目覚め



 別に、このヒグマは穴持たずではなかった。
 冬眠とかする時期じゃないし、お腹も結構いっぱいだった。
 人間で言うなら、え? 〆の雑炊いまから作るの? ちょっとキツいなあくらいの感じだった。
 だからそんな凶暴じゃないし、ふらっと歩いてた。
 なんなら、オープニングで暴れてる穴持たずを見て若干引いてた。

 そんなことに英雄王ギルガメッシュが気付くはずもない。
 雑種はどの雑種も雑種であるように、クマはどれもクマだろう、くらいのノリで宝具を放った。
 彼の宝具たる『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』は、支給品とかじゃなくて普通に持ってた。
 英雄王が英雄王の宝具を持っているのに、理由なぞない。
 宝具を山ほどブッぱなすのが『王の財宝』のいつもの使い方なのだが、あえて四つくらいをヒグマに当たらぬよう足元に飛ばした。
 このヒグマを穴持たずではないと知らぬため、英雄王を食い殺さんとしているうちの一体と思い込んだのだ。
 そのような不届きものに対し、身の程を分からせずあっさり殺すなど、英雄王には許し難い。

 さてヒグマサイドだが、かなり困惑していた。
 むしろちょっと腹ごなししようかなくらいの気分だったのに、なんか明らかにヤバいものが飛んできたのだ。
 ヒグマは華美に装飾された刀剣など初めて見たが、それでも『当たったら死んでる』くらいは察した。
 そして、その『当たったら死んでる』ヤツが、こっちをやたら見てる金髪男の背後に浮いている。
 さっきみたいに飛んでくるのは、野生のカンを用いずとも明白だった。

 ヒグマは考える。

 当たったら死ぬ。

 それは間違いない。

 でも背中を向けて逃げても死ぬ。

 っていうか、足元に刺さってるヤツジャマだし。

 あれ?

 見てみたら、なんか結構……ちょうどよくない?

 抜いてみる。

 金髪が声を荒げたが、そんなことはどうでもいい。

 そんなことより、やたらとしっくりくる。

 なんていうか、こう、持ってみたら、気持ちいい。

 あっ!

 これ振り回せば、なんか飛んできても大丈夫くない?


 よーし、振りかぶってみよう!





           r ⌒}__r¬
             ,ィ   { .ノ
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  {: : : : : : >  ,        )
  ` <: : : : : >        ゝ、
      <: : : : :>:.__   r  ノ
          ノ>、: /  Y== ィ′
      ///// ∧ (  /: Y 、
      ゝ、//人{⌒}  `ヽゞィ  ヽ
     /  `ー- ヽ、_  }人_ ノ
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    {             
     、 .{  `ヽ、    ノ
     \\   )、 イ /
        )  /  ⌒)
      / ⌒)ゝ‐‐
          ̄


「貴様、我(オレ)の宝具を――ッ! 『王の財宝』――――ッ!!」


 カキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーン弾道が上がったカキーンカキーンカキーン
 カキーンカキーンカスッカキーンミートが上がったカキーンカキーンカキーンカキーンカキーン
 カキーンカキーンパワーが上がったカキーンカキーンカキーンカキーン弾道が上がっ
 たカキーンカキーンカキーンカキーンミートが上がったカキーンカキーンカキーンカキーン
 パワーヒッターを習得カキーンカキーンカキーンカキーンアベレージヒッタ
 を習得カキーンカキーンカキーンカキーンカキーン弾道が上がったカキーンカキーンカキーン
 カキーンカキーンカスッカキーンカキーンカキーンカキーン広角打法を習得カキーン



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    ス テ ー ジ ク リ ア !






【ギルガメッシュ@fateのどれか 死亡】




【穴持たずではないヒグマ】
状態:弾道4、ミートB(72)、パワーA(84)、パワーヒッター、アベレージヒッター、広角打法 
装備:ちょうどいい感じの宝具
道具:無し


No.026:私がバトロワに巻き込まれたのはどう考えても理不尽でしかない 投下順 No.028:決着
No.026:私がバトロワに巻き込まれたのはどう考えても理不尽でしかない 時系列順 No.028:決着
ギルガメッシュ 死亡(No.094:アンリ・ヒグマ-この世すべての羆-
穴持たずではないヒグマ No.050:流星

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最終更新:2015年01月18日 02:06