ひょんなことから女の子
クロ/クロ 8『XY XY(前編)』
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429 名前: 長目 『クロ/クロ』8-1 投稿日: 2006/08/29(火) 02:46:49.51 ID:Ak+UzLdD0
8『XY XY(前編)』
8『XY XY(前編)』
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冬も半ば。
雪でも降るだろうかという寒さの、年の暮れ。
そんな頃に、奴は唐突に現れた。
雪でも降るだろうかという寒さの、年の暮れ。
そんな頃に、奴は唐突に現れた。
夕方、3人で買い出しに出かけた帰り。
マンションの入り口に一人の男が立っていた。
中性的な雰囲気をまとった細身の長身、短いプラチナブロンド、そして、青い瞳。
白人の外見年齢は分からないが、恐らく歳は俺とそう離れてはいないだろう。
マンションの入り口に一人の男が立っていた。
中性的な雰囲気をまとった細身の長身、短いプラチナブロンド、そして、青い瞳。
白人の外見年齢は分からないが、恐らく歳は俺とそう離れてはいないだろう。
男は俺たちの姿を捉えると、こちらへ近付いてきた。
……誰だ?
俺がいぶかっていると、男は何事か英語で呟いた。
?「I found you out.(見つけた)」
……誰だ?
俺がいぶかっていると、男は何事か英語で呟いた。
?「I found you out.(見つけた)」
男の視線を追うと、それは俺のすぐ隣――天才に向けられていた。
俺「……どうした?」
天才はその目を大きく見開いている。
繋いだ手が小さく震えていた。
天「お……」
俺「……どうした?」
天才はその目を大きく見開いている。
繋いだ手が小さく震えていた。
天「お……」
天「お兄ちゃん!?」
430 名前: 長目 『クロ/クロ』8-2 投稿日: 2006/08/29(火) 02:48:43.06 ID:Ak+UzLdD0
……お兄ちゃん?
……お兄ちゃん?
俺は再びその男へ視線を戻した。
言われてみれば、たしかに外見上の共通点は多い。
俺「あの人、お前の兄貴なのか?」
天才に確認するが、それに答えてはくれなかった。
かわりに、繋いでいた手を離して小さく後退る。
俺「……おい?」
天才の様子がおかしい。
言われてみれば、たしかに外見上の共通点は多い。
俺「あの人、お前の兄貴なのか?」
天才に確認するが、それに答えてはくれなかった。
かわりに、繋いでいた手を離して小さく後退る。
俺「……おい?」
天才の様子がおかしい。
?「Why do you wear such stupid clothing? You look like a girl.(なんて格好をしてるんだ、女みたいな服を着て)」
男は天才に向かって、英語の言葉を投げかける。
だが、英語が得意じゃない俺には、ネイティブの早い喋りなんか聞き取れるはずもない。
天才に問う。
俺「なんて言ったんだ?」
だが、また天才は答えない。
――まるで、この兄と呼ばれた男しか見えていないようだ。
男は天才に向かって、英語の言葉を投げかける。
だが、英語が得意じゃない俺には、ネイティブの早い喋りなんか聞き取れるはずもない。
天才に問う。
俺「なんて言ったんだ?」
だが、また天才は答えない。
――まるで、この兄と呼ばれた男しか見えていないようだ。
葛「先生~? こちらの方はどなたですか?」
葛がそっと天才の肩を叩いて聞いた。
天才はそれにもビクリと過剰な反応をしてみせ――ようやっと我に返ったようだった。
天「あ……うん」
天「この人は……私のお兄ちゃん、なの」
葛がそっと天才の肩を叩いて聞いた。
天才はそれにもビクリと過剰な反応をしてみせ――ようやっと我に返ったようだった。
天「あ……うん」
天「この人は……私のお兄ちゃん、なの」
431 名前: 長目 『クロ/クロ』8-3 投稿日: 2006/08/29(火) 02:51:40.20 ID:Ak+UzLdD0
かつっ、と靴音を鳴らして、兄とやらは天才の前に立った。
葛「Nice to meet you.(初めまして)」
横合いから葛が握手を求めて手を差し出す。
だが兄はその手を一瞥しただけで握り替えしてはこなかった。
……?
葛を無視してそのまま天才に向き直る。
なんだ、失礼な奴だな。
かつっ、と靴音を鳴らして、兄とやらは天才の前に立った。
葛「Nice to meet you.(初めまして)」
横合いから葛が握手を求めて手を差し出す。
だが兄はその手を一瞥しただけで握り替えしてはこなかった。
……?
葛を無視してそのまま天才に向き直る。
なんだ、失礼な奴だな。
天「Why are you here....?(なんでここに……?)」
兄は天才を見下ろしたまま告げた。
?=兄「C'mon, go back to home.(さあ、帰るぞ)」
天「....What?(……え?)」
兄「So, I must needs do watch over you.(やはり、お前は僕が見てないと駄目だ)」
天「No....(や……)」
兄「C'mon(さぁ)」
兄が手を天才へ差し出す。
その手が、天才の腕に触れようとしたその瞬間、
兄は天才を見下ろしたまま告げた。
?=兄「C'mon, go back to home.(さあ、帰るぞ)」
天「....What?(……え?)」
兄「So, I must needs do watch over you.(やはり、お前は僕が見てないと駄目だ)」
天「No....(や……)」
兄「C'mon(さぁ)」
兄が手を天才へ差し出す。
その手が、天才の腕に触れようとしたその瞬間、
天「NO WAY!(いや!)」
天才の喉から叫びが放たれた。
その声に俺は驚きを隠せなかった。
本当に久しい――実に数ヶ月ぶりに聞いた、甲高い声。
俺が男だった頃に聞いた、相手を強烈に拒絶する声だった。
本当に久しい――実に数ヶ月ぶりに聞いた、甲高い声。
俺が男だった頃に聞いた、相手を強烈に拒絶する声だった。
432 名前: 長目 『クロ/クロ』8-4 投稿日: 2006/08/29(火) 02:56:53.95 ID:Ak+UzLdD0
俺「……おい?」
天「……あ」
俺の声に、天才は幾度目かの自失から立ち返った。
天「....Sorry, Brother.(……ごめんなさい、お兄ちゃん)」
兄「....」
俺「とにかく部屋に入ろう。ここで話すのも難だろ」
天「うん……」
俺は入り口で暗証番号を打ち込みマンションのドアを開けた。
俺「……おい?」
天「……あ」
俺の声に、天才は幾度目かの自失から立ち返った。
天「....Sorry, Brother.(……ごめんなさい、お兄ちゃん)」
兄「....」
俺「とにかく部屋に入ろう。ここで話すのも難だろ」
天「うん……」
俺は入り口で暗証番号を打ち込みマンションのドアを開けた。
先に天才と兄をエレベーターホールへ進ませると、
俺は歩調を遅くして葛と並び、そっと耳打ちをした。
俺「あの兄貴だがな、目を離さないでくれ」
葛「はい?」
俺「アイツのウチは、色々事情がこみ入ってるらしいんだよ」
真剣な面持ちで言う俺に、葛は何かを察してくれたらしい
同じく真面目な顔で頼みを引き受けてくれた。
葛「分かりました~」
俺は歩調を遅くして葛と並び、そっと耳打ちをした。
俺「あの兄貴だがな、目を離さないでくれ」
葛「はい?」
俺「アイツのウチは、色々事情がこみ入ってるらしいんだよ」
真剣な面持ちで言う俺に、葛は何かを察してくれたらしい
同じく真面目な顔で頼みを引き受けてくれた。
葛「分かりました~」
俺は横目に兄を見る。
どうも、あの兄って奴は胡散臭い。
天才の態度もそうだが、加えてひどく気になることがあるのだ。
葛が差し出した手を見た時の兄の目。
あれは礼を知らないからとか偉ぶっているからとかそういったものではなく――
どうも、あの兄って奴は胡散臭い。
天才の態度もそうだが、加えてひどく気になることがあるのだ。
葛が差し出した手を見た時の兄の目。
あれは礼を知らないからとか偉ぶっているからとかそういったものではなく――
まるで、汚い物を見るかのような――
434 名前: 長目 『クロ/クロ』8-5 投稿日: 2006/08/29(火) 03:00:07.60 ID:Ak+UzLdD0
俺たち4人が天才の部屋に入ってから、重たい沈黙が空間を支配していた。
たまにそれを破るように、ぽつ、ぽつ、と英語で何かを話している天才と兄。
俺はこっそりと葛に聞く。
俺「なんて言ってるか、分かるか?」
葛「ええ~、聞き取れた範囲でですけど」
葛に曰く、この男は、今年の頭に突然行方をくらませた天才の所在を捜し当て、
ここまで迎えにやってきたらしい。
俺たち4人が天才の部屋に入ってから、重たい沈黙が空間を支配していた。
たまにそれを破るように、ぽつ、ぽつ、と英語で何かを話している天才と兄。
俺はこっそりと葛に聞く。
俺「なんて言ってるか、分かるか?」
葛「ええ~、聞き取れた範囲でですけど」
葛に曰く、この男は、今年の頭に突然行方をくらませた天才の所在を捜し当て、
ここまで迎えにやってきたらしい。
…………。
重い空気を破るように、俺は極力明るく天才に話しかけた。
俺「なぁ、コーヒーいれようと思うんだけど、豆どこだっけ?」
天「え?」
俺「ちょっと来て教えてくれよ」
と、俺は半ば強引に天才をキッチンまで引っ張っていった。
重い空気を破るように、俺は極力明るく天才に話しかけた。
俺「なぁ、コーヒーいれようと思うんだけど、豆どこだっけ?」
天「え?」
俺「ちょっと来て教えてくれよ」
と、俺は半ば強引に天才をキッチンまで引っ張っていった。
リビングに葛と兄を残して、後ろ手に扉を閉める。
俺「なぁ……」
天「…………」
俺「色々聞きたいことはあるけど、それは後で聞く。今は一個だけ聞かせてくれ」
俺「――お前は、帰りたいのか?」
天才は即座に首を横に振った。
天「……いやだよ」
天「帰りたくない」
俺「そうか」
じゃぁ、俺のすることは簡単だ。
天才が連れ帰られないように力を貸してやる。
俺はできるだけ優しい笑顔を作って、天才の頭をなでてやった。
俺「なぁ……」
天「…………」
俺「色々聞きたいことはあるけど、それは後で聞く。今は一個だけ聞かせてくれ」
俺「――お前は、帰りたいのか?」
天才は即座に首を横に振った。
天「……いやだよ」
天「帰りたくない」
俺「そうか」
じゃぁ、俺のすることは簡単だ。
天才が連れ帰られないように力を貸してやる。
俺はできるだけ優しい笑顔を作って、天才の頭をなでてやった。
435 名前: 長目 『クロ/クロ』8-6 投稿日: 2006/08/29(火) 03:01:58.75 ID:Ak+UzLdD0
俺「コーヒー、どうぞ」
俺はカップを兄の前に置いたが、兄はそれにも手をつけない。
……サンキューくらい言えよ……。
俺「コーヒー、どうぞ」
俺はカップを兄の前に置いたが、兄はそれにも手をつけない。
……サンキューくらい言えよ……。
この兄の行動が最終的な問題なのだが、
差し当たっての問題は葛だ。
コイツは結構英語が聞き取れるらしい。
――もし兄貴が天才の性別の話に触れたりすると、一発で秘密がバレちまう。
とはいえ、葛だけ追い出す訳にもいかないしなぁ。
差し当たっての問題は葛だ。
コイツは結構英語が聞き取れるらしい。
――もし兄貴が天才の性別の話に触れたりすると、一発で秘密がバレちまう。
とはいえ、葛だけ追い出す訳にもいかないしなぁ。
それぞれがそれぞれの思惑を抱いて沈黙を守っていると、
たまりかねたように、兄が何かを早口でまくしたてた。
天才はそれに困った顔をすると、こちらへと振り返った。
天「あの……ごめんね。お兄ちゃんが、私と二人で話したいって……」
俺「……お前は、いいのか?」
天「……うん……」
とてもいいようには見えなかったが、天才にそう言われては仕方がない。
俺「何かあったらすぐ呼べよ?」
と、我ながら剣呑だと思う言葉を残し、俺たちは部屋を出た。
たまりかねたように、兄が何かを早口でまくしたてた。
天才はそれに困った顔をすると、こちらへと振り返った。
天「あの……ごめんね。お兄ちゃんが、私と二人で話したいって……」
俺「……お前は、いいのか?」
天「……うん……」
とてもいいようには見えなかったが、天才にそう言われては仕方がない。
俺「何かあったらすぐ呼べよ?」
と、我ながら剣呑だと思う言葉を残し、俺たちは部屋を出た。
外に出ると――冬は日が短い――すでに辺りは薄暗くなっていた。
438 名前: 長目 『クロ/クロ』8-7 投稿日: 2006/08/29(火) 03:04:51.09 ID:Ak+UzLdD0
葛「……どうしましょうか~」
俺「じゃぁ、これで解散……って訳にもいかないよな」
俺「これから俺たちがどうしたらいいのか話したいんだが……」
正直、何をどうしたらいいのかまったく分からない。
こんな事態になってみて、ようやっと気付いた。
葛「……どうしましょうか~」
俺「じゃぁ、これで解散……って訳にもいかないよな」
俺「これから俺たちがどうしたらいいのか話したいんだが……」
正直、何をどうしたらいいのかまったく分からない。
こんな事態になってみて、ようやっと気付いた。
――俺は、天才のことを何も知らない。
ちょっと秘密を共有しただけで、アイツのことを分かった気になって……。
でも何も知らない。何もできない。
俺は……
無力感に拳を握りしめる。
でも何も知らない。何もできない。
俺は……
無力感に拳を握りしめる。
葛「あの、ここに立っていても仕方ないですし、部屋に入りましょう~」
言って、葛は自室の鍵を開けた。
俺「お、おぅ……」
葛に続いて、部屋へと足を踏み入れる。
コイツの部屋に入るのは、引っ越しそばを渡した時以来だな。
あの時は部屋に段ボールが積みっぱなしだったが。
そういえば、俺のは業者が勝手に荷物を解いってたのに、あいつのは違ったな。
言って、葛は自室の鍵を開けた。
俺「お、おぅ……」
葛に続いて、部屋へと足を踏み入れる。
コイツの部屋に入るのは、引っ越しそばを渡した時以来だな。
あの時は部屋に段ボールが積みっぱなしだったが。
そういえば、俺のは業者が勝手に荷物を解いってたのに、あいつのは違ったな。
440 名前: 長目 『クロ/クロ』8-8 投稿日: 2006/08/29(火) 03:06:31.64 ID:Ak+UzLdD0
俺「うおあ」
部屋に通されるなり、俺は思わず声を上げた。
まず目を引いたのは壁際の大きなガラスケース。
中には大小様々なアニメのフィギュアが置かれている。
隣の本棚には、何やら薄っぺらい冊子がびっしりと詰まっていた。
机の上にはペンやら紙やら羽箒やら。
部屋の隅には嫌にデカい工具箱もあった。
……なるほど、これが葛の趣味か。
そりゃ引っ越し業者には任せたくないわな。
葛……相変わらず、底の知れない女だ……。
俺「うおあ」
部屋に通されるなり、俺は思わず声を上げた。
まず目を引いたのは壁際の大きなガラスケース。
中には大小様々なアニメのフィギュアが置かれている。
隣の本棚には、何やら薄っぺらい冊子がびっしりと詰まっていた。
机の上にはペンやら紙やら羽箒やら。
部屋の隅には嫌にデカい工具箱もあった。
……なるほど、これが葛の趣味か。
そりゃ引っ越し業者には任せたくないわな。
葛……相変わらず、底の知れない女だ……。
しかし、これは……
俺はちらりとフィギュアの棚を見た。
スカートがまくれて思いっ切りパンツが見えてるフィギュアと目があった。こっちみんな。
俺「…………」
これは……居心地が悪い……。
葛「え~っと、ベランダに行きますか?」
俺「あー……そうしてくれると助かる」
ベランダに誘導される辺り……寝室はもっと偉いことになっている予感がした。
俺はちらりとフィギュアの棚を見た。
スカートがまくれて思いっ切りパンツが見えてるフィギュアと目があった。こっちみんな。
俺「…………」
これは……居心地が悪い……。
葛「え~っと、ベランダに行きますか?」
俺「あー……そうしてくれると助かる」
ベランダに誘導される辺り……寝室はもっと偉いことになっている予感がした。
441 名前: 長目 『クロ/クロ』8-9 投稿日: 2006/08/29(火) 03:08:40.30 ID:Ak+UzLdD0
冬、夜のベランダで話をする。
こう、友情トーク、って感じがするな。
野郎同士でタバコでも吸ってれば雰囲気はもっと出るんだろうが、
生憎と二人とも(身体は)女で、タバコも吸わない。
その上、俺は最近冷え性になったらしく、こういう場所にいると手足が麻痺しそうなほど寒い。
冬、夜のベランダで話をする。
こう、友情トーク、って感じがするな。
野郎同士でタバコでも吸ってれば雰囲気はもっと出るんだろうが、
生憎と二人とも(身体は)女で、タバコも吸わない。
その上、俺は最近冷え性になったらしく、こういう場所にいると手足が麻痺しそうなほど寒い。
手をこすり合わせて息を吐きかけていると、葛が口を開いた。
葛「あの~、ユウキちゃんに聞いておきたいんですけど~」
俺「……なんだ?」
葛「なんとなく、こうなんじゃないかな~って思ってたことがあるんですよ」
葛「先生~……男の子、ですよね?」
俺「!」
いきなり核心を突かれ、俺は少なからず戸惑った。
俺「……それは、さっきアイツの兄貴が言ったのか?」
葛「ええ~」
俺「そうか……。あぁ、それ、本当だよ」
葛「あ、やっぱり知ってたんですね~? 仲間はずれなんて、ひどいですよ~」
間延びした口調とは裏腹に、葛は本当にショックを受けている風だった。
俺「……悪い」
俺「俺もたまたま知ったんだ……でもアイツ、誰にも知られたくなかったみたいだから……」
葛「もう、いいですよ~」
そう言っていつもの調子に戻った葛は、いじわるそうに口元をほころばせた。
葛「それより~、ユウキちゃん、もう少し英語を勉強した方が良いですよ~?」
俺「うるせぇ、秀才め」
葛「あの~、ユウキちゃんに聞いておきたいんですけど~」
俺「……なんだ?」
葛「なんとなく、こうなんじゃないかな~って思ってたことがあるんですよ」
葛「先生~……男の子、ですよね?」
俺「!」
いきなり核心を突かれ、俺は少なからず戸惑った。
俺「……それは、さっきアイツの兄貴が言ったのか?」
葛「ええ~」
俺「そうか……。あぁ、それ、本当だよ」
葛「あ、やっぱり知ってたんですね~? 仲間はずれなんて、ひどいですよ~」
間延びした口調とは裏腹に、葛は本当にショックを受けている風だった。
俺「……悪い」
俺「俺もたまたま知ったんだ……でもアイツ、誰にも知られたくなかったみたいだから……」
葛「もう、いいですよ~」
そう言っていつもの調子に戻った葛は、いじわるそうに口元をほころばせた。
葛「それより~、ユウキちゃん、もう少し英語を勉強した方が良いですよ~?」
俺「うるせぇ、秀才め」
442 名前: 長目 『クロ/クロ』8-10 投稿日: 2006/08/29(火) 03:12:05.98 ID:Ak+UzLdD0
俺たちは、少ない情報量を自覚しながらも、これからどうするかを話し合った。
結局のところ、天才がここにいることを望んでいること、
それを叶えるために全力で協力をすること、
その程度のことしか話し合えなかったが。
俺たちは、少ない情報量を自覚しながらも、これからどうするかを話し合った。
結局のところ、天才がここにいることを望んでいること、
それを叶えるために全力で協力をすること、
その程度のことしか話し合えなかったが。
たったそれだけのことを話しただけなのに、いつの間にか日は完全に沈んでいた。
ふと、外を見渡す。
すると街灯が道なりに点灯していくところだった。
ベランダを仕切るパーテーション越しに、天才の部屋から光が漏れているのが見えた。
ふと、外を見渡す。
すると街灯が道なりに点灯していくところだった。
ベランダを仕切るパーテーション越しに、天才の部屋から光が漏れているのが見えた。
その時だった。
――不意に、天才の寝室の明かりが、消えた。
俺「――っ!」
背筋が粟立つ。
ベランダから身を乗り出すと、たしかに天才の部屋の電気が消えている。
なんで!? あいつ、電気は……!?
葛「どうしました?」
ただならぬ気配を葛も感じ取ったようだった。
俺たちは顔を見合わせると、弾かれたように天才の部屋へと走り出した。
背筋が粟立つ。
ベランダから身を乗り出すと、たしかに天才の部屋の電気が消えている。
なんで!? あいつ、電気は……!?
葛「どうしました?」
ただならぬ気配を葛も感じ取ったようだった。
俺たちは顔を見合わせると、弾かれたように天才の部屋へと走り出した。