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繋ぎ止めた答えが緩やかに転げ散る

野村和也が再び目覚めた時は、湿った草の上に倒れていた。
立ち上がって周りを見渡す、遠くに建物は見えるがほとんどが背が高い草が広がる草原だ。

「俺は……」

自分は死んだはずだと、和也は思う。
殺し合いは今回が初めてでは無い、以前に別の殺し合いに巻き込まれた。
刀を持った女性に襲われ、逃走の末に二人の男に命を救われた―――が、
結果的にその二人は女性と相討ちになってしまった。
自分を助けてくれた二人の分も絶対に生きると、その時の和也は心に誓った。
ゲームは佳境に入り、主催者との直接対決の時がやって来た。
その一人、◆6LQfwU/9.Mには逃げられてしまったが、もう一人の謎のプログラマなる男は倒した。
―――和也が自分の命と引き換えに。
なのに―――なぜ?

「…考えても、分からないよな…とにかく…」

なぜ死んだはずの自分が蘇生したのか、考えるのは後にする事にした。
経緯はどうあれ、再び「バトルロワイアル」、殺し合いゲームに呼ばれてしまったのだ。

「…前と同じようにするだけさ…この殺し合いを潰す」

あの主催者と思われる男女二人の目的が何なのかは分からない。
しかし、こうして殺し合いを開き、何十人もいる人々を最後の一人まで殺し合わせようとしているのは事実だ。
ならば、自分は殺し合いを転覆させる―――和也は決意した。
足元に転がっているデイパックを早速開けて中身を漁り、まず名簿を取り出し開いた。

(随分多いな……70人以上も……!?)

殆どの名前は日本人名、しかし中には外国人と思われるカタカナ名や本名なのか疑いたくなるもの、
どう見ても歴史上の人物名だったり四字熟語ではないかと思うものまである。
だが、以前の殺し合いもそのほとんどが人の名前では無かったので和也が驚いたのは人数の多さだった。

守谷彩子……前の殺し合いでも、いたな……)

以前の殺し合いでも名簿に乗っていた名前を見付ける和也。
実際に会った訳ではないが放送で名前を呼ばれたのを聞いた。
―――実は彼を襲った刀を持った女性こそが守谷彩子なのだが、その事を彼は最後まで知らなかった。
他に知っている名前は無い事を確認すると和也は名簿を置き、更にデイパックを漁る。
すると、一振りの日本刀が姿を現した。

「刀……模造、じゃ、ないよな……」

和也は真剣かどうか確かめるために少しだけ鞘から刀を抜いた。
―――真剣かどうかを確かめるだけのつもりだった。

だが。

少しだけ鞘から抜いたその刀身から放たれた光を和也が目にした瞬間。

「模造じゃない、な――――――――――――――――――――――――――――綺 麗 な 刀 じ ゃ な い か」

野村和也は「野村和也」では無くなった。


◆◆◆


「…ちっちゃ」

デイパックの中に入っていたそれを見た高校生の少年―――紆余曲折の感想。
小型の拳銃、コルトM1908、愛称「ベストポケット」、その愛称の通りポケットにすっぽり収まる程小さな拳銃だ。
弾薬は既に装填されているようで、予備の弾倉が二つセットになっている。
添付されている説明書には操作方法が丁寧に記されていた。

「うわっ、ポケットに入る……隠し持てるのは良いかもしれないけど、威力弱そうだな。
もう一つあるな……これは……」

紆余曲折のランダム支給品はもう一つあるようだった。

「お徳用ストロー……外れだ」

沢山のストローが入ったパックをデイパックの中にしまい直す。

「……しかし、何でまたこんな事に……殺し合いしてると思ったら別の殺し合いか」

紆余曲折――紆余曲折と言う名前では無い、本名はちゃんとあるが、
以前の殺し合いで四字熟語を名前として名乗る事を強要されていた。
その殺し合いの最中、突然、全く別の殺し合いの場に立たされたのだ。

「名簿見たらタクマさんや死んだはずの心機一転、東西奔走もいるみたいだし……。
崩壊してた顔も傷も治ってるし……とにかくタクマさん捜すかな……ん?」

これからの行動指針を決めている時、遠くから一人の男がこちらに歩いてくるのを発見した。
見た目はどこにでもいそうな大学生ぐらいの青年なのだが、
右手には抜き身の日本刀らしき物が握られている。
歩き方もどこかぎこちない、ふらついているように見える。

(何だ、あいつは……やばそうな雰囲気がする)

そう紆余曲折が思った、次の瞬間、男が猛烈な勢いで一気に距離を詰め始めた。

「!!」

あっと言う間に目と鼻の先まで刀の男は迫り、刀を振り上げ、紆余曲折へ一気に振り下ろした。
振り下ろされた刃は紆余曲折の身体を袈裟に斬り裂――――く事は無かった。
刃の軌道が逸れた、と言うより、迂回させられたと言った方が良いのかもしれない。
約4秒の間、男が繰り出した斬撃が不可思議な力によって「迂回」させられた。

(この力はまだ使えるか、良し…!)

紆余曲折は右手に持ったコルトM1908ベストポケットを男の足に向け、引き金を引いた。

タンッ! タンッ! タンッ! タンッ! タンッ! タンッ!

至近距離で銃の中の6発全てを撃ち込んだが、当たったのは4発。
右足太腿に2発、腹に2発。
弾自体の威力が非常に弱いため致命傷には至らなかったがよろめかせるのには十分だった。
男がよろめいた瞬間を突いて、紆余曲折は全速力で走り出した。




乱れた呼吸を整えながら振り向く、追ってくる姿は見えなかった。

(振り切れた…?)

一先ず危険は去ったと安堵し、紆余曲折は胸を撫で下ろす。

「あの男は何なんだ…凄く危険な感じがした……いや、危険な感じがしたのはむしろ、あの人よりも、刀の方、か?」

紆余曲折は刀を持った男より、むしろ刀そのものから嫌なものを感じ取っていた。
言うなれば刀そのものに意思があり、男は刀に操られているようにも思えたが―――今となっては知る由も無い。
もしかしたらあの刀をどうにかすれば男の方は正気に戻ったりするのかもしれないが、
はっきり言って見ず知らずの男のためにそこまでする気にはなれない。
放っておけばあの男の手に掛かる参加者も出てくるかもしれないが、大半が全く知らない人物のために、
危険を冒す事は無いと紆余曲折は考えた。

(心無い事考えているかな、僕は……だけど、勇気と無謀は違うって言うし。
……向こうに大きな建物が見えるね、あそこ行ってみようか)

M1908ベストポケットの弾倉を変え、紆余曲折は北方向に見える巨大建造物へ向け歩いて行った。


◆◆◆


いくら威力が低いとは言え実弾をその身体に4発も食らえば普通なら歩く事はおろか立っている事も困難なはずだが、
今の野村和也――「だった」存在には大したダメージでは無いのだろう、
攻撃を受けた時に少しよろめいた程度で済んだようだ。

「逃げられたか……まあ、いいか……」

和也は、邪魔になりそうな背の高い草を刀で薙ぎ払いながら、東の方に見える道路を目座し歩き始める。
その目には、彼とは全く別の「何か」が宿っているようだった。



【C-3/平原地帯/一日目/朝】

【野村和也@需要なし、むしろ-の自己満足ロワ】
[状態]:腹部、右足太腿に小さな銃創、精神被支配(妖刀村正)、D-3方面へ移動中
[服装]:若干血が付着
[装備]:妖刀村正
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2
[思考]
基本:獲物を探し、斬る。
[備考]
※需要なし、むしろ-の自己満足ロワ死亡後からの参戦です。
※妖刀村正により精神が支配されています。
※守谷彩子の顔は知っていますが名前を把握していません。
※紆余曲折の外見のみ記憶しました。

【紆余曲折@四字熟語バトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(小)、C-2方面へ移動中
[服装]:特筆事項無し
[装備]:コルトM1908ベストポケット(6/6)
[道具]:基本支給品一式、コルトM1908ベストポケット弾倉(1)、お徳用ストロー
[思考]
基本:生き残る。進んで殺し合いをするつもりは無い。
1:タクマさんを捜す。
2:刀の男(野村和也)には要注意。
[備考]
※四字熟語バトルロワイアル18話「取捨選択」直後からの参戦です。
※ルール能力に規制はありません。
※野村和也の外見のみ記憶しました。


≪支給品≫
【妖刀村正】
野村和也に支給。
装備すると精神が刀に支配され人斬りを楽しむ殺戮マシンと化す呪われた刀。
刀の刀身をへし折るか装備者から離すかすれば精神支配から解放される。
需要なし、むしろ-の自己満足ロワにおいて守谷彩子に支給され野村和也が襲撃された。

【コルトM1908ベストポケット】
紆余曲折に予備弾倉2個とセットで支給。
1906年にジョン・ブローニングが設計した超小型自動拳銃FNM1906を、
アメリカのコルト社がコピーしたもの。ベストポケットは愛称で、ベスト(チョッキ)のポケットにも入る程小型な事にちなむ。
使用する.25ACP弾は威力が非常に弱く急所を狙わない限り大したダメージは期待出来ない。
俺のオリキャラでバトルロワイアルにおいて四宮勝憲に支給、その後金ヶ崎陵華に渡される。

【お徳用ストロー】
紆余曲折に支給。
ストローが30本入っているセット。
DOLオリジナルキャラバトルロワイアルにおいてブルース・ヤスパースに支給されている。


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GAME START 野村和也 034:魔王のくせになまいきだ
GAME START 紆余曲折 058:おさかな→天国

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最終更新:2012年06月23日 00:16