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  • 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)
  • 長門vs周防、三度

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

長門vs周防、三度

最終更新:2020年03月18日 11:23

haruhi_vip2

- view
だれでも歓迎! 編集

 

 (※これは長門vs周防、再びの続きです)

 

 

学校が夏期休暇にはいったかと思うと、九州地方沿岸に大型台風が発生した。徐々に北上の進路を映し出すニュース映像を観ていると、つくづく鬱屈した気分になる。そしてついにせっせと北上を続けた大型台風は、僕たち私たちの住むこの街にもやってきた。来なくてもいいのに。
天気予報によると今夜にも台風は我が家を直撃するらしい。今朝から尋常でない風が鳴き声のような音をあげて吹き荒れている。やれやれ。台風だか何だか知らないが、誰かさんのご機嫌を著しく刺激するようなことは、できるだけ控えてもらいたいのだ…。


部屋でおとなしく漫画などを読んでいると、下の階から母親の呼び声が聞こえた。悪い予感がしたものの、まさか無視をするわけにもいかないし、無視をしたからといって母親が俺への用向きを諦めるとは思えない。
ある程度何の用かは分かっていつつも、俺はだらだらと部屋を出て階下へ移動した。
案の定、母親の用件は俺の予想通り夕食の食材の調達だった。台風がくるから、あまり天候がひどくならないうちに買ってきてくれとのお言いつけだ。
こんな日に小学6年生の妹を買い物に行かせるわけにもいかない。母は家の台風対策で手が離せないし、父親は仕事で家にいない。となれば、お遣いの任務が達成できるのは現時点で俺だけということになる。まったく。消去法で言いつけられたら、反論のしようもない。

そんなわけで俺は手提げ袋と傘を持って家を出た。幸いにもまだ雨は降っていない。しかし風がかなり強い。暴風といっても良いレベルだ。その証拠に、さっきから目の前をどっかに貼ってあったと思われるポスターやゴミくず、立て看板などがごうごうと飛んで行く。
そういえばテレビを見ていると、今日の最大風速は35mとか言っていたような気がする。40mを超えたら人も飛ぶと思うのだが、身体の軽い人ならこれでも十分飛ぶかもしれない。現に俺も、重心を下げて前へ這うように歩くので精一杯の状態だ。
よく考えたらこれだけ風が強いんだから、俺が徒歩で出かけるよりも母親が車で出かけた方がずっと安全だし早いんじゃないだろうか。そう思うともう、ため息が出てくる。
また俺の目の前を大きな物体が風にさらわれて飛んでいった。強風だけでも身の危険を感じるんだ。その上、雨まで降ってくれるなよ。
「………大丈夫。降雨があるのは今日の15時以降。あなたが買い物を終えて帰宅するまでは雨は降らない」
気のせいだろうか。今、リアルな長門の声が聞こえたような…。ははは。さすがに幻聴だよな。まさか長門がこんなところにいるはずがない。まして、さっき俺の目の前を横切った物体が、長門である可能性なんて……
俺がついと目をやると、街路樹の枝にからまる長門の身体が見えた。

 


「………うかつだった」
俺がなんとか街路樹の上から長門を引き下ろす。いつものように無表情な顔でそう言う長門だが、その表情にはわずかに悔しさの色が見てとれる。
その顔色が、俺の脳裏にまざまざと忌まわしき記憶を呼び起こさせる。そう。町内早食い大会、サウナ我慢大会で、余人には理解しがたいプライドをかけて骨肉の争いを繰り広げる長門有希と周防九曜の姿だ。
俺は今しがた助け出したばかりの長門を歩道に立たせ、その服についたよごれを払い落としてやり、じゃあ気をつけて帰れよ、と注意を促して歩き出した。俺はまだ任務続行中の身なんだ。
「………待って。私の話を聞いて」
すまんな、長門。お前の事情を聞いて親身の理解を示してやりたいのはやまやまなんだが、俺は一刻を争う重大任務の最中なんだ。もし俺がこの任務に失敗するようなことがあれば、俺の家族が大変な目に遭ってしまう。
また今度ゆっくり聞いてやるから、その時にでもな。できれば2,3週間くらい後がいいな。
「………それでは遅すぎる。それでは、世界が崩壊してしまうかもしれない。あなたはそれでもいいの?」
お前な。そのキーワードを出したら俺がほいほい言うこと聞くと思ってるだろ。そうわいかないぜ。ちょ、腕つかむなよ。俺はもうこれ以上、宇宙人同士のどうでもいい諍いに巻き込まれたくないんだ。プライベートなことは自分で責任を負える範囲にとどめておきなさい!
どうせまた、何かの競争で周防に負けそうだとかいうんだろ?
「………分かっているならば話が早い」
話を早めようと思って言ったわけじゃないんだよ。大体さ。俺よりも古泉に相談した方がずっと力になれると思うぜ。俺は輝かしい何かの賞を受賞したこともないし、そういった華々しい経歴とは無縁の人間だ。大した助力になんてなりやしないぜ。
「………あなたのその反応は、予想できていた。だから既に古泉一樹には連絡を済ませてある。涼宮ハルヒと朝比奈みくるについても同様。後は、あなただけ」
ふと、俺は道路の反対車線側の歩道を見た。意図したわけじゃない。ただ長門とのやりといの中で顔を動かしていたら偶然、視界にはいってきただけだ。
反対車線側の歩道では、古泉とハルヒが街路樹の枝にひっかかった朝比奈さんをなんとか助けようとしているところだった。

 


あれから3日後。台風が過ぎて以降、雨が降ることもなく暑苦しい晴天の日が続いている。こんな日は夏休みの宿題の存在自体を忘れてダラダラと自室のクーラーの下でアンニュイしていたい気分だったのだが。
例によって俺たちは、またハルヒの号令一下、SOS団として集合することと相成った。
いや、号令を下したのはハルヒで合っているのだが、その集合の原因をつくったのは誰であろう、長門だった。他でもない。これはまたあの、長門vs周防の続投なのだ。
「いいわね、みんな。気合を入れて行くのよ!」
元気だけがとりえであることをつくづく感じさせるハルヒの激励を受け、古泉は幇間然としたスマイル。朝比奈さんも少し楽しそうなにこにこ顔。当の長門にいたっては無表情ながらも、その目からはやる気という名の闘志が音をたててあふれている。
やれやれだ。


長門と周防の宇宙人対決に立ち会うのはこれで3度目だが、今回の戦いの舞台は町内スタンプラリーだ。
なにをするかと問われれば、ルールは到って簡単。町内の各所を回り、どこかに設置されている関所に行き、そこで出されるクイズに答えてスタンプをもらう。タイムアタックで1番最初に全10個のスタンプを集めたチームが勝ち、というものだ。
前回、前々回の戦いは長門と周防の1対1、タイマン勝負であったにも関わらず、今回はなぜチーム戦なのか。何ゆえ最初から俺たちが巻き込まれること前提の競技内容であるのか。是非、オリエンテーリング終了後に長門に問い詰めてやりたいと思う。
「楽しければそれでいいじゃない! みんな、これはSOS団が力をあわせて乗り切るべき試練なのよ! 他の参加チームの連中に、私たちの結束力をみせてやるのよ!」

「だいぶ張り切っているようじゃないか。その調子で、全力投球でラリーに臨んでくれたまえ。相手は手ごわい方が張り合いが出る」
円陣を組むSOS団の背後から、我々を呼び止める声がする。聞き覚えのあるその声につられて振り返ると、そこには大き目の帽子をかぶった佐々木が立っていた。
そうか。今回はチーム戦なんだ。周防九曜が徒党を組むとなったら、この連中しかいないものな。
「─────」
無言で佐々木の脇にひかえる周防。
「あら、お久しぶりね、古泉さん。お元気? 森さんとは仲良くやっているかしら?」
橘京子。
「くだらんな。この宇宙人に頼まれて来てみれば、お子ちゃま向けのフィールドワークか? 実にくだらないな」
藤原。
何故だろう。小馬鹿にしたようなセリフとは裏腹に、4人分の水筒やタオルを一人で背負っている藤原が一番楽しそうに見えるのは。
「まあ、他の勢力との付き合いもあるしな。仕方なく、人数あわせに来てやったんだ。ありがたく思えよ宇宙人」
古泉と橘。長門と周防。朝比奈さんと藤原。すでに相対する勢力同士の無言の戦いが始まっていた。それに気づいていないハルヒと、気づいてはいるものの無視して飄々としている佐々木が、お互い呑気に挨拶を交わしている。
しかし今はその姿が、とても頼もしく見えた。

 

 


スタンプラリー開始から1時間が経過する頃には、我々SOS団は他チームの追随を許さないスピードでスタンプを集めまくり、早くも9個のスタンプを集め終えていた。
「これも、SOS団として町内不思議探索を行っていた成果ね! だいたいどのあたりに関所が設けられているか想像がつくもの。関所の場所さえ分かれば、スタンプを獲得するのなんて簡単なことよ!」
SOS団の勝利を信じて疑わないハルヒは、高笑いを上げながら道路の歩道を歩いていた。しかし、ハルヒの言うことももっともだ。毎週のように無駄なことばかりしていると思っていたが、まさかこんなところであの無意味探索に意義が表れるとは。
やはり人生に無駄な経験などひとつもないということだろうか。
まあ、俺にとってはこのスタンプラリーへの参加自体が無駄な行為といえなくもないのだが。でも、家でクーラーにあたりながらゴロゴロと怠惰に過ごすよりはずっと健康的か。
それに、なんだかんだ言っても仲間たちと一緒にひとつの目標に向かって行動するというのは、楽しいものだしな。


「それにしても、10個目の関所はどこにあるのでしょうか」
腕を組んであちこちに目配せをする古泉だが、それらしい物を発見するには至らないようだ。
「心当たりの場所には、もう行き尽くしましたし…。どこに行けばいいんでしょうか」
小ぶりな麦藁帽子をかぶった朝比奈さんが、小さくあくびを漏らす。これだけ探しても最後の関所がみつからないんだ。緊張がゆるんでくるのも仕方ないことだ。
「あれ、キョンじゃないか。1時間ぶりだね」
佐々木じゃないか。お前らもここに来てたのか。
「ああ。スタンプを9個集めることに成功したんだが、最後の関所が見つけられなくてね」
へえ。そっちも9個集めたのか。俺たちもなんだ。しかしいくら探しても、10番目の関所が見つからずに困っていたんだ。
「9個集めたチーム同士なんだ。せっかくだから、最後の関所で直接対決といかないか? レクリエーションなんだ。こういった演出的ハプニングが起こった方が、参加者も見学者も楽しめて面白い趣向になるんじゃないかな?」
佐々木はくっくっと、のどの奥で重低音ボイスのスズメがさえずるような独特の笑いをもらした。
「そうね。こうして9個スタンプが集まった者同士、対戦風に優勝を争った方が面白そうだし! みんなもそう思うでしょ?」
佐々木とハルヒがこう言っているんだ。その配下の我々が、異論など口にできるはずもない。
俺としても、ただただスピードのみを競ってこの暑い中、あてどもなく走り回るのは勘弁してもらいたい。最後の関所の位置も分かっていないんだからな。


「こんなところに居たんだ。探したよ」
メンチを切りあう長門と周防をどう扱ったものかと悩んでいると、道の先から国木田がやってきた。よう国木田。終業式以来だな。どうしたんだ、俺たちに何か用か?
「そうなんだよ、キョン。おや、そっちにいるのは佐々木さんじゃないか。久しぶりだね」
「そういうキミは国木田くん。長いこと会っていなかったような気がしたが、君もキョンと同じく変わっていないね。中学3年の頃と。嬉しい限りだよ。自分の記憶と現実との間にギャップが小さいというのは、安定した心持でいられる」
「そういう佐々木さんも変わっていないね」
にこやかに再会を喜び合っているところ悪いんだが、どうかしたのか国木田?
「ああ、そうだった。スタンプを9個集めたチームが2組いるけど、いつまで待っても最後の関所へ現れないからさ。待っているのが面倒になって呼びにきたんだよ」
呼びにきた? お前がか? なんで?
「いやあ。実は僕、このスタンプラリーの進行役の末席に携わっているんだ」
そうだったのか。それは知らなかった。話が早くて助かるよ。
「それでは国木田くん。再会に際して積もる話も互いにあるだろうが、まずはこのスタンプラリーに決着をつけよう。いつまでもこんな暑い陽の下で歩き回っていたのでは健康を阻害しかねない。陽の光はビタミンCの合成や血流新陳代謝の促進などに欠かせないものだが、こう紫外線が強くてはいたづらに真皮層の蛋白質を変質させてしまったり目や皮膚などへの疾患を増進してしまうだけだ」
「それには僕も同意見だよ。それじゃ、早いところ行こうか。なに、心配しなくてもすぐに着くさ」
そう言って国木田はてくてくと元きた方向へ歩き始めた。おい国木田。その10番目の関所って、どこなんだ?
俺の質問を受けて、いたづらっ子のように微笑む国木田がふりかえって応えた。
「キョンの家だよ」

 


ああ、と俺は思わず声をもらしてしまった。朝、家を出た頃にはなかったのに。いつの間にか俺の実家の周りに、火事でもあったのかというくらいたくさんの野次馬が集まってざわざわと騒いでいた。
冗談だよな…。とはかない一縷の望みをかけて家に飛び込んだ俺。そこには、大挙して押し寄せる群衆に愛想笑いを浮かべたままぺこぺこと頭を下げる我が両親の姿と、楽しげにはしゃぐ我が妹の姿があった。
俺はまた、ああ、と声をもらした。
「やっぽー! おかえりなさいキョンくん! ちょろんと家を借りているよ! なに、ご覧の通りご両親には了解をとって承諾済みの上でのことだから何も心配いらないよっ!」
……なにをやってるんですか鶴屋さん。正装してマイク持ってうかれているように見えますが…。
「そう見える? そう見える? いや~、実はそうなんだっ! 困ったね。この夏のスタンプラリー大会なんだけどね、なんと我が鶴屋家が主催なんだよね~。だから、なんかノリで私が司会をやることになっちゃってね! お姉さん参っちゃうな」
参っちゃってるのは俺の方ですよ。なんで鶴屋さん、俺の部屋から顔出してるんですか?
「だって、ここが割り当てられた司会者の立ち位置なんだから仕方ないじゃん。あ、でも安心するがいいっさ。ベッドの下は調べてないから。そこんところの空気は読んだつもりだよ~」
おおぉい!? 全然読めてないよ、空気読めてないよ! なんでこんな大勢の人の前でそんな誤解を受けるようなこと言ってるんスか!? マジで、マジで勘弁してくださいよ!
「安心しろ。ベッドの下は男の聖域だ。カミングアウトがあったとしても、誰も何とも思わないさ」
なんでちょっと優しいんだよ藤原。お前はもう黙ってろよ。なんていうか、お前が発言するごとにイラっとくるんだよ。頼むからもう帰ってくれよ。ていうか未来でもベッドの下かよ。もっといろんな意味で進歩しろよ未来の男。いや、男の未来。


「さあ、軽くデモンストレーションが終わったところで、本番にいっちゃうよ~! ちょっとした面白ハプニングのおかげで、なんとこの場に9個のスタンプを集めたチームが2組同時に集まったんだよね! これって、偶然の神様のおぼしめしだよねっ!」
鶴屋さんのマイクパフォーマンスでヒートアップする群集。もうどうでもいいからさっさと終わらせてくれよ…。テンション下がるわ…。
「本来ならこのスタンプラリーは早く10個のスタンプを集めたチームが勝利するスピード対決だけど、ここでもっともっとこのイベントを楽しめるよう、ルールをちょろっと変更しちゃうよっ! ここに集まった2つのチーム。今から出すクイズに正解して、10個目のスタンプを手に入れた方の組が、優勝チームとなるってのいうはどうかな!?」
さらに盛り上がる群集たち。なにしに来てるの、このヒマな人たち。
「おーし、みんな賛成してくれみたいだし。そういうルールで行こうと思うっさ! 両チーム、心の準備はOKかい!?」
もういいからさっさと始めてくださいよ。そしてさっさと終わらせてくださいよ。ああ、へこむわ…。
「おっといけない。もう一つ、この一戦を盛り上げるための追加ルールがあったのを忘れてたよ。実はもう一個、ルールが変更されるよ、みなの衆よく聞きな。今から両チームのリーダーの私物がここに用意されるよ。そして、負けた方のチームのリーダーの私物が、その場で爆破されてしまうという、とってもリスキーな掟っさ! どうにょろ? 燃えるっしょ?」
どうにょろ?じゃないですよ! 何で事前に断りもなしにそんなこと勝手に決めてるんです? おかしいじゃ……って、なんでおま、谷口! なんでお前が俺のMDプレイヤーを担いで来てるんだよ!?
「え? なんでって、さっき鶴屋さんが説明してたじゃんか。聴いてなかったのか? ダメだぜ、キョン。大事な話はちゃんと聴いておかないと」
お前に諭されるようなことは何ひとつとしてないよ。まさかお前、それを……
「さすがキョンね! 進んでリスキーなルールに動じることもなく私物を奉じるなんて。私は感動したわ! そこまでSOS団のために滅私奉公精神を持てるなんて! いいわ。今日のこのラリーのチームリーダーの地位はあなたの物よ、キョン!」
おいハルヒ、自分が嫌な役を引き受けたくない時に限って俺を持ち上げるなよ!


「………安心して。あなたの心意気を無駄にはしない」
よく考えたらここで私物を出すべきは長門じゃないか。長門と周防がそれぞれチームリーダーとしてクイズ対決をやり合ったらいいじゃないか。だから巻き込まれるのは嫌だったんだよ……
ほら見ろよ。あっちのチームは周防が私物を出してるぞ。なんか長門よりも周防の方が常識が……ち、違う! 周防の私物じゃない! あれは佐々木の中学の卒業アルバム! 周防が勝手に、なぜか持っていた佐々木のアルバムを差し出している! どっちも腹が黒いな宇宙人!
「僕の中学生活3年間の思い出が荼毘にふされるのは残念だけれど、ルールじゃしかたないね」
反論しろよ、佐々木! それでいいのか? こんなリアクション芸人みたいなその場限りのノリ企画のためなんかに、大事な一生の思い出をかけてもいいのか!?
「まあまあ。落ち着きなさいよ、キョン。出しちゃったものは仕方ないじゃない。あれは敵チームの出した物よ。私たちがあれこれ口出しする権利なんて無いわ。私たちは、あなたのMDプレイヤーを賭けるだけ」
かなり納得できないんだが……。最悪だよ、もう…。

「………私から、提案がある」
一歩踏み出した長門が、2階の俺の部屋から上半身を乗り出す鶴屋さんに向かって話しかけた。
「………このクイズ対決には、私と周防九曜が出る。もし私たちの両方がクイズに正解した場合、賭けたMDプレイヤーと卒業アルバムは元の持ち主に返還してもらいたい」
長門。お前……。
「う~ん、他ならぬ有希っこのお願いなら無下に断るわけにもいかないなあ。いいっさ。もし2人ともがクイズに正解したら、その2つは無事返却することを約束するよっ!」
長門と周防が、うちの玄関前に設置された長机に着席する。頼んだぞ、長門、周防。クイズに正解してくれ。
ハルヒが俺の手をとった。朝比奈さんが俺の腕にふれ、微笑みかける。古泉が肩をたたき、大丈夫ですよとささやきかける。
そうだ。長門はあれでも、情報統合思念体の情報端末なんだ。周防にしても同じようなものだ。ありふれたクイズ問題なんか、ものともしないはずだ。


そうさ。俺はいつも長門を信頼してきたんだ。朝倉に襲われたときだって、カマドウマが出現したときだって。そう。いつもピンチをなんとかしてくれたのは、長門なんだ。
いつも体を張って俺たちを助けてくれた長門。そんな長門のことを、今信用しなくてどうする。必ず長門ならやってくれるはず。俺はそう信じるぜ!

長門と周防は、机上に用意されたホワイトボードとマーカーを手に持った。

 

 

「それではっ! 最終っ問題! 角川スニーカー文庫で絶賛好評発売中の大人気ライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの、ヒロインは誰!?」

 

 周防『ささき』

 

 長門『ながとゆき』

 


終わった。

 

 

 

俺の心に隙間風がぴゅーぴゅー吹いていた。俺の目の前では、今朝までは元気に音楽をかなでて俺の心を豊かにしてくれていたMDプレイヤーが、ぶすぶすと黒い煙をあげながら焦げついていた。
その横では、俺や佐々木、国木田たちの3年間の思い出がつまった卒業アルバムが、韓国のりの集合体みたいに黒こげ、ひらひらと煤を舞い上げていた。
「ははは……。やっちゃったね」
さすがに引きつった笑みを浮かべる佐々木。
「佐々木、くやしくないのかよ? もっと怒れよ。勝手に大事なアルバムを質にあげられた上に、不条理にも燃やされてしまったんだぜ!?」
「そうなんだけどね。起こってしまったことはしかたないよ。周防九曜を怒ったところで、僕のアルバムが復元されることはない。一度燃えてしまったものは、水をかけたって元には戻らないんだよ? そう。人の心の中にある思い出と同じさ」
それはそだけどさ。こういうことって、理屈じゃないだろ? 辛いことを仕方がないって、理屈で我慢してたって、何もいいことないぜ? 怒るべき時は怒った方がいい。
「残念であることには変わりないんだけれどね。実は僕、中学の卒業アルバムを2冊買っていたんだ。普及用と保存用に。家に帰れば保存用がもう1冊あるんだ。だから、別に腹も立っていないよ。むしろ、なかなか派手な爆破で面白かったとさえ思えている。よかったよ。卒業アルバム2冊買っていて。中学時代の思い出だけでなく、みんなと共にがんばったスタンプラリーの思い出もできたんだから」
ぞろぞろと引き上げていくSOS団や周防たちの後ろ姿を見ながら、俺は呆けたようにMDプレイヤーだった物に手をあてた。
じゃ、僕はこれから塾があるから。と言って、佐々木もみんなの後に続いて我が家の前から去っていった。

 

早く夏、終わんねぇかな……。

 

 

 

  ~完~

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