数学においては、ある論理の正しさは証明により確保される。
しかし物理では、実験結果との整合性により正しさが評価されるため、有効数字の問題が生じ、正しさの証明は一筋縄ではいかない。
例えば数学で「1 + 1 = 2」を証明する場合、左辺が2であることを示せば十分である。
しかし、物理で「1 + 1 = 2」を証明する場合、左辺が2であることを示しても、有効数字1桁でしか正しくない。
有効数字二桁で評価したら、例えば「1.2+0.9=2.0」になっている可能性があるからだ。
「1.0 + 1.0 = 2.0」ならば有効数字2ケタで
正しいし、「1.000000 + 1.000000 = 2.000000」ならばかなり正しいと言える。
ところが、「完全に正しい」ことを証明するには、無限の有効数字を持って実験を行う必要があり、実際上不可能である。
(ちなみにキログラム原器の精度が8桁しか無いので、2011年現在、8桁以上合っていれば十分正しいと言える。工夫の仕様はいろいろあるが。)
つまり
「物理法則の正しさ」は、有効数字含めて評価される。
あるいは
「物理法則」はそれぞれ「正しさ」が異なる。
「ニュートン力学は間違っている。
相対性理論が正しい。」ではない。
「ニュートン力学よりも、相対性理論の方がより正しい。」というべきである。
ここでの「より正しい」は「より正確」「より精度が高い」と言い換えてもいい。
車を作るだけならニュートン力学の精度で十分であり、カーナビを作るなら相対論の精度が必要となる。
必要な精度の応じて、その精度内で十分正しい理論を使えばいいのである。
最終更新:2011年11月02日 00:56