257 名前:なんでもない、ある日の出来事1 :2012/01/18(水) 01:16:47.55 ID:???
ヒイロの自爆以外のネタを書いてみたくなったら長くなった上に、ほんとにヒイロの話か不明になった。(汗)
少々場所をとらせてもらいます。
また、これも過去スレにあったネタをふんだんに交えさせてもらっています。
過激ともいえた自爆人気は、民間人警察官
その他大勢を巻き込み進行した。
だが、ニワカ自爆者達は自爆に掛る経費によって財布や家計に掛る負担により、
文字通り自爆した形で手を引く事となった。
人気高沸の嬉しさのあまり暴走した首謀者は会長に説教された上、
月光蝶の繭にくるまれて頭を冷やしていた。
また、ミイラ取りになった警察官には一週間武士道禁止+サテリコン勤務封印令が出され、
無理を押し通そうとした結果、罰がさらに一週間増える結果となった。
なお、首謀者の相方はラブラブな両親がわざわざ自爆の舞台を用意したようにノリがいいため、
今回の騒動に関しては不問であったと追記しておく。
ある日の朝、某家庭にて。
「米粉のパンでなぁ!ご飯の代理になんぞなるわきゃねぇだろぉぉぉ!!!」
「なんとぉー!?」
そんな騒がしい居間を後にし、
ヒイロ・ユイ・ガンダムは朝食を手早く終えて自室へと戻った。
(ふむ、ご飯やパンの味がするカロリ○メイトか。
シーブック兄さんに米粉の事を詰問する必要があるな。)
妙にずれた事を考えながら、ふと自分の机の上を見る。
すると、手製の無線機が信号を受信したという証の光を発していた。
今日はリリーナの護衛もプリペンダーの任務もないはずである。
緊急の任務が入る可能性はあったが、わざわざこちらの通信機には連絡を入れる事は無い。
緊急ならば、連絡が取りやすい自宅電話の方が効率がいいからだ。
……政府の極秘組織なのに一家庭の電話に連絡をしていいのかと言う疑問は聞いてはならない。
世の中には、公然の秘密という便利、もとい都合のいい言葉があるのだ。
ヒイロは疑問に思いながら無線機の方に手を伸ばし、送信者の確認を行った。
「……む、任務了解。」
その後、ヒイロは内容を確認するとすぐに部屋を出て……出かけたところで部屋に引き返し、
ある物を手に取った後に地下の格納庫へと走った。
地下の格納庫に付いたヒイロは、ふと足を止める。
(XXXGー01Wを使えば現場には早く到着できる。
だが、今回のミッションは目立つ行為は避けたい。
下手にお節介な奴ら〔注:デュオ等〕に見つかって騒ぎが大きくなっても面倒だ。)
そう思い、長年の搭乗機の傍に置いてある紫色のリーオーに搭乗する。
ウイングの修理用にと偽っておいてあるその機体は、
ガンダム家のメンバーの手によって
いつでも動かせるように整備されていた。
なぜわざわざ偽ってるのかは……ガンダム家のMS整備費を見ればすぐ理解できるであろう。
シャアもびっくりの赤さであるため、下手に搭乗機を増やすことができないのだった。
もっとも、MSへの理解度はさすがガンダム家であるため、破棄しろとは言われはしない。
だからこそ、皆で協力して機体を整備していたのだった。
話題閉休して、次へ進む。
258 名前:なんでもない、ある日の出来事2 :2012/01/18(水) 01:20:31.78 ID:???
ヒイロが向かった先は近所の公園であった。
それなら徒歩で行けと言ってはいけない。
何しろここはMSの機動力を通勤に使わなくてはいけない世界だ。
感覚的に近所と言えど、その距離は徒歩で到達するにはあまり近いとは言えない距離である。
ヒイロはその付近へとリーオーを隠し、手に持っていた装備……段ボールを装備し、
手にはデジタルカメラを構えて公園の茂みへと移動した。
今回の作戦の依頼主は戦友である
アナベル・ガトーからだ。
彼が体調不良によって風邪をひいてしまい、遂行できないミッションを継続するのが、任務の内容であった。
このミッションのスニーク成功率の低さは共にミッションを経験した事のあるヒイロはよく知っている。
逆に、だからこそガトーは他者に任せる時、ヒイロに依頼したであった。
「ヒイロ・ユイ・ガンダム。
目標を視認。これより目標の行動を記録、及びに襲いかかる障害を排除する。」
茂みと段ボールの中からヒイロは目標である人物、ミネバ・ザビをカメラに収めながら呟いた。
なお、行動だけ見ると変質者だとは言ってはいけない。
対象の年齢が10歳だとか、公園で遊んでいる幼女であるとかに関係なく、
彼が行っている任務は親馬鹿全快の組長……もとい園長が彼の部下に与えたものであったのだ。
Λ
「幼女の監視?ならば同士t<@>--―(ガンダムハンマー!)」
Ⅴ
途中の経過は省略するが、ヒイロは今回もこのミッションを隠れて完遂する事はできなかった。
「ちょうどよかった、ヒイロ。
少し手伝ってほしいのじゃ。」
「ファーストフェイズ失敗……次の任務を遂行する。」
観察兼保護対象であるミネバがヒイロのいる茂みに近づき、
おもむろに段ボールを持ち上げながらヒイロに話しかけた。
何事もなかったかのように立ち上がってミネバに着いていくヒイロであったが、
見つかった時の声はどこか悔しそうであった。
「サッカーの援軍?」
「頼むのだ!男子らが相手なのだが、あいつ等も強い者を連れてくるといっている。
ならば私も援軍を呼ぶぐらいしてもいいと思うのだ」
ミネバの申し出はそう言う事だった。
女子相手に大人げない男子だと思う事無かれ。
ミネバは
ザビ家の者で、ドズルをはじめとした皆に愛されて育てられている。
だが、その事に甘える事を良しとせず、自らも鍛錬を欠かさずに行っているのだった。
その為、一時期ミネバを狙った誘拐犯が返り討ちにあうという事態が多数発生し、
サーシェス警部の尋問すべき対象が増えすぎて過労気味になるという伝説があった。
「こちらのメンバーは他に男子が数名……そしてマリーメイア、お前か」
「ええ、ミネバと共に下校中でしたので」
「お前はサッカーの経験は?」
「お父様の趣味で少々、やった事はあります」
「なるほど、実戦経験はほぼ皆無か」
「なっ!?だ、誰もそこまでは言ってないわよ!」
「トレーズの教えだ、当てにしてるぞ」
「ふっ、ふん!わたしのボール捌きを見て、
あなたの無力さを思い知りなさい!」
「期待している」
259 名前:なんでもない、ある日の出来事3 :2012/01/18(水) 01:24:13.16 ID:???
相手の援軍として呼ばれたのは
アルとシュウトだった。
初めこそヒイロの存在に驚いていた相手だったが、アルとシュウトの兄だと分かって緊張を解いた。
何しろミネバやマリーメイアのいるチームの援軍である。
ジオン軍人やOZのスペシャリストが援軍として来てもなにも不思議な事はないからだ。
もっとも、風邪さえなかったこの場にいたのがヒイロではなく、
ジオン高校ラグビー部OBのガトーだったかと思うと、ヒイロも苦笑せざるを得なかった。
「へへっ、こっちだ!」
「なっ、他の者の陰から!?」
ヒイロの予想通り、マリーメイアはアルとシュウトに完全に翻弄されていた。
運動神経抜群のシュウトと、シュウト程ではないが運動神経が良く、そして周りへの気配りに長けたアルが相手では、
主に一人でこっそりと特訓する性格のマリーメイアでは分が悪い。
その為、早くも1点を入れられてしまった。
「様子見、ですか?」
ヒイロがマリーメイアの様子を見ているのを察し、ミネバが訊ねた。
「そう言うところだ。
あいつも、下手に俺の手を借りたくはないだろう」
そう言いながら、ヒイロはゴールキーパーからボールを受け取り、味方の男子に何か指示を出していた。
そして、試合が再度始まる前に、相手チームに向かって宣言する。
「確認する、ゴールキーパーは完璧だな?」
そう言って味方からボールを受け取ったヒイロは、アルとシュウトが妨害しに来る前に、
遠距離からダイレクトにボールをゴールに叩きこんだ。
「一点は一点だ。これで振りだしだな」
そう言うヒイロに味方から歓声の声が上がる。
ただ、そんな彼らにヒイロは次はお前達が攻める番だと話しかけていた。
そんな楽しそうなヒイロを横目に見つつ、いつもは無口で愛想が無いように見える知り合いに、
マリーメイアとミネバは二人揃って苦笑していた。
事態の進展が起こるのはいつだって唐突だった。
突然、公園内にあるグランドに降り立つ一人の者。
それは突然の事に膠着した周りの者を見渡しつつ、声高らかに宣言した。
「刹那・F・セイエイ・ガンダム!
サッカーにおける年長者の介入行為に武力介入する!」
……いつも通りの刹那であった。
「刹那兄さん、これはミネバによるミッションだ」
「……そうなのか?」
「うむ、そうなのだ」
沈黙と共に微妙に吹きすさぶ風が、今の場の状況を物語っていた。
確かにミネバチームが2点リードしているとはいえ、別に完全に試合の流れが向いているわけではなかった。
元々ヒイロもサッカーが得意なわけではなく、いつも学校等で遊んでいるアルとシュウトに分があるぐらいである。
そんな沈黙を破ったのはアルとシュウトだった。
「なら刹那兄ちゃん、僕達のチームに入ってよ」
「え?」
困惑した声を刹那が発する。
そのアルの提案に、シュウトも加勢する。
「うんうん、ヒイロ兄ちゃんのバスターシュート(今命名)を止めてほしいんだ」
「……」
困ったようにヒイロを見る刹那。
「別に問題はない。
感情で行動する事に問題は無いと俺も学んでいる。」
「なら、
刹那・F・セイエイ・ガンダム、ゴールを狙うボールに介入する!」
そう宣言する刹那の表情も、どこか嬉しそうであった。
260 名前:なんでもない、ある日の出来事4 :2012/01/18(水) 01:33:04.21 ID:???
戦闘が膠着状態に入ってすでに数十分が過ぎた。
いつからかミネバを負かすという相手側の目的は消失し、現在ガンダム家の4人チームvs学校チームとなっていた。
そんな様子を、公園の備え付けのベンチから忘れ去られた二人は見ていた。
「楽しそうなのだな」
「そう、だね……」
ぼんやりとその光景を見ているミネバに対し、先ほどまで走り回っていたマリーメイアは息を切らせながら答えた。
見栄っ張りで、それでいて負けず嫌いなマリーメイアは、父の事を悩みながらも相応しくあろうと努力していた。
もっとも、生粋の体育系家系に生まれたミネバに叶わない事が多く、いつも苦汁をなめていた。
「それにしても、ヒイロがあんな顔するなんて、わたくし知りませんでした。」
「そうだな、わたしもだ。」
マリーメイアはヒイロの事しか知らなかったが、ミネバは地味ながらもガンダム家の面々と面識がある。
その為、ヒイロと共に肩を並べて走り回っている刹那の楽しそうな表情も、ヒイロより表情の変化が多い刹那にしても珍しかった。
ガンダム家のメンバーは、皆少なからず複雑な過去を持っている事が多い。
その中でも、特にヒイロと刹那(とガロード)は特殊な体験を過去していたと聞いた事がある。
多くは聞かない。人にはそれぞれ誰かに知られたくない過去があるから。
ただ、今を一生懸命に生きる者を、ちゃんと見る。それが大切だと、ハマーンに教えられて育っていた。
だからこそ、ヒイロも、刹那も、ガンダム家の中でちゃんと生き抜いているんだと、ミネバは感じていた。
そんな時、ヒイロが戻ってきた。
「マリーメイア、交代だ」
「なんでわたくしなのよ?」
「お前は守備より攻めに向いている。俺は少し負傷したから、休ませてもらう」
「……分かりました。けど、休むならばわたくしの活躍をちゃんと見てなさいよ!」
そう言ってマリーメイアはサッカーの輪の中に加わっていった。
261 名前:なんでもない、ある日の出来事5 :2012/01/18(水) 01:34:37.38 ID:???
「……本音は?」
「負傷したのは本当だ。少々足の骨を折った」
「それは、少々なのか?」
「大丈夫だ、もう治した。それに、マリーメイアのボールの使い方は正しい。
ただ、相手にぶつかる気迫がまだ無い。それだと守りには向かないだろうと判断したまでだ。」
そう平然と言ってのけるヒイロの言動は、やはり歳相応には見えなかった。
「なぁ、ヒイロ、一つ訊ねてもいいか?」
「どうした?」
「ヒイロは、過去を後悔した事はないのか?」
「……過去、か。」
少しヒイロの表情が曇る。
「あ……すまぬ。余計な事を聞いてしまった……」
「いや、お前が謝る事はない。
あと、過ぎ去った出来事にとらわれるつもりはない。俺も、そして刹那兄さんもな。」
そう、もし、あの時の事が起きなければ、ヒイロ自身も、刹那も、そしてガロードも、自分を取り巻く環境が代わっていただろう。
ただ、もし過去が変わったとするならば、ヒイロ自身はリリーナと、プリペンダーの戦友達と出会わなかった。
刹那はCBのメンバー、そして何よりガンダムに対する考え方が変わっていた。
ガロードに至っては最愛のティファと出会えていない。
IFの可能性は無限にあり、もしかしたら違うかたちで出会ってたかもしれないが、
今の状況を生きるヒイロにとって、IFに賭ける感情は何も持っていない。
自分には、大切な家族と、大切な人、そして仲間がいる。
なら、ヒイロはそれ以上のものは望んでいなかった。
「やはり、年齢に似つかわしくない返答じゃな」
「お前もな」
「わ、私の場合は社交性が高いといってほしいな」
「くくっ」
「な、なに?」
「目的の為に背伸びをしているのは、お互い様と言う事だ」
「……確かに、そういうことなのだな」
ヒイロの言葉の意味を理解し、ミネバも顔を合わせて笑った。
こういう笑いの時は、二人とも年相応の顔で笑っていた。
「なんか、楽しそうな雰囲気ね……(ヒイロとあんなにもおしゃべりしてる……)」
「ヒイロも、
ガンダムだからな」
「(お父様のエレガント思考といい、なんでこの町の人の思考ってこんなにも難解なのかしら……)」
「お、あんなところでクルジスのガキが遊んでやがる。いっちょからかってやるか。」
「やめてくださいアリー警部!唯でさえ最近急がしいんですから、仕事増やさんでください!」
「わ、分かったよリョウ、シャーネーナー。
(……久しぶりに刹那とサッカーしたかったなぁ)」
262 名前:なんでもない、ある日の出来事6 :2012/01/18(水) 01:38:02.95 ID:???
それから数日後、ガンダム家の元にザビ家から土産物がヒイロ宛に届いた。
(人数が多いので、以下の台詞の前には名前を入れます。)
ロラン「ヒイロー、届け物ですよー」
ヒイロ「分かった……ガトーからか」
シン 「ん、ヒイロ宛の届ものなんてめずらしいじゃない」
ジュドー「そーだな、中身なに入ってるの」
ヒイロ「急かすな。これは……煎餅、か?」
ガロード「お、これってジオン高校名物の『ソロモン焼き』じゃない!
欲しくても中々入手できないレア物だぜ!」
ヒイロ「む、手紙も入っている。……なるほど、この前のミッションの報酬の様だ。」
ジュドー「ミッション?なにやったのさ?」
アル 「もしかしてこの前のサッカーの?」
ヒイロ「その時のだろう。」
シン 「お前サッカーなんてしてたのか?」
ヒイロ「状況に応じて動いたまでだ」
刹那 「ヒイロのサッカーもガンダムだ」
シュウト「兄さん達の動きすごかったよね~」
ガロード「なら、今度俺達ともサッカーしねーか?炎のセンターのガロード様が相手だ!」
シン 「あ、それならば知り合いとか誘おう。
せっかくだし、中々部屋から出てこないキラ兄も引っ張りだしてさ。」
キラ 「や、やめてよね。サッカーなんてしたら持病の喘息が……」
ウッソ「キラ兄さん、いつから病弱設定なんてつけるようになったのですか。」
ジュドー「おっし、そうときまれば、皆が空いてる時間を探さないとな。
ほらほら、ここに空いてる日時を皆書き込んで!」
アムロ「賑やかでいい事だな、我が家は」
ロラン「ええ、色々な出来事がありましたけど、なんとかなるものですね」
セレーネ「そうね。私達には幸運にも、時間も、そして人間関係にも恵まれてる。」
アムロ「帰れる場所がある、迎えてくれる家族がある。
こんなにうれしい事はない、か。」
ララァ『綺麗な家庭が嫌いな人がいて?』
アムロ「分かっているよ、ララァ。
この暖かさを持つ弟達の為なら、俺は何だって頑張れるさ」
セレーネ「あら、気負うのはかまわないけど、私やシロー達の事も忘れないでよね、兄さん」
ロラン「そうですよ、僕達は皆でガンダム家なのですから」
アムロ「分かってるさ、これからもよろしく頼むぞ」
そんな、ある日のガンダム家の出来事でした。
外伝ネタ
ミネバ「ところでヒイロ、最近自爆をよくしているらしいのだが、今回はしないのか」
ヒイロ「自爆は時と場所、そして必要の有無を考えて実行する必要がある。
だから、今の状況下でもじ自爆するなら、その事について一つだけ言わせてもらう」
ミネバ「ん、なんだ?」
ヒイロ「死ぬほど、(周囲からの視線が)痛いぞ」
どっとはらい。
最終更新:2015年05月24日 23:45