【1】
須牙襲弾という人物について語ってみようと思う。
彼は警察官という職業についていた。
正義のため――――と言うわけではない。
人を撃ちたい、そういった理由で警察官となった。
そして、殺し合いに呼ばれた。
彼は堂々と人を撃てる事を喜んだ。
中年の農家を騙し容赦なく撃った。
我儘な発狂した有名グラビアアイドルを容赦なく撃った。
悪知恵が聞く少年を容赦なく撃った。
少し抜けた老人を背後から容赦なく撃った。
そして、自分が殺した相手に殺された。
正確にいえば、致命傷を与えた相手に殺された。
それにて彼の人生は終止符を打たれた。
――――はずだった。
今、彼は間違いなくこの地に立っていた。
拳を握れば確かに感触がある。
周りを見渡すと、埃っぽい感じのする工場。
死後の世界ではない、そう
須牙襲禅は思う。
「……どういう事だ?」
少しづつだが、記憶が戻ってくる。
遊園地のような場所。
前にいた男と女。
首輪が爆破された男。
そして、殺し合いという言葉。
すべてを思い出した須牙襲禅はニヤリと笑う。
再び人を撃つ事が出来るのだ。
これを愉快と言わずになんというのか。
急いでデイバックの中を探す。
そして、最初に手に取ったものを見て満面の笑みを浮かべる。
イングラムM11――――小型で火力の高いサブマシンガンだ。
これ以上ない当たりだと襲禅は思う。
火力不足に悩まされるサブマシンガンの中でも火力トップクラス。
弾幕に張るのも最適であり、悪点が少ない。
数少ない悪点は連射速度が速い事だ。
だが、それは須牙襲禅にとっては関係ない。
人が撃てる事に変わりはないのだから。
他の支給品には目もくれず、その場を立ち上がり工場を彷徨い始めた。
【2】
「殺し合い、とはのう……」
今の姿に似合わなく、袴を着ている男がいた。
名前は
加藤清正――――
古川正人の師匠にして元殺し屋という過去を持っている男だ。
彼は支給品であった刀を腰に差し、ただ歩いていた。
「……まずはアイツを探す事から始めなくてはのぅ……そう簡単にはくたばりはしないじゃろうが」
弟子である、とは言っても彼は古川の事を信頼している。
ある程度の相手であろうが、負ける事はないだろう。
だが、あくまである程度の相手だ。
化物のような相手に勝てるような強さはない。
そう多くいるわけではない、とは言っても心配なものは心配である。
万が一にもと言う事がある。
だからこそ、早く保護しておきたい。
「――――――ッ!」
そう考えている途中、背後から気配を感じた。
その気配は、忘れる事が出来ないような感覚だった。
殺意――――かつて幾度も感じた気配だった。
急いで物陰に隠れようとする。
その瞬間だった、パラララララッと連続して音がなった。
相手が銃を使ってきている、そう清正は考える。
いや、ただ考えるだけではない。
対応策をすぐに打ち出そうとしていた。
銃を持った相手とは幾度と戦ってきた。
だが、あのような銃を持った相手と戦った事はない。
音を聞いたところ、2秒辺りで弾切れを起こすようである。
それを切り抜ければ、勝機がある。
だが、それを切り抜ける手段が浮かばない。
撃たれたあたりを見ると数十発の銃弾が撃たれた部分に穴を開けていた。
2秒であれだけの数を出すとなると、避けるのは無理に近い。
後ろに回って襲うという手もある。
複雑になっている工場内だからこそできる事である。
だが、逆にいえば回っているときに相手に見つかるかもしれない。
だけれども今はそんな事を言っている暇はない。
ここから逃走するにも、ややこしい地形だ。
先ほど考えた背後に回るのと同じようなものだ。
どちらでも同じなら、危険人物を減らせるほうがいい。
加藤清正は走りだした。
気配を感じる事は出来る。
その気配を頼りに相手の背後に回る事を考える。
相手はそこそこの兵ではあるようだが、それでも気配を消せれないところはまだまだであると思える。
これならば、なんとかなるかもしれない。
そう加藤清正は思った。
だが、そこにいた『モノ』が意識をとぎらせた。
そこにいたのは、あまりにも幼い少女だった。
殺し合いとはかけ離れている、ただの少女。
彼女を無視して行けばよかったのかもしれない。
けれども、彼にそんな事は出来ない。
「お主、無事か!?」
「……んー?無事って?おじちゃん、どうしたの?」
「今男と戦っている……危険だから早くここから――――」
「見つけたぜ……チェックメイト、だなぁ」
加藤清正は後悔した。
後ろにいる敵の顔は分からない、名前も知らない。
だが、殺意がまったくもって同じ感覚だった。
ここから逃げる事は出来ない。
どうすればいいのか、分からない。
答えは出てこない。
だが、彼は気づけば少女を守っていた。
抱えるような形で、自分の命を擲って。
須牙襲禅はニヤリと笑うと、引き金を引いた。
弾幕が一斉に加藤清正を襲う。
それが彼の体を貫く――――――――――。
ことはなかった。
須牙襲禅も、加藤清正も驚いている。
銃弾はすべて、謎のゲル状の物に妨げられたのだから。
「うにゃー、ありがと……おじちゃん、守ってくれてありがとうね。
でも、私にはうにゃーがいるから大丈夫だよ」
その言葉に加藤清正はなんて答えればいいかは分からなかった。
それは今までに見た事はない、奇怪な『モノ』だった。
肉体改造を施した、というレベルではない。
生まれて持っての異常、才能、能力だ。
「はは……なんてガキだよ、こりゃあどうしようもねぇ……。
ここは逃げるが勝ち、ってな」
須牙襲禅は走って影へと隠れて行った。
そして、足音も次第になくなって行った。
その場に残ったのは加藤清正と、
「わたしは、まいかっていうんだよー、この子はうにゃーっていうの、よろしくね」
「……儂は、加藤清正と言う」
【3】
「あんな化物がいるとは……どういう事だ?」
須牙襲禅は驚きを隠せないでいた。
銃弾を避けられる人間がいるのは知っている。
それがごく稀でも、呼ばれていてもおかしくはない。
だが、あれは普通ではない。
銃弾を防いだあの気持ち悪い触手。
あれは、普通とは死んでも言えないような『モノ』だった。
「……だが、まだ殺せないというわけじゃねぇ……銃はここにある、ちゃんと殺せるはずだ――――楽しみだぜ」
須牙襲禅は静かに笑いながら、工場を離れていく。
悪の警察官は、どういう運命をたどるのだろうか――――。
【B-7/工場入口/一日目/朝】
【須牙襲禅@俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[服装]特筆事項なし
[道具]基本支給品一式、イングラムM11(32/32)、イングラムM11のマガジン(3)、ランダム支給品×2
[思考]
基本:人を撃つ事を楽しむ
1:とりあえず、ここから逃げる
2:化物みたいなやつは相手にしない
[備考]
※ロワ死亡後からの参加です
【4】
「……それで、この奇怪なものはうにゃーというのか?」
「奇怪なものじゃないよ、うにゃーはうにゃーだよ」
「む……す、すまぬ」
加藤清正と璃神妹花はある程度の情報交換を済ませていた。
自分自身の事につけて、清正は自分の弟子である古川の事を、妹花はうにゃーについて話した。
それぞれ、ある程度仲良くはなっているようである。
なにか触手と会話しているのを見て、清正は尋ねた。
「その、き……うにゃーは何か言っているのか?」
「んー、おじちゃんが信じられないんだって……ごめんね?」
「いや、それはそうじゃろうな……こんな状況下で見ず知らずの他人である。
信じられないのは仕方ないじゃろう、しかし……儂は殺し合いなぞに乗る気はない、これだけは信じて欲しい」
「だいじょうーぶ、うにゃーもそのうち分かってくれるから。
でも、おじちゃんみたいないい人には初めて会ったよ」
「……両親は、どうしているのじゃ?」
そう言った瞬間、妹花の背後から触手が飛び出てきた。
禁句だったのかと清正は思うが遅かった。
攻撃が清正の頭に襲いかかる。
「待って!うにゃー!」
その声とともに触手は止まった。
残り数センチと言ったところだった。
「ごめんなさい、うにゃーは乱暴だけどいい人なの…ゆるして」
「……いいや、儂も悪かった、君にとって悪い事だったのに儂が聞いてしまったのが悪いのじゃ。
うにゃー殿はお主のためを思ってやったのだろう?
だったらわしは攻める事は出来ぬ」
「……ありがとうね、おじちゃん」
「いいや……お主も良い友人を持ったな、そういう友人は大切にすべきじゃよ
君の事を思って、行動までしてくれるのだ、それ以上の友人はいまい」
ニコリと清正は笑う。
それにつられて妹花も笑う。
しばらくそこには笑い声が響いた。
【B-7/工場/一日目/朝】
【加藤清正@DOLバトルロワイアル4th】
[状態]健康
[服装]特筆事項なし
[道具]基本支給品一式、同田貫正國、ランダム支給品×2
[思考]
基本:殺し合いやらを止める
1:妹花殿とうにゃー殿と一緒に行動する
2:古川を保護する
[備考]
※ロワ参加前からの参加です
※うにゃーの存在を良いモノと認識しました
【5】
私はとてもうれしかった。
うにゃーの事を認識してくれる人がいたことが。
人間がみんなこの人のように綺麗であってくれればいいのに。
でも、人間は汚く、醜い人が多い。
どうして、認めてくれないんだろう。
……ん?うにゃー、どうしたの?え?
――――少しおなかが、すいた?
【B-7/工場/一日目/朝】
【璃神妹花@サイキッカーバトルロワイアル】
[状態]健康
[服装]特筆事項なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×3
[思考]
基本:殺し合いなんてしない
1:このおじちゃんと一緒にいる
2:うにゃーの≪食事≫を探そうかな?
[備考]
※ロワ参加前からの参加です
※うにゃーは少しだけ空腹のようです
※うにゃーを認識してくれる者は≪食事≫として見られません
【支給品説明】
【イングラムM11】
須牙襲禅に支給。
イングラムM10の9mmショート口径バージョン。
イングラムM10よりも小型で、1960年代に米国で開発、発表された。
イングラムM10よりも小型で安価ということで人気が出たが、1975年頃になると連射速度が速い事などを理由に銃器規制が掛けられた。
小型で火力が高いので犯罪に利用されたりすることが多い。
【同田貫正國】
加藤清正に支給。
かつて史実の加藤清正が肥後北半を領するとともにその後裔を召抱えて、熊本城の御城備刀を作らせた刀。
「折れず曲がらず同田貫」と言われて実用的価値は高い
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最終更新:2012年04月02日 23:25