172オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/07/01(月) 23:52:15.99ID:ilwgG/eO0
日登町中心部

呂布「魂ィィィィィ!」

 呂布の一撃が、襲ってきたプルーマ数機をバラバラに破壊する。
 キャスバルは赤兎馬からそれを驚いた表情で見ていた。

キャスバル「す、すごいんですね呂布さんは。生身?でそんなことができるなんて」
呂布「フン、これくらい容易いことだ。それに貴様もすぐにできるようになる。俺の息子だからな」
キャスバル「(僕、一言も息子になるって了承してないんだけどな)」
呂布「それより、貂蝉はどこへ行った?」
キャスバル「母さ、マリナさんなら逃げ遅れた人を助けに行くって……あ」

 その時、キャスバルはこちらにやってくる一機のガンダムを見た。
 ブラスターマリナに先導されるその青いガンダムは、いかにもふらふらと覚束ない様子で飛んでいる。
 おまけに、機体も損傷が酷く、バチバチと各所から火花が上がっている。

呂布「ム、あれは小僧の00……?」
キャスバル「知り合いですか呂布さん」
呂布「おう。貂蝉にちょっかいをかける不埒な小童だ。しかし、ヤツがあれほど手酷い傷を受けるとは。一体どんな強者と戦ったのだ?」
マリナ「刹那、大丈夫? もうすぐみんなが避難してる学校に着くわ」
刹那「あ、ああ。すまないマリナ……」
呂布「おい! どうした小僧! なにがあった!」
刹那「呂布トールギス……俺は、兄さんたちに伝えなくてはいけないことが……」
マリナ「あ、いけない!」

 急にダブルオーライザーがぐらりとバランスを崩した。
 リボンズ、実写シャアの連戦が祟ったのか、ついにコクピットで刹那が失神したのだ。
 マリナは慌てて魔法で助けようとした。だが間に合わない。
 推進力を失い、頭から落下するダブルオーライザー。
 このまま地上に墜落する……そう思いキャスバルが目を瞑ったその時だ。

マリーダ「止まれ!!」
マリナ「ブラスターマリーダ! 来てくれたのね」
バナージ「魔法で機体が空中に固定された。今だ、頼むぞシン!」
シン「あいよ!」

 落下するダブルオーライザーを、飛び込んできたもう一機のガンダムが空中でキャッチする。
 それはシンのデスティニーガンダムだった。

173オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/07/02(火) 02:05:25.54ID:icErLBEE0
日登町中心部:学校

 ここはガンダム兄弟たちが普段通う学校。
 小・中・高と一貫式であること、MSの実習訓練場が併設されていること
 などの理由から敷地は無駄に広い。
 しかし今ここには、その広い学校が狭く感じるほど、多くの人々が集まっていた。
 みな、デビルガンダムなどの襲撃から避難してきた日登町の住人たちだ。

ハマーン「物資は充分にある! みな慌てず落ち着いて行動せよ!」
マリュー「炊き出しは校庭で行っています! 怪我をした方は校庭のテントにテクス先生がいらっしゃいますのでそちらへ!」

 ハマーンら教員の奮闘のおかげで、今のところ住人たちは比較的落ち着いている。
 しかしこのまま騒動が収まらなければ、パニックが起こるのは時間の問題だった。

ハマーン「そのためにも、まずはシャアとアムロ・レイのくだらん争いを終わらせなくてはならんのだがな」
マリュー「そういえばカミーユたちは? さっきまでそこにいたけれど」」
ハマーン「奴らなら、今アルレット・アルマージュたちと家族会議中だ」
マリュー「ああ……」

 マリューは合点がいったように校舎の裏を見上げた。
 そこには、小山のように巨大なMA――ビグ・ラングとアハヴァ・アジール――が
 二体ならんで立っていた。


 学校内:教室

 ガランとした無人の教室で、カミーユとジュドーは兄弟と再会していた。
 しかし無事を喜ぶ間もなく、カミーユたちに伝えられたのは、
 ゾルタン・アッカネンによって家が襲撃され燃え落ちたという衝撃的なニュースだった。

ジュドー「マジかよ……とっておきのジャンクを床下に隠してたのに」
マイ「すまない。ガンダムを持ってくるのが精一杯だった」
カミーユ「一体何者なんだその家を襲ったヤツは!」
アルレット「わかんないわ。強化人間っぽかったけど」
マイ「乗っていた機体は、多分シナンジュの系列機だ。最初にアンジェロが襲ってきたことといい、彼もフル・フロンタルの仲間だとは思うけど」
アルレット「フル・フロンタルねえ。あの変人のお仲間なら奇天烈なのも納得だわ」

 まさかそのフル・フロンタルが事件の黒幕だとは思ってもいないアルレットは、
 呑気な様子でうんうんと頷いた。
 一方、同じく家から脱出してきたアルとシュウトの顔色は暗い。

アル「大丈夫かな、セレーネお姉ちゃん。あんなヤツ一人で相手して……」
キャプテン「心配するな。セレーネならきっと大丈夫だ」
劉備「そうそう。それにフリットとウッソだって、あの後すぐに戻って合流したはずさ」
シュウト「うん。そうだね……」

 散々荒事を乗り越えて来た上の兄弟たちと違い、
 家が焼かれたことは、年少組にとって大きなショックだったに違いない。
 そんな二人を、劉備ガンダムとキャプテンガンダムは心配そうに見守っている。
 そこへフェネクスがやってきて、裏庭に着陸した。

リタ「みんな! バナージが戻ってきたよ! シンと刹那も一緒だって」

174オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/07/02(火) 02:14:46.73ID:icErLBEE0
 フェネクス――リタはそう言って嬉しそうに校舎の外から教室を覗き込んだ。
 その手にはバナージとシン、それからマリナに付き添われた刹那の姿もある。

シン「アル! シュウト! マイ兄さんたちも!」
バナージ「家が焼かれたって本当なんですか!」
アルレット「冗談はよしこちゃん……といいたいトコだけど、残念ながら大マジよ」
バナージ「そんな……」
アルレット「あれ、刹那はどうしたの?」
マリナ「今は気を失ってます。なんだか酷く疲れているみたいで」

 そう言ってマリナは膝枕で眠る刹那の額を優しく撫ぜた。

劉備「フリットが見たら怒り狂いそうな光景だな」
ジュドー「シャアさんもね」

 数分後、ガンダム兄弟は机を円状に並べ、家族会議を開いていた。
 議題は無論、これからどうするか? ということだ。

シン「町の外じゃデビルガンダムとかが暴れてるんだろ? 今すぐ倒しに行かないと!」
バナージ「でも、アムロ兄さんとシャアさんのケンカも放っておけないよ」
アル「僕、連絡が取れないシロー兄ちゃんとかドモン兄ちゃんも気になるな……」
ジュドー「マイ兄はどう思う?」
マイ「うん……そうだね」

 喧々諤々の議論の中、
 マイは弟たちの視線から逃れるように、じっと目を瞑って考え込んだ。
 今はアムロは勿論、他の年長組の兄弟たちは誰もいない。
 (年齢不詳のアルレットを除けば)自分が最年長者なのだ。
 ならば、ここはマイが弟たちをまとめて、方針を決めなくてはならない。

マイ「(僕がみんなを導かなくては……でも)

 彼は内心、ひどく迷っていた。
 なぜならこんな状況、マイにとって生まれて初めてなのだ。

モニク「マイ……おまえって、意外と優柔不断なんだな」

 不意に、モニクにいつか言われた言葉が脳裏に蘇る。
 自他ともに認める通り、マイは分析や観測が得意だ。
 だからその分、決断を伴うことには慎重というか臆病で、
 多くの場合、決断自体を他の兄弟に委ねてきた。
 マイ自身も、それでいいと思っていた。
 しかし、今だけは自分で決めるほか道はない。

マイ「(こんな時、他の兄弟だったらどうするかな)

 アムロなら的確に物事を判断し、最善の方法を見つけるはずだ。
 シローは警官として全員の安全を優先するだろうし、
 イオも悩むことなく勢いで「こうしろ!」と弟たちに号令をかけるだろう。
 普段は自信がなく卑屈で落ち込みやすいヨナだって、いざという時には決断できることを知っている。
 だが、マイは……

マイ「(ダメだ……情報が足りなすぎる。僕にはとても決められない)」

 マイは心の中でついに白旗を上げた。
 それを察したのか、アルレットが助け舟を出す。

175オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/07/02(火) 02:19:48.25ID:icErLBEE0
アルレット「とりあえずシローと合流するっていうのはどう? イオやヨナと違って、居場所もわかってるんだし」
キャプテン「確かに。シローなら警察署にいるはずだな」
シン「そういえばグラハム警視正が、警察署はデビルガンダムとMAの戦いの場になるから危険だって」
アルレット「決まりね。ならまずは全員でシローを助けにいきましょ。マイもそれでいい?」
マイ「あ、いや、僕は……」

 その時、失神していた刹那が目を覚ました。

刹那「ここは……?」
マリナ「刹那! よかった、目を覚ましたのね」
シュウト「ここは学校だよ、刹那兄ちゃん」
アル「みんな、ここに避難してきたんだ」
刹那「兄さんたちもいるのか……」
アルレット「刹那、私たちこれからシローを助けに警察署に行ってくるわ」
刹那「待ってくれアルレット姉さん。俺はみんなに、伝えなくてはいけないことが……くっ!」
シン「ああ、もう無理すんなよ。疲れてるんだろ?」
バナージ「話なら、シロー兄さんを連れて戻ってきた後で聞くからさ」
カミーユ「マリナさん。刹那のことお願いします」

 そういってガンダム兄弟は刹那を残し、教室を去っていった。
 だが一人、マイだけが刹那の隣に座り込み、彼の口元に耳を寄せる。

マイ「刹那。僕は今、情報が欲しいんだ。教えてくれ、君は何を知ってるんだ?」

 刹那はリボンズや実写シャアとの戦いを通じて知ったことをマイに語った。
 するとマイの頭の中で、断片的だった情報が少しずつ形を成していく。
 刹那が語り終えると、マイはすっくと立ちあがった。

マイ「ありがとう、刹那。僕が決めるべきこと、ようやくわかったみたいだ」

 そういってマイは兄弟たちを追って廊下へ飛び出していった。
 それからすぐに、ガンダム兄弟を連れて教室に戻ってくる。

カミーユ「なんだよマイ兄さん。突然呼び戻して」
バナージ「なにかわかったって言ったけど」
マイ「ああ」

 マイは憑き物が落ちたような顔で答えた。

マイ「僕はずっと気になっていたんだ。アムロ兄さんとシャアさんのケンカに都合よく現れたデビルガンダムたちのこと、
   兄さんのパイロットスーツに仕込まれていた『ヅダエール』のこと、通信障害のこと、そして、家が襲撃されたこと。
   それが、今、刹那の話を聞いて、ようやく一本の線に繋がった。……この騒動には、黒幕がいる」
アルレット「黒幕って?」
刹那「フル・フロンタルだ」
バナージ「フル・フロンタル! 本当なのか刹那!?」
刹那「ああ。リボンズが白状した。ヤツは、フロンタル自身から計画の一部を聞いたらしい」
ジュドー「マジかよ……」
マイ「ここまでの騒動は多分、フロンタルの筋書き通りだ。いや、もしかしたらこれから警察署に行くことだって読まれているかもしれない」
カミーユ「どこまで行っても、フロンタルの掌の中ってことかよ」
アルレット「じゃあ、どうするつもり? 対策はもう考えてるんでしょ、マイのことだから」
マイ「勿論。対抗するためには、僕たちも全ての情報を共有する必要がある」

 マイは珍しく、ニヤリと笑みを浮かべた。

マイ「トランザムバーストだ。高濃度のGN粒子で、この町に住む人々全員の意識を繋ぐんだ」


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最終更新:2023年02月21日 12:14