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  • 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)
  • SOS団の無職15

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

SOS団の無職15

最終更新:2020年03月14日 05:03

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集

<<前回のあらすじ>>
 涼宮ハルヒの自宅へお見舞いに出かけたキョンたちSOS団団員たち。朝比奈みくるに怒られた古泉一樹はちょっとしょんぼりしています。長門有希はあくまで普段通りの様子です。
 涼宮ハルヒは思ったよりも元気そうでした。そう振舞っているだけということは、誰の目にも明らかだったのですが。
 団員のメンバーたちと話す中で、涼宮ハルヒは今朝見た夢の内容を思い出してしまいます。とても悲しい夢です。まあ、そっちも現実なわけですが。

 

 

~~~~~

 

 

 最近やたらと妙な夢を見るようになった。俺も生活に疲れてきた証拠なのだろうか。
 末期的な症状なのか、今朝見た夢などは自分が高校時代にタイムスリップしてハルヒたちと一緒に将来の夢のためにラーメンを作るというわけの分からない内容だった。おかしな内容ではあるけれど、何故か現実感がある夢だったんだよな。
 俺は、しがないただのフリーターだ。うだつの上がらない日々にうんざりして過去へ時間移動したいとでも願っているんだろうか。現実逃避にもほどがある。
「あれ、キョンくん、今日はひとりで起きられたんだ」
 何故かフライパンを片手に持ち、驚いた表情の妹が俺の部屋の扉の前に立っていた。また朝食を作っているんだろうか。飯を作ってくれるのはありがたいんだが、焦げついたスクランブルエッグは勘弁してくれよ。
 それにしても、まるで俺がひとりじゃ朝も起きられないような物言いだな。ひとりでできるもん!みたいな言い方はやめてくれ。
「やっぱりキョンくんには私がいてあげなくちゃね。朝ごはんもうすぐできるから、そろそろ降りてきてね」
 上機嫌にそう言うと、妹はトントンとテンポよく階下へと降りて行った。やれやれ。困ったヤツだ。

 

 それはそうと、一体なんだったあの夢は。夢の中で夢を見て、その夢に振り回される夢だなんて。我ながらワケが分からない。
 ハルヒのあのとんでもパワーで高校時代に逆戻りするなんて、あるはずが……ないよな? いくらなんでも。ははは……。
 しかし、常識的に考えてありえるはずがない事を引き起こしてくれるのが涼宮ハルヒのミステリアスポテンシャルパワーなわけで。
 寝起きの頭をぼりぼりと掻きながら、一抹の不審感を感じた俺はのそのそとした動作で机の上に置いていた携帯を手に取った。

 

 

『どうやら、あの夢は夢ではなかったようですね』
 携帯のむこうから、やけに機嫌の良さそうな古泉の声が返ってきた。聞くところによれば、生まれて初めてタイムスリップができたので嬉しくて仕方ない、とのことだ。全くもっておめでたいヤツだと思う。
『さっき朝比奈さんと長門さんにも確認をとったのですが、やはりあの夢は現実で、僕らは本当に高校時代へ遡行してしまっていたらしいですよ』
 無慈悲な古泉の能天気声が、俺の寝起き頭に突き刺さる。
 なんてこった。あまりのバカバカしさに笑って済まそうと思っていたのに、あれが現実だったなんて……。
 SOS団メンバーと後で公園で会う時間を取り決め、俺は古泉とのホットラインを切った。俺は今日バイトが休みだし、SOS団はフリーランスの集団だ。待ち合わせをするなんてテレビのリモコンを探すより容易いことだ。
 俺はベッドに腰かけてうなだれ、まだ覚醒しきっていない頭を覚ましつつ、さっきまでいた世界、高校時代の時間軸のことについて考えていた。
 ハルヒは何か思うところがあって世界中の時間を巻き戻した。あの夢が現実ならば、それは疑いようのない事実。それはいいとしよう。常時前向きなハルヒだって、たまには疲れて思い出にひたってしまいたい時もあるさ。
 問題は、どうして俺たちはこの元の時間軸へ帰還できたのかだ。ハルヒが時間を巻き戻した理由が 「1日だけ高校生になりたい」 という、温泉につかりながら半目で寝てるOL的なものじゃない限り、1日で高校時代リターンが終了するはずはなかったに違いない。
 なのに俺たちは、あの未成年時代からこうして還ってこられた。ということは、あの過去の世界でハルヒの目的が達成された、もしくはハルヒの願望が翻されたということだ。
 硬質ゴムのように凝り固まった身体を伸ばして深呼吸しながら、俺は窓の外へ目を移した。今日もいつもと変わらない静かな日だ。

 

 果たしてハルヒは何を思い、何を願って過去の世界へ時間を巻き戻したのだろう。それは本人にしか分からないことだが、いや、ひょっとしたら本人もよく分かってないかもしれないな。
 とにかく、ハルヒには昔に帰りたいと思うような都合があり、過去の世界でその都合が解消され、こうして今の世界に戻れたんだ。思えばあの世界でハルヒの様子はずっとおかしかったし、何かハルヒにとって切羽詰った事情があったに違いない。
 なのに、ハルヒが何に悩んでいるのかを聞くために涼宮宅へ訪問したにも関わらず俺たちがしたことといえば、俺のとってつけた将来の夢 (ラーメン屋) のためのラーメン修行と称した夕食のラーメン作りだけ。
 SOS団が一丸となってラーメン作りにいそしんだのは始めての経験だったが、ハルヒがラーメンを作りたいがために時間を巻き戻したわけではないことは容易に想像できる。ハルヒの突飛な思いつきでSOS団が働かされるのはいつものことだしな。
 うむ。さっぱり分からん。寝ぼけまなこの凡人が独りでアレコレ考えても答えなんて出ようはずもないか。古泉なら分かるかもしれないな。後で聞いてみることにしよう。
 ま、知ったこっちゃねえや。早々に推測を諦めた俺はあくびを漏らしながら、妹の待つ下の階へと歩き出した。

 

 

 

 ハルヒに対してどんな態度で臨むべきかと思案しながら、公園まで重い足取りでたどり着くと、魔法瓶を小脇に抱えた朝比奈さん、本を提携した長門、そしていつも通りのスマイル古泉がベンチ前に待機していた。
 いつもより早めにやってきたとは言え、ハルヒも鶴屋さんも来ていないなんて珍しいな。
「涼宮さんはちょっと遅れるそうですよ。先ほど連絡がありました。遅れるけれど必ず行く、とおっしゃられていました」
 前髪をかきあげつつニコニコ顔の副団長がハルヒの伝言をご丁寧にも伝えてくれた。別に集合の義務があって集まっている団体でもないんだから、連絡をする必要もないのだが、手が空いていればとりあえず集まるのが今のSOS団の暗黙の掟だからな。
「鶴屋さんからは私の方に連絡がありました。今日は家庭の事情で来られないそうです」
 魔法瓶から注がれたお茶が白い湯気をあげながらコップに注がれ、朝比奈さんの御手から俺に手渡される。ありがたやありがたや。これだけがここへ来る楽しみだと言えなくもないからな。
 しかし、都合よくハルヒと鶴屋さんが席を外したもんだな。まるで俺たちに例の時間移動の件を議論する時間を与えてくれたみたいな感じだ。
「ご都合主義的と思えるほどタイミングよく涼宮さんと鶴屋さんが公園へ来られていませんが、ご安心ください。れっきとした偶然ですよ。念のため断っておきますが、我々は何も裏工作などしておりませんよ」
 誰もそんなこと言ってないだろう。少しだけそうじゃないかな、とも思ったが。
「そうでしたか。てっきりあなたのことですから、僕らのことを疑っているのかと思いましたよ。幸運な偶然もあるものですね」
 まあ、都合の良いことがあったらたいていお前らかハルヒの超人能力の賜物と考えて間違いない人生を送ってきたからな。ここ数年。

 

「昨日、あなたはご自分が何をされていたか記憶に残っていますか?」
 俺にベンチの真ん中を譲り、その隣へ腰を下ろす古泉。まるで事件の容疑者から情報を引き出そうと身構える刑事のようだ。また古泉の持って回った長い話が始まるんだろうか……。
「ああ、もちろんじゃないか。あんな大それた事件があって、それを忘れているようじゃ重度の痴呆を疑った方がいい。常識的に考えれば痴呆どころか頭がおかしいと思われかねないことだが、ハルヒパワーに引っ張られて過去の世界にダイブしていたよ」
「いえ、そうではありません。確かにそれも昨日のことですが、それは過去の時間軸のことです。僕がお聞きしたいのは、この時間軸での昨日のことです」
 ややこしいこと訊いてくるな。つまり、ハルヒが世界中の時間を巻き戻して時間をリセットする前の昨日ってことか。
 そんなどうでもいいことを改まって訊くなよ。と言い返してやろうと思ったが、様子がおかしい。普段見せないような真面目な顔をした古泉、その隣ではどこか真剣な雰囲気を漂わせる長門が俺の目を見つめている。
 何故だか分からないが、朝比奈さんにいたっては少し怒ったふうな色さえ表情に浮かべている。一体なんだってんだ?
「昨日は、バイトをシフトで変わってもらって、用事をしてたんだよ」
「用事とは、どのようなご用件です?」
「別にこの場で言うような用じゃないよ。ちょっとした野暮用ってやつさ」
「そうですか。その野暮用ですが、どなたかがご一緒されていたのではないですか?」
 俺を取り囲むSOS団員の視線がより一層強くなる。なんだってんだよ、一体!?
 昨日俺は佐々木と一緒だった。佐々木と一緒に町で買い物をしていたんだ。それがどうしたってんだ? 同じバイト仲間で旧友の佐々木とショッピングしていたことが何なんだよ?

 

 俺が困惑の面持ちでみんなを見返していると、古泉がふっと表情をやわらげて肩をすくめた。
「すいません、問い詰めるような言い方をしてしまって。あなたを責めているわけではないのですよ」
 いや、それはいいんだが……。一体なにがあったんだ?
「実は我々 『機関』 や朝比奈さん、長門さんたちの調査により明らかになったことなのですが、涼宮さんが世界中の時間を巻き戻してしまった直接の原因が、あなたと佐々木さんが一緒にいたことにあるのではないか、ということになっているのです」
 はあ?と眉をひそめて素っ頓狂な声をもらしてしまった。俺が佐々木と一緒にいたのをハルヒが見て、それが原因であいつは世界中の時間をネジを巻くように巻き戻したってのか?
 確かに俺たちとハルヒがコンビニの前で出会った時、ハルヒの様子がおかしいなと思いはしたが。なんでまた、そんなことが原因なんだ? 自分も買い物について行きたかったってのか?
「そうではないのですよ。あなたがショッピングをしていたことが問題なのではないのですよ。問題なのは、あなたが佐々木さんと一緒だったという点です」
 だからなんでだよ。ハルヒは俺がSOS団以外の人間と仲良くしてるのが気に入らないとかいうんじゃないだろうな。
「当たらずとも遠からず、と言ったところですね。涼宮さんは、あなたと佐々木さんが肩を並べて歩いていたことに、なんと言いますか、一種の反感を覚えたのです」
 皮肉のつもりで言ったセリフを肯定され、俺は少なからず面食らった。俺と佐々木が一緒にいたのが気に入らなかった? 俺と佐々木の友情を認めないということか? SOS団以外の人間と仲良くするななんて、どんな暴君だよ!?
「そういう意味じゃないんですよ。涼宮さんは、語弊を招きかねない言い方ですが……」
 古泉は考え込むように口端へ手を当てる。
「佐々木さんに嫉妬したようです」
 はあ? 嫉妬? ハルヒが? 佐々木に?
「涼宮さんの中でのあなたはSOS団の雑用係で、そして非常に心やすい仲間でもあります。そのあなたが、涼宮さんに内緒でバイトを休み、佐々木さんと二人っきりで買い物をしていた」
 そういうこともあるだろう。確かに俺とハルヒは高校時代からの長いつきあいだが、だからって他の友人と遊びに行くのにあいつにお断りをしなきゃならないなんて決まりはないだろう。
 いくらSOS団の団長様だからって、プライベートにまで踏み込んでもらいたくないもんだな。

 

 俺は昨日の、今の時間軸で言うところの昨日の、ハルヒの様子を思い返す。頭に血が昇ったように息巻いて俺に詰め寄るハルヒ。我慢を腹に溜め込んでいるように、黙り込んで目を吊り上げるあいつ。
「そうです。あなたが誰とどのように親交を持っていたとしても、それを咎める権利は誰にもありません。もちろんSOS団の上司である涼宮さんであっても、です」
 けれどそんな理屈は抜きにして、涼宮さんはキョンくんと佐々木さんに反感を感じてしまったんです。と悲しげな表情の朝比奈さんが古泉の後を次ぐ。確かに理屈では分かっていても、感情が先立ってしまうこともありますが。
 ひょっとしてハルヒのやつは、俺と佐々木がハルヒに内緒で一緒に買い物してたのに腹を立てて世界をおかしくしてしまったというのか。相変わらずムチャクチャだな。
「違うんです。涼宮さんは分かっていたんです。確かに感情に任せてキョンくんに当たってしまったようですが、それが直接の原因ではないのです」
 どうにも話が見えてこない。もっと平均的な頭脳の俺にも分かるよう要約してもらいたいですね。

 

「涼宮ハルヒはあなたたちに反感を感じた。同時に反感を感じた自分の狭量に気づき、自己嫌悪に陥った。その結果、過去の世界へ帰還したいという結論に達したと推測される」
 依然、頭上にハテナマークが点滅する俺のために長門が懇々と、そして淡々と事情説明を始めてくれた。
 長門の話を、そして古泉や朝比奈さんの言いたいことをまとめると、どうやらこういうことらしい。

 

 ハルヒは前々から胸の内に、SOS団と称して活動し就職もせずにふらふらしている俺たちを統率していることに罪悪感を感じていた。
 だからみんなで就職して一人前の、年相応の大人になろうと悪戦苦闘していたらしい。だがハルヒ本人があの通りの性格だし、俺たちもご覧の通りの集団だ。平穏無事に就職できるわけがない。
 そしてハルヒの中には、職に就かねばならないという義務感とは逆に、このままSOS団を継続していきたいという思いもあったようだ。その気持ちは俺にもよく分かる。SOS団は俺たちにとって馴染み深い、居心地の良いサークルだもんな。
 だがSOS団のメンバーたちが就職すれば、SOS団は今までのように集まって楽しく過ごすことなんてできない。働いていれば、個人が自由にできる時間なんて限られているからな。
 労働に服して一人前になりたいという社会通念と、SOS団を失いたくないという願望がハルヒの中でせめぎあっていた。どちらに傾くともなく、天秤はほぼ一定を保った状態で、ハルヒの心の中で拮抗していた。
 そのままズルズルとこの年まできてしまったわけだが、今になってハルヒの中の天秤を大きく揺さぶる事件が起こった。何を隠そう、俺が谷口に進められてアルバイトを始めたことだ。
 SOS団はずっと、みんな一緒で、仲良くやっていく。そんな幻想を夢見ていたハルヒの理想に、初めて現実の亀裂が入った瞬間だったに違いない。
 あれ以来ハルヒは、あらゆる意味で涼宮ハルヒらしさを失った。傍若無人なリーダーが、急に大人しくなり始め、周囲に理解を示し始めたのもこの頃からだと記憶している。
 俺がバイトを始めたことで、ハルヒの心の中のSOS団存続の夢が、淡くかすみ始めたのだ。

 

 俺のバイトはハルヒにとっては、確かに朗報だったに違いない。ハルヒはSOS団メンバーたちが職に就いて一端の社会人になることを望んでいたんだからな。
 しかしSOS団の継続は不可能になってしまうという事実も見え隠れし始めて。
 そんな時だった。俺が佐々木と一緒にいるところを、ハルヒが目撃してしまったのは。

 

 ハルヒは憤った。こんなにもSOS団の危機について悩んでいる自分を差し置いて、平団員のキョンごときがのうのうとバイト休んで友人とショッピングなんて。団員のくせに団長に隠れてこそこそするなんて許せない!と。
 しかしそこで、頭の回転の速いハルヒは気づいたんだ。
 キョンがどこで何をしようが本人の勝手。それを自分の監視下において、逐一の行動まで管理しようなど、単なるひとりよがりの押し付けじゃないか。
 たとえ親であっても自分の子供に人生の進路や期待をおしつけて良いという法はない。家族であろうとも、人の人生は本人だけのもの。まして親しい友人といえど、他人が人のプライベートに口を挟むのはおかしいことだ。
 そこでハルヒの中にひっそりと積もっていた罪悪感が一気に芽吹き、胸の内にざわざわと繁り始める。
 私は今までみんなにSOS団であること、自分の仲間であること、昔のままで変わらずに在り続けることを強要してきたのではないか?
 みんなが未だにフリーターとしてブラブラしているのは、自分に責任があるのではないのか?

 

「もしそうだったとしたら、私はどう責任をとればいいのか。彼女には、そう思い込んでいる節さえありますね。涼宮さんはあれでなかなか責任感の強い方ですから」
 腕を組んでうなだれる古泉がベンチに深く腰を落とす。
「涼宮さんは今でも突飛な行動をとったりしてますけど、昔に比べれば常識的というか、周りを考慮する部分も出てきていますし。そう思って思い悩んでいても不思議ではないと思います」
 涼宮さんは元々常識的な考え方もできる方ですし。と結び、朝比奈さんはすっかり覚めてしまった手の中の紙コップに視線を下ろした。
 秋の深まりを感じさせる乾いた風が、俺の前髪をかきあげるように通りすぎていった。

 

 敢えて言うまでもないことだが、俺たちが無職やってるのは、当然ながらハルヒのせいじゃない。俺たちそれぞれに事情があり、その上でこうやって公園に来てる身なのだ。誰もハルヒに責を求めてはいない。ハルヒを悪く思ってなどいない。
 しかしそれはあくまでも俺たちの目線だ。ハルヒにそれを察しろというのは無理な相談だ。まして一度思い込んだハルヒが、容易に自分の考えを変えるわけがないことを俺たちは知っている。
 ということは、あいつはずっと余計な悩み事を抱え込んで、余計な心配をして、余計な自責の念に苛まれていたってことか?
「そう言えなくもないですね。少なくとも我々の中に、現状が涼宮さんのせいだなんて思っている人はひとりもいないのですから」
 馬鹿なやつだよ。まったく。
 いつもいつも独りで突っ走るところは、昔っから変わらないな。
「だから涼宮さんは時間を巻き戻してまでも、一番SOS団が輝いてた時期に帰還することを望んだんでしょうね。時間が逆回転するなんて本気で信じていたとは思えませんが、そこを曲げてまで過去に戻ったわけですから、相当深い後悔を感じていたんでしょうね」
 胸の内側に隙間風が吹き込んでくるように、心が冷たくなっていくのが手に取るように感じられた。
 俺のせいなのか? 知らなかったこととはいえ、俺が佐々木と一緒にいたから。そこをハルヒに運悪く見られてしまったから……。
「それは違いますよ。最初にも言いましたが、あなたが悪いわけではありません。しかたのないことだったのです。遅かれ早かれこうなることは必至だったのです。むしろ、遅すぎたくらいだと思いますよ」
 それでも……それでも、よりによって、あの日にそんなことがあったなんて……。
 俺を気遣う古泉や朝比奈さんの声が頭にまで響かない。俺はじんじんと痺れた頭で、手提袋からゴソゴソとちゃちな作りの箱を取り出した。本当に、みっともないような紙の箱だ。
「キョンくん。その箱は、なんですか?」
 俺はのろのろとした手つきで箱を開け、その中に収めてあった金属の輪を取り出した。あまり派手ではないが、きらきらと光を反射する銀色のブレスレットだ。
 不思議な物を見つけたような顔つきで、朝比奈さんたちが一斉に俺の手の中のブレスレットに視線を集中させる。
「ひょっとして、あなたが昨日佐々木さんと一緒に買いに行った物とは、そのブレスレットですか?」
 俺は力なく、ああ、と古泉にうなづき返した。
 俺には女物のプレゼントなんて、何が適当か分からなかったからな。SOS団のメンバーに尋ねるのも恥ずかしかったし、身近な人物の中で話しやすかった佐々木に頼んでこれを選んでもらいに行ってたんだ。
 もうすぐ、ハルヒの誕生日だろ?

 

 古泉も朝比奈さんも、長門も。しんみりとした表情で黙り込んでいた。
 ハルヒを喜ばせてやりたい。そう思って、これを買いに行ったんだ。なんだかんだ言っても、やっぱあいつは仲間だからな。仲間の誕生日を祝ってやりたいと思うのはごく普通のことだろ?
「キョンくん……」
 哀れみさえ感じさせる調子で朝比奈さんが頭を垂れる。
 あいつに内緒でプレゼントを買いに行ったことが、まさかこんな形で仇になるなんて……。
「キョンくん……涼宮さんの誕生日、まだだいぶ先ですよ?」
 ……え?

 

 俺の思考が一瞬停止する。あれ? ハルヒの誕生日って……ええと……
「もうすぐ誕生日を迎えるのは、お恥ずかしながら、この僕です」
 ……マジで?
 やばい。気まずい空気が流れている。朝比奈さんだけでなく、あの長門でさえ心なしか呆れているように見える。
 俺はブレスレットを手にしたまま、苦笑を凍りつかせてバツの悪さを感じていた。そりゃねえよ……。なんて馬鹿な自分……。
「僕にくれるんですか? そのプレゼント」
 やらねえよ。

 

 

  つづく

 

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