悪人シボウデス

息を整えて空を見た。
空はどこまでも青く澄んでいる。
そして、地面を見る。
どこまでも長く続いている道。
終わりなんてものは見えない。
頬を抓ってみる。
痛みがしっかりと、頬に感じられる。

「……なんで、生き返ってんだ?」

彼――――大崎年光は頭に疑問符を浮かべていた。
彼は、前いた殺し合いで命を落としている。
確実に、あの時殺されたはずだった。
死んできた仲間の死を乗り越えて、脱出の可能性が浮き出て。
そして、それを緑髪の女に完膚なきまでに叩き壊された事を。
今思い返しても歯噛みするくらいの苛立ちが残る。
苛立ちを抑えて、名簿を取り出す。
名簿は何故か二つ種類があった。
普通の名前だけの名簿、そして詳細名簿の二つだ。
詳細名簿には簡単な紹介と顔写真が載っているので、そちらを見る。
まず最初に見覚え――――いや、聞き覚えのあった女性がいた。
稲垣葉月、確かあの時の参加者にいたはずだ。
放送で聞いたのを、覚えている。
そして、ページをめくっていくと、1人見覚えがあった。

「ッ――――この女、あの時の」

新藤真紀、その顔写真は見覚えがあった。
彼を殺した張本人、そして――――希望をぶち壊した張本人。
絶対に許せる相手ではない、そう思いながら次のページをめくる。
そのページの男も、見覚えがあった。
須牙襲禅――――彼の仲間を殺した、許せない奴だ。
山本さんと北原さんを殺した、張本人であるのだから。

「…………あれ」

名簿の見ていないページ数も残り数枚となった時に知り合いを一人見つけた。
山本良勝――――彼の仲間であった老人だ。
どこか抜けているようでしっかりとしていた老人だった。
今でも死んだあの瞬間が頭から離れない。
あの男、須牙襲禅から守れたのではないかと思ってしまう。
だがしかし、もうそれは過去の話である。
出来れば探したいが、今は脱出の方法を探す事を考えよう。

「さて…………行くか」

支給品の中に入っていたグラディウスを持ちながら立ち上がる。
すると、目の前に人が現れた。
いきなりすぎて何か分からなかったが、人であった。
どこにでもいそうな、優しそうな青年と言うイメージだった。
手に持っているのは、S&WM19だった。
警察が使っている銃である。
向こうがこちらに気付くと、銃を構えてきた。

「……俺は殺し合う気はないが」
「う、うるさい……ア、アンタをう、う…撃ち殺す」
「…………」

何と言うか、気が抜ける感じだ。
殺すと言っていながらも、なんか声が震えている。
しかも、なんか銃持っている手が震えている。
あれはどう考えても人を殺せる人間ではない。

「……はぁ」
「な、なんだ!遺言でもあ、あるのか?だったら聞いてやらない事も……」
「いや、強がるのはやめろよ……めっちゃ声震えてんぞ」
「ッ――――」

言ったら向こうの青年は黙り込んでしまった。
なんか、恥ずかしがっているのかよくわからないような顔をしている。

「……悪いが、俺は行くぞ……あんたがどう考えるかは知らないがな」
「ッ、待てよ!見えないのか!?この銃が…」
「人を殺すってのはそんな簡単なものじゃあねぇんだよ」
「…………」
「死ぬのは辛い、痛い、苦しい、それをお前は見ていられるか?」
「…………」
「殺すなんて言うのは、そういうのを見れる奴が言うセリフだ……お前がやってるのはただの強がりだ」
「…………」
「お前はこのまま行くと確実に、死ぬぞ」

言い放つだけ言い放った。
結局向こうは黙り込んでしまった。

「……それじゃあな」

そのまま俺は振り向いて歩き出した。
あいつがどう行くかは知った事ではない。
ただ、悪い方向に進まない事を願ってはいた。

【D-3/平地/一日目/朝】

【大崎年光@俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[服装]:特筆事項無し
[装備]:グラディウス@現実
[道具]:基本支給品一式、詳細名簿@オリジナル、不明支給品0~1
[思考]
基本:脱出する、そのために仲間を探す
1:仲間探しのためにうろつく
2:山本さんと合流したい
3:須牙襲禅、新藤真紀は最大級の注意及び警戒
[備考]
※俺オリロワ死亡後からの参戦です。
香坂幹葦の外見のみ記憶しました。

【香坂幹葦@夢オチだったオリロワのキャラでロワ】
[状態]:精神的ショック
[服装]:特筆事項無し
[装備]:S&WM19(6/6)
[道具]:基本支給品一式、357マグナム弾(18)
[思考]
基本:いいことはしたくない、悪い事はしたい
1:……
[備考]
※夢落ちロワ参加前からの参戦です。
※大崎年光の外見のみ記憶しました。


【支給品】

【S&WM19現実】
香坂幹葦に支給。
スミス&ウェッソン社が発売している代表的なリボルバー拳銃。
コルトパイソンと共に世界の警察で使用されている拳銃で、日本の警察も使用している。

【グラディウス@現実】
大崎年光に支給。
古代ローマ時代の軍団兵(ローマ軍団)や剣闘士によって用いられた。
刃渡りは70cmほどで、剣としては短い。
刀身は肉厚・幅広の両刃で、先端は鋭角に尖っている。

【詳細名簿@オリジナル】
大崎年光に支給。
追加枠以外の参加者の情報が書かれている名簿。
顔写真、名前や身長などの簡単な紹介が載っている。

時系列順で読む


投下順で読む


GAME START 大崎年光 034:魔王のくせになまいきだ
GAME START 香坂幹葦 028:一寸先は闇

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年03月20日 20:34