今日も部室とうへと足を運ぶ。
ここに足を運ぶことが日課になってしまった自分がちょっと忌々しい。
「うひゃあ…あ…や、やめてくださぁ~い……」
「みくるちゃん!はやく着替えるのよ!!!」
あの馬鹿…またやってやがる
今日という今日は止めなくては。
バタンッ
「ハルヒ!またやってるのか!いい加減にしろ!!!朝比奈さんが嫌がってるだろう!」
「み…見ないでくださ~い…」
「何よキョン!あんたは雑用係なんだから団長に反抗する権利はないわよ!!!」
朝比奈さんすいません、バシっと言わせてください。
このままではあなたはずっとハルヒの言うとおりにさせられますよ。
「何言ってるんだ!団長なら少しは団員の気持ちも考えろ!朝比奈さんがかわいそうだろ!!!」
「うるさいわよ!団長の言うことはちゃんと聞くのが団員なの!!!団長への反抗は許されないわ!!!」
「朝比奈さんの気持ちも少しは考えろって言ってるんだ!!!仮にも上級生だぞ!朝比奈さんはお前のおもちゃじゃない!!!」
「何言ってるのよ!!!みくるちゃんは私のおもちゃよ!!!」
このとき生まれて初めて、「頭に血がのぼる」というのがわかった気がする。
目の前が真っ赤になった。
このクソ女、何が団長だ、ふざけんな。
「このやろ……!!!」
俺の手を誰かがきつく握ってやがる。
誰だよこの野郎。手を離せ馬鹿。この女は殴られなきゃわかんねんだよ。
振り返ると、そこには俺の握った拳を押さえている古泉がいた。
俺は無意識のうちにハルヒを殴ろうとしていた。
「少し落ち着いてください。あなたらしくないですよ。」
ハルヒは少し驚いたような表情で俺を見ていた。
朝比奈さんは半泣きしながらも、今のこの状況に驚きを隠しきれない。
「ちょっときてください。」
古泉は少し強い力で俺の腕を引っ張って部室とうから出て行った。
「今の行動はあなたらしくないですよ。一体どうしたのですか。」
俺もやっと少しずつ冷静になってきた。
「もしもあの時あなたが涼宮さんを殴っていたら、SOS団は崩壊していましたよ。そしたら涼宮さんも機嫌が不安定になる。そうするとまたあの例の閉鎖空間を生み出してしまうというわけです。少し冷静に考えてください。」
「すまなかった…反省するよ…」
「また涼宮さんと仲を取り戻してくださいよ。あの空間の拡大を抑えるためにも。」
「ああ…わかったよ…」
バタン
ドアが激しく開いた。
「今日はもう帰るわ!!!」
そのままハルヒはズカズカと帰っていった。
朝比奈さんは元の制服姿に戻っていた。
次の日
俺が教室へ入ると、ハルヒは俺と目を合わせようとしないでずっと窓の外を見ていた。
俺もなんとなく顔を合わせにくい。
俺はそのままハルヒの前の席に座った。
無言
とにかく気まずかった。
授業が始まっても、俺もハルヒも話をすることはなかった。
いつもならたえず後ろからペンでつつかれて、今日の部活は何をしようかとかをハルヒのほうから話かけてくるのだが、ハルヒはずっと窓の外を見たまま目を合わせようとしない。
そんな気まずい雰囲気の中、とうとう4時限目が終わり、昼休みとなった。
そこで俺は勇気をふりしぼり、学食へ行こうとするハルヒに話しかけた。
「ハ……ハルヒ」
「な、なによ」
ハルヒは少し慌てたような表情を見せた。俺と目を合わせようとしない。
そんなハルヒを見ていると、俺も少し顔が熱くなってくる。
「そ…その…なんだ…き…昨日は悪かった。謝る。ゴメン」
「わ…私のほうも少しやりすぎちゃったわ。あんたの言ってることは正しかったわよ。ごめんなさい。」
ハルヒに謝られたのは初めてだ。
そんな少し申しわけなさそうなハルヒの表情はけっこう可愛かった。
「その…俺、今日弁当持ってきてないんだ。今から学食行くんだったら、一緒に食べないか?」
「うん!そうしましょう!」
最高の100万ワットくらいありそうな笑顔だった。
考えてみると、もしあそこで古泉が止めてくれなかったら、ということを想像するとゾッとする。
今回は古泉にも感謝しないとな。ありがとよ、古泉。
END