ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「スポンサーから一言 その3」で検索した結果

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  • スポンサーから一言 その3
    スポンサーから一言 その2から  親父さんは、その後ずっと無言だった。弁護士先生の事務所に立ち寄り、資料をものすごい速さで捲っているときも、その後も。  帰り際、弁護士先生は、弁解がましく、こう言った。 「悪く思わんでくれよな、キョン君。おれは金が好きだし、負けるのは嫌いだが、そっちは俺の人生(しゅみ)だ。おれの力の及ぶ限り自分の汗を流せばいいと思ってる。だが、負けること以上に、冤罪って奴が嫌いでね。誰がどう考えても、いけすかない野郎だが、だからといって、罪をそいつに背負わせればいいって考えに虫酸が走る。親友と呼ぶのはおこがましいが、それでも親父は、大事な友人だし恩人だ。巻き込むのは本意じゃないが、この事件は俺の手に負えないと、俺の中の何かが言ってる。親父の手を借りなきゃいかん、とな。トラウマに手を出すようなやり方はしたくなかったが、これ以上の手が思いつけなかった」 「トラ...
  • スポンサーから一言 その6
    スポンサーから一言 その5から 《登場人物のおさらい》 絵描き:女Dの転落させ殺した疑いで起訴中 女A:7年前、絵描きと心中 女B:絵描きの現在の愛人。手首を切り自殺。 女C:女Aの妹。女Bと同じ日に転落死(自殺?) 女D:女B、Cと同日に転落死。  「探偵小説にいまでも時々あるだろ。『あるべきものが、そこにない方が不思議だ』ってやつ。絵描きの部屋は当然調べられたが、押収品にAを描いたものだけが一切なかった、スケッチすらもだ。心中ですでに関係は精算されて、今や新しい愛人が居る身だ。ない方が当然か? そもそも何故、こいつは心中なんてしたのか、じゃまになったAを殺すだけが目的だったのか? それなら今回はなぜ心中してないのか? 同時に複数を「自殺」させるなんて手間のかかる手段をとったんだ? 今や愛人が複数居て、順番に殺していくと、他の愛人に企みを気付かれると思ったか...
  • スポンサーから一言 その4
    スポンサーから一言 その3から  「食うもの食ったし、食後の歓談までやった。バカップルにしては上出来だ。オヤジは気をきかせて、ここらで退散する」 「キョン」 とハルヒが言った。 「ああ、そうだな。……親父さん、送ります」 「お前に送られてもなあ。この辺りは、まだ馬賊でも出るのか?肉弾戦だったら、正直、ハルヒの方が役に立つぞ」 おれもそう思う。だが、親父さんの話が、あれで終わりだとは思えなかった。ハルヒも同じだろう。そしてハルヒと親父さんの間には、いつしか結ばれた、互いに弱みを見せないという相互不可侵条約があるらしい。だったら、今ここに居る人間で、その続きを聞くのは俺の役割ってことになる。  親父さんはハルヒの顔を見て、それからおれを見た。 「なるほど。じゃあ、キョン、ついてこい。ハルヒ、こいつを借りてくぞ。馬車がかぼちゃに戻る前には帰す」  部屋を出て、大通...
  • スポンサーから一言 その2
    スポンサーから一言 その1から  「キョン君、知ってるだろうけど、このオヤジは怪しげな事なら、およそできないことがない。口寄せ、スプーン曲げ、催眠術……」 「バカとモノは使いようだが、人にいうことを聞かせたいなら、おどしの方がよほど効果的で手間いらずだ。だから脅迫は刑法犯だし、催眠の方は法的取締りがない。イギリスとアメリカの一部の州じゃ、催眠術に反感を持ってた医者達の陰謀でできたHypnotism Actっていうステージ催眠の取り締まり法があるがな。酒が飲める店で見せ物催眠術はやるな、ってくだらない法律だ。世の無知・無理解は笑えるがフィクションもひどいもんだ。刑事コロンボで、医者が催眠で患者を自殺させるリモート殺人なんて話があったが、ピーター・フォークのまぬけ面が、単なるアホ面に見えて、いい加減萎えたぞ。エロ漫画でも催眠を認めると、『はじめの一歩』でカメハメ波を認めるみたいなも...
  • スポンサーから一言 その5
    スポンサーから一言 その4から  警察署を出ると、黒塗りの車が止まっていた。 「大使館ナンバーの車だな」 「絵描きは物知りだな。叔父が大使館員なんだ」 「まるっきり私用じゃねえか」 「邦人を助けるのが大使館の仕事だ。大まかには間違ったことはしてない」 「なにが法律で助けてやる、だ」 「司法研修生なのはほんとだ。いまは病気療養中ってことになってるが」 「何かやったのか?」 「ケンカだ。売った相手が悪かった。で、ほとぼり覚めるまで国外に放りだされた」 「ブルジョワ(おぼっちゃん)め」 「フランスじゃ、誉め言葉だぞ」 「言いなおそう。キャピタリスト(資本家)め!コロニアリスト(植民地主義者)もつけてやろうか?」 「よしてくれ。勲章が重くて前に倒れそうだ」  後ろに乗れと言って、自分もあとから乗り込んできた。 「パリで一番うまい店でおごってやる」 「どうせマ...
  • スポンサーから一言 その1
    「ハルヒ」 「親父! なによ、いきなり来て。連絡くらい入れなさいよ!」 「借用書だ」 「はあ?あんたからモノ借りた覚えはないわよ」 「よく見ろ、これからおれがおまえから借りる、という内容になってる。さあキョンを出せ」 「あんたねえ、イヌかネコの子みたいに。だいたい彼氏ってのは親に貸すようなもんじゃないでしょ!」 「彼氏という自覚ができたか、それはめでたい。実を言えばお前の所有でもないから、借りるなんていわなくていいんだがな。で、キョンはどこだ?」 「いないわよ」 「いないのは見れば分かる」 「なんであんたに、あいつの行き先を言わなきゃいけないのよ?」 「そりゃもっともだ。邪魔したな」 「こら、借用書! こんなもの、置いて行くな!」 「……よう、キョンか? おれだ、親父だ。手借りたい。どこで会える? ああ、そこなら10分以内だ。今? ああ、おまえたちの部屋だ。汗水流し...
  • 閲覧回数上位SS
    ...して (9046) スポンサーから一言 その1 (9002) 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1 (8979) 涼宮ハルヒのいちゃつき (8946) あるSS書きの個人的七つ道具ーネット篇 (8937) オヤジラジオ その3 (8915) 夏の自転車 (8813) ハルヒと親父2その後 一周年 その1 (8771) 親父さんと谷口くん4 (8765) ともコレ (8752) できちゃった その2 (8743) 辞書シリーズ/和英辞典:ただいま/おかえり (8714) 輪になってマッサージ (8704) 一人旅に必要な事 その後 (8703) 王様とあたしたち その1 (8676) 白みかける空 (8620) 親父書きがSSを読む (8387) 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3 (8377) 掲示板/足跡帳バックナンバー4 (8335) ハルヒと親...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ...) 水いらず火炎瓶 スポンサーから一言(親父キョン)  その1 その2 その3 その4 その5 その6(最終回) 親父が来る(二人は暮らし始めましたー場外)  その1 その2 その3 一攫千金シリーズ  新興宗教 +ハルヒと親父(親父とSOS団) 涼宮家の一族 前編 後編 オヤジラジオ その1 その2 その3 その4 図書館で オヤジ野球 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 ロール・プレイング その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7  +ハルヒと親父(親父もしくは母さんメイン) ハルヒと親父(親父もしくは母さんメイン) 涼宮親父の修業時代 ハルヒ母の遍歴時代 親父と母さんの格闘 オヤジ狩り 王様とあたしたち その1 +小さいハルヒと親父 小さいハルヒと親父 ファーストキス・ショット 生まれた...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー3
    ...れのようです。 「スポンサーから一言 その4」で、親父さんがルーヴル美術館で模写する絵を何にしようと決めかねていて(条件は裸婦の絵)、最初に浮かんだのはゴヤの『裸のマハ』(1798〜1805年)だったのですが、ゴヤの有名な絵はみんなマドリッドもプラド美術館にあってダメ。「女性の乳房と尻がなかったら絵なんて描かなかっただろう」と言ったルノワールをして「女の肉体を一番良く理解していた」と言わしめたブーシェの『ディアナの水浴』(1742年)はルーブルにあるけど、ちょっと好きじゃない(きれいすぎて狙いすぎてる。モチーフは神話だし仕方ないけど)。じゃルノワールはというと、彼の若くてきれいな裸の女性の絵は、なぜかフランスよりもアメリカで所蔵されている(『大水浴図』(1887年)フィラデルフィア美術館/でもちゃんと服を来てる女性の肖像画(『サマリー夫人』(1877年)モスクワ、プーシキン美術館)...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー4
    ...09-14の分 スポンサーから一言、脱稿。現在、絶賛反省中。ああ、事件ものなんて手を出すんじゃなかった……。 -- 親父書き (2009-09-01 19 16 12) 某所に1日限りの、私にとっては「夏のご褒美」となるコンテンツ発見。ああ、夏の疲れがいやされる。親父さんと谷口くんシリーズ、あのまま酩酊目薬の作り方とか激裏系へ行かなくて本当によかった(笑)。 -- 親父書き (2009-09-01 20 21 26) こんな所に世界まとめ発見! 親父さん、技術の長門などいつも楽しく拝読させて頂いております。もっと早くにここの事を教えておいて下さいよぉ、マジで。「この作者さん個人サイトで自作まとめしてくれてないかなぁ」と考えて検索掛けたら早速ヒットって……無いっスわww それまで毎日ハルヒスレまとめを見に行っていた時間を(本当に親父の活躍を見る為だけに日参してました)返...
  • ハルキョン家を探す その2
     涼宮家の魅惑の夕食が終わり(今夜は和食、とっても大変そうな懐石風だった)、ハルヒがガリガリ引いたばかりの豆で入れたコーヒーを飲み、今度は俺たちがなんだか皿の上に乗せられているような心持ちだった。人生で起こることは、すべて皿の上でも起こる、と言ったのはだれだったか。 「うん、おもしろい」  ハルヒの親父さんが発した一声はこれだった。 「ひさびさに早く帰って来たら、夕食は魅惑の懐石料理で、その上願ってもないスペシャル・ゲストがいて、バカ娘までしおらしい、と来る。俺は今日のを最後の晩餐にしてもいいくらいの心持ちだよ、母さん」 「なんですか、お父さん」 「キョン君のふとんを敷いてやってくれ。今日は寝ずに語り明かそうな、なっ、キョン君」 「すみません。その前に、お話が」 「おお、何だろう? 俺の向かいにはキョン君がいて、その左隣にはうちのバカ娘。母さんはどこにすわるんだ?...
  • 二人でドライブ
     居間でごろごろしながら携帯でネットを見ていると、母さんが声をかけて来た。 「ハル、午後、3時間くらい時間ある?」 「いいわよ。車でしょ? 買い出し?」 「悪いわね。キョン君はいいの?」 「それくらい離れて暮らした方が愛も深まるってもんよ!」 「あの……3時間だけでいいのよ」  最近、車の免許を取った。キョンと一緒にだけどね。  母さんも免許は持っているけれど、運転は得意でないらしい(大抵の事は何でもこなすのに、めずらしいこともあるもんだ)。  親父は、居れば居るでうっとうしいくらい構ってくるけど、普段は滅多に家にいることがないから、あたしが小さい頃を除けば、うちには車は無い期間が長かった。  で、免許取得と同時に、新車がやってきた訳。 「どうせ3分も経たないうちに、ぶつけてぺしゃんこになるんだから、紙製でいいぞ、紙で」 と親父はまた馬鹿な事を言ってたけれど、も...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • For piano four hands
    腕の腫れ、氷の癒しから 「ハル、もう筋肉痛はいいの?」 「すっかり全快よ! 今ならリストの超絶技巧練習曲どころか、ソラプジの超絶技巧百番練習曲だって楽勝よ!」 「うーん。ソラプジを楽勝で弾くのはソラプジ本人にも無理っぽいけど。それに100曲あるから、全部弾くと7時間以上かかるわね」 「で、母さん、やる曲は決まったの?」 「演奏したいのは、いくつかあるのだけれど。……そうねえ。ハル、ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』を、ラヴェルが連弾用に編曲したのがあるのだけど」 「母さん、前に一人で弾いてたことあったね」 「ボーウィックがピアノ独奏用に編曲した方ね。10本の指の限界に挑戦、みたいな感じだったけど」 「あれ、よかったわ。ちゃんとドビュッシーに聞こえたもの」 「ありがと。あなたに褒められるのが一番うれしいわ。私たちもドビュッシーに聞こえるかどうか、やってみましょう...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その10)?
    その男、文系につき 口上に、ハルヒスレSSまとめwikiに収録の、 「涼宮ハルヒのリラックス」「涼宮ハルヒの結合」、「涼宮ハルヒの電磁波」みたいに、医学論文を縦横無尽に引用してエッチを語るハルヒに萌えなのだが、これに対して、無駄な文系知識を開陳してドツボにはまって殴られるキョンの姿を受信した。 などと書いてあるのだけれど(笑)、991@Haruphilic SSさんがブログでご指摘のとおり、キョンの雑学/ムダ知識って、本や辞書の中にエロい言葉を見つけると赤鉛筆で線を引く(笑)ことによって培われた感じがしますね。 ちなみに、「四つ目屋のネット・ショップ」は実在します。リンクを貼っても、しょうがない気がするけれど。「落語の舞台を歩く」という内容充実サイトにも「落語四つ目屋の舞台を歩く」に登場(あ、艶笑落語につき18歳未満は閲覧禁止とある)。このサイトは(そういう意味で...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1
     夕食後のコーヒーを楽しみながら、いつものように、どうでもいいことを話していると、ハルヒがふと、思い出した、といった顔をしてみせた。 「そういえば、こないだは花火見にでかけちゃて、あんたの怪談を聞かずじまいだったわね」 「別におれの方は、聞かせたくなるような怖い話はないぞ。だいたいおまえを怖がらすメリットがない」  むしろデメリットの方が激しくあるんじゃないだろうか。怖がっておれに抱きついてくるタイプじゃないし(ああ、そんなゆるいツンデレなら、世界は幾度も危機に陥ったりせん)、むしろパニックに陥って手当たり次第(おれを含めた)周囲のものに攻撃をし出すことの方を危惧するぞ。 「このあたしを震えあがらせるようなやつを希望するわ」 「だからおれの話を聞けって!」 「団長に二言なし!どっからでもかかってらっしゃい!」 「聞く耳なしだろ!……やれやれ。その言葉、後悔するなよ」 ...
  • 家族旅行で見る夢は
     充電中の携帯が、けたたましい音を立てた。おいおい、まだ7時半だぞ。待ち合わせは10時のはずだろ。どうしたんだ、ハルヒ? 「キョン? 今そっちに親父が行ったから、早く逃げなさい! いいから、とにかく逃げて! あーもう、今からあたしもそっちに行くから!」  何あせってんだ、ハルヒの奴? そういや今、下で『あらあら、ハルヒちゃんのお父さん』っておふくろの声がしたが。誰か階段を上がってくる。って、ハルヒの親父さん、もとい、お父さん? 「ハロー、キョン君。いい朝だ。俺のことは涼宮親父と呼んでくれ」 それ、ものすごく呼びにくいです。 「パパでもいいぞ」 勘弁してください。 「いま電話があったみたいだが、ハルヒがこっちへ向かってるんだ。急いで出るぞ。逃げるんだよ、地の果てまでも。ちなみに君は人質だ。あ、ご両親には今話をしておいたから」 ほとんど数分もかかってないぞ。それと『話しておいた...
  • ハルヒのピアノ
     ピアノ? ああ、それは母さん。なにしろ、バレエとピアノで根っこができてる人だからね。  習った、というより、遊びね。砂時計がピアノの上に置いてあってね、それを倒して、3分間、一人で弾くの。  最初は曲にも何にもならないわよ。でもピアノの鍵を叩けば、とにかく音は出るでしょ。最初はそれで十分楽しいわけ。デタラメに叩いて、デタラメな音でね。  3分間が終われば、次の人の番。あたしが最初なら、次は母さんね。母さんも何か3分間だけ弾くの。それはうっとりするようなきれいな曲だったり、ただあたしが叩いたのをそっくり真似したりとか、いろいろだったけど。  母さんが真似するあたしのデタラメを聞いてたら、嫌になるじゃない。だから、あたしも母さんみたいにきれいなのが弾きたいと思うようになったわ。  でも教えてといっても、笑ってるだけでね。ほら、ハルの番よ、って。で、自...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その後ー腕の腫れ、氷の癒し
     最初は一通のメールだった。 「あれ、ハルヒの母さんだ」 『技量の不足を努力と根性で埋めようとする娘ですがよろしくね』 なんだ、これは。判じ物にしては分かりやすいし、心当たりもありまくりだが、なんでハルヒの母さんからこの文面なんだ?  その答えは、次の日の教室でわかった。  ブン、という音がしそうな勢いで、ハルヒが両腕を突き出してきた。 「なんのまねだ?」 「揉んで」 は?いま、ここ教室でか?おまえ、何言ってる? 「揉みほぐして、って言ってるの。いいから触ってみなさい! 聞くより見るより、よおく分かるから」 おれは何故か恐る恐るといった手つきになって、ハルヒの指先、手の甲、二の腕、と触っていく。ハルヒはどちらかといえば着痩せするタイプだが(何故こういうコメントができるかは、ストーリーの進行に何の関係もないから割愛するぞ)、それでもその馬鹿力から想定されるほど...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その2
    親父が来る その1から  計画なき逃亡をぶち上げたハルヒに、おれは首を振った。  「ハルヒ、ダメだ。前にも言ったろ。恐怖と不安は逃げれば逃げるほど、大きく強くなるって」 「じゃあ、どうすんのよ」 「馴化だ、簡単に言えば、馴れるんだ。詳しいやり方は、今教えてやる。使えるものは3つあるんだが、まずは……ハルヒ、拳をつくってみろ」 「こ、こう」 「シャドウ(・ボクシング)まではいらん。今、鼻をかすめたぞ」 「ごめん」 「ぐっと握って、腕に、二の腕に、肩にありったけの力を入れてみろ。ぶるぶる震えるくらい。……そしたら、ぱっと一度に力を抜く」 「ふう」 「これを全部の手足、胴体でやる。筋弛緩法って奴だ。恐怖や不安と両立しない感情や生理状態があるって話も、前にしたな。怒りや食欲や性欲の満足もそうだが、リラックスってのも恐怖や不安と両立しない。怖がってるときは、体もこわばって...
  • 親父さんと谷口くん
    「すまん、人の名前が覚えられない質でな。誰だっけ?」 「あの、谷口です。涼宮さんと中学から同じクラスの」 「あー、5分で振られた恋愛スプリンターの。娘がとんだ失礼を。あの顔であの性格だし、ろくな死に方しねえな、と常々思ってるんだ」 「いや、でも、いまラブラブで幸せ一杯に見えるんですが」 「キョンって、パッとしないように見えて偉大なんだな」 「いや、それはいいんですが。実はご相談があって参りました」 「なんだ、そうと早く言ってくれれば。俺は、若い奴の相談事が三度の飯より好きなんだ。経験談にはろくなネタがないけどな」 「ほっ。人に頼るなんて、と叱られるかもドキドキしてました」 「実際は自立した人間ほど、たくさんの人間に依存してるんだ。依存っぽい奴は、依存する相手が一人とか、家族だけとか、限られてるから問題を起こす。で、相談ってのは?」 「はい、俺は常々ナンパ道を極めようと日々...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その4
    その3から  大浴場には、結局おれ達以外、誰も入ってこなかった。何故かというなら、決まってる。部屋ぜんぶに専用露天風呂があるからだ。  では何故大浴場があるのか? それも決まってる。旅先でケンカするカップルは、決まって一定の割合でいるからだ。部屋に居づらくなっても大浴場がある。混浴ならいっそ、新しいパートナーだってみつかるかもしれないと思うのは穿ちすぎか。とにかく人手のピークは、あれやこれやがあった後、ずっと遅い時間なんだろう。 「ちょっと、キョン! 温泉がうれしいのは分かるけど、あんた、はしゃぎすぎよ!」  悔しいが今は涙を飲もう。はしゃいだのは温泉だから、混浴だからじゃないぞ。だが今は何を言っても負け惜しみだ。反論にすらならない。 「まあ、懲りるって事を知らないあんただから、いつでも再戦は受けて立つわ。でも、おなかがすいたから、早くて夕食の後よ」  ああ、部屋...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2から  パスポートを受け取った日、ハルヒはいきなり俺からそれを横取りし、どこかの悪の党首へか、その写メを送っていた。 「親父の携帯へよ。旅行会社に教えとかないといけないんだって」  ハルヒは、俺にパスポートを返しながらそう言った。 「それにしても変な顔ね。もう少しマシなの、なかったの?」  返しながらも、ハルヒは妙に固まってるポスポート添付の俺の写真にケチをつける。 「いきなり連れてこられて、そこのコイン写真機で撮ったんだろ。マシとか、そういう問題か」  するとハルヒは「ちょっと待ってなさい」と言い捨て、そのコイン写真機の中へ飛び込むように消えて行った。  数分後、コイン写真機の横で、ハルヒと俺は写真が出てくるのを待っていた。 「ほら、どう?」  ハルヒが引っ掴み、俺の顔の前に突き出した写真には、100ワットの笑顔で笑う...
  • 自転を逆に回して
     ひょんなことから小金が入った。  悪銭身に付かずというわけで、俺たちは小さな戦闘機を買うことにした。  そして今日が処女飛行という訳だ。  小さくても複座(2人乗り)で、ワープは出来ないが、音速なら超えることができる。 「まったく、生きてるうちにこんなものが買えるなんてな」 「あんた、年寄りくさいわよ、キョン」 「しょうがないだろ。実際、年寄りなんだから」 「あたしが言ってるのはね、あんたは昔からかわんないってこと」 「そういうおまえは変わったか。以前なら人に操縦カンを任せるなんてなかったろ?」 「いらいらするほど分かりが悪いのも、相変わらずね。あんたがハンドル握るなら話は別よ。あたしがあんたの運転に文句言ったことなんてあった?」 「他の文句を言うのに忙しいのかと思ってた」 「バカキョン」  旧式といっても、21世紀の軍需品だ。操縦桿を握ってる時間より...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その2
    その1から 「というわけで、痛いエロカップルが部屋つき露天風呂でどんなことするか、リサーチしたわ。といっても、半分以上が盗撮ネタだったけど」 「……ハルヒ、聞こうと思ってたんだがな。俺でさえ毎日3時間しか寝てないのに、いつそんなこと調べてるんだ?」 「あんたが寝静まってからに決まってんでしょ、エロキョン」 「だから、お前、毎日ちゃんと寝てんのか?」 「むう」 「ちなみに夕べか明け方か知らんが、直近の睡眠時間は、何時間、いや何分だ?」 「15分ほど、うとうと……したかしら?」 「俺たちがここに来て11日になるが、その間の、のべ時間だと?」 「あーえー、全部足せば5、いいえ、6時間にはなるはずよ!」 「ハ・ル・ヒ」 「な、なによお?」 「ちょっと来い」 「こら、耳ひっぱるな! って、どこ触ってんのよ!」 「いいから、ここ座れ」 「す、座ったわよ」 「人...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2から  そんなこんなで、出発当日。  ハルヒから電話をもらった俺は、パッケージング・バイ・ハルヒのトランクを、俺の部屋から玄関へと運び、その到着を待っていた。  ほぼ予定時刻に、すでに涼宮家を満載したライト・バン型タクシー(?)が、うちの家の前に到着した。 「いわゆる空港行きの乗り合いタクシーだ。予約している飛行機の便を連絡しとくと、タクシー会社が調整して、ドア・トゥ・ドアで送迎してくれる。今日は、おれたちだけみたいだが」  とハルヒの親父さんが、運転手に代わってそのシステムを説明してくれる。 「それじゃあ、行ってくるから」  と家族に、特に妹に、言い聞かせるように旅立ちの挨拶をする。 「ご迷惑かけないようにね。涼宮さん、お世話になります」 「こちらこそ。無理を言ってすみません」 「いえいえ、うちの馬鹿息子は、本当にハルヒ...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その1
     「ところでさ、あんた、9月の連休、何か予定ある?」  もはや恒例と化した感があるそれぞれの家で催される放課後勉強会(正確にはハルヒによる無料家庭教師)。  問題集に向かうのも1時間を超えれば多少の集中力の低化もやむを得ない訳であり、俺たちは予定より早めの休憩タイムに、和菓子とほうじ茶というしぶい間食をとっていた。その最中、冒頭のハルヒによる爆弾発言はなされた。  爆発していない? じゃあ不発弾か。  いやいや、昨今のハルヒの暴言装備はテクノロジーの粋を極めており、一見ゼム・クリップにしか見えない爆弾発言など、もはや日常茶飯事となっているのだ。 「な・ん・か、予定ある?」  俺が聞き落としたとか聞き漏らしたと、ハルヒのやつが思った訳ではないことは、発言の前三分の二を省略し、「な・ん・か」にアクセントを置いたことからも推察できる。  要は「あんたになんか予定があるわけないわ。あ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その2
    その1から ハルヒ 今日からやっと夏休みよ。これで思う存分いちゃラブできわね! キョン なんだ、その、いたラブって?イタ車みたいなものか? ハルヒ そう、アニメ・キャラをでっかくプリントした続き柄のおそろいを着て、って何でやねん! キョン おお、乗りツッコミ。しかも関西弁だ。 ハルヒ 確かにあれは痛いカップルだったわ。 キョン !実在するのか? ハルヒ あの世界は深いわ、キョン。まだまだこんなもんじゃないわよ。 キョン いや、その話題はストーリーとも関係ないし、なんだか帰って来れない気がするから、やめとけ。 ハルヒ そうね。話を戻すと、夏休みよ!学校に行かなくて済むし、寝る以外のすべての時間を、強い意味でのイチャイチャにつぎこむつもりでいくから覚悟しなさい! キョン なんだ、その「強い意味」って? ハルヒ ハードな内容になるってことだけは言えるわね。 キョン 具体的には? ハルヒ...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その2
    ハルヒと親父2その後 一周年 その1から ハル母 さて、明日も平日だし、そろそろ今日はお開きにしましょう。 親父 キョン、客間に客用布団と着替え一式、用意しといた。先に風呂を使ってくれ。あー、それからバカ娘。 ハルヒ 何よ? 親父 「湯加減見ようか」とか「背中流そうか」とか、ラブコメな振る舞いは慎むように。親父はもう体力の限界だ。 ハルヒ どんなラブコメよ! 親父 詳しいことは言えないが、男性用だ。少年誌とはいえ、侮れんぞ。 ハルヒ いい加減にしないと、殴るわよ。 親父 もう、いい奴を2、3発もらっちまっているが。それじゃ解散。 キョン 親父さん、風呂あがりました。先にすみません。 親父 今、風呂はバカ娘か? キョン はい。 親父 じゃあ、ちょっと座っていけ。 キョン はい……。 親父 といっても、話すネタは特にないんだけどな。 キョン はあ。 親父 二人に「共通の話題」...
  • 親父さんと谷口くん2
    親父さんと谷口くんから 「えーと、前にも尋ねた覚えがあるんだが、誰だっけ?」 「このあいだ、親父さんの教えを受けた谷口です」 「おー、そうだった。その後、どうだ? もてたか?」 「おばあさん相手に100人切りを完遂しました。どっちかというと、返り討ちにされた気がしますが、勉強になりました」 「で、今はどうしてる?」 「はい、それが高じて、介護施設にボランティアへ」 「そうか。人生何が幸いするかわからんな」 「親父さん、もう一度、チャンスをください!」 「ん?何の?」 「大変充実した日々を送りましたが、本来のナンパ道から遠ざかっている気が。それに、おれ、正直言って、若い女が好きなんです!」 「それで、なんか、アドバイスすればいいんだな?」 「ぜひともお願いします!」 「アーリー・ラーニング・セットって知ってるか?」 「いや、いいえ」 「20世紀最大の催眠...
  • 辞書シリーズ/英和辞典:I love you.
    ハルヒ ちょっとキョン、あんただったら、これどう訳す? キョン おいおい。それはどういう冗談だ? 俺に英語の訳を聞いてどうするんだ? 恥ずかしいから一度しか言わんが、おもいっきり専門外だ。他を当たってくれ。 ハルヒ あんたの場合、学業自体が専門外じゃないの。 キョン そこまでいうか。まあ確かに、俺と谷口なら、イーブンで五分と五分、刺し違える覚悟はあるが、おまえとだったら話にならん。というか同じグランド上で違う球技をしてるようなもんだぞ。お前はバレー・ボール、おれは卓球。おまえはサッカー、おればビリヤード。 ハルヒ 御託は良いから、さっさと訳しなさい! バカのあんたでも十分訳せる英語だから。 キョン やれやれ。そうまでして異種格闘技がやりたいのか? 俺を凹ますカードなら、他にいくらでもあるだろうに。……と、アイ・ラブ・ユーか。I love you. あい、らぶ、ゆう。ふ...
  • 親父さんと谷口くん5
    親父さんと谷口くん4から 谷口 親父師匠! 親父 誰かと思えば谷口か。今日は何だか悩んでなさそうだな。 谷口 はい。あれからいろいろ紆余曲折ありましたが、なんとかデートの約束までこぎつけるところまで行きました。 親父 そうか、100人斬りナンパ・エクスポージャまでやったのか。 谷口 はい、断られるのが前提で声をかけるのは、なかなかきついものがありましたが、確かにたかだか断られるだけ、誰も声をかけるなりゲロを吐いたり殴ったりする人はなかったです。  自分が内気だとは思ってませんでしたが、それに気付いて克服することができました。今では鼻からスパゲッティ食べて逆立ちでグランド1周くらいできそうです。 親父 そうか。しかし鼻からパスタはやめておけ。で、今日は? 谷口 はい。ご報告と、最後のアドバイスをいただきに参上つかまつりました。 親父 うむ。まあ、ドタキャンされても泣かないようにな。 ...
  • 親父とRPG その2
    親父とRPGから  「なんで、今度はあたしが行商人なのよ!」 「おまえみたいな、はっちゃけた奴をな、ピラミッドの上の方に置いとくと下が大変なんだ。昔の殿様なんか、食事に石ころが入ってても、表沙汰にすれば、味見係以下、食事に携わってる連中が処分されるだろ。だから、知らんぷりして、誰も見てないうちに吐き出すくらいでないと、上のものは勤まらなかった」 「うー、聞くだけで、ストレスの溜まりそうな話ね」 「おまえなんか、化け物を殴ってりゃストレス発散できるじゃねえか」 「あたしが言いたいのはね、なんであんたと親子連れかってことよ!」 「事実、親子なんだから仕方がない。恨むなら神を恨め、バカ娘」 「事実と2次元をごっちゃにするな。これはゲームの内でしょ!」 「最初からパーティが揃ってたら、モチベーションが沸かんだろ。そのうち仲間と合うんじゃないか? それまでおれがお前のお守りだ...
  • ハルヒ先輩
     「キョン、あんた、ちゃんと弁当つくってきたんでしょうね?」  デカイ声でいうなよ。まったく、ちょっとは気を使って欲しいぞ。 「ふふん、相変わらずうまそうね。あんたに先に料理を仕込んだのは大正解だったわ! ほら、あんたの分もあるんだから、しっかり食べなさい!」 「『あんたの分』じゃなくて、どっちも俺が作ったんだ! あと、俺たちはまだ4限目、授業があるんだよ」 「却下。アホ教師の授業なんて聞く意味なし。遅れないように、後でしっかり教えてあげるから、とにかく座りなさい」 「授業に遅れなくても、出席日数に響くんだよ」 「そんなもの、なんとかなる。いざとなったら、なんとかし・て・あ・げ・る」 「それが怖いんだよ」 「まだ、何か?」 「わかったよ、食べる、食べるから」 「待った、あんたの席は、ここ」  うわ、この人、自分の太もも叩いてますよ。おれたち、どこのバカップルですか? ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その3
    その2から  バカップル的ひきこもり生活も10日を越えると、さながらル・マン24時間耐久レース(あるいは1万円で1ヶ月生活)の様相を呈してきた。  本家のバイオスフィア実験−水も空気も出入りしない人工閉鎖系で、植物や家畜を持ちこみ、究極のショート・レンジリサイクルを行いつつ人がどこまで生きていけるかという過酷な実験も、予想外の、しかしシステム的な要因による慢性的な酸素不足、収穫不足、家畜の全滅に加えて、実験期間後半には、メンバー間のいさかいが耐えなかったという。  おれたち二人の間でも、いつものように、いさかいは耐えなかったが、これもおそらく谷口あたりに言わせれば、痴話ケンカの域にも達しない「いちゃつき」と判定されるレベルであり、ここに国木田、阪中を加えても、満場一致にして判定は覆らなかったであろう。  おっとハルヒが呼んでいる。後世に書き残し、何かの教訓にしてもらおうとい...
  • ロール・プレイング その4
    ロール・プレイング その3から オヤジ じいさん、天下の往来で、幾何学の証明なんてするな。流行ったら、どうする気だ? 古代アテネを襲った、プラトンの幾何学公害を知らねえのか? 暇にあかして自由民がこぞって砂浜に出かけて図形を描きまくったから、アテネ市街じゃ砂ぼこりで目を開けたれなかったんだぞ。 老人 言ってる事の半分は分からぬが、これを証明だと一見して見抜きおった。どこから来た? オヤジ ぶっちゃけ、こことは別の世界からだ。 老人 なるほど。 オヤジ いや、そこはつっこめ。話が続かん。 老人 ご客人、茶などどうかね? いろいろ話をしたいが、老人の相手は嫌かね? オヤジ 好きか嫌かでいえば、嫌だ。だが、今は選択肢を選んでる場合じゃなさそうだな。 老人 急いでいるのかの? オヤジ おれが、じゃなく、世界がな。 老人 さて、息災にみえるがの。 オヤジ おれには、あんたがそう思っているよ...
  • できちゃった 外伝ーミッドナイト・ミルク
    オヤジ よし、今日も「ミルク訓練」やるぞ。時間計るからな。 キョン はい。 オヤジ 目をつぶってできるようになるまで反復練習だ。下手すると火傷するから気を抜くな。 キョン はい。 オヤジ まず、手を洗ってこい。手順は「厚生労働省指針 手洗いマニュアル 外食・飲食業者篇」に準拠してある。  1. 水で手をぬらし石鹸をつける。  2. 指、腕を洗う。特に指の間、指先をよく洗う。(30秒程度)  3. 石鹸をよく洗い流す。(20秒程度)  4. 0.2%逆性石鹸液又はこれと同等の効果を有するものをつけ、手指をよくこする。(又は1%逆性石鹸液又はこれと同等の効果を有するものに手指を30秒程度つける。)  5. よく水洗いする。  6. タオルペーパー等でふく。 以上だ。 キョン はい。 オヤジ それから蒸し器に必要なものを入れろ。 キョン 広い口の哺乳瓶(ガラス製)、ゴム乳首(穴小さめ)、びんはさ...
  • マジで恋する5秒前
     「みくるちゃんがネット見てるなんてめずらしいわね」 「あ、涼宮さん」 「みんなはまだ?」 「ええ。私以外はまだ誰も」 「有希までいないのね」 「長門さんは、コンピ研です」 「ふーん。で、みくるちゃん、何見てたの?」 「えーと……」 「どれどれ」 「うわわ、急にのぞかないで下さい」 「コイシテイルジブンニキガツイタシュンカン9パターン? 恋している自分に気が付いた瞬間9パターン! ……はあ、みくるちゃんも意外と『乙女』ね」 「(ど、どっちが、とは言えません……)す、涼宮さんも、興味ありますか?」 「ないわ」 「そ、そうですか」 「……でも、そこまで言うなら見てあげなくもないわ!」 「(いや、そこまでもなにも……)」 「なになに、『その1.メールの返信を心待ちにしていた瞬間。……何気ないメールでも、返信がくることを「楽しみ」にしていたら、恋に落ちたサインでしょ...
  • ハルキョン家を探す その1
     駅前の不動産屋の前で、掲示されている物件情報を親の敵のように睨みつけている奴に出会った。  誰であろう、涼宮ハルヒである。  ハルヒは自分の行為によほど集中していたのか、俺が声をかけられるほど近づいても、まるでこちらに気付かないでいた。  やれやれ、今度は何を考えついたんだ? 大方、SOS団の駅前屯所を作るのよ!これから地の利ってのがものをいうんだからね、といったようなことだろう。  悪の芽は早めに摘むに限るな。といっても大げさなものじゃない、ちょっとばかり小言を言うだけさ。だいたい、こいつは物わかりが悪い奴じゃない(逆に物わかりが激しすぎるきらいはあるが)。ただ正面から否定すると意地になって、自分でもわかっちゃいるくせに上げた手が下ろせなくなるだけの話だ。  周りの迷惑を少々過小評価するきらいはなくはないが、こいつはこいつなりに自分を含めた「みんな」のためを...
  • オヤジラジオ その4
    オヤジラジオ その3から ハルヒ それ、どういうこと? じゃあ、発信機を探しだせても、何にもならないの? キョン そういうことだ。 ハルヒ ちょっと、キョン、どうすんのよ!? キョン ハルヒ、落ち着け。 ハルヒ って、あんたは何でそんなに落ち着いてんのよ!? キョン ハルヒ、これって、いろいろ周囲を巻きこんで多少傍迷惑ではあるが、要するに、お前と親父さんの親子ゲンカだろ。 ハルヒ う、うぐ。た、確かに、そう言えなくもないけど。 キョン だから、だ。俺たちが背負ってるのは世界の破滅でも、誰かの不幸でもない。相手は超常現象でも不条理でもない。いくらか常軌を逸しているが、親父さんの悪知恵と悪戯心に勝てばいいんだろ。 ハルヒ ぶっちゃけ、そうよ!  キョン だったらな、ハルヒ、おれたちは多分、答えの鍵をすでに手にしてると思うぞ。 ハルヒ どういうこと? キョン それも、後でなんで気付かなか...
  • できちゃった その2
    できちゃった その1から ハル母 キョン君、いらっしゃい。ハルは部屋よ。「勝手にあがってきて」って言ってたわ。 キョン いつもすみません。お邪魔します。 キョン ……って、おい、ハルヒ? ハルヒ ん?……あ、キョン、おはよ。 キョン おはよって、もう昼だぞ。それと妊婦が床に寝るな。うつぶせで寝るな。腹出して寝るな。ったく、よいしょっと。 ハルヒ お、お姫様だっこ……って、もう終わり? キョン 終わりって、ベッドに運ぶだけだから、これで終わりだろ。 ハルヒ このまま町内を一周してみない? キョン しない。無駄に体を冷やすな。それより、なに散らかして寝てたんだ? ハルヒ あ、これ? 母さんの家事日記だって。もらったの。新妻と新米ママには参考になるだろうって。読みふけってるうちに寝ちゃったみたいね。 キョン ……おれには「ただの親父」...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3から  飛行機は快調に空を飛び、涼宮ハルヒは俺の二の腕に盛大に頭をぶつけて眠っている。 「おい、ハルヒ。起きろ、飯だ、機内食だぞ」 「ん……あ?」 「どっちにしろ寝ちまうんだな」 「"What would you like, beef or fish? 」 「ああ、うん。……キョン、あんた、魚とお肉、どっちがいい?」 「ああ、肉にするか」 「Can I have the fish meal ? He says he d like to have the beef.(わたしは魚料理をちょうだい、彼は肉料理を食べたいそうよ)」 「いまさら驚かんが、英語もできるのか?」 「親父の持論だと、ハロー、プリーズ、サンキュの3つとクレジット・カードがあれば、どこへ行ってもなんとかなるらしいけどね」  ハルヒがト...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー6
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー6 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-31の分 2009-10-01〜2009-10-31の分(別ページ) -2009-11-01〜2009-11-15の分 ...
  • 涼宮ハルヒのいちゃつき
    ハルヒスレに投下された無自覚夫婦に出てくる 酒の入った涼宮とキョンの想像を絶するいちゃつき具合 をやっぱり書いちまった。ので、投下してみる。 団員1 ハルヒ〜。前から一度言ってやらないといかんと思ってたんだ。今日こそ言ってやるから覚悟しろ。 団長 なによお〜、キョンのくせに生意気ねえ。あたしも常々あんたには言いたいことがあったのよ。今日こそはっきり言ってあげるわ。覚悟しなさい。 団員1 言っとくがな、愛の告白なんか受け付けんぞ。 団長 こっちこそ、願い下げよ。誰が、あんたなんか。 団員1 今日の俺は酔ってるからな、普段言えないようなことも言ってしまうぞ。 団長 お酒の力を借りないと言えないなんて、とんだヘタレね。あたしも酔ってるけど、いつも通り言いたいことを言うわ。 団員1 じゃあ、おまえ、先に言えよ。 団長 いやよ、あんた先に言い...
  • 親父さんと谷口くん4
    親父さんと谷口くん3から 谷口 親父先生!谷口、一生のお願いがあって参りました。これが誓いの唐笠血判状です。 親父 いや、もともと一揆の首謀者が分からぬよう、どっちが上かわからんようになってるのが、唐笠血判状なんだが。谷口、谷口と、自分の名前で埋められてもなあ。まあいいや。おまえの本気を信じよう。言ってみろ。 谷口 結局、王道しかないと悟りました。俺にモテるための地味な努力を教えてください! 親父 分かってるのか?地味な努力は牛歩の歩みだ。たとえば、1ヶ月でHな女の子の住所氏名が集まる裏技と、地味な努力があったとする。おまえはどっちを選ぶんだ? 谷口 も、もちろん地味な努力であります!!  親父 なるほど。では、おまえの本気に応えるように、おれも本気でかかろう。しかし言うまでもないが、地味な努力はスモール・ステップだ。ひとつひとつの段階は実現可能なほどに小さいが、しかしそれ故にま...
  • ハルキョン家を探す その3
     次の日の放課後、俺とハルヒは、約束の通り、あの不動産屋を訪れた。  「そうか、君たちの部屋を探してたのかい。それでいいのは見つかったかい?」 「それが、どれもいまいちピンと来ないのよねえ」  かいつまんで話した「事の顛末」をニコニコ顔で聞いてくれる店主と、そんなのはそっちのけで物件リストの中にサイコ・ダイビングしてしまうハルヒ。 「すいません。目標を追い出すと周りが見えなくなる肉食獣な奴で」 「いいよいいよ、気にしないで。住むことは生きることなり、だ。真剣に探すのは当然だよ」 「住むことは生きることなり、ですか」 「実感が湧かないかな。若いうちは元気で外を飛び回っていて、家なんか帰って寝るだけ、ということも多いからね」  ハルヒが部屋探しに打込む様子を目の前にしても、どこか違和感を感じるのは、「外を飛び回ってる」ハルヒのイメージがどうしたって強烈すぎて、「帰って寝るだけ」...
  • ハルヒと親父2 ー おとまり
    「あのね、母さん。明日、映画見に行ってくるから」 「そうなの。じゃあ、シャンペン抜きましょう」 「な、なに言ってんの!?」 「あら、和風がよかった?お赤飯にする?」 「そんなんじゃないわよ!」 「そんなのじゃないって何が?」 「あう」 「ただ映画行くだけなら、わざわざ前日に言って行かないでしょ」 「それはその、5本立てオールナイトだから、帰るの次の日の朝になるし……」 「ゆっくりでいいわよ。朝帰りはかえって『お泊りしてきました』って言ってるようなものだし」 「……////」 「合宿のときは、平気で泊まってきたじゃない」 「あの時とは、ちょっと、事情が違うというか……」 「それだけ聞けば十分。あまり聞いても話したくなるだけだから聞かないわ」 「……うん。そ、それとね」 「お父さんでしょ? 明日、明後日と珍しく家にいるから」 「う、うん」 「心配いらないわ。母...
  • 図書館で−オヤジラジオ・プロローグ
    親父 今日は、スピノザに、トゥキディデスに、聖ヒルデガルト、ディラックに、鈴木邦夫かよ。 長門 ……? 親父 俺だ、ハルヒんとこの親父だ。 長門 ……オヤジ。 親父 そう、親父。……借りた本、重そうだな。半分持とうか? 長門 大丈夫。問題ない。 親父 そうか。それじゃあ、何か飲まないか? 長門 飲む? 親父 図書館の下に学食みたいな喫茶室があったろ。おごってやるからつきあえ。 長門 ……わかった。 親父 日曜は大抵来てるのか? 長門 そう。 親父 一言多い司書がいてな、ちょっと顔なじみなんで、教えてくれたんだ。さっき目の端にお前さんが映ってな、そっちを見てたら「毎週日曜日、セーラー服で一日中本を読んでる娘がいるんだが、知り合いか?」ってな。 長門 ……そう。 親父 俺は借りてたDVDを返しにきた。休みがいい加減でな、2週間ばかり延滞だ。俺の見る映画なんて見る奴は少ないけどな。 長...
  • 親父さんと谷口くん3
    親父さんと谷口くん2から 「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」 「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」 「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」 「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」 「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」 「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」 「できるかどうかの問題じゃない。して...
  • ラベンダー・バス(二人は暮らし始めました)
     夏の間、部屋に帰ればすぐシャワー、汗をかいたら即シャワー、というパターンを繰り返していたせいか、思えば「ゆっくり湯船につかってくつろいだ」という記憶があまりない。  これは何もシャワーのせいとばかりは言えないだろう。  心・技・体ともに、「ゆっくり湯船につかる」のにまったく不向きな人物と、おれは暮らしているのだから。  まず心。風呂を肉体ばかりか精神をくつろがせ、リフレッシュする場所だとは、どうあっても思えないらしいあいつは、湯船にはられた液体が摂氏40度のお湯だろうが、15度の水だろうがおかまいなしに、真夏の動物園で氷柱をもらった北極クマのように、はしゃぎにはしゃいで、とにかく水をあたりにまき散らしてくれる。  つぎに技。稚戯から一転、あいつがその気になれば、魔法の杖のように指を一振りするだけで、今度はおれの理性が3段式ロケットに乗って宇宙速度で飛び去り、種馬だとかオットセイだ...
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