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  • 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)
  • Black Lily・第四章

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

Black Lily・第四章

最終更新:2020年03月13日 12:53

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集

 翌日。
「何読んでるんだ?」
 休み時間にトイレから戻ると、カバーつきの文庫を読んでいた由梨が目に止まった。
「解体新書」
 医学書かよ。
「おもしろいか?」
「べつに」
 そうかい……。ん、何か懐かしいやり取りだな、これ。
「本、自分で買ったのか?」
「姉に借りた」
 何とまぁ。有希が貸したのだろうか? にしては趣味がオカルトだが。
「このクラスには慣れたか?」
「べつに」
 こいつの口癖は「べつに」なのだろうか。中身も長門そのままかと思いきや、微かに違いがあるようだ。
「あなた」
 受け答え一方だった由梨が、本から目を離さずに言った。何だ?
「長門有希は好き?」
「なっ!」
 何を言い出すんだ!? というか、話に何の脈絡もない。それもあれか、調査の一環か?
「周囲の人間との関係についての理解も必要。感情と呼ばれる概念についてわたしは理解しないが、事実は把握しておく必要がある」
 由梨の背中から妙なプレッシャーを感じる。ノーコメントってのはダメ……なんだろうな。


「好きか嫌いかで言えば好きだ。だがな――」
「……」
 たった今教室に入ってきた有希と目が合った。
 一体どこ行ってたんだ?
「コンピュータ研部長にバグチェック済みのゲームを返してきた」
「そ、そうか」
 なぜか浮気の証拠を隠さんとする亭主のごとき心境になるのはどうしてだろう。
「あなたこそ」
 有希は首を傾げ、
「どうしたの?」


「あんた、姉妹両方とうまく話すなんてやるわね」
 授業開始時、ハルヒの放った一言である。
 何の話だ。今俺は自分の顔面をクールダウンするのに集中してるんだから話しかけるなよ。
「有希が急に転校とか言い出すの、やっぱりおかしいじゃない? あの二人を仲良くさせれば、有希の転校話もなくなるんじゃないかと思うわけよ」
 やはり古泉との推測は外れちゃいなかった。結局こいつはこいつで納得してないのか。
「で? 何の話してたわけ?」
 ぐさりと俺の良心に研いだ刃が突き刺さる。さーて、先生がおいでなすったぞハルヒさん。授業授業。
「ごまかそうったってそうは行かないわよっ!」


「……」
「キョンくんどうしたんですか? 寝違えたの?」
 放課後の部室。朝比奈さんは首をさする俺に玄米茶を差し出しつつ優しいお言葉をかけてくださる。
いえいえ、これは力加減を知らない男勝り大将のヘッドロックのせいでですね……。
「おや、どうして涼宮さんに技をかけられるような事態になったのか、お聞かせ願いたいですね」
 ニコニコしながら古泉が言った。余計な詮索しないで舌をひっこめろ。

「みんなおまたせーっ!」
 技を仕掛けた張本人、涼宮ハルヒは最近直したばかりの蝶番を跳ね飛ばさんばかりの勢いでドアを押し開いた。お前、何も捨てられないくらい物を大事にするなら、この部室のこともいたわれよな。

「さ、入って入って!」
「……な!」
 続けて入ってきたのは長門姉妹であった。いや、有希はともかくだな。どうして由梨がいるんだ?
 入団勧誘は諦めたとか言ってなかったか、お前。
「仮入団ってことで来てもらったのよ。ね? ……おっと、待ってったら!」
 気配を無にして立ち去ろうとする由梨の首根っこをつかんで引き戻すハルヒ。やっぱり強制連行か。
 長門由梨はハルヒに肩を押されて朝比奈さんの隣に収まった。盛大に動転する年末の天使。
「と言うわけで、明日はひさびさに市内探索をするわよっ!」
 どういうわけでなのか誰一人理解していないと思うぞ。
「うるさいわね。決まったことにイチイチ口出すんじゃないの」
 市内探索か。確かにえらい久しぶりだ。夏の間はありえないほどに東奔西走していたし、秋は文化祭に時間の九割を持って行かれたしで、梅雨あたりからやった記憶がない。
 ……それはそうと、まだ映画の後始末終わってないんじゃないのか?

 ムダな心配だった。
 残りの時間は古泉一樹プロモーションクリップ集なる映像の撮影に費やされたからだ。
 何でも文化祭での古泉のホストっぷりに目をつけたハルヒの奸計によるもので、突如指名された古泉がうろたえる様は大いに見ものであったが、いざ撮りが始まると不愉快なくらい様になっていて、撮影場所のあちこちで女子生徒を中心としたギャラリーが沸いた。くそ、忌々しい。
 他のメンバーはサポートに回った。朝比奈さんはメイド衣装のままだったにもかかわらず大きく胸をなで下ろしていた。撮影の合間、長門姉妹、特に由梨の方に俺は視線をやってしまいがちだった。
由梨は変わらぬ無表情のまま、何が面白いのか分からないと言いたげに一部始終を見ていた。有希のほうは顎に手を当てて古泉を眺め思案顔をしていたが、ふいに「いける」とか聞こえたのは俺の気のせいで間違いないだろう。


 帰って飯食って即行で予備校に行き、復習する間もなく風呂から上がると疲れのまま寝た。
 一体自分のどこが疲れているのかもよく分からず翌日目を覚ますと、既に陽は高く昇っていた。


「……くん、キョンくん」
「んぁ?」
 ぼんやりする頭に声が響く。妹か。もう少し寝かせてくれ。
「もうお昼ですよ。起きてくださぁい」
 何か変だ。妹はこんな声じゃない気がする。
「あぁもうみくるちゃん、手ぬるいわよ! 起きろバカキョン!」

 のぅわっ!

 どうやら三十分後――。
「何寝坊してるわけ? 久しぶりだからって油断しすぎなんじゃないの。さすがキョンね」
 どこが寝ぼけてて何が誰なのか未だはっきりしないままに、俺はどこかの道を歩いていた。
「いやしかし、すでに僕は満足ですね。今日はもう十分に珍しいものを見られましたから」
 古泉である。そう、つまり、寝坊し大遅刻した俺を既に集合して待ちぼうけ食らっていた残りのメンバーが向かえに来て、それどころか家に上がりこんで俺を叩き起こしたと、そういうことらし――、

 …………。

「朝比奈さん!」
「はっ、はいぃ! なんでしょうかぁ!?」
 気付けば俺は隣を歩く妖精に質問していた。
「……俺の寝巻き姿、見ました?」
 朝比奈さんのスローな頷きを見る俺は、その時、万物の流れがゲル化したように感じられた。
 一生の不覚だ。俺を起こしたのは誰あろう朝比奈さんだった! つうかここにいる全員か!
「いやぁ、あなたの寝顔もひさびさに――」
 黙れ古泉! 何も言うな何も言うなぁっ!
「ハルヒ、すまない。急に頭が痛くなってきたから今日は帰らせ――」
「そんだけ寝てて頭痛になるはず……ないでしょうがっ!」
 ベルトをつかまれて引き戻された。大佐、作戦失敗であります。あぁっ、何たる恥辱!
「軽い遅刻どころじゃないんだし、そのくらいのはずかしめは受けて当然よねぇ?」
 この上なく楽しそうに言うハルヒだった。こんのサディストめ。
 その時、ぽんと俺の肩に手が置かれた。振り返る。
「……」
 長門、無言で分かったように頷くのはやめてくれ。そして同情するなら時を戻してくれ! いや、
時間旅行は朝比奈さんの専売特許か。

「んお?」
 その時になってようやく後ろに影武者の如く由梨がいることに気がついた。有希の真後ろを歩くその姿は、まさにワンダリング・シャドウである。
「お前も来てたのか」
 俺の言葉に由梨は正面を向いたままわずかに頷いた。俺は由梨が私服を着ていることに気付く。こいつの私服を初めて見た。髪の色と同じく黒いピーコートに、膝丈のプリーツはアッシュグレー。
「わたしが連れてきた」
 長門、いや、有希が言った。有希はファーのついた白いジャンパー、スカートは少し長め。さらにブーツを履いて……って、何俺は姉妹のファッションチェックをしてるんだ。
 ん。有希が由梨を連れてきたと? そりゃ一体どうしてだ?
「もともと彼女は涼宮ハルヒに誘いを受けていた」
 昨日のドサクサで分からなかったが、いつの間にかハルヒはそんな約束までしていたのか。
 俺は由梨をもう一度見て、
「ひょっとしてあいつは拒否しようとしたんじゃないのか?」
「そう」
「そう、ですかい」
 言葉もない。つまり有希もハルヒと同じく妹を強制連行してきたってことじゃないか。SOS団はいつから誘拐のアマチームになったのだろう。

 さて俺たちが入ったのは普段の市内探索では絶対来ないような場所に位置しているファミレスである。
「せっかくだから、今日はいつもと違う場所を散策しましょう!」
 との団長命令によって決まったことだ。

 今日のSOS団の市内探索は史上初めて六人で実施されており、食後の組み分けはどちらのチームも同じ人数になる。そして、組み分けの結果――!

「……」
「……」
 どう考えても狙ったとしか思えないんだが。
「……」
 前二人に倣って俺も三点リーダを並べてみたりして。
 こほん。もうお分かりだろう。つまり俺は長門姉妹とチームを組んだのだ! ひゃっほう!
 ……。
 問題なのは道行く人の目である。俺は想像する。見た目がほとんど同じ少女二名と連れ立って歩く一人の男子。
 ……。
 いつもより無言増量でお届けしております。つーか、はっきりいってそんな奴がいたら俺はどんな趣味だお前と小一時間ほど問い詰めたくなる。そして俺は今まさにそんな奴なのだった。

「どこか行きたいところあるか?」
 やっと出た一言に、顔を上げたのは姉だけであった。
「……」
 有希はせっかくなのでどこか提案しようと考える姿勢だったが、思い浮かばないのかそのまま数秒ごとにミリ単位で顎を引いていく。妹の由梨は姉の懊悩などどこ吹く風で道路を行き交う乗用車のそのまた向こうの空間を凝視している。見えないものを無理矢理見ているようにも見える。そこに宇宙生物でもいるのか。
「よし分かった。散歩でいいか?」
 有希は思考から戻って再度俺を見ると、やがてこくんと頷いた。
「妹くんはどうだい」
「……べつに」
 文字数最小限の会議により、めでたくそのように決まった。
 何にしろこっからじゃこの場合のベストチョイスだろう図書館は遠い。この辺はガキの頃から散々慣れ親しんだ近所だし、庭を散歩するようなもんだ。ヘタすりゃ中学時代の友人の一人くらいにばったり出くわすかもしれないが、そこは自分の悪運の強さを信じとこう。うん。


 散歩すると言っても今は十二月であり、晴れていても気分爽快とは言いがたいくらいには気温が下がっていた。有希のほうは自分から話をすることがたまにあって、散歩中の犬を見て、かつて坂中の飼い犬から凍結移動した情報生命素子がいかに有用かを話したり、近年の地球温暖化について語ったりしていた。
 由梨は長門が興味を示したものにつられるようにして空虚な目を向ける。どういうわけか退屈そうに見えなかった。有希を長いこと見てきた俺の観察眼が、その妹にも通用すればの話だが。

 やがて陽は西に向かい始め、気温は少しずつ低くなってくる。
 あまりに寒く散歩にも飽きてきた俺は、姉妹を連れこっそり一度家に戻ってお茶にした。集合まではあと一時間ある。
 俺以外の家族は出かけている。というか、そうでもない限りこんな状態で家に上がりこんだりしない。
「適当に座っててくれ。紅茶でいいよな?」
 偶然か何なのか、二人とも同時に頷いた。珍しく由梨と目が合ったが、すぐに背けられた。
 しかしまぁ、外だと車の往来などのノイズがあるが、室内だとなおのこと静かに感じるな。
 俺は一分で沈黙にギブアップを告げ、一度居間のテレビをつけたり、無意味に新聞を持ってきて広げたりしたのだが、それもものの五分で限界を感じ、俺は二人の長門に向き合った。
 有希はさっきから何か言いたそうにはしているがとっかかりがつかめないようで、由梨はこの何とも言えない空き時間にすら何も感想を持たないようだったが、
「訊きたい事がある」
 言ったのは由梨だった。
「何だ?」
「今日涼宮ハルヒが我々を集めたことの意味は」
 語尾を上げないからわかりづらいが、どうやら質問しているらしい。
 ハルヒが俺たちを集めた意味?
 そんなものがあるのなら今すぐ一年半前に時間遡行して第一回召集の時の俺に教えてやりたいくらいだが。あえて言うとするならば……
「目的はないさ。ただ、そうだな。散策そのものを楽しむっていうかさ」
 一般人に話しても理解してもらえるか分からない話を、ましてニューフェイスの宇宙人が理解できるとも思えなかったのはもちろんだが、それでも俺はできる限り伝えてみたかった。
「人間ってのはさ、こう、疲れた時とか悩んだ時とかに、ちょっと外に出て気晴らしするだけでもリフレッシュできるものなんだよ。……分かるか?」
 由梨は首を振って、
「理解はできない。しかし概念の把握はできる」
「そうか……」
 だろうと思ったさ。概念の把握ね。例えは悪いが、バンジージャンプしたことのない奴でも想像はできる。でもそれはあくまで想像にすぎないし、実際に体感しないとその感覚は本当には分からない。由梨が言ったのはおおよそそんな内容ではないだろうか。

 ふと目をやると、有希は窓の外を見つめていた。
 冬至まで二週間あまりの空は、早くも紫色に変わり始め、夜に向かおうとしている。
 有希の透き通った瞳は、どこまでも広がる空をそのまま映し出していた。

 俺は由梨に向き直る。
「お前も俺たちとしばらく一緒にいたら、分かるようになるかもしれないな」


 集合時間十分前になって、再集合はせずにそのまま解散という電話がハルヒからかかってきて、俺は少し驚いた。

「せっかくだし送ってくぜ」
 俺は宝石のような四つの瞳に向けて言った。

 外は北風が容赦なく吹きつけ、オーバーにマフラーを着てもまだ寒かった。
「二人とも寒くないか?」
 肩を並べて歩く道すがら、俺は尋ねる。
「べつに」
「へいき」
 前者が由梨、後者が有希。息が合ってるんだかずれてるんだか。
 しかしハルヒが再集合をかけなかったのは何でだろう? さっきのファミレス代持ちで罰ゲームは終了だろうか。前代未聞の大遅刻をしてしまったというのに。
 答えの出ない思索を止めて、俺は右を歩く由梨に言った。
「今日は楽しかったか?」
「……」
 由梨は何も言わなかった。首を動かすこともしない。まぁいいさ。そぞろ歩きのお供が増えただけでも、俺としては結構新鮮だったしな。

 別れ際に手を振ったのは有希だけで、由梨はそそくさと背を向けてマンションに入っていった。
 俺は有希も引っ込んだのを見届けると、二十分以上かかった道のりを引き返す。

「どうも」

 何気ない調子で現れたのは古泉だ。今回は随分と出番が多いなお前。つうか自分で増やしてるが。
「僕はあなたに必要とされそうなタイミングで登場しているだけですよ」
 古泉に対俺限定のイジリ趣味があるのはもはや既定事項であり、特別なツッコミを入れる気すらしない。必要とされそうなタイミングね。いつからお前は閉鎖空間の外でもエスパーになったんだ。
「一人で帰りたかったところなんだがな」
「それならば何も言わずにお供しますよ」
 空気を読めよ。むしろ話がしたいのは俺じゃなくお前だろうが。
 案の定、
「そろそろ新しいほうの長門さんにも情がわいて来たのではないですか」
 これだ。お前は定期的に人の心を検診しないと気が済まんのか。
「いえ、あの姉妹との散策がどのようなものだったのか、少しばかり興味がありましてね」
 それを言ったらお前がハルヒや朝比奈さんとどこに行ってたかも気になるがな。
「それはいいじゃないですか、またの機会ということで」
 どうやら言うつもりはないらしい。
「さて、長門さん姉妹のことですが。彼女たちは共存できない運命にあります。このまま行けば、姉の有希さんの方がいなくなってしまう」                    そんなことは言われなくても分かってる。
「そしてあなたは有希さんを助けたいと思っています」
 お前はどうなんだ。
「すでに言ったとおり、僕もできることなら長門さんにはまだ残っていてほしいと思っています」
 それで、何が言いたいんだよ。
「あなたに由梨さんを葬り去る覚悟がありますか?」
 ……。
 会話が途切れる。思わず俺は歩みを止める。半歩遅れて古泉も立ち止まる。
 俺に? どうして有希ではなく俺なのか、などと訊いたりしない。長門がここに留まりたいという思いは、同時に俺の願いでもあるからだ。長門は言った。自分が残るためには引継ぎの任を受けている由梨を消滅させる必要がある。
 古泉は、俺がこのままでは決断する機会を逃すと思ってわざわざ来たのかもしれない。
「今日のくじ引きの結果。あれは果たして偶然だったと思いますか?」
 逡巡する俺に古泉は言った。
「長門が組み合わせを変えたのか?」
 古泉は首を振って、
「違います。……涼宮さんがあらかじめ細工するのを僕は見ていました」
 そりゃ本当か。何だってまたそんなこと。
「あなたなら自分より上手に二人の仲を取り持つことができると思ったのでしょう。他に理由がありません」
 ひょっとして再集合しなかったのもそのせいか? ハルヒはそうまでして長門姉妹の関係をを良好にしたいのだろうか。
「涼宮さんは聡いお方ですから。直感的にあなた方の関係に気がついているのかもしれませんね」
 どいつもこいつも。これじゃまるで俺が力不足みたいじゃないか。
「あなたも分かっているでしょう。何も――」
「あぁ、分かってるさ。……心配してるんだろ」
 俺が古泉やハルヒの立場でも余計な世話を焼いてるかもしれないしな。
 古泉は抑え気味だった笑みを元に戻して、
「安心しました。分かっているのなら僕が来るまでもありませんでしたかね」
 そんなことはないぜ。すまないな。
「こちらこそ、わざわざ出てきてすみませんでした」
 それで満足したのか、古泉の表情は間もなく普段部室で見せる笑みに戻った。


 残り時間が少なくなってきている――。
 俺は結論を出しておかないといけない。自分の心を整理しておかなきゃならない。
 しかし、どうにも実感がわかないんだ。どっちかがもう一方を消すことへの実感がだ。
 設定でそうなってるだけでも、あいつらは姉妹なんだぞ?
 どうしてどっちかがいなくならなくちゃいけないんだ?
 情報統合思念体はほんとに何も分かっちゃいない。文字通りの無神経だ。
 生みの親なんだったら、もっと子どものことを考えてやれよ……。

 俺はさっきまで並んで歩いていた二人の長門を思い起こす。
 有希は由梨のことをどう思っているのだろう。
 あいつにとって妹の存在は、無感動だった過去の自分を見ていることと同じなんじゃないだろうか。

 かつての長門有希は、異時間同位体たる自分自身と同期をとることで、これから自分に起きることをあらかじめ知っていた。まさかその先の自分が自身の意思を尊重して同期を拒否するなどと思いはせず、一年前のあの日、世界改変の時に自分は消えてしまうと思っていた。今回もそうだ。自分がいなくなってしまうかもしれないとあいつは知り、迷った末にまだ生きていたいと言った。そして、そのためには新しく誕生したばかりの妹を消し去る必要があるとも。しかし今の有希ならば、人の気持ちを考えてあげることくらいできるはずだ。妹を葬ってしまうことに、姉は何を思っているのだろうか。


 取りとめのないことを考えて、ゆっくりと時間は過ぎた。
 眠る前になっても結論が出ることはなかった。

 ……そして、その夜が最終期限だったのだ。

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