代替に出してもらったザク、変な癖がついてて…』
シロー「バーニィ…それに、アル?」
場違いとも思える明るい声に、シローが振り返る。
シロー「お前たち…何しに…」
バーニィ「あ、えっと、なんか、アムロさんが行って来いって…」
アル「…ステラお姉ちゃん、泣いてるの?」
さすがに重苦しい雰囲気を感じたのか、声を潜める二人。
シロー「実は…」
赫々云々、と状況を説明するシロー。
バーニィ「そうですか、そんなことに…」
アル「ステラお姉ちゃん…」
シロー「そういう訳だから、二人とも、この場は」
バーニィ「じゃぁ、丁度良かったな、アル」
シロー「すぐに引き上げ…て… ちょうど…いい?」
バーニィ「頼むぜ!」
アル「うん!」タタタ
軽快な足音を立てて、聞く者の胸を引き裂きそうな声を上げているステラの傍らに走り寄る。
すぅ…
アル「うわぁ!
ミンチより酷いや!」ピピルマー
610 名前:咆哮哀歌 13-2/4 :2010/05/22(土) 11:18:02 ID:???
やわらかい、緑色の光が辺り一面に広がる。
ステラ「ヒック… くろのす… ヒック…」
フンフン…
ステラ「くろのすー…」
べろり
ステラ「…?」
突然、生暖かく、湿った「何か」に頬をこすられ、ステラは顔を上げた。
リクオー「…」
その視界を、リクオーの大きな舌が塞ぐ。
べろり、べろりと、涙でくしゃくしゃのステラの顔を嘗め回すリクオー。
リョウガ「!」
シン「あ」
ステラ「うぇ…っぷ! ちょ、ちょっとま…待って! クロノス!?」
リクオー「オン!」
元気良く応える犬。
ステラ「クロノス!!」ギューーッ!
リクオー「…」
尻尾を振り回し、ステラに頭をこすり付けるリクオー。
ステラ「クロノス…あん… ちょ、だめ、だめだってば!」
再びペロペロとステラを舐めだし…
ステラ「きゃははは、やぁん! くすぐったいよ!」
シン「―――」ビキッ!
額に青筋を立てる我等が十男坊。
スウェン「落ち着け、相手は犬だ」
シン「え、ええ… お、落ち着いてますとも。 オチツイテ…」
611 名前:咆哮哀歌 13-3/4 :2010/05/22(土) 11:19:05 ID:???
青年「リクオー!」
リクオー「!」ピクッ!
リョウガ「!!」
ステラ「え?」
駆け寄ってくる白皙の、研究者然とした青年の声に、リクオーが、リョウガが振り返る。
青年「リクオー!」
リクオー「ゥオン!!」
夕日を背に、駆け寄った青年と大型犬がひしと抱き合う。
シュバルツ「あの青年…」
リョウガ「あ…ああ、リクオーの主人…だが…」
シロー「ははっ、なるほど…」
青年の向こう側。
おそらく、青年をここまで運んできたであろうデカボー・チョッパーから、
ガンダム家の末っ子が顔をだして、サムズアップ。
こちらでは、アルがやはり親指を立てて笑っている。
ハロ長官「強盗! 傷害! 殺人…は免れたようだけど、殺人未遂!
騒乱罪に公務執行妨害!
その他諸々あわせて逮捕する!」
ダリル「おら、立て!」
忍「くそお! この俺が…」
ハウエル「…あれ?」
シンプソン『ハウエルー!!』
シン「えっと、クロノス…じゃなくて、あのリクオーは、どうなるんですか?」
カレン「連続ザク襲撃犯はあっちの男だし、人的被害は出てないけど…
MSで暴れたのは確かだからね…下手すりゃ薬殺もあるかも…」
そこまで言って、声を潜めるカレン。
シン「?」
カレン「だけど、実は、ジョシュア巡査が確認も警告もせずに
あのコに攻撃を仕掛けたのが問題になるかもしれない。
たぶん、正当防衛が成り立つか…司法取引って形で、無罪放免になるはずだよ」
シン「はあ!?」
このため、ジョシュア・エドワーズ巡査には減俸12ヶ月と言う厳しい処分が下る。
グラハム・エーカー警視正も、部下の監督不行き届きが指摘され、
3ヶ月間のボランティア活動支援を言い渡されるのだが…
グラハム「市民の為、粉骨砕身するは警官の本懐である!」
と、堪えていないようである。
612 名前:咆哮哀歌 13-4/4 :2010/05/22(土) 11:20:51 ID:???
リクオーの飼い主の青年は、程なく論文が認められ、
元の軍事技術の研究施設から、フラナガン機関直轄の医療研究所―
サイコミュ制御による義肢開発部へと招聘。
“家族”共々ネオトピアへと移り住むこととなる。
そして…
ステラ『リクオー! ガイア!
とってこーーい!』
ブン!
リクオー『オン!オン!』ガッシャガッシャ…
ガイア「♪」ズシャンズシャン…
シン『ステラー!!(怒』←inデスティニー
ステラ『うぇい?』
シン『モビルスーツで“とって来い”やるんじゃありません!』
ステラ『うぇい…』←inデストロイ
おわり <(_ _)>
ギンガナム『忍者は、忍者はどこであるかーーーー!』
最終更新:2014年08月08日 21:39