キョン「……おい、もうやめようぜ。こんなの意味ないって」
ハルヒ「なに言ってんの!あんたたちのためにやってんでしょ!」グイグイ
キョン「ぐお……!ネクタイを引っ張るな!」
古泉「…そうですね、こればっかりは彼に賛成です。シミュレーションとはいえ、あのような役回りはちょっと……」
みくる「私もその……あんな人じゃないです……」
長門「………」
……まぁ、見ての通り、俺たちはこの涼宮ハルヒに馬鹿な寸劇をさせられているのだが、それはなぜかというと、学校の進路希望調査に遡る
ハルヒ「キョン、あんた進路希望調査書出したの?」
キョン「ん?まだ締切じゃないだろ」
ハルヒ「なに言ってんの!あーいうのはさっさと出しておいたほうがいいの!」
キョン「何も思い浮かばん。会社員とか?」
ハルヒ「……あんたバカ?会社員でもどんな企業の会社員がいいのよ?」
キョン「ん?うーむ、東証一部上場企業とか?」
ハルヒ「………」
ハルヒ「……あんた駄目すぎるわね。有希、あなたの進路志望調査書見せてあげなさい!」
長門「………(ぺらっ)」
キョン「……えーっとどれどれ?
……家事手伝い?」
長門「………」
ハルヒ「………」
キョン「………」
長門「……家事手伝いはセレブ。本に書いてあった」
ハルヒ「あ、あのね有希。家事手伝いは職業じゃないの」
長門「……では、自宅警備員とは?」
ハルヒ「………」
ハルヒ「とにかく自宅警備員も家事手伝いも職業には入らないの」
長門「……基準が分からない」
古泉「その二つは何の利益も生み出してないんですよ。まぁ家事手伝いは旦那さんの代わりに家事を全て請負っているという点で利益は生み出していると言えますが、進路志望という観点からは不適切でしょうね。」
長門「………」
キョン「…とりあえず適当に三校挙げて進学しますって言っていればいいんじゃないのか?」
ハルヒ「だめだめ!夢があって進路があるんだから!文系理系の選択だってあるし」
古泉「そうですね。人生においてのターニングポイントはたくさんありますが、文理選択はその一つと言えます」
キョン「……そーいうお前はもう決めたのか?」
古泉「ええ、もちろん」
ハルヒ「SOS団の団員である以上は、こーいうのも人並み以上に出来るようにならないとね。
有希とキョンは明日までに職業について研究してくること!」
キョン「なぜそうなる!いきなりは無理だろ」
ハルヒ「まぁ聞きなさい。あんたのノロマっぷりは団長であるあたしが一番把握しているわ」
キョン「………」
ハルヒ「だから今からここで色んな職業をシミュレートしてあげる」
キョン「……は?」
かくして、この職業シミュレーションとはかけ離れた、馬鹿げた寸劇の幕が開けたのである。
だがこの寸劇が大きな事件の始まりとは、当時の俺は知る由も無かった
そう、今の俺がこの一連の事件を題するならば……涼宮ハルヒの進路指導、とでも言うとしようか。