ひょんなことから女の子
クロ/クロ 3『XX(2)』
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67 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 15:51:36.48 ID:cb5WWLWX0
カーテンのすき間から差し込む、柔らかな朝の日差し。
窓の外から聞こえる小鳥のさえずり。
空気に混じるほのかな夏の匂い。
すがすがしい朝だ。
天才が部屋の玄関を開ける音。
そろそろ慣れた日常の光景。
そんな爽やかな世界の中で俺は――
全身を襲う痛みで身動きが取れずにいた。
68 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 15:53:17.53 ID:cb5WWLWX0
天「おはよう。おーい、起きてー」
ぼふん。
俺「ぎゃあああぁぁぁぁ! 痛え! 痛え! 叩くな!」
天「うわっ。あれ、起きてたの」
俺「起きてたよ! 悪かったな!」
天「どうしたの?」
俺「身体が痛えんだよ。全身が筋肉痛みてぇで動けねぇ」
天「そう。もう沈静化したと思ったけど、まだ身体変化が起きてるのかな」
俺「おいおい……! じゃあまたどうにかなるのか……!?」
天「全身筋肉痛程度なら変化は軽度でしょ」
天「そう不安になることもないよ」
俺「ひ、他人事だと思いやがってぇぇぇ……」
天「おはよう。おーい、起きてー」
ぼふん。
俺「ぎゃあああぁぁぁぁ! 痛え! 痛え! 叩くな!」
天「うわっ。あれ、起きてたの」
俺「起きてたよ! 悪かったな!」
天「どうしたの?」
俺「身体が痛えんだよ。全身が筋肉痛みてぇで動けねぇ」
天「そう。もう沈静化したと思ったけど、まだ身体変化が起きてるのかな」
俺「おいおい……! じゃあまたどうにかなるのか……!?」
天「全身筋肉痛程度なら変化は軽度でしょ」
天「そう不安になることもないよ」
俺「ひ、他人事だと思いやがってぇぇぇ……」
恨めしげに呟いた一言。これがいけなかった。
あごに手をやってしばし考えた天才は、
天「そう。それも無責任だよね」
なんてことを言い出した。
天「よし、今日は私が一日面倒を見てあげる」
俺「げ」
天「何、その反応」
天「そう。それも無責任だよね」
なんてことを言い出した。
天「よし、今日は私が一日面倒を見てあげる」
俺「げ」
天「何、その反応」
69 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 15:55:10.92 ID:cb5WWLWX0
天「朝ご飯だよ」
天才が寝室にトレイを持って入ってきた。
天「朝ご飯だよ」
天才が寝室にトレイを持って入ってきた。
このままではメシが喰えないので、助けてもらいながら上半身を起こす。
俺「痛てててて……」
ギギギと音が出そうなくらいに動きが硬い。
天「おかしいなあ、人をロボットにする実験じゃなかったはずなんだけど」
俺「痛てててて……」
ギギギと音が出そうなくらいに動きが硬い。
天「おかしいなあ、人をロボットにする実験じゃなかったはずなんだけど」
膝の上に置かれたトレイを見下ろす。
皿の上にはクロワッサンと焼いたベーコンにレタス。カップにはポタージュスープ。
ついでにコーヒーが湯気を立ちのぼらせている。
パンはパン屋のものだが、それ以外は自分で作ったものらしい。
……コイツ、相変わらずの完璧超人だな。
皿の上にはクロワッサンと焼いたベーコンにレタス。カップにはポタージュスープ。
ついでにコーヒーが湯気を立ちのぼらせている。
パンはパン屋のものだが、それ以外は自分で作ったものらしい。
……コイツ、相変わらずの完璧超人だな。
俺「素朴な疑問があるんだが」
天「何?」
俺「どうやって作ったんだ? 届くのか? キッチン」
天「失礼なことを言うね」
俺「で、どうやったんだ?」
天「椅子に乗ったの! バカ!」
痛てっ。叩くな、スープがこぼれる。
天「何?」
俺「どうやって作ったんだ? 届くのか? キッチン」
天「失礼なことを言うね」
俺「で、どうやったんだ?」
天「椅子に乗ったの! バカ!」
痛てっ。叩くな、スープがこぼれる。
70 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 15:58:10.86 ID:cb5WWLWX0
……信じられない光景が、俺の目の前にある。
……信じられない光景が、俺の目の前にある。
天「ほら、口開けて。あーん」
ギリギリとゼンマイ仕掛けのような動きでクロワッサンを口に運ぼうとしたら、
天才がそれをひったくってしまった。
で、この状態だ。
ちょっと前――男だった頃からは想像もできないほどの好待遇だな。
なんなんだこの扱いの差は。
天才がそれをひったくってしまった。
で、この状態だ。
ちょっと前――男だった頃からは想像もできないほどの好待遇だな。
なんなんだこの扱いの差は。
ていうか10歳の子どもに「はいあーん」やられる大人の身になってみろ。
無理だ。何がかは分からんがとにかく無理だ。
……しかし、これ以外に食事をとる方法がない訳で。
そうだ、これは仕方がないこと……だよな?
無理だ。何がかは分からんがとにかく無理だ。
……しかし、これ以外に食事をとる方法がない訳で。
そうだ、これは仕方がないこと……だよな?
天「ほら、早く。あ~ん」
俺「……あ、あーん」
ちぎったパンが口の中に入っ……
俺「!」
唇に当たる感覚に、驚いて身を引く俺。
天「?」
俺「……あ、あーん」
ちぎったパンが口の中に入っ……
俺「!」
唇に当たる感覚に、驚いて身を引く俺。
天「?」
ゆ、指先まで喰っちまった……。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:00:23.83 ID:cb5WWLWX0
続いて、ポタージュをふーふー冷ましてもらって一口。
期待するような眼差しが、こちらに向けられている。
天「おいしい?」
続いて、ポタージュをふーふー冷ましてもらって一口。
期待するような眼差しが、こちらに向けられている。
天「おいしい?」
…………。
うまかった。
こんな生活が始まってから早数週間、初めてコイツのメシを喰ったが、
まさかこんなにうまいとは……。
くそ、落ち着け。食い物は懐柔のための常套手段だ。
これじゃ餌付けじゃないか。
俺「ん、まあまあかな」
天「結構自信あったのに」
天才は頬を膨らませた。
天「普通そこはお世辞でも美味しいって言うでしょ?」
俺「俺は正直者なんだよ」
天「じゃないと食べさせてあげないよ」
天「あー、可哀想に。その身体じゃ食事にありつけるのはいつかな?」
俺「すみません正直にいいます美味しいですもっと食べさせて下さい」
天「うん、よしよし」
白い歯を見せて、天才は満足げに笑った。
うまかった。
こんな生活が始まってから早数週間、初めてコイツのメシを喰ったが、
まさかこんなにうまいとは……。
くそ、落ち着け。食い物は懐柔のための常套手段だ。
これじゃ餌付けじゃないか。
俺「ん、まあまあかな」
天「結構自信あったのに」
天才は頬を膨らませた。
天「普通そこはお世辞でも美味しいって言うでしょ?」
俺「俺は正直者なんだよ」
天「じゃないと食べさせてあげないよ」
天「あー、可哀想に。その身体じゃ食事にありつけるのはいつかな?」
俺「すみません正直にいいます美味しいですもっと食べさせて下さい」
天「うん、よしよし」
白い歯を見せて、天才は満足げに笑った。
天「はい、あ~ん」
72 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:02:14.63 ID:cb5WWLWX0
俺「…………」
もぞもぞ。
俺「…………」
もぞもぞもぞもぞ。
俺「…………」
もぞもぞ。
俺「…………」
もぞもぞもぞもぞ。
やたら分厚い本から目を離した天才が、変なモノを見る目でこちらを見た。
天「何してるの? アリの大群に捕まった芋虫のモノマネ?」
俺「誰がそんなマニアックな遊びをするか」
俺「ブラがすれて、脇腹がかゆいんだよ」
俺「まぁ、お前には分からん悩みかも知れんガッ!?」
ドスッ!
天「フン!」
俺「おま……脇腹キックはマジでキツ……」
天「まったく! 身体が動けないと口が動きすぎるのかな!?」
俺「お前は口より先に身体が動くみたいだけどな」
天「やっぱり口は減らないね」
俺「あすみません口が過ぎました許してください腹の上で頬杖はつかないで下さい」
天「何してるの? アリの大群に捕まった芋虫のモノマネ?」
俺「誰がそんなマニアックな遊びをするか」
俺「ブラがすれて、脇腹がかゆいんだよ」
俺「まぁ、お前には分からん悩みかも知れんガッ!?」
ドスッ!
天「フン!」
俺「おま……脇腹キックはマジでキツ……」
天「まったく! 身体が動けないと口が動きすぎるのかな!?」
俺「お前は口より先に身体が動くみたいだけどな」
天「やっぱり口は減らないね」
俺「あすみません口が過ぎました許してください腹の上で頬杖はつかないで下さい」
73 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:04:27.99 ID:cb5WWLWX0
俺「…………」
もぞもぞ。
俺「…………」
もぞもぞもぞもぞ。
俺「…………」
もぞもぞ。
俺「…………」
もぞもぞもぞもぞ。
俺「やばい」
天「今度はどうしたの?」
俺「……それがな」
俺「 我 ト イ レ に 行 き た し 」
天「うわ」
俺「引くな逃げるな生理現象だしょうがねえだろ」
くそ、こんなことまでコイツに頼らなきゃならないのか。
……なんだか情けなくなってきた。
天「それくらいで泣かないでよ」
俺「なっ、泣いてねーよ!」
思わず反論するが、天才の言うとおりだった。涙目になっている自覚はある。
最近涙もろくなったなぁ。
この前なんか賑やかしにつけてたTVの映画観てぼろぼろ泣いたし。
天「今度はどうしたの?」
俺「……それがな」
俺「 我 ト イ レ に 行 き た し 」
天「うわ」
俺「引くな逃げるな生理現象だしょうがねえだろ」
くそ、こんなことまでコイツに頼らなきゃならないのか。
……なんだか情けなくなってきた。
天「それくらいで泣かないでよ」
俺「なっ、泣いてねーよ!」
思わず反論するが、天才の言うとおりだった。涙目になっている自覚はある。
最近涙もろくなったなぁ。
この前なんか賑やかしにつけてたTVの映画観てぼろぼろ泣いたし。
天「それで、どうするの? しびんがいい? ペットボトルしかないけど」
俺「それは死んでも嫌だ」
俺「……肩を貸してくれ。意地でもトイレまで辿り着いてやる」
俺「それは死んでも嫌だ」
俺「……肩を貸してくれ。意地でもトイレまで辿り着いてやる」
74 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:06:42.51 ID:cb5WWLWX0
しかし実際問題、肩を借りようにも天才と俺とでは身長差がありすぎる。
その上、コイツは体重をかけたら真っ二つに折れそうなくらい細っそい身体だ。
結局、天才に手を引っ張ってもらって、俺はへっぴり腰で自ら歩くことになった。
俺「痛てて! 待った待った待った!」
天「いいから、早く行くよ!」
俺「ちょっ、まっ……!」
しかし実際問題、肩を借りようにも天才と俺とでは身長差がありすぎる。
その上、コイツは体重をかけたら真っ二つに折れそうなくらい細っそい身体だ。
結局、天才に手を引っ張ってもらって、俺はへっぴり腰で自ら歩くことになった。
俺「痛てて! 待った待った待った!」
天「いいから、早く行くよ!」
俺「ちょっ、まっ……!」
バン!
俺「ま、間に合った……」
トイレのドア越しに、天才のあきれたような、疲れたような声がした。
天「もういっそ今日はトイレで過ごしたら?」
俺「断る」
トイレのドア越しに、天才のあきれたような、疲れたような声がした。
天「もういっそ今日はトイレで過ごしたら?」
俺「断る」
俺「ふぃー……」
用を足し始め、ようやっと安堵の吐息をつくことができた。
いい加減この感覚にも慣れたなぁ。
しかし、こればっかりは男の方が楽だわ。
用を足し始め、ようやっと安堵の吐息をつくことができた。
いい加減この感覚にも慣れたなぁ。
しかし、こればっかりは男の方が楽だわ。
出すものを出し終えた段になって、俺は最悪の事態に気がついた。
――こんな時に限って、トイレットペーパーが残っていない。
――こんな時に限って、トイレットペーパーが残っていない。
75 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:08:51.53 ID:cb5WWLWX0
トイレットペーパーか。交換までは……とてもじゃないが無理だ。
しかし拭かずに乾燥とか汚いしなぁ。
ちらりと俺の視線が傍らのコンソールを捉えた。
……ウォッシュレットはできるだけ使いたくはない……。
なぜなら、奴にはある種の狂気が潜んでいるのだ。
果たして俺は奴に勝てるのか?
――ええい、なるようになれ!
必 殺 ! ビ デ ッ !
トイレットペーパーか。交換までは……とてもじゃないが無理だ。
しかし拭かずに乾燥とか汚いしなぁ。
ちらりと俺の視線が傍らのコンソールを捉えた。
……ウォッシュレットはできるだけ使いたくはない……。
なぜなら、奴にはある種の狂気が潜んでいるのだ。
果たして俺は奴に勝てるのか?
――ええい、なるようになれ!
必 殺 ! ビ デ ッ !
ピッ。
…………。
ガコン、ジャアアアァァァァー……こぽこぽこぽ……。
水を流して、どうにか下着とパジャマをはく。
俺「おーい……もういいぞー」
ガチャ。
天「遅かったね」
俺「あぁ……まぁ、紙が切れててな。ウォッシュレットの乾燥でやってたら、時間かかったわ」
天「なんか顔赤いよ。大丈夫?」
俺「き、気にすんな」
俺はよろよろと、天才に助けられてトイレから出る。
戦いは……割と負けだった、とだけ言っておく……。
水を流して、どうにか下着とパジャマをはく。
俺「おーい……もういいぞー」
ガチャ。
天「遅かったね」
俺「あぁ……まぁ、紙が切れててな。ウォッシュレットの乾燥でやってたら、時間かかったわ」
天「なんか顔赤いよ。大丈夫?」
俺「き、気にすんな」
俺はよろよろと、天才に助けられてトイレから出る。
戦いは……割と負けだった、とだけ言っておく……。
76 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:10:36.26 ID:cb5WWLWX0
日は沈み、夜が来た。
何もできないのなら、さっさと寝てしまうのに限る。
日は沈み、夜が来た。
何もできないのなら、さっさと寝てしまうのに限る。
今日はやたら(色々な意味で)汗をかいたので、どうにも気持ちが悪い。
寝返りも打てずに、不快感に包まれていると、
天「汗かいたでしょ。身体拭いてあげるよ」
と、天才が湯の入った洗面器とタオルを持ってきた。
寝返りも打てずに、不快感に包まれていると、
天「汗かいたでしょ。身体拭いてあげるよ」
と、天才が湯の入った洗面器とタオルを持ってきた。
いやしかし、こんなチビッ子に身体を拭いてもらうというのは、
なかなかにアレなシチュエーションですな。
こう、ご主人様気分?
天「身体起こすよ」
俺「あ痛てててて……」
……いや、どうみても患者と看護する家族か。
なかなかにアレなシチュエーションですな。
こう、ご主人様気分?
天「身体起こすよ」
俺「あ痛てててて……」
……いや、どうみても患者と看護する家族か。
ぐっと濡れタオルが押しつけられると、それだけで痛みが走った。
俺「痛っ」
天「あっ、ごめん。――これくらい?」
今度はタオルがそーっと肌の上をなぞる。
俺「くっ……くすぐったい」
天「もう、わがままだなぁ」
俺「痛っ」
天「あっ、ごめん。――これくらい?」
今度はタオルがそーっと肌の上をなぞる。
俺「くっ……くすぐったい」
天「もう、わがままだなぁ」
77 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:12:18.92 ID:cb5WWLWX0
天才はすぐに力加減を覚えたようだった。
タオルが、胸の下を拭う。
むぅ、くすぐったいような、心地良いような、微妙な気分だ。
と、身体を拭く手が止まった。
天才が俺の胸をぼんやりと眺めている。
……どうした?
天才はすぐに力加減を覚えたようだった。
タオルが、胸の下を拭う。
むぅ、くすぐったいような、心地良いような、微妙な気分だ。
と、身体を拭く手が止まった。
天才が俺の胸をぼんやりと眺めている。
……どうした?
天「ねえ」
唐突に天才が口を開いた。
天「女性の身体になるって、どんな気分?」
俺「なんだそりゃ。それも観察の一環か?」
天「ううん、そういう訳じゃないけど……」
なんだ? 妙に歯切れが悪いな。コイツらしくもない。
俺「別に望んでなった訳じゃないから、何ともいえないな」
俺「最初はものすげぇショックだったけどな」
俺「まぁ、当面の悩みは、親にどう説明するかってとこか」
天「……そっか……」
うつむく天才。
本当になんなんだ?
頭でもなでてやろうかと思ったが、恥ずかしさと腕の痛みとがあって、やめた。
代わりに言葉を紡ぐ。
俺「でも今は慣れてきたかな。まぁ、そう落ち込むこたぁないって」
そう言って笑いかけてやった。
唐突に天才が口を開いた。
天「女性の身体になるって、どんな気分?」
俺「なんだそりゃ。それも観察の一環か?」
天「ううん、そういう訳じゃないけど……」
なんだ? 妙に歯切れが悪いな。コイツらしくもない。
俺「別に望んでなった訳じゃないから、何ともいえないな」
俺「最初はものすげぇショックだったけどな」
俺「まぁ、当面の悩みは、親にどう説明するかってとこか」
天「……そっか……」
うつむく天才。
本当になんなんだ?
頭でもなでてやろうかと思ったが、恥ずかしさと腕の痛みとがあって、やめた。
代わりに言葉を紡ぐ。
俺「でも今は慣れてきたかな。まぁ、そう落ち込むこたぁないって」
そう言って笑いかけてやった。
身体を拭き終えた天才は、すぐに自分の部屋へ戻った。
その表情は最後まで晴れないままだった。
その表情は最後まで晴れないままだった。
78 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:14:47.94 ID:cb5WWLWX0
翌日、朝の目覚めと共に、自分の身体の様子を確かめる
手を握り、足を曲げ、身体を捻る。立ち上がって伸びを一つ。
よし、治った。
寝室を出ると、ちょうど天才が玄関を開けたところだった。
翌日、朝の目覚めと共に、自分の身体の様子を確かめる
手を握り、足を曲げ、身体を捻る。立ち上がって伸びを一つ。
よし、治った。
寝室を出ると、ちょうど天才が玄関を開けたところだった。
俺「よう」
天「あ、おはよう。治ったんだ」
一見すると、それはいつもの天才に見えた。少なくとも表向きは。
俺「お陰様でな」
俺は洗面所へ向かった。
顔を洗い、歯を磨く。
……動けるっていいなぁ。
頭を覚醒させた俺は、できるだけ普通に天才に声をかけた。
俺「なぁ、昨日のことなんだが……」
天「……何?」
俺「お前の作ったメシ、うまかったからさ」
俺「また、気が向いたら作ってくれよ」
天「――えっ?」
お、コイツの驚いた顔は初めて見た気がするな。
天「あ、うん」
天「任せて」
照れたように、目を伏せる天才。
頼んだ、とその頭をなでてやった。
天「あ、おはよう。治ったんだ」
一見すると、それはいつもの天才に見えた。少なくとも表向きは。
俺「お陰様でな」
俺は洗面所へ向かった。
顔を洗い、歯を磨く。
……動けるっていいなぁ。
頭を覚醒させた俺は、できるだけ普通に天才に声をかけた。
俺「なぁ、昨日のことなんだが……」
天「……何?」
俺「お前の作ったメシ、うまかったからさ」
俺「また、気が向いたら作ってくれよ」
天「――えっ?」
お、コイツの驚いた顔は初めて見た気がするな。
天「あ、うん」
天「任せて」
照れたように、目を伏せる天才。
頼んだ、とその頭をなでてやった。
79 名前:長目[] 投稿日:2006/08/17(木) 16:19:32.38 ID:cb5WWLWX0
部屋に漂う良い香り。
キッチンでは天才が、椅子に膝立ちして朝食を作っていた。
俺は優雅にモーニングコーヒーをすすりながら、自分のパジャマの袖をつまむ。
俺「しかしなんだ。昨日寝過ぎたかな。パジャマが伸びちまった」
あと、身体がむくんだのか、ブラがきつい。
というかさっきから、何かするたびにいちいち違和感がつきまとう。
まぁ、昨日が昨日だったし、そんなものなのかもしれない。
天「そう?」
と、天才がこちらを振り返った。
俺の全身を改めて眺め、眉をひそめる。
天「あのさ」
俺「なんだ?」
天「それ多分、身長が何センチか縮んだからだよ」
……へ?
俺「な、何いいぃぃぃぃ!?」
天「だからいったでしょ。“変化は少し”って」
俺「これが少しかぁ!!」
天「もうこんなことはないと思うから、安心して」
俺「遅い! もう遅い!」
天「はい、できたよー」
俺「さらっと話を移すなぁぁぁぁ!」
部屋に漂う良い香り。
キッチンでは天才が、椅子に膝立ちして朝食を作っていた。
俺は優雅にモーニングコーヒーをすすりながら、自分のパジャマの袖をつまむ。
俺「しかしなんだ。昨日寝過ぎたかな。パジャマが伸びちまった」
あと、身体がむくんだのか、ブラがきつい。
というかさっきから、何かするたびにいちいち違和感がつきまとう。
まぁ、昨日が昨日だったし、そんなものなのかもしれない。
天「そう?」
と、天才がこちらを振り返った。
俺の全身を改めて眺め、眉をひそめる。
天「あのさ」
俺「なんだ?」
天「それ多分、身長が何センチか縮んだからだよ」
……へ?
俺「な、何いいぃぃぃぃ!?」
天「だからいったでしょ。“変化は少し”って」
俺「これが少しかぁ!!」
天「もうこんなことはないと思うから、安心して」
俺「遅い! もう遅い!」
天「はい、できたよー」
俺「さらっと話を移すなぁぁぁぁ!」
絶叫する俺をよそに、天才はいつもの調子に戻っていた。
俺は大袈裟に騒ぎ立てながらも、心の裏で苦笑する。
まったく、世話が焼けるよ。
俺は大袈裟に騒ぎ立てながらも、心の裏で苦笑する。
まったく、世話が焼けるよ。