あの二人がついに結婚か・・・
タクシーで移動中、俺はふと横に目をやる。
肩にもたれかかるようにして長門が寝息を立てている。
俺と長門は今幸せだ。
長門は思念体からハルヒ観察の功績を称えられ、人間と変わらない体にしてもらった。
そして、俺らは結婚した。
今日はあの日々を共に過ごした男―古泉の結婚式の日だ。
相手は対立していた機関の橘。こいつらが和解したのは最後の閉鎖空間が消滅した後の事
俺たちが、高校を卒業する間際。ハルヒが大規模な閉鎖空間を発生させた。
原因は俺だった。またくだらないことで口論となり、つい手が出てしまった。
ハルヒはその時泣きながら部室を出て行った。
急いで朝比奈さんと長門がなだめに行ったが遅かった。
口論理由はコーヒーは豆から挽くか、インスタントか。
ミルクを入れるか牛乳を入れるか・・・こんな話だった気がする
古泉「閉鎖空間が発生しました。すでに機関の仲間が数人犠牲になっています。」
キョン「すまない。ホントなんて言っていいか…」
古泉「あなたにお願いがあります。佐々木さんを呼んでください」
キョン「なぜ、佐々木を?」
古泉「できるかわかりませんが、涼宮さんと佐々木さんの閉鎖空間を中和させます。」
キョン「そんなのできるのか?」
古泉「わかりません、では急ぎますので」
そう言うと古泉は行ってしまった。
俺は急いで佐々木に連絡をした。
どうやら佐々木の学校も放課後になっていてヒマだったらしい。
俺は橘も一緒にと言って電話を切った。
長門「涼宮ハルヒは落ち着きを取り戻さない」
キョン「長門…」
長門「今朝比奈みくると鶴屋さんが、がんばってくれている。」
キョン「そうか…」
長門「あなただけが苦しまないで。今は彼女らと合流するべき」
キョン「そうだな、お前も行くか」
長門 コクッ
学校前の坂の下、佐々木と橘が来てくれていた。
佐々木「やぁ、キョン。それと長門さん。僕の力が必要なのかい?」
橘「古泉さんが言っていたことを教えてください。」
俺は佐々木と橘、それと長門に説明をした。
佐々木「それはおもしろそうだ。」
キョン「そういう問題じゃない。」
橘「でも、そんなことできるんでしょうか?」
長門「あなたと涼宮ハルヒの閉鎖空間は、対になるもの。合わせれば中和できるかもしれない。」
橘「でも、中和なんてさせたらどうなるんでしょうか。」
佐々木「さすがに見当つかないね。」
すると、赤い玉が近付いてきた。古泉だ。
古泉「手短に話します。佐々木さんはそこの公園に来てください。」
佐々木「わかったよ。」
橘「あの、私は・・・」
古泉「公園の時計の下が発生源です。そこで閉鎖空間に入ればつながるはずです」
古泉はそういうと去って行った。
公園の時計の下。
俺たちは言われたとおりのとこへ向かう。
佐々木「じゃあ気をつけなよ。」
橘は閉鎖空間へと入って行った。
キョン「二人とも無事でいてくれよ。」
なんだ?俺は泣いているのか?涙が流れる
元はと言えば俺が原因で…すでに犠牲者も出ている・・
長門「泣かないで」
優しく手を握ってきた。小さな手が力強く・・
~閉鎖空間内部~
橘「ここは…」
確かに佐々木さんの閉鎖空間だわ。でも、神人がいる・・・
古泉「橘さん、空間同士の中和ができました。拡大は止まっています」
橘「でも・・神人が・・・」
古泉「やつもあと一体です。じき消滅できますが・・・」
橘「古泉さん、がんばってください。私は応援しますから」
古泉「それは、ありがとうございます。では」
そういって古泉さんは行っちゃいました。
機関が違うだけ。普通に喋れるんだ。
古泉くんが言ったとおり神人は消滅し、私たちは空間から出ました。
キョン「古泉!橘!大丈夫か?」
キョンさんが長門さんに手を握られながら涙を流していました。
古泉「えぇ、大丈夫ですよ。泣くなんてあなたらしくないですよ?」
長門「仕方がないこと。彼は責任を感じている」
佐々木「キョンは変なのとこでまじめだからね」
古泉「それはそれは・・今回は佐々木さんと橘さんのおかげで助かりましたよ。」
佐々木「僕はただ来ただけさ」
橘「私も・・・全然・・・」
古泉「橘さんの言葉勇気づけられましたよ。」
なんか、嬉しい。古泉さんが私の前で初めてなんの屈託もない笑顔を見せてくれた。
私は無意識のうちに古泉さんに抱きついていた。
古泉「おや、どうしました。あなたらしくないですよ」
佐々木「やれやれだね」
これが古泉の最後の仕事だった。
あの後、俺とハルヒは仲直りしたからな。
ハルヒは俺と長門の結婚を快く受け入れたし、まぁなんだ成長したわけだ。
キョン「長門、着いたぞ」
寝ている長門を起こす。
長門「・・・・そう」
俺は長門と腕を組みながら式場に入る。
ハルヒ・朝比奈さん・鶴屋さん・元機関の人など見覚えのある人がたくさんいた。
早い話が俺の結婚式と来てた人はほぼ同じだ。
『新郎新婦のご入場です』
古泉があのスマイルで、橘は少し恥ずかしそうに腕を組んで出てきた。
機関がなくなったことで、あいつらにはなんの隔たりもなくなった。
今はふつうの一般人で恋人同士だ。
さて、式も終わりブーケを投げる時が来た。
橘はニコニコしながら後ろを向く。
ハルヒと佐々木がお互い譲らないと言った言い合いをしている。
「あたしがもらうんだから」「私がもらいます」佐々木が熱いのは珍しい。
橘が「行くよ~」と言って
高く果てしない空へとブーケを投げあげた。
END
※最後のブーケを投げるシーン
知ってる人はButter-Flyのサビ脳内再生推奨
最終回ミミの帽子とかぶりませんか?