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涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

リバーシブル

最終更新:2020年03月14日 04:42

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集
 今日も平凡な一日。そう思っていたんだけどな、今朝目を覚ますまでは。
 事の始まりは多分あの日だ。今を遡る事約一週間。その日もやはり平凡で何やらハルヒもおとなしくそれはそれで平和ではあったものの、日常とはちょっとズレた日のことだった。
 平和で平凡なその日だったが、実のところ平和ではあったが平凡ではなかったのかも知れない。なぜならすっかり懸案事項と言う名が定着しつつある可愛いらしいレターセットが俺の下駄箱に混入されていたからである。
 そしてここもすっかり定着してしまった男子トイレ個室。ここ以外では何だか読むのがおっくうになる。頭のイカれた神様がどこで見てるか分からんからな。しかしここも安全ではないのかも知れないと時々不安になる。あいつはこの程度物ともしない気がする。
 そんな事を考えつつも、俺の少々足りない頭では他に良い場所など思いつかず毎度ここに足を運ぶことになるのだが、しかし自分で足りないなんて言うのはどうなんだよ。
 肝心の手紙の内容はこうだ、
「必要になるまで取っておいて」
 ハートまで添付されたとあっちゃあ断る理由なんぞ長門の親玉でさえ導き出せないだろうが、しかしこれは何ですか朝比奈さん(大)。
 今のメッセージが一枚目。二枚目には呪詛のごとき文字がビッシリ羅列されている。
 手紙があった時点でこの先良くないことが起こるであろう事を想像するのは容易だ。その為のヒントであるのも大変ありがたいし、実際何度もそれによって救われている。しかしもっと分かりやすくはして貰えないんですかね。
 どこからか『禁則事項です』と聞こえた気もしたが間違い無く幻聴であり、これから起こる事件の前ぶれでもあった。
 
 あの日は月曜日。誰もが、まだ休日が抜けきらない内に登校して来ているため少々鬱々とした空気が充満したこの教室で、異彩を放つ奴が居た。
 別に月曜日だけではなく年中放っては居るが、今日の放ち方はいつもとは二味くらい違った。その異彩の発生源は教室の隅、俺の真後ろに他ならない。
「どうしたんだよ?」
「何が?」
 そう言ったハルヒの顔は太陽の方を向いて光合成全開のヒマワリの様な眩しさで、それはそれで見ていて気持ち良いのだが。ハルヒがこんな良い顔で笑い出すと、主に俺が苦労をするハメになる。このからくりのせいで楽しい気分には到底なれない。
「何か良いことでもあったのか?」 
 そう聞くのは建て前。こいつの表情筋はかなり素直に出来ているので笑ってるなら良い事があったのだ。
「別に、何にも無いわよ」
 じゃあその笑顔は何だ。妙なキノコでも食ったのか。
「ここ最近キノコなんて食べてないわ。やっぱり食材は旬の時期に食べるべきよ。秋以外の時期に食べるキノコなんて、それはもうキノコじゃないわ。だから私は秋以外にキノコを食べないの」
 キノコの室内栽培なんて大昔からやってる事だぞ。とは言わなかった。無理に言い返すととんでもないとばっちりを食う事になりかねん。 
 にしても気になる所ではある。ハルヒのこの上機嫌は一体何だ? 主に被害を被る人間としては多少身構えておく必要がある。
 改めて聞こうとした時、やはりこちらも若干テンションの低い担任体育教師岡部がやってきて本日の朝の会話終了。おのれ岡部、なんだがモヤモヤするではないか。
 しかしそんなに悩まずとも答えはすぐ分かった。

「コスプレ大会を開催するわよ!」
 そんな馬鹿げた宣言が響き渡ったここは放課後の文芸部部室。もはやつっこみを入れる気さえわかないが、一応聞いておく。
 たまには誰か俺の代わりにつっこんでくれよ。古泉はムカつく笑みを湛えたままだし、長門は本から顔を上げただけだ。朝比奈さんは掃除当番だそうだ、まだ来ていない。
「……何だって?」
「コスプレよ、コスプレ! アニメとかマンガとかのキャラクターの衣装とかを着るの!」 
 いや、そんな事は聞いてない。
「心配ないわ! 衣装なら私が揃えておいたわっ! ありがたく思いなさい!」 
 部屋の窓際、両隅に積んであるのが洗濯物でないのは分かった。
「ちょっと待てよ。大会って、誰が参加するんだ。」
 大会という位だからそれなりの人数でも揃えているのか。だとしたら一体誰が。ハルヒの眼鏡に適った不幸な奴はどこのどいつだ。 
「何言ってんの、参加人数は四人。私たちだけよ。あ、あと鶴屋さんも居るから五人ね!」
 参加人数五人で何が大会だ。ってか何で五人だ。一人足りねぇぞ。
「キョン、あんたってばホント馬鹿ねー」
 そうかい。じゃあ馬鹿な俺にも分かる様説明しろ。
「いい? これは大会なのよ? 当然順位をつけなければならないわ。それは一体誰がつけるの?」
 いいや分かってはいたさ。俺の観察眼だって、長門の微妙な表情の変化にも気づける位には成長を遂げている。時には超監督であり名探偵でもあった腕の腕章には、いつもの団長という文字ではなく違う文字が刻まれていた。
 そう、今回の場合は『審査委員長』と。
 
「コスプレ大会ですか」
 その声はインチキスマイルを湛えた、これまたインチキ的な超能力を持つハンサム野郎、古泉一樹の唇から発せられていた。
「いいんじゃないですか?」
 黙れ。お前がそう言うのは予想済みだ。役立たずめ。たまには俺とその役を代われ。
「良いじゃないですか。個人的な意見を言わせてもらいますと、なかなか楽しそうです。かねがね朝比奈さんだけにコスプレさせるのは少々心苦しいと思っていたのですよ」
 思ってもいない事を言うな。しかし楽しみだというのには大いに賛同させて貰おう。朝比奈さんの新しいコスプレに加え、長門や鶴屋さんのコスプレまでも拝む事が出来るのだ。俺や古泉も参加しなくてはならないのはこの際目を瞑ろう。
 今ハルヒがわしゃわしゃしている衣装の中には何やら扇情的な物も確認できる。ますます楽しみだ。しかし……。
「こんな量、一体どっからかき集めたんだ」
 ハルヒは鼻をふふんと鳴らし。
「聞きたい?」
 いや、別に言いたくないなら言わなくても……。
「あれは先週の金曜日の事よ、部室に来る途中の渡り廊下で演劇部の連中とすれ違ったの。その時にちらっと良い感じの衣装が目に入ってね、ぜひみくるちゃんに着せたいと思ってすぐ演劇部の部室まで行ったの。そしたら何があったと思う?」
 知らん。ってか結局言いたいんだろ、おまえ。
「大量のコスプレ衣装よ。それもかなり凝った作りのね。あれじゃ演劇部って言うよりコスプレ同好会だわ」
 でそれをぶんどって来たって訳か。
「そんな事しないわよ! ちょうだいって言ったらくれたの」
 拳に言葉でも込めて放ったのか? あわれ演劇部。死傷者が出ていなければいいが。
「まったく、一人で全部運ぶのは大変だったわよ」
 今日の毎休み時間、ずっと教室に居なかったのはそれか。しかしいつものお前ならそう言う力仕事は俺に押し付けそうなもんだが。やっと汗水垂らして働く喜びに気づいたか。 
「分かってないわねー、キョン。団員を少しでも楽しませようって言うあたしの心遣いよ。さっさと分かっちゃったら面白みが半減しちゃうじゃないの。だから今日運んだのよ。その辺もっと鋭くならなきゃだめよ。ホント鈍いんだから」
 我らが心優しき団長様は、とびっきりの悪戯が成功したみたいな顔をしている。言っとくが、俺は喜んでなんかないぞ。驚いちゃいるがな。
「ちょっとキョン! あんたも手伝いなさいよ! 団長だけ働かせるなんてどう言うつもりっ!」
 俺にもそのわしゃわしゃをやれと言うのか。でなんで俺だけだ。古泉は良いのか。
「あんたはヒラの団員で、古泉くんは副団長。どっちが下っ端的作業を受け持つのかは明白だわ! あたしが手伝ってるんだからこんなのすぐ終わるわよ! ホラ、さっさとやるの!」
 やれやれ。大体何やってんだそれは。俺には服のしわを増やす作業にしか見えんが。
「ジャンル分けしてんのよ。あんたはそっちをやりなさい!」
 いつもながら偉そうである。実際偉くはないのだが。なんて事をわしゃわしゃしながら考えていた。何だかんだ文句を言いながらも手伝ってしまっているのは、俺がこの環境に慣れたせいか。
 
 
 その後、掃除の終わった朝比奈さんとそれに連れ立ってきた鶴屋さんを加え、コスプレ大会開催と相成った。
 ハルヒが朝比奈さんを無理やり着替えさせようとするので、その都度慌てて部屋を飛び出さねばならなかったのにはうんざりさせられたが、どういうわけか楽しい時間だった。
 チャイナ服からナース、メイド、和服にスク水等。それに加え何やらアニメのキャラクター衣装。俺が分かったのはプリ○ュアぐらいの物だったが。妹が見てるからな。しかし最近のアニメのキャラはこんなにも大胆な格好をしているのか。
 最終的にはハルヒも参加しての大乱戦となった。そしていよいよ全て衣装を着こなし、やれやれやっと終わりかと思ったその時、
「キョン!」
 何だ。レモネードの衣装ならもう着ないぞ。あんな思いは人生に一度で十分だ。
「ちょっとそれ、脱ぎなさい」
 それって何だ? 俺はもう着替えも終わってる。
「今着てるのやつ。制服よ、制服」
 何だと?
「いいから、早くっ!」
 そう言うが早いが、ハルヒはやおら俺の上着を掴み脱がせ始めた。
「ちょ……! お前、何やってんだ!」
「制服を男女入れ替えるのよ! 古泉君も脱いで!」
 何だって? 何の冗談だそれは。
「ちょっと! 暴れないでよ!」
「無茶を言うな! せめて自分で着替えるから、やめろ!」
 それからなぜか渋るハルヒ含む女子四名にはご退室いただき、制服を脱いだ。こう何度も着替えるとなんだか疲れてくるな。
「入っていいぞ」
 もちろんその間裸で居る訳はなく、俺はしょうがなくメイド服を。古泉はナース服を着ている。若干サイズが小さいがな。
「じゃあ外で待ってなさい」
 この格好でか?
「女の子が着替えるのを見てようって訳?」
 いや、出て行くさ。
「ごめんなさいね?」
 朝比奈さんのその言葉だけで、俺の今日の疲れも吹っ飛びます。
 
「入って良いわよ!」
 その声に俺は胸を撫で下ろした。廊下にメイド服を着た男が立っており、その隣にはナース服を着た男。途中ここを通る数人の生徒に奇異の目で見られたのは言うまでもない。
 古泉の様な面ならまだしも俺のような奴ではキモいだけだ。
「どう?」
 部室に入った俺にいつもの得意満面でそう聞くハルヒ。
「……悪くないんじゃないか」
 まぁ若干ブカブカだがな。
「そう?」
 俺の制服はハルヒが、古泉のは鶴屋さんが着ている。
「じゃあ次はあんた達よ!」
「俺らもやるのか?」
「当たり前じゃない! 私たちだけにやらせる気?」
 そもそもお前が言い出したんじゃないか。
「にゃはは! あたしも見てみたいなっ! 先輩からもお願いするっさ!」
 鶴屋さんにまで頼まれちゃ断れませんね。
「さぁ! 着替えなさい!」
 …………出てけ!

 それから俺がハルヒの、古泉が鶴屋さんのを着る……はずだったのだが、そこはやはり小さくて着られなかった。ハルヒは最後まで残念そうにしていたがな。
 結局その後は他女子が古泉の制服を着まわして遊んでいた。そしてまた着替える度に外で待つのだが格好が違う分さっきよりダメージがデカイ。
 お前、着替えないんだったら制服返せよ。
「イヤよ!」
 理由は分からんが俺の制服は、古泉の制服が一回りし、最終的に結果の出なかった大会が終了するまで返ってこなかった。
 やっと帰ってきた時にはもう七時半を回っていた。
「今度もっと大きいサイズのセーラーを買うべきね!」
 まだ言ってたのか。
「当たり前よ! 良い? コスプレ大会はまだ終わってないの! 私が満足するまで続くのよ!」
 まったく、そのバイタリティには恐れ入るよ。
「と言う訳であんた、お金貯めときなさいよ」
 何故だ。まさか……。
「期限は一週間! 来週の月曜日までに買ってくること! じゃあそう言う事で!」
「おいっ……!」
 そう言ってさっさと帰っていった。
「おい長門」
「……なに?」
 そういや今日長門と初めて話したな。
「来週までにセーラー服を一着用意できないか」
「……できなくはない。ただ推奨はしない」
「何故だ?」
「………………教えない」
 こんな日が来ようとは。不可解ではあるが明確な意思表示など珍しい事だ。しかしまぁ長門が推奨しないなら、自分で何とかするさ。無論買う気なんかないが。
 そして俺は今後一週間ハルヒの催促をどうかわすか考えながら帰路についた。

 そして今日。どうにかこうにか強引にハルヒの催促攻撃をかわしきり、コスプレ大会開催から一週間が過ぎた今日。
 その間大した事件も発生せず割合平和だったのだが、ついに最新の懸案事項が必要になるときが来たらしい。やたら長いプロローグだったが、やはりそれはプロローグでしかなかった。
 それは突然やってきた。最初に異変に気づいたのは朝、妹に起こされた時だ。いや正確に言えば起こしに来たのは妹ではなかったのだが。
「あーさーだーよー。おーきろー!」
 いつも通りの声が響き夢心地から否応なしに引きずり出され、今日も一日が始まる。
「シャミもおはよー!」
 ああ分かった。連れてって良いから俺の上に乗るな。どこでどう教育方針を間違えたのか、まったく。
 妹は新曲『シャミと朝ごはんを』ひっさげ部屋を出て行った。どうせ二度と歌えないであろう新曲。
 たまには書き留めてみたりしたらどうだ、妹よ。大人になった時ふとした事で発見して、ああ私にもこんな可愛らしい時期があったわ、なんていい雰囲気の思い出話で俺と盛り上がれるかも知れんぞ。
 何の話だかサッパリになっちまったな。俺の日課と言えばまずは寝起きの状態でのわずかな間、このカタルシスを楽しむ事であるのだが、今日はそんな気分にはなれなかった。
 それは今まで非日常に晒され続けた俺の体が発した警告だったのかも知れない。
 朝起きたらまず何をする? 俺は歯を磨く。妹と並んでな。
 ギリギリまで寝ていたい俺に朝食を流し込む時間などあるはずも無い。
 毎日古代エジプトの強制労働さながらの急勾配を、切り出した石材の様な足を引きずりながら上るのは、毎朝朝食エネルギーがエンプティーを指している俺には正直きつかったが、遅刻もゴメンだし睡眠時間が削られるのはもっとゴメンだ。
 よってやはり朝食は抜くしかなく、食べたいんだったらもっと早く寝れば良いとも思うのだが、健全な高校生に無茶を言うなとも思う。
 現在ピラミッド造りは強制労働ではなく公共事業だったと言う説が有力なのは、この際無視だ。紀元前の遠い国の話なんて俺には知ったこっちゃ無い。
 今日は例のカタルシスは訪れずいつもより若干早起きな俺は、今優雅に朝食なんぞ食っている。
 慣れない事をして体は戸惑っているのか、何やら歩きづらい。しかも何だか家が若干大きく見える。戸惑っているのは頭の方かもな。
 朝に飯を食うのなんて久しぶりだ。何だか見た感じ量が少ない様な気がしたが、ちゃんとした満腹感を得られたので気のせいだったのだろう。
 そしてやっと歯を磨く。いつもと違う気分で鏡の前に立つと、何だか違う人間になった様な気分にさえなる。鏡に映る自分の姿もまるで別人のようだ。ここで気づいた。
 そこに写っていたのはまさしく別人だった。髪形も違うし、身長も違う。顔つきだってまるで違う。そして何より、性別が違った。
 鏡の中の俺は女だった。女になった俺が驚いた表情を作っていた。
 散々非常識爆弾の直撃を受けてきた俺の精神だったが、今回のような核兵器に耐えうるほどのシェルターはまだ建設途中だ。よって俺のメンタル面は大打撃を受けまともな思考が働かなくなっていた。
 でなければ俺は洗面所に歯を磨きにやってきた妹、もとい弟にこんな質問をする事は無かったはずだ。
「おい、俺は誰だ?」
「んー? なーにーキョンくん?」
 ダメだ話にならん。どうする? いや、原因は分かっている。こんな事を出来るのは、そしてこんな事をしようと思うのはあいつしか居ない。くそ、声まで女ってのは何か気持ち悪いな。
 なんにせよ話をせにゃならん。ハルヒとじゃなく、他団員三人とな。じゃあまずは学校か。学校に行かねば。俺は意外とと冷静だった。
 俺は歯も磨かず2階へ駆け上がりクローゼットの戸を開けた。なにやらひどい音を立てたがこの際だ、気にしない。と言うか気にしている所の話ではない。気に出来ない。
 クローゼットの中に見慣れた制服は無かった。馬鹿げてる。そこには見慣れてはいるものの、このクローゼットの中で見るのは初めてな、制服には違いない服がいつもはブレザーが掛かっているハンガーにぶら下がっていた。
 
 どうやって着たら良いかも分からん服にどうにか袖を通し、ニーソなんかも履いてカーディガンを羽織り、何やら下半身がスースーするものの自転車にまたがりいつもの通学路を飛ばす。
 朝比奈さんほどの長さの髪は当然ポニテ。ヘアゴムなんか使ったこと無いからうまくいったかどうかは甚だ疑問ではあるがな。
 途中何人か追い抜いたが見覚えの無い顔ばかり。俺の不安は膨れ上がった。愛車をいつもの駐輪所にとめて歩き出す間も不安は膨らみ続けた。
 通常数十人で運ぶ石材を一人で引きずっている様な気分を味わいつつ坂を上る間も膨らみ続け、それが頂点に達したとき、
「おっはよー! キョン!」
 腰が抜けた。いやマジで。悲鳴のような声を上げてその場に座り込んでしまった。これではまるで本物の女ではないか。
「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」
 俺の肩を叩き、腰まで抜かせやがったその女が上から覗き込む。
「もー、どうしたってのよ? 立てる?」
「……誰だ?」
「……ホントにどうしたのよ? 何か変よ?」
 いや、だから誰だ。そんなに威勢よく俺の肩を叩くのはハルヒか谷口ぐらいなもん………。
「…………谷口?」
「何よ?」
 なんと言う事であろうか。事もあろうにハルヒは谷口の性別までをも改変してしまった様だ。一体何を考えてそんな暴挙に走ったのか。どうしてこんな世界を望んだ?
 前言撤回だな、何が冷静なものか。妹が弟に成り果てていたのだから、このことも予見できたのではないのか。
 谷口までが女になろうとは。入学当初のハルヒもびっくりな位のメランコリーパワーがどこからとも無く沸いて出る。
 つまりこう言う事か。全員の性別が入れ替わったと。そう言う事なんだな?
「ねーキョン、遅刻するわよ?」
 分かってるよ。俺もなんとしても学校に行かねばならない。聞きたい事が山ほどあるぞ、ハルヒ。
 いや、ハルヒに聞いたのではダメだな。張本人である我らが団長様はその事を知らず、また知られてもいけないと言う厄介な縛りルールまで存在する。
 そんなデタラメにデタラメを何回も重ねて塗りつけたようなゲームを攻略するにはイカサマの存在が欠かせない。しかし時には正攻法が有効であったりもして、それが重要である事も俺は知っている。
 イカサマとはもちろん情報統合思念体によって生み出された対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。噛まないで言えたのは久しぶりだ。つまり宇宙人である所の小柄な文芸部員に他ならない。
 そして今のような状況に置いても一番の頼みの綱。
「あれ……?」
 立てない……。 
「どしたの?」
「いや……」
 何と言うことだ。まさか立つことも出来んとは。周りの視線が痛い。そりゃ道端で座り込んでるヤツがいりゃ俺だって見るさ。
「ほらよ」
 目の前には背中があった。ブレザ-の深めの緑で視界が一杯になった。
「乗れよ」
「あ、ありがと……」
 この年で誰かに負ぶさろうなど何やら恥ずかしいがそんな事よりも何よりも、俺は学校に行かなくてはならないのだ。 
 どこの誰か知らないが世話になるとしよう。いや、親切な奴も居るもんだ。
 その広い背中に乗りイヤにでかい男だと思ったが、そうではない事に気づき改めて自分の小ささに驚く。
「まったく、あんなとこで腰を抜かすなんて、団員にあるまじき軟弱さだな! 鍛えなおす必要があるな、こりゃ」
 俺を背負っている男は校門まで後20m程の所まで歩いた所でそう言った。
 聞き覚えのある様な台詞を言い放ったその男は校門まで行った所で俺を降ろした。見覚えのあるような無い様な顔つきで、
「立てるか?」
「あ、うん……ありがとう」
「別にお前の為じゃないからな。あんなとこに座られちゃ迷惑だと思っただけだ」
「あ、そう……」
 果てしなくある人物を髣髴とさせるその男は去り際に、
「昨日も言ったけど今日は大事なミーティングの日だから、遅れるんじゃねーぞ!」
 と捨て台詞じみたことを言い残して走って行った。
 俺は今日一日真後ろにあの男が居るような気がしてならなかった。

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