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  • 海上探偵、谷口 ~その①~

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

海上探偵、谷口 ~その①~

最終更新:2020年03月18日 11:10

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集

 (※休暇探偵、谷口のつづきです)

 

 

小学生はすごいと思う。たとえば学校でなにかの拍子に友達と殴り合いの大喧嘩になったとする。もしそれが大人なら「もう、憎いあんチクショーめ! 覚えておいで、キー!」と禍根を残し、グルグルと心の中に黒い感情を蓄積させていくことだろう。しかし子供の場合は、1時間もしたらケンカのことなんかきれいサッパリ忘れてまた一緒に仲良く遊べるのだ。喧嘩がどんなに己の主義主張を賭けたドロドロの肉弾戦的展開になったとしても一晩寝たら、もうスッキリしちゃってる。さすがにちょっと意固地になったり照れたりして相手と接しづらくても、心の中ではもう許しているのである。決して憎しみや妬み、ツラミといったものを宵越しで持ち越したりしないのだ。大人にはこんへんの感覚が分からないものだが、子供にとってはそうあることが普通なんだろうな。
それが純真無垢な心というものであったり、無邪気といったりするものなんだろう。どんなに偉ぶったところで、たいていの大人はこんな無心的精神は持ちあわせていない。むしろ自分は偉いとかいう大人に限って、ドスグロベチャベチャ精神を胸の内側にもっていて、日夜あいつが嫌いだ、こいつが憎いと、自分の神経を磨耗させてまでわめき続けているのだろう。
非常にバカバカしいことだと思うし、そんなことはしたくないと切に願う。
だから、そんな子供の純粋さがたいそう羨ましい。


ホテルの自室でうつぶせの状態で目覚めた俺は、ベッドのシーツをべとべとにした自分の唾液が気持ち悪くて目をこすりながら起き上がった。
目を上げると、業務用冷蔵庫みたいな大きな窓からまぶしい陽の光が室内に差し込んでいた。ああ、そういえば俺は、海に来たんだった。
洗面所に行って顔を洗い歯をみがき、よれよれのシャツを着替えて部屋から出た。腹が減った。飯をくれ。あとコーヒー。
ロビーへ行くと、朝比奈さんとキョンが備え付けのソファーに座って何か話していた。俺の姿を見つけた朝比奈さんは、「おはよう」と言って手を振ってくれた。ありがたや、ありがたや。朝から大変よいものを見させていただきました。おはようございます。
その横で、キョンがあからさまに眉をひそめてそっぽ向いた。良かった。どうやら子供の純心さを失ってしまったのは、俺だけじゃなかったようだ。安心した。全然良くはないが。
「私たちこれからホテルの食堂へ行くところだけど、谷口くんたちも一緒に行かない?」
いいですね。行きましょう行きましょう。朝比奈さんのお誘いとあらば、どこへでも。
そっけない顔をしたキョンが、頭をかきながら立ち上がった。
「谷口。お前と一緒にいたあの子はいいのか? 長門さんだっけ。あの子はお前のつれなんだろ? 起きてくるまで待ってやれよ」
俺はムッとしたね。そうだろ? 俺たちに気に配っているようなことを言いつつも、その言葉の行間からは「お前と一緒にメシ食いになんていけるかよ。メシがまずくなるからさっさとそのへんの大衆食堂にでも行ってくれ。シッシッ」という意図がイヤでも感じられるのだ。
そこのあたりのことに気づいたのか、朝比奈さんも諭すような表情でキョンの腕を引っ張っている。いいんですよ、そんな愛想笑いを俺にむけなくても。俺は確かにキョンと同じく、ケンカした相手を無条件に許せるだけの純真さを失ってしまった。しかし俺には、キョンにはないものを持っているのですから。それは、大人げ。あと、分別ね。

俺はそっぽ向くキョンの隣に立ち、その肩に腕をからませた。露骨に嫌そうな表情で、キョンが横目で俺をみる。
そんな顔するなよ。昨日は一緒に駐在所の前で土下座した仲じゃないか。懇ろに朝飯でも食って、仲直りしようじゃないの。
「そうだよキョンくん。谷口くんもこう言ってくれてるんだし、昨日のことは忘れて、また仲良くしましょうよ。ね?」
朝比奈さんにかかっちゃキョンも形無しだ。口をへの字に曲げてしぶしぶその意見に同意した。
今日は楽しい楽しい朝食になりそうじゃないか。なあ、キョンくん。昔みたいにお隣の席に座りましょうね~。
だいぶ話がまとまったところで、長門が眠そうな目つきでやってきた。おはよう。
「………あ、しぇきしぇき」
いえー、ろっけんろー。


「おい谷口。卵焼きに醤油しかかかってないじゃないか。卵焼きにはやっぱり塩だろ。俺がかけてやるよ。おっとごめんよ、手がすべった。ちょっとかかり過ぎちまったかな? もののついでだ。これくらいはいけるよな?」
マジで? ありがとう。俺けっこう塩好きなんだ。中華料理店で焼きそば注文するときも絶対に塩焼きそばだし、ベビースターも塩味とチキン味以外は認めない派なんだ。いや~、うまそうだな。卵の黄身が白くて見えないや。
なんだよキョン。お前まだ眠そうな目してるじゃないか。ダメだぜ、バカンスの途中で居眠りなんてさ。せっかくの観光なんだから。しょうがない、俺が目ぇ覚ましてやるよ。味噌汁の中にこんだけ唐辛子いれておけばスッキリ目が覚めるだろ。よし、これだけ入れれば大丈夫だろ。唐辛子の入った味噌汁というよりも、唐辛子に味噌が入ってるって感じだもんな。あ、そういえばお前、いつもキムチ食べてるよな。辛党のお前さんにとっちゃ唐辛子なんて、パンチが足りないんじゃね? ついでだからソースとタバスコも追加してやるよ。いやいや、礼はいいって。俺とお前の仲じゃないか。
「……ありがとよ、谷口。あはははは…。おかげでバッチリ目が覚めたよ。目が覚めすぎて、ついでに何か別の感情まで目覚めてしまったようだよ」
うふふふふ。俺もお前の友情、しっかり受け取ったぜ。あとで便所こいや。

「………いいな。あの2人。とても仲がよさそう」
「そうね。男の人同士の友情って、女の子同士の友情とちょっと違うものね」
「………私はあまり人付き合いが得意じゃないから、友達といえる知人がいない。だからなおさらかも知れない」
「長門さん…。そうだったの。それじゃあ、私とお友達になりましょう?」
「………え?」
「長門さんのこと、いろいろ教えてくれないかな。何が好きで、どんなことに興味があって、最近なにか気になったことはあったか、とか聞きたいな」
「………どうして?」
「うーん、何も知らないより、どんな小さなことでも知っていた方がお話ししやすいから、かな? 誰かとお友達になりたいっていう気持ちを言葉にしたことがないからうまく言えないけど、お互いのことが分かっていればいるほど、仲良くなれそうな気がするの。だから私は長門さんのことを知ってみたいし、長門さんにも私のことを知ってもらいたいと思うの」
「………」
「あ、ごめんなさい。私、自分の都合でばかりしゃべっちゃって。長門さんがイヤだったらいいのよ。気にしないでね」
「………そうじゃない。とても嬉しい。今までそんなこと言ってもらったことなかったし。でもそんな感情を言語化したことがなかったから、なんて言っていいかわからなくて……ごめんなさい」
「いいのよ。謝らなくても」
「………」
「お茶、いる?」
「………うん」

「………あのふたり、まだやってる。いい加減やめればいいのに…」
「いいの、あの二人は。あれで。不安定に見えて、あれでけっこう安定してるんだから。キョンくんと谷口くんの関係は」
「………そうなの?」
「そ。男同士の友情って、女にはよく分からないことも多いのよ。だから、ちょっと羨ましかったりするの」
「………ふぅん」

「……ほんと。こんな時間が、いつまでも続けばいいのに…」
「………?」



腐れ縁って言うのかな。結局、俺と長門は、朝比奈さんとキョンの2人組と一緒にまたビーチに来ていた。朝比奈さんに誘われてきたわけだが、キョンのやつはムッツリと不承不承顔を維持しっぱなしだ。あの仏頂面男と一緒に休暇をエンジョイするのは我ながらどうかと思うが、いつまた昨日のように2人がちゅーしようと画策するかも分からない。すぐに止めに入れる位置で監視の目を光らせておけば、おいそれキョンもうかつな行動に出られまい。本当にまったく油断がならないんだから。あんたらはチューチュー星から来たベーザ星人ですかってんだ。
などとバカップルの生態についてツッコミを入れてばかりいても仕方ない。もっと別にツッコミを入れなければならない事態が起こっているのだ。
現在、朝比奈さんと長門は波打ち際でキャッキャと黄色い声をあげながらビニールボールをぽんぽんと打ち合っている。実に平和な光景である。
そして俺とキョンはというと、それを眺めながらビニールシートに腰を落ち着けボーっとしているのだ。おかしくね? なんかこの状況おかしくね? なんでやねん! ってツッコミを入れたい。
俺とキョンは朝食でモチベーションが下がりまくってビーチバレーに興じるエネルギーもエンプティーなのが大きな原因であるのだが、さらに嘆かわしい事態に陥っている俺たち。

「おい谷口、いいかげん暑いんだから、もうちょっとそっち寄れよ」
やだよ。さっき俺、こっちに3cmも寄ったばっかりじゃん。お前こそそっちに動けよ。暑苦しいんだから。
「ばっか。俺は、あれだよ。もういっぱいいっぱいなんだよ。これ以上移動したら、半分ケツがシートからはみ出るぜ」
いいじゃん別に。せっかくバカンスで浜辺に来てるんだし、半ケツといわずビーチの砂の上に座れよ。これから先の人生で、海辺の砂浜にケツをじっくり落ち着けることなんて一生ないことかもしれないぜ。そう思えば一生ものの宝物みたいに光り輝く体験じゃないか。10年後か20年後か、自分の息子に自慢してやれるじゃないか。父ちゃんは昔、砂浜の上に生身で座ったことがあるんだって。
「俺はいいよ。そこまで砂の感触に哲学的な意義を見出さないから。お前こそ今のうちに砂浜の感覚を味わっておいた方がいいんじゃないか? くじ引きの当選でもらえる旅行券使わないと、旅行にも来れないんだろ?」
行けるもん! いくら金がないからって、浜辺に旅行に来るくらいの所持金はあるもん! いやもうホントウザイ。なあ、頼むから、あと1cm。1cmだけそっち行ってくれよ。
「お前が1cm動けよ。0.5cmでいいからそっちに寄ってくれよ」

なにが悲しくて男同士、浜辺でセンチメートル単位の陣取り合戦に執念を燃やさねばならぬのか。一体俺は前世でどんな悪行を働いたというのか。なんという悲しき因果応報の戦い。
「なに心の貧しい言い合いしてるのよ。こんな見晴らしのいいところまで来て、ちっぽけな言い争い? よほどヒマなのね」
あきらかに罵りの色が濃厚な声が背後からした。俺とキョンはにらみ合いを一時中断し、一様に肩越しに背後へ視線を移す。
そこには大きな目を爛々と輝かせた涼宮ハルヒが立っていた。その後ろには、シュノーケルを手に持つ涼宮ハルヒの配下、古泉一樹の姿もある。
「奇遇ね、キョン。こんなところで会うなんて」
やれやれ。また『偶然』ですか。どうにもこの前から偶然がスパムメールなみにやって来ている気がするんだが。
「ハルヒじゃないか。どうしたんだ、こんなところへ」
お前が言えた義理じゃないだろ。俺にしてみりゃ、お前の方がホワイ?だ。
「どうしたもこうしたも。海に来るっていったら、理由はひとつに決まってるじゃないの」
だよな。まったく、キョンったら。バカな質問するのね。夏の海にわざわざ闇金融の人が群れを為してやってくるっていったら、理由は一つだろ。もうちょっと考えてものを言えよ。ほら、言ってやってよハルヒさん。
「ホエールウォッチングよ!」
そうだぞ。クジラの生態調査をするために決まってるじゃないか。


そんなこんながありまして。今俺たちは、『機関』の所有するとかいうクルーザーに乗って沖へ向かっていた。理由はただひとつ。ホエールさんを見に行くのだ。
「全速前進! 一路、鯨へむかって一直線よ! でも鯨をおどろかせるくらい近づいちゃいけないわ。あくまで友好的な接近なわけだから、刺激をあたえたら双方にとって望まない結果につながったりしかねないもの」
「了解しておりますよ、涼宮さん」
ちなみにそのクルーザーを運転しているのは古泉で、涼宮ハルヒは双眼鏡を片手に甲板で仁王立ちしている。その脇には、苦笑いをうかべる朝比奈さんと無表情な長門、キョンが控えている。なんでもこれから4人はトランプというものを嗜みながら、ウォッチングする対象であるホエールが現れるまで英気を養う構えなんだとか。ものは言いようだと思うね。いやはや。

ただ一つ、納得のいかないことがある。4人がクルーザーの甲板でトランプしようがカバディしようが、俺には関係ないけどさ。なぜ俺が給仕したり物を運んだりと下働きをさせられにゃならんのだ!?
「なに言ってるのよ。あんたみたいなヘボ探偵が一生かかっても乗れないようなクルーザーに乗せてあげてるのよ。有希のつきそいということで、しょうがなく。本来ならあんたなんて船尾に縄をくくりつけて、その先に結んだ浮き輪に放り込んでやってもいいところなのよ。そこをクルーザーに搭乗することを許可してあげた私の器量に感謝しなさい」
誰がするかアホ! 一般常識が欠落してるんじゃないの? 何が有希のつきそいだよ。嫌がる俺を無理矢理連れ込んで雑用させてるくせに。社会通念上じゃそういうのを拉致っていうんだよ。大体だな、初対面の長門をつかまえていきなり名前呼びはないだろう。最初のうちは長門さん、とか可愛らしく苗字呼びから始めてだな、ある程度仲がよくなってから「それじゃそろそろファーストネームなりニックネームなりにいきますか」となるわけだろうが。
「あんただって駐車場で始めて会ったとき、私のこと最初から呼び捨てしてたじゃない。第一、そういう発想自体が古いのよ。ねえ有希、私があなたのことを有希って呼ぶの、いや?」
「………別に」
「ほらごらんなさいヘボ探偵! 有希がいやって言ってなければ問題ないじゃない! 第三者が口出ししないでよね」
キー! なんて嫌味なガキなんざんしょ! 親の顔が見てみたい……こともないが、どういう教育を受けてきたんだ!?
などと言いつつも、きっちりオレンジジュースを均等に分けて入れている自分がちょっと健気でかわいいと思う。
まったくあのガキめ。今すぐ、神経に直撃するほどキンキンに冷やした酸味100%の苦み果汁を飲ませてやるから覚悟しろ。

「すいませんね。涼宮さんのことは、大目に見てあげてください」
風になびく前髪を整えながら、にやけ顔の古泉はそう言った。
俺は余ったオレンジジュースをペットボトルで運転席にいる古泉に持ってきてやったところだ。甲板よりも一段高いところにあるここからなら、涼宮ハルヒたちの動向が一目で観察できる。ちょうどババぬきでビリになったキョンが笑いものにされているところだった。
「涼宮さんは平素から、一般人の方と触れ合う機会がないですから。『機関』の構成員以外の方と遊べるのが、楽しくて仕方ないのです」
そういや、前に言ってたなお前。あの涼宮ハルヒが『機関』のお偉いさんだって。あの時はあんまりつっこんだ事を訊かなかったが、涼宮ってそんなに偉いのか? まあ、あいつ自身が偉いというか、あいつの親や親類縁者が『機関』の偉い手で、涼宮はその七光り、くらいことは想像がつくんだが。
「まあ確かに親の威光をうけて、という図が一番分かりやすいとは思いますが。それは大きな思い違いです。彼女の両親はごくごく普通の一般人でしたよ。不幸な事故のため、4年前に亡くなられてしまいましたが…」
そうだったのか。それは気の毒に…。


ってことは、あれか。涼宮ハルヒ個人が偉いというか、なんらかの優れた能力を持っていて、それが『機関』内で評価されているということか。日本社会界でも年功序列は過去の栄光で、今は実力至上主義になりつつあるもんな。
「そうですね。谷口さんのおっしゃられる通り、まさに涼宮さんにある種の『能力』があるからこそ、彼女は今の地位におられるわけです。まあ、あなたの頭の中に思い浮かべている『能力』という言葉と、僕が思い描いている『能力』の概念には、若干の差があるでしょうが」
俺が思ってる能力とは違う能力? 訳のわからないことを言いやがって。何が言いたいのかは分からないが俺の思っていることと違うって言うんなら、料理の腕がたつから『機関』でふんぞりかえって居られるってわけじゃなさそうだな。
「お料理の才能があるというわけじゃないですね。彼女の能力というのは」
おっと、そのへんにしとこうぜ。俺は好奇心でヤブをつついて蛇をおびき出すようなマネはしない主義なんだ。それ以上『機関』の立ち入った事情を聞いたら、イヤでもイヤなことに巻き込まれそうだ。もうこれで十分。知らぬが仏。聞か猿のかまえをとらせてもらうよ。
古泉は困ったふうに両手をひろげた。
「僕としたことが、余計なことを言ってしまったようですね。確かにあなたのおっしゃられる通り、『機関』に関わりたくないのなら、これ以上は聞かない方がいいでしょうね」
そうさ。俺は平凡な一般人なんだ。涼宮ハルヒみたいに恵まれた才能なんてなくたっていいから、平穏で幸せな一生を送りたいのさ。
では、この話題はこのへんで終わっておきましょうか。そう言って、古泉はハンドルに手を戻した。
「ただ、最後にひとつだけ言わせてください。涼宮さんの『能力』は、必ずしも彼女にとって福を呼ぶものではないのですよ。もしあなたの言われる通り、人の幸せが平穏で平凡に生涯を終えることだとすれば、彼女の力は、彼女にとって害となっているのかもしれません」
しんみりした古泉は、それ以上何も言わずクルーザーの操縦に専念し始めた。


昼食が終わっても、まだクジラ様がお見えになる気配はまったくない。レーダーに魚影なら映ってるんだがな。早いところ来てくれないかな。おクジラ様。
満腹になった涼宮ハルヒは船上を走り回るんじゃないかというくらいの上機嫌で、今度は王様ゲームをやろうと言い始めた。トランプでも王様ゲームでも好きにやってろよ。
「なに言ってるのよ。あんたもやるのよ」
はあ? ふざけるなよ。やっと洗い物が終わったんだから、俺は寝るんだ。こんだけコキ遣ってるんだから、睡眠くらい好きにとらせろよ。
「ほら、さっさと棒を引きなさいよ。チャンスよヘボ探偵。2本のうち1本は当たり棒。2分の1の確率で王様になれるのよ!」
うほ、俺さまが王様? いやあ、照れるねえ。どうしよう。なにしよう。うふふふふふ。
でれでれしつつ俺が引いた棒の先には、黒インクで「2」と書いてあった。
「残念だったわね、ヘボ探偵。ま、しょせんあんたなんかがゲームとは言え、王様になれるわけないわよね」
KINGと書かれた棒を傲然と掲げ持ち、涼宮ハルヒは鼻をならした。
たまたま王様の棒が最後に残ってただけじゃないか。なにを偉そうに。俺が2番の棒を引いてやったからこそ、お前は王の座に就けたのだぞ。つまりお前が鼻っ柱を伸ばしていられるのは俺のおかげってこった。ちっとは俺に感謝しろ。
「感謝してやってもいいわよ。感謝してあげるから、王様命令ね、谷口、何か一発芸をやりなさい」
はーい、王様。って、名指しかよ!? 番号の意味ないじゃん!?
「うっさいわね。王様ゲームは絶対君主の絶対王政なのよ。異論があるなら王様になってから言いなさい」
うぬぬぬぬ、成人式で中学生のころの大して親しくも無かった程度の知り合いと同じテーブル席になって気まずい思いをしたこともないガキが、言うじゃないか。
いいだろう。見せてやろう。この谷口さま必殺の抱腹絶倒一発芸を!

WAWAWAわすれもの~。うおっ!
…すまん。ごゆっくりぃ!

どうだ、超似てるだろ!? めっちゃ似てるだろ!? 俺、アニメの「涼宮ファルコンの抽出」に出てくる谷田の物まねが結構得意なんだ。
「さあ次いくわよ~」
次いくな! 待って、ちょっと待って。コメントは!? 俺の物まねに対するコメントは!?
「私は最後の棒でいいから。みんな引いて」
こらー! 無視するな! もう罵りでも何でもいいから反応してくださいお願いします!
「ヘボ探偵のわりにはけっこう似てたと思うわよ。あ、今度はみくるちゃんが王様か~」
コメント終わりかよ!?



  ~海上探偵、谷口 その②へつづく~

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