ひょんなことから女の子
第七部「それは、二つで一つ」
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hyon
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第七部『それは、二つで一つ』
弟ツバサは美少女になって留学から帰ってきた。俺も両親もその事実を受け入れる。
両親を説得し疲れきった俺が風呂に入っている時に、ツバサが突如乱入、俺は興奮しすぎて
風呂場で倒れてしまった。ツバサの看病により、俺は大事には至らなかった。そして次の日
予定通りツバサの歓迎会が開かれる事になり、ツバサと二人でおつかいに出るのだったが、
軽い事件に遭遇。予定より大幅に遅れ、買い物に出発した二人であった・・・
両親を説得し疲れきった俺が風呂に入っている時に、ツバサが突如乱入、俺は興奮しすぎて
風呂場で倒れてしまった。ツバサの看病により、俺は大事には至らなかった。そして次の日
予定通りツバサの歓迎会が開かれる事になり、ツバサと二人でおつかいに出るのだったが、
軽い事件に遭遇。予定より大幅に遅れ、買い物に出発した二人であった・・・
ツバサ「楽しかったねー!」
俺「楽しかねーよ!こっちはヒヤヒヤだったよ!」
俺「楽しかねーよ!こっちはヒヤヒヤだったよ!」
買い物ってこんなに疲れるものなのか。
いや、違う。
そもそもの原因はこいつ、ツバサにある。
いや、違う。
そもそもの原因はこいつ、ツバサにある。
~買い物中~
友1「お、たかしじゃん」
友2「よぉー!たかしー!」
俺「なんだお前らか。っておい!お前、髪染めた?」
友1「ふふん。結構似合ってるっしょ」
友2「てか、一緒にいる、この子は?」
友2「よぉー!たかしー!」
俺「なんだお前らか。っておい!お前、髪染めた?」
友1「ふふん。結構似合ってるっしょ」
友2「てか、一緒にいる、この子は?」
俺「ああ、こいつね。こいつは」
俺「こいつは…」
ツバサ「…ジー」
俺「こいつは…」
ツバサ「…ジー」
俺「うっ!?」
俺(ま、まずい。弟なんて、弟なんて言えない!)
ツバサ「たかしの彼女でーす」
俺「ぶっ!!!!」
友1・友2「「おおーーっ」」
俺「ぶっ!!!!」
友1・友2「「おおーーっ」」
俺「おい、お前っ!!ちょっ…」
ツバサ「何か?」
ツバサ「何か?」
友1「ついに…ついにお前にも彼女が…ウッウッ」
友1「父さん嬉しいよ…ウッウッ」
俺「うっせえ!」
友1「父さん嬉しいよ…ウッウッ」
俺「うっせえ!」
俺「ん?」
友2「ジィーッ」
ツバサ「な。なんでしょう?」
友2「君…凄くかわいいね…///」
ツバサ「えっ?」
俺「ば、馬鹿野郎っ、何言ってんだ」
友2「可愛い…///」
友1「君の名前は何て言うの?」
友2「ジィーッ」
ツバサ「な。なんでしょう?」
友2「君…凄くかわいいね…///」
ツバサ「えっ?」
俺「ば、馬鹿野郎っ、何言ってんだ」
友2「可愛い…///」
友1「君の名前は何て言うの?」
俺(これ以上構っていると、なんだか面倒な事になりそうだ)
俺「じゃ、じゃあこの辺で俺ら、買い物があるからさっ」
俺「じゃ、じゃあこの辺で俺ら、買い物があるからさっ」
友2「えー、もう行っちゃうのー!」
友1「デートか、デートなのか!!」
友1「デートか、デートなのか!!」
俺「ま、まぁデートみたいな、そんなトコだ、だから、じゃあなー!!!」
俺「ほら、いくぞツバサ、急げっ」
ツバサ「う、うん」
俺「ほら、いくぞツバサ、急げっ」
ツバサ「う、うん」
ダッダッダッダ
友1「あーあ、走って行っちゃった…」
友2「あの子…めちゃめちゃ可愛いかったな…///」
友1「な…」
友2「ね…」
友2「くやしいー!ピクピク」
友1「あーあ、走って行っちゃった…」
友2「あの子…めちゃめちゃ可愛いかったな…///」
友1「な…」
友2「ね…」
友2「くやしいー!ピクピク」
俺「…とまぁ、お前の"彼女"発言で大変な買い物だったぞ!」
ツバサ「エヘヘ…」
ツバサ「デートって言ってくれて、ちょっと嬉しかったかも…なーんて」
俺「何言ってんだよ…ったく…帰るぞ!」
ツバサ「エヘヘ…」
ツバサ「デートって言ってくれて、ちょっと嬉しかったかも…なーんて」
俺「何言ってんだよ…ったく…帰るぞ!」
買い物を終えた俺達。
その頃にはもう、空は夕焼けになっていた。
その頃にはもう、空は夕焼けになっていた。
帰り道。
ツバサ「あーっ!ここ、二人でキャッチボールしてた所だよね」
俺「ああ。そうだ」
俺「ああ。そうだ」
川を挟んでいる土手を降りた所で、いつもキャッチボールをしていた。
軽い傾斜で小さな土手の為、子供でも駆け足で降りてゆけるほどの小さな土手だ。
軽い傾斜で小さな土手の為、子供でも駆け足で降りてゆけるほどの小さな土手だ。
ツバサ「懐かしいーなー」
タッタッタと緩い土手を駆けて、川の傍に寄る。
俺もそれに続いて、ゆっくりとツバサの方へ歩を進ませる。
買い物袋を安全な場所にポンと置き、二人で静かに川を眺めた。
俺もそれに続いて、ゆっくりとツバサの方へ歩を進ませる。
買い物袋を安全な場所にポンと置き、二人で静かに川を眺めた。
ツバサ「…ここは変わらないねー」
俺「…ああ」
俺「…ああ」
夕焼けで川はオレンジ色に染まり、見事な演出を施す。
ここは俺達が好んで遊びに来た場所だ。
ここは俺達が好んで遊びに来た場所だ。
ふと時間を忘れ、互いに風景に見入っていた。
俺「…さて、そろそろ帰るか…」
俺がツバサの方へ目を向けると、悲哀の目で川を眺めるツバサがいた。
俺「ツバサ…?」
ツバサ「…」
俺「なあ」
ツバサ「あっ!ごめんごめん…」
ツバサ「…」
俺「なあ」
ツバサ「あっ!ごめんごめん…」
またいつもの笑顔が返ってくると思ったが、少々渋い笑顔が返ってきた。
俺「…さぁ、帰ろうか」
ツバサ「…うん…」
ツバサ「…うん…」
何か秘めた目をしつつ、ツバサが土手を上がろうとしたその時。
「キャッ!」
ヒールがつっかっかったのか、ツバサはその場でスッ転びそうになる。
だが、その刹那、俺が「危ない!」とサッと両手を差し伸べ、
ちょうどお姫様だっこするような形でツバサを抱きかかえた。
だが、その刹那、俺が「危ない!」とサッと両手を差し伸べ、
ちょうどお姫様だっこするような形でツバサを抱きかかえた。
ツバサ「…!…ごめん…」
今、怪我しそうになった事よりも思いつめる何かがあるのか。
ツバサは沈んだ顔をしてその場に崩れた。
ツバサは沈んだ顔をしてその場に崩れた。
俺「…なあ、ここに来てからお前、何か変だぞ」
俺「どうした?」
ツバサ「昔の記憶…思い出しちゃってさ…」
ツバサ「それだけじゃない…」
ツバサ「私は……」
ツバサ「それだけじゃない…」
ツバサ「私は……」
今にも消えゆきそうな顔をして、ぐったりしている。
俺「おい…ツバサ…」
ツバサ「あはは…急にごめんね…」
俺「謝る事はないけどさ…」
ツバサ「あはは…急にごめんね…」
俺「謝る事はないけどさ…」
俺は崩れているツバサをその場にキチンと座らせ、俺もその隣に
少し間を空けて腰を下ろした。
少し間を空けて腰を下ろした。
俺「どうした。ツバサ」
ツバサ「…」
ツバサ「…ねぇ、覚えてる?お父さんとお母さんが離婚しそうになった時の事」
そうか。
あの時の事を思い出しているのか。
あの時の事を思い出しているのか。
俺「…ああ。覚えてるよ。忘れもしないさ」
ツバサ「あれは八年前の事だった…
~8年前~
・・・毎日響く罵声と号泣。
家族は、離婚の危機に直面していた。
家族は、離婚の危機に直面していた。
言いたくも無い罵声が飛び交い、
傷つけたくない家族を傷つける。
傷つけたくない家族を傷つける。
家族として成り立っていたはずの私達は
いつの間にか世間の厳しい波に飲まれ、食いつぶされようとしていた。
いつの間にか世間の厳しい波に飲まれ、食いつぶされようとしていた。
私達家族は、"崩れかけたコマ"だった。
遠心力と惰性で何とか懸命に回転を維持しようとするが、
回転の弱まったコマは摂理に乗っ取り地にころげ落ちようとする。
遠心力と惰性で何とか懸命に回転を維持しようとするが、
回転の弱まったコマは摂理に乗っ取り地にころげ落ちようとする。
ツバサ(なんで?なんであんなに仲が良かったママとパパがケンカするの?)
母「たかしとツバサには、これからの将来があるのよ!」
父「俺が何とかするって言ってるだろ!」
母「ふざけないで!もうこれ以上・・・」
母「これ以上、子供達の未来を壊したくないの!!」
父「じゃあ俺は、どうしたらいいんだよ!!離婚か、離婚すればいいのかっ!!」
父「俺が何とかするって言ってるだろ!」
母「ふざけないで!もうこれ以上・・・」
母「これ以上、子供達の未来を壊したくないの!!」
父「じゃあ俺は、どうしたらいいんだよ!!離婚か、離婚すればいいのかっ!!」
ツバサ「ケンカはもう止めて!!ママ、パパァ!!うええええぇぇぇん!!!!」
そんな時、お兄ちゃん、励ましてくれたよね。
ツバサ「うえええええぇぇぇぇぇぇん!!!」
俺「おい・・・」
ツバサ「うぇぇぇええええぇぇ!!」
俺「おいってば・・・」
ツバサ「うええぇぇ
俺「ツバサ!!!!」
俺「おい・・・」
ツバサ「うぇぇぇええええぇぇ!!」
俺「おいってば・・・」
ツバサ「うええぇぇ
俺「ツバサ!!!!」
ツバサ「ヒック…ヒック…」
頭を、優しく撫でてくれた。
俺「…」ナデナデ
ツバサ「!……」
俺「泣くなツバサ」
ツバサ「…ヒック」
俺「いつか天気は晴れるんだ」
ツバサ「…え?」
俺「どんなに雨降ってても、お天道様は、いつか晴れるんだ」
俺「パパやママも、きっといつか、仲直りするんだ!」
ツバサ「!……」
俺「泣くなツバサ」
ツバサ「…ヒック」
俺「いつか天気は晴れるんだ」
ツバサ「…え?」
俺「どんなに雨降ってても、お天道様は、いつか晴れるんだ」
俺「パパやママも、きっといつか、仲直りするんだ!」
俺「だから泣くな!ツバサ!…えぐっ…」
俺「ヒッグ…ど、どんな事が…エグッ…あっても…」
俺「お前だけは、
お前だけはお兄ちゃんが守ってやるから!!」
ツバサ「お兄ちゃん、ウワアアアアアアアン!!」
俺「な、エグッ、泣ぐなっていっただろぉ!!ウワアアアアアアアアン!!」
俺「ヒッグ…ど、どんな事が…エグッ…あっても…」
俺「お前だけは、
お前だけはお兄ちゃんが守ってやるから!!」
ツバサ「お兄ちゃん、ウワアアアアアアアン!!」
俺「な、エグッ、泣ぐなっていっただろぉ!!ウワアアアアアアアアン!!」
あの時、どんなにお兄ちゃんの言葉で私が励まされたか。
どんなにお兄ちゃんの言葉で私の心が温まったか。
どんなにお兄ちゃんの言葉で私の心が温まったか。
あの日以来、お兄ちゃんは私をいつも第一に考えるようになったよね。
その一年たった後だったか
私が車に轢かれそうになった時があったよね。
サイドミラーがかすって、私に古傷できちゃったけど
あの時お兄ちゃんが飛び込んで助けてくれたおかげで
今まで健康で、元気に生きて来れたんだよ。
私が車に轢かれそうになった時があったよね。
サイドミラーがかすって、私に古傷できちゃったけど
あの時お兄ちゃんが飛び込んで助けてくれたおかげで
今まで健康で、元気に生きて来れたんだよ。
俺「ツバサ……」
過去の忘れられない記憶が走馬灯のように頭を駆け巡る。
そうだった。
俺は必死だった。
両親が離婚しそうになった時、
俺は凄く不安だった。
小学校高学年といったらもう、両親の内情もある程度理解できる歳だ。
だから、なおさらツラかった。
俺は凄く不安だった。
小学校高学年といったらもう、両親の内情もある程度理解できる歳だ。
だから、なおさらツラかった。
だけど何よりも、
低学年の弟のことが気になって気になって、しょうがなかった。
低学年の弟のことが気になって気になって、しょうがなかった。
あまりに不憫だ。
俺は兄として、家族の一員として
がむしゃらに弟を愛した。
がむしゃらに弟を愛した。
皮肉にも、あの離婚騒動のおかげで
俺達は結束を深める結果となったんだ。
俺達は結束を深める結果となったんだ。
封を切ったように、ツバサが話し出す。
ツバサ「……私、お兄ちゃんに謝らなくちゃ…」
ツバサの目が、涙目になっていた。
ツバサ「お兄ちゃん、事故のせいで、肩を壊したんだよね…」
俺「!」
ツバサ「私が車に轢かれそうになった時、お兄ちゃんはダイブした」
ツバサ「お兄ちゃんがうまくクッション代わりになって、私は軽症で済んだ」
ツバサ「だけどお兄ちゃんの肩は、そのせいで壊れてしまった」
ツバサ「お兄ちゃんがうまくクッション代わりになって、私は軽症で済んだ」
ツバサ「だけどお兄ちゃんの肩は、そのせいで壊れてしまった」
俺「確かにあの時、肩を壊したよ?」
俺「だけど、その後に治療して数ヵ月後、また野球できるようになったじゃないか」
俺「だけど、その後に治療して数ヵ月後、また野球できるようになったじゃないか」
ツバサ「…私、知ってるよ。
―――お兄ちゃんの肩は、もう決して、完治はしないんだって」
―――お兄ちゃんの肩は、もう決して、完治はしないんだって」
俺「!…それは…」
ツバサ「たまにヒュッといなくなった時、病院行ってたんでしょ?」
ツバサ「で、何食わぬ顔をして戻ってきた」
ツバサ「で、何食わぬ顔をして戻ってきた」
ツバサ「私に負い目を感じさせない為に、わざと言わなかったんでしょ?」
俺「…」
ツバサ「留学中にお母さんから聞いたよ」
ツバサ「このまま野球を続けてたら、完全に肩を壊すハメになりかねないんでしょ?」
ツバサ「それでも、好きな野球を止められないんでしょ…?」
ツバサ「このまま野球を続けてたら、完全に肩を壊すハメになりかねないんでしょ?」
ツバサ「それでも、好きな野球を止められないんでしょ…?」
ツバサ「私のせいで…甲子園も…」
ツバサ「小さい頃から夢見てた、プロの道も…」
ツバサ「私の事故のせいで、肩を悪くして…全てが無に消えてしまった」
ツバサ「小さい頃から夢見てた、プロの道も…」
ツバサ「私の事故のせいで、肩を悪くして…全てが無に消えてしまった」
俺「…もう言うな」
ツバサ「…」
俺「肩がもうイカレてる事、ずっと黙っててすまなかった…」
俺「でも、ツバサが負い目に感じることはない」
俺「あれは事故だった。どうしようもなかった」
俺「でも、ツバサが負い目に感じることはない」
俺「あれは事故だった。どうしようもなかった」
ツバサ「…違うよ。私の不注意で、お兄ちゃんの夢を踏みにじったんだ…」
俺「違う」
ツバサ「私が、お兄ちゃんの夢を踏みにじった」
俺「…違う」
ツバサ「この私が!お兄ちゃんの夢を!」
ツバサ「奪い取ったんだ!」
俺「違う」
ツバサ「私が、お兄ちゃんの夢を踏みにじった」
俺「…違う」
ツバサ「この私が!お兄ちゃんの夢を!」
ツバサ「奪い取ったんだ!」
俺「ツバサっ!!もういいっ!!」
ツバサ「………………ヒグッ…えぐっ」
ツバサ「私…お兄ちゃんに酷い事したのに…気づかなくて……」
ツバサ「アメリカから日本に帰ったら、お兄ちゃんに真っ先に謝ろうと思ってたのに…」
ツバサ「でも…言えなかった…」
ツバサ「お兄ちゃんの顔を玄関で見た瞬間…言えなかった…」
ツバサ「アメリカから日本に帰ったら、お兄ちゃんに真っ先に謝ろうと思ってたのに…」
ツバサ「でも…言えなかった…」
ツバサ「お兄ちゃんの顔を玄関で見た瞬間…言えなかった…」
俺「もういいんだ」
ツバサ「…」
俺「もういいんだよ」
俺「そんなに考えてくれていたなんて、むしろ感謝してる」
俺「そんなに考えてくれていたなんて、むしろ感謝してる」
ツバサ「…え……?」
俺「お前の想いはもう十分すぎるほど伝わったよ。だからもう、大丈夫」ナデナデ
俺「もうお前が負い目を感じる必要は無いさ」
俺「もうお前が負い目を感じる必要は無いさ」
ツバサ「何で……?」
ツバサ「何でそんなことを言えるの……?」
ツバサ「何でそんなに…優しいの……?」
ツバサ「何でそんなことを言えるの……?」
ツバサ「何でそんなに…優しいの……?」
俺「…」
ツバサ「…」
ツバサ「私……辛かった…」
ツバサ「ずっと辛かった…」
ツバサ「ずっとお兄ちゃんに謝りたくて、ずっと苦しい思いをしてた…」
ツバサ「だけど……」
ツバサ「何でかな…私、お兄ちゃんにまた、救われちゃったよ…」
ツバサ「だけど……」
ツバサ「何でかな…私、お兄ちゃんにまた、救われちゃったよ…」
ツバサ「お兄ちゃん………」
ぎゅっ
俺「…」
ツバサ「お兄ちゃんって、あったかい…」
ツバサ「………」
ツバサ「ねぇ…このまま……何も言わずに…」
ツバサ「キス……して…?」
俺「え…?」
ツバサ「キス…したい…お兄ちゃんと…」
俺「……」
ツバサ「不安を完全に拭い去りたいの…」
ツバサ「お兄ちゃんの優しさで…満たされたいの…」
ツバサ「何も言わずに……今は……今だけは……」
ツバサ「キス……してください……」
俺達は唇を重ねた。
今まで互いを不安にさせた時間を、埋め合わせするように。
きつく抱き合い、そして、守るように。
きつく抱き合い、そして、守るように。
時間はスローに流れていき、止まった時間の中にいるようだった。
ほんの束の間の出来事。
俺達は分かり合った。
不安を共有する事で、互いを信じ、通じ合った。
俺達は分かり合った。
身を重ねる事で、言葉では伝わらない気持ちも何もかもを分かり合えた。
今、心に残るは、安堵の心。
満たされる想いは、身を軽くした。
満たされる想いは、身を軽くした。
夕日が煌々と沈む、夏の夕暮れであった。
ツバサ「…もう日が暮れちゃったね」
俺「…そうだな」
ツバサ「…」
俺「父さん母さんが俺達の帰りを待ってる」
俺「…そうだな」
ツバサ「…」
俺「父さん母さんが俺達の帰りを待ってる」
俺「ダッシュで帰るぞ!ツバサ、ついてこい!」
ツバサ「…うん!」
ツバサ「…うん!」
・
・
・
・
・
母「…で、走って帰ってきたら、買い物袋を土手に忘れてきた…と」
俺・ツバサ「はい…」
俺(やべ…完全に買い物袋、忘れてた…)
ツバサ(やっちゃった…)
ツバサ(やっちゃった…)
母「ふぅ。でもいいわ。歓迎会に必要な物は大体揃ってたから」
母「このまま歓迎会、始めちゃいましょう!」
母「このまま歓迎会、始めちゃいましょう!」
父「まったく、待ちくたびれたぞ」
父「それでは、歓迎会を始めたいと思いますっ」
全員「オーッ!」
全員「オーッ!」
ツバサの歓迎会は深夜まで続いた。
女の子に変わった時の周囲の変化、学校の話、アパートでの生活。
話は絶えず、大いに盛り上がった。
女の子に変わった時の周囲の変化、学校の話、アパートでの生活。
話は絶えず、大いに盛り上がった。
歓迎会も終わりを告げた夜。
ツバサ「ねぇお兄ちゃん、ちょっといい?」クイクイ
俺「ん?なんだ?」
ツバサ「ベランダに来て…」
俺「ん?なんだ?」
ツバサ「ベランダに来て…」
~ベランダ~
俺「夜風は涼しいな…」
ツバサ「うん…」
俺「で、話って、なんだ?」
ツバサ「うん…」
俺「で、話って、なんだ?」
ツバサ「私ね、女の子になった理由、思い出したよ」
俺「そうか!で、何で女の子に?」
俺「そうか!で、何で女の子に?」
ツバサ「私ね、アメリカの環境に全然馴染めないでいたの」
ツバサ「友達は出来なくて、話は通じなくて、毎日がツラかった…」
俺「…」
ツバサ「孤独だった」
俺「…」
ツバサ「孤独だった」
ツバサ「でもね、そんな時、お兄ちゃんの夢を見たんだ」
ツバサ「幼い頃の夢だよ」
ツバサ「病気になった私を、お兄ちゃんは必死になって看病してくれた」
ツバサ「『大丈夫だよ、今に直るよ!』って…」
ツバサ「幼い頃の夢だよ」
ツバサ「病気になった私を、お兄ちゃんは必死になって看病してくれた」
ツバサ「『大丈夫だよ、今に直るよ!』って…」
ツバサ「そこで急に、夢から醒めた」
ツバサ「気づいたら、涙を流して、その場で泣いてた…」
ツバサ「私は、お兄ちゃんに罪悪感を覚えながら、
何処かで『お兄ちゃん』という存在を求めてた」
何処かで『お兄ちゃん』という存在を求めてた」
ツバサ「お兄ちゃんに助けを求めている自分が、そこにはいた」
ツバサ「その時だよ。私の中で、何かが弾けたの」
ツバサ「と同時に、体に何らかの変化を感じた」
ツバサ「そしたら、急に気持ち悪くって、それで、そのままバタッと倒れて…」
ツバサ「と同時に、体に何らかの変化を感じた」
ツバサ「そしたら、急に気持ち悪くって、それで、そのままバタッと倒れて…」
ツバサ「起きたら、『女の子』に変わってた」
ツバサ「その日から、私は性格を明るく、陽気に振舞うようにした」
ツバサ「自分を変えたくなってね」
ツバサ「そうしたら、毎日が楽しくなったんだ」
ツバサ「なんだか口調も、自然と女らしくなっていった」
ツバサ「そして今、この通りだよ」
ツバサ「自分を変えたくなってね」
ツバサ「そうしたら、毎日が楽しくなったんだ」
ツバサ「なんだか口調も、自然と女らしくなっていった」
ツバサ「そして今、この通りだよ」
俺「うーん…つまり、"孤独の中で、兄の優しさを想う心"が、性別を変えた…と」
俺「じゃあ、互いに分かり合った今、元の男の体に戻るんじゃないか?」
ツバサ「そうかも…」
俺「…」
ツバサ「もう、女の体とはオサラバになるかもしれないね」
俺「そっか…ちょっと寂しい気もするが」
ツバサ「このエッチィー!」
俺「ははは」
俺「じゃあ、互いに分かり合った今、元の男の体に戻るんじゃないか?」
ツバサ「そうかも…」
俺「…」
ツバサ「もう、女の体とはオサラバになるかもしれないね」
俺「そっか…ちょっと寂しい気もするが」
ツバサ「このエッチィー!」
俺「ははは」
ツバサ「じゃあ最後に………セックス、してみる?///」
ツバサ「一度…して…みたかったんだ…///」
俺「ぶはっ!やめてくれっ!俺を誘惑するなっ!」
ツバサ「エヘヘー」
俺「その上目遣いは、その上目遣いは反則だ!」
ツバサ「一度…して…みたかったんだ…///」
俺「ぶはっ!やめてくれっ!俺を誘惑するなっ!」
ツバサ「エヘヘー」
俺「その上目遣いは、その上目遣いは反則だ!」
ツバサ「冗談よ冗談。私もう寝るから。それじゃ、オヤスミっ」
俺「あ、ああ。おやすみ」
俺(冗談かよ!)
俺「あ、ああ。おやすみ」
俺(冗談かよ!)
ガラガラガラ バタン
ツバサ「…」
俺「…」
俺「…」
ツバサ(強引に押し倒してくれれば……そしたら…///)
俺(強引に押し倒せば良かった……なんてね…)
俺(強引に押し倒せば良かった……なんてね…)
そして翌日
ドタドタドタドタ
ガチャ
ツバサ「おにーちゃーん!!!たいへんだぁーー!!」
俺「ど、どうした、ツバサ」
俺「ど、どうした、ツバサ」
ツバサ「まだ体が『女の子のまま』だよぉ」
俺「お、良かったー!じゃなくって、残念だったなー!」
ツバサ「ほら、おっぱいはまだ大きいし、コッチだって何も生えて無いよぉ?」
俺「本当だ。胸はあるし、アソコもぷっくり・・・」
俺「お、良かったー!じゃなくって、残念だったなー!」
ツバサ「ほら、おっぱいはまだ大きいし、コッチだって何も生えて無いよぉ?」
俺「本当だ。胸はあるし、アソコもぷっくり・・・」
俺「って、おい!何、裸で解説してんだお前は!」
ツバサ「エヘヘ…///」
ツバサ「エヘヘ…///」
俺「とりあえず、服、きてこーい!」
ツバサ「はーい///」
ツバサ「はーい///」
ツバサ(何で体は、女の子のままなんだろう?)
ツバサ(でも、お兄ちゃんの事、好きになっちゃったから…)
ツバサ(女の子のままでいいや!)
ツバサ(でも、お兄ちゃんの事、好きになっちゃったから…)
ツバサ(女の子のままでいいや!)
『ツバサ』 =完=