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「白銀の序曲」 Guild Wiki
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心につもる白い旋律#03

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気づけば、おひさまが沈み始めていた。

綺麗な夕日にうみねこの影。

温かい気候とはいえ、少し肌寒くなる。

さっきまでうじゃうじゃといたトロビーたちも、姿をくらまし始める。

「困りましたね・・・。」

するとロウさんは、私の手を取って走り出した。

「ちょっとテンポをあげますよ。日が完全に落ちる前にパラダイスへ。」

「え。ええ?」

真っ暗な洞窟に響くのは、二人の足音。

荒い息使い。

「はあ・・・。」

「大丈夫ですか?」

「・・・。」

この洞窟に入ったのはさっき。




「ここまでくれば大丈夫でしょう」

コーラルビーチフィールドでは最強といっていいモンスター

ぬすっともんきーに追われて、ロウとテルは走っていた。

ぬすっともんきーが最強な理由・・・

「どうして向こうから攻撃を仕掛けてくるんですかあ!」

「ここらではもんきーだけがアクティブなんですよ」

「先に言ってくださればよかったのに・・・。」

はじめての【アクティブモンスター】に戸惑いながら、テルはロウに質問を続ける。

「・・・で、ここはどこです?」

二人が入り込んだ洞窟。

頼りになるのは、小さな電灯と自分の勘。

もちろん、ここにモンスターがいないわけではない。

それを分かっているのは、ロウ。

「もー・・・暗いし寒いし・・・

「しっ。」

愚痴をこぼし続けるテルを制してロウは言う。

「ここはアクティブモンスターしかいませんから、走って突っ切りますよ。」

「ふむ・・・。」

さっきトロビーを倒したように、みんな倒していけばいいじゃない。

その方が安全なのになあ・・・。

「僕は平和主義なんですよ。」

「!?」

「声に出てますよ。声。」

ちょっとうっかりしていたみたい。

ただ、平和主義だからってこんな危険な目に合わなくても・・・。

今度は声にしないように と、テルは頭の中でつぶやく。

そんなことを考えていると、ふ と体が浮く感覚。

「面倒なんで、あなたを抱えて走ります。」

耳元でロウさんの声。

「や、でも私重いですしっ」

「いいから」

抵抗もあっけなくさえぎられてしまった。

そして、私を抱えているヒトは、動き始めた。

すぐそばまで来ていたエダックスを振り切り、ロウは洞窟の外へ。



空気が変わった。

およそ2時間洞窟にいただけあって、空気の変化には少々驚いた。

ただ、夜なので外は真っ暗。

街頭はポツポツとしかなく、多少は明るくなっているものの、やはり暗い。

ひとつだけ言えること

ここは、コーラルビーチ――ではない。

行きかう人もおらず、周りを見ると、あるのはキャンプのようなもの。

「さて、町までもうすぐですよ。」

そういうと、ロウさんは私の手を引いてある人の所へ。

「あやや?ロウさんじゃないですか」

暗くてよく見えないけれど、人がいる。

女性・・・というよりは少女に近い。

この暗闇とは正反対に明るい声。

「やあ。コンジちゃん。」

少女は、コンジ。

なんでも、テレポートサービスを請け負っているとか。

カエルのような緑色に、気色の悪い目玉のようなものがついた帽子。

近未来 を想像させる服装。

少し気味が悪い。

「そのお連れの方も一緒にテレポートですかあ?」

「そうだね。よろしく頼むよ。」

短い会話を済ませると、コンジの合図と同時にどこかに飛ばされた。



「つきましたよ。」

ロウさんの声で我にかえる。

ジャリ という音。

足元を見ると、そこには細かい砂。

コーラルビーチと違うこと―

砂が黄色いこと。

何より、人が多い。

夜だというのに、何人もの人が行きかう。

ほとんど、モンスターとロウさんしか見ていなかったので

人が、懐かしい。

「さて、と。」

「?」

「ギルドについてご説明しましょう。」

そういえば、説明してくれるとか言っていた気がする。

【ギルド】

LV1以上からギルドに入ることができる。
ギルドチャットを利用できるようになり、同一ギルド内のメンバーと居場所に関わらずチャットをできる。

他ギルド参加メンバーと対戦するギルドバトルに参加することが可能。
リーダー(マスター)含め、いろいろなプレイヤーとの出会いがある・・・かも。


疲れで機能しない脳を働かせて、説明を頭に叩き込む。


「ま、最後のは僕の独断ですけど。」

そういうと、再びロウさんは歩きだした。

目に入るものというと、木。

ヤシの木だろうか。

そして、人。人。ヒト。ひと。

コーラルビーチにいたときと同じ、へんちくりんな建物。

観光に来たわけでは無いのだろうけれど、目線はあっちに行ったりこっちに行ったりと大忙しで。

ふと、小さな小屋が目に入る。

小屋―そう言っても、結構なつくりになっていて、何人かは住めそうな・・・。

「わぷっ」

立ち止まったロウさんの背中にぶつかり、よろける。

が、ロウさんはお構いなしで話し始める。

それも、では無い誰かに。


「どうも。お久しぶりです。」

相手の顔はよく見えない。

ただ、相手の放つオーラはとても私達を歓迎しているものとは言えないオーラ。

「何をしに来たんです?」

言葉からもそれが感じられた。

「朗報ですよ」

短くロウさんが答える。

「ほう?貴方が朗報を?レヴィ。」

「そんなにカリカリしないでくださいよ。リヴォルブさん。」

「うるさい。用があるなら早く済ませたらどうです。」

「まあまあ。ゆっくりでいいじゃないですか。」

ロウさんは腰を下ろす。

ロウさんの影になって見えていなかった、相手が見えた。

・・・ヅラ?

い いやいや。

真白の髪に、ライオンの耳。

メガネ。

百獣の王を思わせる雰囲気の中に、どこか少年らしさが見え隠れしているような・・

「・・・そちらの羊さんがその朗報?」

「そ。可愛いでしょう?」


ロウさんのおかしな質問に、場の空気は凍りつく。


「えーと・・・テルです。」

その場しのぎ で挨拶。

「どうも。リヴォルブです。」


その場しのぎは、やはしその場しのぎ。

どれだけの時間が経過したかはわからない。

棒立ちになったままのテル。

座ったまま動かないロウさんと、リヴォルブさん。

さっきと変わったことと言えば、あたりがほんのり明るくなったこと。

朝・・・だろうか。

この島の一日は短いらしく、夜はあっという間に終わった。


ぶっ通しで動き続けた上に、この緊張のおかげでテルの思考は停止寸前。

「たっだいまあー!」

緊張を切り裂いたのは、一人の声。

無論、声の主はこんなことになってるなど知らなかっただろう。

この空気をさらに気まずくさせることも。

「おかえり~ 一弥。あっつんは?」

「おうおう!いますよ!」

一弥 と呼ばれた人物

黒い髪に、重装備。

黒毛和牛を連想させる、角。

牛でいいところを和牛とするのは空腹ゆえ。

「久しぶりの遠征も疲れるねー」

さらにもう一人。

あっつん と呼ばれた人物

赤くて長めの髪。

一瞬女性に見えたけれど、声のトーンからして男性。

仮面のような眼鏡

龍の羽のようなものが頭から生えている。


この人たちは、誰だろう?

「やあー!久し振りですね 一弥に、あっつん!」

ロウさんが軽い挨拶を。

それに気づくと、二人はこちらを見やる。

「あ・・・れ?ロウさん?どうもですー」

一弥さんは、一瞬不思議そうな顔をしたものの、挨拶を返す。

「あーレーさん!お久ぶりです!」

あっつんさん・・・も、同じように。

「なんか、落ち着いたみたいだし紹介しますね。」

ロウさんが口を開く。

「こちらは・・・

ふいと私の方を向く

「テルちゃん。僕のお友達。」

「テルです。」

リヴォルブさんの時と同じように挨拶を。

「どうも!一弥です!」

「どうもー 敦眞です。」

「それでね、この子を、君たちのギルドに入れてあげて欲しいんだ。」

一瞬、一弥さんと敦眞さんが困った顔をする。

くるりと私たちに背を向けると、リヴォルブさんに一言。

「いいよね?」

リヴォルブさんは、ゆっくりと頷いた。

それでもどこか気に食わないとでもいうような。

「そんじゃ、登録申請してねー」

一弥さんから、紙を渡される。

「?」

「そこに必要事項を書いてくれればいいのです」

と、敦眞さんが付け加え。


必要事項・・・


Name:テル・エルトア

職業:司書

タイプ・・・

タイプ?

今までの事を思い出してみる。

『あなたは魔法型だから―』

昨日の、ロウさんの言葉。

『魔法型』・・・

タイプの事だろう と、テルは独断で書き入れる


タイプ:魔法

申請理由:ロウさんに勧められて。

たった4つの項目を埋めると、テルはそれを一弥さんに。


「ふむ。」

そういうと、一弥さんはこちらに微笑みかけて一言。

「白銀へようこそ。」




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