ぺちゃんの勉強会。
原理・公理・定理・法則
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原理・公理・法則・定理
1、序。
原理・公理・定理・法則の違いを説明しようと思う。単なる言葉の説明なので、これと言った意味はないですが、物理や数学をやるうえで、これらの意味をきちんと把握していないと、混乱をまねくおそれがありますので。
2、原理
というわけで、まず原理について。物理ででてくる原理とは、経験や実験を元に明らかな事実として認められたある性質です。フムフムなるほどと納得できましたか?できないですね。要は、なぜそうなるかは証明できないけど、こういうものなんだから、こういうことにしておきましょうよ!というのが原理です。例を挙げましょう。力学の基本となる原理の一つです。摩擦のない水平な床の上に、ある物体を起きます。この物体は、人間でもリポ○タンDの空き瓶でもなんでもいいです。ここでは、余計なことを考えなくてすむように箱にでもしておきましょう。手軽な大きさの箱を想像してください。ちなみに、床の摩擦のみならず空気の抵抗も考えなくていいです。この箱に、力を加えるとどうでしょう?簡単ですね、ある速さで動き出します。しかも、力を加えた向きに一直線に動き出します。さぁ、この後にこの箱はどうなるでしょう?床には摩擦がありません、そして空気の抵抗もありません。よって、この箱は減速するようなことは考えにくいです。ましてや、急に加速したりなんてこともありません。平坦な道を自転車で走っていて、あるところでペダルをこぐのをやめて走っていたら、急に自転車が速くなったなんてことないですよね?そう、この箱は同じ速さのまま一直線動き続けます。こういう運動を等速直線運動といいます。難しく聞こえますが、要は同じ速さで一直線に進む運動です。あっ、ここでは一直線に進むっていうことが大事ですよ(なぜ大事かは後の章で説明します)!ここで少し考えてみてください、この箱には動き続けている間に、一切力は働いていません。力が働いていないのに運動しているなんて、ちょっとおかしいと思うかもしれませんが、間違っていません。さっきの自転車の例でもその通りです。ペダルをこいでいる間は、ペダルに力がはたらいていますが、こぐのをやめたら力はどこにも働いていないですね。つまり、結論として次のようにまとめることができます。『力が働いていない物体は静止、又は等速直線運動を未来永劫飽きもせず繰り返す』この事実は、決して証明することはできません。いくら、証明しようとしても無駄です。これが原理です。ちなみに、ここで紹介した原理は力学の第一法則というものです(また後で紹介します)。
この原理というものは、物理の理論を語るときにとても重要な役割をします。原理を出発点として、考えをめぐらし、法則を見つけるのです。要は、原理は物理の出発点といえます。原理がなかったら始まらないのです。
この原理というものは、物理の理論を語るときにとても重要な役割をします。原理を出発点として、考えをめぐらし、法則を見つけるのです。要は、原理は物理の出発点といえます。原理がなかったら始まらないのです。
3.公理
公理は、物理では出てきません。数学で出てくる言葉です。よって、あんまりここでは深く立ち入らないつもりです。ただ、この公理も経験や論理的に考えて、当たり前だろ!という物です。もちろん、証明なんてできません。原理の数学バージョンが公理だと思って差し支えないと思います。数学は、かなり古い学問でかつ正確で奥が深いので、差し支えるかもしれませんが…。例として、”実数の連続公理”や”選択公理”などがありますが、詳しくは他の素敵な本にあたってください。。。参考文献に載せておきましたので。
4.法則
物理においては、原理から導かれるものです。しかしそうは言っても、歴史的に見て、原理が先で法則が後ということは必ずしもなりたちません。たとえば、力学の歴史ではこんなことがあります。ちなみに、力学とはニュートンがまとめあげた運動に関する物理の理論体系です。そして、ニュートンは力学において三つの原理を最初に掲げて、理論を作っていきました。その理論の中には数々の法則が含まれています。たとえば、潮の満ち引きに関する法則や、惑星の運行に関する法則です。しかし、これらの法則はニュートンが原理を発見し、力学としてまとめ上げる前に、たくさんの科学者たちが観測や実験から発見していた法則だったのです。つまり、原理は確かに証明することはできません。しかしながら、勘や直感のみで与えられたものというわけでなく、もともと発見されていた法則をうまく説明することができる一つのモデルとして人為的に確立させた物だったのです。言い換えれば、原理を用いて既知の法則をきちんと導きだせるかということが、その原理が本当に正しいという裏づけになるのです。そして、もしこの原理(モデル)が導き出した既知の法則以外の新しい法則が、実験や観測に合わない場合、新たにこのモデルが修正されるのです。このようにして、古いモデルから新しいモデルに移行することによって物理は発展してきました。
5.定理
公理を元に論理的思考から導かれるものです。この論理的ってのがミソです。あっ、ちなみに数学でよく使われる場合の定理のことです。数学で一番大切なのは、計算ではなくて、この論理です!この論理思考がきちんとしていないと、僕のように数学難民になります。話がずれましたが、定理については言うことないです。法則の数学バージョンみたいなもんですから。
6.蛇足
なぜ、物理の話をするのに数学用語ともいうべき『公理』(と『定理』)を、この章で説明したかというと、物理をやるにはどうしても数学の力を頼るしかありません。もちろん、物理で出てくる数式にはかならず物理的な意味があります。しかし、ちゃんと数学を理解していないと正しい結果を得られないこともしばしばあります。また、物理は数学に頼りっきりというわけではなく、物理の側から数学サイドへ新しい研究分野を与えたりします。たとえば、ニュートンは、速さや加速度、また移動距離やエネルギーについて説明するのに、時間や距離の微小な量を考え、それらが格物理量を決めるのだとし、それを数学的にまとめて『微分積分』という新しい数学の一分野を作り出しました。そして、この微分積分は、物理の説明のために作られたにもかかわらず、数学において大きな役割を果たし、ものすごい発展をしました。もし、この微分積分が発見されていなかったら、現代数学は今の発展は見出せなかっただろうといわれています。このような例はいくらでもあります。変分原理や、ルジャンドル変換、ディラックのδ関数や、ファインマンの経路積分がそれです。つまり、物理と数学は互いに話題を提供しながら発展してきたという歴史を持つのです。物理を勉強しながら、数学を深く理解すれば、物理において強力な武器を得ることができると僕は思っています。結局、言いたいことは数学は物理を理解するのにとっても便利な道具だよということです。