何も見えない暗闇の中で、好きな方へ進めと命じられた。
終点はどこかと私は泣いた。
何も見えない暗闇の中で、どこにも進まなくてもいいと投げ出された。
終点はないのかと私は泣いた。
何も見えない暗闇のなかで、あちらに進めと示された。
終点に着いたと私は泣いた。
暗闇がなくなった世界の中では、何の声も聞こえない。
終点はどこかと私は泣いた。
泣いても声は聞こえない。
私の始点はどこにいったの?
                             Fre  ica Ber   tel





サンサンと降り注ぐ陽光。緑の香り漂う開放的な景色が広がっている。
いかにも田舎の村といった風情のそこに、自転車を漕ぐ二人の子供の姿があった。
車道には舗装のあちこちに罅割れや擦過痕が見受けられ、歩道との段差部分にも大きく削れた箇所がある。
そんなポイントを利用するように、並走する自転車の片方がスピードを落とさず歩道から車道へと飛び出した。
レースじみた遊びをしている子供が、車道を横切ることでショートカットを図るあまりにありふれた光景。
昂揚と車道を滑り進む少女に、後塵を拝する形となった金髪の少女が慌てて声を上げる。


「梨花ぁーーー!車が来ましてよぉーーー!!!」

「み~~~~~!!! その手には引っかからないのです!!!」


車道を駆ける少女には確信があった。
いつも通る道だ、時間帯による交通量も完全に頭に入っていると。
自分にだけは不幸は降りかからないという根拠のない自信。
そんな物に頼り、注意を怠った少女の眼前に、次の瞬間飛び込んできたものがあった。
大型トラックである。
回避どころか反射的な停止すらできず、少女の表情が驚愕に染まる。

「!? 梨花ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

親友の金切り声を聞きながら、まぜこぜの感情に沸騰する少女の意識はぶつんと途絶えた。

「うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」

トラックの運転手の方の動転はその数倍である。
自分の責任の有無は二の次で、反射的にブレーキを踏みながら自転車を避ける為にハンドルを切る。
鈍い衝撃音に目を瞑る。スピードを出しすぎているかもしれない……曲がり角から子供が飛び出してくるかもしれない……。
避けられたかもしれない惨事を見る勇気が、運転手にはすぐに起きなかった。
丸々1分の思考停止の後、意を決して外を確認する。
ガードレールを突き破って側壁に衝突した乗車の前面は中破といった具合か。
自転車の方は探すまでもなく見つかった。半ばから真っ二つに断ち折られた車体。
だが、肝心の搭乗者がどこにも見当たらない。
事故の瞬間目に入った、連れ合いの子供の姿もない。自転車が乗り捨てられているだけだ。
運転手は困惑しながらも道端の公衆電話に駆け寄り、通報の義務を果たした。




「ん~~~! もう朝なのね……」

ベッドから半身を起こし、伸びをする少女の名は古手梨花
自転車での暴走の果て、トラックとの正面衝突という因果を招いた少女その人である。
あの一件から、既に一週間近い時が流れていた。
その身体には傷一つなく、精神的にも事故でショックを受けたような様子はない。
それもそのはず、梨花は事故の瞬間に異世界への転移を果たしていたのだ。
精神に何らの影響も受けていないのは、このような体験に慣れているから。
詳細は省くが、梨花は故郷・雛見沢に置いて幾度となく死を迎えては時間を超えて過去へ戻された経験を持っている。
百年分にも及ぶ放浪の時の果て、彼女は全ての問題を解決し平和な日常を取り戻した。
ようやくループを脱する事が出来たというのに、ちょっとふざけていただけで理想の世界から追い出されたわけだ。
彼女に輪廻転生の力を与えた神格、古手羽入もこの異世界にはいない。最初は酷く落ち込んだものだ。

「アヴェンジャー、おはよう。……今日も付いてくるの? いいけどね……」

突然独り言を始めた梨花だが、絶望で気が触れているというわけではない。
彼女が会話をしている相手は英霊の写し身、サーヴァント。
この異世界、ユグドラシルにマスターとして招かれた梨花に与えられた力の化身である。
サーヴァントを使役するマスターが相争い、最後に残った一組が万能の願望機・聖杯を手にする。
シンプルなルールだな、というのが界聖杯より知識を得た梨花が最初に抱いた感想だった。
何せ彼女の経験した試練は終了条件も敵の存在も完全に謎に包まれていた。
自分と同じ境遇のマスターを蹴落とさなければならないのは気が引けるが、殺す必要まではない。
サーヴァントさえ倒せば、マスターは脱落するがその道連れに消えたりはしないようだ。
加えて彼女のサーヴァント、復讐者のクラスであるアヴェンジャーは極めて高い能力と旺盛な戦闘意欲を併せ持っていた。
一夜に一騎のペースで敵サーヴァントを仕留めており、その間一度の手傷すら受けていないのだ。

身支度を整えて外出する梨花に、不可視の気配が追従する。
恐る恐る、といった気配を感じた梨花が悪戯っぽく微笑み、手を伸ばす。
差し出された手を握るでもなく、サーヴァントは不愉快そうなオーラを隠さず外へ出た。
このサーヴァントは生前、日光を浴びると消滅する体質を持っており、
英霊となった今も霊体化していなければ甚大な被害を受けるのだ。

「あなた程じゃないけど……何度出ても、やっぱり緊張するわね……東京」

田舎中の田舎、雛見沢とは何もかも違う大都会、大東京。
更にこの疑似都市は梨花の生きた時代、昭和末期から数十年を経た文化レベルにある。
マスター以上に、サーヴァントにも時差はある。比較的近代の英霊とはいえ、目にしている光景は異界のそれであろう。
アヴェンジャーが梨花と行動を共にしているのは、マスターを守るためではない。
最新の人間世界の知識を情報だけでなく実感として知ることで自己の嗜好欲を満たす、それだけが目的である。
それを梨花も薄々勘付いてはいたが、単独行動スキルを持つ彼が自分の外出に付き合う意味を鑑み、良しとしている。
逆の場合と違い、マスターが倒れればサーヴァントが消滅するのは時間の問題。一応護衛してやるかくらいの気まぐれでも十分だと。

「……着いちゃったわね……ふう」

目的地の建物を見上げ、息をつく梨花。
壁に掲げられた看板には『WHITE BIRD』なる文字。
端的に言えば、芸能プロダクションの事務所である。

界聖杯に招かれた梨花には、疑似東京で与えられたロール(役割)があった。
幼年とすら呼べる梨花に課されたそれは、メイドカフェ『エンジェルモートイントーキョー』でのアルバイトの日々。
法律に照らせば完全な違法であるが、誰もそれを気にしないのが界聖杯から得た情報の正しさを裏付けていた。
扇情的な制服で勤労に励んでいた梨花の転機となったのは2日前。
エンジェルモートに来店していたスカウトマンが梨花を一目見て気に入り、即日面接に至ったのだ。
W・Bは弱小も弱小、大手のアイドルプロダクションがライオンならばアリの触覚ほどの存在でしかない。
だからこそのスピード採用。受けたところでアイドル道が中途で終わるのは明白であったが、梨花はその誘いを受けた。
事務所に入り、担当となった女性トレーナーの元へ挨拶に向かう。(担当と言っても、トレーナーは彼女一人である)

「いらっしゃい、梨花ちゃん。書類は全て用意しているわ。後でサインをお願いね」

「おはようございます、佐渡さん。今日は確か……」

「ええ。レッスンに入る前に、貴女がどういうアイドルになりたいのか聞きましょうか」

梨花がアイドルの誘いを受けた理由。それは、幾度となく繰り返した雛見沢の日常と全く異なる経験をしたかったからだ。
雛見沢にいた時は、漠然とキリスト系の学園に入って、良家のお嬢様に囲まれたハイソな日常を過ごしてみたいな、
程度のビジョンしか持っていなかったが、アイドルというのもまったく想定外で面白いではないか、というわけだ。
ならば、どのような偶像を演じるべきか。梨花は考える。
雛見沢でのキャラ作りに準じてみーとかにぱーとか言っていれば楽にやれるのだろうが……。
それでは趣旨から外れる。自分がやったことのない事をやりたいから、ロールを逸してまでここに来たのだ。

「クール系で……いきたいと思います」

「いいわね。じゃあ、そのイメージをファンに与えるにはどうするか、から話し合いましょうか」

梨花の昼の生活は、概ねこのような穏やかなものだった。



梨花の夜の生活。それは聖杯戦争にリソースの大半を割いていた。
昼とは全く違う目立ちにくい服装で夜の街を出歩き、適当な喫茶店などに入る。
敵サーヴァントを索敵したアヴェンジャーが撃破完了の念話を送ってくるのを待つ。
戦争と言っても、梨花にやることは何もない。
いざという時に拠点へ素早く戻るルートだけは頭に叩き込んでいるが、本当にそれだけだ。
過去にアヴェンジャーが倒したサーヴァントは五騎。その全てを接敵から40秒ほどで消滅に追い込んでいる。
余りに圧倒的な戦果から、梨花にはやや楽観の様子が見られるが、アヴェンジャーには浮つく様子はない。
当たり前の結果を当たり前に出しているだけだ、という風情である。

「……わかったわ」

接敵の念話が梨花に届く。彼女が感じるわずかな脈動は、サーヴァントの戦闘に応じた魔力消費の感覚だ。
ミルクをコーヒーに入れて喉を潤そうとして、撃破完了の念話を受ける。14秒。新記録だ。
2分ほど経って、急いでコーヒーを飲み干した梨花が喫茶店から走り出て路地裏に紛れる。
誰もいないのを確認してアヴァンジャーに念話を送る。程なくして、アヴェンジャーが実体化した。
息一つ切らしていないその男は、総白髪である印象を裏切るほどに暴力的な生命力に満ち満ちていた。
当世風の服を身に纏ってはいるが、戦闘の影響だろうか、背の部分や四肢のあちこちが破けている。
額から肩口に炎のような文様が浮かび上がっていて、じっと観察するとその部分の皮膚は焼けているかのように
痛々しく鳴動しているようにも見える。手足の服が破れた部分からは、乱杭歯の口が複数覗き見える。
黙示録の獣を連想させるサーヴァントは、梨花を絶対零度の視線で射抜く。

「まだ聖杯は手に入らないのか」

「その様子はないわね……六人も倒したのに……」

「面倒な事だが、忍耐してやろう。願望機などに振り回されるとは業腹だが、見返りは確かなようだからな」

アヴェンジャーが、倒したサーヴァントのものと思しき手首を梨花に示す。
掌に生じた口腔部がガリガリとそれを齧る様を見て、口元を抑える梨花。
半分ほど咀嚼されたところで、手首は霧のように消滅した。

「サーヴァントは強力な力の塊だ。消滅した際にそれが願望を叶える原動力に変換され、それを貯めるものが聖杯だと私は考えている」

「生贄が多ければ多いほど、貯まる力が大きければ大きいほど願いが確実に叶うってことかしら」

「更に一騎見つけた。ここで待機していろ」

梨花の言葉に答えず、アヴェンジャーは首を別の方向へ向けて呟いた。次の瞬間、その姿がかき消える。
マスターである梨花はサーヴァントとの間に通るパスから、アヴェンジャーが高速で移動していくのを感じた。
頼もしい従者にヤレヤレと気安いため息を漏らしながら、地面に転がる8P酒箱に腰を下ろす。
何も失わず、何の労力もかけず、それでいて確実にゴールに向かっている奇妙な実感がある。
惨劇のループの中ではどれだけあがいてもサイコロは1の目に収束していた。


理想の世界では屈服することを否定する覚悟で、サイコロの目を自ら変えられる事を知った。
だがここでは、自分に関わりない所で6の目が出され続けているかのようだ。このまま上がれるなら、それに越したことはないが……。
雛見沢では未知の存在であるスマートフォンを取り出して明日の天気を確認していると、程なく接敵の念話が届いた。
さて、10秒を切って新記録となりますか。くすくす。

「……? 結構かかるわね……ッッッ!?」

1分、5分経っても撃破完了の報告がない。
10分を過ぎた辺りで梨花の全身に未体験の凄まじい悪寒が走る。
彼女が初めて体感するそれは、サーヴァントの身に重大な何かが起こったことを知らせるもの。
念話を飛ばして確認するより早く、アヴェンジャーの震える霊器が凶暴なまでのスピードで路地裏に駆け込んできた。

「拠点に戻れ!!」

実体化と同時に短く叫んだその肉体は、前面に巨大な傷を負い血まみれだった。
驚愕する梨花に構わず、来た方向とは別の方へ霊体化したアヴェンジャーの気配が離れていく。
梨花は思わぬ事態の急変に動揺しながらも、己が拠点である一軒家へと足を早めた。





「ん~~~……?暗い……」

無事拠点に辿り着いた梨花であったが、アヴェンジャーに送った念話は以後通じる事はなかった。
サーヴァントの負傷を初めて見た彼女にはそれを癒やす術が検討もつかず、とりあえず救急箱を出して
アヴェンジャーの帰宅を待っていたのだが音沙汰なく、いつの間にか眠ってしまっていた。

(アヴェンジャーがあんな苦戦をするなんて……パスは切れてないみたいだけど……)

目を覚ました梨花の体内時計は、前日の起床と同じ時刻だと語っているのだが室内が異様に暗い。
手探りで電気をつけるために立ち上がった彼女の足に、昨日まではなかった物体の感触が触れた。

「樽……いや壺? 何個もあるみたいだけど……?」

ぺたぺたと触れてみるそれには冷たい手触りがあり、側面にはなにか金属製のパーツが付いている。
僅かに闇に慣れてきた視界に浮かぶそれは、蛇口のようなものに見えた。
枕元に置いてあるコップを覚束なく握り、蛇口の下にかざしてハンドルを回してみる。
コポコポと少しずつ垂れる液体は、鼻先に引き寄せるまでもなく強烈な臭気を発散させていた。
だが決して不快なものではない。不安な気持ちで夜更しして乾きを覚えていたのか、自分でも無意識なままに
梨花はコップを口元に運び、得体のしれないそれを躊躇なく飲み干していた。
舌が脳に直結しているのか、と錯覚するほどの濃厚な味。全身に広がる多幸感。ピリピリと痺れるような余韻。
風味は以前に羽入へのおしおきの為に常飲していたワインにも似ているが、満足度はその百倍といっても過言ではない。

「頭(こうべ)を垂れて蹲(つくば)え。平伏せよ」

「!? アヴェンジャー!!貴方、どこ……に……」

サーヴァントの声につられて振り返った梨花の目に、思いもよらぬ光景が飛び込む。
ポウ、と灯った鬼火のような灯りに照らされた姿は、彼女の記憶するサーヴァントとは全くの別物であった。
派手な蝶の髪飾りに、胸元が大きく開いた赤のミニドレス。夜の女然とした存在がアヴェンジャーの声で喋っていた。
だがそれはどこからどう見ても魅力的な女性の姿にしか見えない外見であり、サーヴァントとしての気配すら察知できない。
縦長の瞳孔にはこれまで見たことのない赤い光が宿っており、梨花は訳もなく身体が震えるのを感じた。

(負けたショックでおかしくなって女装をしたの?いやまさかそんな)

「違う」

女は青筋を立てながらもどこか満足気に呟くと、梨花の首根っこを掴んで軽々と持ち上げた。
何をとジタバタする梨花を冷たい目で見据えながら、アヴェンジャーは語り始めた。

「私はお前を甘やかしすぎたようだ。昨夜のサーヴァントのような厄介な輩が複数いれば、マスターを知られることが問題になる可能性もある」

「どういう意……!?」

梨花が明るくなった部屋を見回し、部屋に2つある窓が内側から目張りされている事に気付く。
病的と言えるほど、光の一筋すら入らないよう完全に遮断されている。
アヴェンジャーの物言いから、マスターである梨花の行動を制限するつもりなのかと梨花は察した。

「待って、私にも都合が……」

「黙れ!!!!!」

会話のとっかかりを見つけようとする梨花の顔に、女の細腕が迫る。
通常ならビンタと呼ばれるであろうその動作は、梨花が開いた下顎をたやすく引き千切って壁に叩きつけた。
顔の一部を失い、激痛に声すら出せずもがき回る梨花をベッドに放り投げて、アヴェンジャーは淡々と言葉を継ぐ。

「痛むか? だが私の痛みはそんなものではなかった。我々は戦争をする為にここにいるはずだろう。
 今後は聖杯戦争に勝る"都合"があるなどと解釈できる言葉や考えは謹んだほうがいい」

「だからっていきなりぶつなんて……!?」

梨花が反射的に口答えしてから、言葉を発せた事に仰天する。
手をやると、そこには完全な状態を取り戻している自分の顔があった。
幻覚を見せられていたわけではない。数秒前まで自分の下顎だった肉片は、今も壁にへばり付いているではないか。

「一体何が……!?」

「お前は私の血によって『鬼』となったのだ。どんな傷もたちどころに完治するが、日光を浴びれば身体は滅びる。窓を塞いだ理由は分かったな?」

「な、何を勝手な事を……いつの間に!? まさか寝ている間にやったの!?」

「簡単に死なれては困るのでな。私の決定した事に何か不服でもあるのか?」

梨花はここに来てようやく、今までろくなコミュニケーションを取っていなかった自分のサーヴァントの危険性に気付きはじめていた。
相手が歩み寄ろうとするマスターを半ば無視していたのには気付いていたが、聖杯戦争のパートナーとしての強さに目がくらんでいたのかもしれない。
鬼という言葉に雛見沢の伝承を思い出す。……とにかく、冷静に話を聞こうと梨花は意を決した。
内容はともかく、あちらから初めてアプローチがあったのだ。

「その……『鬼』になった私に、あなたは何を望んでいるの? 一緒に戦えってこと?」

「お前には『鬼』としての才能はまるでない。異能の鬼にすらなれない矮小な存在だ。
 私がお前に望むのは唯一つ。聖杯戦争が終わるまでこの拠点から一歩も外に出ない、それだけだ」

「それなら鬼にしなくってもそう言ってくれればいいじゃない!」

「お前には生き物を管理した経験がないようだな。枷もつけずに放し飼いをするのは愚かというもの」

言葉の端々に険がある。相手を対等に見ていると見せかけるつもりすらない、癇に障る声。
梨花は不快を通り越して恐怖さえ覚えながら、ベッドに力なく横たわる。
聖杯戦争をサーヴァントに依存していたのは確かだ。
だが、望まず巻き込まれた戦いで味方から未来を奪われる道理があるか?
こんな身体にされては、もう人間としてまともな生は望めない。
ようやくその認識が追いついてきて、梨花は目に涙を滲ませる。
うーっ、と押し殺した声で唸る梨花に、アヴェンジャーは淡々と語りかける。

「界聖杯における仮初めの生活にまだ未練があるようだな」

「……アイドルの事を言ってるの? そこまで私の気持ちが分かるなら、こんな……」

「お前が聖杯に望むのは偶像になることではないだろう。承認欲求を満たしたいならば、
 機材を通販で取り寄せてYouTuberにでもなるがいい。顔出しをしなければ認めてやろう」

疑似東京を見物して得た知識か、妙に俗っぽいアヴェンジャーの発言にイライラと頭を悩ませる梨花。
この横暴なサーヴァントだ、実際やると言い出したら逆鱗に触れてまた暴力を振るうような気がすると。
梨花は自分の懊悩を見透かしたように笑みを浮かべるアヴェンジャーに、更に言葉を返した。

「私だけの問題じゃないでしょう。エンジェルモートにも無理を言って辞めさせてもらって、事務所とも正式に契約してるのよ?
 NPCだから迷惑をかけていいなんて思えない。軽い気持ちで始めたのは確かだけど、だからって投げ出すつもりはないの」

「お前がそれらと縁を切っても、困る者はもう誰もいない」

「……?」

自分の労働者やアイドルとしての資質を軽侮されているのか、と梨花は訝しむ。
お前の代わりなどいくらでもいる、と……それは確かにそうだろうが、と考える彼女に、アヴェンジャーは事も無げに言い放った。

「私が何故お前と外界の縁を断とうとしているのか、理解していないのか?
 敵勢力に万に一つもお前の情報が漏れないようにするためだ。その手は既に打ち終わっている」

「????……??」

「そこの壺の蓋を、どれでもいいから開けてみろ」

全く理解が及ばないまま、言われるままに梨花の足が進む。
部屋の中心に4つほど並んだ、蛇口の付いた巨大な壺。
見たこともない、脈打つ肉塊のような柄。その中には美味なる雫が湛えられているはずだ。
抵抗なく蓋を開けた梨花は、中を覗き込む。

「……え?」

部屋は僅かな灯りで照らされているだけだ。だから、見間違えたのだと思った。
まじまじと見つめて、そこにあるのが何かハッキリと理解した時、梨花は声にならない叫びを上げて後ずさっていた。
ドン、と背中をぶつけた何かに向き直る梨花。アヴェンジャーが何ら変わらぬ様子で見下していた。

「『鬼』は栄養源として摂る物が制限されるが、お前は更に特別な例だ。人間の血のみで存命できる。
 今後は食事に気を回す必要はない。"あれ"だけを飲んで命を永らえるがいい」

「ひっ……ひい……あはは……」

腰を抜かしてこみ上げる笑いに身を任せる梨花は、自分のサーヴァントが人間種ではない事を……。
何より、人間の精神を持たない存在であることを芯から理解していた。
壺の中には、昨日から彼女の専属トレーナーになった女性が押し込まれていた。

奇妙な膜のような物に覆われたそれは、2~3人程の犠牲者の死体の結合体。
いかなる原理かそれぞれの心臓だけが動いていて、死体が生成した血を壺が絞り上げて蛇口から出す仕組みのようだ。
それが4つ。約10人……その数は、梨花が界聖杯で顔と名前を一致させる程度に親交を深めたNPCの数と同じ。
アヴェンジャーが梨花に付いて回っていたのは、このような事態を迎えた時の為に彼らの存在を把握する為だったのか?
梨花の口元から、先ほど啜った赤い液体……血が漏れる。
直後、うずくまった彼女は激しく咳き込んで両手を抑え、嘔吐物を撒き散らし始めた。

「昨夜の食事の吐き戻しか……」

アヴェンジャーは冷淡さを崩さず、胃の中を全て逆流させて倒れ伏す梨花に告げる。

「お前には必死さが足りなかった。現状の正確な理解もだ。全ての鬼は、私が死ねば消滅する。
 お前も例外ではないのだ、古手梨花。他のマスターと違い、お前にとって聖杯戦争の敗北が意味するのは滅び。
 もはや聖杯を得るしかなくなった事、しっかり性根に刻んだか?」

「聖杯で、人間に戻って……」

「『元の世界に帰り、沙都子と一緒に聖ルーチアで素敵な学園生活を送る』。そうだ、願いを叶えたければ私に従え」

梨花の目が見開かれる。いかなる手段か、思考を知られていると気付いたのだ。
逆らえない事を悟り、フラフラとベッドに向かって倒れ込む梨花。
悪夢から逃れるように眠りに逃避する梨花を一瞥して、アヴェンジャーは部屋から姿を消した。




星の見えない曇った夜空を見上げながら、アヴェンジャー・鬼舞辻無惨は物思いに耽っていた。
己のマスターへの対応はひとまずこれでいいだろう、と。
無人の団地の一角に立つ無惨だが、その視界には東京各地に放った小型の鬼の見ている光景が映し出されている。
この能力はもともとは上弦の肆・鳴女の血鬼術である。
無惨の宝具の効果で再現しているのだが、その有効性は聖杯戦争においても冠絶していた。

「上弦の中では最も役立った半天狗。その数字を継いだ鳴女の血鬼術がこうも私の為の役に立つ。これも……」

言葉を切って、無惨は自分の生の終わりを思い出す。
一個体として限りなく不滅の存在に近付いていたはずの自分が、か細い思いを繋いだ人間たちに敗北した事実。
その結果を真摯に受け止め、無惨は人が繋いでいく思いこそが永遠である事を認めた。自分もその真理に従おうと考えた。
復讐者のクラスとして召喚された影響か、今の無惨は自分に対する復讐が成った後のメンタリティで存在している。
この英霊としては例外的に、アヴェンジャーである彼には自己が究極の生物になることへの執着が皆無なのだ。
彼が望むのは、自分が死の直前に抱いた願いが叶ったのかどうかを知ること。
竈門炭治郎という、自分を超える鬼の素質を持つ少年に託した願いが正しく継がれている事を確かめたいと思っている。
鬼舞辻無惨は死の間際、嘘偽りなく全力で炭治郎を生かす為に全ての力を注ぎ込んだ。自分の生存を度外視してそうしたのだ。
それが故、無惨が炭治郎に送り込んだ自身の細胞が得たであろう記憶は、彼の霊器には刻まれていない。
最も欲するものを得られない怒りの炎は、英霊と成った後も鬼舞辻無惨を焼き続けている。

「珠世の知識も上手く使えたな……宝具か、奇妙な感覚だ」

無惨の脳裏に、梨花を鬼化する直前の記憶が浮かぶ。
彼は目的を果たすため、己が取り込んだ異能の鬼、珠世の細胞と対話を試みたのだ。




「久しぶりというべきか、珠世」

「……」

「どうした? 顔色が悪いようだが」

鬼舞辻無惨の精神世界。
脳細胞の最奥にて、美貌の女鬼・珠世と無惨は対峙していた。
珠世の形相は激憤と困惑に彩られており、目にしているものを理解したくないという思いで溢れていた。
ブツブツと呟く言葉は呪詛じみていて、無惨の死だけを望む勢いで吐き出し続けている。

「お前が英霊だと……星に認められ永遠に刻まれた存在だと……!」

「私が望んでそうなったわけではない。そんなことで恨まれても迷惑だ」

「お前に対する恨みはそこじゃあない! お前がまだ存在している事自体が……」

「この白髪を見ろ。お前の薬の効果だろう。死して尚、それはこうして功を奏している」

「……」

「英霊としての私の存在は、お前たちの勝利の証と考えろ。お前は今や私の一部、分からんはずがないだろう」

「黙れ!!!!!」

飄々とした無惨の態度に激昂する珠世。
その取り付く島もない様子を見ながら、無惨は深い溜息をついた。

「増やした脳を使って考えたのだがな。お前のしつこさは少々異常だぞ珠世」

「……!?」

「生前から何百年も私を恨み続け、私と共に英霊になってまでそれを続けるのかと聞いている」

「当たり前だ!!!」

「……まあ、いい。お前の怨念など取るに足りん。本題に入るとしよう」


心底うんざりした様子で一方的に口論を打ち切ると、無惨は珠世に知識の譲渡を要請した。
知識の活用法は、自分を召喚したマスターを珠世式の鬼にする為だと。
珠世は一も二もなく拒否する。内容もさることながら、無惨の頼みという時点で聞く理由はないと。

古手梨花の存在証明は、東京内から完全に消去してある。鬼にして緊急時に即死しないようにすると同時に、
  ヤツが食事をする際の事も考慮しなければならない。霊体化できない古手梨花が鬼として食事をすれば
  当然死体が残り、外から拠点に戻る際にも痕跡が残る。血だけで事足りるお前の鬼はこの状況では有用なのだ」

「何故わたしがお前の都合で力を貸さなければならない……! 聖杯戦争など知ったことか!」

「お前は私に、鬼となって自暴自棄になり、大勢の人間を殺した罪を償いたいと言っていたな。あれはやはり嘘っぱちの建前文句だったか」

「何だと……!?」

「 お前が協力しないなら、私自ら拠点に死体を運ぶ手間が増えるだけ。天災の犠牲者もその都度増える。
  お前が協力するなら、既に殺してある古手梨花の知人の血だけで済むのだ。玉壺の血鬼術でその用意は済んでいる」

「くっ……詭弁を……!」

「認めるのか? 私を滅ぼそうとしたのは人類の為ではなく、己の恨みを晴らす為だけだったと。私はどちらでも構わないが」

「……」

珠世の目から血が噴出する。頬の肉を噛み切ったのか、口からもドブリと血がこぼれている。
極限の不本意を押し殺した感覚と共に、無惨の意識下に新たな鬼化血液の組成が流れ込んできた。
無惨は頷くと、もう用はないとばかりに一瞬で己の精神世界から姿を消した。
珠世の拳が、脳細胞の壁を渾身の力で殴りつけた。





「私は変わったのか?」

回顧から復帰した無惨が、静かに目を開けて自問する。
生前の彼ならば、逃れ者の知識を借りて不完全な鬼を造るなどありえないことだ。
無論利点があるからそうしたのだし、珠世の部下の持っていた特性で不要な点は取り除いている。
今の梨花は血だけを飲んで生きる呪いを外された鬼ではあるが、通常の鬼と同じく無惨に思考を読まれ、位置を把握されるのだ。
それでも本来の無惨ならこんな手間はかけなかった。自分に手傷を負わせる強敵の存在を認識していたとしても。
そもそも完全な後継者である炭治郎がいるのだ。
かつて増やしたくもないと言い捨てた、不出来な同胞を作り出す事自体が無惨に怒りを覚えさせていた。

「……変化を嫌う事に変わりはない。サーヴァントとして召喚された不具合か。不快だな」

それでも、無惨の願いに対する執着は確かなものだった。

「炭治郎。私の思いを連れたお前は、どこへ進んだのだ? 何をしたのだ? この空の続く場所にいれば話は早いのだがな」

しかし、不滅の存在となったであろう鬼の王が、死後に至る英霊になっているとは考えにくいと無惨は思考する。

「信じているぞ、炭治郎。私の思いを継いだお前を……」

無惨は呟くと、夜の闇に消えていく。


悪鬼が望む真実が存在するのかどうか。それをまだ、彼だけが知らない。



【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
鬼舞辻無惨@鬼滅の刃

【ステータス】
筋力A+ 耐久A++ 敏捷A++ 魔力A++ 幸運B 宝具D

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
復讐者:A++
復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルになったもの。
アヴェンジャーは千年に渡る生の中で絶大な総量の恨みを買っており、無数の虎の尾を踏み、龍の逆鱗に触れていると称される。
アヴェンジャー自身は向けられる怨念を異常者の逆恨みと認識しているため、それらに対し正当な怒りである激情を振るう。
それ故に通常の復讐者よりも効率よく向けられる悪意を自らの力に変えることができる。

忘却補正:B
人は忘れる生き物だが、鬼であるアヴェンジャーは決して忘れない。
一度受けた屈辱は永遠に引きずり続ける。

自己回復(魔力):B
復讐が満たされるまで、魔力が延々と湧き続ける。
保有スキルと併せて、無尽蔵の持久力を見せる。

【保有スキル】
超速再生:A-
 鬼としての再生能力、その極点。耐久値に+の補正を与える。
 本来ならばいかなるダメージも瞬時に再生し、特効攻撃ですら僅かな時間しか稼げない。
 真性の日光を浴びた時のみ、例外として莫大なスリップダメージを受ける。
 鬼滅の毒スキルの効果によって常に細胞が破壊されており、
 このスキルで相殺する事で補填している為、戦闘中の再生速度は落ちている。

鬼種の魔:A
 鬼の異能および魔性を表すスキル。鬼やその混血以外は取得できない。
 天性の魔、怪力、カリスマ、魔力放出等との混合スキル。

犇めく髄腑:A-
 己の肉体を完全に掌握するスキル。アヴェンジャーは体内に7つの心臓と5つの脳を持つ。
 それらを含めた体内の全細胞を任意で動かすことも可能であり、肉体を千八百に分割しての逃走すら実現する。
 生前に取り込んだ異能の鬼の細胞を霊器にも引き継いでおり、精神世界での対話が可能。
 心臓は通常のサーヴァントと同じく魔力を生み出し、魔力値に強力な補正を与える。
 脳は擬似的な並列思考を可能とし、どれだけ頭に血が登っていても生存する為の手段について判断を誤る事はない。
 鬼滅の毒スキルの効果により、総体を分裂する事は出来なくなっている。

完全変態:C
 外見を完全に変貌させることができる。
 サーヴァントとしての気配を消すことも出来るが、戦闘時には効果を発揮しない。

鬼滅の毒:EX
 アヴェンジャーの死の遠因となった毒。自らの行為が生み出した者達が造り上げた切り札。
 戦闘を開始した瞬間から以下の効果が発揮され始める。このスキルはいかなる手段・状況においても解除不能。

 戦闘開始から5分経過:筋力・耐久・敏捷値が1ランクダウン。鬼種の魔スキルによる各種補正を無効化する。
                (影響後のステータス:筋力B 耐久B+ 敏捷B+ 魔力A++ 幸運B 宝具D)
 戦闘開始から10分経過:耐久・敏捷・魔力が1ランクダウン。犇めく髄腑スキルによる魔力値補正を無効化する。
                (影響後のステータス:筋力B 耐久C+ 敏捷C+ 魔力B+ 幸運B 宝具D)
 戦闘開始から15分経過:敏捷値を除く全ステータスが1ランクダウン。超速再生スキルによる耐久値補正を無効化する。
                 追い詰められたアヴェンジャーは、敏捷値に強力なプラス補正を発生させる。
                (影響後のステータス:筋力C 耐久D 敏捷C+++ 魔力C+ 幸運C 宝具D)


【Weapon】

「触腕」
三種に分類される、肉体を変化させて形成した武器。
①背中から出た細い管。九本あり、変幻自在の軌道で敵を襲う。
②太腿から出た細い管。両足に四本ずつあり、極めて高速で死角からの攻撃に適する。
③両腕。伸び縮みが著しく、通常の拳打の間合いから10m程までの広い範囲を攻撃できる。
      多数付随している口が周辺の空気を吸い、相手の体勢を崩したり攻撃の規模を増大させたりする。

「衝撃波」
胴体に形成された口腔が強烈な衝撃波を放つ。
血鬼術の一種であり、受ければ全身に麻痺効果が発生する。



【宝具】

『私も受け継ぎ、託すとしよう』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:自身
 死の間際、自らが求めた不死ではなく人が受け継ぎ託してきた思いこそが
 永遠であり不滅であるというアヴェンジャーの悟りが宝具となったもの。
 血を分けた上弦の鬼6体(黒死牟、童磨、猗窩座、鳴女、玉壺、獪岳)。
 そして手ずから取り込んだ逃れ者の鬼種、珠世の血鬼術の一部を再現する事が出来る。それ以外の効果はない。
 黒死牟=刀術を土台とした戦闘特化能力。童磨=温度低下を主とする戦闘特化能力。猗窩座=拳術を土台とした戦闘特化能力。
 鳴女=視覚を共有する目玉型の鬼を造り出し使役する。玉壺=悪趣味な芸術品を造る。獪岳=超劣化黒死牟。珠世=幻術。
 強力な能力を持つ鬼たちではあるが、アヴェンジャーは自分の腕を振り回したほうが
 圧倒的に強いと確信しているため、戦闘においてそれらの能力を使うことはない。

 余談だが上記の効果を見ても分かるように、アヴェンジャーは思いを託すという行為を何も理解してはいない。
 『不変』を何よりも重視する彼は、人から人に思いが継がれる際に必ず発生する齟齬や解釈の差異による変化を許容しない。
 その根底にはアヴェンジャーの昆虫じみた精神による、他者への共感能力の決定的な欠如がある。
 彼の身勝手で押し付けじみた思いは、誰にも継がれる事はない。


【人物背景】
 千年に渡り鬼種を生み出し続け、人の世に恐怖と混乱を撒き散らした存在。
 最期は踏みにじってきた者達が組織した鬼殺隊に討伐され、日光に焼かれて滅びた。
 自分が敗北した事実を受け入れ、その奇跡に感じ入った彼は討伐者の一人に力と命を託す。
 一切の稚気なく真に全てを託したため、死して英霊となった彼には少年へ送り込んだ自らの細胞の記憶はない。
 英霊となった今でも彼は、鬼狩りの殲滅と夜だけでなく朝も昼をも支配する鬼の王の君臨を信じ続けている。

【サーヴァントとしての願い】
 自分の託した思いをとある少年が受け継いだのかを確かめる。意に沿わぬ結果の場合は、その事実を聖杯の力で捻じ曲げる。

【方針】
自分の能力への自信から、見つけた主従に片っ端から襲いかかる戦法を取っていた。既に六組を撃破済。
マスターからは敵マスターは殺さずに済むなら見逃してほしいと打診されていたが、無視して全て殺害・捕食している。
とあるサーヴァントに思わぬ苦戦を強いられ、手傷を追ったことから慎重策に転針。
当面は偵知を進め、序盤のような無軌道は避ける予定。

【関連キャラ】
道具。自分に都合の悪い願いを叶えられては困るので、聖杯戦争の勝利が確定すれば始末する予定。
  • 竈門炭治郎
最も優れた存在。自分の後継者であり究極生物・鬼の王を名乗るに相応しい子供。
  • 炭治郎以外の鬼
何故炭治郎に出来たことがお前達には出来なかったのだ?役立たず共が!!!


【マスター】
古手梨花@ひぐらしのなく頃に

【マスターとしての願い】
人間に戻り、元の世界に帰り、沙都子と共に聖ルーチア学園でハイソな生活を送る。

【Weapon】
「血壺」
無惨が玉壺の血鬼術で作った梨花用の食料タンク(4個)。
梨花が界聖杯で親しく付き合っていたNPCの死体が詰められており、一つの壺につき2~3人の死体が結合されて押し込められている。
犠牲者10名の内訳は
エンジェルモート(梨花のロールに割り振られたバイト先)の店長、その同僚の少女3人、店舗スタッフ2人、アイドル事務所のスカウトマン、マネージャー兼トレーナーの女性、スタッフ2名。
余談だが無惨は犠牲者を拉致する際に梨花と直接交友があった彼らだけでなく、その関係者も皆殺しにしている。


【能力・技能】
「鬼化」
無惨により鬼にされている。
身体能力の向上と高い再生能力を持つが、異能の鬼以上に成長する余地はないと無惨には見立てられている。
珠世の技術を流用して血だけで生きられる鬼として完成しているが、無惨に思考を読まれるのは通常の鬼と同一。
珠世の細胞をも混ぜて鬼化している為、無惨が設定した条件を満たすと口封じに殺される特性は機能していない。(無惨は覚知している)


【人物背景】
昭和58年の雛見沢で惨劇のループに巻き込まれ、100年分の地獄を経験した少女。
仲間たちに相談し、大人たちに助けられ、自分の意思で運命を変える奇跡のような世界でそのループを脱する。
以後は平和な暮らしの中で友人たちとのかけがえのない時間を過ごし、未来に思いを馳せていた。
しかしある日、トラックの事故に巻き込まれそうになり行方不明に。
雛見沢から姿を消した彼女は界聖杯に招かれ、新たな受難の日々を送っている。


【方針】
無惨の言う通りにする。

【関連キャラ】
怖い・嫌い。早く縁を切りたい。
一番の親友。ずっと一緒にいたい。
  • 羽入
肝心な時にいないのは本当に困る。

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最終更新:2021年07月13日 20:30