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  • 酔いどれクリスマス

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

酔いどれクリスマス

最終更新:2020年03月13日 03:17

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集
『酔いどれクリスマス』



『未成年者はお酒を飲んではいけません』

 ええ、あれは飲むもんじゃないわね。
 飲んだ時は楽しい気分でいられるんだけど、酔いから醒めた時に襲ってくる頭痛と倦怠感はかなりキツイわ。
 しかも酔った時の記憶が薄っすら残っていると、自己嫌悪まで付随してくる始末。
 夏の合宿でそのことを充分思い知ったので、あたしはまたアルコールを摂取する機会を得た時に備え、それに対する傾向と対策を──
「ひゃあ!」
──何すんのこのバカ!!
 あ、ああゴメンナサイ、ちょっと今……いや、なんでもないから……気にしないで。
 コホン。
 まあ、あたしはセーブすることを覚えた。飲み過ぎてバカなことしてしまう前にとっとと寝てしまおう、と心のどこかにスイッチを作っておいた。
 前は加減を知らなかった。それが敗因だ。
 だから今回は程々に飲んだ後、頭がグルグルしてきたらパタリと寝てしまった。
 それ故にその後他のメンバーの間でどんなやりとりがあったかはほとんど分からない。
 ちなみに起きたら酔いは殆ど醒めていた。頭痛もあまりしない。それはよかった。
 よかったんだけど──
 自分が節制できたからといって、他人もできるというわけにはやっぱりいかないのであって。
 しかも自分の酔い方と他人の酔い方は似て非なるものがあるわけで。
 そして自分が醒めた状態の時、相手が泥酔しているという状況は初めてで。
 そんなときの対処法なんて全く知らないし。
 つまり、もう頭が回らなくなってきたから結論を言わせてもらうと、
 あたしは冒頭の標語を訂正したい。


『キョンにお酒を飲ませてはいけません』 と。



 今日はクリスマス。楽しい楽しいクリスマス。
 なんならもっと楽しくしちゃいましょ、と『SOS団と鶴屋さんで大いに騒ごう!in部室』が盛大に開催された。
 普通に騒いで食べてを楽しんでいたら、鶴屋さんたら「家からいいもの持ってきたにょろ~」とか言って、二、三本シャンパンやらワインやら持ってきちゃって。
 夏の失態を思い出したあたし達(主にあたしとキョン)は丁重に辞退しようとしたけれど、鶴屋さんのあのテンションとパワーに押されに押され終いに負けて、結局「少しだけなら」という条件で戴くことになった。
 ところがこれがすっごく美味しかったのよね。さすが鶴屋さん。そこんじょそこらのコンビニで売ってる一本千円のシャンパンとは比べ物にならない一品で、とっても飲みやすかったのだ。
 少しだけと言ってたくせにあれよあれよと言う間にニ杯、三杯とおかわり。ああちょっと気持ちがフワフワしてきたわ、とか思って。
 そのうちあたしは冒頭通り飲むだけ飲んで、気持ちがいいうちにパタリと机に寝そべって夢の中。あれ、夢なんか見たかしら。覚えてないわ。
 まあそれはさておき。
 起きたら誰もいなかった。若干一名を除いて。
 そしてその男は一見素面に見えるけど実はかなり酔っ払っていた。(事後確認)
 まあ、起きて顔見た時からなんかおかしいとは思ったけれど。
 その酔っ払いキョンは寝ていたあたしの側にいて何をしていたかと言うと……
「──!! キョン!?」
「あ、ようやく起きたか」
 けろりとそんなことを吐いた。いや台詞自体は別に構いはしない。事実そのまんまだから。口調もいつものキョンと差して変わりはない。それもいい。
 けれど伴っていた行動が、あたしの思考を凍結させた。
 こともあろうかあたしの髪を撫でていた。しかも優しく。
 あたしは状況を把握できないまま自身を解凍できずにいる。その間にも大きな手で撫でられてるあたしの頭。というか髪?
 なんとなく起きあがれずに、机の天板に寝そべったままずっとキョンの顔と対峙する。ちなみにキョンもなぜか隣りで同じように寝そべっていた。だから起きてからこの方、ずっとキョンの顔を見つめる形となっている。
 で、今更気付く。
 なにこの上機嫌な笑顔のキョンは。かなり貴重な笑顔なんだけど。
 普段からあまり感情豊かじゃないヤツではあるけれど、キョンの笑顔を見たことない、ということは勿論ない。
 みくるちゃんや有希に対して向けられる笑顔を、あたしが脇から盗み見るという形式なら何度も見てるし、あたしに向けてという珍しいものもちらりとくらいは見たことがある。でもコイツってばあたしの手前ではすぐに引っ込めてしまうのよ。──いつもはね。
 今は、あたしがこうしてまじまじとキョンの顔を穴が開くほど見つめているのに笑顔を浮かべたまま。
 やだ……ドキドキしてきた。
 と、キョンは不意に口を開いた。
「顔赤いぞ、ハルヒ」
「──う、五月蝿いわねっ!!」
 あたしは顔を反対側に向けて、ようやくキョンの笑顔から逃がれた。惜しい気もしたけどこのままじゃ心臓が破裂しちゃうわ。
 ん? 何か机の上に置いてある。
 目線を少し斜めに動かすと何かメモのようなものがあった。あたしは体を起こし、それを引き寄せる。
 そのメモには古泉君の字でこの状況について説明がしてあった。
 簡略すると早々にダウンしたみくるちゃんと、酒に飽きたような有希と、けろりとしている鶴屋さんを送り届けるためお先に失礼するとのこと。
 で、キョンは眠り続けるあたしを送り届けるために残っていること。なんと珍しいことにキョン自ら申し出たそうだ。ホントかしら。──いや、この様子ならありうるわね。
『でも彼も結構酔っていると思うので、申し訳ありませんが涼宮さん、彼のことをよろしくお願いします』
 と最後に締めくくってあった。
 よろしくと言われても……あたしにも手に負えなさそうなんだけど。
 あたしがメモを黙々と読んでる間、キョンはカチューシャのリボンをツンツン引っ張る攻撃に移っていた。
 それを完全無視していたら、今度は「ハ・ル・ヒ」と一音一音わざとらしく区切って人の名前を呼んできた。おまけにリボンを引っ張るテンポもそれに合わせている。
 ホントもう勘弁して。いつもと百八十度違う行動やら態度を取られると、さすがの涼宮ハルヒ様も調子狂うのよ。
 あたしは穏やかではない内心を悟られまいと振り向かずに背中を向けたまま応えた。
「なによ?」
「こっち向け」
「あたしに命令なんていい度胸ね」
「じゃあ、こっち向いてクダサイ」
 卑怯なり、酔っ払いキョン。今心臓の鼓動が二・五倍に増したわよ。甘えたキョンなんて核兵器並の破壊力だわ!!
 多分今あたしの顔はトマトかリンゴくらい真っ赤だわね。見せられないわ、こんな顔。
 あたしは「ダメよ」と言いながら腕組みまでして、頑なに振り向かなかった。
 さて、そこでしばらく黙っていたかと思ったら、
「耳まで赤いぞ」
 とか言って今まで弄んでいたリボンから外したその指で、あたしの耳たぶを軽く引っ張って来たのよ、このバカは!!
「──! あんたいい加減にしなさい!」
 あたしは堪らずキョンを振り向き怒鳴りつけた。一瞬視線が絡まる。あたしは凄い形相をしていることだろう。
 なのにキョンは怯む事はなかった。怯むどころか大マジメな顔をして一言。
「いやだ」
「いやだ、じゃなーい!!」
 と叫んで、反射的に勢いよく立ち上がったら眩暈がした。あれ、まだアルコール残ってたのかしら?
 かくんと膝が崩れ、前に倒れこむ。前へ──キョンの方へ。
「ひゃあああああ!」
「うわ!」
 ガシャーン!とドサッ!という擬音が部室に響き渡った。
「いててて……」
 キョンはあたしの下で呻いた。色んな衝撃で一瞬真っ白になった頭が通常モードに即戻った。顔を上げる。
「キョン!? ちょっと、大丈夫?」
「ああ、なんとか……」
 と言いながら、左手で後頭部を擦っている。あたしは慌ててキョンの頭に手を伸ばし、髪を弄って患部を確かめた。
 血は出てない。ちょっと瘤になっている程度だ。ホッと溜息を吐く。
 しかし、この一息が更なる事態の悪化を招いてしまった。
「心配してくれたのか?」
 とあたしの右手を攫うように取って握るキョンの左手。あたしは一体何が始まったのかと「へ?」と我ながら間抜けた声を漏らした。
 いや、そのね、なんでしょうねこの手は。
 左手だけじゃないわよ。右手、というか右腕はあたしの背にまわされているけど、これはなんのマネ?
「──こら、キョン、離しなさい!」
 恥ずかしいから!
 あたしはキョンの顔を睨め付ける。けれどキョンはまたあのご機嫌な笑顔だ。
 やめなさい、その笑顔。戦意喪失するから……
 でもここで白旗振って降参したら、それこそ貞操の危機なんじゃないの?酔った勢いなんてダメよ。許さないんだから。
 あたしはなんとかキョンの腕から逃れようとじたばたもがく。
 もがきながら『もうキョンにはお酒を飲ませちゃダメだわ』と一人心に誓った。
 しばらくの間形振り構わずあたしは足掻いた。にも関わらず体格差のせいか、あたしの抵抗は無駄に終わるどころか、結果的にはさっきよりも密着して抱き竦められる形になってしまった。
 うう~、二人分のアルコールの甘い息でクラクラする~。
 それくらいキョンの顔が間近にあった。
「ハルヒ」
 キョンが耳元で囁く。ヤバイ。これはヤバイわ。無条件降伏寸前だ。このままではいずれ陥落してしまう。
 あたしは寸でのところでなんとか踏みとどまって、空いている左手でキョンの顔を押しのけた。
「もう! 変なコトしたら承知しないんだから!」
「『変なコト』ってどういうコトだ?」
「──今あんたがあたしにしようとしていることよ!」
「ほう」
 と、キョンはしたり顔になった。なによ。なんか背筋がぞくりとしたわよ。
 あたしが怪訝な顔つきでキョンの動向を見張っていると、キョンは自分の顔を押し遣るあたしの左の手に一瞬目線を向けて──
 その手のひらに顔を埋めた。
 唇の感触。一瞬、いや一秒くらいだけれど、確かな。
 え、ええ? えええええええええええ!?
 硬直したままのあたしに構わず嬉しそうに聞いてくるキョン。
「これは『変なコト』か?」
「あああ当たり前じゃない! 十っ分『変なコト』よ!! この酔っ払い!!」
「何言ってるんだハルヒ。俺は酔ってないぞ?」
「……あんた、それ本気で言ってるの?」
 天下無敵に成り上がってしまったキョンに脱力してしまう。全身の力を緩めたら、ここぞとばかりにまた抱き竦められてしまった。狡いわよ。
 けれど今度は抵抗しなかった。抵抗する気も起きない。もう降参よ。
 あたしを抱き締めながらキョンが呟く。
「ハルヒは暖かいな」
「冷たかったら死人じゃない」
「長門は冷たそうだが」
「──こういう状況でなんで有希の話を出すのよ」
 会話が途切れた。大人しくはなったけど、我ながらどこまでも可愛げがないわね。
 まあみくるちゃんみたいな愛らしさを今すぐここで身につけることはできないし、相手はキョンだ。しかも酔っ払い。猫被ることはない。
 あれ? キョンの腕が少し緩んだわ。
 あたしはそろそろと顔を上げる。見下ろすキョンと目が合った。
「? なによ?」
「いや、やきもち焼いてるのか?」
「は!?」
 なんでそうなるのよ!?
「長門の話をしたら拗ねたから」
「あたしがいつ拗ねたのよ!」
「いっつも」
 えーと、話がどんどん逸れてるわよ。
 あたしが半分呆れてキョンの顔を見つめると、
「まあ、拗ねた顔も可愛いがな」
 と、にっこり微笑んだ。
──『可愛い』って。『可愛い』って! 『可愛い』っっってっ!!
 嬉しすぎて死にそうだわ。って、なにこんなに喜んじゃってるのよ、あたし。
 どこかに今すぐ逃げ出したい。このままじゃ心不全で死んじゃう。いえ、不整脈かしら。
 でもあたしの体はキョンの腕の中。一歩も逃げることができないから代わりに顔だけ逃がす。キョンの胸に顔を埋めた。そのまま呟く。
「バカキョン……」
「なんだ?」
 いつも鈍いくせにこんなときだけ耳聡い。
「なんでもないわよ」
「そうか」
 沈黙が降りる。
 キョンの心臓の音が頬を伝わって聞こえてきた。正直とても心地好い。
「そう言えば」
 キョンがなんとはなしに切り出した。
「今日はクリスマスだったな」
「そうね……」
「何かお願い事したか? 赤服爺さんに」
「赤服爺さんって……サンタクロースと素直に言いなさいよ」
 変なとこだけひねくれキョンが残っていた。意味もなくちょっと安心して思わず「ふふっ」と笑う。
「それにサンタの赤い服は某飲料会社の陰謀よ」
「そうなのか」
「そうよ」
 また沈黙。
「願い事……」
 無意識に呟いた。その呟きにも「うん?」とキョンが反応する。
「なんかしたのか?」
「七夕じゃあないからしてないわよ。それに……願い事はもう何個も叶ったし──」
 キョンの笑顔を一人占めできたこと。髪を撫でられたこと。『かわいい』って言って貰えたこと。
 今はこれで充分過ぎるわ。これ以上は望んだら幸せ過多で早死にしそうだ。
 あたしは聞き返した。
「キョンは?」
「俺?」
「そう、なにか願い事あったの?」
「願い事か──望んだらキリがないな」
「欲張りね」
「ハルヒに言われたくないぞ?」
「何よそれ、失礼ね」
 ぷくっと頬を膨らませると、キョンはあたしの顔を覗きこんだ。
「な、なによ」
「いや、拗ねてる」
 だから何なのよ、と言いかけて思い出す。『拗ねてる顔』=『かわいい』
「もう! あんたは!」
 反射的に左手を振り上げるとキョンの右手がそれを上手いことキャッチした。両手を拘束されてあたしの羞恥心は昇華できずに顔面に留まってしまった。あたしは熱を帯びて赤く染まった顔を見られたくなくて俯く。
 キョンはそんなあたしの様子を見てか笑いながら、
「照れてるハルヒも──」
「それ以上言うな~!!」
 あたしは必死に喚いて、それを遮った。キョンが珍しく声を上げて笑った。
 もう、なんなのよこのキョンは。悔しいけれど手に余る。
「ハルヒ」
 ひとしきり笑い終えたキョンは、やけにきっぱりとあたしの名前を呼んだ。
「なに?」
「願い事決めたんだが」
「なんであたしに言うのよ」
「サンタクロースじゃ叶えられないからだ」
 どくん、と鼓動が高鳴った。
「──あたしだったら叶えられるの?」
「そうだ」
 なんとなくキョンの『願い事』は推測できた。少し躊躇う。けれど──
「いいわよ、叶えてあげる」
「俺はまだ何も言っていないぞ」
「さっきあたしの手のひらにお願いしたでしょ?」
 キョンは意表を突かれたらしく目を見開いた。
 でもその表情はすぐに解けて、柔らかな微笑みになった。
「ああ、伝わっちまったか」
「バレバレよ」
 一拍置いてどちらからともなく笑い声を漏らす。
 そして。そのままあたしは目を閉じた──


 ◇◆◇


『酔って狂乱、醒めて後悔』

 これどこの国の諺だっけ?
 まあそんなことはどうでもいいな。今の状況からただ頭の最前列に思い浮かんだ言葉だからだ。
 さて俺は酔って狂乱した覚えはない。というより半分記憶喪失に近い。だから今はまだ後悔することはなかったはず、なんだが……
 この現状は『後ろ向き一人大反省会』を盛大に催したくなる。
 まず俺は何で床で寝ているんだろうね。お陰で体の節々が痛い。しかも制服のままだ。コートがお情け程度に上半身にかけられているが、足元がちょっと寒い。まあ自業自得か。
 そして何で俺はまだ学校に、というか部室にいるのだろう。上着のポケットから携帯を取り出し時間を確認して──
「げ」
 思わず声を上げる。日付が変わって三十分経っているぞ。これは家に帰ったら説教だな。
 そして──
 無限大に反省したくなること。
 なぜ俺の腕の中に団長様がいらっしゃったのだろうか。いやホント、夢であってほしいね。
 その団長様は先程まですやすや寝息を立てていたが、俺の「げ」という声に反応してピクリと瞼が開いた。しまった、起こしてしまった。
 ああ、これは目覚め一番ぶたれるな。しかもグーで。覚悟してもしなくても痛いのは痛いのだ けれど、俺は『覚悟した』。
 しかしハルヒは寝惚け眼を俺に向けると、しぱしぱと瞬きしながら口を開いた。
「ああ……キョン、ようやく起きたわね……」
 あれ? 鉄拳制裁は? 罵詈雑言でもいいぞ? いや良くはないが。
 俺が訝しんだままハルヒを見つめていると、視線に気づいてハルヒも見つめ返してきた。
 息も詰まりそうな沈黙。実際俺は息ができなかった。苦しい。
 その窒息死をかけた命がけのにらめっこはハルヒの溜息で打ちきられた。
「あんた、酔ってたときのこと覚えてないでしょ?」
「ああ」
 俺は頷くしかない。本当にさっぱり覚えていないのだ。特にこういう状況に陥った経緯の部分がすっぽり抜けている。
 ハルヒはまた溜息を吐いた。さっきより大仰に。
「──ホント、信じられないわ、コイツ」
 視線を落してぶつぶつと呟いている。
「えーと、ハルヒ? 俺は何をしでかし──」
「聞きたい?」
「いや、やっぱ遠慮しとく」
 まったく何をやらかしたんだよ、酔ってる俺。墓場に入っても知りたくないがな。しかしそれをハルヒは知っているということが不本意にもおぞましい。
 当のハルヒは俺が断ったことで捌け口を失い、むくれた顔でしばらくは黙っていたがやはり我慢できなかったのか「やっぱ教えてあげる」とか言いやがった。いらないと言うとるだろうが。やめれ。
 ハルヒは詰るような目で俺を見上げて、
「突然寝ちゃったのよ、あんたは」
 どんな醜態を告げられるかと戦々恐々としていた俺だったわけだが、ハルヒの言葉に完全に肩透かしをくらった。なんだそんなことか。
「そう言うお前も突然寝てしまったような気がするが……」
 まだ俺の記憶が定かだった頃、こいつは笑い転げながら机に突っ伏して、そのまま起きあがらなかったのだ。
「タイミングの問題よ!!」
 ハルヒはがばっと顔を上げ、俺を睨める。
「タイミング?」と俺が聞き直すと、ハルヒは「そうよ!」と大きく、かつ力強く頷いた。
「寝るならもっと早くに寝こけるか、でなかったら、そのまま朝まで起きてなさい!!」
 なんか無茶苦茶だぞ、それ。しかもどの時点を基準に言ってるんだ?
 ハルヒは俺の疑問もお構いなしに、言うだけ言ってそのまま俺の胸に顔を埋めた──って、
「お、おい」
 俺はうろたえた。そりゃそのハルヒがこの状態からさらに体を密着させてきたものだから。
 何してるんだお前。目茶苦茶恥ずかしいぞ。少し離れなさい。色々マズイんだぞ色々。
「ダメよ。今夜はここで過ごすしかないんだし、少しでもあんたから体温奪わなきゃ」
「その論法だと俺が凍死するんだが」
「あんたはあたしから体温奪ってるじゃない」
 もう矛盾だらけだな。いつものことだが。
 ハルヒは小さく欠伸をすると「おやすみ」と言ってそのまま瞼を閉じてしまった。
 よく寝られるなこの状態で。いや俺もついさっきまで寝ていたわけだが。
 しばらく薄暗い部室の壁や天井、窓、本棚と順ににらめっこをしていたが、最終的にはハルヒに視線を戻した。
 ハルヒはすこぶる寝付きがよく、もう小さな寝息を立てている。寝顔だけ見るとコイツも、かわ……いや、何も言うまい。
 やれやれと溜息ひとつして。
 俺は恐る恐る、起きた時点でハルヒの体から一時隔離していた己の両腕を、ゆっくりと元の位置に戻した。
 軽い抱擁。これくらいなら殴られることもないだろう。
──しかしこれはヤバイな。
 腕の中の華奢なハルヒの体は温かいやら、柔らかいやら、いい匂いがするやらでしばらく──正直言うと一生手放したくなくなってしまった。
 一体これは誰のプレゼントだ? というか俺が受けとっていいものなのか?
 まあ目の前に出されたものはありがたく貰っておくぞ。見当違いだと言われても知らないふりして戴いておく。取り上げられるなら奪うまでだ。
 俺は心の底から欲しい。欲しくて欲しくてたまらない。
 そして俺はそのまま目を閉じる──

 ハルヒは温かかった。柔らかかった。いい匂いがした。
 そして、





 ハルヒは、とても甘かった。





──終わり

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