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  • 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)
  • 想い出は、雪とともに 第一章

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

想い出は、雪とともに 第一章

最終更新:2020年03月14日 04:22

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集

俺はいま小高い丘の上にある公園のベンチに腰掛けて、眼下にある街を見下ろしている。公園とはいっても遊具はひとつもなく、ベンチと自動販売機、そして一本の大きな桜の木があるだけの寂れた場所だ。
だが、ここは俺にとって思い出深く、大切な場所。俺が最愛の人と一年間を過ごし、そして最後に別れた場所。
いまでも、俺はこうやって待ち続けている。彼女がいつか俺のもとに帰ってくることを。もう二度と戻ってくることはないことを知っていながら。
彼女との別れは避けられない運命のようなものだったのだろうか。それとも、あのとき何か俺にもできることがあったのだろうか。
聞いて欲しい。俺の高校時代の最愛の人との一幕を、そしてその結末を。あれは、朝比奈さんが北高を卒業し、俺が高校三年生になったころのことだった。
 
 
 
 
俺は北高に入学し、涼宮ハルヒに出会った。そして、涼宮ハルヒの監視役としてそれぞれの勢力から派遣されてきた長門や朝比奈さん、古泉と出会った。
彼らと出会った最初のころは、面倒なことに巻き込まれた自分の不運を恨んだものだが、今から思えば、俺たち五人で過ごした高校生活は、北高に入学する前の俺の予想をはるかに超えて、充実した毎日であったように思える。
そして、俺はいつのころからか、自分が長門に淡い恋心を抱いていることに気づいた。
最初、俺はそんな自分の心を偽り、自分の心の中にある長門への想いに気づかない振りをしていた。なぜなら、俺が長門に想いを告げることにより、SOS団五人の関係が崩れてしまうのが嫌だったからだ。
だが、俺の中にあったこの想いは日増しに大きくなってゆき、やがて俺自身にも無視できないほど心の中を占めるようになってしまったため、とうとう俺は長門への告白を決意した。
あれはクリスマスを数日後に控えた12月だった。そのときの状況は今もまぶたに焼きつくように覚えている。
いつものようにハルヒは団長席でパソコンをし、長門は指定席で本を読んでいた。俺は古泉と将棋をしており、朝比奈さんが俺たちふたりの勝負を横で見守っていた。
古泉の駒が詰み、俺の勝ちが確定したところで終業のチャイムが鳴り、みんながいつものように帰り支度を始める中、俺は帰り支度をする長門を呼び止め、みんなの前で勇気を振り絞って長門に告白をした。
俺が告白したとき、長門を含めた四人が目を丸くして驚愕の表情で俺を眺めていたのを、いまでもはっきりと覚えている。
「な、あんた何言ってるのよ! 頭でもおかしくなったんじゃない! あんたが有希と釣り合う訳ないでしょ!」
沈黙を破って、最初に発言したのは予想通りハルヒだった。ハルヒはつかつかと長門のほうに歩み寄る。
「有希もこんなやつの冗談を真に受けることないわよ。どうせ谷口の馬鹿あたりのそそのかされたに違いないわ」
「俺は本気だ」
「だったら余計に問題よ!」
ハルヒは、俺から長門をかばうように俺と長門の間に体を割り込ませながら、俺を鋭く睨みつけた。
「いい」
俺に集中していた周囲の視線が、一瞬にして長門に向けられる。長門は、ハルヒの体を押しのけて俺の前まで来ると、俺の顔をじっと見つめた。
「わたしもあなたのことが好き。あなたにそのように想われてとても嬉しい。だから、わたしはあなたの想いを受け入れる」
「有希、本気で言ってるの?」
「どうして?」
驚いたような声でつぶやいたハルヒの方を振り返り、長門は尋ねる。
「だ、だって有希ならキョンなんかよりもっといい人を……」
「わたしは彼がいい」
戸惑いを隠せない様子のハルヒに、長門はきっぱりと言い切った。
「ちょっと待ってください。まず、みんな落ち着きましょう。このことは後日話し合うとして、今日は解散と言うことでいかがでしょうか」
古泉が俺たち三人のやりとりに割って入る。
「ちょっと待て、これは俺と長門の問題だろ。どうしてお前たちと話し合わなければならないんだ」
「涼宮さんや朝比奈さんは長門さんの友人です。友人としてアドバイスしたいこともあるでしょう。それに長門さんにも考える時間が必要だとは思いませんか? 
あなたも即答を望んでいたわけではないでしょう。長門さんにも事情がありますし……、その辺のことは、あなたもよくご存知だと思いますが……」
古泉の言葉に同意せざるを得なかった。確かに長門は普通の学生ではないのだから。
そして、この日は告白の結果がうやむやなまま、俺は帰宅を余儀なくされた。帰り際に古泉の携帯が鳴り、古泉が慌てて部室から飛び出していったのを覚えている。
この後、いろいろと揉めたものの、何とかSOS団内で俺と長門が交際することの承認を得ることができた。
ハルヒは最後まで渋っていたが「学生の身分に応じた健全なつきあいをすること」を条件に、古泉や朝比奈さんに半ば説得される形で渋々認めるに至った。
それから俺と長門の交際が始まった。
休日、長門との待ち合わせ場所はいつもこの公園だった。俺が先にこの公園に来て、いまと同じようにベンチに座って街並みを眺めていると、長門がハルヒと一緒に坂を上って来る。
その後を、古泉と朝比奈さんがまるで俺たち三人を見守るような顔でついて来るのだ。
「お待たせ!」
「俺は長門を待っていたんだ。お前を待っていたわけじゃないぞ」
「わかってるわよ、そんなこと! あたしは有希の保護者よ! 保・護・者。あんたが有希にイヤラシイことしないようにきっちり見張っていないとね。有希はおとなしいからあんたが強引に誘うと断れないかもしれないし……」
正直、最初はハルヒの我侭に心底呆れたものだが、それにも段々と慣れてきた。長門も嫌がってはいないように思えたし、なによりSOS団五人の関係が壊れなかったことが、俺には嬉しかった。
「じゃあ、今日は隣町のケーキ屋さんに行きましょう。で、その後、フリーマーケットに行くわ。掘り出し物を見つけるのよ」
「おい待て、なんでお前が仕切ってるんだ」
「なんでって、あたしは団長だから仕切るのは当然じゃない」
長門のほうに視線をやると、長門は別にかまわないといった表情で俺を見つめてきた。俺はため息をついて、仕方なくハルヒにつきあうことにした。
最近できたと思われる隣町のケーキ屋さんでケーキを食べ、フリーマーケットを一通り見て回ってから解散となった。
ハルヒは最後まで俺達につきまとうつもりだったようだが、
「まあまあ、帰りぐらいはふたりっきりにしてあげてもいいのではないですか」
「何言ってるのよ! 帰りが危ないんじゃない。ふたりが家にたどり着くまでしっかり見張ってなきゃ!」
「でも、涼宮さん。ふたりっきりの時間も恋人同士なら必要と思いますわ。この後、何かあるのでしたら、わたし達がつきあいますよ」
朝比奈さんと古泉に押し切られるようにして、ハルヒは俺と長門を見送るしかなかった。
俺と長門の交際はいつもこんな感じだった。最初はハルヒもいろいろとちょっかいをかけてきたが、数週間もするうちに俺と長門がふたりで帰ることに関しては何も言わなくなった。
不思議探索をするときも、以前のようにくじ引きなどはせず、あらかじめ俺と長門をペアで組ませてくれた。ハルヒなりに配慮した結果だったのかもしれない。
桜の舞う春には、ハルヒの提案で、例の公園でシートを広げて花見を行った。
ハルヒは少し豪華な幕の内弁当を、朝比奈さんは可愛らしい小さな手作り弁当を、古泉は日の丸弁当に申し訳程度におかずがついた弁当を持ってきた。
俺は長門の作ってきた弁当をいっしょに食べた。俺達がおかずを分け合いながら弁当を食べている様子を見て、ハルヒが一言つぶやいた。
「あ~あ、あたしも彼氏でもつくろうかしら」
みんなの視線がハルヒに集中する。ハルヒがこんな一般的なことを言うとは入学当時には考えられないことだ。
「え、な、何よ、みんなして。あ、あたしだって彼氏が欲しいなって思うことぐらいあるわよ」
一同の視線が自分に集中していることに気づいたハルヒは、戸惑いと恥ずかしさの入り混じったような表情で、顔を赤く染めて答える。
「涼宮さんだったら、すぐ彼氏ができますよ」
プイッと顔を背けたハルヒに、朝比奈さんがそう声をかける様子を、古泉が苦笑いをしながら眺めていた。確かにハルヒならすぐ彼氏のひとりやふたりできるだろう。その強引な性格を隠していればの話だが……
夏の暑い日もなぜか待ち合わせ場所はこの公園だった。うだるような暑さの中で蝉の声を聞きながら、長門が来るのをベンチに座って待っていた。
緑の葉で覆われた桜の木がつくる影が、ベンチに座る俺を、気休め程度に、暑さから守ってくれていた。いつものようにハルヒが長門を連れ立って坂を登って来る。後ろからふたりがついて来るのも相変わらずだ。
「お待たせ!」
満面の笑顔でそう言い放つハルヒを見て、俺は言い返す気力もなくため息をつくしかなかった。
「ふふふ、ご迷惑をおかけします」
古泉が俺の耳元で俺にしか聞こえないようにつぶやく。まったくだ。もっとちゃんとハルヒのお守り役をしてもらわなければ困る。
そう思いつつも「SOS団内公認カップルというのも悪くないか」とあきらめつつ、現状を肯定的に受け取ろうとする自分がいることに気づく。
「今日も暑いわね~」
「そりゃそうだろ、夏なんだから」
「じゃあ、今日はみんなで市民プールに行きましょう」
いつものようにハルヒが仕切りだす。これもいつものことなので、俺は長門のほうをチラッと確認しただけで特に文句も言わなかった。長門に不満がなければそれでいいと思ったからだ。
「じゃあ、このまま市民プールまで競争よ」
「ちょっと待て、水着はどうするんだ」
「ご心配なく、みなさんの分の水着は先ほど買ってきましたから」
古泉が五人分の水着が入っているであろう袋を見せながら俺の疑問に答えた。気が利くやつだ。お前がハルヒの彼氏になってやったらどうだ。
「涼宮さんが望むのでしたら、それもいいかもしれませんね」
古泉は、一瞬だけ複雑な表情でそうつぶやくと、俺から顔をそらした。
「やれやれ」
俺は封印したはずの感嘆詞をもらした後、前を走る長門とハルヒの後を追いかけた。
季節は巡り、やがて秋になった。
暑さも和らぎ、過ごしやすい日々が続く中、俺達は数ヵ月後に迎える大学入試に備える傍ら、平日は文芸部室に、休日はいつもの公園に全員で集まって相変わらずの日々を過ごしていた。
ハルヒは何を思ったか、突然キャンパス一式を持ってきて、油絵を描き始めた。ハルヒ曰く「芸術の秋」なのだそうだ。俺と古泉はハルヒが油絵を描く傍らで、将棋をはじめとするボードゲームを嗜んでいた。
古泉は持ってきた折り畳みの椅子に、俺は公園のベンチに座り、長門は俺の隣で俺にもたれかかって本を読む、それが秋のSOS団の休日の日課になっていた。
「うーん、完敗です。さすがにお強いですね」
「…………」
「どうしました、浮かぬ顔をして」
「いや、ちょっとな」
心ここに在らずの状態で将棋版を見つめていた俺に、古泉が怪訝そうな表情で声をかける。
「朝比奈さん……のことですか」
「あ、ああ」
「なあに、あんた、みくるちゃんにまで手を出すつもりなの? あたしの前で有希を悲しませる真似をしたら許さないわよ!」
「そんなんじゃねえよ」
そう、このころになると、朝比奈さんは俺達の前に姿を現さなくなってきていた。理由はなんとなくだがわかっていた。ハルヒの能力が徐々に消失し、朝比奈さんのこの時間平面での滞在時間が短くなってきたからだ。
つまり、ハルヒの能力が完全に消えてしまえば、朝比奈さんはこの時間平面に留まる理由がなくなり、俺達の前から去ってしまうというわけだ。そしてそれは他のふたりにも……
このころ、俺の心の中には一抹の不安が常につきまとっていた。いまのこの状態がいつまで続くのだろうかと。どれぐらいの時間、長門といっしょにいられるのだろうかと。
俺はそのことをなるべく考えないようにしていた。そのことを考えていると、長門が突然、俺の前から姿を消してしまうような、そんな恐怖に駆られるからだ。
だが、運命のときは刻一刻と近づいていた。
さらに季節は巡り冬が訪れた。
俺は、長門やハルヒの尽力のおかげもあって、早々に地元の私立大学への推薦をもらっていた。ハルヒは、同じ地元だが、俺の進学する大学とはレベルが段違いの国立大学を受験するらしい。
長門もハルヒと同じ大学を受験すると聞いていた。ハルヒの監視が目的なのだから、当然といえば当然である。
長門の進学先を聞いて、違う大学に進学してしまうことに少し寂しさを感じたものの、長門が俺達の前からいなくなるという不安が払拭されたようで、俺の心の中では寂しさよりも安堵のほうが大きかった。
そして、俺達が交際を始めてちょうど一年目となった日のこと、俺は古泉に文芸部室へと呼び出された。
最初、俺は交際一周年記念の特別な日ということもあり、後日にするように古泉に言ったが、長門も来るということだったので、渋々と北高へと向かった。
その日は、どんよりとした雪雲が空一面を覆う、肌寒い一日だった。ハルヒと進学先が違ってしまったことの話でもするのかと、あまり深く考えず俺は北高へ続く坂道を登っていた。
文芸部室の前まで来て、扉を開けると、中には長門と朝比奈さん、古泉の姿があった。ハルヒの姿はなかった。皆一様に悲しみを帯びた暗い表情をしていた。
その様子を見て、俺は直感的にみんなとの別れの時が来たことを知った。そんな俺の様子を見て、気持ちを察した古泉が一番に口を開く。
「あなたがいまお考えのとおり、涼宮さんの能力の消失が確認されました。だから、今日をもって我々はお別れです」
「お前も……俺やハルヒの前から消えてしまうのか?」
「いえ、僕はこの世界の、この時代の人間です。なので、あなた方と今後も御一緒させてもらうことになりそうです。ですが……」
古泉は朝比奈さんと長門のほうに視線を向ける。朝比奈さんが俺の前まで歩み寄り、俺の手を両手で握り締めた。
「キョンくん、短い間だったけど楽しかったわ。いろいろ迷惑をかけたけど、これでお別れ。もう会うことはないかもしれないけど、体に気をつけてね」
朝比奈さんは目に涙を浮かべ、涙声で別れの言葉を俺に告げた。そして、朝比奈さんは長門のほうに視線をやり、俺も長門のほうに視線を向ける。
なぜだろう。なぜ、俺はこんなに冷静なのだろう。もっと取り乱していてもおかしくないはずなのに……
長門がゆっくりと俺の前へと歩いてくる。時間の流れが遅くなり、一秒一秒が何十秒にも感じられるような錯覚に陥る。長門は俺の前に立ち、ゆっくりと口を開いた。
「情報統合思念体はこの星にあるヒューマノイドインターフェイスの回収を決定した。わたしは今日の12時をもって情報統合思念体に吸収される。よって、あなたとともに過ごせる時間は今日の12時まで」
長門はいつもの口調で淡々と、俺に状況の説明を行った。
「そ、そうか」
俺には返す言葉が見つからなかった。伝えたいことはたくさんあるはずなのに、なぜか適当な言葉が見つからない。
それどころか、このとき俺は、目の前で起こっていることが、自分とは関係のないどこか遠い国の出来事のようにすら感じていた。
人間は本当に逃れられない運命に突き当たると、現実から逃避してしまい、目の前で起こっていることが、あたかも現実ではないような錯覚に陥ってしまう。
おそらく、この時の俺はそういう状態だったのだと思う。後から振り返ると、なんて愚かで意気地なしだったのだろうと、自責の念で押し潰されそうになる。
視界の端で、古泉が朝比奈さんをエスコートするように文芸部室から出て行くのが目に映った。おそらく俺達に気を利かしたつもりなのだろう。
しばらく、俺と長門の間に沈黙が流れた後、おもむろに長門が口を開いた。
「最後に、あなたと過ごした日々を振り返りながら、あなたと過ごしたこの街を眺めていたい」
「……わかった」
俺達はどちらからともなく部室を後にし、この街の全域を見渡せるあの公園へと向かった。公園へ着くまで俺も長門も終始無言だった。
何か話題を探そうと色々考えたのだが、思い出は走馬灯のように頭の中をぐるぐると巡るにもかかわらず、なぜか言葉にすることができなかった。
公園へとたどり着き、街の景色を眺める長門の後ろから、ようやく見つけた言葉を俺は長門に投げかけた。
「な、長門、ど、どうにかして、この世界に留まることはできないのか」
ごく自然に聞いたつもりだったのに、声が震えていることがはっきりと認識できた。自分が自覚している以上に、今の状況に戸惑っていることがわかった。
しばらくふたりの間を沈黙が支配した後、長門はゆっくりと振り向いた。その表情は、普段の無表情ではなく、明らかに悲しみを帯びていることが窺えた。
「あなたに告白されたあの日、わたしは近い将来あなたと別れるときが来ることを知っていた。そして、それが避けられない運命であることも、告白を受け入れれば、いずれあなたを悲しませてしまうということも……知っていた。
だから、わたしは、あなたへの想いに気づいた後も、自分の存在する理由は涼宮ハルヒの観察であると自分に言い聞かせ、なるべくあなたと関わりを持たないように努めてきたつもりだった。
それでもわたしは、あの日あの時、あなたがわたしへの想いを告白してくれたその言葉に、抗う術を持ってはいなかった。
やがて、悲しみが訪れるということを知っていながら、わたしはあなたの想いを受け入れないという選択をすることはできなかった。
あなたと過ごしたこの一年は、わたしにとってとても有意義だったし、至福のひと時だった。本来、観察する権限しか与えられていなかったわたしに、あなたは様々なものを与えてくれた」
長門は……泣いていた。三年間ずっといっしょにいたが、長門が泣いている姿を見るのはこのときが初めてだった。
「ただ、最後にあなたに悲しみを与えてしまったことが、わたしにはとても悲しい。この後、あなたが悲しみを背負って生きていくことを想像しただけで、わたしは悲しみで胸が張り裂けそうになる」
「長門……」
「涼宮ハルヒも、わたしと同じように、あなたに好意を抱いている。だから、あなたがいままでわたしに注いでくれた愛を、今度は彼女に与えてあげて欲しい。そしてわたしのことはもう忘れて欲しい。
あなたが彼女と幸せになること、それがあなたの本来の役割だった。だが、運命の悪戯により、たった一年だけ、わたしはあなたとの時間を共有することを許された。
でも、もうそれもおしまい。あなたには、わたしという存在に縛られて、自分の人生を棒に振るようなことはして欲しくないの。だから……、それがわたしの最後の願い。どうか聞いて欲しい」
長門の言葉を聞いて、胸に熱いものがこみ上げてきた。それと同時に、いままで現実感を喪失していた目の前の状況が、急激に現実味を帯び、俺を襲ってくるのがわかった。
だが、その認識に至った時にはもう遅かった。長門の小さな身体が光を発し、細かな光の粒子へと変わっていく。
「長門!!」
俺は長門のもとに駆け寄り、今にも消えようとしているその身体を、情報統合思念体から守るように、強く抱きしめた。最後の瞬間、長門は確かに穏やかな微笑を俺に残して、そして俺の腕の中から消え去った。
「な、なが、長門………、うっ、ううっ、うあっ」
声にならない叫びをあげ、俺はただその場にうずくまるしかなかった。後から後から溢れ出る涙が、俺の目の前にある地面を濡らす。
突然、何か冷たいものが俺の頬を撫でた。
「長門?」
俺は顔を上げて振り返る。だが、そこには長門の姿はなく、無人の公園に音もなく静かに雪が舞っているだけだった。
「局地的な環境情報の改竄は惑星の生態系に後遺症を発生させる可能性がある」
そう言っていた長門の言葉が頭に思い浮かんだ。情報統合思念体がいまさらこの星の生態系に影響を及ぼすようなことをするとは考えにくい。
 
だが、それでもこの雪は、長門が俺に別れを告げるために降らしたもののような気がした。
 

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