781オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:16:16.95ID:Hti6Czub0
日登町:学校

 日登町の住民ほとんどが避難している学校は、
 現在、赤い彗星のひと率いる魔法少女が張った結界で守護されている。

 AM 04:00
 その魔法少女の一角たるブラスターマリナことマリナ・イスマイールのもとへ、一人の少年が訪れた。

マリナ「あら……刹那。どうしたの?」
刹那「差し入れをもってきた、マリナ・イスマイール」
マリナ「ふふ、ありがとう」
刹那「体調はどうだ?」
マリナ「少し疲れたけど、まだまだ平気よ」
刹那「シーリンやルナマリアたちも心配していた。あまり無理は……」
マリナ「わかっているわ。だけどデビルガンダムとの戦いがはじまるまでは、なんとか結界をもたせないと」
刹那「マリナ……」

 そこへ、呂布トールギスやキャスバルも戻ってくる。

呂布「おう、来ていたのか小僧」
刹那「呂布か。どこへ行っていたんだ?」
呂布「外の化け物が入りこんでいないか見回りだ。貂蝉には指一本とて触れさせるわけにはいかんからな」
キャスバル「すごかったですよ。地下から侵入してきたデビルガンダムヘッドをみんな一撃で撃破したんですから」
マリナ「ちょうどよかったわ。今、刹那が差し入れを持ってきてくれたの。みんなでいただきましょ」
呂布「ならば準備は俺たちがやろう。お前は結界に集中していろ、貂蝉」
マリナ「お願いするわね、呂布」

 茶を淹れにその場を去る呂布。
 残されたキャスバルは少しもじもじしていたが、
 やがて意を決したように刹那に話しかけた。

キャスバル「あの……それで進展はどうなっているんですか?」
刹那「進展とは?」
キャスバル「その、僕たちが元に戻る実験のことです。元の『シャア・アズナブル』に戻る」
刹那「それはアルレット姉さんとリタ義姉さんが進めている。もうすぐ形になると言っていた」
キャスバル「そう、ですか……」
マリナ「どうしたのキャスバルくん? 暗い顔をしてるけど」
キャスバル「……不安なんです、僕は」
マリナ「不安って、どうして?」
キャスバル「せっかくこうして母さ……マリナさんや呂布さんと仲良くなれたのに、元のシャアに戻ったら、この記憶も全部なくなってしまう気がして……」
マリナ「キャスバルくん……」

782オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:20:02.54ID:Hti6Czub0
呂布「ならば元に戻らず、このまま俺と貂蝉の息子として暮らすか?」
キャスバル「呂布さん!」
呂布「フン、浮かない顔をしていると思ったが、そんなことで悩んでいたのか」

 呂布は持っていた茶器を机に置くと、キャスバルの肩に手をかける。

呂布「どうだ? 貴様さえその気なら、本当に我が子になってもよいのだぞ」
キャスバル「え、でも、それは……」
呂布「ふっ、冗談だ、そう本気で困った顔をするな。お前の目を見れば、やるべきことを理解しているのはわかっている」
キャスバル「呂布さん……」
マリナ「ねえ、このあと、みんなで写真を撮らない? 写真があったら、あとできっと今日のことも思い出せるでしょう?」
キャスバル「マリナさん……」
刹那「人間の命は儚い。だからこそ人は記憶を紡いでいく。その記憶こそ、お前がここに存在した証だ。キャスバル・レム・ダイクン」
キャスバル「ええとごめんなさい、どういう意味ですか?」
マリナ「私たちがあなたのことを覚えている限り、記憶が消えてもいつかは絶対に思い出せる。そういうことよ」

 マリナは膝を落とし、キャスバルと同じ目線になるとにっこりと微笑む。

キャスバル「思い出してくれるのかな、元に戻った僕も、皆さんとの思い出を」
呂布「思い出すに決まっている。俺にとっては邪魔くさいが、シャア・アズナブルも貂蝉の店の常連だからな」
マリナ「さあ、ならお茶にしましょう! 写真も撮らなきゃいけないしね」
呂布「うむ、そうしよう。小僧、キャスバル、お前たちも手伝え」
キャスバル「はい!」

 そこへ、刹那と同じように紙袋をぶら下げた少年がやってくる。

フリット「マリナさ~ん! 差し入れ持ってきましたよ。お茶に……って刹那兄さんに呂布! なに抜け駆けしてんですか!!」
マリナ「あらあら、フリットくんまで。にぎやかになってきたわね」

783オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:37:27.50ID:Hti6Czub0
 AM 04:15

バナージ「向こうは賑やかだな……この声、刹那とフリットかな?」
マリーダ「あの辺りはマリナ・イスマイールの受け持ちだ。おそらくはそうだろう」

 学校の屋上。バナージとマリーダは並んでカップケーキをかじっていた。

マリーダ「うむ、うまいぞ。お前の持ってきてくれた差し入れは」
バナージ「アイスと悩んだんですけどね。夏といっても夜は寒いし、こっちの方がいいかなって」
マリーダ「その選択は正解だったな。おかげでもう少し頑張れそうだ」
バナージ「大丈夫なんですか、体調の方は」
マリーダ「絶好調は言えないがな。後2時間は結界を守ってみせる。たとえ魔法の力を使い果たしてもな」
バナージ「マリーダさん……」

 二人の間に、しばし沈黙が流れた。

マリーダ「……しかし、こうしてお前と二人きりというのも久しぶりだな。砂漠で遭難して以来か?」
バナージ「あの時だってジンネマンさんがいたでしょう?」
マリーダ「そういえばそうだな」

 そしてまた沈黙。
 バナージがなんとなく首を見回すと、すっかり変わり果てた街並みが目に入った。
 学校以外を侵食され、デビル日登町と化した街の姿。
 これを、あのフル・フロンタルがやったというのか。

バナージ「……フル・フロンタルは、一体何をやろうとしてるんですかね」
マリーダ「人類を進化させて戦争を無くす、か。正直突拍子もなさ過ぎて、見当もつかん」
バナージ「それは俺もですよ」
マリーダ「ここまで大掛かりなことをやっている以上、確かな確信があるんだろうがな」
バナージ「そうですね」
マリーダ「わからないといえば姫様の乗っているあのMSだ」
バナージ「サイコジムのことですか」
マリーダ「ああ。お前はあのMSが戦っている所を見たのだろう? どう思った?」
バナージ「MSとかけ離れた、圧倒的な戦闘力でした。でも、それ以上に……」
マリーダ「それ以上に?」
バナージ「あの機体の奥から、なにか得体のしれない意思のようなものを感じたんです」
マリーダ「意思か……」
バナージ「まるで、俺たちを試すような……うまく説明できないんですけど」
マリーダ「構わんよ」

 マリーダは穏やかに微笑んだ。

マリーダ「これは私の勝手な推測なんだが、あのサイコジムだけは、フロンタルの仕組んだものではない気がするんだ」
バナージ「フロンタルが仕組んだものじゃない……サイコジムが、勝手に現れたって言うんですか?」
マリーダ「そうだ。あのサイコジムは、なんらかの意思をもって姫様の前に現れた。フロンタルの企みと無関係にな」

 それからマリーダは立ち上がり、屋上の手すりに手をかける。

マリーダ「これから先、もし人々に本当に危険が及んだ時、姫様は迷いなくサイコジムに乗るだろう。だがそれは……」
バナージ「必ずしもいい結果を招くとは限らない。そういうことですよね」
マリーダ「そうだ。私はもう姫様にサイコジムに乗ってほしくない。そのためにも……」
バナージ「俺たちが、必ずデビルガンダムもフロンタルの企みも打ち砕く。約束しますよマリーダさん」
マリーダ「信じているぞ、バナージ」

784オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:41:14.04ID:Hti6Czub0
 AM 04:20 
 学校の格納庫では、ガンダム兄弟たちの乗るMSの修理が急ピッチで進んでいた。
 とはいえ物資も弾薬も限られた現状では、とても完璧には程遠い。

キッド「おーいジュドー、スパナ!」
ジュドー「はいはい」
ザコソルジャー「パーラ、もうちょい右ザコ」
パーラ「あいよ。よし、ドッキング成功と」
ジュドー「いや~悪いなMSの修理手伝ってもらっちゃって」
パーラ「いいってことよ。こっちもさっさとこの状況なんとかしないと」
ザコ「いつまでたっても銭湯が再開できないザコ」
キッド「だからお前やガロードには期待してんだぜ?」
ジュドー「わかってるって。今日で絶対全部終わらせてやるさ」

シン「だから! ダメだって言ってるだろ!」
ルナマリア「え~!? なんでよ!!」

パーラ「……で、向こうでアイツらはさっきから何やってんだ?」
ザコ「ああ、あれはザコ」

 パーラとザコが指差した先、インパルスガンダムのコクピットでは
 シンとルナマリアが何やらもめていた。

ルナマリア「なんでよ! なんで次の戦闘に私も一緒に乗ってっちゃダメなの?」
シン「何度も言わせるな! インパルスはそもそも一人乗りなんだよ!」
ルナマリア「そんなの私がシンの膝の上に乗ればいいじゃない。ガロードくんとティファちゃんみたいに」
シン「そ、そんなの余計にダメに決まってるだろ!」

 ルナマリアの提案を、シンは慌てて拒否する。

ルナマリア「ねえ、どうしてもダメ? シド戦じゃ二人で息をあわせてうまくやったじゃない」
シン「あれは不可抗力だろ。途中で降ろすわけにもいかなかったし」
ルナマリア「せめてちゃんとした理由を聞かせて。じゃなきゃ納得できないよ」
シン「……刺さるんだよ」
ルナマリア「刺さる? なにが?」
シン「お前のアホ毛が。操縦中、機体が揺れる度に俺の腕に刺さって痛いんだよ!」
ルナマリア「Σ(°д°lll)ガーン」

 衝撃の理由に、ルナマリアは思わず膝から崩れ落ちる。

シン「わかってくれたか、ルナ」
ルナマリア「うん……それなら仕方ないね」

 よろよろとコクピットを降りていくルナマリア。
 その後姿を見て、シンはホッとしたように一人ごちる。

シン「はあ、大体、ルナが隣に居たら俺が集中できないんだよ。髪はいい匂いがするし、たまに、胸とか当たるしさ。
   隣の彼女が気になって撃墜されましたなんて言ったら、兄弟たちになんてからかわれるかわかりゃしない」
ルナマリア「え? なんか言ったシン?」
シン「言ってない! いいから大人しくステラやマユたちと一緒に待っててくれ!」
ルナマリア「わかった。……絶対無事で戻ってきてよ」

785オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:43:18.91ID:Hti6Czub0
キッド「なにやってんだありゃ」
ザコ「いつもの痴話げんかザコ。ほっておけばいいザコ」
パーラ「そーそー。夫婦喧嘩は犬も食わないっていうからな」

 そこへ、一際暗いオーラをまとわせた少年が、格納庫へ入ってくる。

パーラ「あれ? 今入ってきた暗い顔のアイツ、確かジュドーの兄弟じゃね?」
ジュドー「ホントだ。ベルリ兄だ。おーい、なにやってんのベル兄」
ベルリ「ジュドーか……実は逃げてきたんだよね」
ジュドー「逃げてきた? 何から?」
ベルリ「カ ッ プ ル た ち か ら だ よ ! まったく、いくら決戦前だからってドイツもコイツもいちゃいちゃしてくれて!!」
パーラ「ああ、こいつ喪男だったか」
ザコ「大体みんなモテモテのガンダム兄弟じゃ割と珍しい存在ザコね」
ジュドー「まあ仕方ないんじゃない? 決戦前ってみんな気分が高まるもんらしいし」
ベルリ「だからって彼女がいないヤツのことも考えてくれよ! ゼハートさんなんか絶望しすぎて、夜中なのに壁叩き一万発はじめちゃったんだから!」

                                                  ダン!ダン!ダンッ! >

パーラ「ああ、さっきからなんかうるせえと思ったらアイツが壁叩いてんのか」
キッド「てっきり、ガンダムヘッドが共食いでも始めてんのかとおもったぜ」
ベルリ「はあ、僕もいっそ壁でも叩こうかな……」
ジュドー「い、いやいや! ベルリ兄だって彼女いたんでしょ? 確かアイーダさんだっけ」
ベルリ「……いやアイーダさんは彼女じゃないし。そもそも今は、彼氏のカーヒルさんとバカンス旅行中だし」
ジュドー「え!? あ……なんかごめん」
ベルリ「まあでも、ここでジュドーに会えてよかったよ。お前は兄弟でも数少ないコッチ側だし、僕も安心して……」
ルー「あ、いたいたジュドー!」
リィナ「差し入れもってきたよ」
ハマーン「いわゆる陣中見舞いというヤツだ」
ミネバ「わたしもきたぞジュドーお兄ちゃん!」
プル「工事がうるさくて目が冴えちゃったから遊んでジュドー!」
プルツー「姉さん、今は決戦前なのだから少し遊んだらすぐに帰ろう、な?」
ザコ「うわあ……こんな時に限ってジュドーハーレムが来たザコ」
ジュドー「やっば……ハッ!?」
ベルリ「……この、裏 切 り 者 オォォォォ!!」
ジュドー「待ったベルリ兄さん! 話せば、話せばわかるから!」

786オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:50:57.23ID:Hti6Czub0
 AM 04:30 学校の校庭:建造中のヨルムンガンド側

ギャーギャー!!

三日月「なんか、騒がしいね格納庫の方」
キラ「ほっとけばいいよ。どうせウチの家族の誰かがケンカしてるんでしょ。……よっと、これでどうかなマイ兄さん」
マイ「うん……うん、いい感じだ。すまないね、急にプログラムの修正なんて頼んで」
キラ「いいよ、どうせ作戦開始まで暇だったし」
アセム「キラは会わなくていいのか? ラクスさんと」
キラ「うん、邪魔しちゃ悪いからね」
ガロード「ああ、住人の不安をやわらげるために、急遽ミニライブやるって言ってたっけ」
アセム「そうそう、ミーアさんも一緒にな」
キラ「偉いよね、こんな状況なのに自分のできること探して。だから僕もちゃんとしなきゃと思ってさ、自分のできること」
ガロード「おお……あのキラ兄がまともなこと言ってる……!」
アセム「これ、明日はアクシズでも降ってくるじゃないか?」
キラ「ひっどいなあ、せめてユニウスセブンにしてよ」
ガロード「いやそれあんま変わんないから」

 軽口を叩いて笑いあうガロードたち。
 そこへ突然、ヨナの鋭い声が飛んできた。

ヨナ「おいお前たち! 気が緩んでるじゃないのか? 作戦はもうすぐなんだ、ボンヤリするな!」

 それだけ言うと、ヨナはまた足早に去っていく。

三日月「なんか、イライラしてるねヨナ兄さん」
アセム「イライラしてるっていうか、気負ってるって感じかな」
キラ「それは昨日からだよ。多分、自分がアムロ兄さんを止めなきゃって意気込みだけが、どんどん膨れあがってるカンジだね」
アセム「それって……なんか危ういよな。俺も経験あるからわかるけど」
アルレット「ヨナのアムロコンプレックスは相当だからね~。それは仕方ないんじゃない?」
ガロード「あれ、アル姉いつのまに?」
アセム「アムロ兄さんとシャアさんを元に戻す装置はできたの?」
アルレット「うん、一応ね。まあそれはともかく、ちょっと休憩しない? 姉さん徹夜で作業してたから疲れちゃったわ」
ガロード「わかった。じゃあマイ兄呼んでくるよ」

 テント脇に置かれた小さな机と椅子。
 そこに食べ物や飲み物を広げ、ガンダム兄弟は休憩を取り始めた。

マイ「おや、これはホットケーキじゃないですか、喫茶M&Sの!」
アルレット「そうよ。前、アンタ好きだって言ってたでしょ」
マイ「しかも焼き立て……こんな状況で、いったいどうやって」
アルレット「ああ、それね。商店街の人たちが炊き出しやってんのよ。みんなで材料やらコンロやら持ち寄って」
アセム「炊き出しか……」
三日月「さっきアトラもイサリビのキッチンから色々持ち出してたよ。なんか随分はりきってた」
アセム「こんな状況だからこそ、一人ひとりできることをやる、か。たくましいな、この町の人たちは」
キラ「伊達に毎度毎度トラブルに巻き込まれてるワケじゃないってことだよね」
マイ「まあ、トラブルの主原因たる僕たちが言うことじゃないですけどね」
アセム「やっぱり俺たち、一人で戦ってるんじゃないんだな。MSに乗らない人たちも、ちゃんとそれぞれ違うやり方で戦ってる」
アルレット「そうね」
マイ「必ず、デビルガンダムから町を取り戻さないといけませんね。この町のみんなのためにも」
アセム「うん……」

787オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/29(月) 18:58:48.66ID:Hti6Czub0>>788
三日月「まあそれは別にいいんだけど」
ガロード「いや切り替え早っ! そして軽っ!」
アルレット「あのねえ、珍しく私たちがいい感じのシリアスモード入ってんだから、もうちょっと浸らせなさいよ」
三日月「?? なんかごめん」
マイ「いや、いいんだよ三日月」
キラ「そうそう。三日月に空気を読むことを期待する方が間違いだよね」
アルレット「ま、そりゃそうなんだけどね。……で、なに三日月? 私に何か聞きたいの?」
三日月「うん。さっき、出来たって言ってたから。アムロ兄さんとシャアさんを元にも戻す装置」
マイ「あ、遂に完成したんですか?」
アルレット「うん。リタちゃんの協力もあって、ついさっきね。これよ、ジャジャジャジャーン!」
ガロード「効果音古っ!」
アルレット「これぞ! 押すとアムロが元に戻るスイッチ。名付けて
      『4人のアムロが一つになって 正義の姿 白い悪魔 その名も我らのアムロ・レイ(29歳)』スイッチよ!」
ガロード「長っ!」
キラ「そしてまた、アムロ兄さん本人が聞いたら発狂しそうな名前だね……」
アルレット「ちなみにこっちが押すと大佐が元にスイッチ、その名も『ふるえるな 瞳こらせよ 復活のシャ』
ガロード「いや、もういいから!」
三日月「それで、なんでまだ押してないの?」
アセム「そうだよ、さっさと押せばいいじゃない。押せばアムロ兄さんも元に戻るんでしょ?」
アルレット「それが無理なのよ。これ、分裂したアムロたちが近くにいないと効果を発揮しないから」
アセム「つまり、分裂した兄さんたちを全員捕まえる必要があるってことか」
ガロード「ええと、まだ捕まえていないアムロ兄っていうと……」
マイ「29歳のアムロ兄さんですね。僕たちのよく知る」
アルレット「そうそう。わかりやすくいうとアムロ(CCA)とシャア大佐(CCA)ね」
アセム「俺たちも町中探し回ったけど、あの二人は全然見かけなかったな」
マイ「町の人たちからの情報も、あの二人に限っては騒動のごく序盤を除いてまったくありませんでした」
キラ「まさか、もうデビルガンダムにやられちゃったとか?」
三日月「あの二人の腕前でそれはないでしょ」
アルレット「う~ん、とするともう町の外に出ちゃったのかしらね、隣町とかに」
マイ「確かに、それが一番可能性としては高いですね」
ガロード「じゃあ、アムロ兄を元に戻すのは後回しってこと?」
アルレット「そうねえ、こんな状況じゃ隣町に探しにも行けないし」
アセム「まずはデビルガンダムとフル・フロンタルをなんとかしなきゃいけないってことだよな」
マイ「そういうことになりますね」
キラ「はあ、憂鬱だなあ。今度は迷惑かけたおわびに、隣町まで謝りに行かなきゃならないのか」
ガロード「いや、こういう時一回も謝りに行ったことないじゃんキラ兄は」
マイ「どちらかといえば、シロー兄さんの仕事ですよね、こういうのは」
アセム「今から考えても、胃に穴が開きそうだな、シロー兄さん」
ガロード「むしろ、胃が爆発するんじゃない?」
アセム「言えてる」

 そう言って笑いあうガロードたち。
 他のガンダム兄弟もまた、めいめい異なった場所でそれぞれの時間を過ごしていた。
 その時、東の空が白み始め、山の向こうから太陽が顔を覗かせる。

シロー「夜明け、か」
アイナ「行くのね、シロー」
シロー「ああ。必ず取り戻すよ、俺たちの住む日登町を」

 時刻はAM 04:50 
 デビルガンダム掃討作戦開始まで、あと10分――!


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最終更新:2023年04月13日 10:03