22オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/23(月) 02:01:12.47ID:NEp44lAl0
 AM 06:18 日登町中央区:学校
シロー『そうか、最後のアムロ兄さんたちはアクシズにいるのか』

 マイの説明を聞き、通信機の向こう側でシローは感慨深げにそういった。

シロー『それで、アクシズへはヨナ兄さんたちが行くんだな?』
マイ「はい、そうです。今はアルレット姉さんが機体の調整を」
シロー『ヨナ兄さんならきっと大丈夫さ。アル姉さんを除けば、アムロ兄さんとの付き合いは一番長いんだし』
マイ「僕もそう思います。……それで、シロー兄さんたちの方は?」
シロー『ああ、ヨルムンガンドの落下地点から少しずつ警察署に向かっているよ。
    DG軍団に見つからないよう迂回しながら、今は放棄された地下格納庫で小休憩だ』
マイ「その節は本当にすいませんでした。どうやら、衝撃で軌道計算が狂ったようです」
シロー『仕方ないさ。ジェネラルジオングの襲撃なんて予測してなかったからな。……アルとシュウトの様子は?』
マイ「見た目は元気そうですよ。というより元気に振舞ってるんでしょうね。僕たちを心配させないように」
シロー『そうか……』

 そこで、幾分落ち込んだ様子でシローは呟く。

シロー『早く、この事件を終わらせて、キャプテンと劉備を迎えにいかないとな』
マイ「ええ、あの二人は、僕たちの大事な家族ですからね」

 そういって、二人は大きく頷いた。

 AM 06:20 日登町中央区:学校の校庭

 一方、学校の校庭では、ヨナたちをアクシズに向けて発射するための
 ヨルムンガンドの準備が急ピッチで進んでいた。

キオ「コー…ホー…コーホー……クビ…クビ……クビィィィ」
キラ「よーしよしキオ。いい子だからもう少しがまんしてね。アクシズに着いたら思う存分シャアさんたちの首を狩っていいから」
キオ「!!?」
バナージ「物騒なこと教えるなよ……アセム兄さんが聞いたらまた怒るぞ」

 すでにヨナたちは、弾頭であるヨーツンハイムの中で待機していた。
 現在は宇宙での戦闘に向けて、メカニックらと機体の最終調整を行っている。

アルレット「ナラティブの調子はどう、ヨナ?」
ヨナ「悪くない」

 ナラティブの機体各部に取り付けられたサイコフレーム。
 その反応を確かめながらヨナは答えた。

23オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/23(月) 02:02:27.19ID:NEp44lAl0
ヨナ「しかし、よくあったなこんなに沢山のサイコフレーム」
アルレット「マイがたまたま持ち出してたのよ。家から脱出するときね」
リタ「アムロたちを元に戻すのに使えるかもしれないって、積み込んでたんだよね」
アルレット「そうそう。まさかこんなところで役立つとは思わなかったけど」
ヨナ「いや、助かるよ。これなら凡人の俺でも、少しはアムロ兄さんに喰らい付ける」
リタ「ヨナ……」

 相変わらず自虐気味に呟くヨナを見て、リタは心配そうに彼の名を呟いた。

アルレット「んもう、辛気臭いわねえ。せっかくの機会なんだからもうちょっと喜びなさいな」
ヨナ「喜ぶ? どうして?」
アルレット「だってそうでしょ? こんな風にアムロと堂々とケンカできるなんて、滅多にないわよ」
リタ「そうだね。ヨナは優しいから、いつも他のみんなのケンカを止めてばかりだもんね」
ヨナ「単にニュータイプやガンダムファイターとケンカする度胸がないだけだよ」
アルレット「また謙遜しちゃって。姉さん知ってるからね? アンタはやるべき時にはちゃんとやる男の子だって」

 それからアルレットは、珍しくしおらし気な表情で微笑んだ。

アルレット「それに、アムロに複雑な思いを抱いてるのはアンタたち弟連中だけじゃないのよ。私だってフラナガン機関に……」
ヨナ「え?」
アルレット「……ごめん、なんでもないわ。忘れて頂戴」

 思わずつぶやきかけた何かをアルレットは慌てて飲み込んだ。
 だがヨナは知っている。フラナガン機関という言葉の意味を。
 ヨナが本当に幼いころ、アルレットはそこでニュータイプの実験を受けていたのだ。
 しかし芳しい成果は出ず、ただ身も心もボロボロになってアルレットは家に戻ってきた。
 彼女の老化しにくい体質も、その頃の後遺症なのだという。

ヨナ「(アムロ兄さんがニュータイプに覚醒したのは、その少し後だったよな)」

 今はおだやかで明るい彼女だが、当時はほとんど無表情で、口数も少なかった。
 それが少しずつ変わっていったのは、シャアとその恋人であるララァ・スンの影響であることもヨナは知っていた。

アルレット「ま、こんな時でもなければ、大人になってから兄弟と本気のケンカなんてできないんだから。思いっきり楽しんできなさいな」
ヨナ「アルレット姉さん」
アルレット「……凡人だってやればできるってとこ、アムロに見せつけてやってよね」

 それになんと返せばいいのか、ヨナは一瞬言葉に詰まった。
 だがそこへ、マイが慌てた様子で走ってくる。

マイ「アルレット姉さん! ヨナ兄さん! DG軍団の第三波が来ました!
   カミーユたちが抑えてはいますが、念のため発射を前倒しします!」
ヨナ「来たか! キラ、キオ、準備はいいか?」
キラ「こっちはいつでもいけるよ」
キオ「クビ…クビ……クビ!!」
キラ「キオもOKだってさ」
バナージ「ワームホールは俺たちで絶対になんとかします! だからシャアさんとアムロ兄さんを頼みます」
リタ「待ってるから。必ず無事でかえってきてね」

 ヨナは学校に残るバナージとリタに大きく頷いて応えた。
 それからモニターに映るアルレットに向けて、こう呟く。

ヨナ「姉さん、俺は……アムロ兄さんに勝ちます。絶対に」

 AM 06:23 アクシズに向けて、ヨルムンガンドの第4射が発射された―― 

24オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/23(月) 02:43:54.50ID:NEp44lAl0
 AM 06:20 日登町西区:地下格納庫

サンダース「どうだ、行ったか?」
ミケル「いえ、まだです」
セイ「ついてないですね。警察署までもうすぐだっていうのにこんなところで足止めなんて」
イオ「ま、仕方ねえ。一個大隊クラスのデスアーミーの行進とかちあったんだ。ここで見つかったら元も子もないからな」

 現在、シローたち08小隊一行は警察署近くにある放棄された地下格納庫に身を潜めていた。
 二つある入り口の内、一つはカレンが、もう一つは三日月とセカイが見張っている。
 作戦のために見つかるわけにはいかない彼らは、ここでDG軍団をやり過ごすことに決めたのだ。

ミケル「しかしイオさん。よくこんな格納庫知ってましたね。古いけど、通信設備もまだ生きてましたし」
サンダース「かつて日登警察が使っていた格納庫らしいな。おかげで本部とも連絡が取れた」
ミケル「警察が使っていた? なおさらなんでそれをイオさんが知ってたんです?」
エレドア「なんだお前知らなかったのか。コイツはな、昔隊長と一緒に警察官……」
イオ「いいじゃねえか昔の話は。それよりせっかくの小休憩なんだ。今のうちになんか食っとこうぜ」
サンダース「そうだな。決戦前に腹ごしらえといくか」
セイ「あ、それならちょうどいいのがありますよ。さっき、三日月が缶詰をくれたんです」
イオ「缶詰か……味気ねえが、まあ無いよりマシか」
エレドア「で、味はなんだ? 火星ヤシの水煮とかは勘弁だぜ」
セイ「ええっと……『ラッコ鍋』って書いてありますね」

 AM 06:21 日登町西区:地下格納庫入り口近辺

セカイ「へえ~ラッコ鍋か! 珍しいな!」
三日月「うん。昔アムロ兄さんが試供品だって大量にくれたんだ」
セカイ「俺、修行中もラッコなんて食べたことないや。どんな味だったんだ?」
三日月「まあ割と旨かった、かな? 貰ってから一回しか食べたことないしあんまり覚えてないけど」
セカイ「旨いのに一回しか食べてない? なんで?」
三日月「食べるのに一個条件があって、それが面倒くさかったんだよね」
セカイ「条件?」
三日月「うん。必ずアトラかクーデリアと一緒に食べろって。あれ、どういう意味だったんだろうな」

25オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/23(月) 02:45:57.33ID:NEp44lAl0
 AM 06:22 日登町西区:地下格納庫

セイ「とりあえず缶詰温めてみましたけど、どうですか?」
イオ「うん、うん、三日月から貰ったって言うから心配したが、結構イケルじゃねえかラッコ鍋」
エレドア「だな」
ミケル「味はいいですけど、なんか独特の匂いがしますねコレ」

 必ず彼女と食べろといったアムロの言葉の意味――
 北海道のアイヌ民族の間では、ラッコの肉を食べるときは必ず男女同数で部屋に居なければならないと信じられている。
 なぜなら――

イオ「(なんか変だな)
エレドア「……」
イオ(赤面)「(どう見ても……エレドアが 色 っ ぽ い )」

 なぜならラッコ鍋の匂いは 欲 情 を刺激し、ひとりでいては気絶するほどなのだという。

サンダース「気分でも悪いのか、イオ?」

 その時、胸のボタンがはじけ飛び、サンダースの逞しい胸筋が露わになる!

サンダース「おっとぉ、胸のボタンが……!」
エレドア(赤面)「(この死神…… す け べ 過 ぎ る !!)」
セイ(赤面)「なんだかぼく……頭がクラクラします」
イオ「大丈夫かセイ!?」
サンダース「横になれッ! いますぐ!」
イオ「胸元を開けて楽にした方がいいな!」
エレドア「下も脱がせろ! いや、全部だっ! 全部脱がせろっ!!」
ミケル「ど、どうしたんですかみんな! なんか目がいってますよ!?」
シロー「ただいまー」
ミケル「あっ! 隊長大変なんです! 缶詰を食べた途端、みんなが急におかしく……」
シロー(上半身裸)「まいったまいった。通信室の空調が壊れてまるで蒸し風呂だ。ん? どうしたみんな俺を見て」
ミケル・サンダース・エレドア・イオ「「「「ゴクリ……!」」」」

 AM 06:26 日登町西区:地下格納庫
シロー「うん、なかなか旨いなこのラッコ鍋。三日月から貰ったと聞いて心配したが」
ミケル「兄弟そろって同じこと言ってますね」
サンダース「食に関してはよっぽど信頼がないんだな彼」
シロー「それよりイオ」
イオ「な、なんだよ」
シロー「お前……一日見ない間にちょっと男前になったんじゃないか?」
イオ(赤面)「よせやぁい…」
エレドア(赤面)「(カワイイ)」
サンダース(赤面)「(カワイイ)」
ミケル(赤面)「(カワイイ)」
イオ「お、おまえだってシロー、昔よりいい体になったじゃねえか」
シロー「そうか? まあ町を守るため訓練は欠かしてないけど……どう思うミケル?」
ミケル(赤面)「そ、そんなの知りませんよ!」
サンダース(赤面)「はあ、はあ……(なんだこの感情は……抑えきれん!)」
エレドア(赤面)「(ちくしょう! なんだこれどうやって発散すりゃいいんだ!?)」
ミケル(赤面)「(うう……僕にはB.B.って彼女がいるのにどうしてこんな……!)」
セイ「…………(失神)」

26オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/23(月) 02:46:19.82ID:NEp44lAl0
 言いようのない謎のリビドーに襲われる一行。
 だが沈黙を破るように遂にイオが立ち上がった。

イオ「ダメだっ! 俺、もう我慢できねえ!!」

 彼は服を脱ぎ捨てパンイチになるとそして――

イオ「おまえら……ブレンパワードのOPごっこしようぜ!」
サンダース・エレドア・ミケル「「「「(なるほどそうか!!)」」」」)

 デーデデー デーデテー゙デーデ デーッデッデー(イントロ
                  . : :´ : : : : : :> 、      ./   .:.:ヽ、
              イ : : : : : : : : : : : : 丶    /   ,':.:.j、>、
             / : : /: : : : : : : : : : : :ヾ.  ,   /:.:.:.ヤ つ入ーォ
          _ ーチイ: : : :ノリ从从从リ!l: サ .ノ   ,入ヘ:.:X__,rー '"
              ̄j: : :/七升リ  ィチ示 リ:._,ィク  / rリ:.:.:j:.j、
             ,.イイ: /イ!了_ナ   いソr//,'  ./_,.イリ:.:.:j:.:Y
         /: : ;イイ ,リ_、¨´   ;  ,ィリ ' i  /彡 ー:.:イ:.ノ
        Y/: : : :イ:/: : : :ゝ . ー ‐ ィ/  .j ,イ:.:.:.:>ーイ
.     ー=イ: : : : : :,' : : : : :j ォ≧ zイ .i.   '≦ヘ:.:/
.       ゞ: : / : ! : : : /     丶> 、 ` <
        ,イ: : : : : : ',: : /           ` ー ≧ _ > 、
       ,イ: /: : :イ : : : ,'                   ヘ
    ー=イ: : : :ヘ : : :i     ´  ̄ ヽ¨ヾ ー  ___  ノ
    ,イ⌒l!リ: : : : :ヽ :.ハ             Y:マリ:.:.リj
.   /   乂: : :ノ:リ: : : :.        ノ  リ:.:レ:.:.:.!:〉
         イイ ノ : : : : ',          イリイ.:.:イj:l In My Dream 赤い薔薇の花アッー!
     ー=イ入乂リ: :リ       .j jイ:.:.:..:,.イイ
       /  ,.イノ: : ,'         //:.:.:.リ:イY
            イ ノ        /イ:.:.:.:.:.:.:j:.:.:j
            , イ         /:.:.:.:.:.:.:.::イ:.:.j
.     > ァ  ¨           ..:.:.:.:.:.イイ:.:.:.:.イ
.   γ '               イ:.:.:.イ:.:.:入/
   j :               イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.,.イ
  /   .         イ:.:.:.:.:.:.:.:./
/   .:/         /:.:.:.:.イ.:.:.:.,.イ※イメージ映像
 


イオ・エレドア・ミケル・サンダース「「「「ごっちゃんです……」」」」


 AM 06:26 日登町西区:地下格納庫

カレン「アンタたち! いつまで休憩してるんだい! もうとっくにデスアーミーは行っちまったよ!!」
セカイ「え~! ラッコ鍋全部食っちまったの? 俺も食べてみたかったのに!」
三日月「ていうかなんで裸なのイオ兄さんたち」

イオ「いやその……ブレンパワードのOPごっこやってたら思ったより盛り上がっちゃって(シャツを着ながら)」
ミケル「ブ、ブレンパワードは名作ですから。仕方ないですよね」
セイ「なんで僕起きたら裸だったんだろう……?」
シロー「決戦前にいいレクリエーションになったな、ハハ!」
サンダース「というか隊長も同じ鍋を食ったのにどうして割と平気だったんだ?」
エレドア「朝まで彼女と一緒だったから賢者タイムだったんだろ」
イオ「まあそれはともかく。……おまえら、さっきのことは忘れような?」
サンダース・エレドア・ミケル「「「うん………」」」
セカイ「?」

 時刻はAM 06:27 日登町へのアクシズ落下まで、あと2時間55分――――!

カレン「まったくウチの男どもは……!(イライラ」


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最終更新:2023年05月08日 10:42