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Bad∞End∞Night

雲間から漏れる光が、一筋の蜘蛛の糸だったらどれほど幸せだろうか。
その糸さえあれば、自分はともかくとして守るべき彼女だけでも生還させることが出来るとしたら。
きっと少女は笑顔で自身の命を擲ち、守るべき少女を助けることだろう。
そうでなくてはならないと、彼女は思っていた。

空は一面の曇り空である。雨を含んではいないようだが、もし降りでもしたら面倒なことになる。
雨で視界が不自由になり、更に濡れた衣服が体温を奪っていく状況は非常に不味いといえるだろう。
そんな一抹の不安さえ覚えさせるような天を見上げ、少女は溜め息をひとつ、溢した。
どうして自分たちはこんな目に遭わなきゃいけないのか、そう思わずにはいられない。
曇天の雲間から射し込む日光が相対的にやたら美しく見えることさえ、今は悩ましい。
だって、その空は本当に綺麗だったから。
バトルロワイアルなんか起きなくて、いつものように彼女と仲良く過ごしていたら、この綺麗な空を共に見上げて、美しさに笑顔のひとつでも浮かべて笑い合えたかもしれない。
その辺の自販機でジュースなんか買って、二人で他愛もない会話をしていたのかもしれない。
……おっと、今はまだ授業時間だ。
それでもこんな風情のある風景を見られるなら、授業の一時間や二時間、サボってもいい気がした。
つまらない授業も、小うるさい教師も、今となってはかけがえのないものだったと心から思える。

少なくとも、もう二度とそのありふれた日常に回帰することは出来ないのだと、分かっているから。
帰るようなことがあってはならないことも、その役目を負うのは大切な人だと、彼女は覚悟している。

――瀬戸麗華は、殺人者である。
唯一無二といえる親友を護るために殺し合いに乗り、既に一人の少年を撲殺している。
並行世界でも、クラスメイトを殺してでも親友を護ろうと、殺人を犯した。
殺人を行う癖にまだ忌避を捨てきれていない、なり損ないの殺人者。
いや、それも当たり前か。
むしろ、つい数時間前まで普通の中学生だった少女に顔色ひとつ変えずに殺人をしろ、と要求する方が酷だろう。
それに、親友のために自分を擲つ覚悟を決められているだけ上等だともいえる。

彼女はさっきも語った通り、人殺しを正しいこととして許容する域にまで未だ至っていない。
青木林を殺害した時だって、彼の行動に心を揺さぶられてしまった。
そんなことでは守るべきものも守れないと分かっていても、麗華はそこまで堕ちられない。
瀬戸家の令嬢としての自尊心が勝っているのか、それとも一人の人間としての倫理観が勝っているのか、それは彼女自身にも分からない境地であった。
理解してしまったら、ようやく決めた覚悟が崩れてしまうような気がして、怖くもある。

だから極力細かいことは考えないようにして、脳裏を守るべき親友――狭山雪子で満たす。
あの笑顔を、声を、仕草を、性格を、何もかもを、絶対に失わせたくない。
どんなに辛く厳しい現実を見せつけられようと、瀬戸麗華の中で唯一、絶対に揺るがないもの。
狭山雪子という存在は、彼女の想像以上に瀬戸麗華を支えているのだった。

ところで、現在瀬戸麗華は、ある建物を目指して歩いていた。
遠目では何だか分からないが、地図を見る限りそれなりの大きさを持った施設らしい。

行ってみて、参加者を発見できたなら容赦なく殴り殺す。
呵責が訪れても相手を仕留められるために、執拗に何度も何度もバットを降り下ろす。
先程の襲った男は、ハリセンというふざけた武器で麗華を痺れさせ、事実上敗走させた。
あの時の悔しさの度合いといったら、言葉では表せないほどだった。
不甲斐なさと情けなさ、怒りや悲しみ、何より大きい焦燥感、全てが一度に押し寄せてきたのだ。
溢れんばかりの殺意をこらえ、痺れが解けるのを待った。
その時間は、瀬戸麗華にとってどんな辱しめよりもずっと屈辱的な時間だったといえる。
もう一度あの男を見つけたら、その鬱憤を晴らすことも兼ねて徹底的に殺す。
それが雪子の為に出来る最大の選択だと心から信じて、殺して殺して殺して殺す。

そして念には念を入れ、首輪の解除方法についても探っておきたい。
生憎令嬢の麗華でも、適当にいじってどうにかできるほどこの首輪は単純な作りをしていないようだ。
失敗すればドカン――運に任せるには、少しばかりリスクが高すぎる。
これについては、首輪を外せる技術を持った者を脅して聞き出すしかないだろう、と麗華は踏んでいた。
ともかく、それを踏まえてもこの首輪は厄介な障害である、それが麗華の見解だ。

考えを取り纏めつつ、少女は近付いてきた建造物――島民ふれあいセンターに足を踏み入れる。
金属バットを引き摺りながら、彼女はこれから戦乱の舞台となる死線へと、飛び込んでいくのだった。


◆ ◆


「……はぁ、殺し合いって言っても、結構暇なものなのね」


センターの一室。
着々と進行している殺し合いの最中であるにも関わらず、彼女はそんなことを呟いた。
―――浅井きらら。愛する者のために殺人鬼を志した女性は、こうして休息を取っている。


「やっぱり相手を選んで殺さないと、返り討ちにされちゃうかもしれないし」


彼女の懐には、暗殺拳銃デリンジャーが収まっている。
その小型さ故、暗殺には適しているのだろうが、何分装填できる弾数が二発しかないのが欠点である。
一発外しただけでも相当な命取りになる、ピーキーな武器。
一度殺し合いを経験しているとはいえ、元が一般人であるきららにこれを使いこなすのは少々厳しい話であった。

殺し合い開幕後、きららはまだ一発もデリンジャーの弾丸を消費していない。
お得意の誘惑が通じなかった相川友に関しては、どうやら危険人物に成り果てているようだし、手を出さなくて助かったのかもしれないが。
とにかく、まだ一人も殺せていないこの事実に彼女は僅かな焦燥を覚え始めていた。
まだ開始数時間しか経過していないのに考えすぎかもしれないが、守るべき政喜が危険に晒されていたら、とどうしても思う。
きららが殺したところで彼の安全が保障される訳ではなくとも、危険が及ぶ可能性を減らすことくらいは出来る。


「……なんでだろ」


こめかみを押さえて、苦笑いを零す。
浮かぶのは愛する政喜の面影、思い出。
自分がどんなに殺したところで二度と彼と歩むことは出来ない――そう考えると、とても胸が痛いのだ。
優勝できるのは一人だけ。これはバトルロワイアルの大前提で、覆ることの有り得ない絶対のルールである。
それに、大勢を殺した殺人鬼が幸せな未来を望むのは烏滸がましいことだと、彼女自身もちゃんと理解していた。
それでも、浅井きららにだって夢くらいはある。
……心から思える人と、永久に暮らしたいと。
――――繰り返すが、そんなことはもう無理だと分かっている。
分かっていても、望まずにはいられない。
浅井政喜。彼の未来、その隣に立つことは出来ないのだと思うだけで、切なさのあまり胸が弾けそうだった。
だけど、止まりはしない。
自分の幸せと政喜の幸せ、どちらが大切かなんて考える間もなく明らかなのだから。
一瞬だけ燻った思考を、冷水のような現実で揉み消し、きららは『マーダー』としての思考回路を高速で循環させる。
政喜を生き残らせる。
名残惜しくもあるが、自分の幸せを切り捨てる。
彼が喜ばないことも分かっている。もしかすると怒られてしまうかもしれないし、嫌われるかもしれない。
それでも、現実を知ってしまった。
――バトルロワイアルで生き残れるのは、一人なのだ。

ならば、命を懸けて守ろう。
かけがえのない存在を守り通すためだけに、この命を擲とう。
二度と還らない運命の螺旋にこの身を投じ、対価として彼の幸せを願う。
もう二度と巡り合うことが無くたって、愛に生きて愛に死ねるならそれは、一つの存在として本望ではないか。
悔いのない終わりを、作れそうだ。
だからきららは、甘ったるい正義の道に背くことにした。
夢を捨てて現実を見て、最も合理的で冷酷な決断。
仮に志半ばで死ぬことになろうと、一人でも殺せれば巡り巡って、必ず政喜の助けになる筈。
――浅井きららの存在価値は、無駄ではなかったことになる。
そんな破綻した論理が、どうしてだかこれ以上ないくらいに、素晴らしいものに見えた。

どうせ二度目の生。
一度は失った生。
どうして自分がこうして生きているのかは全く分からなかったが、ただひとつ確かなことがある。


「――神様ってのは、酷い奴だ」


人々の幸せをバラバラに壊しただけでは飽き足らず、失われたものまで弄ぶ。
こうして何十人もの人間を不幸のどん底に叩き落として、今もきっと天上で高笑いをあげているに違いない。
みんなが、どんな気持ちでそれを受けているかも知らずに。
浅井きららは、神を嫌悪する。
憎んでも憎み切れない憎悪の対象に、既に成り下がっていた。
これが夢ではないことはとっくに確信している。
こんなよくできた夢があるなら、自分で自分の脳を褒め称えてやりたい。
でも、それは違う。
夢であろうと夢でなかろうと、守る。
重要なのは政喜が、この場にいるということなのだ。

浅井きららは思う。
自分はこうなる運命だったと。神様に嫌われているから、こんな目にばかり遭うのだと。


「……ばかみたい」


我ながら、馬鹿馬鹿しいことを考えた。
そう思ったのか、きららは美人の魅力をたっぷりと含んだ微笑みを見せる。
神様なんてものが存在するかどうかは分からないから、本当の所がどうなのかは確かめられない。
でも、どちらにしろ。所詮それは同じことである。
きららの選択も揺らぐことは有り得ないし、バトルロワイアルの現実がどうこうなるわけもない。
考えるだけ、時間の無駄である。


「……政喜。今、何をしてるかな」


柔和な笑顔で、愛する者の事を想う。
身勝手であるとは分かっていても、彼にはゲームに立ち向かっていてほしいと思わずにはいられない。
汚れ役を引き受けるのは自分だけでいいから。
もちろん、彼がどうあったところで最終的に生き残るべきは浅井政喜ただ一人である。
彼には、悲しい夢を見てもらうことになるのかもしれない。


「ごめんね」


その未来を、血で汚してしまう。
浅井きららのつまらないエゴで、彼の道に傷をつけてしまう。
一人の女の下らない我儘であることは承知していたが、今更止まろうとは思えない。


「愛してるんだ」


肉体関係に限った話ではなく、心から愛している。
たとえあの日常に帰れなくても、いい。
浅井政喜の記憶の中にだけでも生きていられたら、それだけで浅井きららが存在していた価値はあったんだから。
一人の女として、これ以上の幸せが一体どこにあろうか、ときららは思う。
たとえ間違っていたとしても、正論だけじゃ守りたいものは守れない。
――分かっている。自分の語っていることがとんでもなく破綻していて、決定的に間違っていることくらい。
その事実をあえて脳内から消し去り、冷酷な殺人鬼に成り果ててやる。
それが、彼女なりの覚悟の形だった。


「………もう行かなくちゃね」


休息は万全だ。
これからは参加者を騙し討って、まずはもう少しまともな武器を入手するところから始めたい。
こと誘惑に関しては他の参加者より卓越しているきららにとって、馬鹿な男を欺くことなど朝飯前であった。
行為に及んで、出来た隙をどさくさ紛れに突くことくらい造作もない。
ただ一つ問題を挙げるとなれば、真性の殺人鬼か。
もしくは自分と同じように誰かのために戦う人間と出会ってしまったら、些か不味いといえるかもしれない。
だがとにかく、当面の問題はデリンジャーに代わるメインウェポンを得ることだった。


「マシンガンとかあればいいんだけどなー……一度までしか外せないなんて辛すぎるよ」


剣やら槍やらを与えられても困り果てたろうが、それでもこれよりはマシではないだろうか。
デリンジャーの威力に心配は抱いておらず、問題はきらら自身の射撃の腕前である。
最初にも言ったが、きららは殺し合いに関してはほぼ素人同然。
何メートルも離れた相手を的確に射抜く自信など、あるはずもない。
装備が整っていなくては、政喜を守るとか以前の問題だ。
だからとりあえずは武器を得るためにもなるべく『ちょろそう』な相手を殺して、武器を奪うことにする。
本格的に動き出すのはそれからでも遅くないだろう。
だが。
きららは真っ向から向かっていくような馬鹿ではない――しっかりと、勝つための手段くらいは弁えている。
不意打ち、謀術、裏切り何でもやってのけよう。
なるだけ危険の及ばない手段で、頭を使って参加者を減らしていくのだ。
ゲーム開始からしばらくは彼らの事も利用するが、後々排除する。

ゲームが終盤に差し掛かる頃には、十分な兵装が集められる筈。

踏み外した道を歩み続ける。
正しい道が目の前に現れても、二度とは戻らない。
――浅井きららの理想は、踏み外したままでこそ遂げられる。
愛する者を守る為にならば。 いくらでも狂い、踊らされてやろうではないか。
きららは哂う。
泣き出しそうな瞳で、哂う。
愛の為という大義名分を盾にしても、何故だか彼女の心に立ち込める靄が晴れることだけは無かった。


◇ ◇


島民ふれあいセンターの中を探索の為に歩き回る二人の人影があった。
かつかつと規則的に、清潔感を感じさせる小奇麗なタイル敷きの床を二人の靴が叩く。
バトルロワイアルの舞台となる以前は普通に使われていたのではないか、と思わされる程、そこには生活感があった。
一ノ瀬進切磋琢磨の二人は、センター内の探索を粗方済ませていた。
建物内は広く、まだすべてを見た訳ではないが、目ぼしいものがありそうな場所は既に見回った。
結果収穫はゼロ。
事務室らしき場所にはパソコンもあったが、ネットワーク以前に電源さえまともに点かないレベルで使い物にならない。
一ノ瀬の切望する着替えも、残念ながら見つかる気配はなかった。サイズ的な問題もあって。 戦えば戦うほど強くなる切磋琢磨も、探索だけではそのルール能力を発動させることが出来ない。
生憎、本来の『正史』で出会う『老師』東奔西走ほどの実力を一ノ瀬は備えていなく、修行もあまり円滑には進まないことが予想された。
戦わなくて済むならこれに越したことはないのだが、そう上手くいくなら初めから苦労しないというもの。
しかし、一ノ瀬はあることを考えていた。
このふれあいセンターを、対主催の拠点として利用しよう――。
理由はひとつ、この施設には設備が揃い過ぎているのだ。
予備の電池も回収こそしていないが確認できたし、場所も広い事で拠点にはうってつけの場所だろう。


(問題はどうやって、ここに人を集めるかだな……)


島民ふれあいセンターはそこそこに大きく、決して目立たない外観をしてはいない。
見かけたなら誰かとの遭遇を狙って訪れる人物もいる筈である。
ただ、寄ってくるのが危険人物である危険性も無論、十二分。
しかし、戦う程強くなる青年・切磋琢磨に一ノ瀬は賭けてみようと思っていた。
彼の強さに、彼の意地に、託してみようと思ったのだ。
苦難を超えれば超えるほど切磋琢磨は強靭になってゆき、いずれ最強に相応しい力を覚醒させる。
そうなれば主催者連中の打倒に一役買ってくれるだろうし、これほど頼もしい支えはないとさえいえる。
上手くいけば、極力人を殺めずに済ませることも可能かもしれない。


「一ノ瀬さん、これからどうしますか?」


思考回路の螺旋に没頭する一ノ瀬に、丁度よく切磋琢磨が確認を求める。


「ここを拠点にしようかと思ってる」


言い淀むことなく、一ノ瀬は答える。
我ながら悪くない策だと思えるし、彼にとっても悪くない話である筈。
事実上のサバイバルゲームで、広い場所とある程度の設備の備わった拠点を確保するアドバンテージは非常に大きい。
数が集まればマーダー共もいずれは恐れるに足らなくなり、主催打倒に大きく近付ける。
その間にパソコンを出来る範囲で修理し、首輪解除の準備を始めれば十全だろう。


「……でも、ここに居たら他の人と合流できませんよ?」


切磋琢磨は考え込むように腕を組んで、一ノ瀬の提案に難色を示す。
彼としては、一箇所に止まることで守るべき者が守れなくなってしまうことが不満なのかもしれない。
そして、彼には戦って強くなりたい願望も確かにあり、それを叶えることが出来なくなることも少しは関わっているだろう。


「そこは心配ない」


思わせぶりな笑顔を浮かべて、一ノ瀬は壁にあったセンター内の見取り図を指す。
切磋琢磨が見ても、精々分かるのは広いことくらいで、どうしてそれが『心配ない』のか分からなかった。


「これだけ広かったら、嫌でも人が集まる。
 ……それが仲間になれそうな奴だったら重畳、そのまま俺達と行動すればいい。
 だけど相手が殺し合いに乗っていたら、――分かるな?」


切磋琢磨はああ、と納得したように手拍子をひとつ、打った。
さっきの『手合わせ』からも明らかになったが、切磋琢磨は戦いを経る度にその力が強化されるルール能力を保有している。
少なからず戦闘欲のある彼にとっても、決して悪い話ではなかったといえよう。

しかし一ノ瀬と切磋琢磨の二人は、『切磋琢磨』のルール能力についてひとつ勘違いをしている。
まず、どんなに強くなるといっても、半端な強さの時にやられてしまえば終わりということ。
心臓が停止しても強化の恩恵を受けて蘇るだとか、そんな冗談みたいな芸当は出来ない。
これは、致命的な相違だった。
何故なら一ノ瀬の作戦はあまりに、肝心なところで切磋琢磨に依存しすぎている。
厄介なマーダーの迎撃にそれ以上の策を用意していない、故にひとつのミスが大きな穴となる訳だ。
二人はそれに気付くことなく、話を進める。


「では、ここに留まるんですか」


これが、一ノ瀬に与えられた最後のチャンス。
頭脳面では一ノ瀬に切磋琢磨が依存し、戦闘面では切磋琢磨に一ノ瀬が依存している関係。
だからこそ、引き返すには今しかない。


「ああ」


しかし一ノ瀬は、一瞬たりとも迷うことなく首を縦に振った。
その力強くも頼もしい動作に、切磋琢磨は僅かに残留していた不安を吹き飛ばされる。
一ノ瀬さんなら間違いないと、無邪気な子どものように信じ込んでしまった。
自分なんかの考えより彼の考えの方がきっと素晴らしいと、盲目にも信じてしまった。
切磋琢磨がいくら無限のポテンシャルを秘めているとはいえ、彼も自身のルール能力をまともに知らず、一ノ瀬も勿論知らず――そこから生まれた勘違い。


「じゃあ、俺頑張って強くなりますよ。一ノ瀬さんのご期待に添えるように!」


頼もしく笑顔で言う切磋琢磨。
現時点でなら一ノ瀬の方がよっぽど強いのだが、一ノ瀬は頼りにしてるよ、と言って笑った。
この男なら、強くなれる。このバトルロワイアルを打倒出来るほどに大きな成長の幅、そして何より強さを渇望するこのストイックな姿勢。
――まさに『切磋琢磨』。
誰かと戦い、極め合うことで成長していく、ちょっと格好つけて言うならば『主人公気質』。
この青年となら、或いは。
突然の出会いだったが、そんな希望を懐かずにはいられなかった。
彼と出会えたことは一ノ瀬進にとって幸運だったのかもしれない、とさえ思う。
と、そこで一ノ瀬はふと口を開く。


「そういえば、琢磨。お前のことをまだあまり聞いてなかったな」


何も知らない。
一ノ瀬は軽い自己紹介を済ませているのだが、切磋琢磨のことについては殆ど聞けていなかった。
何より聞きたいことが、彼が一体『何者であるか』ということなのだ。
身体が急に強化されるなど、人間業ではない。
それが赤い光を放ちながらともなれば尚更のこと。どこの少年漫画だ、という話である。
超能力だとか、そんな答えが返ってきても平常心を保とうと一ノ瀬は覚悟していた。
こんな状況だ、突拍子のないことでもせめて半信半疑で頭に留めておくべきだろう。
問われた切磋琢磨は、何から話すべきか、という風で言い淀む。
やや間を置いて彼の口から放たれた真実は、一ノ瀬の予想の遥か上を行っていた。


「……俺は、『四字熟語』らしいんです」


――疑問符が勢いよく跳び跳ねた気がした。
だが思えば確かに、目の前の青年の名前――『切磋琢磨』は四字熟語だ。
それに加えて彼の能力も、切磋琢磨の言葉通りの力だった。
しかし―――果たして本当にそんなことが有り得るのか?


「いきなり見知らぬ場所に居たかと思えば、ルール能力とかいうものがあるとか言われて。でも、誰かに出会う前にここに呼ばれたんですよね……名前と記憶の一部が、消されてるみたいで」


ルール能力。それが彼の力の名称。
ならば、事実か。
にわかには信じがたい話ではあるが、 現に一ノ瀬もその目でルール能力を目撃している。
しかし、バトルロワイアル最中からバトルロワイアルに連れてくるとは……なんというか、落ち着きがないというか、横取りは良くないというか。
まぁ変な話、さして時間が経たない内に横取りされた彼はまだ幸いなのかもしれない。
死を遂げた後からもう一度呼び戻されるなんて、絶対に御免だ。
相槌を打って、『四字熟語のバトルロワイアル』についての情報を頭の中にしっかり記憶する。


「――しっかし、事実は小説よりも奇なり、とはよく言ったもんだよな」


ふと、一ノ瀬はそんなことを口にしていた。
確かに、まさかこの現実で四字熟語の擬人化(?)が実現していようとは誰も思わない。
それ以前に、バトルロワイアルを主催するような輩が存在することがまず、絶対的な異常だ。
しかも複数、一人や二人でない数の人間が。
狂っている。人を箱庭に閉じ込めて殺し合わせるなど、鬼畜の所業と言わずして何と言うのか。
もし事が明るみになれば、1ヶ月くらいはワイドショーのトップニュースを飾れるだろう。


「案外、この世界ってのは――俺達が知らないだけで、とっくに壊れちまってるのかな」


だったら寂しいもんだな、と一ノ瀬は言う。
不可思議に曝され、不可思議な力を与えられた切磋琢磨も、それに黙って頷いた。

切磋琢磨は、一ノ瀬の言葉を聞いて、胸の内に何かを感じていた。
『世界ってのは――俺達が知らないだけで、とっくに壊れちまってるのかな』。
その言葉は未だ強くなりきれていない彼の心に、まるで荊の棘のようにチクチクと刺さった。
見習いのボクサーを続け、強さを何より求める自分、切磋琢磨こと『』。
名前は思い出せないが、世界がどうなっているのかなんて、一度だって考えたことはなかった。
強くなる。……それだけでいいのか。
何気なく浮かんだその問い掛けが、切磋琢磨の中で重く響いた。
強さとは何なのか――ただ、負けないことか。
だが、負けたくないのならそもそも戦わなければいい、と屁理屈を唱えることもできる。
ならば何が強さなのか。それは切磋琢磨のルール能力で得られるものなのか。
答えはまるで出ないし、出せるとも思わない。

――彼は知らない。
今から僅か数分後、切磋琢磨は強さを知る。
どれだけ救いのない展開でも、間違いを抱えた作戦が失敗しても、彼はひとつの答えを得るのだ。
四字熟語・切磋琢磨。
――『死語』。
言葉とは生き物だ。使われなければ死ぬし、時代の流れに沿って形を変え、また世に浸透することもある。
そういう、ものなのだ。

そしてその時はやってくる。
連続した獰猛な破裂音が響き、外壁が抉れ、無惨な姿をさらす。
備え付けの椅子もすっかり役割を為さなく成り果て、スクラップ同然になる。
幸いにも、銃弾の嵐が二人を引き裂く前に一ノ瀬が切磋琢磨を抱えるようにして避け、事なきを得た。
――襲撃。
混乱する思考を纏め上げ、それだけを頭に入れて二人はとりあえず一旦退却することにする。
あまりに脈絡のない平穏の崩壊に、覚悟をある程度決めていた筈の二人でさえ僅かな焦燥を覚える。
銃の種類は間違いなく機関銃かマシンガンの類だと分かったが、それだけに状況は不味い。
狙いや腕前を無視して使える武器であること、仮に素人が使ったとしても十分な破壊力を約束すること。
まさか正面からの掃射を運よく避けられるなんてことはそうないだろうし、まさに窮地、というべき展開だった。
とはいえ放置しておくわけにもいくまい――逃げられればそれに越した事はないが、まずは最悪を想定しておくのが良いだろう。
まだ見ぬ襲撃者の狂笑を聞きながら、二人はただ逃げる。


しかし、相手はそう簡単に切り抜けられるような生易しい相手ではない。



◆ ◆


――急転直下。
鳴り響いた銃声が、一ノ瀬と切磋琢磨の鼓膜を強く叩いた。
だららららららら、と連続した銃声が、二人に当たりこそしていないものの、センターの壁に深い傷跡を刻んでゆく。
一ノ瀬達に不意打ちの銃撃を打ち込んだ張本人の、銀髪の青年。
壁の陰から姿を現し、不意打ちで仕留められなかったことに満足したかのように、三日月のように口元を歪めて笑っていた。


「ヒャハハ、こうじゃなくちゃつまんねえよな! なかなかやるじゃねえの!!」


彼にとって人殺しは生きる手段ではなく、快楽である。
だが、何もただ適当に殺すわけではない。拘りめいたものも持った、生粋の殺人鬼。
こと殺すことに関してのプロ――氷室勝好。それが青年の名前である。


「さあ、楽しもうかねェ」


RP-46軽機関銃に弾薬を詰めて、体勢を軽く整える。
一度逃げられたからといって、まさかそれで仕方ないと諦めてしまうような氷室ではない。
あんな『美味そう』な獲物を逃すなんてこと、狩人の矜持が許してくれない。
いくつかの連戦を経た後ではあったが、彼の体力は未だ有り余っていた。
殺人鬼としての経験と、殺人への尽きることなきモチベーションが、彼に疲労という概念を与えない。
これまでの人生でも五本の指に間違いなく入るだろう歓喜を胸に、氷室は歩き始めた。
勿論これから始めるのは、追跡だ。
あの二人を見た限り、あのまま逃げて終わり、ということは無いように見えた。
極上の遊びを提供してくれるか、それとも無様な狗と成り果て狩られるだけか。
後者なら興ざめも甚だしいが、前者ならば氷室の期待に応えてくれるだろう。
今やこの小さな鬼ごっこを支配しているのは氷室勝好だ――故に、楽しませて貰わなくては困るというもの。


最高の駆け引きを思う存分愉しんだ後、絶望の底に突き落としてやるのだ。
末期の祈りさえ引き裂き、殺すその瞬間。
諧謔に満ちたその至福を、想像するだけで恍惚の笑みが浮かびそうになる。
こんな遊びがこのバトルロワイアルには、まだいくつも残っている。
なんと絶望的だろうか。なんと救いのない道理だろうか。
殺人鬼・氷室は珍しく哲学者めいたことを考えながら、一歩一歩と逃亡者達へ近付いてゆく。


「んじゃあ――」


機関銃を構えると、悪戯に引き金を引き、あえて音を鳴らす。
音で相手の動揺を誘う意図もあったかもしれないが、何よりそれは宣戦の合図の意味合いが強かった。
ここから先は、遊びではない。


「――絶望(ゲーム)スタートだッ!!!」


◇ ◆


一ノ瀬と切磋琢磨は、氷室の期待通り、逃亡だけで終わってはいなかった。
迫りくる殺人鬼を迎撃するべく、体勢を立て直している真只中である。
殺人を覚悟していたとはいえ若干の迷いを抱えていた一ノ瀬だが、不思議と迷いが消えていた。
戦わなければこちらが危ないのだ――万全を期して戦わなければ、最悪の事態に陥りかねない。
切磋琢磨が戦闘を引き受け、一ノ瀬が隙を見て一撃、打ち込む。
機関銃は確かに脅威だが、その弾数は決して無限ではない。
戦略を組んで、堅実な一手を打ち続けることで弾切れを招くことだって出来る筈。
切磋琢磨も、自身が一ノ瀬を守ろうと既に覚悟を決めていた。
人死になど望んではいないが、要らぬ感情を持ち込んで一ノ瀬に危害が及びでもすれば、取り返しがつかないことにもなり得る。
だが、二人はまだ気付いていなかった。
一ノ瀬の策の穴――切磋琢磨のルール能力への過信。
一ノ瀬は自らの足元を見落とし、切磋琢磨は彼を疑おうともせず信じ込んでいる。
せめて、バトルロワイアル開始からもう少し経っていれば――起きなかった事態。
だが、いつだって世界というものは無情である。


「一ノ瀬さんっ!!」


切磋琢磨が、一ノ瀬を勢いよく突き飛ばして前に躍り出る。
切磋琢磨は、戦闘を経て成長する四字熟語である。
もっと戦いを積んでいれば、銃弾程度のダメージを意にも介さない強靭な肉体を手に入れることも出来る。
正史の物語では、二人組のとある四字熟語と戦い、そんな強敵からも勝利をもぎ取るまでに成長するのだが。
しかし、現時点で彼の成長はまだ一段階。
機関銃ほどの凶器で撃ち込まれれば、当然ひとたまりもないのは明白。
それは一ノ瀬も承知の上で、彼はだからこそあの場で素直に退却を選んだのだ。
もっと強さを増していたなら弾丸など無視して、氷室を撃破している可能性だって十分存在していただろう。
ならば、弾丸より遥かに威力の低い『それ』が凶器となったことは、彼にとって幸運だったといえる。

――しかし、肉体には鍛えられない箇所というものがある。
それは、ダーツの矢だった。
弾丸なんてものに比べれば玩具同然の威力しかない、取るに足らない武器。


「………があっ……!!」


が、切磋琢磨は大きな打撃を被ることになった。
ダーツ程度なら、一段階の彼であっても大したダメージにはならない筈。
それでも、襲撃者の攻撃は彼にかなりの有効打を与えたのだ。
――矢は、切磋琢磨の右の眼球を貫いていた。
瞳を潰し、彼の右目を完全に失明させる、それだけのダメージがあった。


「な………」


何が起きたのか分からない。
そんな表情を浮かべている一ノ瀬を見やり、そこにいた少年は笑った。


「まずは一人」
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」


切磋琢磨は、片目を抉られただけで止まりはしなかった。
激痛は容赦なく彼を未だ苛み続けているが、そんなもの知ったことではない。
ダメージは確かに大きい。だが、腕を捥がれた訳でもなければ足を斬り飛ばされた訳でもない。
武器となる四肢は一本も欠損することなく残っている――ならばまだ、諦めるには早すぎる。
一ノ瀬の静止も振り切って、彼は少年に突貫をかける。
戦闘とは言い難い不意打ち。少しばかり損害を被ったが、至近距離での戦闘なら勝機は切磋琢磨にある筈。
狼狽えた少年が再びダーツを投げ、今度は脇腹を抉る。


「嘘だろ……ッ」


少年は驚愕に満ちた表情で、切磋琢磨から一歩後ずさる。
片目を潰されてすぐにこんな行動をしてくるなんて、並の精神力ではない。
激痛というのも生易しい苦痛が押し寄せ、視界が消えたショックも相俟って、間違いなく行動不能に出来る筈だった。
しかし、ダーツはやはり殺傷能力に欠ける。
女子供相手ならまだしも、切磋琢磨をこれで殺すのは、些か難しい話だった。
眼球への攻撃も、視界は潰したが脳まで突き抜けている、というわけではない。


「歯を、食い縛れよ―――!!」


少年が受け身を取る間もなく、その拳は彼の顔面を勢いよく殴り飛ばした。
タイルの床に勢いよく叩きつけられ、苦しげに呻く少年。
が、切磋琢磨もまた、崩れ落ちた。
その腹部からは鮮血が溢れ出し、床には鮮血に濡れて光沢を放つ牛刃包丁が落ちている。
少年の作戦は、まずダーツの矢で眼球を貫き、それから本命の『これ』を、突き刺すことにあった。
予想外の事態も起きはしたが、少年は作戦を成功させたことになるのだろう。
切磋琢磨は、致命傷にもなりかねない傷を右手で押さえる。
一ノ瀬がH&KMP5A2を構え、崩れ落ちたことで射線から切磋琢磨が外れたことでようやく銃撃を放つ。
しかしそれは当たらず、彼に包丁を回収させるだけの隙を逆に与えてしまった。
次は当てる。みすみす逃がすような真似はしない――。
切磋琢磨を処置する為にも、ここでこの少年を殺す。
覚悟を決めて引き金を引こうとしたその時、またも一ノ瀬は勢いよく突き飛ばされた。
力を振り絞った切磋琢磨が一ノ瀬を突き飛ばし、そして胴体を、ダメ押しの如く殺意の嵐で撃ち貫かれる。


「あー? 何でこんなつまんねえことに――…いいや、面白えのか?」
「お、前ッ……」


銀髪の殺人鬼・氷室勝好。
機関銃の弾丸を一発たりとも一ノ瀬に通さず、しかしその代償として彼の身体はズタズタに、傷付けられる。
一ノ瀬は銃を発砲しようとするが、氷室の蹴りによってそれは叶わなくなる。
隙を突いて走り去る少年にも氷室は機関銃の弾丸を放ったものの、些かタイミングが遅かったのか、弾丸が届くことは無かった。
氷室はつまらなそうに舌を打つと、切磋琢磨ではなく一ノ瀬に目をやる。
その瞳は――すっかり興味を喪ったかのような、失望溢れるものだった。


「……つまんねえ。少なくともお前らはつまんねーよ……はぁ、萎えるわ」


一ノ瀬の銃を拾い上げると懐に収め、氷室は取り返そうとする一ノ瀬の胸倉を爪先で蹴り上げた。
咳き込む彼に、吐き捨てるように氷室は言う。


「もういいわ。殺す価値もねえ……それより、あのガキを追った方がよっぽど有意義そうだ」


言うなり、氷室は一ノ瀬と切磋琢磨には目もくれず、少年を追う。
助かった――場面なのだろうが、切磋琢磨の傷はあまりにも深い。
その身体は赤く光っているのだが、それでもズタズタになった傷口が完治することは無く、流れる鮮血も変わらず床を染め上げる。
ここでようやっと、一ノ瀬は自らの勘違いに気付く。
彼の『ルール能力』は、強くなる力。
強くなる力であって、ダメージまでもリセットしてしまうそれではないのだ。
ひゅう、と切磋琢磨はか細い声を漏らした。
その表情からは徐々に生気が抜け始める様子が見て取れ、彼がもう手遅れであることを示していた。


「琢磨……どうして、俺を……!?」
「俺はもう駄目でした……たぶん、あの包丁で刺された時点で、内臓がやられてたんだと思います」
「すまない……俺のせいだ……死ぬな、琢磨っ!!」


切磋琢磨は、悲痛そうに顔を歪める一ノ瀬に軽く微笑むと、口を開いた。
四字熟語から贈る、言葉である。


【E-3/島民ふれあいセンター(多目的施設):西部役場エリア/一日目/昼】


【一ノ瀬進@需要なし、むしろ-の自己満足ロワ2nd】
[状態]:疲労(小)、罪悪感
[服装]:パジャマ姿、少し血塗れ
[装備]:H&KMP5A2(37/40)
[道具]:基本支給品一式、MP5予備弾倉(2)、ランダム支給品×1
[思考]:
基本:出来れば誰も殺さずに生還したい、が危険人物次第。
1:琢磨……。
2:銀髪(氷室勝好)、少年(相川友)には注意する
3:ゆくゆくは仲間を集め、首輪を外したい。
[備考]
※エピローグ後からの参戦です。
※切磋琢磨の話に少し疑問を抱いています。
※島民ふれあいセンターの構造を大まかに把握しました。
※切磋琢磨から四字熟語バトルロワイヤルについて、大まかに聞きました


【切磋琢磨@四字熟語バトルロワイアル】
[状態]:失血(極大)、胴体に刺し傷、無数の銃創(致命傷)
[服装]:血塗れ
[装備]:フィンガーレスグローブ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1
[思考]
基本:一ノ瀬さんに、言葉を伝える。
[備考]
※ロワ参加直後からの参戦です。
※自身の能力をあまりはっきりと理解していません。
※島民ふれあいセンターの構造を大まかに把握しました。
※致命傷です。失血、臓器への損壊共に致命的です


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057:四人集まれば、いろんな思惑 一ノ瀬進 063:Crazy∞Night
057:四人集まれば、いろんな思惑 切磋琢磨 063:Crazy∞Night
057:四人集まれば、いろんな思惑 相川友 063:Crazy∞Night
057:四人集まれば、いろんな思惑 浅井きらら 063:Crazy∞Night
050:神戯-DEBUG PROGRAM- 氷室勝好 063:Crazy∞Night
027:RA-SE-N 瀬戸麗華 063:Crazy∞Night

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最終更新:2012年08月19日 15:57