さて、いきなりだが殺し合いなんてものに連れてこられた。
何言っているのだ、とは言われるかもしれない。
でも、それが簡単に言える事なのである。
それ以上の結果でもないし、それ以下の過程もなかった。
途中に開設も何もいらない、簡単な事だ。
ちなみに、俺が今までいたのは、特に何もない平和な日々だった。
心の友とも言える友人がいて、嫌いな勉強に追われる日々があって、
好きな人を目で追いかけて、数日前に買った本に目を通す。
そんな普通すぎる、変哲もない、異常もない、そんな日々だった。
だが、そんな日々は急転直下、最悪の物へと変わった。
「……ッザけんなよ」
舌打ちをして民家のような場所の壁を蹴る。
八つ当たりもいいところである。
しかしながら、それ以外に怒りをぶちまける手段がなかったのだ。
自分がどれだけ小さな人間か理解させられる。
自分ひとりで主催に立ち向かう事も出来ない。
あんな意味不明な宗教の如くな集団にも、立ち向かえれない。
自分みたいな一般人にはできるはずがない。
俺が立ちあがったところで何がある?
たとえば、好きな人がいたとしよう。
その子をずっと守ることなんてできるか?
いや、出来るはずがない。
自分なんて所詮一般中の一般。
何をしようと立ち上がったところでも、意味はない。
所詮は焼け石に水という状態だ。
じゃあ、何もしないで死んでいくか?
――――そんなのは死んでもごめんだ。
いや、死んでいっては意味無いか?
そんなことはどうだっていいのだ。
「俺は、弱いんだよ、1人じゃ何もできない弱い人間だ。
それは否定する気もない、むしろ肯定するほどだ。
だからって諦めるのは自分に合わない、好きじゃない。
自分の力が弱くても、数が合わされば強くなるはずだ。
塵も積もれば山となる、あとは野となれ山となれってな。
使い方があっているかなんて知らない、そんなことはどうだっていい。
俺は死んでも諦めない、そしてあいつらのところに帰ってやる。
俺の普通な、変哲もない日々を取り戻すために、最後まであがき続けてやるよ。
聞いてるか知らないがな、人無だかよ……見せてやるよ、小さな人間の逆襲ってやつをよ。
テメェがどこにいるかは知らないが、そこから見ておけ……。
俺がどれだけの覚悟をして臨んでいるか、見ていやがれ」
さて、宣戦布告をしたのはいいとしよう。
しかしながら、やるべき事がない。
いや、ある事にはあるのだ。
仲間を見つける事、簡単に見えてとても難しいのである。
「…………さて、どうしようか」
目の前にあるのは、何故か一個だけ建っている小屋だ。
誰が建てたとかは知らない。
いや、むしろ何故こんなところに建てたのか、って話だ。
一個だけここに建っているなんて、設計ミスもいいところだ。
いや、これでいいのかもしれないが、怪しさ満点だった。
しかしながら、中に誰かいるかもしれない。
そう言った意味では無視はできない。
扉をゆっくりと押しあける。
「…………」
中は単純な二階建ての構造となっている。
一階を見て回るが、特に変わった様子はない。
人がいたという様子も、荒らされているようでもないようだ。
それどころか、つい先ほどまで人が住んでいたような感じだった。
「…………」
階段をゆっくりと上がる。
ミシッ、という音がとても懐かしいような感じがする。
階段を上がる、しかし部屋は二つしかないようだった。
片方の部屋は鍵がかかっていて開かなかった。
仕方なく、もう片方の部屋に入る。
何やら甘い匂いが鼻につく。
女の子の匂いなのだろうか、入ったことないし分からないが。
「……あ」
「…………」
中に、女の子がいた。
見た目的には自分より少し小さい感じだろうか。
部屋の隅で固まってしまっている。
「……大丈夫か?」
それが、俺とその子の出会いだった。
傍から見れば、女の子を怖がらせている図に見えなくもない。
別に俺はそんな人間ではないがな。
「…………」
「……怖いのか?」
「…………」
俺はその女の子に聞く。
その子は怯えている。
「怖いよな、俺だって怖いさ、死にたくなんてないよ」
「…………」
「でもさ、怖がってちゃ駄目だと思うんだよ、確かに俺は弱いさ……でも、きっと俺より強い同じ考えを持つ人がいるはずだ」
「…………」
「だからさ、今はまだ不安かもしれないけどさ、頑張ろうぜ?」
女の子は、少しだけにこっと笑った。
それを見て俺も頬を綻ばせる。
「…………俺は、
須藤凛だ……君の名前は?」
「
飯島遥光、よろしく、おにーさん」
その女の子、遥光ちゃんはにっこりとした笑顔を作った。
◆ ◆
「……で、熊本君っていう彼氏さんを探しているのか?」
「うん、そうだよー」
彼女はどうやら彼氏さんがいるようだ。
小さいのに身分のいい事ですね、ええ。
ずっと片思いの自分とは大違いだよ。
笑いを通り越して涙出てくるよ。
むしろ泣いていいかな?
「で……探すのを手伝ってほしいってか」
「うん、その通りだね」
あれか、最悪この人盾になりそうかもって思われてるのかね。
なんか悲観主義になってきたな俺。
別に悔しいわけでもないけどさ。
悔しいわけでもないんだけどさ。
「……分かった、手伝ってやるよ」
「本当!?ありがとねっ!おにーさん!」
うん、可愛いなこの子。
別にロリコンとかいうわけではないけれども。
どっちかって言うと俺は狭山さんみたいな人が好きなんだからさ。
勘違いはしないでほしい。
どっちかって言うと、そうだな……妹的な存在ってやつだ。
「じゃあ、行こうか遥光ちゃん」
「うん、行こう行こう」
部屋から二人で出る。
そして階段を降りる。
そこまでは特に変哲もない行動だった。
だが、一つだけ違った事があった。
玄関にあった人影、それが見えた、『見えてしまった』のだ。
「……後ろに隠れてて、嫌な予感がする」
その声に反応して遥光ちゃんは後ろに隠れる。
念のために支給品にあったトンファーを構える。
階段を一段降りる。
見えたのは、赤黒い色が混じったジーンズだ。
階段をさらに一段降りる。
次に見えたのは、若干の赤が混じって見える黒いYシャツだ。
階段を更にもう一段降りる。
最後に見えたのは、死んだ目をした、絶望したような眼をしている大人だった。
「ぅ、あああああああああああああああああああ!!!」
手に持っていたのは巨大な包丁だった。
ホラー映画で見るような、肉を斬る包丁だ。
それを振り上げてこちらにやって来る。
「クソッ!」
距離は数メートルと言ったところだ。
避けようかと思ったが、後ろには遥光ちゃんがいる。
避ければ彼女の頭は、トマトの如くつぶれてしまう。
俺がここでよけて彼女も避けれるかと言われればその確証はない。
この子が目の前で死ぬのを見るのなんて御免だ。
きっと、さっき言っていた彼氏君に俺は殺されてしまうだろう。
それに、護ってあげようと思ったそばから守れないのは、嫌だ。
「うらあああああああああああああああああ!!」
少しの距離を一気に縮める。
俺の唯一の自慢である、足の速さで一気にだ。
肉切り包丁が振り下ろされる。
それを、間一髪の所で避ける。
いや、避けたと言うよりも当たらなかったという方が正解か。
俺がいたのは、攻撃をした手より体の近く。
俗に言う、懐という部分だ。
「これでも、喰らえ!」
腹に思い切り拳を叩きつける。
男は唾液と空気を吐き出し、倒れる。
意識は残っているが、動けない。
だが、いつか動いてしまうのは分かっている。
だから、ここは逃げる。
「遥光ちゃん!行くよ!」
「は、はい!」
遥光ちゃんがこっちにやってくる。
その傍で、少しづつだが息を整え始めている男が見えた。
一刻も早く逃げなければいけない。
少し粗いが仕方ないか。
「行くよ、動かないでくれ!」
「え?」
右手で肩を、左手でひざの裏を持つ。
俗に言う、お姫様だっこの状態である。
すごい状況である、とは思うが、彼女の足が速いようには見えない。
少なくとも、先ほどは知っていた走り方では速くない。
あの男に追い付かれてしまう可能性があった。
だから、こうすれば少しでも逃げれる可能性が高い。
「少しだけの間、我慢してて!」
「りょ、りょーかい!」
家を出て一気に走りだす。
どこまで行けば安全か、と考えながら須藤凛はお姫様を抱えて走って行った。
【C-5/一軒家付近/一日目/朝】
【須藤凛@変哲もないオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:お姫様だっこしている
[服装]:特筆事項無し
[装備]:トンファー@現実
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:この殺し合いを潰す
1:遥光ちゃんと行動
2:まず狭山さんを見つけたい
[備考]
※変哲オリロワ参加前からの参戦です。
※
石川清隆の外見のみ記憶しました。
※飯島遥光が年上と知りません
【飯島遥光@数だけロワ】
[状態]:お姫様だっこされている
[服装]:特筆事項無し
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本:生き残る
1:おにーさんと行動
2:
熊本潤平と合流
[備考]
※数だけロワ参加前からの参戦です。
※石川清隆の外見のみ記憶しました。
※須藤凛が年下とは知りません
◆ ◆
「っ――――はぁ、はぁ」
男は立ち上がった。
石川清隆――――前の殺し合いでは屍人となり果てた参加者だ。
「死にたく、ない―――――」
「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
ッアアああああああああああああ――――――――!」
叫ぶ、誰もいない一軒家で叫ぶ。
そばにあるのは肉切り包丁。
それで、人を殺す。
そうすれば――――――。
「死なずに、ははは」
一人の男は、心を決めた。
一人の女は、変わらなかった。
一人の男は、心が壊れた。
この物語は、悪意に満ち溢れている。
【C-5/一軒家/一日目/朝】
【石川清隆@個人趣味バトルロワイアル】
[状態]:腹部にダメージ(中)、精神崩壊気味
[服装]:血濡れ
[装備]:肉切り包丁@現実
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:死にたくない
1:だから殺す
[備考]
※個人趣味ロワ死亡後からの参戦です。
※普通の人間に戻っていますが、屍人の時の記憶もあります。
【支給品説明】
【肉切り包丁@現実】
石川清隆に支給。
この肉切り包丁は骨付きの肉を切るときの刃が分厚いものである。
切れ味は抜群だが重い為ナイフのような機動力は期待できない。
【トンファー@現実】
須藤凛に支給。
沖縄の古武道において使用される武器の1つである。
およそ45センチメートルの長さの棒の片方の端近くに、握りになるよう垂直に短い棒が付けられている。
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最終更新:2012年05月13日 16:21