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「白銀の序曲」 Guild Wiki
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心につもる白い旋律#05

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コツン。コツン。

長い廊下に響くのは、百獣の王と子羊の足音。

敦眞さんと、一弥さんは用事があるといって自室へ戻ってしまった。

コツン。コツン。

気まずい雰囲気だけが時計の針を進めていく。

廊下の両側にはたくさんの扉。

これはきっと、メンバーたちのお部屋。

私のもあるのかしら? と、テルは首をかしげる。

コツン。

足音が止む。

「さて。」

リヴォルブさんが口を開く。

「これが、メンバー掲示板になります。」

そういって指差したのは・・・

ホワイトボード。

細かく分けられた中に、たくさんの名前

リヴォルブさん、敦眞さん、一弥さん・・・

出迎えてくれたイチヤさんの名前も。

「ざっと説明してしまいますね。

こちらは、メンバーの状況を把握するものなので、

出かける際には必ず場所と帰宅時刻を記入していってください。」

「はぁい。」

そう言うと、リヴォルブさんは再び歩き始めた。

コツン。コツン。

長い廊下の行き止まり。

壁は綺麗な白。

その壁から・・・数歩下がったところに一つの扉。

ネームプレートには

「テル・エルトア」の文字。

「ここが、あなたのお部屋です。」

そういうと、リヴォルブさんは私に鍵を手渡した。

リヴォルブさんは、笑っていた。

ロウさんといたときとは別人のような顔で。

その差に驚きながらもテルは鍵を受け取った。

「あなたの資金と、部屋の広さが許す限り、どうにでも使用してください。」

「ありがとうございますっ」

テルがお礼を言い終わるかどうかのタイミングで

リヴォルブさんは踵を返していった。

自由行動・・・でいいのかしら。

何も聞いてないなあ・・・。そう呟くとテルはもと来た長い廊下をひとりで歩き始めた。

コツン。

ふと、ロウさんを思い出す。

そして立ち止ったのはメンバー掲示板の前。

場所と帰宅時刻ね・・・。

マジックを手に取り考える。

場所・・・ロウさんがどこにいるかわからない・・・。

【ロウさんと一緒にいます】って書いていいかな?

時刻。

今はお昼を過ぎたばかりなので・・・16時には帰ろうかな・・・

などと考えていると、大変なことに気づく。

自分の名前の場所に手が届かないのだ。

「どうしよう・・・。」

周りには台も見当たらない。

人気もないし・・・。

私が知っている長身の方といえば、一弥さんか敦眞さん。

この二人しか知らない。というのもあるんだけれど。

近くの扉のネームプレートを見渡す。

違う。

違う。

違う。

ちが・・・

見つけた。4つめの扉に『一弥』の文字。

そしてその隣には、『敦眞』の文字。

これ以上ツイてることはないかもね。

なんて小さなため息をつくと、テルは『一弥』と書かれた扉をノックした。

「どうぞ~」

一弥さんの声。

「失礼します・・」

そろっと扉をあけると、一弥さんが座っていた。

「どうしたの?」

「えーとですね・・・」

「なんでも言ってください。」

「掲示板に手が届かないんです・・・。」

予想外の言葉に、一弥さんは戸惑っていた。

「っはは。いいでしょう」

そういうと、書いてくれた。


キィ・・・・。

重く、鈍い音をたてて、扉が開く。

リヴォルブさんは軽々開けたように見えたんだけれど

と、テルは愚痴をこぼす。

外は、真昼間。

いろいろな人が行きかう。

どれも、見たことが無い顔。

たまにカップルも歩いている。

仲良さそうに、手をつないでいるもの

腕を組んでいるもの

自由だなあ。

そんな事を考えながら、ポーチから小さな機械を取りだす。

人々から目を離して、画面に目を向ける。

ロウ・レヴィの文字が緑色に光っている。

「ええっと・・・」

操作を思い出すため、テルは数時間前の事を思い出す。


白銀の本拠地に入る直前・・・

「そうだ。テルちゃん」

何かを思い出したように、ロウさんが慌てて口を開く。

「はい?」

「ポーチの中に、小さな機械は入ってないかい?」

そう言われて、テルはポーチの中を探る。

手に機械の感触があたる。

そっと、ポーチから出すと、その機械は青色をしていて・・・

「そうそう。それです。ちょっと、貸していただけますか?」

テルはその機械を差し出す。

「どうも。」

ロウさんはそう言いながら、自分の機械も取り出して作業を始めた。

リヴォルブさんは、一弥さんや敦眞さんとお話をしている。

「はいどーぞー」

手渡された機械の画面を見ると

「ロウ・レヴィ」と名前が記され、緑色に光っている。

「ロウさん、これは?」

「これはですね、友達登録・・・とでも言うのでしょうか

出会った人同士がこれに記録をしあうことで、居場所をいつでも確認できるようになります。

それと・・・これは滅多にないことですが・・・」

ロウさんが言葉を濁らせる。

「?」

「この緑色が、灰色に変わった場合その人物は・・・命を絶った ということになります。」

滅多にありませんから。と言ってロウさんは笑う。

それがどうしても、ありそうな気がして。

・・・。


操作を思い出すと、ロウさんの名前から、居場所を割り出す。

≪メガロポリス広場に移動しています・・・≫

・・・?

こちらに移動してきているのだろうか。

だとするとむやみに動かない方がいいし・・・。

この人ごみの中で歩くのも気が進まない。

なんて面倒臭がっていると、正面から見慣れた姿が現れる。

その姿は駆け足でこちらへ来ると、微笑みかけた。

「一段落、ついたんですか?」

「おかげ様で。」

「少し、散歩しましょうか。」

そういうとロウさんは、私の手を引いて歩きだした。

初めてであった数日前と同じように。

どこから取り出したのか、ロウさんは私に飲み物を手渡す。

「どうぞ。」

「・・・どうも。」

沈黙が流れる。

聞くべきでは、ないのだろうか。

リヴォルブさんの変わりようは、不自然であったから。

「どうしたんですか?」

ロウさんに話しかけられ、驚く。

考えていたことがバレていないといいんだけれど・・・

「何か、考え事ですか?」

その質問にテルは再び驚き、黙り込む。

「なんでも相談に乗りますよ」

そう言いながらロウさんは飲み物をズルズルとすする。

「リヴォルブさんとロウさんって、どんな関係なんですか?」

ロウさんに聞こえるか聞こえないかの大きさで呟く。

うーん と、ロウさんは唸る。

やはり、聞くべきではなかったのだろうか。

「・・・ただの、元ギルメンだよ」

そうロウさんは言うものの、ロウさんの顔はそう言っていなかった。

「知りたかったら、一弥に聞くといい。僕は何も言えないから・・・」

ロウさんは俯いてしまった。

「もう、おかえり。ミントさんにも挨拶してないでしょう?」

「ミントさん?」

「ギルドマスターです。」

ん?

・・・リヴォルブさんは、マスターじゃなかったのね。

テルは ふ、と苦笑する。

思い込みも困るわね。

気がつくと、目の前には数分前に見た扉。

大きな、大きな、白銀色の扉。

ロウさんの姿は、もうなかった。


「ただいまです~」

ロビーには、たくさんの人。

こんなにいたのかしら・・・。

「おかえりなさーい」

なじみのある声に、知らない声も混じって。

誰にともなく、軽く会釈をすると自分の部屋に戻ることにした。

過去の話は、明日でいい。


長い長い廊下を歩く。

突き当りにあるのは私の部屋。

そして、私の部屋よりも壁際に・・・

ネームプレートがかかっていないお部屋。

最初に来た時は目につかなかったんだけれど、きっと物置ね。

自分の部屋の扉に目を移し、ドアノブを捻る。

・・・鍵を開けるのを忘れていたみたい。

慌ててポーチから鍵を取り出し、鍵を開けるとそこから中へ。

扉を開けるとすぐに、甘い香りが広がる。

私が加入する前に掃除してあったのかしら。

その香りに酔いながらも、部屋を眺める。

机、ベッド、ソファ、窓、キッチン・・・それから、バスルーム。

家賃、どれくらいかかるんだろう・・・。

自分のお財布を覗きこむと、悪寒が走る。

ソファに軽く腰掛けてみる。

ぐう・・・。

「!?」

そういえば、何も食べていなかった。

ピンクの壁掛け時計の針は、午後六時過ぎを指している。

部屋を抜け出して、ロビーへ戻る。

つくとすぐに、綺麗な人と目が合った。

その人は眼をぱちくりさせると、口を開いて一言。

「おはゆ~。はじめましてかなー?」

「こ こんばんは。はじめましてですっ」

アイドルは夜でも「おはよう」と挨拶するとか。

この人は、アイドルなのかな。

「マスター、ご飯にしますよー!」

奥から、リヴォさんの声。

マスター・・・?

この人が、ミント・クライスさん?

「はいはーい。今行くよー!」

リヴォルブさんの方へ叫ぶと、こちらを向いた。

「きみ、名前は?」

「テル・・・ テル・エルトアです。」

「テルちゃんね。ご飯食べますよっ」

「え。頂いていいんですか?」

「あっつんから聞いてないの?」

「ええ・・。」

「そっかー。ギルドでは、みんな揃ってご飯を食べるんですよー

 時間はだいたい6時ぐらいから。遠征とか行ってる人は帰ってきてから

 自分で作ってもらうことになってるの。」

「なるほどですー」

それじゃあ、行きますよ とミントさんは言うと

駆け足で大きなテーブルの方へ。

テルも慌てて追いかけると、敦眞さんが料理を運んでいる。

「今日はロースターのから揚げですよー!」

敦眞さんの一言で、テーブルから歓声があがる。

「デザートには、ソフトクリームマンから新鮮な生クリームをばっ」

テルが席につくと、ほとんどの料理が並べられていた。

「それでは!いただきますっ!」

『いただきまーす!』

学校のように、広いロビーに、声が響く。


「ふうー」

ご飯を食べて、部屋に戻るとテルはため息を。

ロウさんの曇った顔が脳裏をよぎる。

『僕が言えることじゃ―

すごく、哀しそうだった。

ロウさんに非があるから、リヴォルブさんはあんな態度なんだろうか。

ロウさんは、何をしたのだろう―

知らぬ間に、いらぬ妄想が出てきてやまない。

・・・・。

明日にのばすより、今日聞いてしまおう。

一息つくと、一弥さんの部屋へ。


「すいませーん・・・」

「はあい?・・・おや。どうしたんです」

「ちょっとお聞きしたいことが―」

テルの部屋と同じようなつくりの部屋。

違うことは、黒が基調の家具で揃えられていること。

椅子に座るように促され、とりあえず座る。

「で?なんです?」

「ロウさんと、リヴォルブさんの事なんですけど・・・」

一弥さんが顔を歪めた。

何を言い出すんだ。という顔・・・

いや、どうしたらいいんだろう という顔をしている。

「ふ 二人って何があったのかなって!」

「説明しても俺は構いませんが―」

語尾が延びる

「あまり、口外すべき事ではありませんよ。」

「?」

「聞いていれば解ります。ただ、俺がすべてを知っているわけではないので

 あっつんや、ブリュさん、りぼ本人に聞いてみるといいかと。」

「さて・・・。」

珈琲を両手に戻ってくると一弥さんは言葉を続ける。

「ギルドバトルはご存知ですか?」

受け取った珈琲が加糖であることを願いながら、視線を一弥さんに。

「ギルドバトル?」

「その様子だと、知らないんですねー」

当たり前か と呟くと、珈琲に口をつける。

「それじゃあ、ギルドバトルの説明も交えながらお話しましょう。」




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