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  • 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)
  • 【朝倉涼子の帰還】

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

【朝倉涼子の帰還】

最終更新:2020年03月13日 10:53

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集
 朝っぱらから嫌な予感がぎゅんぎゅんしていた。
 良い予感なんてのは当たらないくせに悪い予感なんてのはよくよく当たるもんで、それは当たって欲しくないものほどよく当たるってことが今までの俺の乏しい人生経験が結論付けており、結論付けられているからこそ対処のしようもあるというものだが対処しようってときほど対処方法が見当たらないのもよくあることで、目にプレアデス星団みたいな輝きを宿したハルヒが何かを言い出したときくらいにどうしようもない状況に俺は置かれていた。


『放課後誰もいなくなったら、二年*組の教室に来て』


 俺が朝学校にやってきて自分の下駄箱を開けると上履きの上に乗っていた紙切れにはそう書いてあった。
 その丸みを帯びた文字を見た瞬間、記憶の片隅にあった戦慄が蘇る。
 オレンジ色の教室。長い髪の女。ナイフ。そして閉ざされた空間。
 その文字はどう考えても消えたはずの元クラスメイト、朝倉涼子のもので――


 奇しくも今日は去年のあの日と同じ日付だった。


 妙な感覚だった。壮絶な危機感に襲われながらも俺は何故か同時に義務感のようなものに苛まれていた。
 1時間目の休み時間、当然の策として長門のクラスに長門の姿を探しに行った俺は今日は休みだという話を聞いて嫌な予感を倍増させ、その後何度か長門の家に電話したにも関わらず長門が出なかったことにますます戦慄し、もはや相談できる相手が誰もいないということに気付いて愕然とした。
 ハルヒに話したら何を言われるか分からんし朝比奈さんに言っても仕方がない。古泉に言おうかとも思ったがあのニヤケ顔を思い出してすぐさまその案は却下した。もちろん喜緑さんにも聞いておこうかとも思ったが彼女も休みだということを知って俺は地獄から這い上がろうとして蜘蛛の糸を切られたカンダタのような気分になった。
 というかこんなあからさまな罠は放っとけばいいのだがそういうわけにもいかなかった。
 何故だか分からんが、行かなければいけないような気がしたのだ。
 そこで何が起きようとも甘んじて受け入れねばならないような、そんな気分だった。




 心臓がありえない速度で脈打っている。長門がいなかったためにハルヒは早々にSOS団の活動を切り上げ、解放された俺は
適当に時間を潰し自分のクラスの教室の戸の前に立っていた。
 意を決して戸を開いた俺の耳に流麗な、だが俺にとっては予想通りでかつ絶望的な声が届けられた。


「遅いよ」


 朝倉涼子が、そこにいた。
「……やっぱりお前か」
「分かってたんだ。入ったら?」
 入るわけがねえだろう。話が早すぎるぜ。最初からナイフを握ってやがる。
「何故お前がここにいる? 急進派の仕業か。長門と喜緑さんが学校に来なかったのもそのせいだな?」
 俺は朝倉を睨み付けたまま、教室には足を踏み入れずに言った。
「話が早いわね。そのとおり。悪いけど、あなたには死んでもらうわ」
 くそ。やっぱり来なきゃよかった。何で俺はこんな飛んで火にいる夏の虫そのまんまな行動をとっちまったんだ。
「あ?」
 突然背中に軽い衝撃を感じた。と同時、俺はまんまと教室の中に足を踏み入れてしまい教室はあっさりとコンクリートの壁で覆い尽くされた。
「くっ……」
 朝倉がまるで悪意を感じさせない笑みのまま立っている。何をされたのかは分からんが、今のは確実にこいつの仕業だ。
「正直言ってあまり時間がないのよ。上は長門さんと喜緑さんを押さえ込むので手一杯だし、それに……」
 そこまで言って朝倉は口を閉ざした。一瞬、何かを案じるように眉をひそめた後笑みを取り戻し、
「それじゃあ、死んで!」
 ナイフを構えると地面を蹴って一気に突進してきた。
 その時だった。
 天井をぶち破るような音とともに瓦礫の山が降って――何だ、このどこかで見たような光景は。
「――ちょっと、早すぎるんじゃない?」
「あら、わたしはちょっと遅すぎたと思ったんだけど」
 全く同じ音質を持った声が言葉を交わす。
 信じがたい光景だった。
 俺の目の前で朝倉の凶刃を抑えていた北高のセーラー服を着た女――


「ごめんね、遅れちゃって」


 長い髪をたなびかせながら俺にそう詫びたのは紛れもなく、朝倉涼子だった。
「情報封鎖が甘すぎるのよ。長門さんに指摘されるのも当然だわ」
「よく出てこられたわね」
 一方がナイフを突き出しもう一方がその刃を素手で抑えるという体勢のまま動かない二人の朝倉は何故か噛み合っていないような会話を繰り返す。
「そんなに難しいことじゃないわよ。だって“わたし”が望んだことだもの」
「“あなた”も、長門さんのようになりたいの?」
「ええ、もちろん。“あなた”は違うの? そうでしょうね。“あなた”はもう“わたし”じゃないもの」
もうまったくワケが解らない。解る奴がいたらここに来い。そして俺に説明しろ。
「せっかくここに来るように仕向けたのに……あなたね。彼の足を止めておいたのは」
「足を止めさせることしかできなかったけどね。でも、間に合ってよかったわ」
 いったい何が起きてるってんだ。二人も朝倉がいて、しかも互いにしか分からんような会話をしてる。いや、自分と会話してるんだから自分しか分からないのは当然か? ああもう、そんなことはどうでもいい。いったい何なんだこの状況は。
「でもわざわざ教室に呼ばなくたってよかったと思わない? 殺すなら通り魔だって何だっていいじゃない」
「それは……そう。そういうことだったの」
ナイフを抑えている方の朝倉が余裕そうな笑みを浮かべているのに対して、ナイフを突き出している方の朝倉は忌々しそうに表情を歪めた。
「何となく分かっていたけどね。気に入らないわ」
「別にいいわよ。わたしもあなたのことは好きじゃないもの」
どうやら俺のことを守ってくれているらしい方の朝倉の声も次第に刺々しいものになっていく。何の喧嘩なんだよ。
「やっぱりあなたとは分かり合えそうもないわ」
「それでいいんじゃない? わたしだって分かり合いたくないもの」
ナイフが発光を始める。あの時のように。同時にナイフを突き立てていた方の朝倉――ええい、面倒くさい。もう朝倉と朝倉(偽)でいいな。気分的に俺を襲ってきた方の朝倉を(偽)ということにしておこう――はナイフを手放して大きく飛び上がり後退した。
 音も立てずにふわりと着地すると、そこでやっと朝倉(偽)は笑みを取り戻し、
「でも、本当に勝てると思ってるの? 実権はわたしが握っているのよ。分かるでしょう? この空間はわたしの情報制御下にあるのよ」
「ええ、そうね。でも言ったでしょ? わたしはあなただって。それはあなたも分かってるはずだけど」
 だが朝倉は笑みを崩さない。取り戻したはずの笑みを崩したのは朝倉(偽)の方だった。
「!! まさか……」
「残念だったわね。一つ一つのプログラムが甘いから、こういうことになるのよ」
 朝倉(偽)の動きが止まる。まるで足を地面に固定されたようだった。
「さて……あいつの動きは止めたし、ちゃんと説明しないとね」
 朝倉が俺の方を振り向いた。その顔に浮かんでいたのは安心させるような笑みで、俺はようやく緊張を解いた。
「どういう……ことだ」
「そうねえ、まあだいたいはあなたの考えているとおりなんだけど……」
 お前が二人いるなんて考えは頭のどっこにもなかったぜ。
「とりあえずそれについて説明しないとね」
 朝倉はもう一人の自分の方に振り返って、
「まず言っておかなきゃならないのは、あれはわたしとは別の存在なんかじゃなく、わたしそのものだってこと」
 話の流れから何となくそうかもしれないとは思ったが。……本気か?
「本気よ。わたしがあいつから分離した……っていうのが一番正しいかしらね」
 朝倉(偽)は憮然とした面持ちのまま俺たちを見据えている。
「言ってしまえばあいつは統合思念体の急進派、というかその意識そのものと言ってもいいかもね。
そしてわたしは、わたし自身の自意識が生み出した、もう一人のわたし。わたしの方がコピーだっていうのは気に食わないけど」
 (偽)をつける方を間違ってたか? だが今更表記を変える気にはならんな。こいつを偽者だというのは何だか忍びない気がする。
「あなたには謝っておかなくちゃ。……ごめんなさい。二度もあなたを殺そうとして」
 本当にすまなそうに言う朝倉に俺は意表を突かれた。こいつが俺に対して罪悪感を感じているとは。
 いや、それよりも――
「長門が世界を改変したとき……あれはやっぱりお前だったのか。長門の、バックアップとしての」
「ええ、そう。だいぶ情報操作は受けていたけど。長門さんが再構成したんでしょうね。多分、無意識のうちに」
 やはりそうか。あれは、あの朝倉は長門が望んだものだったのか。
 と、朝倉は一つ深呼吸して、
「……余裕に見えるかもしれないけど、実はけっこう裏では情報戦で消耗してるのよ。一気に話したいことだけ話すけど、いい?」
「……分かった」
「一度目にあなたを殺そうとしたときね、あれ、急進派に半分操られてたのよ。……言い訳に聞こえるかもしれないけど」
 何となくそんなことだろうと思ってたさ。だが、半分ってのは何なんだ。
「わざわざわたしがあんな回りくどいやり方をしたこと、気にならない?」
 言われてみれば、妙だ。さっきこいつらもそんなことを言っていた。
「急進派みたいな直接的な行動を好むような意識が、あんな非効率的なことをするわけがないでしょう? あれはわたしがやったの」
 朝倉が朝倉(偽)の方を見たのに倣うと、朝倉(偽)は溜息を一つついて、
「まさかあそこまで抑えられるとは思ってなかったわよ。そのせいで殺し損ねちゃった」
「さぞかし残念だったでしょうね。わたしもあそこまでできるとは思ってなかったわ」
 朝倉は再び俺の方へ向き直る。
「あなた、あのとき長門さんのことを信用してなかったでしょう?」
「ああ……正直なところはな」
「だから利用したのよ。“わたし”の行動を。わたしがあなたを襲い長門さんに守らせることであなたに長門さんを信用させるために」
 不意に節分のときの、鬼の面をつけた長門の姿がフラッシュバックする。
 改変された3日間。復活した朝倉。泣いた赤鬼……。
 やっぱり、長門だって望んじゃいなかったんだ。仲間を消すなんてことは。
「でも、これは賭けだった。“わたし”にできたのは、あの状況を作り出すことだけだったから。上手くいくかどうかは長門さん次第だったの。あのときの“わたし”は本気だったから。でも、長門さんは上手くやってくれたわ。ちゃんとあなたを守り切った」
 長門の話をしていて思い出した。本来なら真っ先に聞いておかなきゃならなかったことだ。
「朝倉、長門……と、喜緑さんは無事なのか?」
 朝倉は真剣な表情を微笑に変えて、
「大丈夫よ。大事にはなっていないと思うわ。あくまでも行動を制限されていただけだから。長門さんと喜緑さんがそう簡単にやられると思う?」
「……そうか」
「でも、よかった。ちゃんと長門さんのことを心配してくれてたみたいで」
 当たり前だ。あいつの身に何かあったら俺もハルヒも黙っちゃいねえ。
「一つ聞きたいんだけど、それ、長門さんに恩を感じてるからってだけじゃないよね?」
「あいつに恩を感じてるからだとか、ちょっとした同情がないかと言えば嘘になるけどな。そんな卑怯な理由だけであいつを庇ったりはしねえよ。
あいつは俺たちの大事な仲間だからな」
「ふうん」
 朝倉は何故か少しだけ不満そうな表情を浮かべていたが、それ以上は追求してこなかった。
「……それで、二度目。長門さんが世界を改変しちゃったときのことだけど。あれにもちゃんと理由があるの」
「ああ」
「急進派のインターフェースである以上、わたしの任務は涼宮さんの変化を促すこと。それはあなたを殺すという行動に集約されていたのよ。そしてあの世界改変のとき、わたしは長門さんでも抑えることのできなかったわたしのインターフェースとしての行動原理によって暴走した」
 ……それが、俺を殺そうとした理由か。
「そう……信じてくれるの?」
「信じるさ」
 俺は長門の表情すら読める男だぜ。お前くらい表情のはっきりしてる奴が嘘を言ってるかどうかくらい分かる。
「……ありがとね、キョンくん」
 思わず朝倉をマジマジと見てしまった。こいつも俺をあだ名で呼ぶのか。俺をあだ名で呼ぶのは俺に心を開いた指標か何かなのかとか、そんなどうでもいいことを考えちまった。
「でも……」
 朝倉は朝倉(偽)をきっと見据えた。
「それだけじゃないわ。あいつがあなたを殺そうとした理由」
 朝倉(偽)は嫌らしい笑みを浮かべて、
「どういうことかしら?」
「本当はあなた、観測対象のことなんてどうでもよかったんでしょう? そんなに長門さんが羨ましかったの?」
「あら、あなただってそれは同じじゃない? “あなた”は“わたし”なんでしょう?」
「確かにそうだけど……わたしはそんなこと望んでないわ」
「どうかしらね」
 そこまで言って朝倉(偽)はふっと鼻で笑った。
「朝倉、どういうことだ?」
「さっき言ったでしょう? あれは急進派の意識に限りなく近いの。……急進派は主流派に対して憤りを感じていたのよ。変化を待つばかりでは、何も変わらない。だからわたしを操ってあなたを殺そうとした。でも、“わたし”も急進派と同じように、主流派のインターフェースである長門さんに……そうね、嫉妬とでも言ったらいいのかしら。とにかくそういうものを感じていたのよ。涼宮さんと彼女にとっての鍵であるあなたに選ばれた、長門さんにね。だから、“わたし”はあなたを殺すことで自分の欲求を満たそうとした」
 二人の朝倉の視線が再びぶつかる。
「あなたが望んでいたのは変化でも、任務の達成でもない。長門さんが絶望する姿よ。違う?」
 朝倉(偽)は口元を更に歪ませて、
「ばれちゃった?」
「そんなにバックアップって役割が嫌だった?」
「ええ、窮屈な立場だったわ。観測対象の変化を促したいのに、自分一人では何の行動も起こせないんだもの。長門さんは自分から行動を起こそうとしないし」
「ふざけないでよ」
 朝倉の眼光が更に鋭くなる。が、朝倉(偽)は笑みを崩さずに、
「ふざけてるのはあなたじゃない。いったい何に毒されればそんなふうになれるの? 長門さん? それとも彼?」
「黙りなさい」
 朝倉が右腕を伸ばし手を広げると、光の粒子が集まり朝倉(偽)のもと同じナイフが現れた。
「もう終わりにするわ。時間もあまり残されていないし。統合思念体によろしく言っておいてくれる?」
 朝倉はナイフを朝倉(偽)へと向ける。だが朝倉(偽)の笑みは消えない。
「……ねえ、わたしが何の対策もしていなかったと思う?」
「何のこと?」
「あのときの長門さんと同じ。まあ立場は逆だけれど。わたしがこの空間に崩壊因子を埋め込んでいなかったって、あなた証明できる?」
「……!! まさか、そんな……」
 朝倉(偽)の言葉に今度は朝倉がたじろいだ。何だ、いったい?
「わたしが今回再構成されたのは、彼を殺すため。ただそれだけよ。別にわたしは有機生命体としての生活に未練なんてないし、任務が終わればこの肉体は用済み。彼を情報制御空間にさえ誘い込めれば、後は丸ごと全部情報連結を解除してしまえばいいだけのこと。
わたしがそうする可能性、まさか思いつかなかったの?」
「そんな、だって……」
「爪が甘かったわね。そんなだから長門さんに指摘されるのよ」
 朝倉(偽)の不敵な笑みに朝倉はわずかに下唇を噛んだ。ナイフを握る手が震える。
「どちらにしても、彼がこの空間に入り込んでしまった以上、わたしの勝ちは決定していたってこと。わたしを消したいのなら、どうぞ。好きにするといいわ。“わたし”は統合思念体の構成情報に戻るだけだし」
 朝倉(偽)は腕を広げここぞとばかりに微笑んだ。朝倉はナイフを握ったままもう一人の自分を鋭い目つきで睨んでいる。
 だが、俺はと言えば妙な違和感を覚えていた。今こうして笑っている朝倉(偽)と、さっきまで狼狽していたこいつがどうしても重ならない。
 そもそもやり方が回りくどすぎる。俺を教室に誘い込んだのは朝倉の手回しなのは分かるとして、そんな手があるなら最初から連結の解除とやらをしておけばよかったんじゃないのか? それとも、朝倉の狼狽する姿を見るためにあえて待っていた?
 それもおかしい。こいつが統合思念体の一部だってんなら、事が終わってからいくらでもほくそ笑むことだってできるんじゃないのか?
 もしかしたら――
「どうしたの? やっぱり怖い? 死ぬのがさ。『死』なんて有機生命体の一概念に過ぎないじゃない。馬鹿らしい」
 こいつもどこかで、朝倉と同じことを望んでいるんじゃないのか?
 分離し切れなかった2つの意識が、心の片隅でせめぎ合いをしているんじゃないだろうか。
 そんなことを考えながら俺の頭はやけに冷静だった。
 まるで――


 俺たちがちゃんとこの空間を脱出できるという確信があるかのように。


 俺はナイフを握ったまま震える朝倉の手を握った。朝倉の体が震え、ゆっくりとこちらを振り向く。
「心配すんな朝倉。大丈夫だ」
「え……?」
「いいじゃねえか。どっちにしたってあいつを倒さない限りは終わらないんだろう? それに、あいつの言ってることが本当だって証拠もない。罠でもいい。堂々と踏んでやろうじゃねえか。俺はもう踏んじまってるしな。今更どうってこたねえよ」
「でも……」
 朝倉が不安げな顔で俺を見つめる。
 よせよ。そんな顔はお前には似合わねえぜ。いつも明るい人気者で頼れるクラスの委員長。それがお前だろ?
「いいか朝倉。俺はお前を信じる。だからお前も信じろ。きっと大丈夫だ」
 俺は朝倉(偽)の方を見て、口元を歪めてみせた。朝倉(偽)は口元こそ笑みを形作りながらも、面白くなさそうに眉をひそめた。
「宇宙のどこかにいる情報意識体とやらに喧嘩を売るのも悪くない。ハルヒが喜びそうな話だぜ。敵は急進派だけなんだろう? 何かあったら他の派閥が何とかしてくれるんじゃねえか。それに、俺が死んだりしたらハルヒも長門も、古泉や朝比奈さんだって黙っちゃいないだろうさ。っていうか死ぬ気がしねえ。何だかよく分からんけどな。ちゃんと生きて帰れる気がするんだよ。俺も、お前も」
 朝倉の不安はまだ消えていない。俺は言葉を続ける。
「だから、やっちまえ。どうなろうと知ったことか。あっさり罠にかかっちまった俺が悪いんだ。お前は悪くない。
俺にできることなんか何にもねえけどな。それでもお前を見届けてやることくらいはできるぜ」
 そこまで言って手を離すと朝倉は俯いたまま呟いた。
「……ありがとう」
 きっと朝倉は顔を上げる。強い決意を秘めた輝きを放つ、真っ直ぐな瞳で目の前のもう一人の自分を見据えた。そして、
「さよなら、死んで!」
 強い踏み込みで朝倉(偽)に飛び掛り、その胸にナイフを突き立てた。朝倉(偽)は抵抗しない。いや、できなかったのか。
ナイフのぶつかる鈍い音と共に朝倉(偽)の胸から鮮血が滴り落ちる。
「……あなたも所詮長門さんと同じね。そんなに操り主のことが嫌い?」
 朝倉(偽)は血を吐きながら嘲るような笑みを浮かべ朝倉を見た。
「ええ、そうね。長門さんと同じで構わないわ。統合思念体は……まあ、作ってくれたことには感謝しているけれど」
 もう一人の自分にナイフを突き刺したまま、朝倉は強い口調で続ける。
「でも、わたしの自意識はわたしのものだわ。誰の好きにもさせない。キョンくんも……」
 そこまで言って朝倉は俺の方を振り向く。何もかも吹っ切れたような、そんなさっぱりとした微笑を浮かべていた。
「……今度はわたしが守る番だわ。だって――」
 朝倉(偽)に向き直ると、朝倉は突き立てたナイフを思いっ切り抜き取った。血飛沫が飛び朝倉(偽)が体勢を大きく崩す。
「だってわたしは、長門さんのバックアップだもの」
 瞬間、朝倉(偽)の体が発光を始める。過去二回見た情報連結解除とやらと同じように足元から光の粒となって消えていく。
「ふうん……やっぱりあなたもそっちを選ぶんだ?」
 朝倉(偽)の嘲笑は消えない。それどころか、哀れむような色さえ浮かべていた。
「まあいいけどね。どちらにしてもわたしには関係のないことだわ。本当に……」
 朝倉(偽)が一瞬俺の方を見る。あの長門が改変した世界で見た殺人鬼朝倉のものと同じ笑み。
「急進派のインターフェースが聞いて呆れるわね」
「“わたし”は本当におしゃべりが好きね」
 もう一人の自分の言葉を黙って聞いていた朝倉がようやく口を開く。
「でももうわたしは急進派のインターフェースなんかじゃないわ。もちろん、主流派のものでも、穏健派のものでもない」
 清々しい声で朝倉は言う。目の前にいる自分と、そして自分自身に言い聞かせるように。
「わたしが辿るのは長門さんと同じ道。喜緑さんには迷惑をかけるかもしれないけれど……」
 揺るぎのない真っ直ぐな声。朝比奈さん(大)のお使いをこなしていたあの八日間の長門の言葉が思い出される。
「それでもわたしは“わたし”を許すつもりはないわ。操られていたのだとしても、暴走していたのだとしても、やったことに変わりはないもの」
 そこまで言うと朝倉は俺の方を振り向く。
「全ての償いができるとは思っていない。でも、キョンくんが認めてくれた。だから、わたしは生きるの」
「付き合いきれないわね」
 朝倉(偽)はもう首まで消えかけていた。そう言って諦めたように首を振ると朝倉(偽)はいつかのように笑いながら、
「もし生きて帰れたら、長門さんたちとお幸せに。じゃあね」


 そうして、朝倉(偽)は完全に消失した。


「よくやった、朝倉」
 気が付けば本物の朝倉も脚が消え始めていた。そして、俺も。
 だが慌てることはない。想定の範囲内さ。
「ねえ、キョンくん……」
「何だ」
 朝倉が振り向く。不安げな瞳が俺を見つめる。
「本当にこれで……よかったのかしら?」
「いいのさ」
 俺はいつか長門にしてやったように励ますような笑みを浮かべて言った。
「どの道これしか方法はなかったんだ。お前だって、このクソ忌々しい空間にずっと閉じ込められてるくらいだったらいっそ消えちまった方がいいだろ? 俺は嫌だね。好きじゃないんだよ、こういう『閉鎖空間』はな」
 朝倉は一瞬きょとんとした顔になった後ふっと小さく笑って、
「そうかな……わたしは、キョンくんがいてくれたらそれでいいけど」
 下手な冗談言うじゃねえよ。長門に会いたいんだろ? 俺は会いたいね。もちろん、ハルヒと朝比奈さんと、ついでに古泉ともな。
「そうね……。まずは、会って謝らなくちゃ」
 俺たちの体は既に胸の辺りまで消えていた。
 もうすぐ俺たちは完全に消失する。『この世界』から。
 もしかしたら本当にこれが最期かもしれん。向こうの世界に帰れる保証もない。
 だが俺は確信していた。これは終わりなんかじゃない。俺たちはきっと、元の世界に帰れる。
 そして、朝倉にとってはこれが始まりなんだ。こいつは生まれ変わった。
「朝倉!」
 もう首まで光の粒になっている。消えちまう前に言っておかなきゃならないことがある。
「また明日な!!」
 明日会えるかどうかなんて知ったこっちゃない。だけど――クラスメイトと分かれる時は、普通こう言うもんだろ?
 朝倉が微笑む。細めたその目から、一筋の涙が零れ落ちた。
「また……明日……!!」


 視界が白くなる。意識が遠のく。
 まるで――世界が光に包まれたようだった。




「…………」
 目を開けた途端にオレンジ色の光が差し込んできて、俺は思わず目を細める。
目をゆっくりと開けて窓の外に目をやると黄昏が空に広がっていた。
 辺りを見回すと、間違いない、ここは俺のクラスの教室で、俺は自分の席に座って眠っていたようだ。
 ……いや、違う。
 夕暮れの教室に立っていた消えたはずの朝倉。いつかと同じ極彩色の空間。そして俺を救ったもう一人の朝倉。
 その全てが鮮明に脳裏に蘇ってきた。
 俺は戻ってきたのだ。あの空間から。
「朝倉!」
 立ち上がって朝倉の名を叫ぶ。返事はない。
 俺だけが、あの空間から脱出できたのか……。
 いや、違う。そんなはずはない。そんなことがあってたまるか。
 絶対にあいつは戻ってくる。そしてまた俺たちのクラスにやってきてクラスメイトたちの歓声を浴びるんだ。
 必ずまた会える。約束したんだ。また明日――俺たちは、普通のクラスメイトとして。
 だから帰ろう。帰ってさっさと飯食って寝て――と、その前に長門と喜緑さんの無事を確認しとくのも忘れちゃいけないな――、明日朝早くに起きてこの教室に一番乗りしてやる。
 あいつはきっと――待っていてくれるはずだ。




 俺はいつものように学校へと続く坂をえっちらおっちらと登っていた。
 いつもと違うのは、この道を歩いてる時間がいつもの1時間以上早く、他に歩いてるような奴が誰もいないってことだ。
 目的はただ一つ。教室に一番乗りするために。
 いや、違うな。きっと俺より先に来て、俺を待っている奴がいるはずだ。
 自然と早足になり、いつもより早く坂を登りきった俺は昇降口で靴を履き替え、ついに駆け足となって階段を1段飛ばしで駆け上がる。
 少しでも早く、あいつに会いに行くために。
 きっとクラスの連中は驚くだろう。一年前にカナダに転校したはずのクラスメイトが、突然戻ってくるんだ。そりゃあ大騒ぎに違いない。
 ハルヒは間違いなく目をつけるだろうし、あわよくばSOS団に引っ張りこんじまうかもしれない。
万が一そうでなかったとしても俺がハルヒに口聞きしてやったっていいし、長門も許してくれるだろう。
 誰もあいつを拒みはしない。誰もがあいつを笑って迎え入れるだろう。俺でさえ、その準備が整ってるんだからな。
 階段を登り廊下を走って自分のクラスの戸の前まで来ると一つ深呼吸をして乱れた呼吸を整える。
 希望と確信の入り混じった心持ちで俺は戸を勢いよく開いた。
「……よお」
 窓際に立って校庭を眺めていたそいつは、俺の声に気付き長い髪を揺らしてゆっくりと振り向くと俺の姿を見て微笑む。
 次に聞こえてくるであろう言葉を俺は何となく分かっていた。だから先に心の中でつっこんでおこう。


 お前はいつから、そこにいたんだ?


 屈託のない明るい少女の笑みを浮かべてそいつは言った。
「遅いよ……罰金、かな?」

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