そして、月日は流れ、
ある秋の日……
キョン「数学は完璧かな?あとは物理を潰せば……」
ブルブルブル、ブルブルブル!
キョン「………なんだ?公衆電話?」
(ピッ)
キョン「もしもし」
電話『キョンさんのお電話でお間違えないでしょうか?』
キョン「は、はい?どちらさまですか?」
電話『早く病院へ来て下さい!涼宮さんが危篤状態に…!!』
キョン「なんだって!?」
チリンチリン!!チリンチリン!!
キョン「すみません!どいて下さい!!」
通行人「ゴラァ坊主!!歩道で自転車飛ばすな!!!」
キョン(危篤だと…!!なにやってんだよ!ハルヒ、もう少し頑張れ!!すぐ俺が助けてやるから!!だから、まだ死ぬな!!)
自動ドア『ウィーン』
受付B「こんにちは。受付はこちら…」
キョン「ハルヒ!!待ってろ!すぐ行く!!」
タッタッタッタ…!!
受付B「いまの…キョンくん?」
受付A「…どうかしたの?」
受付B「……いえ」
ハルヒ…!!もうすぐなんだ!!
俺は気付いた。お前を救うのは俺なんだ!
深い闇からお前を引っ張り上げるのは俺だけなんだ!!
俺は力をつける。だからもう少しまて!
もう少しだけ
待っててくれ!!!
ガラガラガラっ!!
キョン「ハルヒ!!!」
「……ばーか。だまされてやんの。
あんたはいつまでたってもノロマね…」
キョン「ハル…………」
ハルヒ「あら?あんたヒゲなんか生やしてんの?
……言っとくけど似合ってないわよ?」
キョン「ハルヒ……なのか?」
ハルヒ「………あたしの顔も忘れたの?あたしは正真正銘、涼宮ハルヒよ」
キョン「そんな、ことが………は、はは……」
ハルヒ「あんたその様子だとあたしの見舞いもさぼってたわね!
罰として売店に行ってケーキでも…」
キョン「ハルヒ!!!」
ハルヒ「きゃあ!?ちょ、ちょっと!ド変態!なに抱き付いてんの!?」
キョン「ば、馬鹿野郎…!!俺は……っ!俺は毎日見舞いに来てたっ……!!
来る日も来る日も…!!ずっとお前のそばにいたっ…!!
うっ……えぐっ………!
何度も葛藤した…!
逃げようともした…!!
だけど、やっぱり結論は一つだった…!お前のそばから離れられない…!いや、
お前を離したくないんだ…っ!!
馬鹿野郎…!この馬鹿野郎…!」
ハルヒ「………そう」
キョン「うわあああああああああぁぁぁぁ!!!」
多分俺もうすぐ寝るw
書き溜め?するかよそんなもんwwwwwwwwwwwwww
ガチャッ
医師「うおっ!?」
ハルヒ「きゃあ!ちょ、バカキョン!!いいかげんはなれなさい!!」
キョン「おわっ!ご、ごめんなさい、お見苦しいところを…」
医師「いえいえ、おかまいなく(…ごほん)」
ハルヒ「スケベ、死ねっ」
キョン「…………」
………
……
…
ハルヒ「zzz……」
医師「実は一昨日あたりから意識の方は戻っておりまして。
真っ先に貴方に知らせようと思ったんですが、涼宮さんに強くひきとめられまして」
キョン「で、ああやって呼び付けたわけですか。
……とんでもないことを考えますよほんと。寿命が縮みました」
医師「はっはっは!それを言うなら、私があなたに突然組み付かれたときの方こそ縮みましたよ」
キョン「や、やめてくださいよ!」
医師「それにしても不思議なこともあったもんです」
キョン「………?」
医師「………涼宮さん、意識が戻る前日は、本当に危篤状態だったんです」
キョン「なんですって!?」
医師「…はい。私どもも最悪の事態を想定しました。…ですが」
キョン「?」
医師「……私たちが立ち去った後です。なんと息を吹き返されまして。まるで神のご加護があったように、なんの前触れもなく、です」
キョン「はぁ…」
医師「検査をしたところ、まだ脳内に血腫は存在するものの、脳の機能は完全に回復していました」
キョン「………」
ドクン……
医師「不思議なこともあるものですね。あ、不思議といえば」
ドクン……
医師「あなたのお連れさんの女の子、毎日来ていたのに、涼宮さんの意識がもどったと思ったらパタリと来なくなりましたね」
ドクン……
キョン「すみません!!急用を思い出しました!!」
医師「…………」
ハルヒ「……行きました?あいつ」
医師「……はい」
ハルヒ「………ふぅ。全くもう、相変わらず世話がやけるんだから…」
医師「あんまり無茶をされないで下さい」
ハルヒ「…………」
医師「意識が戻られたのは本当に奇跡です。ですが、奇跡は奇跡であることをお忘れなく。
……現実は……」
ハルヒ「………分かってます」
ハルヒ「あたしはもうキョンに心配かけたくない……」
チリンチリン!!
通行人「おわっ!?あぶねぇぞゴラァ!!自転車は車道走れ車道!!」
キョン「すみません!すみません!」
キョン(長門……!あいつ、まさか……!)
長門はハルヒはもう助からないと断言していた
にも関わらず、ハルヒは奇跡的に息を吹き返した……
そして、その時を境に病院にこなくなった長門 ……
……俺はこの時、最悪の状況が組み上がっていくのを感じていた。
長門「……それはできない。私の任務は涼宮ハルヒの観察。
こちらからの極度の関与は
宇宙にとって致命的な歪みを発生させる可能性があるため、禁止されている」
長門はたしかにそう言っていた。
そうだ、そんな危険なことなら長門がするはずないじゃないか。
そうも思った。
……だけど、奇跡なんてものはこうも都合よくおこるのか?
……おこらないさ。都合よくは。
これは長門が起こした「意図的な」奇跡だ。
キョン「……馬鹿野郎!!勝手なことしやがって…!」
キョン(……無事でいてくれ!!)
長門の家の前
ドンドンドン!ドンドンドン!
キョン「長門!いるか!?開けるぞ!!」
ガチャッ!
キョン「………!!」
キョン(……こたつがない)
キョロキョロ
キョン(鍋も、やかんも……。生活の必需品がなにもない……!!)
キョン「………くそっ!」
ダッ
図書館にて
キョン「すみません!」
図書館司書「はーい。
……!!あなたは……」
キョン「すみません、今日、ここに女の子は来ませんでしたか…!?」
図書館司書「お、女の子といっても女性はたくさんご来館なさるので…」
キョン「ショートカットで、このくらいの背の、ちょっと大人しそうな女の子です!」
図書館司書「うーん、そんな子は今の所見てないですが……」
キョン「くっ…!分かりました…!どうもすみません」
キョン(くそ……!何処なんだ、長門…!!)
公園にて
キョン「長門ー!!どこだー!?」
電話『お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません』
キョン「……くそっ!」
キョン(……電話もだめか………!)
野良犬「ガルル……」
キョン(…………!)
野良犬「グルルル……!!」
キョン(……これは嫌な予感が)
野良犬「ワウワウワゥ!!!」
キョン「うわあっ!」
チリンチリン、チリンチリン!
キョン「すみません!通ります!通ります!」
キョン(あとはどこだ?どこを探してない!?)
ギャル男A「……でよwwwwwwwその合コンで知り合った女がかなりしつこいのwwwwwww」
ギャル男B「それマジで?wwwwwwwマジKYwwwwwwwパネェwwwwwwwwwwwwww」
キョン「………!!」
キョン(歩行者!!こっちに気付いてないのか!?)
キョン「ぶ!ぶつかる!!うわああ!!」
キキーッ!!
ドンガラガッシャーン!!!
キョン「いたたた………」
ギャル男A「お、おい、やばくね?」
ギャル男B「壁と正面衝突だよオイ……」
ギャル男A「……あのー。大丈夫ッスか?」
キョン「……くっそ……。……うわっ!?」
ギャル男B「!?」
コロコロコロ……
キョン「前輪が外れた…」
キョン(………こうなったら走るしか…!)
タッタッタッタ…!
ギャル男A「………」
ギャル男B「………」
結局その日は町中をかたっぱしから走ってまわった。
図書館
公園
川辺
商店街
喫茶店……。
キョン「ハアッ……!ハアッ……!」
キョン「ハァッ……ハァッ………」
キョン(くっそ……。町の中はもうほとんど見てまわった…)
キョン(……探すところはもう………。)
キョン「………まだだ!……あともう一周…!」
ズキン……
キョン「痛っ…!?」
キョン(足が……!)
キョン(さっき壁と正面衝突した時に…!)
キョン「くっ……」フラフラ
通行人A「………?(じろじろ)」
通行人B「……あの、大丈夫ですか?」
キョン「…………っ……!」
キョン(この足だとどこまでいけるか…。くそっ…!)
キョン「……もう一度だ!もう一度考えよう」
…長門の行きそうな場所だ。
…長門が好きな場所だ。
分かるだろ?キョン…!
お前は誰よりも長門を知ってるんだろ?
キョン「考えろ!!気付くんだ!キョン!!!」
-----…………!!