21 名前:1/4 :2014/12/08(月) 23:08:48.27 ID:RoxFL2eM0
冬。アクシズ家
ハマーン「寒い…あと何日で春になるんだ…」
プルツー「今は十二月の初めだから、あと三か月くらいだな」
コタツに入りながら呟いたハマーンに、これまた一緒に入って漫画を読んでいたプルツーが答える。
ハマーン「うう、寒い…」
プル「ハマーンって本当に寒がりだよね」
プルツーの隣で寝っころがっていたプルが言った。ハマーンは寒さに弱いのだ。
外では持ち前のプライドと意地で普段通りにしているが、家の中ではそれの必要もなくなる。
ハマーン「明日、明後日と休みで助かる…休みの間はコタツで熱を蓄えておかねば」
キャラ「ハマーン様! なに勝手にコタツ出してるんですか! 十二月の後半まで出さないって言ったでしょう!」
ハマーン「寒いのだから仕方がないだろう!」
キャラ「寒かったらちゃんと上着を着るんですよ! 電気代かかるし家の連中はダメになるしで良いことないんですから!
    このキャラ・スーン、家計を預かる者としてこのコタツは没収します!」
ハマーン「寒いから嫌だ!」
コタツ布団を掴んで拒否する。普段の凛々しさが嘘のような態度にキャラはわずかに顔をほころばせたが、すぐに顔を引き締めた
キャラ「むー…わかりました。それでは代わりに湯たんぽをお持ちしましょう」
目当ての"湯たんぽ"を手にするため、キャラは外へと出て行った



所変わってガンダム家。朝食時にまた騒ぎがあったのか、ガンダム家の玄関が崩壊していた。
いつもは厳重なセキュリティが施されているが、こうなっては意味がない。
キャラ「お邪魔するよ!」
ロラン「キャラさん。珍しいですね、何か御用ですか?」
キャラ「ジュドーはいるかい?」
ロランの後ろではバナージがキャラの化粧品の匂いに顔をしかめていたが、そんなことは気にせず用件を伝えた。
ロラン「いますよ。――ジュドー! キャラさんが来ましたよ」
二階に向かってロランが呼びかけるとジュドーはすぐに降りてきた。
ジュドー「キャラが来るなんて珍しいじゃない。どうかしたの?」
キャラ「ちょっとごめんよ」
言うが早いか、やってきたジュドーの鳩尾にキャラの拳がめり込んだ。
そして、昏倒したジュドーを片手に抱え上げる。
キャラ「急で悪いけど、一晩くらい借りてくよ」
ロラン「いいですけど、くれぐれも壊さないでくださいねー」
キャラ「あいよー」
あっさりと言うロランに片手を振りつつ、ジュドーを抱えてキャラはアクシズ家へと去っていった。

22 名前:2/4 :2014/12/08(月) 23:11:50.93 ID:RoxFL2eM0
アクシズ家
キャラが家に帰ってみると、ハマーンはコタツの中でぐっすり眠っていた。
キャラ「ハマーン様! コタツの中で寝ちゃだめですよ」
揺すると目を覚ましたが、目の焦点が合っていない。冬場は寝起きも悪くなるのだ。
ハマーン「む…キャラか…このまま寝かせてほしいのだが…」
キャラ「だめです。NT湯たんぽ持ってきたから寒いのはこれで我慢してください」
プルツー「湯たんぽって、それジュd」
ハマーン「むー…?」
キャラ「まだ寝ぼけてますか。ホラ、この湯たんぽ持って寝室行ってください」
ハマーン「ん…寒い…」
愚図るハマーンを無理やり起こして、未だ意識のないジュドーの体を抱えさせた。
キャラ「この湯たんぽ抱えりゃ暖かいですよ。それなりのサイズですから、人間に肩を貸すつもりで持って行ってくださいね」
ハマーン「ん…」
なんとか起き上がると、ハマーンは"湯たんぽ"を抱きかかえてふらふらと自室へと戻って行く。
それがジュドーとは気付いていないようだった。
プル「ジュドーだって気付かないまま行っちゃった…」
プルツー「本当に気付いてないのか? しっかり抱えてたぞ」
キャラ「寝ぼけてる人間なんてそんなもんだよ。さ、おチビどもはあたしと一緒にジンネマンのとこ行くよ」
プル「なんで?」
キャラ「いつも頑張ってるハマーン様に、ちょっと早いクリスマスプレゼントさ」
プル「よくわかんないけど、まあいいか」
プルツー「キャラも来るのか?」
キャラ「当たり前だろ。ニーとランスにばかり頼るのも悪いからね」
プルツー「だからってマリーダ達に頼るのはどうなんだ。それにマシュマー達はどうする?」
キャラ「問題ないよ。マシュマーの奴はイリアがついてるし、グレミーもラカンなり親父さんなり頼る奴はいるだろ
    鍵はあたしとハマーン様しか持ってないし、インターホンの電源切っておけばジャマもされない。完璧だね」
プルツー「いいのかなぁ…」

23 名前:3/4 :2014/12/08(月) 23:18:27.61 ID:RoxFL2eM0
数時間後、ハマーンの寝室でジュドーは意識を取り戻した。
ジュドー(ここは…?)
どうやらベッドの中にいるらしい。状況を確認しようと周囲を確認しようとすると――目の前にハマーンの寝顔があった。
ジュドー「げっ!?」
つい声を出してしまい、慌てて自分の口をふさいだ。
ハマーン「…ん…」
ハマーンは少し呻くような声を出したが、また元の通り寝息を立て始めた。
ジュドーは状況を整理する。たしか家にキャラがやってきて、いきなり鳩尾を殴られた。そしてそのまま気絶してしまったのだ。
そのあとどうやらハマーンの家に連れ込まれ、何故かこうして一緒に寝かされているようだ。
ジュドー(冗談じゃないよ!)
憤ったが、声は出さない。少なくとも、寝ている分にはハマーンは無害だ。こっそり抜け出してしまえばいい。
とりあえず時間を確認しようと、枕元に置いてある時計を見た。夜三時。ずいぶん長い間気絶していたようだ。
身じろぎしてみるが、ハマーンの腕がしっかりと自分を抱いていて抜け出せない。
ジュドーは大きなため息をついて、ハマーンを見る。いつもは威圧的で怖いが、寝顔は安らかなものだった。
(こう見ると、結構美人なのにな)
「仕方ないよな…」
ジュドーはまたため息をついて、ハマーンの腕の中で眠りについた。

24 名前:4/4 :2014/12/08(月) 23:42:07.60 ID:RoxFL2eM0
翌日・朝六時。目を覚ましたハマーンは驚愕していた。

ジュドー「Zzz…」
気付いたら隣でジュドーが寝ていたのだ。
ハマーン「………」
ハマーン(落ち着けハマーン・カーン。冷静になれ。昨夜は何があった?
    私もジュドーも服を着ている以上、おかしな真似はしていないということは残念ながら事実
    しかし、あれほど私を拒み続けたジュドーが一緒のベッドで寝ているとはどういう…)
驚きすぎて苦手なはずの寒さも吹き飛んでいた。考えるが、動揺していてまったくまとまらない。
ジュドー「起きてたのか」
ハマーン「ひゃっ!?」
ぐっすり眠っていたはずのジュドーの声が聞こえ、思わず変な声が出た。
ジュドー「はーあ、結局朝まで寝ちゃったか。キャラの奴に文句言わなきゃな」
ハマーン「…じゅ、ジュドー? これは一体どういうことだ」
ジュドー「知らないって。昨日キャラに無理やり連れてこられたと思ったらこうなってたんだよ」
ハマーン「キャラが? 今、家にはいないようだが」
キャラは強化人間。普通人やニュータイプとは少し違う感覚を持っているので、近くにいればすぐにわかる。
ジュドー「どういうことなんだか…」
ため息をついたジュドーの腹が鳴って、ハマーンは微笑した。
ハマーン「考えても仕方がない。キャラには後で事情を聴くことにしよう。朝食にするぞ」
ジュドー「朝飯って、食べてっていいの?」
ハマーン「構わん。どうやら身内が迷惑をかけたようだからな」
口ではそう言ったが内心ではキャラのことを褒めに褒め、必死ににやけ顔を隠していた。

十分後。アクシズ家のリビング。
ジュドー「意外。料理なんてできたんだ」
テーブルに並べられた美味しそうな朝食を見て、ジュドーが感想を述べた。
ハマーン「そんなに意外か?」
ジュドー「いつもキャラとかに作らせてそうだと思ったからさ」
ハマーン「普段はそうだな。家事の一切は奴に任せている。当番制にしようとしたこともあったが、自分がやるとの一点張りだ」
ジュドー「いつもはプルたちもいるんでしょ? 大変だな」
ハマーン「私もそう思う。しかし本人が頑として譲らんから、こちら側としては負担を軽くしてやることくらいしか出来ん」
ジュドー「先生も?」
ハマーン「当然だ」
ジュドー「ふーん…あ、この卵焼き美味い」
ハマーン「そうか。まだあるから、たくさん食べるといい」
ジュドー「………ところでさ」
ハマーン「何か?」
ジュドー「なんでそんなに厚着なのさ」
重ね着のしすぎでダルマのようになったハマーンの服を指差して聞くと、ハマーンは迷わずこう答えた
ハマーン「寒いからだ」


  •  ・ ・

アムロ「…それで、どうなったんだ?」
ジュドー「どうなったって…そのまま飯食って、今帰ってきた」
アムロ「そんなおいしい状況で何もしないまま帰しただと…? ハマーン・カーン…情けない奴ッ!」
シロー(兄さんは今のうちに逮捕しておいたほうがいいんだろうか…)
コウ「無理やり連れて行かれた割には元気だな、ジュドー…」
ジュドー「寝て食べてきただけだしね」
コウ「羨ましい…」
羨むコウをしり目に、ジュドーは思った。
ジュドー「…もうちょっと優しく接してもいいかもな」
その後、ジュドーのハマーンに対する態度が少しだけ柔らかくなったとかならなかったとか。

25 名前:おまけ :2014/12/09(火) 00:19:22.64 ID:wtm/GGYU0
アクシズ家でハマーンがパニックを起こしていた一方で、ジンネマン宅に泊まっていたキャラ達はというと

√ピキーン!
キャラ「はっ!」
布団を片付けている最中に頭に稲妻のようなものが走って、キャラは動きを止めた。
プル「ンー…どうしたの、キャラ」
プルが聞いた。早起きのキャラに無理やり起こされたため、眠そうに眼をこすっていた。
キャラ「今、ハマーン様があたしのことを褒めてくれた。…よーな気がする」
プルツー「気のせいじゃないのか」
キャラ「いや、気のせいじゃないね! マシュマーから嫉妬の電波がガンガン飛んできてる! …気がするし」
プル「頼りないなー」
キャラ「うるさい。ほら、あんたらも布団片づけるの手伝いな」
プル「はーい」
マリーダ「姉さんたち、そろそろ朝食の用意が…」
キャラ「や、おはよう。昨日は助かったよトゥエ…マリー」
マリーダ「マリー…?」
キャラ「マリーダ略してマリー。オッケー?」
マリーダ「いえ…マリーは少々まずいです」
キャラ「なんで」
ドドドドドドドドドドドト゛ト゛バタンッ!
アレルヤ「マリーと聞いて飛んできました!」
マリーダ「面倒な人が来るから」
キャラ「はーん。せっかくだから働かせようか」
マリーダ「え?」
アレルヤ「それであの、マリーは…」
キャラ「いないよそんなの。さー、せっかく来たんだから力仕事やってけー!」
アレルヤ「う、うわああああ!」

ソーマ「それで?」
マリーダ「その日の家事を全部やらせて帰らせた」
ソーマ「人様の家に勝手に入り込んだのだから、それくらいは当然か」
マリーダ「ただ、キャラが彼をたいそう気に入ったらしくてな…」
ソーマ「なに?」
マリーダ「私と会う日には必ず奴を召喚して家事をやらせるんだ」
ソーマ「………」


その後、キャラの指導のおかげで家事スキルを身に着けたアレルヤであったが
アレルヤ「やっと一通りの家事をこなせるようになったよマリィィィィィ!」
ソーマ「私は! ソーマ・ピーリスだと! 言っているだろうがぁぁぁぁ!」
アレルヤ「うごふっ!」
根本的な問題は何も解決していないので、愛しのマリー(ソーマ)との関係に変化はなかったそうである

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最終更新:2016年05月03日 21:35