本格的 ガチムチ筋肉ショウ ◆Ok1sMSayUQ
「……よぉ」
「……奇遇ですね」
砂浜で、二人は出会った。
声をかけたのは偶然だった。
井ノ原真人は、海岸沿いに高松が走っているのが見えたから、声をかけた。
高松も同様だった。真人が走っていたから、声をかけた。
二人は知り合いでも何でもなかったが、妙な親近感を感じていた。
何故かというと。
「いい筋肉してるじゃねえか」
「ふっ、奇遇ですね。わたしもですよ」
二人とも、上半身が裸だった。
そしてこれでもかといわんばかりに盛り上がる上腕二等筋と割れた腹筋と、厚い胸板を見せ付けていたからだった。
二人は既に友人だった、いや筋肉友人、略して筋友だった。
何故二人とも脱いでいるのかは言及しないで頂きたい。
一つ言えるのは、砂浜で走る筋肉男は凄まじく暑苦しいということである。
だが、筋友とはただお互いの筋肉を褒めあうだけではない。
その存在を確認しあってこその筋友なのだ。
「ふっ! ふっ! ふっ!」
突如真人がポージングを取り始める。
具体的にはこんな感じである。
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/ jjjj _
/ タ {!!! _ ヽ、
,/ ノ ~ `、 \ _
`、 `ヽ. ∧_∧ , ‐'` ノ / `j
∧_∧_ \ `ヽ( ´∀` )" .ノ/ / /`ー'
( ´∀`)  ̄"⌒ヽ `、ヽ. ``Y" r ' 〈 `ヽ
/ ) ヽ' / 、 `、 i. 、 ¥ ノ `、 ヽ∧_∧
γ --‐ ' λ. ; `、.` -‐´;`ー イ 〉 ´∀) ,-、、
f 、 ヾ / ) → i 彡 i ミ/ → / ノ  ̄⌒ヽ 「 〉
! ノヽ、._, '`"/ _,. '" } { ノ ' L `ヽ./ /
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!、__,,, l ,\_,ソ ノ / /ヽ、 ヽ. ( ∠_ ヽ、_, '
〈'_,/ / / / ノ ヽ. ) i 、 ヽ
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l.__| }_ l \ \ | i f" ノ { /
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〔___! '--' <.,,_/~ 〈 `、ヾ,,_」 i___,,」
この間、約一分である。
筋肉アピール、通称筋アピである。
高松はふむ、と頷いた。
これは挑戦状だった。
迸る汗。グッと堅くなった筋肉。引き締まった足腰。全てが完璧な筋肉スタイルだった。
高松は高揚感を感じていた。
今まで己の筋肉を認めてくれる相手もいなければ、それを競い合う相手もいなかったからだった。
「ふん! ふん! ふぅん!」
高松はこれでもかと己の筋肉を見せつけた。
真人が目を見張る。
世の中にはまだこんな筋肉があったのか、と。
筋肉の分厚さに関しては真人の方が勝っていた。だから負けるはずがなかった。
だがこの高松はどうだ。引き締まった筋肉がまるで美術品のような美しさではないか。
顔は知的なメガネであるだけに、尚更それが引き立つ。
いやそれだけではない。脂肪率数パーセントと予測される彼の肉体は、実に健康的で無理なく育っている。
言わば筋肉のエリート。真人のように野生の逞しさはないものの、計算されつくした肉体だった。
真人が究極の筋肉だとすれば、高松は至高の筋肉だった。
そして彼らの織り成す筋アピ劇は、まさしく筋肉の粋を集めた筋肉小宇宙(コスモ)。
彼らは既に感覚を共有しあう新筋肉人(ニュータイプ)だった。
「ふっ」
「ふっ」
彼らは笑った。
そして抱き合った。
お互いの筋肉を称え合い、そして負けてはならないと闘志を燃やしていた。
「やるじゃねえか……」
「あなたもですよ……」
ひとしきり筋肉を満喫した彼らは、いそいそと服を着始めた。
彼らは断じて変態ではない。
筋肉を愛し、筋肉を嗜み、筋肉に生きる筋肉紳士だった。
「行くか」
「ええ」
自己紹介は必要なかった。
いや、既に紹介を終えていた。
お互いの個性を、二人ともに知り尽くしていた。
波打つ海岸を背に、肩を並べて歩く彼らは、
まさしく勇者の顔であった。
数十分後、やっぱり不便に思って名前を紹介し合った彼らの個性を、別名バカという。
【時間:1日目午後1時00分ごろ】
【場所:H-4 砂浜】
井ノ原真人
【持ち物:不明支給品、水・食料一日分】
【状況:健康】
高松
【持ち物:不明支給品、水・食料一日分】
【状況:健康】
最終更新:2011年08月28日 03:44