ひょんなことから女の子
プロローグ『XY→XX』
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35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:02:35.90 ID:LngAyqCP0
?「あーっ駄目駄目! それじゃ理論通りのデータが取れないでしょ!」
キンキンした声が、背後から俺の耳を刺した。
?「あーっ駄目駄目! それじゃ理論通りのデータが取れないでしょ!」
キンキンした声が、背後から俺の耳を刺した。
ここはある大学の研究室。
研究内容は遺伝子やら細胞やらホルモンやらとにかくその辺が広範囲。
とにかく最先端の研究のために、国内最高の設備が揃った研究施設だ。
大学院に進み、修士課程一年となった俺は、今年からここに配属された。
研究内容は遺伝子やら細胞やらホルモンやらとにかくその辺が広範囲。
とにかく最先端の研究のために、国内最高の設備が揃った研究施設だ。
大学院に進み、修士課程一年となった俺は、今年からここに配属された。
俺は振り向かず、作業を進めながら答えた。
俺「はいはい、じゃあどうしたらいいんだ?」
?「人の話を聞く時は、ちゃんとこっちを向くの!」
?「人の話を聞く時は、ちゃんとこっちを向くの!」
顔を捕まれ、力一杯回される。
首がぐきりと鳴った。
首がぐきりと鳴った。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:04:50.27 ID:LngAyqCP0
俺の(無理矢理向けられた)視線の前には、
およそ遺伝子とか細胞とか、そういった単語とは無縁そうな人間が立っていた。
俺の(無理矢理向けられた)視線の前には、
およそ遺伝子とか細胞とか、そういった単語とは無縁そうな人間が立っていた。
肩で揃えたセミロングのプラチナブロンド――今はそれを後ろでまとめている。
くりっとした釣り目がちのブルーの瞳は、怒りでさらに釣り上がっていた。
俺の顔を掴んでいる手は白くて華奢。いや、むしろ細すぎるくらいだろう。
問題はその背丈。
ちっちゃい。
ちっちゃすぎる。
目算ではちょっと分からないが、130cm……あるか?
くりっとした釣り目がちのブルーの瞳は、怒りでさらに釣り上がっていた。
俺の顔を掴んでいる手は白くて華奢。いや、むしろ細すぎるくらいだろう。
問題はその背丈。
ちっちゃい。
ちっちゃすぎる。
目算ではちょっと分からないが、130cm……あるか?
俺「痛えな、何すんだ!」
椅子に座ったまま、そのデコに垂直チョップを喰らわせてやった。
まあ少なくとも、このくらいにはちっこい。
椅子に座ったまま、そのデコに垂直チョップを喰らわせてやった。
まあ少なくとも、このくらいにはちっこい。
?「ポカポカ叩くな! 男ってすぐ暴力に訴えるよね!」
涙目になって頭を押さえたチビッ子は、
自分のことを棚に上げて、非難げに俺を睨む。
……何度見てもコイツが俺の先生だとは信じがたい。
涙目になって頭を押さえたチビッ子は、
自分のことを棚に上げて、非難げに俺を睨む。
……何度見てもコイツが俺の先生だとは信じがたい。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:06:22.16 ID:LngAyqCP0
当年とって10歳。
昨年ハーバードだかMITだかを卒業した、いわゆる超天才児。
漫画とかには結構いるが、現実ではそうそうお目にかかれないアレだ。
しかしまあ、いるところにはいるらしい。
それがコイツ。
この研究室の主。
当年とって10歳。
昨年ハーバードだかMITだかを卒業した、いわゆる超天才児。
漫画とかには結構いるが、現実ではそうそうお目にかかれないアレだ。
しかしまあ、いるところにはいるらしい。
それがコイツ。
この研究室の主。
?=天「それと敬語使ってよね。私、先生なんだから」
ついでに生意気だ。
ついでに生意気だ。
コイツは昨年、突然この大学にやってくると、
あっという間に、この研究室を開き、スタッフをあちこちから引き抜いた。
あっという間に、この研究室を開き、スタッフをあちこちから引き抜いた。
しかし、奇妙なのはそのスタッフである。
俺を除いて全員女なのだ。
俺を除いて全員女なのだ。
しかし、理学系は男が圧倒的に多い。
俺は恐らく招き入れざるをえなかったイレギュラーなのだろう。
むしろここまで女だらけの研究室なんかよく作れたと思うくらいだ。
これも天才の権力の一端といったところか。
俺は恐らく招き入れざるをえなかったイレギュラーなのだろう。
むしろここまで女だらけの研究室なんかよく作れたと思うくらいだ。
これも天才の権力の一端といったところか。
とにかく、このチビっ子は随分と男嫌いらしい。
で、唯一の男性スタッフである俺は、目の敵にされている訳だ。
研究室でも末席で、重要な仕事は回ってこない。
回ってきたとしても、細かいところにケチをつけてダメ出しばかり。
くそ、思い出したら腹が立ってきた。
なんなんだこの扱いは。
で、唯一の男性スタッフである俺は、目の敵にされている訳だ。
研究室でも末席で、重要な仕事は回ってこない。
回ってきたとしても、細かいところにケチをつけてダメ出しばかり。
くそ、思い出したら腹が立ってきた。
なんなんだこの扱いは。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:08:32.70 ID:LngAyqCP0
天「って、そんな話じゃなかった。ちょっといい?」
ころりと表情を変えた天才は、こっちの胸中など知らぬ風で話題を移す。
天「って、そんな話じゃなかった。ちょっといい?」
ころりと表情を変えた天才は、こっちの胸中など知らぬ風で話題を移す。
天「これから半年、長期の観察実験があるの」
俺「そういえば、前にそんなことを言ってたな」
俺「で、それが俺にどういう関係があるんだ」
天「君何言ってるの? 君もこの研究室の一員でしょ?」
意外な言葉が飛び出した。
てっきり俺のことは庶務兼雑務兼パシリくらいにしか考えてないと思っていたが。
俺「そういえば、前にそんなことを言ってたな」
俺「で、それが俺にどういう関係があるんだ」
天「君何言ってるの? 君もこの研究室の一員でしょ?」
意外な言葉が飛び出した。
てっきり俺のことは庶務兼雑務兼パシリくらいにしか考えてないと思っていたが。
天「そ、こ、で、君を今回の実験のチームに招き入れたいと思うんだけど。どう?」
天「君しかできない仕事があるの」
俺「……俺にしか?」
突然なんだ、この態度の良さは。気持ち悪い。
天「君しかできない仕事があるの」
俺「……俺にしか?」
突然なんだ、この態度の良さは。気持ち悪い。
天「報酬も格別だよ。君、貧乏でしょ?」
俺「張ッ倒すぞこのガキ」
天「全額前払いで500万円」
俺「よし乗っ……いやっ、待て! 胡散臭え!」
俺「張ッ倒すぞこのガキ」
天「全額前払いで500万円」
俺「よし乗っ……いやっ、待て! 胡散臭え!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:11:30.34 ID:LngAyqCP0
――結局俺はその話を引き受けることにした。
――結局俺はその話を引き受けることにした。
報酬は500万円。それ以外に実験期間中の衣食住医療費も全額負担してくれるらしい。
正直、美味しい。
まがりなりにも日本の大学の研究室だ。
さすがにそんなにヤバい実験はしないだろう。
せいぜい投薬やサンプルの採取くらいか。
それでこの報酬だとしたら、むしろ美味しすぎる。
いかな天才とはいえ、まあ所詮はガキ。金は持ってるが、世間様の相場は知らなかったというところか。
正直、美味しい。
まがりなりにも日本の大学の研究室だ。
さすがにそんなにヤバい実験はしないだろう。
せいぜい投薬やサンプルの採取くらいか。
それでこの報酬だとしたら、むしろ美味しすぎる。
いかな天才とはいえ、まあ所詮はガキ。金は持ってるが、世間様の相場は知らなかったというところか。
俺はややこしい文章が羅列された書類に、適当に目を通し
(実際にはあまりのブ厚さに、途中で読むのを諦めたんだが)、
サインと押印をする。
(実際にはあまりのブ厚さに、途中で読むのを諦めたんだが)、
サインと押印をする。
天「うん、ありがと」
提出した書類にあり得ない速度で目を通した天才は、満足げににっこり微笑んだ。
提出した書類にあり得ない速度で目を通した天才は、満足げににっこり微笑んだ。
普段からこれくらい素直なら可愛いもんなのになぁ。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:14:33.91 ID:LngAyqCP0
――天才は、俺の想像なんか遥かに飛び越えたところにいるらしい。
――天才は、俺の想像なんか遥かに飛び越えたところにいるらしい。
翌日、俺は医学部の研究室に呼ばれた。
そこには見たことのない白衣を着た外国人が数人。
それに混じって天才がいた。
彼らは口々に挨拶や言葉を投げかけてくる。中には握手を求めてくる奴もいた。
俺は飛び交う英語やドイツ語をよそに、呆然と立ちつくすしかなかった。
そこには見たことのない白衣を着た外国人が数人。
それに混じって天才がいた。
彼らは口々に挨拶や言葉を投げかけてくる。中には握手を求めてくる奴もいた。
俺は飛び交う英語やドイツ語をよそに、呆然と立ちつくすしかなかった。
その後、俺は手術着を着せられると、色々な部屋を引っ張り回された。
注射による投薬は言わずもがな、何かの線を当てられたり、電極を刺されたり、
しまいには大がかりな見たこともない機械の中に入れられた。
さすがに腹を開かれることはなかったが……。
なんだ、俺は改造人間にでもなるのか? 明日からヒーローか?
注射による投薬は言わずもがな、何かの線を当てられたり、電極を刺されたり、
しまいには大がかりな見たこともない機械の中に入れられた。
さすがに腹を開かれることはなかったが……。
なんだ、俺は改造人間にでもなるのか? 明日からヒーローか?
結局、嵐のような1日はあっという間に過ぎ去り、最後に大学病院の病室に通された。
すでに疲労は限界で、身体は心なしか熱っぽいような気がする。
頭も微熱の時のように重い。
俺は何も考えることができないまま眠りに落ちた。
すでに疲労は限界で、身体は心なしか熱っぽいような気がする。
頭も微熱の時のように重い。
俺は何も考えることができないまま眠りに落ちた。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:16:30.94 ID:LngAyqCP0
激痛に叩き起こされた。
激痛に叩き起こされた。
俺「――!」
絶叫した……つもりだった。
――声すら出せねえほど痛え!
絶叫した……つもりだった。
――声すら出せねえほど痛え!
ただひたすら痛い。
信じられないほど痛い。
皮膚も筋肉も血管も骨も内臓も、全身の細胞という細胞が痛い。
信じられないほど痛い。
皮膚も筋肉も血管も骨も内臓も、全身の細胞という細胞が痛い。
涙をぼろぼろこぼしながら、しかし、痛みで身動きも取れずにいると、
すぐ隣で「わ」と驚いたような声がした。
天「あ、起きた?」
天才の声だった。
天「待ってて。今、人を呼ぶから」
俺が問いかけることすらできずにいると、天才はナースコールを押した。
そこが限界だった。俺の意識は再び闇に落ちた。
すぐ隣で「わ」と驚いたような声がした。
天「あ、起きた?」
天才の声だった。
天「待ってて。今、人を呼ぶから」
俺が問いかけることすらできずにいると、天才はナースコールを押した。
そこが限界だった。俺の意識は再び闇に落ちた。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/13(日) 11:18:33.48 ID:LngAyqCP0
痛みで目を覚ましては気絶してを繰り返すこと数日。
ようやっとある程度痛みも引き、動けるようになって、俺は異変に気付いた。
痛みで目を覚ましては気絶してを繰り返すこと数日。
ようやっとある程度痛みも引き、動けるようになって、俺は異変に気付いた。
俺の胸が、ある。
あるというか、膨らんでいる。
あるというか、膨らんでいる。
まさかと思い、おそるおそる布団の下――自分の下半身に手を伸ばす。
こっちは、ない。
こっちは、ない。
俺「――なんだこれ」
独りだというのに思わず声に出してしまった。
そして、とっさに口元を押さえ……ようとして腕に痛みが走り、その行為を断念した。
今のは俺が言ったのか? 今の高い声を?
独りだというのに思わず声に出してしまった。
そして、とっさに口元を押さえ……ようとして腕に痛みが走り、その行為を断念した。
今のは俺が言ったのか? 今の高い声を?
何が起きた? いや、原因なんて一つしかないんだが。
ガチャリと、病室のドアが開く。
天「あ、動けるようになったの?」
俺「お前俺に何をしたああぁぁぁ!」
天「あ、動けるようになったの?」
俺「お前俺に何をしたああぁぁぁ!」