ひょんなことから女の子
◆wjOmYNm0Aw 1-8
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hyon
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165 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:14:17.31 ID:xvEE3WGO0
第8章:日曜日とフラッシュバック
第一話
ふと目が覚める
時計を見ると、午前6時
優「すーすー」
優はまだ寝ている。いつも6時半頃起きるから、当然か
昨日・・・厳密に言うと今日のことだが、あれから僕は部屋に戻ってすぐ寝た
自分でも驚くぐらいに、あっさりと眠りに落ちたのである
そして今、目が覚めた。目覚めは最悪である
勇人「優・・・」
優のことを呼んでみる。もちろん寝ているのだから返事はない
優「うーん・・・勇人・・・はやく行こうよー・・・うにゃむにゃ」
一瞬起きてるのかと思って驚いたが、すぐに寝言だと分かった。僕と一緒に出かける夢を見ているらしい。今日本当に出かけるから
なのだろうか
優の寝言を聞いていたら、つい笑ってしまった。本当は、泣きたいのを必死に我慢しているというのに・・・
何故か僕は笑っていた
なのだろうか
優の寝言を聞いていたら、つい笑ってしまった。本当は、泣きたいのを必死に我慢しているというのに・・・
何故か僕は笑っていた
勇人「今日が・・・一緒に過ごせる最後の日か」
166 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:14:48.04 ID:xvEE3WGO0
明日も優は生きていられるが、明日は月曜。学校に行かなくてはならない
本当はこんなときに学校なんか行きたくないけど、優に余計な心配はかけたくない
優には・・・何も知らないまま・・・幸せな最期を迎えてもらいたい
そのためには、優の前で涙を流してはいけない。
絶対に・・・最期のときも、泣いてはいけない
明後日の今頃には、優は例の奇病にかかる。そしてこの世を旅立つ
勇人「幸せは・・・いつか消えてしまう」
幸せはいつか消えてしまう。それは、誰にも言わないで秘密にしていた・・・僕のモットーである
僅か10日間であるが、僕は一生分の幸せを得たと思う
勇人「でも・・・今日と明日は、まだ幸せなんだ」
あと2日しかないのではない。あと2日もあると考えるべきなんだ。
勇人「今日が一緒に過ごせる最後の日なら・・・後悔しない今日を送ればいいだけだ」
前向きに考えるのが僕の長所なんだ。いつまでも過去に捕らわれてはいけないんだ
勇人「よし、今日は楽しむぞ!」
僕はまだ熟睡している優にそう言い、再度眠ることにした
167 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:15:20.07 ID:xvEE3WGO0
第二話
優「勇人ー。起きる起きるー」
勇人「んー・・・」
優にいつもの様に起こされる。とは言っても、もうとっくに目が覚めている
実は、あれから結局寝られなかったのである。半分寝て半分起きてる状態まで行ったものの、完全に寝るまで行かず、今に至る
優「ほらー。今日は出掛けるんだよ?はやく起きてはやく行こうよー」
とりあえず布団から体を起こして優を見る
優「僕はもう支度終わっちゃったよ?」
いつものエプロン装着して朝食つくってる格好ではなく、外出用の服を着ていた。
勇人「随分気合が入ってるようで」
優「そりゃそうだよ。せっかくのお出掛けだもん」
成る程・・・しかしもう準備万端とは
勇人「ん、じゃあ僕も着替えてくる」
自分の部屋に行って着替えを開始する。優はどの店に行くか考えていた。ハードスケジュールはやめてくれよ・・・
勇人「よし、僕も準備万端だ。行くとするか?」
168 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:15:45.27 ID:xvEE3WGO0
台所にいた優に呼びかける
優「よーし、じゃあ張り切ってしゅっぱーつ♪」
そう言って二人、家を出た。
優「やっぱり服買いたいよね。土曜日に行ったあの店行こうー」
勇人「ま た そ こ か」
あれだけ買ったのに、まだ足りないのか?どういう思考してるのか全く分からんな。かつての自分とは以下略
優「ま た そ こ か、じゃないよ。やっぱりお洒落したいもん」
勇人「何でこう・・・性別が違うだけで性格が変わるのかね・・・?」
優「人間の性格は生まれ持った本質的なものより、育った環境やそのときの状況というものに左右されるんだよ?」
確かに前誰かに言われた気がする。そんな意味の専門用語があったと思うが、何て言うか忘れた
優「勇人、着いたよ?」
気がついたら例の服屋についていた。と言ってもデパートの中にある一店舗程度の場所だが
優「今日はどれ試着しよっかなー♪」
勇人「おい、今日『は』って何だ。もしかして今までに何回かこの店来てたのか?」
優「うん、よく来てたよ。そんなに遠くないから暇を見つけてはちょくちょく来てた」
169 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:16:12.46 ID:xvEE3WGO0
だったら今日も一人で行けばよかったのに
…いつもならそう言っていただろう。けど今日は、僕も優と一緒に過ごしたかったから文句は言わなかった
楽しそうに色々と試着する優。それを見て僕も楽しんでいた
―――HKOK症候群発症者は発症から丁度10日目に謎の奇病にかかり、1時間足らずで死亡する―――
突然頭の中に、あの文が浮かんでくる
ダメだ、考えちゃダメだ。
限りある幸せを充分に味わいたいのに・・・こんなこと考えたら・・・
どうして頭から離れないんだよ・・・どうして頭から消えないんだよ・・・
僕は・・・限りある幸せを・・・
優「勇人!」
勇人「え?」
優に呼ばれたのに気付く。目の前には優がいた
優「勇人どうしたの?ボーっとして」
170 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:16:37.76 ID:xvEE3WGO0
そっか・・・ずっとあのことを考えてたから
勇人「大丈夫。昨日遊びすぎて寝不足なだけ」
優「まったく・・・10時間も遊ぶなんて、我ながら情けない」
やかましい、余計なお世話だ。と言おうとしたら
優「それよりさ、見て見て。どう?これ似合う?」
服を持って僕にそんなことを聞いてくる
…
優「・・・勇人?」
勇人「あ、うん。似合ってる似合ってる。可愛いぞ」
優「えへへ、そう?じゃあ他の服も試してみるね」
そう言って優は別な服を探していた
そのとき僕は、あのときのことを思い出していた
服を持ってきた優に、あいつの姿が重なった
171 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:16:58.53 ID:xvEE3WGO0
―――ユウ「どう?これ似合う?」―――
―――勇人「お前は別に何着ても似合うんじゃね?」―――
…
勇人「ユウ・・・天国で元気にやってるか?」
もし・・・もし、この声がユウに届くなら
勇人「聞こえていたらでいいんだけどよ、あと二日くらいで秋空優ってやつがそっちに向かうから・・・仲良くしてやってくれな」
優には明日の夜、全てを話そう
今のうちに別れの言葉を考えておくことにした
後悔は・・・したくないからな
176 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 19:59:43.96 ID:xvEE3WGO0
第三話
冬は昼が短い。すぐに夕暮れの時間になってしまった
優「あー、今日はもうそろそろ帰るべきかも」
勇人「時間の問題じゃないけどな。僕はこれ以上無理だ」
荷物を持ちながらそんなことを言う。数を考えると、縦に積まないと手が足りない
優「それもそだね。じゃあ今日はこの辺で」
縦積みには慣れていても、視界が極端に狭いので左にフラフラ右にフラフラ
優「酔っ払いじゃないんだから、しっかり歩こうよ」
勇人「や、やかましい。人の気持ちも知らずに」
こんな状態で真っ直ぐ歩けるほうが凄いだろ。少なくとも僕には無理だ
優「むー、じゃあ誘導するよ」
勇人「当てにならん」
思ったことをそのまま言ってやった
優「失礼な!勇人のことは僕の命に代えても守ってみせるぞ!」
命という言葉が僕の心を少し傷つけた。何の変哲もないこの言葉が、何故か重く感じられた
177 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 20:00:11.10 ID:xvEE3WGO0
勇人「そうかい。じゃあ頼むぜ」
優「よっし、張り切るぞ!」
優がガッツポーズをする。本当に幸せそうなやつだ。
優「さっそくだけど、赤だよー。止まって止まって」
そう言われてピタッと止まる。そういえばあの時もこんな感じだったよな
あの時と違うのは、今が冬なことぐらいか。セミの鳴き声もひぐらしの鳴き声も聞こえない
あの時のことが、頭に鮮明に浮かぶ
―――ユウ「あ、信号赤だ。止まってー」―――
ユウがそう言ったすぐ後のことだったよな・・・
―――ユウ「危ないっ!」―――
それで僕の体は突き飛ばされて・・・そしてユウが・・・
あの事故からもう一年半近くになるのか。時の経過は早いものだな・・・
178 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 20:00:42.78 ID:xvEE3WGO0
優「危ないっ!」
脳内でまたあの時のことが再生されたのかと思った。けど、違う
『あの時』と同じように、右方向へ体が吹き飛ぶ
倒れる荷物、広がる視界、僕のことを突き飛ばした優
『あの時』の光景が・・・脳内にフラッシュバックする
そして・・・
優に向かって走ってくる車
全てが・・・『あの時』と同じだった
せっかく別れの言葉まで用意したのに・・・
やっぱり僕には・・・幸せになる権利なんか、無いみたいだ
優が吹き飛ぶ瞬間、僕はふと、そんなことを思った