ハルヒ(…………)
ハルヒ「あ、私用事があるんだった!
有希は大丈夫だと思うけど、キョン!問題はあんたよ!今日のシミュレーションを踏まえてきっちりと進路を決めなさい!」
キョン(……あんなのに意味ないだろ)
ハルヒ「じゃあ、また明日ね!」
バタンッ
みくる「…………はぁ、疲れました」
古泉「慣れないキャラは難しいですね。
それはそうとキョンさんの駄目男ぶり、なかなか見事でしたよ」
キョン「やってて気分が悪いな、あーいうのは」
みくる「それが社会のつらさなのかもしれませんね」
夜、キョンの部屋にて
キョン「………だめだ。何も思いうかばん」
キョン(結局体良くハルヒに遊ばれただけじゃないのか…?)
キョン「だいたいシミュレートしてるのは職業じゃなくて職に就いた人間の生活じゃないかアレは。
……全く………」
ピンポ~ン
キョン「ん?こんな時間に誰だ?」
ドタドタドタ……
キョン「はーい」
ガチャッ
長門「………」
キョン「おう長門か。どうした?」
長門「涼宮ハルヒの宿題」
キョン「あぁ、あれが?長門はできたのか?」
長門「……まだ。だからここへ来た。
一人よりも、二人のほうが早い」
キョン「………」
長門「………」
キョン(……親が留守だとはいえ、女の子をこの時間に自室に入れるのはいかがなもなか)
長門「………そろそろ開始めたい」
キョン「あ、あぁ」(まぁ相手はあの長門だし、問題ないか)
長門「………」ドサッ
キョン「おわっ!?なんだこの紙の量は!?」
長門「給与水準等から優れた職業をピックアップした資料。あなたの力になる」
キョン「…そ、それはどうも」
………
……
…
キョン(これだけの資料があっても浮かばんもんは浮かばん)
長門「………」
キョン(…潜在意識として働くことを拒否してるのか?)
長門「……私のデータは」
キョン「いや、役に立ってるんだが、俺には荷が重すぎる職業ばかりだ」
キョン「弁護士は給与は高いが、司法試験は狭き門。会計士はそれより難しい。医者なんか生きた人の腹を切るなんてことは俺にはできない」
長門「……そう?」
キョン「あぁ」
長門「……私からも質問がある」
長門「あなたと行なったシミュレート」
キョン「あぁ、あれか。あれが?」
長門「………私の役割だったあの女性は、あなたたちから見るとどう感じるの…?」
キョン「…?
あぁ、そりゃ不幸な女性さ。旦那にあんな扱いされて」
長門「何故」
キョン「何故って……飯作って待ってるのに帰ってきて『いらん』とか言われたり」
長門「………」
キョン「あと、その……女遊びが激しかったり」
長門「………幸せじゃ……ないの?」
キョン「それはないと思うけどなぁ」
長門「………理解した」
ガタン
キョン「あれ?長門……。帰るのか?」
長門「私が長時間ここにいることは、あなたにとって問題かと思われる」
キョン(………否定はしない)
キョン「進路志望調査、書けてないだろ?いいのか?」
長門「……涼宮ハルヒはあなたをマークしている。私が書かなくてもしばらくは問題ないと推測する」
キョン「……なるほどね」
キョン「ありがとうな。データ、助かる」
長門「問題ない」
キョン「……送ろうか?夜道は危ないし」
長門「……ここでいい」
キョン「……わかった。じゃ、また明日な」
長門「……(こくん)」
バタンッ
長門「……………」