ひょんなことから女の子
◆wjOmYNm0Aw 1-9
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hyon
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207 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 21:38:47.90 ID:xvEE3WGO0
第9章:非日常が日常に変わるとき
第一話
車が電柱にぶつかる音・・・それが僕の世界の速度を戻した
全て・・・『あの時』と同じ
僕は優に向かって全力疾走した
勇人「おい、優!しっかりしろ!!」
優が悲痛な顔をする。だが、血はあまり散乱していない。不幸中の幸いか
優「う・・・痛い・・・」
勇人「優!しっかりしろ!今救急車来るから!」
優「あはは・・・出来るだけはやくしてもらいたいな・・・車に轢かれるのって結構痛いんだね・・・」
冗談を言う余裕があるのを見ると、割と大丈夫なのだろう
けど、僕は違った
頭の中に・・・『あの時』の光景がフラッシュバックして
勇人「優、しっかりしろよ。大丈夫だから・・・大丈夫だからっ・・・」
涙が流れる。泣いたらいけないって決めたのに・・・
208 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 21:39:13.84 ID:xvEE3WGO0
最期の最期まで・・・優には幸せを味わってほしかったのに・・・
勇人「優・・・ゴメン、僕のせいで」
優「違うよ・・・僕の体がね・・・勝手に動いてたんだ・・・」
また『あの時』の光景が脳内に浮かぶ
勇人「けど・・・僕がもっと注意していれば・・・」
優「言ったでしょ?勇人のことは命に代えても守るって」
涙が止まらない・・・今朝決めたことすら守れないとは・・・何て意思の弱い人間なんだ、僕は
優「ほら・・・泣いちゃダメだって。死んだわけじゃないんだし」
勇人「!!」
例え今死ななくても・・・明後日・・・二日後には・・・
勇人「優・・・ごめん」
優「また謝ってる・・・僕が決めたこと・・・なんだから・・・気にしちゃダメだよ・・・」
今のごめんは事故のことだけじゃない
僕が隠し事をしていることに対するごめんだったんだ
209 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 21:40:18.63 ID:xvEE3WGO0
でも、わざわざ僕は言わなかった。言ったらどういうことか聞かれるから・・・
救急車が到着する。
僕は優が乗せられた救急車に同乗し、病院に向かった
病院に着いたら、すぐに手術が始まった
217 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 22:00:46.48 ID:xvEE3WGO0
第二話
集中治療室の前にあるソファーに座って手術の終了を待つ
こんなこと、ドラマの中だけだと思っていた
1分・・・そして1秒が長く感じられる
少しでもはやく・・・優の手術の終了を願った
勇人「優・・・」
また優の名前を呟いていた。これで何回目だろうか
手術中の赤いランプが消える。どうやら終わったらしい
集中治療室から医師が出てくる。そして僕のほうに歩いてきた
医師「彼女の容態なんだが・・・」
前置きもなく、いきなり本題に入る。僕の心臓は、これ以上ないくらい強い鼓動をしていた
医師「臓器等に損傷はなく、左腕の骨折のみで他打撲が少しあるだけだった」
僕は全身から力が抜けるのを感じた。それと同時に、涙が頬を流れた
医師「彼女、相当運が強いみたいだな。車のほうは結構スピード出していたらしいからな。今は麻酔で寝ているが、そのうち起きるだろう」
そう言って、優が寝ている寝台が運ばれてくる。
218 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 22:01:10.57 ID:xvEE3WGO0
医師「一応腕を骨折しているから、しばらく入院してもらうことになった」
勇人「分かりました・・・」
骨折だけで済んだのは、本当に不幸中の幸いだった。
だけど・・・入院しても、火曜日には・・・。もしかしたら、この病院の医療ミスということになるのだろうか
医療ミスなんて、僕にとってはどうでもよかった。
これで優は、もう二度と家に戻ってこないことになった
最期のときは・・・せめて一緒に家にいたかった
たった一日だけでも、優は入院することになったのである
明日の朝、学校へ行くときに優の荷物を持ってくることにした
235 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 22:20:50.48 ID:xvEE3WGO0
第三話
家に到着した。既に午後8時を過ぎ、辺りはすっかり暗くなっていた。鍵を開けて中に入る
勇人「ただいま」
誰もいないと分かっているのに、ただいまと言ってしまった
電気のついてない、暗い部屋
勇人「暗いな・・・」
手探りで電気のスイッチを見つけ、点灯する
部屋のなかが明るくなる・・・でも、何故かいつもより暗く感じた
勇人「・・・」
優がいないだけで・・・部屋の明かりが人工的なものに感じられた
いつの間にか・・・優を、いつも通りの存在としていた
僕のドッペルゲンガーという非日常的な存在が、日常的な存在になっていた
でも・・・その日常となっていた非日常も・・・もう少しで終わってしまう
いつも通りを望んでいたのに・・・いつの間にか、いつも通りに戻ることを拒んでいる
随分、自分勝手だと思った
238 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 22:21:32.91 ID:xvEE3WGO0
風呂に入ることにした。風呂は沸いてなかったからシャワーを浴びた
昨日と同じように、椅子を持ってベランダに出た
勇人「今日から・・・この味気無い部屋で暮らすのか・・・」
- そんなこと
勇人「そんなこと・・・出来るわけないだろ・・・」
優が・・・自分の中でこれだけ大きい存在になっているとは・・・思ってもいなかった
失ってから初めて分かる・・・優の存在の大きさ
僕の運命は、誰が決めるのかは分からない。でも、誰でもいいからこの呪われた運命をなんとかしてほしい
239 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/02/21(水) 22:21:53.97 ID:xvEE3WGO0
勇人「なぁ・・・僕の運命を決めてるやつさ・・・」
夜空を見上げる
勇人「そんなに僕が幸せになるのがイヤなのか?」
独り言を、夜空に向かって呟く
勇人「人の幸せを2回も奪って・・・挙句の果てに、限られた幸せまで奪いやがって・・・」
誰かが聞いてるわけでもない。それでも独り言を続ける
勇人「嫌がらせなのか?だったらもう充分効いたよ。これ以上ないくらい悲しんだ」
誰でもいい・・・誰でもいいから・・・
勇人「もう・・・これ以上ないくらい悲しんだよ・・・。だから・・・」
僕の・・・たった一つの願いを、叶えてくれ・・・
勇人「だから・・・優を・・・」
言葉が続かなかった。また、泣いてしまった
今日も星は見えなかった