第八章-第二幕- 集結の白虹騎士団
空中戦艦メガ・アルバトロスの中へ逃げ込んだアイゼンカグラを
追跡すべく、
勇者軍は動き始めるが、艦載機が迎撃の構えを見せた。
急ぐ中、決して無視出来ない状況に陥りつつあった勇者軍であった。
「ならば、こういう時は我が愛機の出番なのじゃ! その名も……」
端末で急遽自分のライディング・フレームを呼び出すアンリ姫。
すぐさま到達するが、あっという間に包囲されて集中砲火を食う。
まず大きすぎて目立ちすぎ、それが原因だった。
炎に包まれていくライディング・フレーム。
「よし、あれがボコられてるうちに急げ!」
「ロブ! わらわの愛機はそういう使い方と違うのじゃ!」
「結果的に囮の役に立ってるだろ、走れ!!」
「まだペットネームも言っておらぬのじゃー!」
きぃきぃ喚きつつも嫌々従うアンリ姫。
確かにその隙に中に一同は入り込む事が出来て、
外からの攻撃は止まった。
さすがに艦載機が艦もろとも攻撃するわけにはいかないのだろう。
ただしそれと同時にアンリ姫の名も知らぬ愛機は爆散しているが。
「わらわの愛機がぁ……お小遣いで作ったのに……」
小遣いレベルで作れる事も異常だが、なかなかに頑丈だった。
それだけのものを作る才覚も尋常ではないだろう。
そして、彼等は駄々広い空間に到着した。
恐らくは格納庫といったところだろうか。部品が散乱している。
「待ちかねていたぞ」
傷の修復も万全でないのか、少し調子の悪そうな
白虹騎士団七名がそこに勢揃いしていた。
ブルーナイトが真っ先に語りかけてくる。
「アイゼンカグラは仕留め損なったか。あの役立たずめ」
アンバーナイトが愚痴のようなものをこぼす。
「君達白虹騎士団は死んでいるはずだ。それが何故ここにいる?」
カイトはそれを無視して語りかける。
「それを貴様が知る必要は無いな」
レッドナイトも随分挑発的な態度を取る。
「いいぜ! そんなに死んだ事が認められないなら、
こんどこそ俺達が冥界まで叩き込んでやらぁ!」
ロバートの宣言と共に、全員一斉に武器を抜く。
「死ぬのは手前ェ等だ、白虹騎士団の恐ろしさを思い知れ!」
グリーンナイトの発言と同時に、彼等も武器を抜く。
パープルナイトは一本の杖を取り出す。
「お前達が使う
幻杖レプリアーツとやらのレプリカだ。
この力を自ら受けて震えるがいい……!」
「何ですって!?」
ウォルフ王子も驚いた。
パープルナイトが杖に込められた技を展開する。
「
精霊包囲弾!」
封神封魔流『速』の秘剣である。いくらレプリアーツといえど、
そう何発も連打出来るようなコストの技ではない。
「ならば、エリックさん!」
「おうさ!
メガブースター!」
すべての能力を引き上げる魔法だ。それを乱発して
各員、耐えたり凌いだりしてのける。
それを見てパープルナイトは驚愕する。
「馬鹿な、貴様等自身の奥技だぞ!?」
「そんな劣化コピー品でどうにか
なると思う時点で甘い!」
既にレプリアーツの技のストックは尽きていた。
「だったらこいつだ……
アクスコプター!」
斧を構えたパープルナイトは自分を軸にして回転し、
斧を回しながらヘリコプターのように突撃してくる。
当たれば只事ではすまないのは確実だった。
「技が大振り過ぎて無駄が多い!
もっと隙無くかかってきなさい!」
鶴の一声を発してから、確実に下半身を打ち据えるウォルフ王子。
転倒したパープルナイトの急所に斧を容赦なく叩き込むと、
ぐったりとパープルナイトは動かなくなった。
「ブレる態度に芯の通らない心……全てが不快です」
それ以上相手にする価値も無いと見て、味方の支援に回る。
イエローナイトは
呪鞘カオスリキッドのレプリカを使って、
自らの爪の切れ味を高めていた。
「この武装の恐ろしさはあなたが一番ご存知のはず。お覚悟を」
「またその態度か。もう一度言う。我々は挨拶より、これだ!」
マリーは棒を抜く。威力や切れ味なら明らかに向こうの方が上だ。
まともに爪を受ければ、彼女の棒とて真っ二つだろう。
「そもそも我々のDNAが組み込まれ、登録されたに等しい
カオスリキッドなどの武装を何故貴様らが使えるかは知らん。
だが言わせてもらおう。貴様等に戦場の華は務まらぬ!」
「そうですか?」
「このように危険な武装をただの便利道具として使う辺り、
人間……ではないな、生き物としての底が知れる!」
「便利じゃないですか、ほらっ」
爪で斬りかかってくる。かすっただけで彼女が構えていた
シールドが易々と切り裂かれてしまった。
「シールドなんて無駄なのに……全てが無意味なのに……」
一瞬、あざ笑うかのように言って、イエローナイトは構える。
「ソウルスピンクラッシャー!」
きりもみ回転状に、とんでもないスピードで突撃してくる。
しかし、マリーは一切の隙なく、あっさりと回避した。
「何と!?」
「剛と柔を制する者こそ、戦場が華! 貴様では温い!」
イエローナイトは技使用後の隙が多すぎて回避も防御も出来ない。
自らの武装の性能に溺れてしまったのだ。
「烈風!」
ずがん!
凄まじい一撃を叩き込む。かなり鎧が砕け散った。
「先程が柔、そして今のが剛だ。貴様はどちらも未熟なようだな」
鼻で笑い、棒をしまうマリーだった。
レッドナイトは
サブメンバー達の魔法攻撃を受けていた。
魔法重視の作戦を取ることは前回の戦いから読めており、
こちらもそれ相応の対応を取るだけである。
「ふふ……もっと撃ち込んで来るがいい」
防御と回避に徹して自信満々に振る舞うレッドナイト。
アンリ姫も攻撃魔法を色々と叩き込む。
すると、レッドナイトは
怪球ミームのレプリカを取り出す。
「わらわのミームまで真似しおるのか!?」
「ふふ……このミームの力があれば……全てを理解し得る」
レッドナイトは引き続き防御と回避に徹する。
よく見れば自らの致命傷になり得ない魔法しか受けていない。
そういう風に出来るようにミームの力を使っているのだ。
「まずいッス、ああいう時のパターンは……!」
レオナが警告するがもう遅い。
「
カウンターフレア!」
吸収した魔法ダメージを魔力に変換して、
火の強力なカウンター攻撃として叩き返して来た。
ターゲットは真っ先に気付いたレオナ自身だ。
「わらわのツレはやらせぬのじゃ!」
だが、アンリ姫は自ら盾になる。すぐれた火耐性を当てにして、だ。
目論み通り、理論値よりダメージが通っていない。
「おのれ……貴様も理解している、というのか!
怪球ミームを使っていないというのに……何故だ!」
「理解しておるのじゃ! 戦い方がパターンなのじゃと!」
アンリ姫は素早く呪文を詠唱する。
「ウィンドシューター!」
距離を一気に詰めての零距離射撃魔法だ。回避は困難である。
「がああああッ!?」
撃ち抜かれたレッドナイトは倒れ伏し、動かなくなった。
「わらわも、頑張れるのじゃ!」
アンリ姫はガッツポーズを可愛らしくとってみせた。
一方の
シアンナイトはもちろん聖杯ライブチャージャーを
使い、幾度と無く回復しているが組織だって使わないせいか、
じわじわとローザのハンマーに押されつつあった。
「何故です、ライブチャージャーのレプリカがあるのに、
何故、容易に押し切る事が出来ないのです……!?」
既に怯えている。この時点で勝負にはなっていなかった。
「その弱々しい態度は相手へ食らいつくための演技だろ。
気に入らねぇやり口だ。消えろ、俗物め!」
「ひぃッ!
スローイングプレッシャー!」
シアンナイトはハンマーをローザの頭上に放り投げた。
直後、更にアンダースローで鎌を投げ込んでくる。
上下から挟み撃ちのような形にするつもりらしい。
「直線的過ぎだぜ!」
大きく回避すると、ハンマーに鎌が潰されて、
結果的にシアンナイトの戦術の幅が狭まった。
「弱った状態で俺達に勝てるとは身の程知らずが!
後悔しても遅いんだよ、愚図め!!」
どがん!
ハンマーによる渾身の一撃が叩き込まれ、
シアンナイトの鎧がひび割れ、行動不能となった。
「ちっ、結局前回ので死に損ないだっただけか。ヤワめ」
吐き捨てると、ローザはシアンナイトを蹴り飛ばす。
既に白虹騎士団七将のうちの四名を打破し、
勇者軍主力部隊の優勢は確定的になりつつあった。
最終更新:2011年12月11日 20:35